東京私学教育研究所 フージョン教育研究会 「コア・ループ」へ(1)
★メンバーは、田中歩先生(工学院大学附属教頭・英語)、山口貴史先生(駒沢学園女子・数学)、本橋真紀子先生(聖学院・数学)です。次期学習指導要領がそうだからということもあるのですが、もともと平方所長は生成AIを教育にどう生かすか考えていました。
★2015年ごろから、平方所長はシンギュラリティ―を迎える未来の子供の社会を想定し、そこで、子どもたちがどんな才能を発揮できるとよいのか、またその中でもクリエイティビティをどのように生み出すのか、工学院(当時校長でした)の先生方と授業実践の中で試行錯誤されてきました。またそのときからすでに一般財団法人東京私立中学高等学校協会の副会長(当時)として、私学の先生方とも議論してきました。
★そして、コロナ禍を乗りこえるのに、それまでにICTを使って授業を模索していたことが、貢献できたと実感し、さらにイノベーションを教育になじませるにはどうしたらよいのか、多くの私学の先生方と議論し、数々の研修も手掛けてきました。ポストコロナ時代に、急激に生成AIが広まり、それを教育に生かすにはどうしたらよいかを研修のテーマにもしてきました。
★昨年、平方所長は、その発想をいよいよ実現する段階に来たと決断し、フュージョン教育研究会を立ち上げたのです。コンテンツベースでつくっていくと、あまりにも専門的になりすぎるので、3年間では見通しが立ちにくいと考え、まずはコンセプトベースで試行錯誤しようということだったといいます。また、世界の教育はよしあしはひとまず置いておくとして、ケンブリッジの教育やオックスブリッジで研究したメンバーが大きく関わっているので、ケンブリッジ国際教育の日本初の認定校であり、その推進リーダーの一人である工学院の教頭田中歩先生に頼んだということです。
★また、社会課題と教科を結ぶ研究を同研究所の主催する数学の研修委員の姿をみていて、コンセプトベースには数学科がすぐに動けそうだと判断したということです。さらに、英語が堪能である数学の先生はということで、いろいろな縁の中で山口先生と本橋先生に行きついたたということのようです。
★次期学習指導要領では、背景に探究と生成AIがあるということは、昨年の段階で公開されている情報やデータから想定できていたので、シンプルにそれらの根っこ(コンセプトベースな学び)を見出すということが目的だったようです。
★そのコンセプトという種から、様々な探究や生成AIを活用した授業、教育活動等が生まれてくればよいという発想のようです。ただ、それは理論としてつくって実践するというトップダウンのスタイルではなく、あくまで授業実践報告の中からボトムアップ的に生まれてくるというスタイルをとったようです。
★そのため、3人の先生が互いの授業実践を見学したり、報告を聞いて議論しながらできてくるというあくまで仮説の段階のものです。固定された一つのコンセプトというよりは、生徒や教師の具体的な状況に応じて変幻自在に変わるものという感じですね。
★いい加減じゃないかと思われるかもしれませんが、3人の先生方は、転移学習とか圏論なども議論の背景に入れながら模索しています。その理論を前面に出すことはないし、必要もないと思っていますが、システム思考やデザイン思考など世の中で語られている理論ももちろん背景で議論しています。しかし、現場でより実践的な学びとは何かに目を向けています。
★昨年1年の議論の中で、生まれてきたのが「コア・ループ」というキーワードでした。フュージョン教育研究会のサイト第2章「AI時代に必要とされる人物像」を執筆している田中歩先生はこう書いています。
冒頭にも触れたように、「教師」「生徒」の枠組みをこえ、対話をしながら様々な思考スキルを使って学びを変化させてきたように、学びのコアがありさえすれば、その軸をループしていく中にAIを入れ、コア・ループを作ることが環境としてはとても重要になってくる。その環境で学ぶんだ!という、実は生徒たちに求められるのは、本来子どもたちが備えている興味関心・探究心なのではないだろうか。
生徒は小さいころからキラキラした眼差しで物事を見ている。そのキラキラを持ったまま未来へ向かって走っていく、その傍らに教師やAIが並走していく、生徒の走るエネルギーは興味関心・探究心であり、生徒はオープンマインドで対話に飛び込んでいくことが必要となる。
★この中には、世の中で語られる、学習する組織、コーチング、ファシリテーション、リアリスティックなリフレクション、高次思考・対話、学習者中心主義などたくさんの理論が文脈背景にあって、わかりやすいけれど、圧倒されます。実践とはかくも理論の複合的な密度が高いのだと。理論は、それを分析的に引き出しているだけなのかもしれません。やはり、はじめに実践という経験ありきなのでしょう。イギリス的と言えばそれはそうなのですが。しかし、日本の武道にもまず型ありきだから、シンクロしているような。。。
★それは、ともかく探究や生成AIについては、そのメリットとデメリットは、文部科学省がすでに各国の情報も収集してまとめています。多くの論者が語っている懸念点もそこに網羅されています。
★フュージョン教育研究会の先生方は、それらは織り込み済みで、教師と生徒が授業の中で探究的なエッセンスと生成AIをサポーターとしてどう使っていくかという問題意識で授業実践をしています。そこは、現状、生徒が授業で探究的エッセンスを生かしたり生成AIを使ったりしていると学校がまだ少ない中での実践ですから、かなりチャレンジングです。そして、それらを、コア・ループをつくる環境が重要なのだというコンセプトに行きついているわけです。
★では、このコア・ループとは何か?それはまだまだこれからということのようですが、現段階でもかなりヒントはあります。私も生徒一人一人が独自の最高の学び方を回転できること、そしてそれがじぶんごととみんなごととちきゅうごとが循環できる最高の学び方であることが大事だと思っています。コア・ループはまさにそれなのでしょう。私なりに探っていきたいと思います。コア・ループは、一人ひとりちがってよいのですから。
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