田園調布学園 女子校の新しいカタチ
★ONETESplus9月号には、田園調布学園の記事も載っています。「女子校の新しいカタチ」を追っているシリーズもののようです。私立女子校のイメージは、もはや「良妻賢母」ではなくなっています。「妻」と「母」の部分は、今では「人間」というシフトが起きているのは、時代の流れでもありましょう。では、最近の女子校はどんなイメージでしょう。少なくとも、男子校や共学校とは、肌感覚では違います。
★最近の女子校は、グローバル教育、探究、STEAM、理系というキーワードが示す教育をどんどん行っています。しかし、これだけならば新興勢力の共学校とあまり変わらないかもしれません。やはりそれだけではなく、雰囲気が明快に違うような気がします。では、それはいったい何でしょう?
★ONERTESplusは、そこを追っているような気がしました。田園調布学園も、グローバル教育に力を入れています。海外大学合格者も多数出ています。探究、STEAMにも力を入れています。特に教科横断のプジェクトは受験・教育業界で注目を浴びています。そして卒業生の約半分は理系の大学に合格しています。女子校の最先端の教育を行っています。
★そういう意味で、他の女子校に比べ、最先端のレベルが卓越しているといえます。しかし、これが女子校の新しいカタチの本質ではなさそうです。というのも、これらの教育は技術的な側面が強いので、いずれ他の女子校も追いついてきます。清水校長は、そんなことは百も承知のはずです。
★では、いったい何が違うのか?それは、この記事を読んでいて、一つの屋台骨が明示されている点だと思います。清水校長は、田園調布学園のルーブリックを創っています。たしかに、ルーブリックをつくる手続きは技術的ですが、清水校長は、田園調布学園のマインドを言語化し、そのマインドを学内隅々にまで浸透させるいわばルーブリック実装組織マネジメントをしているのです。
★このマネジメントは、もちろん前面にでるわけではありません。教育を生成するエネルギー体が循環する仕組みですから、土台として表には見えていません。ただ、それを見ようと思えば見えるのです。
★学内では、教師のみならず、生徒もその仕組みを見ることができます。言語化されているからです。授業や探究、行事などに、その仕組みが活用されているのが見えるということは、実は革命的です。というのも、見えるということは共有できるということです。従来はその仕組みは教師が暗黙知として発揮していました。
★暗黙知ですから、伝わる生徒と伝わらない生徒に分かれます。伝わらない生徒の方が圧倒的に多かったでしょう。ですから、作法とか習慣という行動の型で教育活動が行われてきたのです。暗黙知ですから、教師どうしの共有の対話も行われませんから、そのクオリティはバラバラです。
★ところが、田園調布学園では、教育理念を表現する言葉をリフレーミングし、言語化し、カリキュラム、授業、活動ごとに具体的に作っていきます。その過程は対話なくしては不可能です。清水校長が一人でその詳細まで作りこむことは物理的に不可能です。
★教職員が、それぞれの具体的状況において協力し合いながら作成していくわけです。そんなことは当たり前だろうと思いますか?この過程を展開できるには、心理的安全を学内の文化にしなくてはなりません。それが簡単でないことは、他の学校の先生方が常に悩んいるところから明らかです。
★この心理的安全は、田園調布学園の文化でもあったと思います。中学に入学するとエンカウンターの研修がすぐに行われていました。ですからプロジェクト型の活動も伝統としてあったと思います。清水校長は、おそらくそのリソースをうまく汲み上げ、ルーブリックを学内共創したのでしょう。
★そして、そのテコが、記事の中にあるデザイン思考のプロセスの導入だったと思います。多くの学校で探究を行うときに、デザイン思考を活用するケースがありますが、それは田園調布学園のように学校全体で取り組んでいるわけではありません。担当教師によるわけです。
★学校全体で取り組むには、清水校長のように、理想を具体的に実現するスタートアップ型のマネジメントと共感を広げる社会起業家的マネジメントの二刀流が必要です。そして、それを支える教頭の学校運営マネジメント力との三位一体。これが田園調布学園では展開しているのでしょう。
★IBのDPが大きく変わろうとしています。2030年本格稼働のために、パイロット校を中心に企画実装の実験をしているところです。その新しいプログラムを遂行する方法論の一つにデザイン思考を使うということになっています。
★IBはルーブリック型の学びの評価と改善をしているのは土台にあります。それにデザイン思考などの探究を展開する際の学習科学としての方法論が活用されます。驚愕なのは、田園調布学園は、すでにそのプロセスを積み上げてきているということです。
★従来の教育は、女子校に限らず、行動主義的美学でしたが、今後は行動×学習科学によって教育の美学が実現していくのでしょう。そのフロントランナーが田園調布学園であり、女子校の新しいカタチがけん引していくのかもしれませんね。
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