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2026年8月

2026年8月31日 (月)

中学受験 学校の選び方の変化(3)大学の多様な改変にますます接続しやすくなる私立中高一貫校

★最近、大学入試改革や学部学科の再編のうねりがあります。この動きに敏感なのは私立学校ですが、どうも今の大学の様々な改変の動きは、むしろ私立中高一貫校の革新性に、意図的に合わせるように動いているのではないかと思えるほどです。

★もしそうだとすると、中学受験生・保護者は、私立中学を選択するとき、中高の教育環境デザインの変化と大学の多様な改変が連動しているかどうかをまずは調べることも重要になってきます。

★では大学のどんな改変が起きているのでしょう。二つほど例を上げましょう。

★1つ目は、「文系学部」の理系転換や文理融合へのシフトです。共同通信2026年8月26日によると、

 「文科省は昨年、『成長分野転換基金』を活用し、文系学部の理系転換などに取り組む大規模私大に対し、1校当たり最大40億円を支援する制度を創設した。これまでに早稲田大、慶応大、上智大、学習院大、明治大、青山学院大、中央大、法政大、関西学院大、関西大、立命館大が活用の意向を示しているという。」

★首都圏と関西地方の大規模私立大11校が、理系学部の新設・定員増を含む拡充や、文理融合教育の導入を検討しているわけです。文系学部の定員削減も目的にしているところは、人工知能(AI)などの進化には、哲学も関連しなくてはならないから、多少疑念が残りますが、日本が国際競争力で再び油井に立つために理系人材育成は必要だということでしょう。

★一方、私立中高一貫校は、AI時代に合って、AIの回答を鵜呑みにせず、自分のもの見方・考え方を豊かにしていくためのツールとして活用する授業が開発されつつあります。STEAM教育やアントレプレナーシップを行っている私立中高一貫校は、データサイエンスにも取り組んでいて、結果的に理系人材育成や文理融合プログラムの開発をすでに行っています。したがって、おのずと先述の11大学の改変につながっていきます。

★もう一つは、ずばり国際競争力をけん引する取り組みです。筑波大学のサイトにはこうあります。

理工学群と情報学群も文部科学省「国際競争力けん引学部等」に認定されました 2026.08.27

文部科学省の「国際競争力けん引学部等」の認定制度について、この度、理工学群、情報学群が認定を受け、すべての学群(医学群医学類を除く)が認定を受けました。

筑波大学は、日本に異なる価値観をもたらし、日本の良さを理解し、日本ならびに世界で活躍することを目指す外国人学生と、世界から学び、世界に発信し、世界と渡り合い、日本を再び世界を先導する国にすることを目指す日本人学生とが、対等な条件で切磋琢磨し、相互に理解と信頼を深め合う国際的な多文化共修環境を創り出し、世界をリードする有為な若者が成長する大学でありたいと考えております。
今回の認定を受け、多様な学生が集う多文化共修環境のいっそうの充実を図り、その実現をさらに加速させてまいります。

★首都圏の私立中高一貫校の40%強が、すでに海外大学進学を実現しています。そんなことでは頭脳が世界に流出する波をつくるのではないかとかつては言われていましたが、実は、海外大学進学準備教育は、英語教育だけでは成り立ちません。海外のハイレベルの学校のレベルと目線合わせをする豊かで高度な教育環境デザインを整えているから可能なのです。

★そして、その延長上には、海外の生徒の留学を可能にする教育環境デザインに到達します。大学が国際競争力をけん引する学部を作る前に中高が先行してしまうでしょう。当然、海外の大学に進学する生徒もたくさん出てくるし、筑波大学のように国際競争力けん引する学部に進学する生徒もたくさんでてくるでしょう。

★つまり、国内外の先進的な研究をする大学に接続しやすくなるのです。

★じゃあ、そのような私立中高一貫校はどこにあるのか?いずれご紹介していきましょう。

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2026年8月30日 (日)

2026東京都私立学校展 2日間で 参加者45,000人超える

★昨日29日(土)と本日30日(日)の2日間、東京国際フォーラムで、恒例の東京都私立学校展が開催。両日で受験生・保護者の参加45,000人を越えました。両日とも開始から最後まで、キャンセルが少なく、もし予約制でなく、自由に往来できたとしたら、50,000人は超えていたでしょう。ただ、会場の安心安全な環境条件を遵守するために、予約制にしていますから、それはできなかったのです。

★いずれにしても、この勢いは、少子化に突入している日本において、教育に力をいれたいという時代の要請と保護者のニーズが合致しているといえるかもしれません。

★そして、各学校のブースでは、若い情熱のあるそれでいて柔らかい、つまり寛容力のある先生方が熱心に説明をしていました。もちろん校長やベテランの先生方も混じっていましたが、若い先生が学校の魅力を表現する様子を応援していました。

★どこの学校でも英語に力を入れ、探究や高大連携に力を注いでいます。そうなってくると、生徒1人ひとりのポテンシャルを開放し、才能が育つ多様な学びの経験をコーディネートしたり、相談に乗るメンターの力のある教師の存在が学校の魅力を映し出します。

★言うまでもなく、教師のその魅力は、それぞれの教師みな違います。その違いが学校の魅力の違いを映し出す時代がやってきたといえます。

★各学校の理事長・校長は、どれだけ魅力的な教師をそろえ、各教師のポテンシャルが開かれる組織マネジメントをするかがカギです。それによって、学校の魅力のパワフルさは違ってくるでしょう。

★そして、そうでない組織だったとします。その時、そのような組織をボトムアップ的に作っていく力を教師が持っていることも必要かもしれません。

★経営者から見ても、教師自身から見ても、教師の魅力をどのように豊かにしていくか、AI時代は、結局そこに行きつくはずです。その兆しが、東京私立学校展の会場に広がっていたと感じ入りました。

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駒沢学園女子 9月5日(土)中学説明会でAI体験!大切なアイデンティティ問題をAIを通して

★9月5日(土)、駒沢学園女子は中学説明会を行い、AI体験のセミナーも実施するようです。今や教師が生成AIを活用する学校はほとんどといってよいでしょう。しかし、生徒が授業の中で知のパートナーとして使う学校はまだまだ少ないのです。そんな中でKOMAJOは、いち早く活用しました。

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★それはなぜかというと、自分を見つめ他者に左右されない自分の核となる基準が育つ環境があるからこそなのです。生成AIを鵜呑みにしない自分が育つ学校だからこそというわけです。

★今回の生成AI体験も、本物か偽物かをさぐる「AI探偵」をゲーム感覚で行うでしょう。これは楽しいセミナーですが、その背景には、自分とは何か、本物とは何かというアイデンティティ問題でもあります。楽しい向こうに本質が見え隠れします。さすがです。

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★それにしても、インスタグラムで、数学の先生と国語の2人の先生がコントよろしく今回のセミナーの予告をしているのが、なんとも微笑ましいですね。

★普段まじめな先生方なだけに、ちょっと驚きなのですが、普段の授業もまじめと遊びの両方が展開しているのでしょう。だから駒女の授業はおもしろいのでしょう。

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2026東京都私立学校展 1日目 参加者22,000人超える

★昨日29日(土)、東京国際フォーラムで、恒例の東京都私立学校展の1日目が開催。受験生・保護者の参加が22,000人を越えました。本日2日目が行われますが、昨日同様すべての時間帯の予約は満席です。両日合わせると、50,000人近くになるかもしれません。東京ドームの観客席が55,000あるといわれていますから、2日間で東京私立学校展に訪れる人数は、東京ドーム1つ分ということになり、かなり多いということになりそうです。

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★私は、総合案内に1日詰めていましたから、各学校のブースでの具体的様子はわかりませんが、各学校の先生が交代するタイミングや帰り際に何人かの先生が様子を知らせてくれます。

★5月は中学入試の受験生対象の私学展で、今回は中学入試・高校入試の両受験者対象です。小6の中学入試における学校選択は6月に1つ目の大きな山を迎えますから、5月に行っています。高校入試における学校選択は9月以降に1つ目の山を迎えますから8月に行っています。ですから、高校入試対象の中学生のほうがたくさん訪れているということです。

★高校入試の学校選択の特徴は、大学附属及び系列校に人気が集まりますが、スタートアップやプログラミングに興味を持つ中学生も増えているようです。何より英語に力を入れている学校はどこかと探している受験生が目立ちますが、総合案内にどこも英語に力を入れていて、違いを見極めるポイントは何かと尋ねに来る受験生も多かったです。

★弓道、バレーボール、陸上、音楽など部活や芸術に力をいれている学校について教えてくださいと尋ねてくる受験生もいました。東京の私立学校はその多くが全日制なので、その質問に回答するのはなかなか難しいと感じました。もちろん、知っている限りで参考程度という限定付きで回答はしましたが。

★中学入試の方は、英語の試験や英語資格利用入試を行っている学校のリストはないかという質問もありました。総合案内は進学相談ブースではなく、あくまで各学校ブースがどこにあるかという質問があったときに案内する役目ととときどき立ち眩みなどする生徒さんを救護室に車椅子などでサポートする役目が主な任務ですから、そのような情報は用意していません。ですから、今や多くの学校が行っているので、各学校のブースでじっくり説明をお聞きくださいと回答しています。

★私学展の主催者の1つである公益法人東京都私学財団は、授業料の負担軽減の助成について説明するブースを開いていますが、ここも説明を聞きに来る方が昨年に比べ増えたということでした。東京都の私立高校の説明に他県からも多く来ています。負担軽減の助成は国からも出るようになったため、他県からも東京の高校をうけてもそのメリットを活用できるわけです。たしかに、高校入試における選択の幅が拡大したことが、今回の参加者増の一つの理由かもしれません。

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★例年に比べ、参加人数が多かったのですが、体調不良を訴える方も少なく、1日目は無事終了しました。

★そうそう、私立学校展は、東京の私立学校が一堂に会するので、多くの先生方と瞬間的ですが対話ができます。時間が短いので、端的に最重要な事柄が交わされます。今年も明確に今までと違う新しい教育価値が生まれていると感じました。それはいずれまた。

 

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2026年8月28日 (金)

湘南白百合学園に見る「学びの場」の進化 ―「進路スペース」新設が示す意味

★湘南白百合学園中学校・高等学校が、校内に新たな学習・進路空間「進路スペース」を開設したと、同校サイトで公開されています。「またひとつ、学校空間の意味が更新された」と感じました。

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(写真は、同校サイトから)

★多くの学校にとって「学習環境の整備」とは、教室や図書室を充実させることとほぼ同義でした。しかし湘南白百合の歩みには、もっと踏み込んだ発想があります。生徒自身がリノベーションを手掛けたという「リリースペース」、静寂の中で自己と向き合う「メディアネットラボ」や「高3専用自習スペース」、現役大学生メンターという斜めの関係性を持ち込んだ「学習サポートセンター」。これらはすべて、学びを単一のモデルに閉じ込めず、生徒の状態やフェーズに応じて「学び方そのものを選択できる」構造をつくってきた実践だと言えるでしょう。

★そこに今回、「進路スペース」が加わった意味とは何でしょうか。

★第一に注目したいのは、この空間が「情報」と「対話」を同居させている点です。気になる大学のパンフレットを自由に手に取れる環境は、進路情報へのアクセスを日常化する仕掛けだと言えます。従来、大学案内や進路資料は進路指導室という特別な場所に集約され、自発的に足を運ばなければ出会えないものでした。それを開放的な空間に置くという発想は、進路情報を「非日常」から「日常」へと引き寄せ、偶発的な出会い(セレンディピティ)を設計に組み込んだものと評価できます。

★第二に、この空間が「教え合い、語り合いながら勉強を進められる」場として設計されている点も興味深く感じます。進路選択は本来、極めて個人的な営みでありながら、実際には仲間との対話の中でこそ輪郭が定まっていくものです。「自分は何を学びたいのか」「なぜその大学、その学部なのか」という問いは、一人で机に向かうだけでは深まりにくいものです。仲間の言葉を鏡にしながら自分の考えを言語化していくプロセスこそが、探究的な進路形成の本質だと言えるでしょう。この空間は、その対話の土壌を意図的に用意したものだと考えられます。

★そして第三に、最も本質的だと感じたのは、この進路スペースが高校生フロアにありながら中学生にも開かれているという点です。ここに、湘南白百合の教育観がもっとも色濃く表れているように思います。

★一般に、進路教育は高校生になってから本格化するものと捉えられがちです。しかし実際には、将来への意識の芽生えはもっと早い段階から始まっています。中学生が、パンフレットを手に真剣に語り合う高校生の姿を日常的に目にするという経験は、進路指導という「制度」ではなく、先輩の後ろ姿という「学校文化」を通じて未来像を獲得していくプロセスにほかなりません。これは教育学で言うところの正統的周辺参加、すなわち共同体の中心的な実践(この場合は進路を主体的に考えるという営み)に、周辺からじわじわと関わっていく学びのあり方そのものだと言えます。中学生は指導されるのではなく、先輩たちの実践に触れることで、自らの未来を「自分ごと」として引き受けていくのです。

★こうして見ると、湘南白百合が積み重ねてきた一連の空間づくりは、単発の施設投資ではなく、一貫した設計思想のもとに展開されていることがわかります。すなわち、「学びの主導権を生徒に返す」という思想です。対話するか、集中するか、相談するか、自分と向き合うか、そして将来を思い描くか ― そのすべての選択権を生徒自身に委ねながら、学校はその選択を支える環境を静かに整えているのです。

★こうした空間の連鎖が持つ本当の意味は、単に多様な学びの場を並べたことではないように思います。それぞれの空間で重ねられる仲間との対話や試行錯誤の過程そのものが、生徒の内面にものの見方や考え方として蓄積されていく点にこそあるのではないでしょうか。快適な施設を整えるだけでなく、そこで過ごす時間が生徒の人間力(=脳神経身体全体)を形づくっていくよう設計されているかどうかは、これからの学校選びにおいても重要な視点になるはずです。湘南白百合の真の革新性は、そうした教育空間への視点を、毎年少しずつ更新し続けている点にあると言えるでしょう。

 

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中学受験 学校の選び方の変化(2)GMARCHの附属中学が人気の本質的理由

★GMARCHの附属や系列の私立中学が人気である理由は、受験業界的には、GMARCHという大学ブランドによるというものが多いでしょう。それはたしかにその通りでしょう。それに、2027年以降の大学入試改革の加速をけん引している大学の中に、たしかにこれらの大学も入っています。中学に入学して6年を経て卒業するときも、アップデートし続けている確率がかなり高いわけですから、少子化リスクを回避できる安心感があります。

★しかし、本質的な側面から見ると、もっとおもしろいわけです。国際バカロレアのDPが2028年からSTP(Systems transformation pathway)というPBLを導入するとあるのですが、GMARCHの附属あるいは系列の中高は、すでに相当濃密な探究や論文作成を行っています。

★もちろん、この教育活動は付属の大学につながるキャリア教育の一環でもあります。IBのSTPも世界大学ランキング100位以内の大学進学につながるキャリア教育でもあります。しかし、GMARCHにしてもIBにしても、そのキャリア教育だけを目的にしているわけではないでしょう。

★生徒が、好奇心をいだき、自分なりに発見したものやことを探究活動へと進め、自分が没頭できるような世界を広げていく学びは、難局に遭遇した時にも、それを自分の生きる糧へ転換させることができるでしょう。

★それは生徒自身にとって唯一無二の最高の学びです。

★そんな本質的な教育がGMARCHの附属あるいは系列校で行われています。それは生成AI(AIモードのGoogleサーチエンジン)で、シンプルにというかざっくり「GMARCHの附属あるいは系列の中高で一生ものの探究を行っているところはどこですか?」と、こう出てきます。

GMARCHの附属・系列校のなかで、受験勉強に縛られない環境を最大限に活かし、大学や社会でも通用する「一生ものの探究」を実践している代表的な学校として、中央大学附属中学校・高等学校と明治大学付属明治高等学校・明治中学校(明大明治)の2校が挙げられます。これらの学校は単なる調べ学習にとどまらず、「1万字以上の本格的な論文執筆」や「大学院レベルの思考・データ分析」をカリキュラムに組み込んでいる点が特徴です。

★そして、それぞれ詳しく説明してくれます。ですが、GMARCHの系列で他の学校はと聞くと、結局すべて行っているとずらずら詳しく説明してくれます。そして、次のような簡単な比較を並べてくれます。

中央大学附属 学術・論理(SSH) 1万字の論文を書き切る圧倒的な論理思考力・アカデミックスキル

明治大学付属明治 データ・起業(創発) オープンデータを分析し、社会課題をビジネス視点で解決する実践力

法政大学系列 社会・批判的思考 正解のない問いに立ち向かう批判的思考力と、社会へ届く発信力

学習院系列 伝統・リベラルアーツ 大学の学問に直結する先行研究の調査力と、深い知的探究心

立教系列 リーダーシップ・卒論 他者と協働してプロジェクトを動かす力と、卒業論文の執筆経験

青山学院系列 奉仕・国際・社会貢献 現場の課題に寄り添う高い共感力と、国際社会で動くための行動力

★そして、おせっかいにも、どれを選ぶべきかまでのアドバイスをしてくれます。

★もちろん、鵜呑みにはできないのですが、各学校のサイトやその学校を取り上げたサイト上の記事を読み込んで整理してくれるので、大いに参考になります。

★普段からすべての学校に意識を向けているわけではないので、自分の知らない情報もいっぱいあります。

★関心を持ったなら、学校説明会や合同説明会に足を運び、耳を傾けたり質問してみたりしたら、より重要な情報を得ることができるでしょう。

 

 

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2026年8月26日 (水)

中学受験 学校の選び方の変化(1)生成AIを使う

★8月29日、30日、東京国際フォーラムで、一般財団法人東京私立中学高等学校協会主催の私立学校展が開催されます。今年は、午前から午後まで、すべての時間帯の予約がすでに満席になっています。毎年多くの受験生・保護者が参加しますが、ここまで満席になることは初めてでしょう。中学入試と高校入試の両方をカバーしているので、もしかしたら全国的に実施されるようになる高校の授業料負担軽減が他県からの参加を誘引しているのかもしれません。もちろん、実際のところはわかりません。

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★ただ、次期学習指導要領や東京都が高校の改革を頻繁に発進しています。大変よいことですが、一方で、その前提に少子化でどのように有効な統廃合ができるかがあるのではないかという不安もよぎります。

★また、私立学校の先進的で先見性のある教育の後追いである図柄も見えていますから、ならば私立学校をしっかり見てみようということもあるかもしれません。

★とはいえ、どう見たらよいのか?ここ10年で、私立学校は本当に変わりました。大学合格実績を出すエンジンはさらに効率のよいものいなっていますし、さらに探究やグローバル教育やSTEAM教育が拡大し深化しています。

★そしてそれが2027年から始まる大学入試改革や理系や文理融合の学部学科再編にストレートに接続するアドバンテージにもなっています。保護者が受けてきた当時の教育とは違いますから、新しい視点をゲットする必要もあります。

★そんなとき、生成AIが最近では重宝されています。Googleの検索エンジンはAIモードですから、たとえば、「〇〇区の私立学校で英語に力を入れている学校は?」と打ち込むだけで、すぐにでてきます。

★塾などの受験相談でそんな大雑把な質問はまず投げかけないでしょう。もう少し絞るでしょう。そうでない場合は、塾の先生から英語教育のどんな点に関心を持たれていますかと視点を提示してもらえるでしょう。

★しかし、生成AIは、おかまいなしに答えてきます。そして、どんな視点でさらに探しますかとか質問も投げかけてくれるので、その例にならっれて、打ち込む方もいろいろな視点で聞いてみます。すると一回目のプロンプトで回答してきた学校とはまた違う学校がでてきます。そのような生成AIとの対話というか壁打ちをすることによって、どのような視点で学校を探せばよいか自ら視点をゲットできます。

★ですから、上記のような合同相談会にいっても、今までは違う視点で学校を探すことができるでしょう。

★生成AIの推奨が本当かどうかは、実際にリアルな学校の先生と対話をすることで了解できます。

★学校側も、サイトの記事の書き方が変わってきています。イベントの事実だけではなく、その目的や生徒の成長にどうかかわっているかなど付加価値を丁寧に描くようになってきています。

★また、そのサイトも参照しながら情報誌のライターは取材をしながら記事を書きますから、かつてのようにどの記事も同じような内容ということがなくなり始めました。

★生成AIは、このような学校サイトや記事を読み込んで、分析してくるので、私立学校の独自の魅力に磨きがかかります。そして、多様な合同説明会がありますから、記事情報とリアル情報が一致するように日々努力します。

★ですから、受験生の保護者が生成Aiをうまく活用し、実際に学校説明会や合同説明会に参加することで、私立学校の教育の質向上に作用している可能性があります。教育の質が市場の健全な学校選択活動によって支えられていくとしたらすてきなことですね。

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2026年8月25日 (火)

【驚嘆】2028国際バカロレアの革新を先取りしていた工学院

★IB(国際バカロレア)のサイトを見て、驚きました。革新的なカリキュラムを2028年にIB認定校に広めるというのです。いったいそれは何かというと、STPであり、要はPBLです。このことについて、工学院の田中歩教頭と対話をしていて、工学院は10年以上前から開始して、いつの間にかIBの革新を先取りしていたのかと、二人で驚嘆していました。同サイトにはこうあります。

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国際バカロレア(IB)と共同で先駆的に開発された「システム変革パスウェイ(Systems Transformation Pathway:STP)」 は、生徒が完全なIBディプロマ資格を取得しながら、気候変動、生物多様性の喪失、エネルギー転換、大規模な移住、水資源の不足といった地球規模の課題に取り組むことを可能にする、新しく革新的な教育課程です。

本プログラムの最初の2期の卒業生たちは、ケンブリッジ大学、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)、ブラウン大学、プリンストン大学、スタンフォード大学、香港大学 をはじめとする世界各国の大学への進学を果たしています。

STPは目覚ましい成果を示しています。ケンブリッジ大学 はSTPの影響を研究するために本プログラムに参画しており、その報告書ではSTPを「教育の未来のための設計図(blueprint for the future of education)」として高く評価しています。

さらに、2023年に本校とともにこのパイロット・プログラムを開始した国際バカロレア(IB) は、2028年までにSTPをすべてのIB認定校へ展開する計画を発表しており、これを「IBのイノベーションにおいて数十年ぶりの最も重要な節目」と位置づけています。

★このIBが考える「教育の未来のための設計図」は、すでに工学院では、10年以上前にデザインされ、今や中1から高3まで、学年に応じたPBLが国内外で実施されています。もちろん、テーマは様々ですが、基本SDGsはカバーしていますから、IBが考える地球規模の課題には当たり前のように取り組んでいます。

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★田中歩教頭は、「世界の最高の学びに追いつき、独自の境地に達しようと、生徒中心主義の学びを行ってきましたが、すでにそこに達している可能性があると改めて感動です。たしかに海外大学進学実績も伸びてきています。質を高め続けることがこれからのミッションです」と。

★中学受験生の多くは、このIBの革新性を先取りしている工学院の偉業についてまだまだ気づいていません。私が田中歩先生と10年以上も対話をし続けてこれたのは、なんて凄いことなのか!感動です。

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2026年8月24日 (月)

フェリス女学院中学校2026年度国語は、またも魅力的

★今年のフェリスの国語の入試問題は、いつものように、200字の論述問題が出題されています。自分の体験を通して、目に見えない何か大切なものを汲み取る受験生の内面の広がりや深さが反映される論述問題。フェリスならではの問題です。

★ただし、いつもなら、素直にいわゆる中学受験の読解問題の延長として考えるのですが、今回はちょっと違うというか、あえて違う読み方をしてみたいと思ってしまいました。

★出典は永井玲衣さんのエッセイ「出会う」からです。岩波書店の「図書」(2025年4月号)のサイトから読むことができます。

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ある取材の場で、居合わせたカメラマンが「たまたま出会ってしまって忘れられない」と言って、スマートフォンに保存していた一篇の詩を見せてくれます。それが谷川俊太郎の詩でした。筆者はその言葉に強く胸を打たれます。有名な詩人の言葉は、多くの人に使われるうちに擦り減り、新鮮さを失っていくものですが、それでも今この瞬間に、誰かがまっさらな感動とともにその言葉に出会えることの尊さを、筆者はしみじみと噛みしめる、という内容です。

★問1から問3までは、読解問題です。文章の中のセンテンスをパラフレーズして、読み取れているか確認していく問いが中心です。空欄補充の問題が一つありましたが、単なる文脈読みを目的にしたものではなく、結果的にテーマを言い当てるキーワードを選択する問です。

★本文中に引用された詩には、次のような一節があります。「何かとんでもないおとし物をしてきてしまったらしい」と。問4は、この「おとし物」とは何を指すと考えられるか、あなた自身の経験に照らして200字以内で述べなさい、という設問です。

★一般的な受験読解の解き方で考えてみると、「おとし物」を比喩として捉え、「子どもの頃の素直な感受性」といった一般的な解釈を導き、それを自分の実体験に結びつけて具体的に書く、という手順で解いていきます。多くの受験生はこの方法で取り組み、これで合格点に届く答案は十分に書けます。

★これで、十分なのですが、永井さんは哲学対話で注目を浴びている方です。哲学的な思考の型を用いてみたくなるではないですか。哲学者の小川仁志さんは、哲学的思考を「疑う→見方を変える→再構成→概念化」という4段階で説明しています。この設問にあてはめると、まず「自分は何かを忘れているのではないか」と自分自身を疑うところから始まり、その忘れている自分をもう一段上から見つめ直すこと(メタ認知)で、「忘れ物とは単なる物の喪失ではなく、自分という存在そのものの一部を失うことだ」という新しい意味づけに至ります。そしてこの概念を、今度は自分自身の具体的な記憶にもう一度あてはめ直すことで、単なる思い出話ではなく、深みのある答案にたどり着くことができます。

★もちろん、中学受験生が小川さんの哲学の方法を知っているとは考えにくいので、これはあくまで『こんな素養を持つ生徒がいるかもしれない』という、作問者の期待の推察にすぎません。

★あくまで推察にすぎませんが、出典の永井玲衣さんが哲学対話を専門とする方であることを踏まえると、この文章自体、「言葉が擦り減っていくこと」と「それでも新鮮に出会い直すこと」という、まさに哲学的な問いをめぐる考察になっているのではないかと。

★だとすれば、作問者もまた、この素材文を選んだ時点で、一般的な読解力を測るだけでなく、「この文章が持つ思考の深さに、どれだけ響き合える生徒か」を、どこかで期待していたのかもしれません。もちろん実際の採点は、公平性を保つために明確な基準に沿って行われるはずです。しかし、型通りにまとめた答案と、自分自身への問いを一段深く掘り下げた答案とでは、おのずと説得力に差が出るように思います。

★だからといって、点差がつくわけではないのですが、入学後の成長がどうなるのか楽しみです。経験上、6年生の時に、ハッとするような論述をする生徒が30歳くらいなった時に会ったとき、あるいは風の便りで聞いたとき、やはりなという人生を歩んでいるもです。もちろん、検証データはありません。

★そんな生徒の将来の成長に思いを馳せられる問題に出会ったとき、感動です。今回も素材文の選定そのものが、一つの問いかけになっているのです。そんなふうに読み解いてみたくなるフェリスの国語の入試問題は、やはり魅力的です。

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2026年8月22日 (土)

本質ベース教育(5)保護者も感じられる学校の質・授業の質

★受験生の保護者が学校説明会に行ったとき、その学校の雰囲気を感じます。なんかよい雰囲気とかあるいはどこかちょっとなあとか。そして、説明会で先生方や生徒のプレゼンを聴いて、なるほどと確信をもつでしょう。また、合同説明会等のブースでは、直接対話ができます。するとより学校の雰囲気が伝わってきますね。

★もちろん、これは主観的なもので、客観的には判断できません。ですから、客観的な(というより物質化されたあるいはコモディティ化された)偏差値や大学合格実績などとその主観的な気持ちや考えを思いめぐらしながら、我が子に適合する学校はどこか思い悩むわけです。しかし、この熟慮の渦が最終的に最適なマッチングに行きつくわけです。

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★しかし、その主観的な価値判断の基準を自分なりに作ってみると、主観と客観の橋渡しのストレスがやや少なくなるかもしれません。たとえば、マサチューセッツ工科大学(MIT)の組織学習センター共同創始者であるダニエル・キムが提唱した、組織が成果を出し続けるためのフレームワークは参考になるかもしれません。組織を「関係の質」「思考の質」「行動の質」「結果の質」の4つの要素から捉え、好循環(グッドサイクル)と悪循環(バッドサイクル)のどちらが回るかによって組織の成長が決まると説明しています。

★組織は戦略的な発想が反映しますから、この4つの質の循環をどのように作っているかは、説明会のプレゼンの中に現れます。どれか一つに偏っているプレゼンがされているか、ち密にデザインされているか意外とすぐにわかります。もちろん、保護者自身が、どれかに重きを置いている場合、同じような戦略的発想を語る学校と共鳴するのは自然です。

★グッドサイクルとかバッドサイクルとかは、偏りがあるからバッドだとかと判断するのは、その人の価値観です。いろいろあるのです。そこは私事の自己決定であることを確認した方がよいと私は思います。

★ところで、この4つの質は、学校組織だけではなく、授業を行うときのクラス組織にもあてはまります。授業がどのような質の循環になっているかは、ここは見えにくいところです。しかし、4つの質の循環は、対話によって回っています。ですから、どんな対話が行われているのかを、その学校の教員の語り方や説明会ブースで対話するときに洞察するとよいかもしれません。そのことは授業のクラス祖域だけではなく、学校組織にも結局は通じます。

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★それは、前回ご紹介した、探究の4つのレベルが参考になります。上記の図は、探究の4つのレベルを参考にして、5つに分けてみました。探究のレベルでは、問いと解答に導くプロセスと解答の3つの要素で、組み立てられていました。その3つのポイントが教師のガイドによるものなのか、生徒自身が自ら考え、判断し、アウトプットするのかの組み合わせでできています。

★その3つのポイントに、授業であれ、普段の会話であれ、事実や前提知識を確認しながら対話するのは当然ですから、それも加えました。Knowledge・Question・Process・Answerの4つですね。それを教師がガイドして進めていくのか、生徒が自律分散協働系でいくのか。それを表した図を上記に示しました。

★保護者によって、生徒によって、レベル1でよいという価値難を持っている場合もあるし、全部レベル5の対話で進めてほしいという保護者もいるでしょう。

★しかし、現実は限られた時間の中で私たちは生きているのですから、先人の知恵の肩を借りて思いめぐらすのです。したがって、レベル1からレベル5もまた循環するのです。ただ、どのレベルに重きを置いているかはその学校の戦略的発想によるわけです。

★普段の授業と探究では当然ちがってきます。しかし、それも学校によって違います。

★大学に行くと、レベル4と5の対話が多くなると思います。総合型選抜や海外大学進学のための学びも、レベル4と5の対話のトレーニングは必要です。

★そこにつながるように、中高の教育環境がデザインされているかどうかということでしょうか。もちろん、大学レベルの対話を行っている学校も実際にあります。こればかりは、直接その学校の先生と対話してみなければわかりませんが、その対話のリソースを私立学校は一部公開しています。

★それは、入試問題、生徒の論文集、教師の研究論文や紀要です。学校説明会や合同説明会などで配布されている場合もあります。自由に見てくださいと陳列されている場合もあります。ぜひ手に取ってみてください。驚愕や感動するケースが多いですね。

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2026年8月19日 (水)

本質ベース教育(4)リフレクションのコンパスとしてルーブリックを生成AIでつくってみる

★リフレクションは、自分の強みや弱みを見出すのに大切なことであるのは説明するまでもないのですが、他者と比較して自分の弱いところを弱みだと思い続けることは、多くの場合はポジティブに進めません。自分の軸というか自分の基準をつくることによって、自分と冷静に向き合うことができます。とはいえ、独りよがりでは困るので、生徒の場合、仲間や教師と共有し、広げ深めていくことも大切です。もちろん、そのような適切な対話が成り立つことが条件なのですが。とにもかくにも、その基準はルーブリックにするとわかりやすいわけです。

Wisdom

★ただ、実際にはルーブリックは、いきなりはできないので、すでによく使われている基準を活用して、仮のルーブリックを作ると、進めやすいですね。たとえば、「情報Ⅰ」では、DIKWピラミッドを使っていますね。

Data(データ):アンケート調査の数値や実験結果を集める。

Information(情報):集めた数値をグラフ化し、平均値や推移を整理する。

Knowledge(知識):「なぜこの結果になったのか」の背景や因果関係を、文献やインタビューをもとに考察する。

Wisdom(知恵):考察をもとに、地域や学校の課題を解決するための「具体的なアクションプラン(提言)」を導き出す。

★ある意味、これは様々な現象を知恵のレベルにまで到達する道のりです。これに従って今自分が調べたり、分析したり、まとめたりしているのは、どのステップなのかを知る手がかりになります。思考のプロセスに近いものかもしれません。

★また、探究では、バンチとベル(Heather Banchi, Randy Bell, 2008)が提唱した「探究の4つのレベル」は、よく使われます。学習者が問いや手順をどの程度自分で決めるかによって、探究学習を4段階に分類したモデルです。レベルが上がるにつれて生徒の主体性が求められます。

確認探究(Level 1: Confirmation Inquiry)事前に結果や原理が分かっている。生徒は指示された活動を通して、既知の原理を確認する。

構造的探究(Level 2: Structured Inquiry)教師が問い(課題)と手順を提示する。生徒は決められた手順に沿って活動を行い、結果を導く。

ガイド探究(Level 3: Guided Inquiry)教師が問い(課題)を提示する。手順や方法は生徒自身が設計・選択して活動を行う。

オープン探究(Level 4: Open Inquiry)問い(課題)の作成から、手順の設計・選択、検証まで生徒自身が行う。最も高い主体性と探究能力が必要とされる。

★どのレベルでも、DIKWのプロセスは考えられます。したがって、仮にDIKWピラミッドの視点と探究の4つのレベルをマトリクスにしたらルーブリックになるかもしれないと仮説を立てて、生成AIに二つの情報を読み込ませ、ルーブリックを創るようにプロンプトを書き込むと、上記の図のようなルーブリックをつくってきます。

★これを鵜呑みにすることはないのです。というよりも、これをベースに自分なりにつくればよいのです。

★実際、これまでご紹介してきた3人の先生は、すでに、思考コードやルーブリックを独自につくられています。そしてそれをベースにしてもよいし、自分で作ってもよいと生徒に共有しています。

★大事なことは、自分で作って終わりではなく、このようなよく使われているもので、新しくルーブリックを作りながら、自分の問いをルーブリックのどのマス目=領域に位置するか考え、生成AIにも分析させます。セカンドオピニオンのような役割として生成AIを使っています。

★ハルシネーションがあるかもしれないので、確認判断は自分でしなくてはなりません。ただ、意外と馬が合うケースが多いというのも否めません。

★実際、生成AIのClaudeに今年の東大の地理探究のある問題を上記のルーブリックで分析させてみました。すると、Word2ページのレポートを作成してきました。その結論部分だけを下記に載せてみます。

 本設問は「知識の想起」と「知恵的統合」の中間、すなわち構造化型(レベル2)の上位から案内型(レベル3)の入口に位置する良問と評価できる。真に問いたいのはK→Wの統合力であるが、I(情報抽出)をあらかじめ与えすぎている分、探究としての純度はやや下がっている。もしI(図1-3から読み取れる季節変化そのものを述べさせる設問)を別途設けていれば、D→I→K→Wの全階層を一貫して測れる、より完成度の高い問題になっていたと考えられる。

★もし、これが探究学習で行われたら、この指摘はなかなかのものですが、あくまで、これは一般入試ですから、この問題はこれでよいわけです。ただ、問いというものを生徒が認識するには、このような生成AIの使い方はありでしょう。自分の発想や問いをリフレクションする際のセカンドオピニオンとして活用できます。

★今までも、教師のよるフィードバックで行われてきたのですが、そのフィードバックは、これまでは、教師の基準に準拠していました。教師が達人であればあるほど、その基準の精度は高くなります。しかし、やはり生徒は自分の基準を持つことが大事です。自律分散協働系の学びをしていくには、この基準が必要なのです。自分の知のコンパスとしてのルーブリックを作る環境の一つとしての教師のフィードバックがなされるのが、生成AIにだけ偏って頼ってしまうことを回避することができるのですが、教師のその多角的視点が、ルーブリックとして可視化されていると生徒も自分の基準と照合しながらアップデートしていくことができるでしょう。

★生成AIが出現するまでは、このような一見当たり前のようなことが、実際にはできないでいました。物理的に時間がかかりすぎていたのです。余白が大事だといわれていますが、それには生成AIの出現までなかなかできなかったと思われます。

 

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本質ベース教育(3)リフレクションのコンパスは自分で作る

★今も昔も、子どものみならず大人も、自分と向き合うことは、当たり前のように行っています。PDCAサイクルの活用がかなり広まっているのは、それを物語っています。企業が「カイゼン」を大事にしているのもそうです。教育現場では、偏差値だけではなく、ルーブリックによるリフレクションも定着してきました。

★そして、これらの振り返りとか内省とか言われている行為には、基準が必要なわけですが、その基準は、各人、各団体によって違います。ところが、偏差値は、数字としては同じなので、本当は母集団の状況によって違うのですが、その違いを考えず使ってしまいがちです。これでは、子どものそれぞれの才能は見えてきません。子ども自身、自分で他者との相対的な基準を自分にあてがって評価してしまいます。いつの間にか、自分で思考や判断や行動の基準を他者との比較でしか考えなくなるというおともあります。それを続けていくと、しかも意識しないで続けていくと、人生のどこかで、いったい自分って何だったのだろうと得体のしれない壁に直面する可能性が高いわけです。

★自律分散協働系の生き方をするには、自分でリフレクションの基準を作ることが大切なわけです。そこで、前回からご紹介している先生方は、まずは授業で使うリフレクションのためのルーブリックをそれぞれ作っています。もちろん、それは独りよがりのものではなく、他者との共有できるか共感できるか学内で試行錯誤し続けています。

★最初は、生徒は先生方がつくったルーブリックを使ってみますが、どこかのタイミングで、自分でも作ってみます。もちろん、そのルーブリックの正当性、信頼性、妥当性を知るためには、仲間と対話をしたり、先生からのフィードバックをもらいながら、自己調整していくわけです。

★そうしたルーブリックは、教科の学びをはじめとして様々な教育活動の中でもつくっていくわけですが、毎回具体的に作り続けているだけでは、単独の作業をうまくこなすだけで、すべての活動が自分の人生の糧としてどうつながっているのかが実感できません。

★そこで、メタルーブリックというリフレクションのコンパスをつくることになります。

★子供も私たちも、それぞれの活動ごと具体的なルーブリックをつくるわけですが、それら全体を高次のルーブリック、つまりメタルーブリックに結び付けることによって、自分の知が、今自分のどんな人生に影響を与えているのかなど見えてきます。

★この仕組みは、生成AIを活用することで、作りやすくなります。

★偏差値や5段階評価という「総括的評価」は、処理がしやすく、多面的な観点から評価する「形成的評価」は、時間がかかります。1クラス12人くらいであるなら、形成的評価は可能ですが、それ以上になると物理的にはなかなか難しいわけです。

★ですから、大学入試など、多くの受験生の合否をなるべく早く処理するには、総括的評価で行うのが現実的ということです。一般入試が重宝される大きな理由はこれなのです。総合型選抜は、ルーブリック型のつまり形成的評価型のため、時間がかかります。現場における指導はたいへんです。

★しかし、生成AIによってルーブリックを作り、対話しながら行っていけば、その手続き的なプロセスの時間は短縮できます。

★もちろん、生成AIの生み出すルーブリックによる評価は、鵜吞みにはできません。最終的には自分の「判断力」が大事です。では、この判断力はいかにして育まれるのか。その正当性、信頼性、妥当性はいかにして保証されるのか。どこか権威のあるルーブリックにすがりたくなるのは世の常です。しかし、どこまでも、最終的には自分で判断する私事の自己決定を大事にすることが希望を生み出していきます。

★ルーブリック作りに取り組んでいる教師が多い学校は、その希望が生徒1人ひとりの内面から生まれてくる環境デザインをしています。大学進学も、その希望が生み出す一つの「出来事」です。しかし、人生における「出来事」はこれだけではありません。もっとたくさんあるから人生はおもしろいのです。

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2026年8月17日 (月)

本質ベース教育(2)圏論がIBLと集合と関数を結び付けるコア・ループを見つける

★工学院の教頭田中歩先生は、インターナショナルコースでは、当然、英語でIBL(Inquiry based Learning)を行っています。IBLですから、対話がベースです。教師と生徒の対話だけではなく、生徒と生徒の対話です。ここから好奇心や発想、探究心が広がり深まります。自分のやりたいことに向けて知識も貪欲に調べ使えるようにしていきます。工学院の思考コードによって知識×論理×創造の変幻自在の学びを生徒は行いますが、この思考コードを教師がつくるだけではなく、生徒自身も自分なりにつくります。生成AIを生徒はこのリフレクションとして活用したりしています。

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★駒沢学園女子の山口先生も数学の教諭で、集合論を使って生徒と異文化理解を広げ深めるPBL型授業を行います。対話の中で生徒が内的モチベーションを膨らますのを実感しています。その対話は何か、生成AIを使って解明しようとしています。数学の教諭ですが、英語やフランス語も体得しているので、数学的記号と言語の高い次元での共通ルールみたいなものを生徒と考えています。

★聖学院の本橋先生は、虚数の授業、微分積分の授業で、虚数や微分積分が発見される数学史をひも解きながら、虚数や微分積分の存在の意義を生徒と問い合います。このとき、生成AIをパートナーとして活用します。自分のアイデアを仲間と対話するのと同じように生成AIとも対話するのです。本橋先生も英語が堪能なので、数学の用語を英語で考えていきます。日本語と英語では、生徒がひらめくイメージが違うからです。英語という言語が数学的記号にストレートにつながることに気づいたとき、生徒の驚きと感動は大きいのです。

★そして、3人の先生方は、互いの授業実践を研究し、生徒が自ら能力を発見し、自ら成長物語を描いていく生徒の内面のコア・ループの共通性について対話し続けています。

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★このコア・ループを通して、科目が違っても、領域が違っても、転移学習ができると仮説を立てています。しかし、その転移学習のプロセスはなかなかみえてきません。

★しかし、生成AIを活用しながらアプローチしていくことによって、AIが哲学や圏論とかかわりがあることがわかってきました。そこで「圏論」について調べてみると、言語的な学びのアプローチでは「転移学習」につながっていき、数学の記号を活用したアプローチでは「圏論」に関係することがなんとなくわかってきました。

★「転移」と「圏論」は親和性はありますが、転移がなんとなく適用できるという感覚でいけるのですが、圏論は現代数学の領域ですからかなり厳密です。そこで、現状では、違う領域を、高い次元から見て共通のルールを発見することを「圏論的発想」と表現しておきたいと思います。

★すなわち、現状、3人の先生方の授業行われている「集合」と「関数」、「IBL」などがコア・ループとしての共通の思考のプロセスがあるのではないかとなっているのです。この具体的には一見するとバラバラなものが、次元を変えてみると共通ルールみたいなもので関係づけられるのが見えてくることを「圏論的発想」としておきます。この流れは上記の図のようになるのはないかと。

★このような圏論的発想で一見ばらばらのものがループでつながることを見つけ、それをいろいろな領域に適用していくうちに、未知の領域を発見していく能力を、生徒中心主義によって、生徒がみな身に着けていく。しかも、生徒1人ひとりによってその発見のアプローチは違うわけです。これをサポートする教師の力。こういう教師がいる学校は、本質ベースの教育を行っているということでしょう。

 

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2026年8月16日 (日)

本質ベース教育(1)本質はコンテンツではなくコア・ループ

★工学院の教頭田中歩先生と駒沢学園女子の山口先生と聖学院の本橋先生と対話をしながら、AI世界において生徒が自ら考え、発信し、それを方向付ける判断力を身に着けるレッスンが必要だということは共通の認識をもっています。

★そして、それは多くの学校の先生方もそう思っているでしょうし、そもそもAI世界がやってくる前から、わりと普遍的というか本質的というかあたり前のことだといえるかもしれません。

★これは、私立学校だから、あまりそこに疑問はないかもしれません。建学の精神を大切にしていますから、本質は不易流行なのだという考え方は共有しているからです。

★しかし、世の中の価値感覚では、反本質主義というのがあります。本質にこだわらず、その時その時どう生きていくかは、流動的なのだと。本質というものに対する疑いをもち、相対化する考え方ですね。ポストモダニズムはそうらしいです。またそれ以前の実存主義もそうですね。本質よりも実存が先にあるのだという感覚。

★ところが、田中先生も山口先生も本橋先生も、真理は大切にしていますが、真理は未完ですから、これが真理かもしれないというのは、一人一人が考え、判断し、表現し、対話して、現状で最善の真理だというところにいきつくという考え方です。

★これが本質だぞと生徒に押し付けるのではなく、本質はあるけれど、その内容は固定的ではないのです。いつか固定するかもしれないのですが、それは実に未完なのです。考え続けるという意味で、自分の中に思考や判断のコア・ループの在り方を身に着ける教育が本質だという考え方です。

★経験を内省しながら、観察するものを分析していきます。その観察するものは、自分がこれだと好奇心をもったものです。それがどんなものなのか、なぜ機能しているのか、どんなことをどれくらいの量でどのくらいの速さで生み出していくのかなど検証すべく考えていくわけです。そしてどんなリスクやコストがかかるのか判断するわけです。

★この思考のプロセスは、コンテンツが変わっても同じです。ただ、プロセス自体は軌道修正していくあるいはチューニングしていきながら正当性・信頼性・妥当性のあるコア・ループを創っていくわけです。

★おそらくこのコア・ループのできていく過程や様態は生徒1人ひとり違い、変化の仕方も違うでしょう。ですから、このコア・ループのそれぞれの生徒による進化が、成長物語でもありましょう。

★3人の先生方との対話は、この本質ベース教育、もっというとコア・ループベースの教育を構築していく物語です。

★基本、3人の先生方は生徒中心主義的な価値観を持っているので、このような流れになります。しかし、世の中は必ずしも生徒中心主義ではない価値観もあります。その価値観とどう対話していくか、3人の先生方は常に考えています。悩んでもいます。この2つの極が融合することで、第3のアイデアが生まれてくるのではないかという期待もあります。

 

 

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2026年8月14日 (金)

筑駒 原ひろ子さんの「子どもの文化人類学」から出題

★2026年の筑駒の国語の入試問題大問【1】は、原ひろ子さんの「子どもの文化人類学」から出題されています。場所は、最終章の「文化の中の教育Ⅲ」です。1979年に晶文社から出版されています。1990年代前後の中学入試では、河合隼雄さんの「子どもの宇宙」や今江祥智さんをはじめとする児童文学が盛んに出題されました。原ひろこさんもその一人だったと思います。ただ、原さんがフィールドワークした60年前のヘヤー・インデアンやジャカルタの子どもたち、エスキモーの子どもたちは、今ではかなり違ったシーンになっています。にもかかわらず、今なぜ原ひろ子さんなのでしょう。

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★それは2023年にちくま学芸文庫から再出版されるときにも話題を呼んだほどです。原さんは、米国の文化人類学者ミードが来日した時、彼女のフィールドワークのアテンドをしたそうです。ミードは、あのグレゴリー・ベイトソンとも結婚しており、新しい文化人類学の時代のフロンティアでした。ジェンダー問題の掘り起こしをした研究者でもあったでしょうし、ベイトソンは、学際的で現在の探究のもっと先を論じている研究者でもあります。

★今、原さんの本を読むと、当時の影響を受けながら独自の視点で書かれているのがわかります。

★ピラミッド型組織マネジメントや方法一元論的な押し付けがましい学びではない発想がすでにそこにはあるのです。

★同書で書かれている現代の教育論を揺さぶるようなヘヤー・インデアンの子どもたちの「覚え方」は、原さんが執筆した当時に、すでに近代合理的教育の影響を受けてしまうがと但し書きがされているぐらい古くてそれでいて未来に残したい新鮮かつ大切なものであったのかもしれません。

★あいかわらず記述式の問いですが、【1】は、文章の中にヒントがある記述で、筑駒を受験する生徒にとっては標準的な問題ですが、このような発想を持ってきてほしいというメッセージを受けとめられるかどうかはポイントです。

★それにしても、2つの読解問題で、フレーズの意味を問う選択肢が1問ずつ出題されていますが、これは筑駒の国語の先生の言語に対する「語用論」的見識をが反映されています。

★文化人類学や芸術人類学や言語人類学など学際的な視点から国語の授業を展開している筑駒の授業のシーンが浮かび上がっている入試問題です。

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2026年8月13日 (木)

筑駒の国語の入試問題は、探究の道に足を踏み入れている

★2026年度の筑駒の国語の入試問題は、いつもそうですが、文章の中に答えを探す文章のどこに何がかいてあるかの確認レベルの読解問題ではありません。しかし、今年は、課題文のテーマが社会課題を考える大前提のものの見方考え方のイマジネーションを発動させつつ、論理的整合性を問う問題でした。正解には幅がありますが、多様な解答になるというものではありません。ただ、文章の中に明文化されていないので、かなり推理力が必要です。

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★しかも、その推理の内容は、さりげなくアーティスティックです。文学的推理と言えばそうなのですが、それでは収まらない新しい文章が出題されているのです。今年の国語の入試問題の大問【2】がそれでした。アーティストであり作家であり、社会起業家である瀬尾夏美さんの文章を課題文としていました。「声の地層: 災禍と痛みを語ること」という本の第1章「おばあさんと旅人と死んだ人」から出題されていました。震災や戦争で被害を受けた方々の語り継ごうとする苦悩と未来へバトンを渡そうとする気持ちをルポルタージュやノンフィクションとして編集するのではなく、エッセイ風であり、物語風であり、詩的であり、でもフィクションではないのです。

★被害を被ったおばあさんに旅人である瀬尾さんと犠牲になって死んだ人が対話をしていることを語っています。死んだ人が登場するので、物語風ではあるのですが、おばあさんにとっては確かな存在なのです。当然旅人は、とても大事なことが語られているのに、共感できるとはとてもいえない深淵が瞬間瞬間に広がっています。

★しかし、それは何かあえて明らかにせず、大切なものの周りを長い時間かけて語っているその時間と空間を大切にしています。

★私たちは、こうしているうちにも、自然災害に遭っているし、戦争地帯で困難を抱えている人々がいることを知っています。なんとか助けたいという意志はもちろん大事なのですが、無力感も感じてしまいます。にもかかわらず、自然災害や事件、戦争によって心身に傷を負った人々が何か伝えようとしていmす。ですから、瀬尾さんはまず耳を傾けようとする活動をしています。

★制度としてあるいはインフラとしての支援だけではない活動とは、いったい何なのでしょうか。マニュアルはありません。瀬尾さんの存在の光が文字に起こされている文章。アートです。アートの力で被災地の人々の想いを表現しているわけです。小さな現場で語っている方の言葉を伝えるのですが、そこには回答は語られていないのです。長い年月の声の地層が堆積し、その地層のどこかに大切なものがあるのです。しかし、それは何かは、その地層全体が表現しているので、見ようとしても見えないのです。

★中学受験生は、読解と言えば、文章の中に解答があるから探せばよいと思われているかもしれません。もちろん、多くの場合は、まずどこに何が書いてあるのか確認するレベルから始まるのですが、書いていない場合どうするのでしょう。

★そこをどうやって認識したり推理したりするのでしょう。そしてどのように検証するのでしょう。筑駒の国語の中学入試問題は、そのような姿勢を受験生にとらせる問題です。これぞまさに探究の道に足を踏み入れる姿勢です。

★改めて中学入試の学びとは何か問い直したくなります。同時に中高で行っている探究の本質的なベースは何かについても問い直したくなります。

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2026年8月 9日 (日)

海外大学進学教育がメディアで取り上げられる時代(3)首都圏中学受験市場に拮抗する2つのカテゴリー市場

★従来の首都圏中学受験市場は、東大・医学部・難関校進学の実績の競争がメインの市場でした。ところが、海外大学進学準備教育校が増え、仮に準備教育を行っていなくても、在校生自身が対策を講じることで一人でも海外大学に合格する学校を含めると、首都圏私立中高一貫校の約40%強は、海外大学に合格させています。したがって、東大・医学部・難関大学進学校と海外大学進学準備教育校の二つのカテゴリー市場が、首都圏私立中高一貫校受験市場に併存するようになったと言えます。そのことは、サンデー毎日という従来国内大学合格のランキングばかり掲載していた雑誌もが海外大学合格に強い100校のランキングを掲載するようになったことからもうかがえます。

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★もちろん、開成や海城、渋谷教育学園グループのように、両カテゴリーの共通集合に位置する学校もあります。

★それぞれのカテゴリーには、上記の図のように、魅力が際立っているブランディングの細分化ができます。そのことについては、以前も本ブログで紹介しています。

★広尾学園や三田国際科学学園は、一見すると海外大学合格数が圧巻なために、海外大学進学準備校のカテゴリーに入る感じますが、教育環境は、むしろ共通集合に属しています。そして、東大・医学部・難関大学への教育もしっかり行っていますが、この領域はすでに大量に合格させている私立学校が多く、レッドオーシャンのため、徐々に浸食する形になっているため、今のところ目立たないのですが、それも時間の問題でしょう。

★それは、開成が、圧倒的に東大・医学部をメインに進路指導しているように見えますが、実は海外大学進学準備教育も魅力的で、ただ東大以上の世界大学ランキングの海外大学を志望する傾向にあるため、量的には目立たないだけです。ですから広尾学園や三田国際科学学園と開成は目に見える量の多い大学のカテゴリーが真逆なだけです。

★2030年以降は、上記の共通集合の領域が増えていくことになるでしょう。

★現状では、東大・医学部・難関大学の入試は、まず知識が大事で、そのうえで思考力を育成するという学びで対応できます。海外大学進学準備教育では、経験から学んだ情報を自ら新しい知識に仕立て上げる創造的思考力とその正当性・信頼性・妥当性を検証する論理的思考力が求められます。

★2030年以降は、両方の学びを統合する形になっていくので、自ずと2つのカテゴリーは融合されていきます。

★どちらの道からアプローチしても、最終的には融合されるので、今は子供たちは自分にとって適合する学びをしていればよいだけです。

★ただ、そのときに自分の学びが、未知の分野にも適用できる「転移学習」の方法を体得しておくことが将来差がつくことになるので、そこは注意しておきましょう。そのためには、哲学的な対話が大事になってきますが、これについてはまた。哲学対話というと難しそうですが、実は哲学者という専門家がいなくては哲学的対話はできないという規制主義の哲学的対話ではない、市民に開かれたアプローチも最近開発されているのです。

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2026年8月 8日 (土)

海外大学進学教育がメディアで取り上げられる時代(2)海外大学合格20名以上の首都圏私立中高一貫校

★前回ご紹介したサンデー毎日に掲載されている海外大学合格に強い100校の中から首都圏の私立中高一貫校を抜き出してみました。20名以上合格させている学校は次の通りです。なお、海外大学合格は7月くらいまで未定のところもあるため、同誌のランキングの中に入ってくる私立中高一貫校もいくつかありますが、今回は同誌のランキングの中から抜き出しました。合格者数多い順に並べています。

 
321:広尾学園
167:三田国際科学学園
73:渋谷教育学園渋谷
63:八雲学園
60:北豊島
58:文化学園大学杉並
56:渋谷教育学園幕張
50:茗溪学園
43:佼成学園
37:かえつ有明
33:浅野
32:公文国際
24:開智日本橋
23:学習院
20:工学院
20:芝国際
20:玉川学園
20:横浜女学院

★渋谷教育学園グループ、浅野、公文国際、学習院などは、「東大・医学部・難関進学校」と「海外大学進学準備校」の両カテゴリーの共通集合に入っています。多くの「学校は、今後この共通集合に属するようになっていくでしょう。

★というのも、すでに、インターナショナルスクールやIB校、ケンブリッジ国際教育認定校など海外からの波がやってきているため、教育における国際競争力を各学校が模索しているからです。

 

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海外大学進学教育がメディアで取り上げられる時代(1)~中学受験進路の自由の時代到来

★サンデー毎日 2026年8/16・23合併号で、「2026年 海外名門大学に強い学校世界大学ランキング トップ100 合格高校一覧」が掲載されました。かつて、国内大学合格校のランキングばかり掲載されていましたが、ようやく海外大学合格校のランキングも掲載されるようになりました。受験市場で、海外大学合格の意義が支持されるようになったのです。

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★また、「シン・名門校ルポ 海外大合格者が倍増! 八雲学園 驚異的伸びの真実」という記事も出ました。東大・医学部合格校ランキングの特集だと開成をはじめとする高偏差値校の記事が載るのですが、海外大学合格ランキングの特集になると、海外大学合格の伸びが驚異的な八雲学園が取り上げられるのです。

★この海外大学にたくさん合格する学校が増えたことは、従来の偏差値という一つの価値で選ばれてきたのが、多様な選択価値で選ばれる時代になった象徴なのです。

★つまり、「東大・医学部・難関進学校」と「海外大学進学準備校」という大きな二つのカテゴリーが受験業界で認識されるようになったわけです。そして、前者が学力向上駆動型教育であるのに対して、後者は好奇心駆動型教育です。もちろん、両カテゴリーともこのように単純にわけられません。ルビンの壺です。どちらが「図」として前面に現れるかの違いですが、好奇心駆動型教育が前面に出るグループの方が、2科4科入試以外に多様な才能発見のための新タイプ入試が実施される傾向にあります。

★そういう意味で、受験生の側からとってみれば、自分の好きなことややりたいこと、自分の潜在的才能を生かせる学校選びが可能になったということです。

★今までもそうだったのすが、そのためには、世の中の偏差値神話主義の流れに確固たる意志をもって抗うストレスが高かったのですが、今後は、そのストレスはある意味軽減されるわけです。

★「中学受験進路の自由の時代」の到来ともいえるでしょう。

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2026年8月 2日 (日)

開成のグローバル教育 圧巻 そして多くの私立中高一貫校の突破口も開く

★2026年度の開成の海外合格実績も凄まじい。イエール大学やコーネル大学などアイビーリーグの私立大学に合格しているし、AI時代に憧れのMITにも合格している。UCバークレーやUCLAなどパブリックアイビーにも当然合格しています。

★授業としての英語教育も、友人から聞き及んだ話ですが、AIも当然のように活用しながら行っているし、毎年カレッジフェアを開催し、海外大学が集結し、大学の説明で終わることなく、世界の科学の最前線や地政学・地経学的なディスカッションの機会も設けられているようです。

★また在学中に海外留学した生徒は、在学生に報告し、グローバル体験も共有しているらしいのです。

★これらの情報は、ほとんどが同校のサイトで公開されています。たとえば、このような記事が掲載されています。「ハーバード大学 政治学部教授・統計学部教授 今井耕介先生と高3生徒による座談会 2025.07.23」。そこには次のようにあります。

ハーバード大学の政治学部と統計学部の教授として、世界的に活躍していらっしゃる今井耕介先生(開成高校 1994 年卒)が、6 月 30 日にご来校しました。今井耕介先生は統計的手法を社会科学分野や政治分野へ応用するという新しい学問を切り開く第一人者です。大学での講義・研究活動以外にも、世界各国大学での講演や、選挙区再編訴訟における専門家証人として、多くの州裁判所や、さらには連邦裁判所にて、学問的見地から証言をするなど、活動の場は多岐にわたります。 

今井先生には、今までにも「高 1 生対象 ようこそ先輩」へのご招待をはじめ、4 回にわたり在校生へ講演をしていただいています。5 回目の今回は、急な企画であったこともあり、高 3 の海外大学志望生徒6名と座談会を行うという小ぶりな企画でしたが、それだけに大変濃密な時間にもなりました。最初は、今井先生のご経歴やお仕事の内容のスケールに緊張していた高3生徒でしたが、今井先生の気さくなお人柄と、「自分も英語が苦手だった」「困難もあるがあきらめない」といったメッセージに触れて、自分の海外進学への悩みを相談したり、各自の夢を語ったりと、活気ある座談会となりました。 

★なんて贅沢なリソース。また、こんな記事もあります。「College Fair 2025.07.15」。そこには次のようなこれまた贅沢な記事があります。

 開成 OB として Shimamune Satoki 氏(2020 年卒、Cambridge University)、Yamaoka Kento 氏(2025 年卒、Duke University)が海外での大学生活、出願までの準備へのアドバイスをご紹介下さいました。海外大学の代表として、Columbia University, Princeton University, Swarthmore College の方が登壇してくださり、 Columbia の代表のお1人として、Uejima Towa 氏(2024 年卒)もご参加くださいました。国際交流・留学委員会からも組織の紹介、準備のスケジュール、リソースとなる Google Classroom の紹介、奨学金制度の概要をお伝えしました。

★海外大学進学のOBの層がどんどん厚くなっていっています。東大のネットワークの次に、世界の大学のネットワークが拡張しています。途切れることなく、毎年つながっています。伝統と革新の真骨頂です。

★開成自身も、もはや東大のランキングを競う時代ではなく、これからは世界の大学だという認識を持っているようです。もちろん、東大合格ランキングは1位を持続しながらが大前提ですが。

★そして、ここに東大・医学部では開成にはかなわないと思っている私立学校にも、突破口が生まれました。開成の海外大学合格実績が定着してくるのは2013年ごろからです。そのころ私立中高一貫校の中に海外大学進学準備教育に着手し、今や多くの実績を出している私立中高一貫校が増えてきました。

★今首都圏の45%の私立中高一貫校は海外の大学合格を増やしつつあります。グローバルな知のネットワークの拡張という意味では、開成と肩を並べることができる可能性がでてきたということです。

★この戦略は、都もすでに開始しています。都立高校の中でIBを導入する予算を立てたたり、世界大学ランキング200位内の大学に進学する生徒に対し、上限800万/年の留学補助の予算を立てています。

★とはいえ、開成をはじめ多くの私立中高一貫校が10年以上構築してきた海外大学進学準備教育は、一朝一夕でできあがるものではありません。都もそのことは十分わかっていますから、力を相当入れるでしょう。何せAI教育にも力を入れるわけですから。

★したがって、東京都のグローバル人材育教育は、公私問わず、盛り上げっていくことでしょう。都と国が連携して国際競争力の復活をねらってもいますから、なおさらでしょう。

★もちろん、私立中高一貫校は、そのような思惑を目標にはしません。あくまで、生徒1人ひとりの才能を開くことが重要なのですが。

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2026年8月 1日 (土)

開成に学ぶ 受験生も保護者も教育関係者も(5)STEAMやアントレプレナーシップ、探究の教育のシンプルで深い在り方

★次期学習指導要領でも、STEAMやアントレプレナーシップ、探究は重視されていて、その質を高めようということになっています。これに関しては私立中高一貫校は、すでにかなり進んでいます。公立も一部の学校は高度なプログラムを実践していますが、モデル校として予算がついているところが中心ですから、圧倒的にまだまだ進んでいないのが本当のところかもしれません。

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★これらのプログラムは、体験的だし、実際にプロダクトやプロトタイピングにまで到達しますから、ワクワクするし知的好奇心が広がります。しかしながら、道具立てや数多くの外部との連携など大掛かりなものが増えてきています。そうなると、生成AIを始めとするDX関連の道具を使うことが目的で終わり、外部人材のスタッフの考え方に依存するということになる場合も少なくありません。もちろん、そうならないようにカリキュラムマネジメントをしっかりしている私立中高一貫校も少なくありません。

★ところが開成の場合は、実はシンプルです。特にSTEAMのプログラムやアントレプレナーシッププログラムのような大掛かりなものを用意しなくても、先生方の学術ネットワークや各界で活躍する先輩を招き、知的興奮で満ちている状態をデザインして、あとは生徒自身が自分で自律分散協働系の学びをアップデートしていくということになるわけです。

★しかも、それを稼働させるのは、思考=知識×論理×創造/想像という知の循環の質を向上させることです。そして、その循環は対話によって動くわけです。

★対話も、共感的対話、論理的対話、批判的対話、創造的対話、戦略的対話を、取捨選択しながら自在に統合していくわけです。

★もちろん、開成の先生方がそのような方法論を語っているわけではありません。むしろ、先生によって文学的方法だったり科学的方法だったり、そしてそれぞれがまた多元的な方法論になっているでしょう。

★それを一般化する必要はまったくないのですが、外から見ていると、STEAMやアントレプレナーシップ、探究を動かす生徒の内的プロセスが見えてくるような気がするのです。そして、シンプルに普段の授業でもそれは行われているでしょう。それは入学試験問題を見ればわかります。

★生徒による内的な自律分散協働系の学びこそが、多様な経験を通して作られていくということがシンプルで深い教育デザインの在り方であり、シンプルでありながら強烈な知的興奮を生み出す教育デザインであると思うのです。

★それは開成だからできると思われがちですが、たしかに開成の持っている知のリソースは真似ができなくても、それぞれの受験生やそれぞれの学校が行う経験を通して生徒の内面に思考の循環が生まれるようにする点は同じようにできると思われます。

★何を本間は言っているのかと思われるでしょうが、開成を巣立つ生徒と同じ教育経験はできなくても、同じような思考の循環を身に着けることは、すべての学校でできます。膨大な時間と金をかけてよりよい社会をつくるために(この気概は私立学校ならではかもしれません)、社会で世界で活躍している人材を輩出している開成に学び、開成とはまた別の魅力的教育デザインをしていくことは、これからのAI世界にあっては合理的かつ有効なのではないかと。

★もちろん、そんなことはわかりきっているということなのでしょうが。。。

★いずれにしても、近道はグローバル教育なのです。このような考え方なくしてグローバル教育はできないからです。これまでの文脈にグローバル教育はでてきていないのに、唐突な感じがするでしょうが、開始自身グローバル教育には力を入れています。この点に関してはまたいずれ。

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開成に学ぶ 受験生も保護者も教育関係者も(4)落合陽一さんもOB講演会で語る

★開成のOB落合陽一さんも同校の「OB講演会」で語っています。落合陽一さんと言えば、あの「デジタルネイチャー(計算機自然)」の概念を提唱して「魔法の世紀」を展開している超有名メディアアーティストで、2025年の大阪・関西万博でシグネチャーパビリオン「null²」のプロデューサーを担当して今も注目を浴びています。

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★落合さんの活躍は、今でいうSTEAMやアントレプレナーシップを凌駕する動きです。落合さんが開成在学の時には、そのようなキーワードは学習指導要領などにはなかったでしょう。

★というわけで、STEAMだとかアントレプレナーシップの本質は、何をなぜやるかということではなく、どんな能力を生徒が内燃するかということでしょう。知識と思考を二項対立にしたままでは、なかなかこのような人材は生まれてこないかもしれません。思考=知識×論理×創造/想像というコンセプトに転換できるかどうか。

★それには、いろいろなプログラムがデザインできます。STEAMもアントレプレナーシップなどのプログラムも、そのうちの代表的なものですが、これがすべてではありません。実際開成は、このようなプログラムを前面に出して教育は行っていません。大事なことは「内燃」のデザインということなのでしょう。

★それが未来への知のビッグバーンになるということかもしれません。同校サイトでは、落合陽一さんの講演の内容が次のように説明されています。

メディアアーティストで筑波大学で教鞭も執る,平成18年卒落合陽一氏による「Computational Diversityへ」。
「エジソンはいつも死の谷で死ぬ」「おじいさんにモテろ」「未来からお金・人・労働力を持ってくる」「たしからしいテコを発見する能力」などなど,印象的なキーワードに溢れた講演は,近代以後の世界を構想し,担っていくであろう生徒たちにとって,とても示唆に富んだものでした。落合氏の著作『魔法の世紀』は,サイン付きで高校図書室に入っておりますので,興味のある生徒はぜひ読んでみてください。 

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開成に学ぶ 受験生も保護者も教育関係者も(3)角野隼斗さんの演奏会も開催

★開成は、先輩を招き、その活躍を在校生は共有共感共鳴します。同校サイトにはこんな記事があります。「角野隼斗さんのピアノ演奏会を開催しました。2022.03.21」という記事で、何と贅沢なと感嘆します。角野隼斗さんをOBということで招くことができる開成はさすがですが、そこを私たちが学ぶということではありません。そんな唯一無二の開成のイベントをそもそも真似することはできないでしょう。ですからその必要はありません。

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★大事なことは、角野さんは、Wikipediaによると「東京大学3年次に工学部計数工学科数理情報工学コースへ進学し、音声情報処理、とりわけ音源分離の研究に従事した。東京大学大学院進学後は情報理工学系研究科創造情報学専攻に進み、機械学習を用いた自動採譜および自動編曲をテーマとした研究を行った」というところです。

★音楽と脳とAIなどの研究もしつつ、世界的なコンクールで数々の賞を受賞しているのです。

★このような多彩な能力、学際的な能力は、前回ご紹介したように「学習の転移」能力を有しているから発揮されます。

★開成のサイトを見ると、角野さんのような多彩な才能を発揮して活躍しているOBが招かれて講演をしています。角野さんはいわば今でいうSTEAMの分野を研究しているということもできます。

★サイエンスとテクノロジーと数学とエンジニアリングとアートを学際的に統合しているのではないでしょうか。

★角野さんが開成学園に入学する数年前の文化祭の準備を拝見したことがあります。オーケストラがガーシュインの「 ラプソディー・イン・ブルー」の練習をしていて、驚愕していたことを鮮明に覚えています。そのとき在校生が、音楽室の方が音響はいいですよと教えてくれたことも。そのときから、開成はいわゆる教養豊かな雰囲気の私立学校だと思っていました。

★そして、サイトによると角野さんが開成で演奏したプログラムの中に同じガーシュインの曲がありました。もしかしたら、このような音楽の文化も連綿と続いているのかもしれません。

★いずれにしても、そのような生徒が開成に集まってきているということでしょう。受験業界の開成観はやや偏っているかもしれませんね。

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開成に学ぶ 受験生も保護者も教育関係者も(2)学習の転移が普通に広がっている

★開成の授業や多くの先輩及び東大の教授などによる講演会は特徴的です。それは「学習の転移」を生徒たちは生み出す能力を身に着ける場になっていると推察できるからです。というのも、先輩は、みな各界で活躍していて、専門を究めることによって異分野でも活躍しているからです。20世紀初頭から、心理学者によって唱えられてきた「学習の転移」というトランスファー能力がある証でもあります。

★教科横断的な学びとか学際的な学びとかいわれていることが探究においてあるいはSTEAMにおいて求められていますが、これは何も新しい考え方ではなく、一つの分野を究めて学んだ方法論や概念を一般化して異分野に適用していくという「学習の転移」ができているかどうかの話です。

★たとえば、同校のサイトを見ると、こんな記事が載っています。

 「6 月 23 日(火)、数学科の有志教員主催による数学特別セミナーを開催しました。本年度は、物理学者の村山斉先生(カリフォルニア大学バークレー校 MacAdams 冠教授・東京大学 Kavli IPMU 初代機構長)にお越しいただきました。講義は「時間と空間の数学」というタイトルで、古代から現在までかけて空間および時間に対する理解がどのように進んできたか、そしてそれが現在の宇宙論にどのようにつながっているかについて、村山先生にじっくりお話いただきました。」

★このような特別セミナーは、同校では頻繁に行われています。東大にあれだけ進学させているのですから、東大ネットワークは当然あるわけです。創立155年の同校の歴史が蓄積している人材リソースや各界に張り巡らされたグローカルな人材ネットワークは、新興の私立中高一貫校では太刀打ちできません。

★しかし、「学習の転移」の能力を身に着けることが重要なのであって、ここはどこの学校でも学ぶことができます。受験生も早めにこの能力の重要性に気づくことが肝心です。その能力は、思考=知識×論理×創造/想像なのですが、どうやって身に着けるか?

★まずは、その重要性を感じることからはじめるとよいのです。おそらく、村山教授が書かれた下記の中高生むけの本は、そのきっかけになるかもしれません。

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★村山教授は本書のはじめに、こう書いています。<私も研究者のひとりとして宇宙の謎に挑んでおり、難問に突き当たって頭を悩ませることはいくらでもありますが、「もっと知りたい、もっと理解したい」という好奇心に突き動かされる仕事は、実に楽しいものです。もしかしたら、宇宙は人間にそんな知的興奮を与えるために存在しているのかもしれない。そんなふうに思えてくるほど、宇宙は謎の宝庫なのです。>

★こんな知的興奮が開成の生徒たちにも鼓動しているわけです。さりげなく鼓動と言いましたが、「学習の転移」能力を持っているから共鳴し合うのだと思います。

★実際、なぜリンゴは地球に向かって落ちるのに、天界の星々は落ちてこないのだろうという疑問について、ガリレオ、ケプラーは論理的整合性を考えたけれど、万有引力という法則をニュートンが見つけることによって解決に至るという村山教授の解説は、実にスリリングです。地球で起きている自然現象と宇宙で起きている現象を結び付けてしまうところはまさに知的興奮を感じます。

★中学受験生には少し難しいですが、4つの力が統合される仮説も、このニュートンの発想に似ています。村山教授によるとビッグバンを適用させるのです。

★「学習の転移」の能力を中高生の間に身に着け、自分なりの世紀の大発見ができるかもしれません。すてきですね。中学受験の学びもワクワクしてきませんか。

 

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