2026年度中学入試(03) 哲学対話を実施している学校 学校全体に浸透するスタイルは多様
★岩波書店「思想10月号」の特集は「哲学教育」/哲学対話」。「思想」といえば、哲学者や哲学を学ぶ者の専門雑誌ですから、それにガッツり各論文が掲載される時代になったのかとちょっと驚きです。ちょっと読み進むとなるほど哲学教育を学術的な側面で研究がなされるようになってきたため、同雑誌のテーマになりえたのだとなんとなく了解できました。
★哲学教育といえば、子供のための哲学で、NHKでもその手法の番組がありました。また東大の入試問題にも出題されたりしましたから、中高でも注目され、導入されている学校も増えています。
★かえつ有明のように、帰国生の取り出し授業で英語で哲学を行ったり、同雑誌に掲載されている同校の社会の先生も哲学教育を実施しています。学校全体の取り組みというより、哲学教育や哲学対話を行う先生が行っているという感じですが、同行はアクティブラーニングベースの授業を全体で取り組んでいるので、当然対話やディスカッションの中で、そのエッセンスの影響は広がっています。
★同様に工学院もインターナショナルコースでは、文学や哲学を英語で教える授業があります。また中学では田中歩教頭がIBLを全員に行っていますので、哲学的対話のスタイルも取り入れられています。田中教頭自身英語の教師でケンブリッジインターナショナルの認定校を推進しているので、当然ともいえます。また国際部長の教員も海外大学卒業組みで社会学を専攻してその成果を英語の授業で取り入れています。そして、数学の先生と社会の先生がコラボして哲学対話の時間を運営したりもしています。さらに、学校全体でPBL型授業に取り組んだり、IBのTOKの研究をしたりしている教員もいて、「思想」で語られている哲学文脈のものもそれとは異なる文脈の対話型のものが多様に実践されています。いずれにしても学習者中心主義の授業を行っているという点では共通しています。
★開成や豊島岡女子でも、哲学対話に取り組んでいる教員がいるとも聞き及んでいます。
★東洋大京北は、学祖井上円了が東洋哲学者で、その影響下の哲学が全体で取り組まれています。
★そして、多くの学校でデザイン思考やシステム思考も取り入れられていて、「思想」の文脈では必ずしもありませんが、アンコンシャスバイアスを見つけ、それがなぜ無意識層に埋め込まれたのか社会や人間関係の課題を見出し、新しい問いを発見して探究するという学校が増えています。
★なぜ「思想」の文脈でいう哲学教育というのがそのまま学校に入らないのかは、同雑誌の中で哲学者自身が語っています。教育と哲学のパラドクスがあるのだというのです。哲学者は専門家なので、このアポリアともいうべき問題をどう解決するか深い思考を巡らしています。おもしろい雑誌です。
★しかし、このパラドックスは文化人類学や社会学、経済学、デザイン思考やシステム思考、デューイ的PBLなどをフュージョンするアプローチによって実は解決するのです。ただし、その解決は、「思想」の文脈の哲学教育と学校のパラドクスになっている「学校」の在り方自体をすでに変容させているから解決しているといえるかもしれませえん。このフュージョンを実践している典型例は聖学院です。
★哲学教育と学校のパラドクスは、学校の在り方そのものを変えてしまうことによって解決するわけで、その意味で哲学教育と親和性のある学校かそうでないかによって、それぞれの学校の未来の姿が逆照射されるというスコープになります。
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