学校が変容するというコト(12)立体的な読解 聖パウロ学園の国語の授業
★聖パウロ学園の国語の授業はおもしろい。おもしろいとはもちろん興味深いという意味です。先生方は同じ文章を生徒と読んだ時、理解のズレがあるところから始めます。専門家と学習者のズレは当然あります。そのズレをどのように一致させるかあるいは一致させる必要があるのか。少なくとも、こうやって読むんだよと、文章に書かれている言葉を整理しながら教え込むという方法はとりません。
(高1のセレクティブクラスで、オンライン授業期間に作った『平家物語』に関するスライドの発表。当時の文化や風習について知り、立体的な読解に繋げていく授業。同校facebookから)
★そういう読み方をする人もいるでしょう。しかし、それは唯一の読解方法でしょうか。多くの場合は、そうですね。特に入試問題を解くとなると、解答の根拠を文章の中に求めるし、その文章の全体の構造を整理して、時々行間について問われる問題に対しても、文章内の言葉を根拠に推理していきます。
★入試問題で得点を取ろうとすると、そのような読解方法をとります。そのように問題ができているのですから当然です。
★しかし、これは唯一の読解方法でしょうか。自明の方法でしょうか。
★この自明性について生徒とともにリフレクションして新たな読解という世界を創り出しているのが聖パウロ学園の国語の教師です。
★そのような試みを「立体的な読解」と呼んでいるようです。
★「立体的」とは「多角的」と置き換えてもよいでしょう。あるいは「多次元」と置き換えてもよいでしょう。
★はたまたトポロジー的な読解と置き換えてもよいかもしれません。
★言語は、少し考えてみれば、同じ言葉でも意味も感じ方も違う場合があります。むしろそのほうが多いかもしれません。はじめから、同じ意味や感じ方で同じ言葉を意識することは稀です。
★まして、長文という言語の塊は、そのズレがもっと大きいはずです。
★同じ言葉を作者はどういうい思いでつかったのか、その言葉を読んだ生徒はどのような感じ方や意味を広げたのか。そして、教師の場合はどうなのか。
★読解とは言葉に触れた人々がそれぞれ放つイメージや気持ちやインスピレーションの曼荼羅のような空間をむしろ広げることなのかもしれません。
★しかし、それでは、国語の読解問題で正解に到らないではないか?いや、むしろ、いろいろなアプローチを認識しているからこそ、入試という条件に合うアプローチを選択できるのです。
★もしこの選択する体験をしていないとしたら、総合型選抜の志望理由書は、みな同じになってしまうでしょう。小論文もみな同じになってしまうでしょう。
★聖パウロ学園の国語の教師は、大学入試という条件にマッチングした方法だけが読解であり小論であるという自明性を生徒と一緒に開いていく授業です。そのために、ディスカッション、哲学対話、プレゼンテーション、デジタルなどいろいろな道具を使います。しかし、道具を使うことが最終的な目標ではありません。
★言語が開くオリジナルの世界とそれがいかに公共性の信頼を得ることが可能なのか、「言葉」の本質に迫ること、そしてそれは人間存在の本質に迫ることなのでしょう。そのような本質に触れたとき、生徒の内側からあふれる知恵や使命は多くの人びとに感動の連鎖を生み出していくでしょう。そして、それが生徒が未来に向き合って生きる道を歩んでいくエネルギーにもなるでしょう。
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