2025年中学入試動向(35)富士見丘 学習指導要領をそのままグローバル教育化としてトランスフォーメーションに成功
★GLICC Weekly EDU 第196回「富士見丘中学高等学校ーグローバルスタディから世界に羽ばたく」を拝見。いつもは、コメンテーターとして参加しているのですが、米国渡航のため飛行機の中にいたりしてそれがかなわなかったのですが、それがかえって客観的に見ることができ、改めて驚いたのです!というのは、グローバル教育を推進していくと、たいていの場合、学習指導要領にプラスアルファーしていく傾向があるし、グローバルクラスとそうでないクラスがセパレートされる傾向もあるのですが、富士見丘は、学習指導要領そのものをグローバル教育化しているのです。ですから、帰国生ばかりか、国内の一般生全員が同校の6カ年一貫教育、もしくは高校3年の教育の中で、グローバルコンピテンシーを身につけていけるのです。
★中学のクラスや高校のコース分けは、4種類です。英語4技能のコンピテンシーをCEFR基準で分けているだけです。便宜上わかりやすいので、英検のスコアでわけていますが、学習指導要領の教科のコンテンツはどのクラス/コースも変わらないのです。
★このCEFR基準で分けるということは、4技能のコンピテンシーで分けますから、英語の技能面で分けているのではないのです。CEFR基準というのは、多言語の共通コンピテンシーの基準ですから、英語であれ、日本語であれ、スペイン語であれ、フランス語であれ、何語であれ、コンテンツを分析したり、統合したり、批判したり、創造したりする思考力・判断力・表現力の非認知能力・認知能力の発達段階は同じなのです。
★ですから、学習指導要領のコンテンツへの学びのアプローチを4つの段階に分けて学んでいけるのです。この包括的思考力を日本語と英語の両面で学んでいくというのです。富士見丘生全員がそうなのです。日本語>英語→日本語≥英語→日本語≒英語→日本語=英語というバイリンガルのコンピテンシーのバランスが最終的にC1日本語=C1英語以上になっていくという感じなのです。
★ですから、日本語≥英語の言語能力で入学してきても、日本語≦英語の言語能力で入学してきても最終的にC1日本語=C1英語以上のバイリンガルになって卒業するのです。
★そのために日本の優れた体系化された学習指導要領のコンテンツをそのまま、このグローバルコンピテンシーのグラデーションに合わせて個別最適化したグローバル教育化へのトランスフォーメンションに成功しているのです。
★4つにクラスやコースの編成上分けますが、実際には、先生が個別最適化したコーチングさながらの指導をしていきます。
★「経験→探究→ハイブリッドフィードバックシステム」というPBL型プロセス循環が、すべての教科の授業に埋め込まれています。それがコースに応じて英語活用量が増えていくのです。
★探究のプロセスでは、多様な高大連携のロールモデルも使われています。ハイブリッドフィードバックは、オンラインやアプリを使ったり対面のチュータリング方式を使ったり、両方が巧みなコンビネーションで使われています。そして、このフィードバックの特色は、エンパワーメントエバリュエーション型なので、自信をもって自ら改善して進める評価システムです。包括的評価のみならず形成的評価の両方が活用されています。
★英語教育ではなく、バイリンガルな包括的な教育を行っていると言っても過言ではありません。
★ですから、数学もSATーMATHなど英語で数学も行われています。
★生徒1人ひとりのキャリアデザインをいっしょに創っていくチュータリングやコーチングが基本です。
★こんなふうに、私の独断と偏見で一般化してみました。このような富士見丘の教育方法のディスプリンは独特ですが、あくまで学習指導要領をベースにしているところが、インターナショナルスクールやIBスクールとは大きく違うところです。特別な語学力を持っている生徒のための学校ではないのです。日本のグローバル教育のスーパーロールモデルですが、おそらく他校では真似ができないでしょう。
★それをいかにして実現したのか?その具体的な教育実践は、ぜひ動画をご覧ください。
★とにかく、ほかのグローバル教育は、かなり外部団体の助けを借りながら行うのですが、富士見丘は日本人の教師であれ外国人の教師であれ、富士見丘の内製型・内生型教師なのです。このような教師陣を揃えるのは、現状の日本の教師の育成環境上ほぼ無理だからです。この富士見丘の教員養成、つまり人的資本形成のシステムについては、いつかお聞きしてみたいと思います。
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