PBL

2024年7月 8日 (月)

公立中高一貫校の新タイプ入試と私立中高一貫校の新タイプ入試の違い

★昨日7月7日、首都圏では、合判模試(首都圏模試センター主催)が実施されました。それと同時開催されたのが各会場での保護者会です。首都圏模試センターの中学受験の豊富なデータからみた2025年中学入試の傾向や各学校の学びの特色など、同センターの登壇者がそれぞれユニークなトークをします。そのデータのうち、公立中高一貫校の受検者人数の推移や新タイプ入試実施校の件数推移のデータを、首都圏模試センター取締役・教育研究所長北一成さんから頂きました。この推移グラフやデータを見ていると、両中高一貫校の違いが推察できます。

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★まず受検者数の推移グラフです。2013年まで爆増しています。しかし、2014年から減少傾向になります。ときどき増えていますが、千葉県の公立中高一貫校が立ち上がったりして増えるということはあったかもしれません。しかし、基本は徐々に減少です。あまりに高倍率だったので、受検生が見極めたということもあるかもしれません。公立中高一貫の適性検査市場は安定したということでしょう。

★このきっかけは、3つくらい理由があるかもしれません。

❶意外と問題視されないかもしれませんが、2015年から都立中高一貫校は、独自問題と共同作成問題がミックスされるようになりました。公平性などの配慮でしょうが、おそらく教科横断型で思考型の問題をそれぞれの公立中高一貫校で作成したり採点基準を作成するのは、教員に負荷がかかるというのが、背景にあるかもしれません。これは一気に標準化され、勢いが減退します。逆に都立高校入試で、日比谷など独自入試問題を作成するところは勢いを持続可能にします。入試問題と教育力の相関を、なんとなく察知しているのが受験業界なのではないでしょうか。

➋高校から始まった保護者の教育費負担軽減政策が、高校から私学は公立並みの教育費になるかもしれないという期待値が、中学ぐらいはがまんしようという経済原則が働いているのかもしれません。昨年から東京は私立中学も10万円補助が出るようになりました。一方で、私立中学も適性検査型入試を実施するところが飛躍的に増えました。公立中高一貫校と私立中高一貫校の教育力を比較して、それほど偏差値が高い学校ではなくても、公立中高一貫校以上の教育環境があるのなら、入学準備は同じですから、最終的に併願せずに私学を選択するという受験生の行動選択が生まれているのでしょう。極めて合理的行動です。

➌コロナ以降、公立中高一貫校の教育力は進路指導に大きくベクトルシフトをし、STEAM教育やグローバル教育は、圧倒的に私立中高一貫校に軍配があがってしまったということも考えられます。STEAM教育は、公立中高一貫校の場合は、情報というカリキュラム以上のことはやれないでしょうし、グローバル教育も英語教育にプラスアルファがあるぐらいで、大胆なものは難しいですね。IB認定校になってやっと私学と肩を並べられるというのが現実です。

★一方首都圏の私立中高一貫校の新タイプ入試と英語入試を実施ている学校は、首都圏私学全体の50%に迫る勢いです。新タイプ入試も公立の適性検査型に合わせたものも実施しますが、私学のクリエイティブなカリキュラムを反映した思考力入試やプレゼン入試など生徒1人ひとりの才能にマッチングする入試の開発もどんどん増えています。

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★英語入試も同様です。算数が不得意でも、英語が得意な場合、言語能力に才能がある可能性が大です。中学からは数学で、言語能力の抽象思考ができる生徒は、算数のような具体的な思考は難しくても、数学のような数理モデルを考えるような抽象思考は転移できる場合が多いので、英語入試は、今までにない才能発掘テストになっている場合もあります。

★表にあるように、私立中高一貫校の新タイプ入試や英語入試を実施している学校の件数は急激に伸びています。それだけ、多様な才能とのマッチングシステム(私はMIGRIT型入試システムと呼んでいます)を積極的に私立中高一貫校が開発しているということでしょう。基礎学力競争選抜試験から才能マッチング試験にシフトし始めているのでしょう。

★AI時代にあって、新しいタイプの資質能力や才能に期待されています。私立学校はその時代の要請にしっかり対応しているわけです。そこが公立中高一貫校と私立中高一貫校の大きな違いだと思います。

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2024年7月 6日 (土)

2026年中学入試も大学入試も、MIGRIT型に変貌する!?総合型選抜が全く違う意味で重要になる。

昨日GLICC代表鈴木さんと対話しました。日本の政治経済のみならず世界も変動しているのは、今が困った状態だからなのは言いうまでもありません。身の回りで、価値が急上昇しているものとそうでないものが現れていて、多くの市民にとっては、よい状態ではない。でもある限られた層は安泰というのが、あからさまになっています。こんな露骨な格差の状況の中で、サバイバルマインドとサバイバルスキルを身につけることが教育に求められはじめているのは当然だよねという対話でした。

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★配信終了後、二人でリフレクションして、同じことを言っているつもりでも、どこか違いがあったようなという対話になりました。私が中学入試のルール内で話している帰国生入試や英語入試の話が、鈴木さんのグローバルアドミッションから見ると狭いわけです。

★その違いはどこから来るのだろうかという話になっていたと思います。そこで気づいたのは、鈴木さんは、大学入試における帰国生入試から中学入試の帰国生入試や英語入試を見て語っているということに気づきました。

★大学の帰国生入試は、アフターコロナになって大きく変わっています。早稲田大学と慶應義塾大学で、帰国生入試を縮小や廃止する学部もでてきたわけです。両大学は来年2025年からそうします。大学入試における帰国生入試は、外国の高校を卒業することが条件です。ところがコロナによって阻まれ、海外就学経験はあるが卒業できなかったという生徒が増えているわけです。

★そこで、海外就学経験者に早稲田の政経は「グローバル入試」、慶應義塾大学の経済は「PEARL入試」といういわば総合型選抜を設けているわけです。これは国内生でもハイレベル英語学習経験者であればチャレンジできます。

★中学入試の帰国生入試は、大学の場合とは違い、一定期間海外就学しているということが条件で、海外の小学校卒業は条件にはないわけです。東京の場合は、公立と私立などの間で紳士協定があって、国内の英語学習経験者は、帰国生入試を受験する資格はありません。

★鈴木さんのグローバルアドミッションからすれば、大学は、帰国生入試を減らして、グローバル入試などの総合型選抜に変わっていく。そこにおいてはハイレベル英語学習経験者で創造的思考力などのクリエイティブな才能とそれを生み出してきた体験が重視されるというわけです。

★ハイレベル英語力と高度思考力と豊かな経験。その経験は文理融合的なものです。

★すると、中学入試も、その影響が大きく出てきます。2025年の早稲田大学と慶應義塾大学の帰国生入試と総合型選抜を融合した新しい入試への移行。海外就学体験者であれ、国内でハイレベル英語学習体験者であれ、区別なくチャレンジできる入試が注目を浴びます。同じようなタイプが2027年東大でも行われます。

★中学入試は、今まで2科・4科テストと新タイプ入試というように分けられてきましたが、2026年には、その区別はなくなり、要するに自分の得意な入試科目は何かという入試になるでしょう。大学入試はすでにそうなってしまっています。

★これは、まさにMI(多重知能)のどれか一つでも得意=好奇心旺盛な学びができ、その姿勢がGRIT(やり抜く力)であることを要求するという入試概念に中学入試も大学入試も変わっていくということです。これが確立したら順次高校入試も変わるでしょう。すでに適性検査型に変わっているので、あっという間だと思います。

★このようなコンセプトの入試をMIGRIT入試とでも呼んで起きましょう。そしてこれによって生徒1人ひとりの3Tが実現するわけです。タレントである才能はすべての生徒がオンリーワンのものをもっています。それが市場で売れるかどうかは、本人のアイデアと仲間力にかかっています。テクノロジーはICTのみならず感情や思考や行動、組織をマネジメントできるかどうかというスキルです。その道具として生成AIをはじめとするICTは今後は欠かせないでしょう。そしてトレランスという寛容性。こんな複雑な世界は、ひとりではサバイバルできません。仲間と共感し、自然と共生し、社会と共創するしかありません。多様な価値観やものの見方が衝突する世の中です。トレランスという寛容な心の余白が必要でしょう。

★この2026年のMIGRIT入試コンセプトの移行を、中学入試において促進するきっかけは、来春豊島岡女子が実施する算数×英語資格利用入試と八雲学園が実施するすべての2科・4科テストに英語資格利用を導入するということでしょう。

★自分の得意教科をいかし、自分なりの3T能力を磨ける学校探しが始まります。その学校探しを可能にするのは、MIGRIT入試です。もちろん、この言葉は使われないでしょうが、実質広がっていくということになります。

★大学入試において、総合型選抜がますますMIGRIT入試コンセプトが濃厚になっていくことは間違いありません。

★そうそう、このMIGRIT入試をすでに実施しているところがあります。それが湘南白百合と工学院大学附属です。

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2024年7月 4日 (木)

土屋校長 東京私学協会報で語る 私学全体の不易流行

★「東京私学協会報(118)令和6年7月4日」で、駒沢学園女子の校長土屋登美恵先生が論壇で、「平和な次世代を築いていくために」と題して東京私学全体に共通する不易流行の姿を鷲づかみしていました。驚きました。私学全体のビッグアイデアというかビッグコンセプトをわずか1000字の論稿で執筆してしまうなんて!さすがです。

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★土屋先生は、一般財団法人東京私立中学高等学校協会広報部副部長ということもあり、ご自身の学校の話は全くしていません。私立学校全体の不易の部分である理念と時代を牽引する先見性先進性という流行の部分を明快にしかも具体的に論じているのです。

★実に感動的なのは、ご自身が久しい間英語教員だったこともあり、「英語」教育という現場の話から、真のグローバル教育はどういうことかを論じていくアクロバティックなストーリーです。「宇宙から国境は見えなかった」という毛利さんの言葉の意味を紡ぎながら、平和を作っていくグローバル市民性こそがポイントなのだと。

★各私立学校の建学の精神の文言は、確かにそれぞれ特色がありますが、この点に関しては共通しています。そしてこの理念を具現化するには、人を思いやる慈悲心と何が正しいかを判断する「智慧」なのだと。

★地球は国境などはじめからあったわけではない。人間がつくり、平和を維持するためのものだったはずなのが、今ではその本質や真理を追究することを忘却してしまったから地球規模の課題がどんどん膨れあがっているのだ。

★この事態を省察し、解決をすべく、各私学のグローバル教育(探究・PBL・STEAMも包摂される)は劇的に進化している。だから、

<日本の若者から「自分以外に関心がない」「そもそも自分が何をやったって世界が変わるわけではない」こんな後ろ向きな発言が聞こえてこない、真のグローバル社会が、日本にも近く訪れることを楽しみにしている>

★と結んでいます。

★駒沢学園女子は曹洞宗の精神を理念として持っています。この精神自体、世界宗教ですから普遍的です。「平和」といういままさに重要な時代のキーワードを軸に語る土屋先生の気概は、もちろんそこから生まれています。

★一方で、その気概は、土屋先生の出身私学の影響もあるのではないかと感じました。その学校の創設者は女性です。日本の私立学校に人生を捧げただけではなく、戦後日本の教育と国のあり方に理念を語り続けて創ってきた方です。

★江戸幕府が壊れて日本中焼け野原になったところから近代日本は始まりました。その日本を支えて人材を育成したのが、その学校の創設者です。そして再び第二次世界大戦で、やはり焼け野原になった日本をいかに立て直すかにも挑みました。ダグラス・マッカーサーに自分たちのアイデアを伝えるために日本の重鎮のみならず米国のネットワークも巻き込んで説得する。まさに真のグローバルリーダーシップを発揮した彼女。

★土屋先生にもその魂のランターンは受け継がれているなあと感じ入りました。

 

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2024年7月 3日 (水)

中学入試タイプ別と大学進学準備タイプ別のつながり

★中学入試において、どのタイプで入試するかという選択判断をする時代にすっかりなりました。4科入試か新タイプ入試か、そのミックスかということですね。そしてそれと並行するように進化してきたのが、大学入試のタイプです。ここでは、国内大学の一般選抜と国内大学の総合型選抜と海外大学進学準備のそれぞれの条件を整理し、それと中学入試のタイプ別のつながりを考えてみましょう。

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★この3つのタイプの進学準備に必要最小限の条件は、6つです。

英語力

基礎学力の充実度

論理的思考の充実度

批判的・創造的思考の充実度

PBL体験充実度

リベラルアーツ的思考

★英語力は、一般選抜では、CEFR基準でB1あればぎりぎりなんとか合格できます。共通テストの科目に象徴される基礎学力の充実度は高ければ高いほどという目標が設定されます。論理的思考は、主張と理由と具体例があればすべての国公立大学の記述・論述はなんとかなります。批判的・創造的思考の充実度は、ほとんどいりません。PBLの体験もほとんどいりません。リベラルアーツ思考もほとんどいりません。

★私立中高一貫校で一般選抜で実績をあげているところは、だからといって、この最小限の基準だけを学ぶ環境を作っているわけではありません。実は海外大学進学準備に必要な条件を充実させているところも多いのです。ただ、一般選抜向けの対策は念入りですから、このタイプを受験する生徒が多いということなのです。そのような骨太の教育を受けた生徒は、大学や大学院で海外大学留学をする生徒も当然でてきます。ただ、このような学校に中学段階ではいるには高偏差値が必要ですから、高ストレスがかかります。この高ストレスをばねにできるか、苦しんでしまうかは、生徒によります。苦しんで入った場合は、意外と大きく飛躍する場合もあります。問題は苦しんだ挙句、選択を変えず失敗した時です。この生徒が中学受験加熱の象徴にされている可能性があります。

★このストレスをばねにできない場合、あるいは耐えられない場合、中には無意味だと悟った場合、中学校の選択を変え、そのようなストレスの呪縛から解放されたなら、大学の一般選抜で再チャレンジするもよし、総合型選抜で、好きなことを楽しみながら没入しながら豊かな学びができるもよしです。

★またそのような学校を選ぶときに、新タイプ入試で中学受験を楽しみながら入学すると、やはり総合型選抜や海外大学の道が開けます。

★かつては、基礎学力がないからとこのような新タイプ入試は批判されがちでしたが、それはかつてのAO入試や総合型選抜の時の批判と同様です。多様な入試タイプがあるのは、中学入試でも大学入試でも大きな流れです。悪玉ストレスをなくすという受験勉強は実は人権を守る話でもあるのです。精神的苦痛はその背景に何らかのハラスメントがあることは受験勉強だって同じなのです。

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国内大学か海外大学か サバイバルキャリア志向で サバイバルマインド&スキルはいまこそゲット

★アメリカで最も長い歴史を誇る私立芸術大学の一つ、ユニバーシティー・オブ・ジ・アーツが6月7日をもって閉校したというニュースを聞いて驚きました。STEAMの時代です。アートの名門大学が破綻するというのは、どういうことだろうかとそう思っていると、ノンフィクション作家の林壮一さんが米国大学が週に一つは潰れていると執筆している記事が眼に入ってきました。

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現代ビジネスで林壮一さんが、大学通信の井沢秀さんにインタビューしながらまとめている記事で、啓発的です。今日本の私立中高一貫校からは海外大学に進学する生徒が急激に増えています。また国内大学に行っても海外大学に1年間留学プログラムを体験したり、大学院で留学したりという学生もいます。さらに、海外大学卒業後、日本の大学院に進む学生もいます。

★国内大学卒業するだけで、キャリアを積もうとすると、最難関大学に入って安定的な大企業や官庁に勤務する道を選ぶことが多いですよね。医学部などは、まだまだ国内大学の医学部が多いと思います。いい大学に入れば将来は保証されるという牧歌的な時代は終焉しましたが、最難関大学だけまだそれを維持できています。とはいえ、その頂点に立つ東大卒業生のキャリアは、かなりサバイバル志向になっているということのようですが。

★そんなわけで、まずは中堅大学に入って、在学中に海外大学に留学したり、編入し直したりということもでき、そこに着目する生徒が出現してきました。それに高校卒業段階で海外の大学に進む場合は、その高校が難関高校である必要はないので、ますます中学や高校の入試は、偏差値から解放されます。サバイバルキャリア志向でキャリアデザインを考えると、偏差値ゲットの投資は必ずしも時代に会っていません。

★林壮一さんが語っているのは、海外大学どこころか実は国内の大学こそがサバイバルモードになっているというわけです。どんなに伝統があって名門と言われていても潰れる時は潰れます。リスクを回避するサバイバルキャリア志向を持つには、まずは偏差値から解放されている状況でなければ学びの投資の仕方がもったいないということなのです。

★7月7日の都知事選を境に、東京だけではなく、日本も世界もサバイバルマインドとスキルを必要とするでしょう。どこでそのマインドを学ぶのか、どこでそのスキルを体得できるのか。マジ考える時が今です。

 

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2024年7月 2日 (火)

工学院大学附属中学校 体験学習・部活体験

先日、工学院大学附属中学校は、説明会と並行して、小学生向けの多彩な体験学習を実施したようです。サイエンス部では生き物スケッチに夢中、理科では創造力を駆使した工作、自動車部ではソーラーカーの魅力に触れ、茶道部ではお点前の風雅を体験、情報科学では、中野校長のファシリテーともと数字で絵を描く挑戦、ダンス部ではリズムに合わせた舞、デジタルクリエイター育成部ではマインクラフトで創作活動、バドミントン部では先輩との対戦に挑んだようです。

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★さりげないけれど、工学院のSTEAM型リベラルアーツを体験したわけです。なぜこれが重要なのか。中高での学びが、直接自分の生きる道の魂とそれを実現する技術を体得する学習指導要領を超えたそれでいて俄然楽しく没入できる学びだからです。

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2024年6月30日 (日)

デザイン思考そのものは終焉しないけれど・・・ 龍安寺石庭で

★先週の金曜日に京都で研修が終了して、久々に幾人かの友人と会い、飲みました。友人と言っても教育関係者ですから、結局はこれからの学校の新しい姿を描く話ですが。リアルには、限られた友人なのですが、並行してSNSで他の知人や友人から情報が上がってきますから、その情報も交えながら対話します。直接ビジネスの話ではないので、あくまでフレームストーミングで、次元をいかに変換していくか。対話の次元を上げるという発想も、その対話の中から生まれてきて、なかなかよい余白でした。

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★だいぶ飲みすぎたので、そのことを予め予想して、チェックアウトが11時までOKという宿をとっていました。何せ、新幹線も混んでいて、夜になるとたいへんだろうと思いながら、チェックアウトしたら早々に帰ろうかと。とはいえ、京都の北エリアの寺は一つみたいなあと。金閣は外国の方でいっぱいだと聞いたので、友人と龍安寺の石庭で待ち合わせました。

★本当は龍の和室から見たかったのですが、はいれません。外国人の方と並んで、私たちも縁側に座って1時間以上対話してしまいました。お昼時だったので、なぜか空いていたのです。近況について語りながら、どうしても私たちの考案している(すでに特許はとっています)学びのコンセプトの通用性や汎用性、レバレッジポイントになるかどうか等々話していました。

★その一方で、私は、昨年末米IDEOの事業縮小・日本やミュンヘン撤退の報道があってから、「デザイン思考終焉論」がメディアで語られていることが気になっていて、時々この方丈庭園を数学的思考で解き明かすとどうなるのかねと友人に尋ねたりしていました。幾何的な話や視点の話など、それから庭園上空が昨日の大雨と打って変わってさわやかだったので、そっちの話になったり。特に正解は、いつもながらないのですが。

★ただ、おもしろかったのは、方丈全体の絵柄は、15個がいっぺんに見えないねという定番の話をしながら、小さな砂のような白い石が敷き詰められ、宇宙的な模様が描かれているのが、やはりこれはアート思考だなと。

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★そして、一つ一つの島のような石を眺めているうちにこのフォーカスされた造作はデザイン思考だなと。そして石庭の上空は、人工的な石庭を包むような大空と雲がくっきり。水蒸気と湿度と気温が京都の琵琶湖とつながっている地下水脈と循環しているのが描かれている驚きのシーンが石庭とマッチしているのに二人で感動していました。

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★これはシステム思考のアナロジーになるなと。アート思考もデザイン思考もシステム思考も世界の切り取り方がちがうだけで、その切り取られた世界を認識したり、あるときは石庭や寺の杜のように人工的に創ったりするときに、それぞれの切り取られた世界ごとに適切な方法なのだと。

★よって、なぜIDEOが撤退するのか、わかりませんが、デザイン思考そのものがなくなるとかという話ではないだろうなあと感じた次第です。ただ言えることは、今トレンドの探究ですが、デザイン思考だけで押し通すことはやはり限界があります。それはアート思考もシステム思考も同様です。

★学びの系譜をたどっていくと、やはり方法は多様ですから組み合わせることが大事です。

★ただ、問題はこの組み合わせるアイデアが何であるのか?私たちは、そこをコンセプトレンズと呼んで、細々とずっと高校生や先生方とワークショップを行ってきました。アブダクションして、モデルをつくり、実際に授業などやってみて、テストをして。。。あれッ?デザイン思考使っていますね(笑)。

★ともあれ、なんか幸せな気分だったので、京都駅にまっすぐ向かい、久々に食したいと思っていた東洋亭の「まるごとトマトサラダ」つきランチを食べて新幹線に乗りました。やはり混んでいましたが、なんとか座席は確保できました。帰宅したら、孫が玄関から飛び出て歓迎してくれました。いっしょに風呂に入り、寝床でカブトムシやクワガタ、スズメバチなどについて描かれているドラえもんの漫画を二人で読んで、はしゃぎました。3歳の孫は、カブトムシになったり、クワガタになったり、スズメバチになったりして、布団の上を跳ね回り、私のお腹に勢いよくぶつかってきます。

★文字など読めないはずなのですが、絵を見ながら勝手にス―トーリを描きながら飛び跳ねているのです。のび太やドラえもんの表情や行動から推測しているようです。すでにコンセプトレンズは作動し始めているなあと思ってふと横を見ると睡眠の世界に没入している孫でした。

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2024年6月27日 (木)

全国私立中学高等学校 教育課程部会の研修始まりました。in 京都

★本日から2泊3日京都で、全国私立中学高等学校 私立学校専門研修会 教育課程部会の研修が行われます。テーマは<「深い学び」を追求する~個別最適で協働的な授業づくりと思考力の究め方>。登壇者が、京都大学の松下佳代教授、東京学芸大学の西村圭一教授、藤村祐子准教授であり、明日の視察校が立命館宇治中学高等学校ということもあり、120名の定員を超える132名が参加しています。

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★開会の挨拶をされた吉田晋先生(一般財団法人日本私学教育研究所理事長・日本私立中学高等学校連合会会長)と森涼先生(教育課程専門委員長)は、今回のプログラムがまさに時代の要請にマッチングしているものが作成されたため、全国からたくさんの私学の先生方に集まって頂けたと感謝されていました。

★同時に、何より、この日本の教育の危機にあって、私学人としてどう立ち向かっていくのか、学び続ける先生方の情熱こそがそうさせたので、そこに深い感謝と頼もしさを感じると語っていました。

★その日本の教育の危機についてですが、少子高齢化という経済的な危機も当然あるのですが、今生まれている多様な学びのあり方について危機感を共有されました。つまり、玉石混交の多様な学びが、実際には学びの格差が広まりつつあるということです。この状況は世界の中でどのような問題を生み出すのか、火を見るより明らかです。

★私学人が、本質的な「深い学び」の方法やあり方を学び続ける姿こそ希望なのだと高らかに謳われ、研修会が開会されました。

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Deschool化進む向こうはどうなるのか?独り言

★イギリスのパブリックスクール、インターナショナルスクールが日本にどっとやってきていますが、一方でN校は、S校に続きR校をつくるということです。さらにいくつかの自治体で公営塾をAIを使って開始しました。文科省も、現行学数指導要領を実施するのお並行してIB200校計画を実施してきたし、今年の4月から、省令改正で高校の74単位のうち36単位を柔軟に活用できるようにしました。今や日本の学校は脱構築の過程を歩み始めているのです。このことを「Deschool化」と呼びましょう。

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(制作はBing)

★この動きは、明治以来の国が主導の学校制度の制度劣化を補完する動きとして始まっているのでしょう。しかし、国による教育改革ではなく、現実の問題に対応するために、また問題があるから、そこから、いろいろな動きが生まれているのですから、教育改革というよりは、なし崩し的に生まれているのです。それゆえ、Deschool化と私の独断と偏見ですが呼んでいるのです。

★この流れはどういう方向に進んでいくのでしょう。善い方向に進むことを期待しますが、歴史は紆余曲折あります。その過程は結構悲惨な状況が起こるのも歴史のセオリーです。そこで、私立学校はこの絶望的状況を希望に変える不易流行を保守していくでしょう。

★一方公立学校は、教師不足、財政不足が深刻です。私立だって同じですが、経営時の自由と教育の自由があります。したがって何とかしよと各学校が動けます。

★しかし、公立学校は、自治体次第です。公設民営の学校はすでに生まれています。今始まっている公営塾は、やがて、教師不足ですから、午前中、体験ベースの授業が行われ、午後からは公営塾に知識の理解と活用を委ねるでしょう。財政的支援はするものの少ないですから、公営塾はAI教師と少ないスタッフで賄っていくでしょう。この先は、公立学校全てが公設民営という流れだってあるわけです。

★一方N校のような通信制高校は、もはや一つの自治体の高校生を集めているようなものです。もっと加速するでしょう。もはやデファクトスタンダードは確立されていますから、大学によっては、IBやAレベルを認定するように、N高卒業資格(必ずしも文科省が規定している日本の現状の卒業資格ではなくなるかもしれません)を入学試験の条件に入れるところがでてくるでしょう。これを決めるのは、大学次第です。

★文科省の制度の及ばないところで、つまりそれは法律で禁止されていないという論法で、Deschool化が進んでしまうのです。

★しかもグローバルと生成AIを活用することによって日本ではいろいろあるのですが、世界の学校はダイレクトに結びついてしまいます。

★私立学校自身も、学習指導要領をちゃんと守りながら、発展的なことをすでに行っています。善い意味でのDeschool化を行っているのです。

★そもそも、「探究」だとか「主体的・対話的で深い学び」とか「CEFRベースのCLIL」だとか導入したのは国です。Deschool化の多様化の時代はそこから始まっている、いや仕掛けていると言っても過言ではないでしょう。

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2024年6月25日 (火)

不易流行としての≪学びの系譜≫ 探究を巡る多様な方法の深層にあるコア

★昨今探究型授業や教科横断型授業のプログラムをデザインする場合、多様なプログラムデザイン手法が使われています。封建社会から近代国家が生まれる時にヘルバルト主義の教授法が生まれました。紆余曲折変遷はありますが、今も一方通行型の授業は、なんだかんだといってヘルバルト主義が息づいています。

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(≪学びの系譜≫のコア=不易を探究している田中歩教頭)

★その後、近代国家がまだまだ権利の保障が一部の階層にしか適応されていないことに抗い、さらに民主主義近代国家の動きが進みます。そこでデューイが登場し、今まさに活用されているPBLの原型をつくりました。実験学校を作り、そこで実践もされました。しかし、2つの大きな世界大戦の過程では、そう簡単ではなかったですね。

★戦後、IBとラウンドスクエアが誕生し、PBL型の授業が再び重視される一方で、一般的な公立学校では、ヘルバルト型の授業が行われていきました。

★一方、戦後、アメリカは、イノベーション経済になっていきます。創造的思考を経営学の側面から生み出していきます。今もよく使われている汎用性の高いプログラムはブレインストーミングですね。A・オズボーンが開発して広めました。1950年前後の話です。

★しかし、それはある意味クリティカルシンキングを回避するので、1972年に「成長の限界」で、倫理なき創造的思考は地球を破滅させると警鐘がなされ、システムダイナミクスが活用されたわけですが、それはプログラミングによって作成されたので、まだ一般には理解が広まりにくかった時代です。そこでドネラ・メドウズはそれをシステム思考に変換させました。今もピーター・センゲらドネラの仲間たちによって受け継げられ昨今の学校でも活用されています。

★経営学の分野やマーケティングの分野からは、デザイン思考やOSTなどが生まれてきます。世界が止むことのない戦争や紛争で心のケアを必要としはじめたからでしょう。

★心理学の分野からは、MITメディアラボから探究型の3Xプログラムが推奨され、それがレゴシリアスプレイⓇになり、それが今もさかんに探究の授業で活用されています。

★MITメディアラボの動きは、当然GAFAMに連動していて、コンピュータサイエンスの世界では、マイクラやメタバースの世界に突入していき、STEAM教育が生まれてきます。そのときしかし、マシーン的なあまりにマシーン的なという状況ですから、ZENが広がり、マインドフルネスが注目されるようになります。仏教の出番です。

★それは心理学のEQなどと交差し、SELという心理的安全を基盤に自分を超える創造性を自然に生み出していくプログラムが動き出します。これも活用している学校があります。

★というわけですが、結局これらの≪学びの系譜≫の中で、コアになるのは、デューイのPBLという考え方とオズボーンのブレインストーミングなのだと私は思っています。この両者の共通点であるコンセプトレンズが、これらの≪学びの系譜≫の不易の部分です。

★かくして、≪学びの系譜≫の不易流行という見方をすると、学校の教育も整理され、その不易を土台に独自の教育を各学校は作れるのです。しかもコンセプトレンズを内面に設置することによって、生成AIなど新しいイノベーションも適性に効果的に新しい次元を拓くIBLを生み出すことができます。

★このことにしかし、気づいているのは数名で、その1人が工学院大学附属中学校の教頭田中歩先生なんです。いずれ歩先生のIBL授業を取材したいと思います。

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