PBL

2020年7月12日 (日)

新しい女性グローバル市民(01)中学受験市場と中学入試市場の差異を見極める母親

★とある学校の保護者と不思議な出会いが、これまた不思議なネットワークに連鎖し、Zoom対話となりました。最前線で活躍されている女性であり母親です。もともと帰国生だったり、今もなおグローバルな世界にいたり。もちろん世界的視野は広く情報通です。同時に中学や高校の受験生の保護者でもあります。

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★当然ながら、学歴キングダムに疑問を持ちながらも、それは世界情勢や政治経済の社会構造や産業構造を読み切っている新しい女性グローバル市民です。自身はものすごいプロフィールの方々のようです。どこでどんな仕事をしているのか話される端々にそのプロフィールは予想できます。

★同時に母親でもありますから、そのような新しい女性グローバル市民としてのポジショニングから眺めて、子供の進路をどうするのか現場の情報を知りたいということで、私へのアクセスに興味をお持ちになったのでしょう。

★最近、女性医師ともよく話をします。最先端の医師であると同時に、やはり受験生の母親です。

★みな共通しているのは、私立中学受験というと、偏差値競争が激しく、お金持ちの子弟が行くところといったイメージを持っていながら、そうではない世界はあるのかどうか模索しています。ですから、実際に学校をつくって理想を実現しようとする母だったり、20世紀型中学受験市場にはない新しい教育マーケットはないのかどうかという関心が高いのです。

★とある学校の保護者との出会いが、その新しい教育マーケットでの出会いでしたから、公立学校を改革するまでもなく、まず自らの力で変えようとする私立学校があること、中学受験市場と中学入試市場の区分けが明快になってきたことなど、ご自身の体験談の情報交換をしながら、本間さんに会ってみようとなったようです。参加された方は首都圏以外から、海外からと、なんともグローバルでした。

★まさか社会構造や産業構造の堅牢さと変容の必要性の話題が母親からでてくるとは思わなかったので、ついしゃべり過ぎました。いつもの保護者の顔は受験生の母親としての顔や学校の保護者としての顔でしたが、こういうときの顔は多面的です。才能あふれる雰囲気に圧倒されました。

★世界を語り、自分の子供の環境を語り、そのギャップに驚き、嘆き、でもネガティブではなくポジティブに徹底的に情報収集・共有し、そして分析し活路を見出そう、ダメなら海外にいくしかないかと断固たる決意もありそうでした。そんなわけですから、今回、参加したメンバーの方々は多様な情報を持っていて、私の説明は本当は不要だったでしょう。

★では、なぜ私と対話する機会を作ったのか?それは、日本の教育現場と入試の関係がきちんと情報発信されていないからです。なぜ新しい入試が必要なのか、なぜ2科4科だけではななくなったのか、何が変わるから多様な入試なのか。それと大学入試や私学とのかかわりとはどうなっているのか。インターネットや文献では調べることができない情報を知りたいということでしょう。

★偏差値だけでみていくと、そんな多様な入試はいらないので、多くの塾では新しい入試について発信していないのです。かなりされるようになったと私は思いますが、私がかわっている新しい中学入試のマーケットと中学受験市場の比は、1:4で、中学受験生の25%くらいの規模です。

★外からみたら、まだまだ新しいウネリは見えているとはいえません。しかもそれがカリキュラムとどう直結しているかという話までできるマニアックなという意味では、私にアクセスすることは少しは意味があるかもしれません。

★特に、不思議なことに、参加者はPBLというプロジェクト型学習は当然で、実際にそれを実行している学校を運営していたり、すでにPBLを実践している学校に子供が通っていたりするのです。

★ですから、入試―PBLというラインがあることをもっと広めたほうがよいのではないかと。子供の成長の場として、そのような対話空間は重要なのだというのは、ある意味世界では常識です。日本ではまだまだです。ですから、そこは何とかしたいし、世界標準の成長の場を見つけたいのだという息吹を感じました。

★そして、参加されたメンバーは、口をそろえて私たちのような母親は本間さんが思っている以上にたくさんいます。そこここに転がっていますよと。だから、このような情報の公開は必要なのだと。

★入試と教育と学校と社会構造を鳥の目と虫の目の複眼思考ができる新しい女性グローバル市民がたくさんいるのだということです。

★多くの学校や塾で、私の話は難しいと言われるのですが、今回はむしろ私の世界情勢や社会構造の変化については、百も承知で、中学受験マーケットと中学入試マーケットの情報の非対称性の部分をどんどん見える化し広めて欲しいということでしょう。

★さて、どうしたらよいのか?ただ知りたいというだけではなく、知るためにどんなアクションを起こすのか、多角的に検討するウネリがどうやらこのようなネットワークから生まれてきそうですね。21世紀はまさしく女性の時代です。

★Zoom対話が終了して、京都に向かう新幹線に乗っていると、三田国際の学園長大橋清貫先生から電話がありました。今まさに、こんなZoom対話があったんですよと伝えると、まさしくそういう時代ですよ。本間さんがまだ見たことのない新しい教育シーンをスタートしたので、どこかで取材に来てよ。きっと情報として価値あると思うし、そういうZoom対話で共有して欲しいねと。なんとタイミングがよいのだろうと驚愕。

★さて、学校の先生方、そのようなダイナミックな話の中で、極めて重要な母親としての視点が投げかけれらました。それはPBLをやる本質的な理由だし重要な価値のある視点です。ここから先は、先生方とはZoomで対話することにしましょう。

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2020年6月26日 (金)

ポストコロナの授業<02>工学院 新しい経験を経て変容する授業の追究 グローバルティーチャー高橋一也先生の動き

★6月22日(月)から、工学院大学附属中高は、学校を本格的に再開。それまでのオンラインPBL授業と分散授業におけるハイブリッド授業というこれまにない経験をしてきました。人間は経験から多くを学びます。そこで得た知を発展させていくわけです。

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★そこで、平方校長は、新型コロナウィルス前まで積み上げてきた経験値を、ポストコロナ時代に適合させたりさらに変容させる挑戦をするプロジェクトを立ち上げました。教師の経験には大きく分けて二通りあります。直接的な現場の経験とその経験も含めて多くの経験の検証から抽出された理論が生み出した学問知としての経験です。臨床知経験と学問知経験と呼んでおきましょう。

★工学院の先生方はこの臨床知経験は実に豊かに積み上げてきました。豊かなPBL授業が教科学習を超えていろいろな領域に浸透しているのがその証拠でしょう。

★しかしながら、ポストコロナは未知なる経験を想定しながら、さらに自己変容していく備えをしておかなければ、対応できない可能性があります。Z世代の生徒の未来は、その未知なる経験を想定しながら、授業デザインをするときがやってきたのです。

★そこで、平方校長は、この未知なる経験を想定しながら工学院のPBL型授業が変容することは論理的必然な動きなのだと語ります。そのためには教師が自己変容を起こすことが必要ですが、この授業及び教師自身の自己変容システムを、グローバルティーチャーで有名な高橋一也先生にプロジェクトリーダーを任せ、プロトタイプを創ることを任じました。

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★学校再開後の放課後は、先生方が教室の隅々までアルコール消毒をしていきます。机も椅子も丁寧に。ノー3密がなかなか難しいのが学校空間ですから、エントランスの検温、アルコール消毒、マスクやフェースシールドの装着などあらゆる感染防止策を講じながら、放課後のアルコール消毒まで徹底します。

★このいまここでの現場の経験の後、プロジェクトメンバーの先生方は、未来の経験へ向けて研修に臨みました。

★第一回目は、先生方1人ひとりの性格と価値意識を見出していく研修でした。この研修自体すでに、ハーバード大学のハイフェッツ教授とキーガン教授の適応課題をどう乗り越え、自己変容するのか、そのためのリーダーシップとは何かなどをあぶりだす組織心理学的なアプローチです。

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★価値意識抽出のためのカードゲームと性格を診断するプラットフォームの両方を活用して行われていきました。2つのグループに分かれて両方を行っていきました。カードは互いに自分の価値を捨てたり交換したりする対話があるので、互いのメンタルモデルが見え隠れします。

★プラットフォームでは、120問の問いに立ち臨みます。自己の内省に没入していきます。

★最終的には、価値意識と性格のそれぞれの自己優先順位をスプレッドシートに書き込んでメンバー全員が共有できるようにします。

★個人の価値意識と性格と組織の関係性を考えるデータができるわけです。

★そこからは第2回目になっていきます。

★高橋一也先生は、学習理論の系譜や哲学的素養、欧米文学の理論、脳科学の研究など幅広く深く研究されています。今回のハイフェッツ教授やキーガン教授の理論も、そのような多くの学際知が総合されて出来上がっているので、彼らの理論書だけ読んで真似をしても上滑りになってしまうと語ります。そして、そういう研修が多いことも憂いていますが、憂いていてもしかたがないので、その背景まで織り込み済みの研修をやっていこうということです。

★私の役目は、プロジェクトメンバーの先生方が研修で学んだことを実際の授業でどう生かしたかについて、Zoomでモニタリングミーティングをしていくことです。高橋一也先生の研修とZoomモニタリングの螺旋進行という新しい教師の自己変容物語が始まったのです。

★ポストコロナは、多くの人が予想している以上に、学校の在り方が変わります。オンラインは学校越境的にならざるを得ません。そのときしかし教育において最も重要な働きをするのは教師です。しかも、優れたスーパーグローバルティーチャー(SGT)でなければならいでしょう。

★工学院は、まだ見ぬSGTの出現を促す挑戦を始めたとうことなのです。

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2020年6月25日 (木)

ポストコロナの授業<01>聖パウロ学園 新しいPBLへ

★今回の新型コロナウィルス感染防止のための一斉休校において、聖パウロ学園は対面双方型オンライン授業に転じたわけですが、そのような体験を経た教師も生徒も、何かが変わりました。学校再開後のニューノーマルな学校生活において、聖パウロ学園のPBL授業のスタイルも変容したのです。

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★高3の化学の吉留先生のクラスは、化学反応式にいたるまでのプロセス循環をひもといていくことで、化学式上はとりあえず丸暗記をするだけでよさそうなものも、実はそうではないというクリティカルシンキングを発動しています。このトークの中で、吉留先生は、オンラオン授業でYutuber絶品授業で人気だったのですが、そのトーンが変わらないまままの生Youtuberさながらで、テンションがあがりまくりです。もちろん生徒の思考の回転も速く、反応もよかったですね。

★高3理系クラスの数学の様子を覗きましたが、有理数と無理数の違いを説明する京大の入試問題について対話していたりしていて、なんだか数学的な哲学思考の雰囲気がいっぱいありました。オンライン授業で、最終的には数学は対話なのだと松本先生は気づいたと語っていましたが、完全チュータリング的な授業になっていました。

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★英語の授業も、ICTを活用しながら、リーディング、ライティング、リスニング、スピーキングなど丁寧に授業が展開していました。要するに4技能の徹底的なトレーニングです。ここのところ英検2級合格者が増えているのもうなづけます。

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★高1の国語は、小島綾子先生の論説文の授業でした。文章の構造と細部の関係を思考スキルを活用して読解し、それでモデルをつくったうえで、違うテーマで自分の文章を編集するという授業でした。思考スキルとタキソノミーが織り込まれた授業です。PBLとは最終的にはあるいはコアは、自分の考えを編集・創造し、その社会的インパクトを生み出せるかというプロジェクトづくりです。ノー3密で闊達なディスカッションはできませんが、そんなときは静かに自己沈潜し、プレゼンし、フィードバックを互いにしあえっていけばよいわけだということでしょう。

★PBLの形態にこだわらず、本質とは何かに立ち還った授業になっていました。

★小島崇先生の高2の国語は、分散登校期間中に創った小論文の相互評価のPBLです。グループワークなのですが、極めて静かです。まるで筆談をしているかのようです。それもそのはずです。互いに小論文を読み、フィードバックをするのですが、5人のメンバーがいたとしたら、グルグル回しながら、フィードバックを書き込んでいきます。静かなのですが、確実に複数の目からみたフィードバックを集められるわけです。

★それにフィードバックという評価をする際にルーブリックをきちんと共有しているというところはさすがでした。

★高橋先生の高3の古典の授業は、文章をいったん絵に変換して、ストーリーをプレゼンしていくという文章と絵の置換スキルをベースに展開していきました。盛り上がったことは想像に難くないでしょう。

★伊藤先生の高2の数学は、具体的な経験を通して、一般化していく数学的思考のトレーニングを行っていました。極めて迂遠な作業だと生徒は思いながら行っていくのですが、一般化したとたん、ショートカットというシンプルな公式がでてくるのです。このパラドクスの感覚は、数学ならではの醍醐味ですが、この数学的思考が、実は今後の企画をつくったり、プログラミングをしたりするときに大切な視点や観点になるのだといいます。

★理系の生徒が聖パウロは少ないのですが、文系の生徒も将来数学的技能はあまり使わないかもしれませんが、ポストコロナは、数学的思考は極めて重要になってくるというのです。つまり、文系における数学は、もしかしたら数学的思考の社会実装というプラグマティックな問題なのかもしれないと感じました。

★数学と国語の授業が、ルーブリックと思考スキルという考え方に力点をおいた授業展開になっていたわけです。

★小島綾子先生は、「生徒が自ら考えていくには、自ら学び方を体得することが重要です。与えらてた素材については理解しているが、新しい素材を自分なりに理解し、それをきっかけに自分の考えを生み出し編集していくには、学び方のスキルを学ぶ必要があります。今回の新型コロナウィルスに生徒と一緒に直面した時、それを実感したのです」と。

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2020年3月12日 (木)

和洋九段女子のPBLのマインドフルネスな価値 6人の中3生とワークショップを共にして気づいたコト

★和洋九段女子の6人の中3生が、<SDGsすごろく>で大活躍をしています。「SDGs探究AWARDS2019」で優秀賞を受賞したことはすでにご紹介しました。その後も、中2~高1に拡大して、日大商学部の「チームサスティナ」とコラボレーションしたというコトです。詳しくは同校サイトをご覧ください。

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(2月16日の和洋九段女子でのセミナーで)

★中高生と大学生が、互いに創作したオリジナルのSDGsを体感し、世界の痛みを共感するゲームの情報交換をし、互いに経験し合う。すばらしい活動に発展しています。こんなチームがどんどん増えたら、世界は幸せをつかめるのではないでしょうか。新型コロナウィルスのパンデミック化があるならば、マインドフルデミックがあってもいいではないですかと思ってしまう今日この頃です。

★このマインドフルネス。実は和洋九段女子のPBLが前提にしているものです。自分のプロジェクトを立ち上げ、互いに協働し、未知/道を拓いていく生き方にマインドフルネスは灯ります。

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★そんなことにうすうす感じながら、明快に気づいたのは、先日、かえつ有明の副教頭佐野先生と元かえつ有明の教師金井先生(東大博士後期の研究員)と対話したからです。二人はマインドフルネスワークショップをいろいろな場所で展開していて、定評のあるファシリテーターです。実は和洋九段女子の教頭新井先生もお二人のワークショップに参加し、影響を受けていたというコトにそのとき気づきました。

★また、今回の「SDGs探究AWARDS2019」の審査員である香里ヌヴェール学院の校長池田先生のSDGsワークショップは、同法人の経営陣とシェアする研修を行ったことがあったので、その深さを身に染みて知っているわけですが、まさか和洋九段女子の生徒の皆さんの取り組みはすばらしかったですよと私がコメントを聞けるなんてサププライズでした。池田先生もウェルビーイングを追求するマインドフルネスを生み出すすてきな教育者です。

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★一見離れているものどうしが、出会える場が、今回の和洋九段女子の中3生6人がつくった<SDGsすごろく>の世界だったのです。

★今更ながらじわっと感動が全身に広がります。

★かくして、この<SDGsすごろく>の場は、まだ見ぬ未来のウェルビーイングを求める人々の集う世界だったということです。和洋九段j女子のPBLは、目に見えるモノの理解を深めるだけではなく、見えない世界をいまここで巻き込んでいく学びだったのです。なんてマインドフルネスな場でしょう。

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2020年3月 1日 (日)

和洋九段女子のSDGsの活動 優秀賞受賞 その意味の重要性を改めて感じる。近代人を超える新しい人間の表象。

★和洋九段女子の中3生が企画し創作し世に広めるアクションを起こした<SDGsすごろく>プロジェクト。「SDGs探究AWARDS2019」で優秀賞を受賞しました。同審査会により、着眼点や想像力、表現力、具体性などの観点から、各部門の「最優秀賞」1件、「優秀賞」3件が選定されたのですが、そのうちの1校が和洋九段女子だったのです。

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★2019年12月1日にエントリー受付が開始され、2020年2月5日までの期間で、総数945件のエントリーがあったというのですから、これは“凄いコト!”です。

★個人的には、中3生の活動のインタビューを昨年10月にしていたし、実は2月16日(日)和洋九段女子で開催した「新中学入試セミナー」で中3生が<SDGsすごろく>のミニワークショップを実施してくれ、さらに感動していたので、この感動が広く公共的な場でも<共感>されたのだというのを知り、感無量でした。

★しかしながら、この受賞発表は、今回の新型コロナウィルス感染拡大を防ぐために政府が発表した「全国一斉休校」の話の直前だったために、和洋九段女子はサイトなどでの発表はまだしていません。また、『SDGs 探究 AWARDS』当局も、3月14日(土)に予定していた表彰式を中止するとサイトで発表しています。

★受賞者のみなさんは、ちょっと残念な気持ちもあるかもしれませんが、おそらくそれよりも自分たちが取り組んできたことの重要性をより感じ、ますます探究を深め今まで以上に活動を展開していこうという意志を強くしたと思います。

★なぜなら、新型コロナウィルスもまた、文明が支配被支配の関係を強め、格差を拡大し、自然を破壊し気象の正義の怒りに触れるたびに出現し猛威を振るったペストや天然痘、コロナ、スペイン風邪のように、警鐘を鳴らしているからです。

★そして、その警鐘を中3生自身も鳴らしているのですから、世界の痛みや自然の痛みと自分たちのマインドがシンクロしている実感を今ほど抱き、内側から湧き出る使命感は相当なものでしょう。今度学校に立ち寄ったときにその気持ちを尋ねてみたいと思います。

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★さて、しかし、和洋九段女子の中3生の<SDGsすごろく>はSDGsのことを知ってもらいたいというとことから始まったのですが、その探究は、身近なところに世界の根本問題があることに気づくところにまで到ります。多種多彩な団体と話し合う中で、自分たちは何ができるのか、そもそも自分たちは何者なのか探究を深めていったわけです。

★ですから、<SDGsすごろく>は、主体性、協働性、多様性を自ら展開していく社会的な活動になり、多くの人々を巻き込む貢献につながっているのです。そして、さらにすごいのは、<SDGsすごろく>を開発したというイノベーションを起こしているのです。PBLというリベラルアーツを学ぶイノベーションとそのときにICTを活用するというテクノロジーとしての教育イノベーションを巻き起こしているのです。

★このことの重要性は、学校という現場で今までにない革新的なシステムが生まれたことを意味します。この革新的なシステムについて、安宅和人さんは、社会において同じように語っています。しかも、そのシステムは学校内カリキュラムシステムで終わることなく、未来創りの知のシステムとしての価値を持っているのです。

★安宅さんは、未来を創るヒントの1つとして、SDGsの動きとソサイエティ5.0の動きの合流を論じています。今回「シン・ニホン」という著書でそのことについて1節をあてて論じています。SDGsは社会運動論的ダイナミズムで、ソサイエティ5.0はテクノロジーのイノベーションのダイナミズムととらえ、この二つが合力となって私たちの生活の諸問題を解決する未来社会を創るヒントになるだろうというのです。

★このことは、和洋九段女子の中3生にすでに起きています。社会運動論的なダイナミズムにつながる、つまり世界を変える動きにつながるのは、PBLというリベラルアーツを学ぶイノベーションを起こしていることでしょうし、テクノロジーのイノベーションのダイナミズムにつながるのは、<SDGsすごろく>を創発するというイノベーションそのものでしょう。

★SDGsの17のグローバルゴールズには、世界に広がる感性症リスクに対応する項目ももちろん組み込まれています。今回の新型コロナウイルスの感染拡大によるパンデミックへの可能性を危惧する世界同時的危機感は、中高生を巻き込む文明や近代の見直しに転換するテコになるかもしれません。その支点に和洋九段女子の中3生は凛として立っているのではないでしょうか。

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★そして、これは安宅さんははっきりとは言ってはいないのですが、それでも、どうも今までの近代化路線の手なりの対応策では未来は創れないという確信には到っているようです。このことは、今までのように警鐘を受けいれる方法とは違うということです。

★新世代のドイツの哲学者マルクス・ガブリエル(40歳)は、そのことをもっと明快に構想しています。今までと同じように警鐘を近代化路線の枠組みの中で受け入れていても、世界史の針が巻き戻るだけで、未来を創ることなどできないのだと。だから、今までの枠組み内の老朽化・形骸化・物象化された思考様式を捨てて、新しい思考様式を構想しようというわけです。

★その思考様式が新しい存在の在り方を創り出す、つまり未来を創り出します。そして、和洋九段女子の中3生の活動は、この新しい存在の在り方そのものを形作っています。

★マルクス・ガブリエルやカンタン・メイヤスーのようなせ新世代の気鋭の哲学者が描く世界は、あらゆるシーンが変わります。主体性という概念自身も変わります。そういえば、和洋九段女子の中3生の主体性は、コレクティブイなあるいはコネクティブな主体性で、自分ひとりの脳神経系内で化学反応を起こしている感じとはだいぶ違います。

★また、主体が対象とする客体も、流動的で複雑系です。今までとは違う主体的・対話的という感覚が生まれています。しかも学びも既存の知識の適用では収まり切れません。世界の矛盾についてクリティカルシンキングを発動し、その矛盾を解決する創造的思考を稼働します。問題解決といった場合、たいていは条件の欠如を埋めることを意味します。それが今までの近代のやりかたです。安宅さんが「手なり」というのはそういうことでしょう。

★なぜそんなやりかたが続いたのか?それは、矛盾を解決されてしまえば、近代の枠組みそのものに内在している矛盾が解決してしまい、近代の存在理由がなくなってしまうからです。

★和洋九段女子の中3生が探究しているSDGsは、条件の欠如や不足のみならず、この近代の矛盾を追い詰める活動だったのです。近代を成り立たせている矛盾=格差・ジェンダーギャップ・マイノリティの排除などを生み出す根源的問題の追撃です。

★近代化路線がそこは外部の問題として境界線を引いてあたかも問題はないかのごとく取り扱っていた空間です。ところが、その境界線を越境すると、そこに矛盾の波が洪水のようにあふれ出てくるのです。

★それを見て見ぬふりをしてきた近代人とそれを見て痛みを共有して、自分は何をするべきか、何ができるのか、そもそも私は何ものか、もはや近代人ではなく新しい人間であるとなっていくのでしょう。新しい人間の表象がシステムとして構想される時熟の到来ということでしょう。

★安宅和人さんの気づきやそれをもっと先鋭化し構想力に転換しているマルクス・ガブリエルのような哲学者らの登場と和洋九段女子の中3生のような活動が、互いに会ったこともないのに、共振共感の輪を拡大している時代がやってきているということなのです。そして、それに気づかなければ世界史の針がまたあの独裁者を生んだ時に巻き戻るぞと新型コロナウィルスは警鐘を鳴らしているのかもしれません。

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2020年2月22日 (土)

聖学院 感動の授業デザイン研究会 榊原先生の英語の授業 生徒自らが自分の存在の価値を見出す場

★昨夕、聖学院で座長の児浦先生は<授業デザイン研究会>を開催。多忙な時期であるにもかかわらず、聖学院の先生方のみならず、女子聖学院の先生方や静岡聖光学院の先生、株式会社カンザキメソッドの代表神崎氏なども参加。私もファシリテーターとして楽しませていただきました。

★今回は榊原先生の英語の授業をみんなでスクライビングして、多くの対話をしながらリフレクションし、最後は恒例の思考コード分析をしました。生徒自らが自分の存在価値や存在の輝きを見出す感動の授業。多くの共感を呼び、気づきの多い研究会となりました。2時間強あっという間でしたが、ゆったりとしたリズムで時が熟していく感じの対話でした。

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★最初の20分間で、榊原先生の授業に対する構えや具体的な授業、ペアワークの実践などについてプレゼンがありました。自身の授業を20分間で、理念から実践まで語り、実際にペアワークのミニワークショップをやって共感を広める素晴らしい編集がなされているのに参加者は皆驚愕でした。

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★映像あり、音楽あり、ロールプレイありで、授業そのものをイメージするのに十二分なプレゼンテーションでした。

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★榊原先生の授業同様、編集に創意工夫の入念な準備の質感を感じたという声もリフレクションの中ででてきたほどです。

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★プレゼンの後早速スクライビングです。いつもとは違い、今回は榊原先生のプレゼンを聞いた後、各チームでそのプレゼンの流れをみんなで協力しながら思い出してフローチャートを描き起こしていきました。今回榊原先生のプレゼンは体験的要素も入っていたので、そういう段取りになったのです。

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★チームでスクライビングを行っていると、対話が当然生まれるわけですが、そこではいろいろな角度から話が盛り上がっています。ホワイトボードにフローチャートに刻印しているときに、刻印されない大事な対話の内容があります。それを聴きながら、フローチャートが出来上がったところで、その大事な対話をもう一枚のホワイトボードにスクライビング(転写)します。

★スクライビングのポイントは、この幾重もスクライビングを繰り返すのですが、それはそのとき同時に話されている時にその場に生まれる大事な内容を拾い直すことです。

★だからこの研究会のワークショップの流れは微妙にいつも違います。ファシリテーターが必要なのもそういうわけです。

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★今回は、榊原先生が、学ぶことは何か得るための手段でない。テストの得点をあげたり、受験のためのものでも、就職のためのものでもない。そこから脱却したいのだというパッションのラグビーボールのパスがありました。

★参加した仲間は、ちゃんとパスを受け取って、そこを話していました。榊原先生は、生徒の授業に臨む<気持ち>をとても大事にしています。それが授業のプロセスのどのタイミングでどういう感情が生まれるのか仲間は対話しながらスクライビングをしていましたから、そこをもう一度スクライビングしました。

★フローチャートに沿って、「認知」「情緒」「行動」の3つの関係を対話して刻印していきました。

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★すると、当然またまた深い対話が展開していきます。その大事な部分を今度は分かち合いサークルで共有することになるのですが、その前に聖学院の学びの理論に照らし合わせました。

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★聖学院の授業実践は、独自のものですが同時に世界標準のものも考えています。そうでなければ生徒が社会に開かれていけません。そこで学習理論のリーダーでもある内田先生に、ここまでチームで対話されている内容いついて、SEL(ソーシャル・エモーショナル・ラーニング)やU理論などの鏡に反射してもらうことにしました。

★やはり、一般には授業で抜け落ちがちな生徒のフィーリングの部分がきちんと結びついているということが了解できると理論的なアプローチからも言えるのではないかと。

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★そのあとチームごとではなく、全員がサークルになって自分の想い・気づきなどを分かち合いました。静かな情熱と生徒への愛情がそこにはあふれ出たのです。もちろん、榊原先生は学習は<楽習>ですから、そこには笑いもたくさんありました。同時に榊原先生は<フロー状態>も大事にしていますから、分かち合いは深く没入していったのです。

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★その後、思考コード分析をチームごとにして、その分析したポストイットを一枚のホワイトボードに集約して、榊原先生の授業で、生徒はどんな思いを広げ、考えを深めていくのか一望できるようにしました。今までの対話が思考コードによってまた別の見え方になっていくからです。授業は多面的です。でも教師一人ではなかなかそれを意識することはできません。こういう場は本当に大切です。

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★榊原先生の中2の英語の授業は、かなり哲学的なエッセンスが埋め込まれ、ジョブスの死を直前にした存在論的なメッセージやグランドゼロなど世界の究極の痛みに直面したとき、人間はなお輝きを取り戻すにはどうするのか、生徒は考えるわけです。

★そして、そのことを世界中の人がニュースや哲学書だけではなく、ポップスやロックで歌い、YouTubeで語り掛け、授業で対話している姿を生徒と共有していきます。ICTを駆使して、教室はいつの間にか世界にワープしているのです。なんて感動的なのでしょう。

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★とはいえ、中2の英語の授業の単元は「現在完了」を学ぶ時間だったのです。実際には講演や歌の歌詞も活用していたので、仮定法過去も生徒たちは対話するパフォーマンスが仕掛けられていましたが、自分の存在を究極の時を迎えたときにどうとらえるのかというのを、現在完了や仮定法過去という言葉の時制で表現していくプログラムは理にかなっていると思いました。時制は単に文法的なスキルではなかったのです。人間は究極の経験をそうそうできるものではありません。

★ですが、その根源的な存在に触れることがなければ幸せに生きて行く気持ちを立ち上げられないでしょう。時を超えて過去に行ったり未来に行ったり、物理的に行くことのできない世界に行ったり。それには時制という言葉の法則が必要だったのです。榊原先生はその言葉の法則を使いながら対話するパフォーマンスをきちんとベースにしていたのです。

★それゆえ、思考コードの領域は、ドリル的なトレーニングの場からダイブして創造的かつ根源的な自己存在にまで至るバランスの良い授業であることが一目瞭然判明しました。

★思考コードの分析をみんなで囲んで一望しながらまた分かち合いサークルで対話をしていきました。自分の存在から世界へ行ったり来たりできるマインドセットがされていることが確認されました。中には、榊原先生の授業の隣で授業をやていると、音楽が流れていて、それに合わせて生徒が英語をガンガン言い合っていて、DJ英語授業だなぐらいしか思ていなかったけれど、こんなに深くでも英語のスキルを生徒が使いたくなるような工夫がされているなんて思いもよりませんでした。見直しましたというエールもありました。

★分かち合いサークルはリフレクションですが、その中には、参加者1人ひとりの想いも共有されます。自分の中で思い悩んでいたことも、自然と語ることになるシーンもあります。それを話しても安心な対話の関係が広がっているからでしょう。

★だからといって、どう解決するかその方法が語られるわけではありません。しかし、同じような想いでいる仲間もいることが了解できる共感的コミュニケーションの場は、再び自分が解決への道を歩く勇気を得られるかもしれません。あるいは、いっしょに歩いてくれる仲間が現れるかもしれません。

★すべての道は自分の内側からあふれでるのですが、それをせき止める壁がときどき現れるます。しかし、語って共感する仲間がいると実感した瞬間その壁が崩れるときもあります。

★感動の授業デザイン研究会はもう18回目を迎えているそうです。学校主催の研修会ではなく、ボランタリーな勉強会です。この継続自体奇跡です。続く理由は参加者にとってそんな賜物の場となっているというところにあるのだ感じ入りました。

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2020年2月19日 (水)

第4回新中学入試セミナー PBLと新タイプ入試が生み出す<自己変容型マインド>(了)2021年度中学入試が、日本を変える。ドネラさんの意志を継承。

★2019年度の21世紀型教育機構の加盟校の主催する最終セミナーは、和洋九段女子で開催されました。そして終わりは始まりです。2021年度中学入試に向けて、その新しい価値が生まれ、その価値実現のための新しい活動の企画が生まれました。

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★セミナー終了後、3時間くらいリフレクションしました。リフレクションと言っても、何か一つのテーマで議論するというより、1年間のセミナー開催のための準備活動やここまで実施してきたフォーラムやシンポジウムを振り返り、今回のセミナーが集大成になったことについてなど、感じたことや気づいたことなど想いをランダムに対話するリフレクションです。

★一人一人が遠慮せず、言いたいことを放つ拡散型なのですが、どこかのタイミングでそれならうちでもできるなあ、これもできるなあ、すぐにでもできるなあ、やってみようか、生徒が一番やりたがるなあとか、折り返します。

★<折り返す>。まさにリフレクションですね。折り返すとは往来です。外延と内包の往来が何回も行われていく。再帰的で入れ子のイマジネーションとロゴスの渦が起こります。いわゆるブレイクスルーってやつですね。

★それで、北氏ともその雰囲気が共振して、意気投合し、新市場に与えるインパクトあるじゃんとなる。応援するから実施したら情報交換しましょうと。ある程度魅力が受験生や保護者に共有できるようだったら、取材もありかもなどと波及していきます。

★そんなとき、北氏が私にボゾッと「2021年中学入試は、日本を変える」というのは現実味を帯びてきたのではないかと。北氏のジャーナリストの勘がピンと働いたようです。

★たしかに、今回は登壇者やパネリストの教師や生徒も全員がPBLを行えるメンバーだったし、新タイプ入試に直接かかわっていもいるし、なんといってもコアにはSDGsに立ち臨み、その活動の担い手であるパラダイムジェンレーターでした。

★<PBL―C軸思考―SDGs―パラダイムジェネレーター>の共起語の循環がセミナーの対話とワークショップを貫いていました。北氏にとって、この一貫性が新タイプ入試に色濃く広がっていくと新市場の意味や価値が極めて重要なブレイクスルーを起こすと洞察するのは難くないことだったでしょう。

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★1972年に、デジス・メドウズ教授がリーダーとなりローマクラブに委託された「成長の限界」を世に出しました。ここからグローバル・イシューに光が当てられ、強欲近代社会がもたらした環境破壊の警鐘が鳴らされ始めました。環境破壊は自然のみならず、社会の格差も作り、人間の精神も破壊してくほどの大きさになっていきました。

★もはや世界はリスク社会になってしまったのです。しかし、その警鐘を受けとめなんとかしようというのに時間がかかりました。それでも、“Sustainable Development”という言葉が、1987年に誕生しました。1984年に、「環境と開発に関する世界委員会(WCED)」が設置され、委員会は、1987年、報告書「我ら共有の未来(Our Common Future)」を発表して、これまでの議論やリサーチのまとめを報告しました。このときのリーダーがノルウェーの首相のグロ・ハーレム・ブルントラントさんです。

★首都圏では中学入試が一気呵成に広がる時期です。このときは、まだ中学入試はまだ、この動きに敏感ではありませんでしたが、国際理解教育というベースのある学校の入試問題や麻布や武蔵の創造的思考力を要する問題の中で、この地球規模の根源的な問題が取り扱われていったののです。それは当時は骨太問題として一部の学校の特徴的な問題でした。しかし、それが今や新タイプ入試の中にどんどん開花しているのです。この勢いは2021年はもっと大きくなるでしょう。

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★それにしても、「成長の限界」の主著者は、ドネラ・メドウズ教授でした。このレポートをまとめる調査委員会のリーダーであるデジス・メドウズ教授の妻です。ドネラ・メドウズさんと言えば、「世界がもし100人の村だったら」のアイデアを出した方です。2001年に亡くなられたので、本書の扉は、ドネス・メドウズさんに捧げると刻印されています。

★いずれにしても、今日のSDGsの流れを創発して持続可能にしたのは、この2人の女性でした。世界の痛みの中に投げ込まれていた女性がその根源的な痛みという問題を解き明かし、世界を巻き込んで解決する契機をつくったことは確かです。そして、その意志を継いでいるのが、和洋九段女子のZ世代の生徒だったというのが、ワークショップでみな体験したわけです。

★しかも、ドネラ・メドウズさんの研究方法は「システム思考」でした。自然と社会と精神の循環を探究する創造的思考の土台は、このシステム思考です。ドネラさん亡き後、大親友のあのピーター・センゲが「学習する組織」の1つの柱としてこのシステム思考を埋め込みました。

★この「学習する組織論」こそ、私たちが実践しているPBLのプロトタイプです。21世紀は女性の時代です。21世紀は教育の時代です。21世紀は強欲資本主義を解消するAI共創を生み出すC軸思考=システム思考の時代です。SDGs、PBL、C軸思考=システム思考が、すべて今回のセミナーで出遭ったのです。

★そして、このSDGs×PBL×C軸思考=システム思考が一塊になって新中学市場に広がるのです。

★北氏の瞬間に見抜いた洞察力が拓く世界は、パラダイムチェンジメーカーたちが協働し合う社会なのではないのでしょうか。みなさん、いっしょにそういう世界を創りましょう。新中学市場は偏差値競争社会ではなく、ドネラさんの考案した共創社会の構想力を生み出す場となるのでしょう。共に!

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第4回新中学入試セミナー PBLと新タイプ入試が生み出す<自己変容型マインド>(8)アクレディテーションが日本の教育を変える。

★セミナーのファイナルプログラムは、21世紀型教育機構をサポートするアクレディテーションチームからの加盟校の21世紀型教育の品質保証の調査報告でした。チームメンバーは、鈴木裕之氏(GLICC代表)、福原将之氏(株式会社FlipSilverlining代表)、神崎史彦氏(株式会社カンザキメソッド代表)です。

★鈴木氏と福原氏の紹介はすでにしているので、神崎氏の紹介をします。

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★神崎氏は、超有名なAO入試・推薦入試・小論文指導のスーパーリーダーです。リクルートの情報誌「キャリアガイダンス」の連載コーナーももっています。そのテーマは「小論文で創造的思考を育成する」です。つまり、神崎氏も<C軸思考人間>です。

★機構内では、主にディプロマポリシーの領域でサポートを行っていますが、探究やPBLのスペシャリストでもあるので、カリキュラムポリシーでもアドバイスをしています。ベースが大学入試領域ですから、中学入試というアドミッションポリシーでは、鈴木氏、福原氏と協力しています。

★鈴木氏は海外大学準備教育のエキスパートだし、福原氏はコンピューターサイエンスのエキスパート。3人とも探究やPBLを得意としているところは共通です。もちろん、流儀はそれぞれ特徴がありますが、<思考コード>という思考マップを広げる点に関してはやはり共通しています。

★3人の多角的な視点によって、21世紀型教育機構の加盟校の21世紀型教育の質がエンパワーメント評価されていくわけです。当日は詳細なデータが公表されましたが、企業秘密の部分もありますから、ここでは一枚だけ掲載しておきましょう。

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★9つのゴールが設定されていて、詳細ゴールが100弱あります。3人がフィールドワークしながら質的評価をしながら、スコア化して可視化する量的評価に転換します。国際バカロレアの評価方法と近似していますね。

★大事なことは、エンパワーメント評価です。あなたの学校はここまでしかできていないという偏差値的な輪切り評価はしません。強みと弱みは、スコアにするとわかりやすいので、その点について、それぞれの加盟校の21世紀型教育コーディネーターと対話します。そして、コーディネーターはそれを学内に共有していきます。

★今回のようなセミナーやカンファレンス(ほぼ毎月実施している)以外に、年に2回機構の定例会があります。そこで加盟校の互いの状況を共有します。自分の顔は自分でも見えますが、互いに対話して共有することで、すてきな部分を新たに発見できるものです。今のところ、この刺激はシナジー効果を膨らましています。

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★和洋九段女子の伸び率も公表され、同校のPBLの成果が第三者によって裏付けられた一つのエビデンスとして参加者も受け入れたことでしょう。

★それから、大事なデータが公開されました。それは全体項目の伸び率と授業3項目の伸び率の相関が見事にあるという結果です。やはり、学校の教育の質の要は授業だったということです。つまり、入試問題は学校の顔であり、その顔は授業だったということでしょう。

★ところで、「アクレディテーション(適格認定:Accreditation)」という言葉は、聞きなれない方も多いでしょう。現状日本では、大学の評価を第三者評価機関に委託していますが、その評価項目は大学ごとによって違っていて、公開して共有して切磋琢磨しているわけではありません。文科省のチェックを受けているという感じです。補助金獲得のためにというのが目的になってしまっていて、教育の質は二の次です。

★したがって、その項目も、教員資格・研究活動・学生の受入れ・学習資源等に関する外延的な量的なチェックで、内包的な教育や研究の質の項目は見られていません。官僚主義的役割ですね。これでは、学生の存在そのものに対する影響がどのくらいあるのかよくわかりません。

★これは文科省が初等中等教育から高等教育まですべてコントロールする近代官僚主義の弊害なのかもしれません。

★初等中等教育でも学校関係者評価とかやっていますが、第三者評価機関に委託するところまではいっていないでしょう。私もいくつかかかわったことがありますあ、自己都合で自己完結型で、PDCAサイクルで学習指導要領のミニマムは保証されますが、それ以上でも以下でもありません。再現システムでアップデートのためのエンパワーメントシステムではないのです。

★21世紀型教育機構は学習指導要領は無視しませんが、海外の名門校をモデルにしてそれを超えようとしていますから、世界標準のアクレディテーションシステムが必要だったのです。このような活動がもっと明快になれば、海外のエスタブリッシュスクールのボーディングに加盟してそこのアクレディテーションも活用できるようになるでしょう。ここまでこないと本当の意味でグローバル教育とは言えません。工学院と八雲、文化学園大学杉並はその兆しがすでにあります。

★閉鎖空間で、官僚主義的チェックを受けて、うちのグローバル教育凄いだろうといったところで、ナルシスティックで世界は相手にしないでしょう。

★そういう意味では、中学入試市場は首都圏模試センターがアクレディテーション機能を果たしています。偏差値も含めて多様な評価軸や多角的情報を公開して、市場のプレイヤーと共有しているからです。この情報を分析して、各学校も学校選択者も質について考えることができます。

★偏差値だけで評価しているシンクタンクや情報編集者は偏っているので、いくら偏差値の精度が高くても、多角的な情報を提供していない限り、民主主義的にはアウトなんです。果たしてそのことに気づけるかが2021年以降の中学入試のシナリオが決まるのですが、新タイプ入試の増加はなかなかよいシナリオを描き実現するのではないでしょうか。

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第4回新中学入試セミナー PBLと新タイプ入試が生み出す<自己変容型マインド>(7)パネルディスカッション新しい意味

★今回のパネルディスカッションは、ある意味唯一無二の場でした。というのも、1つには、モデレーターも、パネリストの先生方も、北氏も、生徒さんも全員がPBLのファシリテーターやジェネレーターを展開できるメンバーだったのです。PBL型授業を先生方は展開するのですが、最初は生徒さんはそれに乗っかっていたわけですが、今では生徒さんもプログラムを開発するしファシリテーターもやります。何より自分の探究を私の<プロジェクト>として、<私たちのプロジェクト>として、<世界のプロジェクト>としてクリエイティブに深めていけるのです。論より証拠、ディスカッションの前にワークショップをやってのけたわけです。しかもミニワークショップにショートカットする臨機応変な「野生の思考力」を発揮したわけです。

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★唯一無二の2つ目の理由は、先生方も北氏も生徒さんも、ワークショップを行う時に、<思考コード>や<メタルーブリック>を意識できるのです。<思考コード>や<メタルーブリック>の中身はそれぞれの組織によって理念や目的が違うので、それに応じて当然違うわけですが、創造性がC軸に位置しているということは一致しています。つまり、モデレーターやパネリストは全員<C軸思考人間>だったのです。

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★そして、C軸思考人間が創造力の翼をのびやかに広げられるには、ある絶対的条件が必要になります。それは相対性理論において光の速さは絶対不変なのと同じぐらい重要なのです。新井教頭の場合は、<安心安全の場>をつくりつづけることだし、児浦先生にとっては、<Cゾーン:コンフォートゾーン>という場を開示することだし、田中歩先生にとっては<共感的コミュニケーション>をナチュラルに生み出すことだし、北氏にとっては<多様なモノサシによる新中学受験市場>を創発することです。生徒の皆さんにとっては、<多様なネットワーク>を内外にコネクトしていくことです。

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★だから、パネルディスカッションは、議論するというより自分たちの想いを深く互いに語る対話になっていたのです。田中歩先生が生徒の皆さんに質問した時も、生徒のみなさんは、考え込まずに、瞬発力を発揮していました。野生の思考が展開していたわけです。

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★まさに、対話は潜在能力を互いに引き出す場だし、思考はその対話をリフレクションして潜在能力をさらに豊かにする過程です。対話という外延が潜在能力という内包を外に引き出し、思考は引き出された外延を内包に還元するという相互作用です。対話と思考は二元論や二項対立ではありませんが、単純に言葉の置換ではありません。外延と内包の往来を通して自己変容を生み出す創造的な弁証法なのです。

★そんなことを気づかせてくれるすてきな場でした。そういえば、J.S.ミルが「自由論」で、「表現の自由」といったとき、そこがどこで行われているのかと言うと、「ディスカッション」ででした。自由とは、まさにこうした「共創」の自由であって、自由「競争」を必ずしも言うわけではないのかもしれませんね。

★さて、新井先生の「PBL入試」の話や児浦先生の「思考力入試」話、および田中歩先生の「共感的コミュニケーション」の話などについては次の記事を参照していただければ幸いです。

〇和洋九段女子 入学手続き者前年対比150%!創発型PBLが生み出す生徒の良質活動支持される!

〇聖学院の思考力入試 市川理香氏の感動取材!12歳の男子が発揮する内なる力を目撃!

〇12月15日21世紀型教育カンファレンスを終えて(06)工学院 21世紀型教育機構の理論的支柱として実践モデル構築

 

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第4回新中学入試セミナー PBLと新タイプ入試が生み出す<自己変容型マインド>(6)パネルディスカッションへ

★北氏と中込校長の2つのキーノートスピーチと和洋九段女子の6人の中3生ファシリテーターによるSDGsすごろくワークショップのあと、今回のリフレクションタイムがやってきました。名モデレーターの鈴木裕之氏(GLICC代表・21世紀型教育機構事務局長)のもとパネルディスカッションが一般的な感じとは違う雰囲気で進行しました。清々しくそして深く。大テーマは「中学入試が教育を変える」でした。その要因の一つとして「多様な中学入試とPBLの未来への役割」があるというのがメインテーマでした。

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★パネリストは、北一成氏(首都圏模試センター取締役・教育研究所長)、新井誠司先生(和洋九段女子教頭)、児浦良裕先生(聖学院21教育企画部長・21世紀型教育研究所リーダー)、田中歩先生(工学院教務主任・21世紀型教育研究所リーダー)、和洋九段女子中3ファシリテーターの生徒6人でした。

★パネルディスカッションの中身及び様子については、鈴木氏が自ら21世紀型教育機構のサイトに掲載しています。<第4回「新中学入試セミナー」in 和洋九段ー自己変容型マインドセットが育つPBL>がそれです。セミナーのダイジェストなのに、簡にして要を得た感銘的な記事です。さすが言語思考の達人鈴木氏。氏の主宰するGLICCは、21世紀型教育の学びを中心としていて思考力とグローバル言語力を学ぶ機会がマインドセットされています。スタッフの多くがネイティブスピーカーとGLICCで大学に合格した帰国生がサポートしています。門を開けば、そこの公用語は英語です。世界をつなぐサイバー上の哲学対話ワークショップ授業が中心でもあります。

★3月はヨーロッパ縦断教育講演会ツアーに出るそうです。

★それから、アクレディテーションチームのコーディネーターでもある福原将之氏(株式会社FlipSilverlining代表)も、今回のセミナーの報告レポート記事を自身のブログ「科学カフェ」で詳細連載中です。福原氏は、もともと東大大学院で宇宙物理の研究をしていて、子供のための宇宙科学のワークショップも定期的に開催しています。常に満席の人気のワークショップです。

★そして、何よりコンピューターサイエンティストです。ですから、その記事はサイエンス論文さながら格調高くそれでいて読みやすいですね。工業化時代から修正工業化時代を経て脱工業化時代に転換する科学史的な発想、つまりリベラルアーツの素養を背景にブログは書かれています。世界のコンピュータサイエンティストが、日本ではリベラルアーツを学んでいないコンピュータサイエンティストが多いと嘆きます。それがコンピュータサイエンス分野で世界に遅れを取っている原因なのだとまで言われています。その点福原氏は世界標準のリベラルアーツのモノサシをもったコンピュータサイエンティストです。

★というわけで、パネルディスカッションの様子や内容についてはお二人のブログをぜひご覧ください。私の方は、今回のパネルディスカッションで気づいたことを書くことにします。(つづく)    

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