成城学園

2021年8月29日 (日)

工学院の卒業生仲野想太郎さんとの対話

★今年工学院大学附属中学校・高等学校(以降「工学院」)を卒業生て大学に進学した仲野想太郎さんとZoom対話をしました。以前、田中歩先生とのつながりでインタビューをしたことがあったということもあり、総合型選抜で入学したその後の話を聴きたいと思ったからです。やはり、思った通り、総合型選抜の準備に取り組む背景になった実践的学びが生きていました。

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★その理由は何か?またつくづく工学院の教育は先進的で、大学や社会で役立つベースができるという話にも花が咲きました。

★そして、何より田中歩先生をはじめ同校の先生方が<共感>という言葉や行動を大切にしているように、仲野さん自身もまた<共感力>に満ちていました。

★中高一貫校の質は、6年間だけでは完全にはわからないとしみじみ感じ入りました。

★仲野さんには、GLICC Weekly EDUに登壇していただくことになりました。卒業生が語る工学院、総合型選抜が大学生活を豊かにするなどなどまだ未定ですが、そのようなことを対話できると思います。新しい切り口の学校選択の話やどの学校でも、受験生も知りたい総合型選抜の取り組み方を明快に語る仲野さんの登壇をご期待ください。

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2021年6月11日 (金)

成城学園(03)青柳先生の授業の挑戦 思考コード×対話型論証×ピア

<GLICC Weekly EDU 第32回 青柳圭子先生との対話―成城学園「革新的伝統と革新的未来」>で、青柳先生と対話した際、授業の話題が当然出たわけですが、思考コードと対話型論証、そしてピアによる議論を組み合わせた新しい「主体的・対話的で深い学び」を展開されているということでした。画期的授業です。

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★たいていの場合、国語の授業では、各単元終了後、ファクトとオピニオンをそれぞれ考えて小論文を作成するという授業が多いわけです。多いと言ってもアクティブラーニングやPBLでない場合は、最後の小論文を作成するところまではいかないでしょう。

★ですから、「たいていのアクティブラーニングやPBLのような授業では」と条件をはっきりさせたほうがよいかもしれません。

★さて、どこが画期的かと言うと、このような小論文は、まだ思考コードでいえば、B2くらいですが、青柳先生はそれをC3に変換するためにトゥルーミンモデルによる「対話型論証」を活用します。

★ファクトとオピニオンで論じている中にある根拠を反証する議論をするわけです。もちろん、個人ワークでもそこまで一人で行うことはできますが、それでは、素朴な反証しか出てこない場合が多く、予定調和的です。

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(青柳先生との対話で本間が独断と偏見でイメージした図)

★そこで、青柳先生は、反証者(あ)、(い)、(う)・・・というように多様なピアで議論していこうというのです。

★自分の枠を仲間と協働して開放するわけですから、B2レベルからC3レベルに飛ぶ可能性が大です。

★もともと、成城学園は、最初からピアという関係性から学ぶシステムになっているようです。

★したがって、この思考コード×対話型論証×ピアという3つを一体化させる学びを展開するのは自然な流れなのかもしれません。

★とにかく、青柳先生は熱心にリサーチされます。そして、多くの先人の知恵を受容し、独自の授業として構成していくわけです。

★一度小学校から大学までの成城学園の先生方と対話をしたことがありますが、みな青柳先生と同じように、研究熱心で、共通の基準を探りながら、独自性を発揮していく進取の気性に富んだ才能の持ち主でした。

★教師どうしの在り方がすでにピアとしての存在です。

★成城学園のこのような教育は、自主自立を立ち上げられる個人が成長する場でありますが、その個人は<ピアとしての自己存在>だと思います。そしてその<ピアとしての自己存在>である生徒同士が対話型論証を協働していくのですから、学びのシナジー効果が溢れでるのは必然です。成城学園の雰囲気が魅力的なのは、その背景にこのような学びで満ちているからでしょう。

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2021年6月 5日 (土)

成城学園(02)近代的自我から出発しない第三の≪私学の系譜≫

青柳圭子先生と対話していて、成城学園の自学自習や自治自律、個性尊重ででてくる自己は、近代的自我ではないなあと気づきました。明治期の≪官学の系譜≫と対峙した≪私学の系譜≫には2つあると思ってきました。1つは、内村鑑三や新渡戸稲造、天野貞祐、河井道などのクリスチャン私学人や京都学派の流れをくむ私学人の系譜。もう一つは、官僚内部から日本近代社会を自浄しようとした高橋是清のような私学人の系譜だと思っていました。≪官学の系譜≫にしても二つの≪私学の系譜≫にしても近代的自我をめぐり、その乗り越えの方法の差異だと思っていたのです。

★しかし、青柳先生との対話を通して、澤柳政太郎を創設者とする成城学園は、クリスチャンや哲学者ではなく、教育思想家の影響を受けていて、近代的自我そのものから出発していなかったということに気づきました。つまり、第三の≪私学の系譜≫なのだと。

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★というのも、大正自由教育の時代は、すでにフッサールの現象学がありました。フッサールだけが感じていたのではなく、ペスタロッチやデューイもおそらく近代的自我から出発したのでは、「児童中心主義」はうまくいかないと感じていたに違いありません。経験や直観を大切にしていたのが何よりだし、ディスカッションや協働活動を大切にしていたのもその証拠だと思います。

★つまり、外から見たら個人なのですが、内面はインターサブジェクト(相互主観)的な存在が構成されているというところから出発していたのでしょう。

★私たちの内面は、自然に触れたり、他者と対話したり共同作業をしたり、そこに道具が介在して、それら全体が構成されてできているという構成主義的な考え方です。プロジェクト学習を、デューイをはじめ多くの教育者が提案し、実践してきました。ドルトン・プランもその一つでしょう。

★成城学園もその影響を受けますが、日本の当時の官学は、ヘルバルト主義ですから近代的自我の形成のための5段階インストラクションシステムです。実は、これはどういうわけか、創造的プロセスが削除されて、「基礎→応用→発展」という教授法になってしまいます。

★ヘルバルト主義でも創造的な要素を想定していたのです。しかしながら、それは5段階の枠の中での創意工夫ですから、近代国家の制度をはみ出すわけにはいかなかったのでしょう。近代国家を作ろうとしている条件下での教育で、はやくも崩すわけにはいかなかったという気持ちはわかります。

★ところが、官学でも師範学校では、創造性を維持したヘルバルト主義とデューイのようなプロジェクト学習を融合するような日本独自の教授法が生まれます。奈良女子の木下竹次の学習現論などはどうもそのようです。

★おそらく澤柳政太郎は、国の文部政策や大学にもかかわっていましたから、同じように両方のよいところをアレンジしていたはずです。

★それこそが、当時の日本の歴史的条件の中で、子どもたちが幸せに生きる道を最適化したのだと思います。近代的自我がいかなるものか哲学的に前提とするのではなく、現実の中で子どもたち自身が生きていく内面的エネルギーをどう生み出していくのか、それには相互主観的な個性が大切だったのでしょう。

★もちろん、これらは憶測にすぎないので、引き続き青柳先生と対話をしていかなければならないのですが、成城学園の教育指標が、個人から始まるのではなく、ピアから始まったり、青柳先生の対話型論証という反証可能性を内包した対話と言うことは、近代的自我の発想ではもはやありません。この今の成城学園の教育の根っこが澤柳清太郎にあったのだとしたら、やはりそれは第三の≪私学の系譜≫の流れだからでしょう。

★そんなことを妄想しているわけですが、いかがでしょうか(汗)。あくまでアブダクション的思考ということで。。。

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成城学園(01)青柳先生と成城学園の革新的伝統と革新的未来について対話する

★昨夜、<GLICC Weekly EDU 第32回 青柳圭子先生との対話―成城学園「革新的伝統と革新的未来」>で、成城学園の広報部部長の青柳圭子先生と対話をする機会を頂きました。先生とは以前から思考コードと成城学園の教育指標のコンパラティブスタディーをさせて頂いたり、新たな私学の広報の在り方などについてご教示いただいたりしています。

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★また、青柳先生は、そもそも成城学園自身が大正自由主義教育の拠点であるということもあり、日本の近代教育に新たなページを開いた同学園創設者澤柳政太郎についても研究されています。当時やはり教科としては国語教育が新しい学習理論の風を巻き起こしていましたから、国語科教諭であり、大学でも教鞭をとっている教師の教師として、青柳先生はデューイやペスタロッチなどの影響を受けたはずの当時の成城学園の国語教育もリサーチし、その革新的伝統を引き継ぎながら革新的未来を拓く新しい国語教育の理論を実践の中で脱構築しています。

★今回は、そのような教育の歴史に学にながら、革新的伝統を現代化している成城学園の教育についてもお話を聞けるチャンスもいただきました。そこに確かに革新的未来があると実感しました。詳しくはぜひYouTubeをご覧ください。成城学園の歴史的功績と現代そして未来においていかに意味があるか目からウロコとなるでしょう。青柳先生、お忙しいにもかかわらず、気づきの多い機会をありがとうございました。

★本ブログでは「成城学園」というカテゴリーを新たに追加し、第三の≪私学の系譜≫としての意義を今後もメモしていきたいと思います。

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