高校入試

2024年2月25日 (日)

22世紀型教育準備へ(18)WMWを生成していくシステム 21世紀型教育研究センター

★先日の21世紀型教育機構のカンファレンスの開会あいさつで平方邦行理事長が22世紀型教育の準備というのは、WMW(World Making Wisdom)を生徒の成長の核となるようなシステムを創っていく道のりであると述べました。C1英語とかPBLとかSTEAMとかグローバル教育は、一定水準のレベルまでできあがったので、次は、大学に行って学問を学ぶにしても起業するにしてもNPOで活躍するにしても政治家になるにしても何になるにしても、地球市民として当然のWMWを身につけようと。地政学リスク、気候変動リスク、ハラスメントリスクなどがグローバルクライシスとなっている今、そしてそれはまだまだ続くと予想がされているわけで、それを回避したり解決したりするのは、学者だけではないし、企業人だけでもないし、政府だけでもないし、NPOの方々だけでもないし、医療従事者の方々だけでもなく、私たち一人ひとり地球市民としての叡智と言動が重要なわけです。この叡智や言動は、学問知よりもタフで幅広いダイナミズムを持っています。もちろん専門的深さは学問知に任せる以外にほかはありません。

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★そして、そのカンファレンスのディスカッションのセクションで、工学院の教務主任田中歩先生は、平方先生の話を受け、もう一度それをやっていくのだとさらりと宣言していました。歩先生は、21世紀型教育研究センターの主席研究員でもあるので、センターでWMWセミナーを21会加盟校の若手教師(SGT)と共に行っていこうとしています。アプリ的なところは一般財団法人日本私学教育研究所の伊東竜さんもサポートしてやっていくということです。

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★上記の図は、21会の学校の先生方がグローバル教育、PBL、STEAMでやってきたことを、私の独断と偏見で抽象化してみた図です。オレンジの環以外の部分は先生方がすでに行ってきました。ですから、オレンジの環、つまり哲学シンキングとクロスクエスチョンの循環をシステム化することで、このWMW創発の持続可能性が生み出せるという発想です。

★哲学シンキングは、おそらくトウールミンモデルと思考コードの内生的技術のシステム化になると思います。クロスクエスチョンはグッドマンモデルと思考コードの内生的技術のシステムになり、その両システムは当然融合します。極めてシンプルな発想ですが、世界初となるでしょう。しかも、21会の加盟校は、グローバルと言ったとき、欧米とアジアや他の文化も融合した発想を目指しています。このWMWはそんな位置づけになっていけばよいなあと思っています。

★実際にセミナーが始まったら、私も見学に行くので、いずれ報告します。

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2024年1月22日 (月)

入試のシーズンに出会う受験生の保護者との対話 One Earth 22世紀型教育へ

★入試のシーズンになると、ときどき受験生の保護者と出会い対話になります。私は塾を経営しているわけではないので、直接受験生の保護者とつながっているわけではありません。ホンマノオト21やfacebook、GLICC Weekly EDUの動画などで興味と関心のある方から連絡をいただくわけです。受験相談というわけではありません。結果的にはなるのですが、まず共通しているのは、その保護者の方々は、学歴社会で勝ち組になっていろいろな領域で活躍されている方々です。にもかかわらず、いやだからこそなのかもしれませんが、私と会いたいという理由は、相も変わらず私が同じことばかり述べている偏差値にこだわらずとも、自分の成長物語を描ける、自己変容物語を創出できる学校はいっぱいあるのだという考えに共感するからだということのようです。

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★「2024年の能登半島地震を私たちは遠くの出来事では済まされない。1995年阪神・淡路大震災以降、震度6以上の地震は、日本で30回前後起きているはずだ。そのたびに、自然と社会が共生できないために二次災害が凄まじい。人間の身体と心と人間関係の喪失は甚大です。」

★お会いする保護者は実際にそういう社会や世界をなんとかしようと自分できるところからはじめている方も、世界に飛び立っている方もいます。医療従事者の方もいて、コロナ禍や災害時に本当に頭が下がる活動をされている方もいます。

★そのような方々が、これからの社会や世界を創っていける知性と感性と身体性と地球を丸ごとケアできる精神性を身につけられる学校はどこか、なんなら創るにはどうしたらよいかというのです。

★いわゆる御三家はリスペクトするけれど、自分の子どもたちは、One Earthとしての東京に立っているのだから、学びに国境はないのだと。そもそもイノベーティブな方々ですから、クリエイティブティやオリジナリティを生み出せる学校を求めるのは当然です。

★しかし、バックキャストする時の起点は、22世紀です。12歳の中学受験生、15歳の高校受験生は、76年後も活躍している可能性が高いのです。そのときにはさすがに高齢者ですから、22世紀の世界を創る壁になるのではなく、22世紀世界を開く智慧者(知性・感性・人間関係・身体性・精神性など全体を包括)になっていて欲しいと。

★少なくとも自分たちは、今年昭和99年(元号が変わらなければの計算)を迎える。いつまでも、20世紀型の成功体験を振り回すのはやめたい。偏差値第一主義は、まさにそれですよねと。

★22世紀型教育を準備できる21世紀型教育スクールはどこですか。それとも創りますか。議論は広く深く進みます。

★52年前に、「成長の限界」と「かけがえのない地球」という書籍が世に出ました。戦後の世界秩序が大きく変わる一撃でした。1989年まで、17年かかりました。SGDsまでに43年かかりました。そして、2024年ポーラーシフトが起きています。グローバルサウスのダイナミズム。今度こそ多次元の矛盾を解決してOne Earthをケアしなければなりません。大量消費・大量生産・大量移動から適性消費・適性生産・適性移動へ。AI時代はそういうポーラーシフトができる智慧を生み出す必要があるし、求める方々はたしかに存在していることに身が引き締まります。

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2024年1月21日 (日)

明日22日東京高校推薦入試始まる 潜在能力を見出す入試 見えない壁をぶち破る高校生活へ!

★明日22日から東京の高校では推薦入試が始まります。推薦入試は受ければ必ず合格するというわけではないのですが、合格すればその学校に進むことが前提になっていますから、高校受験生は、その学校の説明会やオープンキャンパスに足を運び、自分の思いとマッチングするか思い悩みながら最終的に選択します。自分ががんばってきた部活や芸術活動、外部検定試験やコンテストなどでの活躍なども、高校の先生にアピールしながら、高校を選んでいきます。高校は、中学の担当の先生から提示された成績や活動のポートフォリオとその生徒のアピールなどを総合して、推薦入試の結果と合わせて合格判定会議を行います。

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★学校によって確かに、合格判定のプロセスは違うでしょうが、この推薦入試は、多くの場合受験生の潜在的な能力を見出す入試でもあります。もしかしたら、このことが一般には理解されていない可能性があります。というのも、「成績」というもののメインがどうしても国語・数学・英語・理科・社会などの5段階の成績スコアが中心になっているからです。

★もちろん、学力の3観点で評価されていますから、知識・技能以外に、思考力・判断力・表現力等や学びに向かう力や人間性等総合的な評価がスコアに反映することになっています。しかし、たとえば、「計算を頑張って立ち臨んだり、計算の創意工夫をしたり、計算の正確性を増す表現力を生み出したりする能力など」は、3観点で評価しているわけですが、それは結局計算テストのスコアに換算されます。

★この「計算」を「漢字」や「社会の知識」「英単語」「理科の知識」などに置換えても同じことがいえます。学習指導要領に適った学力の3観点別評価が成立しています。

★いやいやそれでは、「思考力」はどうなっているのかと言われるかもしれません。もちろん、「知識」をつなげたり、「計算」を使って応用問題を解いたりということも含みますから、それは「思考力」だとみなすことができます。

★たしかに、多くの知識をインプットし、知識どうしをつないで、それをアウトプットすれば、そして、そのアウトプットが信頼性があるのか妥当なのかメタ認知でチェックすれば、知識・技能、思考力・判断力・表現力等を生徒は使っています。そして、真面目に取り組めば、しかも協働的に議論などして取り組めば、学びに向かう力や人間性なども評価されるでしょう。

★しかし、これは、「思・考・動コード」に照らし合わせると、A1とA2の領域だけでもできるのです。思考力・判断力・表現力といっても、限定的な領域のものを思考力などがあると評価しているにすぎないのです。多くの場合、このA1・A2領域の枠内でスコアが決定しています。受験生の皆さんは、そのことに気づいていないと思います。自分の才能は、9つの領域の組み合わせによって自分らしい才能が湧き出てくるのに、A1とA2の2つの領域に限定されて、スコアがでてきます。この2つの領域で、偏差値化されているわけです。

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★推薦入試は、高校受験生の潜在能力がA1A2を超えてどのくらい広がっているのかその可能性を診る行為なのです。ですから、たとえば、成績スコアが、3.0前後の場合、偏差値でいえば50前後ですが、それはあくまで、A1A2の領域での自分の学びの評価で、他の7つの領域については、そのスコアに反映していない場合がほとんどです。

★ですから、他の領域の潜在能力を生徒共に発見し拡大していく教育環境デザインがなされている学校を選べば、卒業時に、そのような偏差値を乗り超えてしまうことができるのです。

★上記の「思・考・動コード」に赤点線があるでしょう。これは、自分の思いの見えない壁を示しています。自分の才能をある領域に限定されていたり、無意識のうちに自分で限定して、本来もっと違う広がりを持っているにもかかわらず、その中でランキングが競われて、自分が真ん中ぐらいにいると、自分はたいしたことないと自信がないと思わされてしまって鬱屈する気持ちになるでしょう。しかし、そんな目に見えない壁はぶち破ればよいのです。潜在能力はもっと別のところにあるのだと自分を奮い立たせてください。

★ぶち破らないと、君の思いは鬱屈したままで、危険です。しかし、ぶち破ればよいと気づいたとき、勇気と元気が生まれてきます。チャレンジして、ぶち破れば、開放感・解放感が生まれてきます。そのためには、領域を超える仲間と協働することもあるでしょう。まずは能動的になる必要もあります。しかし、自分がどの領域にとどまっているのか気づかなければ、能動的になかなかなれません。受動的なままです。

★その気づきは、授業の中、部活の中、行事の中、国内外の研修の中で生まれます。その学校の教師がファシリテートしたり、コーチングをしたり、プロデュースしたり見守ってくれます。気づいて、自分の潜在能力を広げれば、偏差値はいくらでも超えられます。実際そのような成長をしている高校生はたくさんいます。君自身もそうなれます。

★何せ、そのような教育環境デザインを創っている学校はたくさんあります。自分の潜在能力に気づこうとすれば、自ずと適えられます。そのような学校との出会いを信じて、明日頑張って欲しいと思います。

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2024年1月15日 (月)

聖パウロ学園高等学校 推薦入試出願始まる。

★東京は、中学入試の出願が10日から始まっていますが、高校も本日から推薦入試の出願が始まります。大学も共通テストも終わり、一般選抜に本格的に突入します。入試沸騰の時期がやってきました。聖パウロ学園も高校の推薦入試の出願が始まりました。昨夜は、暖冬の東京エリアだというのにパウロの森はうっすらと雪が積もったようです。清々しくも緊張感ある聖なる空間に聖パウロ学園があることに改めて気づきます。

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★聖パウロ学園は、小島綾子校長、勝俣副校長、大久保教頭、松本主幹が、長い間教育の質の種をそれぞれ植えてきたのが、2023年になって芽が出て、一斉に花開いた雰囲気です。

★グローバル教育もスポーツをベースにした健康教育、経験と思考の化学反応が次々と生まれている探究。これらが一体となって相乗効果が生まれています。

★パウロの森を拠点に、身体の健康、心の健康、人間関係の健康が形成され、それをベースに自然と社会と精神が分断されたときに生まれる社会課題を解決する方法を深く考える授業と探究活動が出来上がってきています。

★それは説明会の時に体験授業に参加して共感の輪を広めています。

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★しかも、授業で頭の中で構築するだけではなく、数多くのボランティアや国際的な交流でアクションすることによって、最初考えていた自分たちの考えがまだまだリアリティがなかったことに気づき、内省を広げ深めていく体験が1年中あるわけです。

★結果的にそれは総合型選抜などの新しい大学入試制度にもマッチし、それぞれが大学へと羽ばたいていきます。

★自然というのは、人間がどんなに考えや想い広げても、その努力をし続けないと、まだまだだと覆し、その惨事が凄まじいことになるのを今年私たちは再び思い知らされました。国や自治体に任せるだけではなく、私たちの想いや考え、行動を持続可能にすることが肝心だということでしょう。

★自然と社会と精神が結合する知恵を学び続け体得し続けることがSDGs達成年2030年までに必須です。もちろん、その後も同様です。

★ここに向かっていかなければ、今の高校生が100歳になった時、22世紀の未来はwell-bingになっていないでしょう。聖パウロ学園の都心から・人里から離れた森のキャンパスで成し遂げるミッションは、八王子の東京の首都圏の日本の世界の、そしてやがて宇宙の核たるミッションとなるでしょう。

★身近なところからのパウロの思考型教育。その向こうにはこんな人類のもっとも重要な使命を果たす知恵を生み出す地平があるのです。

★そんな教育の前に、偏差値という辺境の島国だけに通じる尺度は、何も測ることができないのです。

★しかし、そのことに気づく感受性の豊かな生徒はまだまだ少ないですね。だから定員80名という少人数規模の学校なのです。量より質を大事に、個別最適化と協働的な学びが完全に一体化しているのです。そうそう今週から教師も生徒も生成AIの使い方研修があhじまるということです。パウロ受験生のみなさん、君の想いと考えと行動が、近い将来とても大事なことだと注目されることになるでしょう。共にパウロですてきな自分物語を書きましょう。

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2023年12月 5日 (火)

今後の中高における生成AI活用の重要性

★「授業に生成AI」大学の3割開始、使う力育む 日経調査(日本経済新聞 2023年12月2日 5:00)」に次のようなリード文がありました。「日経新聞が9〜10月に実施した全国の大学学長へのアンケートで、学部教育での生成AI活用状況を尋ねた。31%の164校が活用中、11%の61校が活用予定、検討中や未定の大学が43%の224校あった。未活用や予定がない大学は13%の68校だった。」

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★この勢いは止まらないでしょう。「収穫加速の法則(進化の速度は本質的に加速度を増していく)」さながら、生成AIの大学の授業での活用は指数関数的に進化するはずです。

★となると、中高でも生成AIのリスクを回避するルール作りをしながらも、積極的に創意工夫して活用していく今の流れはもっと強くなるでしょう。

★そして、中高でこの生成AIを活用することの意味は2つあります。

1. 本質的な学びを多くの生徒に体験させることができる。

今、プロンプトエンジニアリングという、生成AIに適切な問いを出し続けることによって生成AIから優れたプロダクトを出させるスキルを学ぶ研修が広がっています。これは、結局学びの本質である「問いをつくる」スキルをトレーニングすることになると認識が広まることでしょう。すでにこの動きをしている中高もあります。

最近「探究」「哲学対話」が注目されていますが、そこでも「問いをつくる」ことの重要性が説かれています。

この「問いづくり」のco副操縦士として生徒が生成AIと「問い合う」ことによって、思考力を鍛えていけると、最近は認識されています。

企業では、「プロンプティ」というプロンプトエンジニアリングのマニュアルのようなサイトをつくってそれを運営するところも出てきました。このような流れは教育においても広がるでしょう。

2. 実益的な話:総合型選抜、情報Ⅰで生成AIについて問われることになる。

大学の授業で生成AIが活用されるよういなると、大学入試で、特に総合型選抜や情報Ⅰで、生成AIについて問われるようになります。

また、今どの学校でも取り組もうとしているのが、推薦書を生成AIと創ることによって膨大な推薦書づくりの時間を圧縮し、その分生徒の面談や口頭試問の指導に時間を割こうという動きがでています。いやすでにそういう動きがでてきています。

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2024年中学入試(07)今年も工学院は人気 共感的コミュニケーションの可視化 生成AIだからこそ

★工学院は、今年も人気ですが、たぶん量というより質的人気に変換していると思います。というのは、工学院の先生方と対話をしていると、その質に磨きがかかっていて、そこに参加しているだけでwell-beingな雰囲気に包まれるからです。

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★中野校長の3F(フラット・フリー・フェア)を作り出す雰囲気が、たとえば、教務主任田中歩先生の共感的コミュニケーションを周りに感化していく相乗効果が生まれています。

★この共感的コミュニケーションは、3Fで話し合っていると心理的安心が維持されるというのが一般的な理解でしょう。しかし、そのコンフォートゾーンに閉じこもっているといつのまにか壁を周りにつくってしまうというリスクもあります。

★抑圧的コミュニケーションは、リスクではなく、すでにその状態が心理的クライシスを生み出しているからとてもまずいので、これに対して3Fで話し合う共感的コミュニケーションはクライシスを回避できます。しかし、いつのまにかそのクライシスが訪れるリスクを避けられないのです。

★ところが、田中歩先生は、中野校長と問い合いながら、回答はすぐには出さないのですが、機が熟すと話し合って問題解決をしていきます。そして、皆が腑に落ちる分かち合いをリフレクションという形で循環していきます。

★だから、教師も生徒も冒険心がふくらみます。実際に冒険に行って成功しても失敗してもまた共感的コミュニケーションのコミュニティに戻ってきて、成功者は鼻を膨らませてその成果をプレゼンし、みなにたたえられます。失敗者は、事の顛末を打ち明け、皆に分かち合ってもらい、再び勇気を取り戻します。

★このような世界を創る対話=共感的コミュニケーションが工学院では回転しているのです。

★これについては、shuTOMO12月号で書きましたが、そのときには、この図は思いつかなかったのです。書き上げた後、田中歩先生と対話をしていたら、歩先生が生成AIの効用の話と吉田幸司先生の哲学シンキングと哲学思考の2冊を読んで、自身の対話をモニタリングしているというのをお聞きして、そこかあ~と図が降った来たのです。

★いつも刺激を歩先生!ありがとうございます!これ広めていくのをお手伝いさせてください!

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2023年12月 3日 (日)

2024年中学入試(05)小泉信三賞が認める富士見丘の高校生活

★12月1日、第48回小泉信三賞全国高校小論文コンテストの審査結果が発表されました。その2位に富士見丘の高2の宮台さんが栄光を手にしました。このコンテストは、もはや説明する必要がないほど有名ですね。今回宮台さんが2位として認められたことは、実は人生の中で高校時代のあるべき姿の環境として富士見丘が抜群によいのだということも示唆しているのです。

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(写真は、慶應義塾大学サイトから)

★というのも、今回の課題は以下の4つで、そこから選択して6000字から8000字もの長文の論文を書くのです。宮台さんは、3を選びました。

1.物語の力・声の力
2.社会の中の格差
3.人生の中で高校時代はどうあるべきか
4.フクシマ(Fukushima)
5.学問×AI×福澤諭吉

★上記の5つのうち3以外は、個人研究に終始してもできるのですが、3は自分以外に高校の教師、仲間、環境などすべての自分とのリアルな関係性をベースにしなければ書けないので、なかなかハードルが高いはずです。なぜかというと、論文である限り、どこかメタ認知的視点で書く必要があります。

★しかし、3のテーマは、あまりに身近で日々のリアルな生活の中での話ですから、メタ的に俯瞰する視点をもつのは困難です。よほど多角的な視点を持っていなければ6000字以上も書けないでしょう。したがって、それだけ富士見丘の高校生活の時間というのは、宮台さんにとって日々多次元であるはずなのです。

★中1から始まる「個人探究」、中3からはじまるプロジェクト、高1から始まるゼミナール形式のプロジェクト、多様な海外研修やWWLやSGHのネットワーク校との知の祭典など他校では経験できないような多次元の経験がつまっている密度の濃い中高時代の環境をデザインしているのが富士見丘です。

★宮台さんを含め今回の受賞者は、次の通りです。


【小泉信三賞】
浦上 真緒(うらかみ まお)栃木県/栃木県立宇都宮女子高等学校1年【選択課題:5】
「『表層的クリエイティブ』からの脱却~『令和時代の実学』を問う~」

【次席】
宮台 はびる(みやだい はびる)東京都/私立富士見丘高等学校2年【選択課題:3】
「『時』を捉え、『時』を紡ぐ」

【佳作】(五十音順)
青山 直樹(あおやま なおき)東京都/私立海城高等学校1年【選択課題:2】
「若者の貧困への考察 -『官民共同』を通しての解決へ-」

福井 愛朝(ふくい まあさ)千葉県/私立市川高等学校3年【選択課題:1】
「希望の物語、つなぐ声」

宮田 康生(みやた こうき)東京都/私立ドルトン東京学園高等部2年【選択課題:4】
「原発事故を踏まえた福島から考える日本のエネルギーの在り方」

★それにしても1位と2位は女子校の生徒です。世界の先進諸国では共学がある意味常識かもしれません。しかし、まだまだ日本では女性の社会進出にはガラスの天井があります。その中で、今回の結果は、希望がもてますね。

★宮台さんは、この日本のまだまだ女性に対するアンコンシャスバイアスがある社会構造にあって、それを打破する叡智を学べる女子校富士見丘であるべき高校時代を過ごしているのでしょう。日本における女子校の役割はまだまだこれからです。それを宮台さんは証明していると思います。おめでとうございます。

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2023年12月 2日 (土)

2024年中学入試(03)昭和女子大学附属中学校・高等学校 どこよりも進化する生徒プロンプトエンジニア

★本日14:30から大妻女子で、「生成AIで先生の業務を効率化!学校教員・教育関係者向け生成AI公開研修」が開催されました。主催は、特定非営利活動法人ニュークリエイター・オルグ、株式会社ニュークリエイター。いろいろな学校で生成AIを活用した研修や授業設計、教務の仕事の効率化のコンサルあるいはアドバイスを行っているようです。今回の研修は定員は45名で、会場は満席でしたから大盛況でした。

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(昭和女子大学附属中学校・高等学校の校長真下峯子先生:写真は同校サイトから)

★協力は、大妻中学高等学校で、同校校長梶取弘昌先生、教頭の赤塚宏子先生も参加されていました。実は、東京私学教育研究所の実施する研修の委員会の一つ「学校づくり委員会」の座長が梶取先生で、毎月のように生成AIについて委員の先生方と<インベスティゲイション>しています。

★その梶取先生が協力しているAI関連の研修ですから、これは参加しなくてはというのが、不勉強な私が珍しく参加しようと思った理由の一つでした。それから、もう一つ決定的な理由は、昭和女子大学付属中学校・高等学校の校長真下峯子先生が登壇されるというので、ぜひお聞きしなくてはと駆け付けた次第です。聖パウロの校長小島綾子先生や国語科主任の高橋祐佳先生も参加してくれました。

★第1部、第2部は、生成AIのプロンプトエンジニアリングをベースとした基本的なメカニズムと実際に学校業務に役立つプロンプトエンジニアリングの実習でした。

★帰り道、国語科主任であり、聖パウロ学園のICTのマネージメントをしている高橋先生が、教師の視点から生徒の視点へぐっとシフトしたと大きなヒントを得ていたようでした。

★ようやくプロンプトエンジニアリングという言葉が学校現場にも降りてきたかとほっとした気分になったのが今回の研修の実務的な意義がありました。

★しかし、何より圧巻だったのは!痛快だったのは!真下先生の講演でした。学校におけるDAOの組織の広がりの速度感を感じざるを得なかったのです。生成AIに対する教師の凍てついたアンコンシャスバイアスを解凍する熱い意志と多くの外部団体の協力を取り付ける熱い情熱。

★文系理系なんて区別はそもそもはいのだという迫力。凄いです!しかも、プロンプトエンジニアリングは、問いづくりの妙技だから、言語能力にたけた文系女子には実は理系への道を開く強烈なアイテムなのだと。論より証拠、生徒が1時間の研修である学びのプロンプトを作り上げてしまったのだということです。どんどん生徒がプロンプトエンジニアになる研修を広げるプランニングをしかけているそうです。

★しかし、そのためには組織を動かし、保護者の心を動かし、生徒の才能を開放していくコンセプトとビジョンを描き実行することなのだと高らかに謳いました。

★もちろん、その道はそう簡単ではない。しかし自分の生きている間にそれを果たすのだというなんという気概とミッション。昨日、バンクーバーから帰国したばかりとは思えないくらいインパクトがありました。

★私の知り合いに女性校長が何人かいますが、共通点は21世紀は女性の才能・知性・感性が日本だけではなく世界の閉塞状況を開くのだという強い意志があることです。東京の私立学校は、真下先生をはじめとする女性校長が、グロ-バルでイノベーティブでケアフルな人材をたくさん生み出す人的資本教育経営を推し進めていくのだろうと確信をもった時間となりました!この機会を創ってくださった皆様に心から感謝申し上げます。

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2023年12月 1日 (金)

2024年中学入試(01)國學院久我山中 理科の入試問題 骨太に進化

★國學院久我山中学校のサイトにに入ると、「国学院大学久我山中学校入試 理科変更点」というページにすぐに進めます。<入試問題作成のコンセプト>は次の通りだということです。


中学・高校で理科を学ぶために必要である学力を問う
1 小学生が学ぶ理科の知識の定着
2 文章やデータをしっかりと読み取り、理解することができる読解力や思考力
3 2で理解した事象の定性的に説明できる表現力と定量的に求めることができる計算力

★そして、2と3に力点を置くと読み取れる変更内容が先のページで書かれています。また変更と対策に関する動画もリンクされています。

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★STクラス入試の説明箇所で、「令和4年度入試から大学共通テストで問われる「思考力」を問いたいと、作図・説明の記述・グラフをかくなどの問題を出題している」と注意書きがあるくらいですから、骨太の科学的なリテラシーや思考力を問う問題が出題されると推察できます。

★また、一般・CC クラス入試の出題形式は、「大問1にあった小問集合をなくし、大問数を4題とする。これまで大問1で問うていた知識問題
を、これらの大問の中で出題する。そのため大問1題につき小問を1~2問増やす。」となっています。知識と定性的・定量的洞察力を関係づけた総合的な科学的リテラシーや思考力にシフトするということでしょう。

★今のところ大学入試は、学推薦型入試を行う学校が増えたとはいえ、定員枠で行けばまだまだ一般選抜です。ですから、同校は、その実態に沿った学ぶ力を身につけるカリキュラムをマネジメントしているのでしょう。ですから、中学入試問題の教科試験の中に、将来さらに増えるかもしれない総合型選抜にも対応できる素養を身につけてきて欲しいというメッセージを反映することになるのだと推察します。

★さらに、AIの時代到来ですから、理数的知性は大切です。大学進学を超えて、生徒の未来に役立つ知性を磨きますよというメッセージも今回の理科の入試問題の骨太進化にはメッセージが込められているのでしょう。

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どうする東京の私立学校2024

★学校法人北里研究所と学校法人順天学園の合併の協議にはいるというプレスリリースはものすごい反響です。1つは医学部のある大学と附属という最強の連携だし、順天の破格のグローバル人材輩出力と豊かなケアの精神を育む中等教育との新結合はようやく日本の従来のピラミッド型の大学階層構造が世界の大学に追いつけない壁を破壊的創造する大きな契機になるからです。

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★最近、来年以降の私立学校のチューニングを上記のような表で示して、「どうする東京の私立学校2024」をお会いする方と「問い合い」をしています。順天の学校長長塚先生とも昨日「問い合い」ました。長塚先生とは、久しい間コンピテンシーベースのルーブリックと私たち仲間がアップデートし続けている「思考コード」との関係性を「問い合って」きました。回答はそれぞれの識者や学校が創造していくので、私は「問い合い」でよいと思っています。

★長塚校長は、この方向性も当然含んだうえで今回の合併はいくのだと、具体的には今までの成績スコアではなく、コンピテンシーでつながるようにするのだと。だが、この考え方はなかなか広まらないから、待っていないで、自分たちの新しいカタチを創っていくのだと今後の統合体の新しいステージの創造に意欲と気概を示していました。

★昨日は、日私教研&東私教研所長の平方先生(わが上司)ともこのWMS(Worid Making System:教師と生徒の内的知のメカニズム)実装したグローバル市民としての日本の子供たちと共有していく運動体の基礎作りを来期以降していこうと議論しました。結構長い時間ディスカッションしました。

★東京の私立学校の教育市場は、実は、県外の通信制学校がサポート校を東京に設置して、東京都と東京の私立学校のさまさまな紳士協定を無視する傾向が強まっています。東京の教育コモンズに侵入してきています。そしてそのような動きを礼賛する県外の私立学校の有名校長もいます。さて、「どうする東京の私立学校2024」なのですが、制度的正当性を教育行政としての政治力学を生み出しながら動くことと何より豊かで強靭で人類愛に満ちた教育力で世界の自由と平和と公平性を牽引するグローバルリーダーシップを私立学校出身者が各界で発揮でいるスキルとマインドとコンピテンシーが身につく機会と環境をデザインする以外にないと。

★これぞWMSのミッションです。

★このミッションについて東私教研(東京私学教育研究所)のリーダー佐瀬さんとも「問い合い」ました。3時間くらいのディスカッションとなりましたが、方向性は一致しました。どのような研修プログラム(東私教研の研修は年に約80種類あります)になっていくかは、東私教研のサポートする各研修委員会の東京私学の先生方(委員のメンバーである東京私学の先生方は120人くらいかかわっています)との対話によってデザインが形になっていきます。今年度も画期的なプログラムが増産されています。新しい研修スキルやマインドが共創されています。今後がますます期待できます。

★そして、夜、21世紀型教育機構の教育研究センターの主任研究員の田中歩先生(工学院教務主任)と同機構参与の伊東竜さん(日私教研メンバー)と21世紀型教育機構のSGTとWMSを共創する活動をしようよという結構具体的なプロトタイプをメールで「問い合い」ました。お二人とは、様々なプロジェクトの同士なので、これまですでに試行錯誤してきた生徒の才能を開いていく知の実装の統合体としてのプログラムであることが阿吽の呼吸で理解し合え、新たな展開を「問い合う」ことができました。対話ベースの学びが、CEFRや思考コードと関連し、生徒の問い生成の自走、生徒の哲学シンキングの自走を支える「問い合い」コミュニティができるというイメージを共創できました。

★このWMSは、地球上のすべての子どもたちが実装できる最小で最大の効果を生み出す知の内的なメカニズムです。ノートパソコンとスマホと自分という身体があり、リアルスペースとサイバースペースの往還をしながら、哲学的で共感的な対話ができれば成り立ちます。もちろん生成AIは善きパートナーです。

★おそらく優勝劣敗主義者には、理解されないだろうというのは、私たちは重々承知です。しかし私立学校の使命は、優勝劣敗ではないのです。もちろん、思考コードやこのようなミッションを、かげでまやかしだと叫んでいる人もいます。明治の日本の教育は東大の初綜理の優勝劣敗宣言からその部分は変わっていないので、そのような思想に汚染され続けてきたというのも歴史的な流れでしょう。しかし、その初綜理の考え方に真っ向から「否」を唱え、私立学校を創設した私学人がたくさんいて、そこから連綿と続いているのです。

★私は、戦後教育基本法改正前夜、麻布の前校長氷上先生にその≪私学の系譜≫を学び、それ以来受け継ごうとしてきました。それが私の「私立学校研究家」というライフワークの名称で、これは私の無形資産だと思っています。

★それを仲間と形にしたのが21世紀型教育機構です。いまでは、誰でもが21世紀型教育と語ります。私たち仲間は、自分たちが起爆剤になっていることを静かに内的誇りにしています。21世紀型教育機構の同盟校から輩出される哲学的起業家たちの活躍を誇りに思っています。

★次のステージは、WMSを目指します。海外の大学にいくと日本の学歴社会を超えられるなどというアホな考え方は私たちはしていません。だいたい、世界の大学で学んだエリートたちが治めていても、ウクライナやイスラエルのような問題がおきているし、核の問題も気候変動の問題もなんら解決していません。

★しかしながら、WMSを実装した世界中のグローバル市民はいます。そのような問題の氷山モデルの海面の目に見えない根本問題を見ぬき、どうしたらよいか問い合いながら対処療法もしながら、根本的な解決を求めて考動しています。

★そのような市民が増えることがレバレッジポイントになります。私立学校の人的資本経営は、そのような人々を増やす仕掛けづくりなのです。

★21世紀型教育機構が軌道に乗るに8年(2011年から2019年)かかりました。パンデミックに突入して、21世紀型教育の有効性に多くの人々が気づいたというのは、なんか皮肉なことですが、リスボン大地震のときに啓蒙思想が開花したのと同じような感覚です。

★生成AIが世の中の表舞台にでてきたので、8年はかからないと思います。WMS実装の時代は3年くらいで軌道に乗るといいですね。

★1995年のウインドウズ95が世に出てから、2010年まで15年で、新しい教育の転換意識がやっと広まり、それをテコに21世紀型教育が8年かけて広まったわけですから、次のステージは5年くらいかかりそうですが、生成AIのスピード感はさらに速いので、期待しています。

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