高校入試

2023年1月28日 (土)

第113回GWE 星の杜 チェンジメーカーが生まれる教育環境デザイン

第113回GWEは、2023年から共学化、校名変更、特異点ともいうべき新しい教育カリキュラム及びプログラムを実施するという先進的な教育改革を果たす星の杜中学校高等学校(以降「星の杜」)の校長石塚千恵先生が出演されました。Zoomの背景が星の杜を包み込む美しい豊かな自然を写した写真でした。GWEを主宰する鈴木さんが、その美しい光景について尋ねると、1995年の1月17日に起こった阪神・淡路大震災のことに想いを馳せ学校全体で祈りをささげるその日に撮った写真ということでした。石塚先生は、星の杜の教育環境デザインの真髄をさりげなく語るところから始めたのです。

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(GLICC Weekly EDU 第113回「星の杜中学校高等学校~未来を変える星」)

★昨年グリーンスクール(インドネシアにある今世界が注目している学校です)に研修に行った中3生のポテンシャルの大きさやそのポテンシャルを顕在化するパワーに、生徒は自分たちが思っている以上に才能が豊かだというのを改めて知ったというストーリーは、4月からスタートする星の杜の改革が成功する予告編さながらでした。

★4月からPBLやデザイン思考が繰り広げられるということですが、すでに今の在校生が、それを主体的に広げ深めているわけです。

★改革をする学校の先生方のお話は、一般に改革スタート後、どのようなコースにするのか、そこでどんな授業が展開するのか、どんなグローバルでイノベーティブなプログラムを用意しているのかという未来の話が多いわけです。

★なぜなら、まだ実施していないから具体的な生徒の様子は今の段階では話せないのでということなのでしょう。

★ところが、石塚先生の話は、いまここですでにプレ改革がラディカルに実施されているという話です。4月からの星の杜は、このような生徒の活動がもっと深まっていくという期待が高まります。

★それにしても石塚先生の確信を持ったトークには感動です。たとえば、「ふつうの授業をやっていては、まったくみえていない生徒の未来の世界がある」とか「私がもっているものだけを提供していては、生徒の未来をサポートできない」というまさに核心を言い当てる確信を石塚先生はお持ちであることが伝わってきました。その気概が革新的な教育を導いているのだということでしょう。

★その革新的な教育をいかにプロデュースされているのか、多くの外部ディレクターと学内の先生方と生徒のみんさんが見事にコラボレーションされている状況があることも了解できます。これは、これまでの学校ではなかなかうまくできなかった組織デザインです。

★東京の私立中高一貫校は、相対的に先見性・先進性が特徴的で革新的なのですが、星の杜程先進的・革新的かといえば、それはなかなか難しいわけです。

★宇都宮に星の杜という教育の特異点が出現したというイメージを抱きました。具体的なお話は、ぜひご視聴ください。星の杜の先進的で革新的な教育モデルは、東京の私立中高一貫校選択の際に明快な基準になると思います。

 

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2023年1月23日 (月)

パウロのクリエイティブダイアローグ 父母の会のワークショップで

★先日父母の会の方と「パウロの対話について」というテーマでワークショップ(WS)を行いました。2カ月ごとに父母の会があります。父母の会の始まる前90分間、毎回テーマを変えてワークショップを行ってきました。毎回順番で9人から12人が順番に参加します。お忙しい中、毎回盛り上げていただいて大感謝です。今回が今年度最後でした。パウロの教育で大事にしているものの1つ黄金律をコアに愛と創造が生徒の内面から湧き出る対話について行いました。

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★WSのメインは「ぐるぐるトーク」です。9人が輪になってすわり、クロス・クエスチョン(多角的な発想が生まれる問い)のうち、今回は、ブラックボックス問題(得体のしれない未知のものを提示)で、感じたことや思いついたこと考えたことをどんどん話していくのです。

★ブラックボックス問題は感じたことや認識したことを直接問うダイレクトクエスチョンとぐるぐる順番に話している様子から感じたことや気づいたことは何かを問うモニタリングクエスチョンの2つのタイプがあります。

★また、ぐるぐるトークの中で、共通して関心のあることについて、この2種類の問いをまたぐるぐるするなど、ずっと続けていくわけです。

★親と子の対話については、参加者みな体験していることです。ですが、同じような体験なのに参加者それぞれ違う感じ方や考え方を知り、結構サプライズです。

★パウロの教育では、体験を大事にしています。生徒は同じ体験をしても、みなそれぞれ違います。その違いを対話することで、また新しいものの見方や感じ方、考え方を発見したりします。

★今回のワークショップは、生徒と同じ感覚をもっていただき、それがパウロの対話教育だという実感をシェアすることが目的でした。それぞれが新しいものの見方や感じ方考えかたを生み続ける、共有し続ける中で、クリエイティビティがぱっと広がるという体験でした。

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★そして、3人ずつに分かれて、対話をします。そのとき、なんらかの道具を用意します。レゴとか粘土とかポストイットとかいろいろですが、今回はカードにしました。もっとも、父母の会のWSでは、各種カードを使う場合が多かったですね。

★そうそう、それからぐるぐるトークのときに、今回は保護者の方の話に対応する生徒のエピソードをこまめに挟みました。解決策とかではなく、エピソードはそれぞれの参加者が自身で考えるきっかけとしてリアリティがあるからです。

★そのようなぐるぐるトークの後、今回は「オープンダイアローグ」という痛みや病を解消する時の対話のコツ30が書かれているカードを使いました。

★ぐるぐるトークで体験した対話を、理屈という視点で眺めてみるセッションです。そして、時間があれば、もう一度ブラックボックス問題で、新たな理解が生まれることを再体験していただきたかったのですが、時間が足りませんでした。しかし、新たな理解ができていることは、チームの対話の時にすでに生まれていましたからある程度目的は達成されたと思います。

★このオープンダイアローグという心の痛みを解消する方法は、ふだんの対話にも重なります。私たちは、程度の差はあれ、みな何らかの痛みを持っています。完全な解決はできませんが、一時的に解消することはできます。ですから、オープンダイアローグ、私はむしろクリエイティブダイアローグだと思うのですが、このような対話を持続可能にし得るチームや組織を創っていくことが大事で、そのためには父母の会の方々の協力が欠かせないのです。

★オープンでクリエイティブなダイアローグは、フリー、フラット、フェアー、フラタニティーな雰囲気をつくれるチームや組織にすることです。そんなことを言えるパウロの先生方の対話力に感謝です。

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2022年12月15日 (木)

パウロの形成的評価

★この時期は、どこの学校でも、期末試験や卒業試験のシーズン。聖パウロ学園も例外ではありません。職員室は成績処理と教科の会議、最終的な成績会議と生徒1人ひとりにエンパワーメントできるエバリュエーションをどう編集するのかクリエイティブなコミュニケーションで溢れています。最近では定期試験をやらないということが注目を浴びているようですが、それは目に見える部分ですね。大事なことは目に見えない領域です。それは生徒とエンパワーメントエバリューエーションをいかに共有できるかという教師の行為が本質的なことなのです。

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★パウロの場合、総括的評価といういわゆるスコア成績と学期ごとの生徒の学習状況や心理的状況、学習の方法などどのように成長しているか、今後どうしたらよいかの提案など800字から1000字くらいのコメントを併記します。つまり、ここは形成的評価の部分です。

★総括的評価は、定期テストのスコアだけではなく、各教科のミニテストのスコア、自主学習の状況なども評価の対象になっています。知識・技能、思考・判断、主体的な学びの経験値などが1人ひとりモニタリングできるようにしています。

★そして、形成的評価としてコメントが添えられます。自分が一体何者で、自分はどう人に役立つ価値を持っているのか、思いやりは発揮しているのかどうかなど、パウロのスクールモットー(理念)をどのように具体化しているかというコンセプトレンズを共有してもいます。

★そんなことは絵に描いた餅だろうと思われるかもしれません。しかし、パウロの主幹であり高2の学年主任で、担任でもある大久保先生のコメントを分析すると上記の写真のようになるのです。ちゃんとそうなっているのです。

★私の役目は、先生方の授業ーテストー評価の一連の怒涛の過程の最後の部分のコメントを確認することぐらいなのですが、これが実に楽しいのです。なぜなら、そのコメントには、先生方が生徒と毎日どのように共に学校づくりをしているのか人間作りをしているのかイメージできる脳内空間がバーンと広がるからです。

★大久保先生に読んでくださいと手渡されたコメント集を読みながら、1人ひとり生徒の具体的状況について記述しているところをマーカーでチェックしていきます。そして、そのチェックした場所を抽象的な言葉に置換えてポストイットに書き込んでいきます。この作業はちょっと負い目があります。というのも、分析というのは、生き生きとした大久保先生の息吹までは汲み取れないからです。

★しかし、生徒が自己変容していく環境デザインの達人である大久保先生は、どんな視点でエンパワーメントエバリュエーションを創り上げるのか知りたいという欲求を抑えられませんでした。

★ポストイットを整理していくとたくさんの視点がでてきました。それらを大きく3つくらいにわけて並べてみました。そして、それを図式化してみました。

★生徒と共にどんなポテンシャルがあるのか共同認識し、それを現実化するために多角的な視点から生徒の具体的状況を言語化しています。これを読んだ生徒は、自分の価値をこれからどのように意味づけ直すことができるのか、自己変容していけるのか実感を抱くことができるでしょう。もちろん、最も大事なことは、上記の図にあるような多角的な視点(もちろんまだまだあります)で、日々生徒と対話をし授業をしているのだということです。それが成績表のコメントによって逆照射されているわけです。

★実際、卒業する時、生徒は自分がこんなに変わったのはなぜかを語り合う時間を担任の先生と過ごすわけです。人生から見れば瞬間かもしれませんが、パウロの3年間は、永遠の3年間です。大久保先生をはじめ、パウロの先生方の日々の言葉、行いからそう感じることができるのです。

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2022年12月13日 (火)

2023中学入試の役割 ソーシャルジャスティスを求めて(13)工学院 グローバルプロジェクト始まる。

★4年前から、工学院大学附属中学校・高等学校(以降「工学院」)は画期的なプロジェクトを行っています。高2の修学旅行をアップデートしGP(グローバルプロジェクト)に転換しました。国内外いくつかのチームに分かれてフィールドワークをし、SDGsの目標を達成するために具体的な社会課題を見つけるリサーチツアーです。その課題を見つけることによって、そこの地域市民と協力ができます。具体的かつ実践的、すなわち実存的な解決の方向性を見つけるとか起業までしてしまうとか、工学院の体験ベースのPBLの集大成が開発されました。ここ2年は、今回のパンデミックの影響でオンラインなどで創意工夫されてきたようですが、今年は再会。今ちょうど沖縄、熊本、熱海、オーストラリア、ルーマニアという国内外のフィールドワーク&リサーチへ旅立っています。

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(写真は工学院のサイトの公式ブログから)

★同時に中学生は、八王子や鎌倉、京都などにフィールドワークをしに行っています。高2のGPにつながる貴重な体験をしています。

★体験というのは、10人同じ体験をしても、10人それぞれ感じ方や考え方、ものの見方は違います。その違いがスクランブルして、それぞれの中にコンセプトレンズができます。体験を積んでいくことによって、このレンズは磨きあげられ、精度があがっていきます。

★このコンセプトレンズこそ、1人ひとりのバリューを映し出します。

★知識を覚えることも大切ですが、そればかりやっていると、知識量や知識を引き出すスピードや正確さばかり評価する偏差値が、あたかも一人一人の価値であるという錯覚を生み出す危険性があります。それはそれで、自分の価値を構成する1要素ではありますが、それが全体だという幻想がうまれかねません。いや実際生まれています。

★そうなると、階層構造が固定化して、それぞれの生徒のバリューをフラットに尊重することが難しくなります。

★それでは、予測不能な現状、乗り越えられません。たとえば、今日本は40ナノの半導体までしか作っておらず、20年世界に遅れていると言われています。そこでIBMと連携しながら2ナノの半導体という前人未到の次元に挑戦するわけです。その場合、アイデアや技術は、既存の知識だけでは生まれません。どう応用するか、足りないものはどう創造するのか?既存の知識の集積だけ競争している教育ではそんなことができないのはちょっと考えればすぐにわかります。

★よって、工学院のように、グローバルな体験ベースのPBLをとにかくたくさん行うということが、未来を拓く教育だということは了解できると思います。

★そして、1人ひとりのバリューを生み出すわけですから、学習者中心主義的なPBLであることもとても大切ですね。

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(shuTOMO 第11号 2022年10月2日発行)

★そのことについて、GPも含め、shuTOMO11月号で、記事を書きました。受験学力のみならず、大学や社会でグローバルリーダーとして、クリエイティビティとコンパッションというケアの精神の両方を有して社会課題をクリアし、未来社会を創っていけるそれぞれのバリューを生み出す工学院のトランジション教育は、日本のこれからの教育の1つの有効なモデルです。

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2022年12月12日 (月)

ドネラ・プロジェクト(20)「主体的・対話的で深い学び」をダイアローグとメタローグで考える

★居郁領域では「主体的・対話的で深い学び」について議論が続いています。どれも豊かな対話がなされています。しかしながら、大切なことはその学びを通してすべての生徒が自分の才能や価値を見出せるか、いや創れるかということです。たしかに、<誰一人取り残すことのない「令和の日本型学校教育」の構築を目指して~多様な子供たちの資質・能力を育成するための,個別最適な学びと,社会とつながる協働的な学びの実現~ (中間まとめ)【素案】>には、こんな文章があります。「一人一人の児童生徒が,自分のよさや可能性を認識するとともに,あらゆる他者を価値のある存在として尊重し,多様な人々と協働しながら様々な社会的変化を乗り越え,豊かな人生を切り拓き,持続可能な社会の創り手となることができるよう,その資質・能力を育成することが求められている。」

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★とはいえ、このような「資質・能力」は誰一人も取り残すことなく、体得できるのかどうか?今のところアクティブラーニングをやったところでPBLをやったところでそのような気配はありません。ただ、一方通行型講義よりも、こんな才能や素養がある生徒がいたのかあと感動するシーンは増えました。

★問題は、誰一人も取り残すことなくそんな才能を体得できる方法は何かです。

★IBやAレベル、APを研究している多くの学校があります。たいへん興味深いしいろいろな啓発を受けます。しかしこれらの教育プログラムは、誰一人も取り残すことなく才能を見出せるプログラムではないのは説明するまでもないでしょう。

★PBLやアクティブラーニングは、たしかに偏差値にかかわりなく才能を開花する生徒が多くなります。しかし、全員がそうなるわけではないのですが、だからといって効果がない授業ではないのです。

★逆なのです。偏差値では見えなかった才能者が生まれるのはなぜかという視角から洞察することが必要なだけです。

★PBLなどで才能を見出した生徒は、ダイアローグというレベルの対話から、メタローグという対話ができるなんらかのきっかけがあったようです。

★そのきっかけは何か?そしてそのメタローグとは何か?

★この2点の洞察を深めていくと、おそらく誰一人も取り残すことなく資質・能力とか才能とか価値とか、いろいろな言葉で表現されている1人ひとりのバリューを生み出すそれぞれの知の循環を見つけることができるはずです。

★欧米のような階級格差と日本のような学歴階層格差は似て非なるものです。前者は階級を超えるのは未だにシンドイですが、日本の学歴階層格差は、たしかに資格制度の領域では厳然として立ちはだかりますが、アントレプレナーシップ領域においては、機能しません。

★欧米でもそうでしょうが、やはりそこではアトレプレナーシップを発揮するにも階級格差は影響します。もちろん、IT分野は越境的ですが、果たしてどうでしょうか。。。

★日本は、中小企業が90%ですから、大企業と中小企業の経済格差はたしかにありますが、中小企業のスタッフが収入という点で乗り越える機会は欧米に比べてあるでしょう。

★とはいえ、ここのところ地政学、地経学的には分が悪い情況で、どこまでそれが続くのかわかりません。

★しかし、2030年まではまだ執行猶予はあるでしょう。この間に、全員がメタローグを実装できる学びを生み出す戦略を実行すべきです。ダイアローグを行う環境はどんどん整っています。メタローグを洞察するティッピングポイントをなんとかつくりたいものです。

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2022年12月 8日 (木)

ドネラ・プロジェクト(19)「主体的・対話的で深い学び」のイメージ

★PBLとかアクティブラーニングとかEBLとかいろいろな表現がありますが、学習指導要領では「主体的・対話的で深い学び」と表現されています。限定的過ぎて、学びとしてイメージを飛ばすのには、なかなか難しいかなと思っていました。しかし、現場では、PBLというより具体的限定性があったほうが、動きがでるということもわかってきました。

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★部活や行事、学校説明会、プロジェクトプログラムなど、いずれも主体的に生徒が活動している様子をみていると、この主体性は、自律しながら、いやしているから、先入見や権威などに「こだわらずに、脱中心という分散化ができるようになっていきます。それでいて、個人主義的に行動するのではなく、仲間を互いに巻き込む動きをしていきます。同調性ではなく、協働性です。

★このような自律分散協働系型の主体性ができあがるには、体験の中で多次元の葛藤を処理していく学びを通過します。この過程を通して葛藤を乗り越えるという知恵という技術ができあがっていきます。知恵は、マインドだけではなくスキルも両立していなくてはなりません。

★その過程で身に付ける知恵は、生徒自身は気づかなくても、心理学的技術や社会学的技術、法学的知識、経済的センス、健康に関する関心など多様です。

★葛藤を解決するエピソードや方法をプレゼンすることにより、それは同時にモニタリングになりますから、自分を圧迫していた壁が見えるようになります。だからこそ、この壁を取り除く解決策を考えようとします。それには、対話をする必要もあるでしょう。無意識かもしれませんが、心理学や社会学の手法は有効です。

★そして、協力する必要もあるでしょう。なんといっても、脱中心化した視点が必要です。

★知識については、データでモニタリングができますが、知恵については、自己表現というかパフォーマンスによってモニタリングすることができます。知識のモニタリングで大事なことは、知恵に基づいているかですが、そこはデータではなかなか分析できません。知識をどのように活用しているかパフォーマンスを見るしかないでしょう。ルーブリックや思考コードが必要となるわけです。

★このようなモニタリングを自分でも行い、他者からも行ってもらうことによって、目に見えない3つの境界線が見えてきます。あるいは気づくことになります。

★この境界線を越境することができるかどうか?深い学びへの挑戦です。かなり学際的なコンセプトレンズを結晶させないと、越境できません。チャレンジングな学びになるのです。

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ドネラ・プロジェクト(18)工学院大学附属多様性の拡張 多次元の学びが満載

★昨日、工学院大学附属中学校高等学校(以降「工学院」)の鐘ヶ江暢子先生(進路指導部主任)と首都模試の北さん(取締役・首都圏模試センター教育研究所長)、そしてノイタキュード代表北岡さんと1時間ほど対話しました。成城学園の青柳先生、湘南白百合の水尾先生との対話と同様のテーマで行われました。シリーズ対話になってきました。

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★工学院は、もともと男子校で、2002年に共学校になりました。そして2015年から本格的な21世紀型教育を実施し、グローバル教育、STEAM教育、多様な国内外の外部団体との連携プロジェクトの拡張が加速度的に広がっています。

★その過程で、文化的社会的なジェンダーの無意識の問題を抱えて入学してきた生徒(これはどこの学校でもそうです。大事なことは学園生活で、この問題が解消されていけるかどうかです)が、その壁を崩して、良好な関係性を生み出しているという学園生活=教育環境デザインが詳細に語られました。

★その関係性が同調性ではなく、共感性であるのですが、それはおそらく理系でもSTEAMという学際的な視点が生まれているし、グローバルなプロジェクトのプログラムでは多様性の感覚が生まれているからのようです。

★このシリーズで3人の先生が共通して話されているのは、関係性の構築ということかもしれません。関係性とは、理数系的な知識技術の関係性と文系的な人間関係やコミュニケ―ション、社会構造のシステム理解などの両面を創り上げているということです。文理融合の肝はここかもしれませんね。

★このようなトータルな関係性を作れる人間ばかりになると、世界はwell-beingを生み出せるようになるかもしれません。

★来年度2月までには、3人の先生方と、北さん、北岡さんが対話します。私も参加します。そこで、各学校の女子教育の違いと共通点などが語られ、女子教育の中に内包されている教育の本質が何か、その本質を3つの学校がそれぞれどのように教育に反映しているかなどが明快になると思います。

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2022年12月 7日 (水)

ドネラ・プロジェクト(17)PBLの授業を実施していることが感動を生むわけ 1億総孤独とは真逆のリアリティがあるから

★PBL型の授業を体験すると、受験生・保護者はこれだと感じます。ところが、PBLとはこうですよと語ってもピンとこないのです。なぜでしょう。そして、そこにPBL授業体験を設定することが極めて重要な時代になったヒントがあります。

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★かつては、PBLの説明は、リサーチ→個人ワーク→グループワーク→プレゼンテーションの循環を動画などで示すものが多かったですね。それはそれで目新しかったので、興味と関心を引きました。しかし、そのようなワークショップは結構いろいろな領域で行われていてすっかり日常化しました。

★それゆえ、話だけでは、差別化できないわけです。それで、体験を設定するわけですが、そのときアクターネットワークやシステム思考の感覚をセットすることが大切です。

★それがそもそもないワークショップはPBL型ではないわけです。幾つかのアクティビティを組み合わせただけで、それはそれで楽しいのですが、自分の内面にエネルギーが広がる感覚があまり生まれないのです。

★そのような感覚が生まれるようにするには、アクターネットワーク理論やシステム思考を組み込みます。このような仕掛けは、内面に関係性の大切さ、クールなはずの知性に温かみが生まれます。

★いったい、これは何でしょう。それは関係性への自覚が芽生えるわけですね。自覚こそリアリティの現われです。

★東洋経済が、一億総孤独という特集をしています。まさにそういう社会現象は起きていますが、そうならないようにアクターネットワークやシステム思考という関係性(関数的であり同時に愛でもある)を思考するPBLを展開していくことが重要です。

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2022年12月 3日 (土)

ドネラ・プロジェクト(15)星の杜高校一期生の出願前年対比197%!それが示唆する時代背景に思いを馳せる。

★今年、北関東で唯一のカトリック校で、女子校から共学校に大転換した星の杜。来年度第1期生の出願が締めきられたようです。この改革のディレクターの1人に21世紀型教育機構理事の石川一郎先生がいます。その石川先生が同じくディレクターの小野田一樹さんのSNSをシェアしていました。

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(写真は同校サイトから)

★その内容は、次年度の 星の杜高校 第1期生の願書受付が終了し、前年比 197%となったということです。素晴らしいですね。全く新しい学校を作ろうと、構想から2年、その過程は、ブレークスルー会議が頻発していたことでしょう。ここらへんは、いずれ石川先生にお聞きしようと思います。

本ブログでも、星の杜の勢いについて6月にご紹介していました。その勢いが幾何級数的に高まったのでしょう。石川先生がお忙しく、なかなかお会いできなかったというのは、そういうことなのでしょう(笑み)。

★東京でも、今年から赤羽の星美がサレジアン国際になり、来年度から世田谷の目黒星美がサレジアン国際世田谷としてスタートします。両者とも高人気です。カトリック女子校が共学になり、20世紀型教育とは全く違う21世紀型教育(21世紀型教育機構が意味している概念ではなく、20世紀の教育に対する意味。ただし、重なるところは多い)に真剣に取り組むと、復活するというのがカトリック学校の傾向かもしれません。

★クリスマスシーズンです。どこのご家庭でも、街々でもクリスマスツリーが設置されています。ほとんどの場合、ツリーのてっぺんには五芒星(ペンタゴン型の星)が飾られています。

★黄金比でデザインされた美しい星ですね。カトリックでは、その星はキリストの身体を意味します。カトリック校の星の杜の「星」にはそういう意味もおそらくあるのでしょう。もちろん、そういう意味は、全面にはでてきていませんが、創造と貢献というビジョンやチェンジメーカーというストラテージには、それを思わせるものがあります。

★キリスト自身チェンジメーカーですから(笑み)。

★しかも国連でも、世界共通の最上位のルールとしてゴールデンルールを認めています。カトリックの意味する五芒星が象徴するものと同じです。

★21世紀型教育機構の理念も国連が使う意味でのゴールデンルール(文言はマタイの福音からです。クリエイティブクラスとケアリングクラスの象徴です)を設定しています。サレジアン国際のシスターは、21世紀型教育はカトリックと親和性があると言っているくらいです。カトリック学校は、これまで超進学校としてのカトリック学校以外はなかなか苦戦しているのですが、それぞれの21世紀型教育へのトランスフォーメーション(この言葉もカトリック的ですね。「新しい人を着る」と言います)によって、超進学校化しなくてもサバイバルできるカトリック校が誕生する波が確実に生まれてきました。

★なお、一般財団法人東京私立中学高等学校協会は東京の私学が一丸となってそれぞれの21世紀型教育を押し進めていくことを今年宣言しています。昨年から構想されていました。私も21世紀型教育機構の理事として、同機構の同盟校以外にそれぞれの21世紀型教育が拡張されていくことは、Z世代、α世代にとって善きことであると歓迎します。

★何せ、ムーンショット構想2050やWeb3.0の動きは加速しています。VUCAと呼ばれていますが、実はかなり予測可能な事態になってきています。VUCAを乗り越える新次元の21世紀型教育、それはもはや22世紀型教育に突入するということでしょう。

★私の越境的な仲間では、今新次元プロジェクトが5つ立ち上がり、結局、多次元言語×数学×システム思考あるいはアクターネットワーク×アート(もちろん大学受験のイメージではなくシン・リベラルアーツのイメージです)なんだという話になっています。英語とICT(AIで一本化されつつあります)はそれを22世紀に適用し社会実装する必須の道具です。結局100年以上前に、J.デューイが生み出したプラグマティズムやPBL、道具主義、経験主義などの現代化をしているだけのことなのかもしれませんが。

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2022年12月 2日 (金)

ドネラ・プロジェクト(14)進化する教師の条件

勤務校の伊東教諭が、ノイタキュード代表北岡優希さんが編集している「進化する授業 進化する教師」で取材されています。日ごろなぜ私が伊東先生を頼りにしているかを改めてモニタリングできる貴重なデータです。そして、このモニタリングというかリフレクションによって、「進化する教師の条件」を一般化できるかもしれないと思いつきました。

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★思いつきなので、もう少し私が信頼している歩先生とかとか対話しなければと思いますが、とりあえず、こんなマトリクス表を思いつきました。

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★私は、とても恵まれているのは、私が親しくしている先生方は、教養に満ちているし、外部とのコラボというかプロデュースが得意で、経営的視点というよりもっと制度的設計知識を持ったうえで、経営的アイデアを出せるし、教科の専門性も高いし、文句ではなく批判的精神も発揮できます。よって不平不満はまず言いません。舞台で光り輝くこともするけれど、それ以上にバックヤードでの働きぶりがすごいですね。

★だから、外部とコラボするとき、相手のニーズを洞察できますね。

★こういう教師が未来の教師だし、進化し続ける教師だと思います。

★僕が外で話をすると、ときどき、そんな理想的なとかまた分けの分からないこといっているよという表情をしたり、ときには面と向かって現場を知らないですよと言われたりします。ウム。サラリーをもらって生きてこなかった年数が長い私にとって、現場とは何かを軽視するはずがないのですが、どうやら現場の意味が互いに違うのですね。

★僕にとって現場は、現象ではないのです。現象を生んでいる実存そのものです。胃袋で教養を考えるということですね。

★モーツアルトだってヘーゲルだって、生きることに汲々としながら教養という美を生んできたわけです。

★教養を軽視する人は、実存を軽視する人です。

★幸い、体験を重視する学びを協力して創っている勤務校の先生方は、みな実存という意味での現場を大事にしています。進化の原点は体験という実存です。

★進化する教師のいる学校を選ぶことがますます重要になってくると思います。

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