教育イノベーション

2026年1月 5日 (月)

2026年のビジョン ポスト・メタモダニズム?

★欧米では1960年代から動き出し、日本では1980年代に、現代思想ブームとなって、モダニズムを批判し、ポストモダニズムの価値観が広まりました。しかしながら、確かに一つの大きな物語に支配されているモダニズムから個々人の価値観中心に動き出した社会は新自由主義によって危うさを感じたというより、空白の経済社会を生み出し、ポストモダンの次が模索されはじめました。その次の世界を何と呼ぶか?ポスト・ポストモダンということなのでしょうが、名称は定まらないまま、21世紀を迎えました。

Metamodernism

(ポスト・メタニズムはまだ始まったばかり、意外と日本から誕生するのかもしれません)

★21世紀は、モダニズムとポストモダニズムとポスト・ポストモダニズムが同時並行的に進み、教育の世界では、ようやくポストモダニズム的な価値観で進み始めているのが日本の現状です。しかし、「主体的・対話的で深い学び」とか「協働的な」学びとか、個々の主観的な価値を大切にしながらも、協働主観的な価値観も実はベースになっていて、すでにポスト・ポストモダニズムに突入しているのですが、いまだモダニズムVSポストモダニズムの枠組みで教育が捉えられています。

★ところが、このポスト・ポストモダニズムに対する名称を2009年ごろから「メタモダニズム」と名付け、明快にメタモダニズムの特徴を示していったのが、欧米です。

 ★ティモテウス・ヴェルメーレンと仲間たちがウェブジン『Notes on Metamodernism』を2009年から2016年まで運営したのが有名らしいです。日本では、まして日本の教育界ではあまり関心を持たれている雰囲気はありませんね。

★その欧米の動きは、ポストモダンの枠組みではもはや説明できず、別の批評的言説――すなわちメタモダニズム――によって構想される必要のある、21世紀文化の展開を記録する長期的・学際的・国際的研究プロジェクトの一部であったようです。

★『Notes on Metamodernism』は2009年5月にティモテウス・ヴェルメーレンとロビン・ファン・デン・アッカーによって創設され、ナディーン・フェスラー、ヒラ・シャハル、ルーク・ターナー、アリソン・ギボンズとともに編集されたようです。7年間の運営期間中、このウェブジンには約50名の批評家や理論家が参加し、時事、ネットワーク文化、現代建築、デザイン、ファッション、アート、音楽、文学、演劇、パフォーマンス、写真、映画・テレビ、理論における動向や傾向について執筆したらしいです。

★メタモダニズムという名づけはしていませんでしたが、この文脈で❝21世紀型教育❞を2011年から仲間たちと提唱し自薦してきたことに今になってようやく気付きました。名づけはしませんでしたが、21世紀型教育とメタモダニズムは呼応していた可能性があります。

★ウェブジンは数十万の読者に届き、世界中の大衆メディアで取り上げられ、各国の国立図書館や研究図書館にインデックスされ、Google Scholar を含むさまざまな引用指標にも登録されているということです。

★しかし、10年前でこのウェブジンの運営は止まっています。その後多くの研究者が論じているということで、ウェブジンの歴史的役割はいったん終えたということかもしれません。

★ところが、日本の教育ではまだウネリにはなっていません。いくつか目に見えない壁があるからでしょう。一方で、落合陽一さんや安宅和人さん、マルクス・ガブリエルさんなどすでにメタモダニズムすら超えているということもあるかもしれません。

★つまり、ポスト・メタモダニズム?かもしれません。21世紀型教育が22世紀型教育にシフトしようという動きがあるのも、少し早すぎますが、彼ら知のイノベーターや世界の動きとシンクロしているのかもしれません。

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2026年1月 4日 (日)

問いは命がけ トゥーランドットの3つの問いともう1つの問い

★新春恒例「NHKニューイヤーオペラコンサート」を見ました。いや聴きましたかな。第68回目ということを知り、日本にオペラを広める努力が続いていることにちょっと感動。しかも今回のテーマは「歌がえがく 心のかたち」というのですから、目に見えないものを言葉と音楽とアーティスティックな時空でデザイン。何か感じるかもと初めてまともに見ました。

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★オペラは「神話」か「恋と死の物語」ばかりだからで、音楽性と物語性の価値のギャップがあると思い込み、全曲を聴くということはしてこないで生きてきました。今回それは機会損失だったなと思い知りました。パヴァロッティ、ドミンゴ、カレーラスという三大テノールのオペラのハイライト曲集しか聞いてこなかったのです。彼らが日本に公演しに来た時、チケットを購入したいくらいですから、オペラの音楽的な可能性は感じていましたが、全く浅薄でした。

★ニューイヤーオペラコンサートも全編はとても時間が足りないので、各作品の超要約版でした。しかし、物語の価値を高めるような演出にちょっと驚きました。特に最後の「トゥーランドット」のパフォーマンスはすてきでした。トゥーランドット姫が異国の王子にほかの王子の求婚の時と同じように、3つの謎を問いかけます。答えられなければ死です。異国の王子はすべて解いてしまいます。トゥランドットの心はとり乱れます。そこで、異国の王子は明日の朝までに、自分の名前をあてられたら、私は死にましょうと問いかけます。ここらへんの異国の王子を愛して名を言わぬまま死んでいく従者の娘のことは、心痛め泣いてしまい、身勝手なアッパークラスの行為に怒りを感じますが、そこはともかく、最後はハッピーエンドです。詳しくはググっていただければと。

★私がこの「問いの試練」という物語の構造は、結末や犠牲者という登場人物がいろいろ違いますが、たくさんあるなあと。この認識は発見ではなく、多くの人が語っていることです。研究論文にもなっています。竹取物語やスフィンクスの神話などそうでしょう。

★そう思うと、ユングやフロイトなんかも物語や神話を心理学的に分析していたなあと。言語学でも物語の構造として研究がされていたでしょうし、社会学的にも文化人類学的にもこの構造をどうとらえるか研究はなされているはずです。

★どの視角や視座から分析するのか実に興味深いですね。心理学的には、おそらく拒絶という「自己防衛」や「恐怖」「不安」などの象徴でしょう。同時に解かれた時の「解放感」「癒し」などが対になっているでしょう。なるほど、正解のない問いが世の中的に人気がないのは、結構命がけだからですね。

★また、自分を理解してくれる人の探索の象徴でもあるかもしれません。解けなかったら死だというのは、ちょっとサディスティックだったり、孤独の極致ですよね。誰もどうせ理解してくれないという。

★社会学的には、階級格差の象徴でもありますね。入試問題の問いが、選別の手段として使われていると思ってしまっているところに、現代社会の危機が潜んでいるかもしれません。問いの重要性をこの視角で捉えることはリスクがあるかも。もちろん、リスクは危険であると同時に好機でもあります。ただ、だれにとって好機なのでしょう。

★文化人類学的にはイニシエーションの象徴かもしれません。古い自分を捨て新しい自分になる儀式は、文化人類学の一つのテーマでもあります。

★神話という物語構造としては、聖域の境界線を象徴しているかもしれません。結界とか。異世界転生が流行るのも、もしかしたらこういう構造が時代を超えて受う継がれているからかもしれません。

★こうしてみていくと、問いの重要性とは、多様な視角からとらえても、抽象的には変容や解放を生み出す発想ですね。

★そして、問いは、選抜や研究に限定されるのは、もったいないですね。もちろん、資格を得るわけです、階層構造の上位を目指すわけですから、それもまた社会学的には問いの一つの機能でしょう。しかし、最近注目されているSTEAMというイノベーション教育は、もっと多様な問いの大切な働きを取り戻す教育なのかもしれません。

★つまり、この中にAという芸術があるからです。アートの奏でる問いは、自己変容であり、社会変容であり、世界変容を問いかけているのかもしれないからです。通過儀礼だとしたら、それは自分を変えるけれど、それは秩序を守るメンバーになれるかという問いです。変わるのは自分ですが、自分の内面から変わるかどうかは「?」です。

★自分を変え、社会も変え、世界も変える。なぜ?これがトゥーランドットの異国の王が投げかけた問いの解答かもしれません。

★問いについては、いろいろな視角や視座で考える必要があります。もしかしたら、これが「探究」の最終的な問いかもしれませんね。

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2025年12月28日 (日)

2026年中学入試(17)昭和女子学附属 パワフルガールススクールとして新たらしい女子校のマインドとシステムをデザイン 受賞される

★今年の仕事納めは、昭和女子大学附属昭和の校長真下先生の画期的なかつ本質的なお話を伺う幸せな時間となりました。同校は、今年10月から実施していた米ボストンで3か月間過ごす留学「SHOWA Boston ターム留学」がちょうど先ごろ終了したのですが、真下校長はボストンの生徒の成長を讃えるために、そしてボストンの先生方と次年度のプログラムについて打ち合わせるために、つい先日ボストンに飛び、帰国したばかりでした。パワフルガールズスクールのリーダーは、本当にエネルギッシュです。

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(写真は同校サイトから)

★そして、この同校の先生方及び生徒が学んでいるプロジェクトやプログラムに、真下校長先生がタイミングのよいかかわり方(つまり担当者に丸投げしない)をしてパワフルな組織をプロデュースした功績が、公にも認められたのです。今年11月、真下校長は、一般社団法人技術同友会による「第11回女性技術者育成功労賞」において、「組織優秀賞」を受賞しました。この賞は、女性技術者の活躍を推進・支援するために、女性技術者の育成に顕著な成果を上げた個人及び組織を表彰するものです。

★同校は、生徒の皆さんが、一人ひとり自分の知的好奇心がどのような学問及び仕事に直結するのか実にパワフルでプラグマティックなキャリアデザインのシステムを開発しています。そのためには、想像を超える多様な大学や教授をはじめとする専門家と生徒を結び付ける環境をデザインしているのです。そして、それはある意味米国のAPコースのような作り方にもなっている制度作りにまで広げているのです。具体的にはぜひ動画をご覧ください。驚くと思います。

★そして、これだけ多様で多次元のプロジェクトやプログラムが開発され、相互に循環するパワフルな学びの環境を大回転させているのは、実にシンプルな学びの基準が教師と生徒に共有され、学びのプランを立てたり、リフレクションするときに活用されているのです。それが「つくる・さぐる・ねばる・つながる・ためす」というマインドとスキルを豊かにする原理です。

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★かつてノーベル賞受賞者の湯川秀樹博士が、社会や自然の現象は複雑だが、その根底にある原理は極めてシンプルだと語ったと聞いたことがあります。グローバルとサイエンスを新結合(=イノベーション)する真下校長の眼差しに通じる言葉だと改めて感じ入りました。

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2026年中学入試(16)国立音楽大学附属「KUNIONミライ探究」 学際的プログラムのエンジンに音楽の響き

★shuTOMO 第34号(2025年12月14日発行)に、国立音楽大学附属中学校・高等学校で行われている「KUNIONミライ探究」という画期的ゼミ活動の記事が載っています。副校長の滝澤秀先生によると、この探究は生徒が自ら考え行動する力を育てることを目的に始まり、現在は12のゼミに広がっているようです。

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(副校長の滝澤先生と二人の生徒さんの対話が感動的です。貴重な動画をご覧ください)

★芸術祭で、生徒たちが探究の成果を発表している様子も載っていました。自然農法を研究するAさんは、虫の減少への危機感から環境に優しい農業を学び始め、和紙を使った土壌改善など具体的な実践を紹介していました。英語圏児童文学を学ぶBさんは、作品を読み返す体験を通して、自分の気持ちを言葉にする力や対話の大切さを実感したと語っています。

★また、探究と音楽の関係について尋ねると、Aさんはジャズの即興演奏と探究のプロセスが似ていると話し、Bさんは文学と音楽を「形を変えた言葉」と捉え、互いに影響し合うと述べていました。

★生徒の興味から広がる学びが、音楽を軸に多様な分野へつながっていく「KUNIONミライ探究」。未来を自ら切り開く力を育む取り組みとして注目されます。

★そして、音楽のデザインの仕掛けが多様な探究領域の学びの仕掛けと共振することを証明している唯一無二の学校。それがKUNIONなのでしょう。

 

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2025年12月24日 (水)

2026年中学入試(15)富士見丘 慶応義塾大学とコラボする画期的デザイン思考ワークショップ

★shuTOMO 第34号(2025年12月14日発行)に、富士見丘高校1年生が参加するグローバルワークショップのプログラムデザインの取材記事が載っています。

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(同記事の内容のシーンの動画を観ることができます)


★同校では、慶應義塾大学メディアデザイン研究科のドナ・チェン准教授や大学院生と連携し、デザイン思考を基盤とした全8回のプロジェクト型学習を実施しています。授業は英語で行われ、単なるアイデア発想にとどまらず、社会に働きかける力を育む本格的な学びの場となっているということです。

★生徒は「共感」「問題提起」「アイデア創出」「プロトタイプ」「テスト」のプロセスを繰り返しながら、疑問や違和感を出発点に社会課題を発見し、チームでアイデアを形にして検証し、最終的に社会的インパクトのある成果を発表しています。

★授業ではレゴを用いた表現や対話を通じて思考を言語化し、インタビューやリアルタイムのアンケートでアイデアをリフレームする仕掛けが組み込まれていますが、このリアルタイムのリフレクションがデジタル化されているところは、実に斬新です。

★こうしたダイナミックで綿密なデザインがなされている学びにより、生徒は大学レベルの思考と行動を高校段階で経験し、グローバルな視点や多様な価値観に触れ、未来を創る力を養っているということです。

★この取り組みは富士見丘のグローバル探究の象徴であり、生徒が言葉だけでは共感を生み出せないシーンで新たなメディアを生み出す画期的な挑戦です。つまり、「メディア・イノベータ」としての第一歩を踏み出す決定的な機会になっています。

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2025年12月23日 (火)

2026年中学入試(12)工学院 学びの桃源郷

★工学院大学附属中学の教頭田中歩先生に説明会の参加者数の状況など電話でお聞きしました。すると先週の土曜日の説明会は前年よりも多かったということです。そして本番に向け今年も手ごたえを感じているようでした。教頭に就任して2年目で、同校の教育の全貌をリフレクションし、それぞれの要素がつながるように教師と生徒と保護者とコミュニケーションを密にとってきた中で、工学院全体が活力あるメカニズムを作り上げているという自信とそこで教師と生徒が信頼関係を強くしていくたびに感動が生まれている核心・確信・革新をぶれない軸として抱いている感じが伝わってきて頼もしい教頭像が電話越しに見えました。

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★その時感じたことを書いてGooglenotebookLMでイメージにしてもらうと上記のような絵になりました。これはイメージ通りの絵だなと思います。

★歩先生が、うちのグローバル推進部長からも話を聞いてみてくださいと紹介されお話を伺うことにしました。気づくと4時間以上対話をしていました。それでも、続きはまたということになりました。

★歩先生と部長は10年以上共に英語科で活躍してきました。ケンブリッジやAレベル、PBL型授業(今ではIBLとして発展しています)開発、ラウンドスクエアにおける活動、帰国生入試や国際生入試の開発、数々の海外研修プログラム。そのお二人の歴史はとても4時間くらいでは語り尽くせないのは当然です。

★しかし、どのパーツの話にも必ず生徒がでてきます。海外研修に行っている生徒は、レポートを同校のブログに英語と日本語でアップしていますが、そういう主体性の実現を一つ一つつないでいくのです。もちろん、そこにはライティングやスピーキングなどのケンブリッジ流儀のフレームやメカニズムが背景に作用しています。

★学びの環境デザインに内包されたメカニズム。これが学校全体で共有されているのです。生徒中心主義の真骨頂です。しかし、これは目に見えるメカニズムではありません。また見える化しても部分的なものです。完全に教師と生徒の内包知として秘伝として継承されていくもののようです。

★カンボジアや多くの場でアントレプレナーが行われていますが、これはある企業と連携しているのですが、そのメンバーに卒業生がスタッフとして協力してくれています。ロンドンで帰国生のための説明会を開催すれば、イギリスの名門大学に進んだ部長の教え子がロンドンで教師として活躍しているのですが、その卒業生が駆けつけてサポートしてくれるわけです。

★内包的な秘伝が脈々と続いています。

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2025年12月20日 (土)

2026年中学入試(08)富士見丘の帰国生応募者数増加の理由

★昨夜、富士見丘中学高等学校の教頭佐藤一成先生と広報副部長・中2学年主任田中裕樹先生からお話をお聞きしました。今年も海外帰国生の応募者数は増加しているということです。海外からの注目度は本当に高いですね。また年内大学合格者数も昨年よりさらによいということでした。いずれこれらのデータはまとまり次第公開されるということですが、この上昇気流が湧き出ている理由はなんでしょうか?実は、同校の場合、それはまるで方程式のようにはっきりしています。お二人の先生の謙虚な姿勢と同時に自信があふれている言葉の力にそれは反映しています。

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★高2のグローバル演習はあまりにも有名ですね。台湾、マレーシア、グアムに分かれてフィールドワークをするのですが、このそれぞれ地球課題に取り組む探究というよりもはや研究は、高1の時から探究方法論であるデザイン思考のワークショップを行ったりして2年がかりの取り組みといっても過言ではないでしょう。このようなプログラムは、英語もふくめた高度な言語活動、データサイエンス、ICT、建学の精神を生徒一人一人が自分の生き方の判断の基準に転換させていく研修など実に複雑です。そして、年内合格者ばかりでなく一般入試や海外大学入試にも合格していくので基礎学力や教養の育成も緻密なカリキュラムが構築されています。

★これらが、シンプルに多次元方程式として教師や生徒の学びの言動を生み出しているのです。この多次元方程式ができるまでのある意味学校改革の努力の積み重ねは、お二人の自然体の自信となっているのでしょう。

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★もはやこれで安泰だろうと思っていたのですが、今年中2でガールズミートSTEMのプログラムをオイシックス、IBM、メルカリ、サイバーエージェントと連携して、企業が取り組んでいるテクノロジーを通して地球課題を解決しながら利益を生んでもいる経済システムを探究するプログラムを企画実施しました。いずれもグローバル企業ですから、英語も交えながらの連携だったようです。

★これは山田財団が女子校に理系教育のサポートとして始めたものようですが、財団がイメージしていた教育活動をはるかに超えたデザイン思考のプログラムを学年が主体的にデザインしていたことに驚きを与えたようです。中1のころから高校生のグローバル探究の活動を共有しています。毎年2月に集大成として全生徒に高2の生徒が研究成果とその苦労話をプレゼンします。

★中学時代は、5×2という自主探究の学びを続けていますから、このような共有は大いに役立つのですが、中2の段階で、高大連携ではなくグローバル企業との連携ですが、デザイン思考のプログラムの手法はそのまま活用できます。ルーブリックも生徒が活用しますから、中学高校と6年間一貫した基準をベースに有機的なデザイン思考やプロジェクト型の学びが展開しています。つまり富士見丘の学びの多次元方程式を富士見丘全体で共有しているのです。

★もちろん、もう一つの基準はCEFR基準です。こ基準をベースにC1英語(英検だと1級)を目指して4技能5領域のトータルな語学力を身に着けていきます。高3だとほぼ全員が2級以上は取得します。準1級以上の数も驚くほど多いのです。

★国内外の広い範囲でグローバルな教育環境が広がり、基礎学力と探究によるアカデミックな視点かつ教養という知恵が豊かに育っていく学校です。帰国生や国際生ばかりではなく国内生にも人気はあるのでは当然です。

★そして来年は、これらの教育活動に加え、各教科で生成AIを生徒も活用する授業を実施していくそうです。その準備を開始したと。これほど充実した教育活動であるのに、秒で変わる時代の変化にも対応する革新性!富士見丘の真骨頂です。

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2025年12月19日 (金)

2026年中学入試(07)文大杉並の帰国生応募者数高め安定の理由

★文大杉並の入試広報部長西田先生から、今年度の中学の帰国生入試の最終結果の連絡をいただきました。トータルで117名という大人数です。首都圏の中学受験生数の3%弱が帰国生人口ですから、この人数がいかに多いか、そして文大杉並が注目されているかがわかります。

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★2023年は109名、2024年は79名、2025年は141名(首都圏模試センター出願倍率速報による)ですから、多少昨年より減ったと言っても高め安定です。それはなぜでしょうか。

★それは言うまでもなく高校のDD(ダブルディグリー)コースに向けた全学的な文大杉並のグローバル環境が最高に魅力的だからです。帰国生にとって、海外の経験を日常の学園生活の中で継続できるのです。

★中学3年生になった時点で、準一級以上の生徒が20%弱、2級以上だと50%弱の生徒が取得しているのです。日本の大学入試では、英検2級あればかなりアドバンテージが高いというのは周知の事実ですが、それが中学の段階で約半分が到達できてしまうのです。

★しかもこれは年々右肩上がりになります。いずれ学校全体がほぼバイリンガル状態になるでしょう。

★したがって、帰国生入試の難度は当然爆上がりになるわけです。そうなると、当然、敬遠組もでてきますから、今回のように高め安定という状態が続くでしょう。

★そうそう、文大杉並の外国人教師の数は20人以上です。DDコースがあるので当然ですが、まさに海外の高校の環境があるわけです。ちなみに、東京の私立学校で20人以上の外国人教師がいる学校の割合はどのくらいかわかりますか?実はたったの2%です。

★帰国生に人気があるのは当然なのです!そして、その帰国生の活躍が、国内生のイノべーティブな活躍と相乗効果を生み出し、文大杉並の雰囲気はよくなる一方なのです。

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2026年中学入試(08)昭和女子大昭和・田園町学園・山脇の帰国生の選択志向性の共通点

★前回ご紹介した昭和女子大昭和の帰国生入試で帰国生が同校を選択する理由を探ってみました。実は同じような理由で、田園調布学園と山脇も帰国生入試の応募者数が増加している可能性があります。日能研の倍率速報によると、昭和女子大昭和は昨年対比147%、田園調布学園は130%、山脇は129%です。

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(図の写真は田園調布学園のサイトから)

★帰国生の新しい学校選択の志向性の5つの理由は、前回次のように述べました。

❶英語力を活かせるグローバルな学びの場
➋温かく受け入れてくれる人間関係
❸海外経験を誇りとして認めてもらえる文化
❹挑戦を支えてくれる教育環境
❺国内外のグローバル環境のデザインの浸透

★実はこの中の4番目が特に3校には共通しているのです。それは何かというと、「理系に向けての革新的な探究プログラムやプロジェクト」を構築しているということなのです。

★帰国生というとイメージ的には国際的な分野で活躍するキャリアとなりがちなのですが、サイエンスなどに教科書を超えたプログラムの企画運営を果たしているところが、3校の大きな特色なのです。

★しかも女子校として今までにないチャレンジです。

★このことの魅力に、帰国生が気づいた可能性があります。

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2025年12月 6日 (土)

文大杉並の新コースの入試のための「プロジェクト審査練習会」が開催

★2026年4月、文大杉並は高等学校に新コースを開設します。「イノベーションリーダーズコース」がそれです。そのコースに入学するための入試は、「プロジェクトのアクション」を通して、思考力や協働力、ポートフォリオを通しての潜在的才能などを審査する全く新しい入試です。

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★12月6日(土)、その「プロジェクト審査練習会」が行われました。いくつかの外部団体の方々といっしょに見学できる機会を頂きました。公開できる範囲でですが、ここに書き留めたいと思います。あくまで、私の感じたことなので、事実は、同校の入試要項などで確かめてください。

★受験予定の生徒は2時間半にわたりプロジェクトに参加する会でした。入試ですから、一般には緊張するものですが、先生方は、プロジェクトの大前提として、心理的安全の雰囲気をうまくデザインしていました。そのデザインは、審査する先生と生徒のコミュニケーションの行為デザインです。

★入試なわけですから、距離が近づきすぎては困りますが、生徒には、入学したら、このような信頼関係を作りながら共にプロジェクトを展開していけるなあと予感させるようなコミュニケーションデザインでした。

★この審査会の日にくるまで、新コースの意味については共有する機会が設けられてきたようでしたから、アイスブレイクのときも、個人で考える行為に没入するときも、対話をするときも、自然体(のようにみえた、本当は緊張していたでしょうが)で傾聴したり表現したりしていました。

★一般の筆記試験では、こんなにハイパフォーマンスで思考に立ち臨み、ディスカッションに声を響かせ、共感に心を震わせ、新しい考えを作り出す3時間余りも集中する経験はできないでしょう。

★イノベーションを生み出すシミュレーションあるいはモデル体験がすでにこのプロジェクト審査練習会から始まっているとは!かなり驚きました。

★プロジェクトは大きく分けて2つの問いが出されました。どちらもトピクは同じですが、いうまでもなく、そのトピクについて身近な範囲で思いめぐらす具体的な問いから、そのトピクを社会の状態を変えるような抽象的なレベルでありながら、なおかつ具体的な構想をデザインする問いでした。

★イノベーションリーダーズコースのマインドと何を社会実装としてDE-SIGNするのか実感できるプロジェクト審査練習会だったと思います。

★文大杉並は、同コースを開設するにあたり、BSICE(文化杉並教育イノベーションセンター)を設置しています。教育現場に根差しながら、授業のプログラム、カリキュラムデザイン、キャンパスのデザインなどを外部の団体や専門家と協働しながら事業を行っていきます。この事業のモデルづくりの役割もイノベーションリーダーズコースはあります。

★ある意味、日本の教育を善い方向に変えていくイノベーションリーダーを生み出すロールモデル機関としてのミッションを担います。

★受験する生徒は、そのミッションに共感して入試に挑みますから、意識や士気が高い生徒が集結しています。そのような生徒がこんなにたくさんいるとは!この高校入試自体、イノベーションの成果でしょう。画期的です。

★とはいえ、授業ではなく、入試ですから、選抜の基準があります。審査する先生方は、ブレスト―ダイアログ―ディスカッション―プレゼンを見守りつつ審査をしていましたから、最後に講評を語りました。

★受験する生徒は。プレゼンを互いに見ることができたし、講評という形で、審査の基準を聴くことができました。したがって、生徒は内面でリフレクションがぐるぐる回っているようでした。

★この新入試やBSICEの仕掛け人である染谷先生(理事長補佐)は、最後に柔らかく同時に本番はもっと期待しているよとエールを送りました。入試本番まで、今回の練習を通して自分の思考方法や対話の方法、何より自分がというより他者の発想を引き出すコミュニケーションができるのかまで必要とされているということを聴き、磨きをかける日々を過ごすことを改めて決意しているようでした。

★イノベーションの力だけではなく、あくまでイノベーションリーダーズの資質能力まで期待されているのです。もちろん、その資質能力は、入学後さらに高めていくのですが、まずは潜在的な可能性をパフォーマンスする必要があるのです。

★心理的安全を楽しみながらも、コンフォートゾーンからチャレンジゾーン、さらにクリエイティブゾーンに自分と仲間がどうやって跳躍できるのか。柔剛一体のマインドと実装スキル。そこまで求められ、それに応える意欲のある生徒がこんなに集まってくるとは日本の未来に希望があるなと感じ入りました。

 

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