教育イノベーション

2021年9月 2日 (木)

静岡聖光学院 クオリティインパクト

★8月29日、静岡聖光学院で、21世紀型教育機構の「次世代SGTが創る『授業→学校』デザイン」イベントがありました。もともとは同校のキャンパスでリアルに行う予定でしたが、長引くパンデミックのために、オンラインで行われました。しかし、静岡聖光学院の5人の若手SGT(スーパーグローバルティーチャー)がファシリテーターとして主宰したわけですから、雰囲気はハイブリッド静岡聖光学院イベントという感じで、大いに盛り上がりました。何より5人ものSGTがファシリテーターになってワクワクドキドキのスリリングな授業デザイン×学校マネジメントデザインを展開したのですから同校のクオリティの高さを、参加者全員がシェアしたわけです。

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(勤務校の同僚が、イベントに参加するにあたり、教育研究センターのリーダーの一人であるSGT児浦先生の2冊の著書を完読して臨みました。頭が下がります。こういう熱を生むのもこのイベントのインパクトです)

★よく量が質を生むといいますが、実は量だけでは質は生まれません。そこには加速するという時間軸が必要になります。それからもう一つ外部のネットワークとのコラボレーションです。これがないとシナジー効果が生まれません。

★静岡聖光学院が21世紀型教育機構に加盟してわずか4年で(今年5年目)、これだけの教育クオリティを生み出したのは、機構に加盟したということだけではなく、現在の21世紀型教育研究センター(当時はまだなかったのです)のメンバーと最初のイベントから協働して行っていたということがあります。

★もちろん、星野校長のセンスある剛腕リーダーシップで、イートンをはじめとする海外エスタブリッシュ校との姉妹校提携や姉妹校の教師・生徒を招いて国際シンポジウムを3年目にして同校で開催したとか、教育出動の量と俊敏な速度が若手SGTを育成したことは間違いないでしょう。

★そして、それに呼応するように、21世紀型教育機構のほうも、加盟校のリーダーSGTに教育研究センター結成を依頼する進化が起こりました。かくして、このようにSGTの進化の普及を行うイベントにまで発展したわけですから、確実にシナジー効果が生まれていると言えるでしょう。論より証拠です。データエビデンスも大切ですが、ライブ感あるbeingエビデンスも重要でしょう。

★私は老人ですから、ブレイクアウトルームのワークショップセッションには参加せず、最初のウェビナー基調講演の部分だけ参加しました。そこで見聞きしているだけでもスリリングでしたが、勤務校の若手SGTが参加していたので、あとでその興奮を聴きました。終了後すぐにめちゃくちゃおもしろかったし、勉強になりましたと一報入りましたが、それきりでした。

★イベント終了後、オンライン懇親会がさらに盛り上がっていたので、そこに参加しているのだろう。次の日に様子を聴こうと思いました。しかし、後で聞いたら、オンライン懇親会終了後も、そこで知り合った加盟校の先生とさらに分科会が長時間続いたということです。

★おおー!静岡聖光学院のクオリティーインパクトしかと実感した次第です。

★授業デザインのクオリティインパクト=教育出動の量×加速度×コラボシナジー×ネットワークの拡大となるでしょうか。いやまだ足りません。

★この授業デザインと学校マネジメントが合成されたときにはじめてビッグバンとなります。

★その秘密を、明日星野校長先生とGLICC代表鈴木裕之さん(21世紀型教育機構理事・事務局長)が対話します。私も少し参加して勉強させていただきます。ぜひご覧ください。多くの人の学校のイメージを覆すことになるでしょう。New Power Schoolの真髄/神髄!必見です!

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2021年8月 1日 (日)

ポストパンデミック(01)メタバースの世界構築へ 首都圏模試や工学院にみる

★2020東京五輪・パラリンピックは、緊急事態宣言下の紆余曲折の中、実行されています。このことの是非については、歴史が問い返すでしょうから、ここではその話はいったん括弧にいれます。しかし、この紆余曲折の中からオリパラだけでなかく、あらゆる分野で、次の世界構築へ動きがでています。この同時多発的に起きているそれぞれの新世界構築の部分集合を包括する全体集合は何でしょう。ザッカー・バーグさんがそれを見出したかもしれません。ユニバースからメタバースへがそれです。

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Bloombergにこんな記事が掲載されています。『ザッカーバーグ氏、「メタバース」がフェイスブックの未来の鍵握る Kurt Wagner 2021年7月30日 13:34 』。そこにはこうあります。「ザッカーバーグ氏は「向こう数年で当社に対する人々の主な認識はソーシャルメディア企業からメタバース企業に変わると予想する」とした上で、「さまざまな意味でメタバースはソーシャルテクノロジーの究極の表現だ」と説明した。同氏がメタバースという言葉を公の場で使い始めたのは最近だが、フェイスブックはVRとAR(拡張現実)に投資するなど以前からメタバースの構築を進めてきた。」

★Wikipediaによると、「メタバース、メタヴァース (英: Metaverse) は、SF作家・ニール・スティーヴンスンによる1992年の著作『スノウ・クラッシュ』の作中で登場するインターネット上の仮想世界のこと。転じて、将来におけるインターネット環境が到達するであろうコンセプトモデルや、仮想空間サービスの通称としても用いられる。メタ (meta-) とユニバース (universe) の合成語」で、ユニバースからメタバースへということですね。

★ザッカーバーグさんが、すでにVRやARに投資をしてきたように、メタバースの動きはすでにあったわけですが、それはあくまでも、リアルなユニバースという世界の部分集合だったわけです。ところが、それが逆転・転換してメタバースが全体集合になるとザッカー・バーグさんは新しいビジョンやコンセプトを創ろうとしているというわけですね。

★SFで語られてきたことは、多く現実化しています。生徒と話していると、ドラえもんの世界はリアルになると抵抗なく語ります。しかし、それはもちろん、ハイブリッドだというわけですが、このハイブリッドという概念は、実はメタバーズを予告している橋渡しの言葉なのかもしれません。

★もちろん、メタバースはまだ実感のないコンセプトです。しかし、それがゆえに、この着手は、投資活動を活性化するとザッカー・バーグさんは考えているのでしょう。SNSの世界は広告で成り立っています。しかし、それはあくまで、リアルに向かわせる手法ですから、ロックダウンで、そのリアルが停滞してしまったために、SNS上の広告が減少したでしょう。

★私のこのホンマノオト21はフリーですから、どんなバナー広告が貼られるかコントロールできません。パンデミック以前は、教育系のブログという性格のためでしょうが、塾関係のバナーで囲まれていました。しかし、今では辟易するような広告がくっつきはじめていて、困惑しています。しかし、SNS上の経済状況が手に取るようにわかるので、今は静観していますが、そのうちこのブログも閉じて、別に立ち上げなくてはならないかもしれません。

★いずれにしても、SNSの経済的な困窮が、ザッカー・バーグさんの経済アイデアを刺激していることはあらずといえども遠からずでしょう。そんな折、首都圏模試の山下社長から、オフィス移転の一報がありました。『弊社では昨年から、コロナ禍における感染対策も含めてリモートワークを積極導入してまいりました。それによって、当初考えておりました以上にスタッフが効率的に、のびのびとした感覚で働けたことが、この度のオフィス移転を決意した大きな要因です。これを機に「未来を一歩先取りした」働き方の新体制を整え、リモートであるからこその連絡、連携、意思の疎通、さらには部署をこえた意見交換などにおいて、クラウドアプリやソフトの利点(スピーディーな対応)を生かして、受験生と保護者、学校、塾の皆様をはじめ、今後の新たな社会に貢献していきたいと考えています』と。

★ああ、やはり成功する鵜経営者というのは時代の最前線でシンクロしているのだなあと感動しました。「未来を一歩先取りした」「新たな社会」と山下社長は語ります。そして、ザッカー・バーグさんは、その先取りした新たな社会に「メタバース」という名称を転用したのです。

★山下社長も、今猛烈に「思考コード」でメタシンキングを広めるプロジェクトを動かしています。リアルなオフィスからメタオフィスに移転します。すべての業務はほぼテレワークにし、リアルなミーティングの場だけオフィスに残すということのようです。全体集合がリアルなオフィスからメタオフィスにシフトしたのです。

★すでに、同社は昨年からハイブリッド説明会を学校と協力して開始しています。学校自体はまだまだリアルなユニバースの世界ですから、そう簡単に変わりはしないと思われるかもしれませんが、実際はすでに私立学校はハイブリッドになっています。ただ、まだハイブリッドは部分集合です。

★しかし、そんな中、PBLをベースにしている工学院大学附属中学校・高等学校は、ハイブリッドの方が全体集合になるのではないかという動きをしています。すでにこのパンデミックで、ラウンドスクエア加盟校として海外のエスタブリッシュスクールとオンラインで学びの交流を行っているのですが、すべての生徒が高2でグローバルプロジェクトでハイブリッドツアー学習も行っています。

★ラウンドスクエアのこの交流にしても、参加する生徒は限定的だし、グローバルプロジェクトにしても、高2の学年ですから多くの生徒が参加するとはいえ、学校全体としては限定的です。したがって、まだハイブリッドな世界は部分集合だと思っていました。

★ところが、昨日、中2のプロジェクトツアーのブログを見て、工学院は、授業もそうですが教育活動のすべてがプロジェクトのプロトタイプを伸縮自在に発展させて動いているのだということに気づきました。

★C1英語×PBL×ICT×思考コードというプロトタイプがあらゆる教育出動でベースになりリファインされながら回転しています。特に新校長の中野先生はICTというテクノロジー分野の重鎮です。来春から「先進」という名称に変えるコースもつくります。

★ハイブリッドから先進へ。これはザッカー・バーグさんや山下社長の動きとシンクロしていると思います。ユニバースからメタバースへ。

★とはいえ、まだユニバースとメタバースは二つの世界が交わっているベン図の様相を呈するでしょう。

★ともあれ、メタバーステクノロジーと先進経営学。進路はこの方向で大きく動くかもしれません。もちろん、制度設計マインドという補集合はユニバースとメタバースの背景には常にあります。

★勤務校は、資本がないので、制度設計マインド=世界の作り方マインドに傾注するしかないかなと思っている今日この頃です。

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2021年7月18日 (日)

New Power Teacher(03) 児浦先生、田中歩先生、新井先生、田代先生 いよいよ次世代SGTのためのワークショップ開催

★本日、午後から、21世紀型教育機構の教育研究センターのリーダー4人が、次世代SGT(スーパーグローバルティーチャー)のためのオンラインワークショップを開催します。そのリーダーというのは、聖学院の児浦先生工学院の田中歩先生和洋九段女子の新井先生静岡聖光学院の田代先生です。

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★4人の先生方は、当然、New Power Teacher=最先端×教育力×影響力×変容力の方程式を満たしています。しかし、その影響力は、国内にとどまらず、海外の学校や団体とコラボレーションするネットワーカーでもあります。また、その変容力は、自己変容だけではなく、組織変容力を生み出す共感的かつ戦略的コミュニケーションの達人でもあります。

★最先端というのは、ICTを自在に活用するというレベルは当然で、思考力や判断力、創造力を生み出す優れた学習理論も構築しています。

★影響力という点ではもう一つ大事な点があります。それぞれ学内のリーダーですが、それだけではなく、21世紀型教育研究センターのリーダーであったり、それぞれ外部団体でリーダーも担っています。要するに、リーダーフルなのです。

★教育力という点では、学内の教科授業の教育でPBLを推進しているという意味のみならず、学内の教師のSGTとしてのスキルやマインド養成もしています。そしてさらに、今回のように21世紀型教育機構の加盟校のSGT育成ワークショップを企画運営する教育力ももっています。この根底には、自分だけではなく、多くの先生方にもSGTになってもらうにはいかにしたら可能かという問題意識と共に変容しようというケアフルなマインドがあります。

★本日は、同機構会長の平方先生がまずは21世紀型教育機構の理念を話し、2人の先生から授業実践の研究発表があります。今回は同機構の加盟校の教師限定のワークショップですが、ここまではいずれ公開されるようです。そしてその後、オンラインワークショップに移行します。ここは非公開のようです。

★この流れから、SGTは次のような方程式になると思います。

Super Global Teacher=Golden Rule × Global Creativity × New Power Teacher

★すでに同機構の加盟校の教師はNew Power Teacherです。PBLやSTEAM、C1英語について理解し推進していて、一定の最先端×教育力×影響力×変容力を有していいるからです。この能力と技術と、特にポストパンデミックに必要なコンパッショネイトシステム思考のベースであるゴールデンルール(NY国連ではこのルールは民族や人種、宗教などを超えて共通する最高のルールとしています。これについては会長の平方先生が語るでしょう)の共有がなされ、言語を超えたグローバルなワークショップ言語の創造のスキルとマインドを統合させるとSGTとしてキャリアアップできます。

★そう、キャリアアップです。将来、SGTの価値は、存在価値ばかりではなく、市場価値もでてくるでしょう。

★SGTに存在価値×市場価値が加わった時、世界は大きく変わります。

★つまり、世界の歴史は、軍事力→経済力→教育力というパワーシフトを成就させるのです。脱炭素社会、脱成長社会ベースの市場経済こそ、民主主義を支える生活社会を生み出すことでしょう。これがグレートリカバリーとかグレートリセットとかの時代文脈です。

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2021年7月17日 (土)

教育のアップデート~2022年に向けて(31)ハッシュ関数的発想の「世界の作り方」の探究ゼミ

★ハッシュドポテトの世界は、まさにハッシュ関数に取り囲まれた私たちの日常世界の象徴です。バラバラになったものを寄せ集めてポテトという世界現象をつくるなんていうのは、検索エンジンでバラバラの情報を寄せ集めて世界をつくる方法とそっくりです。この検索エンジンにもハッシュ関数発想は使われているし、暗号やセキュリティにもハッシュ関数は使われています。一見ナンセンスの情報が、関数という関係を通して意味のある世界をつくるのです。

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★もともと私たち人類の原初は、初めから意味のあるものを見出すのではなく、石ころや木片のような断片的なモノを意味ある道具につくってきたわけです。ブリコラージュとか野生の思考と言われていますが、それは今やハッシュ関数思考に現代化されています。

★しかし、近代化によって、野生の思考は失われ、はじめから意味のあるモノや言葉が大量に編集され、それを読み解く思考が一般化しました。意味あるものをインプット→意味あるものをアウトプット。そこには創造性よりも正確に転写する知識・技能の理解度が重視されてきました。

★しかし、これは言語の世界での話ですね。科学では、はじめ意味のない現象に意味を見出していく発想が求められます。言語の世界や既存の世界では、演繹推理(ディダクション)や帰納推理(インダクション)は成り立ちますが、このような意味がはじめにわからない世界を推理するには、アブダクションという仮説推理が重視されます。

★私が、勤務校で同僚と協働して行うささやかな(12人のチーム)「探究ゼミ」はこの野生の思考の現代化である「ハッシュ関数化思考」の探究です。図や写真やグラフ、断片的文章などバラバラの情報から、いかにしたら世界をつくることができるのかを探究します。

★結構新しいかなと思っていたら、昨夜水都国際の太田教頭と対話してみると、新しいカリキュラムのTOKのIA展示と近い考え方だと感じました。

★もちろん、IBとは違いまから、独自路線を歩みますが、世界の学びと親和性があるかどうかは大切です。独りよがりになるのは危険ですから。やはり越境的な対話は重要ですね。

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2021年7月10日 (土)

21世紀型教育機構のワークショップ 緊急事態宣言発令に伴いオンラインワークショップに速やかにシフト 新しい社会のロールモデル

★7月18日、21世紀型教育機構は次世代SGTのためのPBL授業の共創ワークショップを、和洋九段女子において、対面型でリアルに開催する予定でした。しかし、同機構サイトに「東京都に緊急事態宣言が発令されることを受けて、本イベントはオンラインでの実施に切り替えることにいたしました(2021年7月10日)」とあるように、速やかにオンラインワークショップにシフトした模様です。

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★何気なく、シフトしたと告知されているわけですが、このことの意味を確認することは歴史的にも重要です。久々の対面型のワークショップを行おうと盛り上がていたはずなのに、緊急事態宣言が発令されるや、速やかにというかクールにオンラインにシフトしたのですから。

★機構はサークルではなく、組織ですから、企画運営の主催者である21世紀型教育研究センターのSGT(スーパーグローバルティーチャー)リーダーの皆さんは、時空を超えて、つまりサイバースペースで熟議をし、速やかに理事会で判断できる論拠や情報を共有したはずです。この熟議×意思決定の俊敏さがハイブリッド対話ができるチームになっている21世紀型教育機構の強みでしょう。

★ちょっと考えて見ればわかるように、加盟校である静岡聖光学院が端的な例ですが、緊急事態宣言発令や否や、東京のどこかの会場で集まって会議をするなどということは到底できない話です。加盟校は11校です。1つの学校なら会議を夜遅くまでリアルでやるかもしれませんが、同機構は、サイバー上で行います。同教育センターのSTG(スーパーグローバルティーチャー)リーダーはデジタルパイオニア世代ですから、問題はありませんが、理事会メンバーは、その多くが団塊・断層世代です。一般には、ここがサイバー関連は苦手です。しかし、機構の場合、世代に関係なくハイブリッドツールを自在にこなします。これは同機構の特徴です。

★もっとも、クローバルな視野からみれば、当たり前なのでしょうが。

★また、熟議や意思決定の時のポイントは、感情論ではなく、ロジカルシンキングと思いやりのマインドの両方で進んだことは推測に難くありません。PBL実践校ばかりだからです。

★つまり、21世紀型教育機構は、ハイブリッドPBLに移行しているため、状況に応じて柔軟に対応する一貫性ある行動をとるのは難しくない。そして大事なことは、技術的な側面に合わせて、黄金律(NY国連が提言している意味で)を基準に、機構以外の参加者に対する配慮をする一貫性ある行動をとるのは論理的にも精神的にも当然なのだと語り合ったことでしょう。

★さらに、今回のワークショップの目的である「SGTとの情報共有、新しい市場拡大」もオンラインシフトによって達成することができると判断したことでしょう。

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★というのも、同教育研究センターのSGTリーダーの一人である児浦先生は、すでにオンラインワークショップについて本を執筆していて、実践済みですから、対面型ワークショップでしかできない領域をできるだけオンラインでもできるように挑戦しよう、またオンラインでしかできない強みを創出しようという熟議になったに違いないからです。

★変化に対応しながら、その都度進化する、つまり自己変容するのが、SGTの本意でもあります。

★1つの学校の組織と違い、1人ひとりがリーダーフルなコミュニティシップを発揮する新しい組織開発の場となっている21世紀型教育機構。1校ではなかなかできない組織作りになってきています。これぞ21世紀型教育機構としての面目躍如というところだと思います。

★そして、この新しい組織作りが、ティール組織という新しい発想の枠をも超えて、新しい社会づくりのロールモデルになると思います。

★もはや、誰がリーダーになるのかという議論はアナクロニズムであるという時代になってきました。ここに未来を拓くカギがありますね。

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2021年7月 4日 (日)

受験の世界を変える首都圏模試センター(01)中学受験雑誌「shutomo」の新しい切り口

★本日7/4(日)、首都圏の私立中高25会場で首都圏模試センターの小6第2回・小5第1回の「合判模試」が実施されています。過去10数年のなかで、最多の受験者数。この受験者に同センターが発刊する中学受験雑誌「shutomo2021年7月号」が配布されます。受験市場の約25%に配布されシェアされるわけです。

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★一般に、受験雑誌というのは、特集で時代の変化に関する情報を流し、あとはほとんどが学校情報と入試変更情報、生徒募集人数データと大学進学データをもとにした入試の分析情報を発信しています。

★ところが、首都圏模試センターの受験情報は、受験市場の在り方そのものを変える情報をメインストリームとして発信しているのです。学校情報を発信するにしても、学歴階層構造をゆるがすような取り組みを行っている学校の情報を流しています。

★もちろん、偏差値情報も流します。これは合格戦略のために、闇雲にウケるのではなく、学習方略を考える戦略思考を形成するために必要なデータです。学校の順位を決めるデータではないのです。

★ですから、受験生は、偏差値にこだわるのではなく、偏差値は、今の自分の力とマッチングする学校をさがすデータとして使い、学歴階層社会をゆるがすNew Power Schoolの情報は、その学校が自分の力を無限に解放できる環境であるかどうかを見定め、未来の自分の力にマッチングしているかどうかをモニタリングする情報として活用するのです。

★つまり、いまここでと未来の自分の両方にマッチングする学校選択情報が満載なのです。この未来というのは、当然中高一貫に入学して卒業する時の自分であり、大学に進んでからの自分であり、さらに社会に出てからの自分をイメージできる壮大なビジョンやコンセプトの情報です。

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★今月号の特集は、8ページにわたる圧巻の記事です。テーマは「グローバル教育の過去~現在~未来」で、執筆者は知る人ぞ知る帰国生の憧れの21世紀型塾GLICCの代表鈴木裕之さんです。鈴木さんは、長年海外帰国生のスーパーアドミッションメンターで、多くの帰国生をケンブリッジ大学などの海外大や学東大、一橋、早慶上智、MARCHに導いています。

★最近では、中学受験における帰国生入試、英語入試の講座で、高い人気を勝ち得ています。あの三田国際の国際生入試で20人近く合格者も輩出しています。英語塾ではないのですが、スタッフは外国人で、塾内公用語は英語です。インターナショナルスクール近い感覚ですね。

★帰国生入試をベースとしているため、世界の入試市場の視点から国内入試市場を見ていますから、他の追随を許さないグローバル教育のコンセプトやビジョン、発想をもっています。

★また、毎週金曜日GLICC Weekly Eduで、グローバル教育情報やNew Power School限定で、各校の先生方と教育について対話する番組も編集・発信しています。

★このような経験を通して国内の受験市場では気づかないような新しい視点を提供しているのが鈴木さんなのです。桜新町の小さな塾ですが、海外の生徒はオンラインですから、学びの場は実は地球規模です。

★8ページの圧巻ではありますが、鈴木さんの経験をすべて盛り込むことは到底できません。それでも、そのダイジェスト版は共有できます。いずれ、首都圏模試センターで公開されるかもしれません。ぜひご覧ください。

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★それから、これからの時代は、何が起こるかわかりません。身一つでサバイバルできる知のスーパーポータビリティとしての思考力・判断力・創造力が必要です。その3つの力を生み出す泉である思考コードについて研究するプロジェクトを首都圏模試センターの社長山下一さんが進めていて、膨大なレポートになりつつありますが、そのほんの一部が少しずつ公開され始めています。そのプロジェクトに私もかかわっているのですが、そのページも掲載されています。いずれ、塊になったものが公開される予定です。ご期待ください。

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2021年6月27日 (日)

文化学園大学杉並の染谷先生 New Power Schoolの価値と作り方を語る

★まずは、このYouTubeをご覧いただきたいと思います。<GLICC Weekly EDU 第35回 文化学園大学杉並中高STEAMプロジェクトリーダー染谷昌亮先生との対話「学内ダイバーシティと探究創造活動」>

★若き私学人染谷昌亮先生のNew Power Schoolづくりに対する想いがストレートに伝わってきます。明るく、かけがえのない生徒1人ひとり価値を真摯に大切にする姿勢、そしてスキルフルで、いかに複眼思考の持ち主であるかがわかります。

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★また、文化学園大学杉並のリソースを自身の世界的視野・国際経験に結びつけて新しい学びや学校の在り方を構築している様子に、私学の可能性を感じます。

★文化学園大学杉並の系列の大学は、実は毎年ファッション部門で世界大学ランキング10位以内に入っている程のビッグネームです。アメリカのビジネスマガジン、CEOWORLD magazineが『世界のファッションスクールランキング2021』を発表していますが、世界各国のファッションスクールの中で、文化服装学院が8位にランクインしています。

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★このリソースが、現在の文杉の破格のグローバル教育DDコースが出発する土台となっています。カナダのブリティッシュコロンビア州が文化学園大学杉並と提携契約をする際に、この世界的なレベルのクリエイティブティの社会実装がすでにあることは重要な決め手になったようです。

ダブルディプロマやデュアルディプロマは、今では多くの学校が世界各国と提携していますが、その先駆けが同校だったことは、New Power Schoolが生まれる諸条件を考える場合、知っておくべき価値があります。おそらく日本の教育史に残るでしょう。すでに文科省は文杉とダブルディプロマの在り方について研究を開始しています。

★同校のDDコースは、今では高校のみならず、中学から始まるほど大きな展開になっていますが、その詳しい話は、ぜひ今回のYouTubeをご視聴ください。

★また、染谷先生は、広報部長補佐であると同時に理科主任であり、STEAMプロジェクトリーダーです。マルチインテリジェンスの才能者です。そして実に寛容な精神の持ち主でもあります。

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★ですから、STEAMのコンセプトも個別最適化のようなICT教育がベースではなくて、「他者とのかかわり」がベースです。つまり寛容の精神です。PBLを実施しているので、当たり前ですが、日本の現状では個別最適化に傾斜しがちですが、染谷先生のコンセプトはそれとは違います。

★この違いは、たんに考え方の違いではありません。染谷先生の海外経験がかかわっているからです。香港や武漢で起きている社会現象や社会的事件は、私たちの記憶に新しいのですが、染谷先生は香港でその中で生きる経験をしています。

★その目の前で起きている世界の矛盾の縮図の中で、染谷先生は世界の矛盾や弱者に接する態度の重要性に気づいています。今世界のリーダーの共通の思いとシンクロしています。

★ダイバーシティーとかプロジェクトというのは、この世界の矛盾や弱者に接する態度に思いを馳せる体験で、そこから根源的な問題に気づき、だからこそそれを解決するには多くのネットワークと協働し、創造的活動を起こしていく必要があるわけですが、染谷先生と生徒が行っているSTEAMプロジェクトは、まさにそこから出発しています。

★すでに世界の舞台で生徒は、多くのプロジェクトを展開しています。その具体的な話については、YouTubeをぜひご覧いただきたいと思います。

★いずれにしても、染谷先生も生徒も、クリエイティブクラスの条件3T(Talent:才能、Technology:技術、Tolerance:寛容)を満たしています。世界の産業構造は、第一次産業、第二次産業、第三次産業の次の第4次産業に変容しているわけですが、その新しい産業を牽引する新しいグローバル市民はクリエイティブクラスと呼ばれています。

★日本では、クリエイティブクラスというのは、まだ産業構造の変容を示す名称ではなく、たんなる創造的な仕事を従来の産業構造の中で行っている人材の名づけぐらいにしか思われていません。

★この世界と日本の意識の差をしっかり認識しながら新しい教育に挑戦している染谷先生は、いずれ直面せざるを得ない日本の国の転換の時に、学校を超えて、そして生徒と共に活躍するでしょう。とにかく、生徒の未来の希望、日本社会の希望、世界の希望がここにあると、確かな手ごたえを感じました。

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2021年6月20日 (日)

児浦先生との対話 SGTのWorld Making Classとしての活動が始まる 歴史的・地政学的価値の転換(2)

★児浦先生との対話は、日本の中等教育機関が、地政学上どのような役割を世界に果たしていけるのかという話にまで広がりました。すでに、国際的な高等教育機関のリサーチセンターであるCGHE(The Centre for Global Higher Education)では、今回のパンデミック以前から高等教育機関の地政学的壁とそれをどのようにぶち破っていくか研究が進んでいます。

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★同センターのリーダーはオックスフォード大学の Simon Marginson教授ですが、同センターのサイトのブログで頻繁に発信してもいて、勉強になります。東北大学や広島大学など日本の大学も当然協力していますが、それほど話題になっていないかもしれません。

★メディアの取り上げ方は、大学にしても高校にしても、名門大学とか名門高校とか、ランキングに沿って一つ一つ語るだけで、1989年以降、グローバル市民社会の共通の知の財産としての高等教育機関や高等学校の在り方をどうしているのかの情報収集をして、分析して発信することはありません。世界ランキングや偏差値ランキングや富裕層向けの学校紹介あるいはスキャンダル情報を中心とした情報がメインですね。

★ですから、本来は日本の大学も自分の大学だけではなくグローバル市民社会における自分たちの役割をリサーチして市民に提供していくことになるでしょう。今のところは、まだまだ国VS大学で学問の自由をどう守るかという話がメインで、ワールドクラスな国際的な大学間の協調の話は、専門家レベルの話にすぎません。

★同じことが中等教育機関にも言えます。もっとも中等教育機関は、専門家レベルでも国際的な協調関係を話し合い市民社会に目を向ける作業は行っていませんね。

★しかし、そもそも、そのよううな動きを現在文科省が行っているわけではありません。現状の学習指導要領体制ではなかなかできないし、改正教育基本法や改正学校教育法などにも、それが盛り込まれていないためになおさら動きにくいと思います。

★そこで、心ある文科省のメンバーが、IBなどの教育を導入しようというのですが、それとても、IBプログラムの消化に追われ、IB機構が国際教育機関として世界の教育をどう考えているか語っている人は少ないですね。かつて大学でIB研究の講座を持っていた時に、学生とそこらへんを議論しましたが、学生レベルでその点に関して調べる資料はすぐには手にはいらない状況でしたから、市民レベルにはそんなグローバルな教育知財が共有される段階ではないのでしょう。

★それにしても、CGHE にしてもIBにしてもそこにかかわるプロフェッサーはオックスブリッジです。AIの震源地もそうでした。私たちは、オックスブリッジの情報をなんとか収集するリサーチ機関をつくらないといけません。専門家レベルではなく、グローバル市民社会のレベルの話です。

★というわけで、CGHEの想定している高等教育機関に関する地政学的視野を中等教育レベルの21世紀型教育機構は転用的リサーチや構想を進めなくてはならないでしょう。現状ではCGHEのように投資をしてもらえる段階ではありませんが、そこもなんとかしていかなければというわけです。

★そういう意味では、地政学的には、日本に世界の中等教育レベルの学校が登場してくる歴史的必然があるので、そこに集中して構想力を発揮していこうというのが同機構の21世紀型教育研究センターです。

★児浦先生と私の構想は、組織的にはCGHEのような動きが親和性があります。幸い21世紀型教育機構の加盟校は海外大学進学実績を着々と出しているので、そのような動きになると一気呵成に加速するでしょう。

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児浦先生との対話 SGTのWorld Making Classとしての活動が始まる 歴史的・地政学的価値の転換(1)

★昨夜、聖学院の教育と経営の両輪のリーダーシップを発揮している児浦先生(21教育企画部長・国際教育部長・広報部長)とZoom対話をしました。児浦先生は思考力入試の本質と市場経済の位置づけを果たしたクリエイティブクラスでもあります。21世紀型教育機構の21世紀型教育研究センターのリーダーの1人(ほかに工学院の田中歩先生・静岡聖光学院の田代先生・和洋九段女子の新井先生)でもあります。

★私も同機構の加盟校である聖パウロの教師でもあるし、同機構の立ち上げメンバーだったということもあり、今後の21世紀型教育機構の歴史的・地政学的意義や価値は何かについて対話になりました。この価値というのは理念や本質的価値ということもありますが、経済的価値も意味します。

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★今年の定例総会で、同機構会長の平方先生が、グローバル教育(GE)4.0を宣言し、世界の学校づくりとWorld Makingのステージに突入することを語りました。それをウケて、21世紀型教育研究センターのさらなる展開が始まったということなのでしょう。

★≪私学の系譜≫からいえば、江原素六、渋沢栄一、新島襄、福沢諭吉などの第一世代が形づくった、もう一つの近代の路線をその時代その時代に適合していかにして教育出動するかですが、そこにチャレンジということでしょう。まさに同センターの先生方はチェンジ―メーカーです。

★第二世代である内村鑑三、新渡戸稲造、高橋是清、石川角次郎(聖学院初代校長)らは、戦後教育基本法という戦後民主主義の教育を形成する私学人らに大きな影響を与えました。

★また澤柳清太郎(成城学園の創立者)を中心に大正自由教育という現代にも影響を与える教育も生まれました。

★これらの流れは、今21世紀型教育機構の学びのメインであるPBL教育(PBL授業はその一部)の現代化(デューイの系譜ではある)と一部は合流しているでしょう。しかし、≪私学の系譜≫としての歴史的意義の位置づけを21世紀型教育機構は形成できるのかは、今後にかかっています。

★何も歴史的に有名になろうなんていうゲスなことを考えているわけではありません。内村鑑三は、お金を儲けて社会に還元するもよし、教師となって生徒を導くのもよし、作家として時代のサーチライトになるのもよし、ボランティアをやって社会に貢献するもよし、しかし、誰でもできるが得難い最高の活動は、高邁な精神をもって勇気をもって活動し続けることなのであると語っています。

★私たちは、この内村鑑三の語る方向性をすべて統合して進もうとしています。その結果21世紀型教育機構は≪私学の系譜≫を汲む21世紀私学人=STG(スーパーグローバルティーチャー)を輩出するようになるのです。SGTは、脱炭素社会を欲望資本主義の修正主義でもなく、脱成長主義的発想でもなく、19世紀末から20世紀初頭に出現し、しばらく20世紀欲望の資本主義(NHKの表現を借りています)によって追いやられていましたが、ケインズやモモを描いたミヒャエル・エンデが夢見たもう一つの近代社会のリカバリーを生み出すクリエイティブクラスです。

★世界ではクリエイティブクラスがどんどん生まれていますが、日本ではクリエイティブな人材が豊富ですが、クリエイティブクラスとして前面にでてくるのはなく、組織の一役割を演じる人材として安い賃金で雇われており、自分の使命のためではなく、また格差社会をなくす新しい世界づくりのためにでもなく、組織の利益のために使われています。

★SGTは格差社会をなくし平和やwell-beingを生み出す社会づくりとそれにシンクロする学校づくりをするというWorld Makingを果たすことをミッションとしています。

★すなわちクリエイティブクラスです。自分のミッションと組織や社会、世界のミッションがシンクロするように動きます。

★ですから、児浦先生は、21世紀型教育研究センターをテコに、単純にPBL授業ができる教師のスキルセミナーをやって終わりなのではありません。21世紀型教育センターのミッションは、先生方1人ひとりの使命と学校組織の使命と社会の使命がシンクロするようにイノベーションを起こすことになります。

★そのためには、教育と経済の新しいシステム作りをすることに必然的になります。もちろん、このSGTは生徒中心主義(デューイの系譜)ですから、生徒も同時にクリエイティブクラスになっていくシステムです。

★SGT輩出システムは、米国のETSやイギリスのケンブリッジ出版のようなシステムを換骨奪胎する第5次産業センターに成長するでしょう。10年はかかるでしょうが、21世紀型教育機構も10年でできたわけですから、同機構の次のステージの第5次産業センター構想もあっという間でしょう。もちろん外部団体と協働しなければなりませんが、それはすでに動いています。もちろん国とも齟齬があってはなりませんから、そちらも大丈夫です。

★私自身が年齢的にリアルに存在しているかどうかは神のみぞ知るですが、かつての21世紀型教育機構のリーダーの1人だったかもしれない私です。もしリーダーであるならば、自分に固執するのではなく、今後3世代くらいにわたって使命の松明を継承してもらえるように知恵を使い構想力を広げようと思います。

★これもまた高邁な精神をもって勇気をもって活動し続けることで、内村鑑三の意志を引き継ぐ21世紀型私学人(なぜか私も私学の教師になってしまったわけですから)の歩む道だと思っています。

★今回児浦先生とかなり具体的な10年構想について対話しました。児浦先生と私の経歴は重なるところが多く、二人とも私学の教師になる前から新しい学びを開発する仕事を協働していました。私学の教員としては児浦先生が大先輩です。やっと追いついたので、共に再びというか本格的に第5次産業構想を追究したいと思います。(つづく)

※【補説】すでにクリエイティブクラスは第4次産業を牽引する人材を意味します。産業構造は20世紀社会は第一次産業、第二次産業、第三次産業というカテゴリーに分けられていましたが、都市社会学者のリチャード・フロリダ教授が、第4次産業の出現を提案し、その牽引人材をクリエイティブクラスと称しました。

この発想はダボス会議にも影響を与えて、今年の同会議のメインテーマはグレート・リセットでしたが、このことばもリチャード・フロリダ教授の本のタイトルの影響を受けていると推察します。Z世代の希望である落合陽一さんも、著書「働き方5.0」でクリエイティブクラスを柱に語っています。第4次産業革命もフロリダ教授の影響を免れません。

21世紀型教育機構のSGTは、いったんはクリエイティブクラスですが、この概念は企業人からでているので、教師がこの概念を活用するといきなりWorld Making Classになるのです。第5次産業の誕生への道が開かれます。

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2021年6月13日 (日)

教育のアップデート~2022年に向けて(26)広尾学園の海外大学進学実績の意味 人間の存在の根本問題のシェアリング

★先日、一般財団法人東京私立中学高等学校協会の総会に出席した折、広尾学園の理事長池田富一先生にお会いしました。私が聖パウロ学園の校長に就任したことをわがことのように喜んでくれましたが、全く別の教育を行っていることを受け入れ、エールも送っていただきました。池田先生は、ある意味、中学受験の地図を変える新しい教育を行い、大学合格実績も目覚ましい躍進をして新しい進学校を築き上げています。そんな静かな情熱と内に秘めた自信が穏やかな表情に反映していました。

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★従来の中学受験の選択の理由は、東大を頂点とする進学実績でしたが、広尾学園は、日本にこだわらず、世界をキャリアの舞台としてみなしています。東洋経済ONLINE2021年5月9日の記事によると、こうあります。

新型コロナウイルスの影響で海外渡航に制限がかかり、多くの生徒たちの海外留学の機会は奪われた。そんな状況下でありながら、留学ではなく、日本から海外の大学への進学率は増加傾向にある。多くの学校では、毎年6月頃に、英国や米国などの海外の大学への合格実績が公表される。早くも、私立中高一貫校の中で最も多くの海外大学合格者数を輩出する広尾学園高等学校の数値が発表された。20年度、広尾学園高等学校では、昨年度の79名から大きく3桁に数字を上げ212名が海外大学に合格している。(2021年5月7日時点) 

★212名の海外大学合格というのは、圧巻です。開成は毎年東大に150人前後合格者を輩出するのですが、それをも超える意味があるかもしれません。

★東大は今、男女の入学者数の割合で、ダイバーシティの問題を解決する糸口を見出そうとしている段階です。それはダイバーシティの1つの在り方であり、とても大切なことではありますが、世界におけるダイバーシティの問題は、それこそ多様なのです。

★その点、広尾学園は世界に開かれたダイバーシティを追究していると言えるでしょう。

★ダイバーシティの意味はダイレクトに光の領域にあるわけではありません。ダイバーシティとイノベーションは、実はダイレクトに結びつくわけではないのです。

★中学受験の学校の広報活動において、ダイバーシティは大事にしていると言われています。しかし、その表現は光の部分だけです。できるだけネガティブなことは広報活動では表現しないのが暗黙の了解です。

★しかし、本当は、ダイバーシティは世界の痛みを受け入れることなのです。それゆえに、それを解決しようとイノベーションがうまれてくるわけです。

★広尾学園は、ここに対する覚悟があるのです。池田理事長と対話した時、教育の内容は全く違うのですが、その点においてしっかりと共有することができました。世界の痛みを受け入れるがゆえに、海外大学の進学者が増えるという本物のシステムができあがっているのです。

★海外大学は、このテーマを括弧に入れて自分とは何かを表現する学生には興味がないからです。

★日本の大学の一般試験は、ここの問題意識を前面には出さないで受験が成り立ちます。それゆえ、国としてはまずいのです。それゆえ、総合型選抜という、世界の痛みを受容しながら一方でイノベーションへの気概を持った学生を募集しようという流れがでてきています。

★大学受験勉強という何か表面的で利益主義的な勉強とみなされがちなのは、世界の痛みという人間の存在問題にマスクをかけて勉強が成り立ってきたからです。

★これに対する省察が文科省の中で、あるいは経産省の中でも生まれているわけであります。それゆえ、総合型選抜というわけですが、その人間存在の根本問題に触れずに一般入試で合格させようという根強い流れは、未来から見たら、悪法も法という時代だったということになりましょう。

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