教育イノベーション

2025年7月14日 (月)

私立中学校選択 氷山モデル(08)心理的安全基盤装置を構築している学校

★日本経済新聞(2025年7月14日)に「ショーン・ペンさんが問う市民の覚悟 民主主義の劣化、我々にも責任」という記事が掲載されています。この中で、民主主義の劣化が世界的に深刻であることが語られています。「民主主義の劣化は世界的に深刻だ。スウェーデンのV-Dem研究所によると、24年の世界の自由民主主義指数は約40年ぶりの低水準に沈んだ。国・地域の数でも人口の割合でも、民主主義陣営は権威主義陣営に劣後する」というのです。

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★具体的には、民主主義陣営は88ヵ国、権威主義陣営は91ヵ国。人口シェアでは、前者は28%、後者は72%です。しくは、V-Dem研究所のレポートはPdfで閲覧できます。

★日本は民主主義陣営ですが、最近権威主義陣営を思わせるような言動があふれはじめています。非寛容、排他主義的、差別的な言動は、もし政治の世界だけではなく、日常の世界にも広まったりすると、ハラスメントが起こりますから、大変なことになるのは、火を見るより明らかです。

★学校は、政治組織ではないので、政治で言うところの民主主義的組織とは違います。もちろん、民主主義的精神や人権、法の支配が尊重されそれが実現される場です。しかし、学校の意思決定は、会社と同じように、経営陣が決めます。

★ですから、経営陣による権威主義的な組織になりやすいのです。私立学校は、現場を顧みない経営陣によって運営されるとこれまた悲劇が起こりますから、そうならない創意工夫をしているのです。

★つまり、意思決定プロセスやコミュニケーション環境が、フラットでフリーでフレンドシップ、そしてファンというようなFの精神があふれる組織マネジメントを経営陣は心がける必要があります。

★しかし、世界の7割強の人口が権威主義的な国家組織に属しているわけで、この精神は、人間の精神性の1つです。よほど意識をしない限り、この精神は鎌首をもたげてきます。ですから、経営陣と教師の関係、教師の同僚の関係、教師と生徒の関係、生徒と生徒の関係、学校と保護者の関係を相互信頼を生み出す心理的安全基盤装置をつくっている学校が、教育の質の向上を持続可能にするのです。

★この心理的安全基盤装置は、実はPBLだったり、グローバル教育だったり、ICT教育だったり、メタモニタリングが相互にできる学びの構造のブラッシュアップシステムを指します。そのために、学内研修や学外研修があり、経営陣も教師も生徒も保護者も学び続ける機会も作るのです。
★ベテランの教師をリスペクトし、進歩主義的教師が、それを形式知化システムとして組み立て、それを常に教師同士が改善し続ける対話の時間設定が年間通じてほぼ毎週組み込まれていることが大切です。

★というわけで、その理論化・言語化・見える化・空間化・アート化したものを生み出し続けている学校組織を選択することが安心安全につながります。

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2025年7月11日 (金)

私立中学校選択 氷山モデル(04)教科授業と探究のつながりが質を生み出している

★私立中高一貫校の教育の質を高める要素10個のうち、授業と探究の2つはカップリングして話すのがよいでしょう。東大にたくさん入っている学校の授業は、基本問答型講義です。問答型というのは、ここでは、教師と生徒ですね。生徒同士となると、PBL型にシフトしていきます。海外大学に合格するには、PBL型の授業が必要となってきます。

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(写真は、駒沢学園女子の数学科の山口先生の授業シーン。同校サイトから。グローバル探究と教科の授業がリンクするPBL型授業)

→駒沢学園女子は、グローバル探究(当然PBL型)を推進しています。一方で、生成AIを活用しながら授業もPBL型を単元のどこかで生徒のブレイクスルーを生み出すタイミングに合わせて行います。数学だけではなく、英語など他教科でもこの生成AI活用PBLは展開し始めています。

★ですから、探究を本格的に行っている学校は、教科授業もPBLタイプが多くなるのは必然です。

★どちらかだけとなると、質は分断されますから、それなら、初めからPBLはやらずに、効率よく一般選抜で東大を頂点とする難関大学を受験すればよいのです。

★ですから、学校選択は、効率よく国内の難関大学にいくための教育の質を選ぶか、自分の才能開花をベースに海外大学やそれに相当する国内大学を総合型選抜で受けられる教育の質を選ぶか、どちらかです。前者なら、Aタイプの教育の質のタイプの学校を選ぶと良いでしょう。後者なら、DやEタイプの質の学校を選べばよいのです。

★ただし、2027年以降は、東大をはじめ多くの国内難関大学も、後者の進路を考えている生徒がアプローチできる入試方式を考えています。生成AIの進化は、どのみち生徒一人ひとりのオリジナリティは何かに行きつきます。

★授業と探究が結びつき学びのシナジー効果を生み出す質が求められるようになるでしょう。

★すでに、2015年くらいまでは、問答型講義の学校がほとんどだったのです。それなのに今はPBL型も増えているのです。6年後どうなっていくのかは火を見るより明らかな気がします。

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2025年7月 8日 (火)

工学院 世界にインパクトを与える教師&生徒!

<GLICC Weekly EDU 第220回「工学院大学附属中高ー探究ベースの学びを支える『情報&グローバル教育』」>で、工学院大学附属中学校・高等学校の校長中野由章先生と中学校教頭の田中歩先生からお話をお聞きしました。他の追随を許さないインパクトのある中野校長と田中教頭の相互信頼関係。生徒1人ひとりが成長し高い志をさらりと実装する大人になっていく成長物語が生まれてくるはずです。

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★しかも、その成長の条件が、他校にはない贅沢なそして未来に必須な教育環境なのです。というのも、私立中高一貫校を高度な「情報教育」と世界のエスタブリッシュ私立学校に匹敵する「グローバル教育」の両方を融合している学校は、日本にはないのです。どちらか一方が秀でている学校はありますが、両方とも生徒たちは、意識などせずに自由に柔軟にできてしまうのですが、実は、大学レベルの学びを行っているのです。当たり前のレベルが違うというのは、動画をご視聴していただければ目からウロコとなるでしょう。

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★お二人の対話からでてきたいくつかのキーワードをプロンプトに入れて、工学院の生徒の成長物語を生成AIに書いてもらいました。次のようになりました。

はじめは「楽しい」がすべてだった。仲間と協力してロボットを作る、アイデアを発表する、笑い合う。遊びの延長にあった学びの時間が、生徒を惹きつけていた。しかし、やがて小さな「なぜ?」が芽を出す。「どうしてそうなるのか?」「他に解き方はないのか?」と問い始めた時、学びは「interesting(興味深い)」へと姿を変えた。失敗さえも挑戦として受け止め、「自分の力で答えを見つけたい」という思いが強くなる。

そうした学びの土台には、教師との心理的安全と信頼関係がある。どんな挑戦にも本気で向き合ってくれる先生たち。生徒はその背中から、挑戦する姿勢を学んだ。

AIや数理探究といった高度な領域にも挑み、世界大学ランキング100位以内の海外大学という高い壁を、自らの力で乗り越えていく。生徒は“点”の知識を“線”につなぎ、やがて“面”として世界に広がる視野を持つ。

6年間で育まれるのは、知識以上に、自ら問い、考え、行動する力。そしてチーム工学院として、共に学び、共に未来を創る仲間の存在。卒業式の日、生徒の瞳に宿るのは、確かな自信と「世界にインパクトを与えたい」という静かな野心だった。

★驚きました!工学院は生成AIともシンクロしてしまう学校なのですから!

画期的でインパクトある教育!必見です!!

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2025年6月22日 (日)

昭和女子大学附属昭和 女子教育の未来はここにある

昭和女子大学附属昭和の大学合格実績は、難関大学にどれだけいれたかを目的にした結果ではなく、未来を創る女性の才能を開花し、それを発展させて行ける道を選択した結果となっていることを示しています。本科コース、グローバル留学コース、スーパーサイエンスコースという自分の好きをまずは大きくカテゴリー分けし、それぞれのコースでさらに自分だけが発見できる探究の道を開いていく学びが展開しています。

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(写真は同校サイトから)

★人間と社会と地球と宇宙と。女性を囲む領域をどんどん広げていくような留学体験、高大連携体験、アントレ体験、ICT教育など多様なプログラムが固定化することなく拡張していく冒険型組織。

★たとえば、医療関係の進路も多岐にわたっています。

★これは、人間の生命を、チーム医療で解決していく壮大な道につながっています。そのような視点も、高大連携などでダイレクトに関心を広げていくプログラムが展開しています。

★ケアというのは、精神も身体も人間関係も芸術性もすべてにかかわっています。ある意味ウェルビーイングのレバレッジポイントはケアであり、それを最も体現しているのは医療関係の道でしょう。

★そして、何よりケアの視点こそ、世の中にジェンダーバイアスに気づかせ、そのケアの活動によって未来を創っていくことになります。もちろん、その啓蒙的な広がりに、文系の多様な領域がかかわってきます。文理融合的な発想こそが昭和女子大学附属昭和の教育の核心だと思っています。

★そして、海外大学の合格人数も20名弱です。コーネル大学のようにアイビー大学にも合格しています。象徴的なのは、イギリスのUniversity of Sheffieldに合格していることです。実によく海外大学の情報を生徒自身が研究しているということが示されている選択です。理系ベースの大学で、世界大学ランキングも100位前後の実力があります。

★海外大学は、大学名で選択するということはありません。何せ研究内容が多様であり、日本では行われていない研究の選択肢がたくさんあります。なぜそこを選んだのか自己表現しなくてはならないのです。自分で選択して道を開くトレーニングが、同校の進路指導のコンセプトなのでしょう。

★生成AIが登場したら、真っ先にリサーチ研修を行ったのも昭和女子大学附属昭和です。探究の始まりは冒険からです。あくなき好奇心の拡張。女子教育の未来がすでにいまここにあると確信しています。

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工学院の好奇心 感じて、動いて、夢になる

6月21日、工学院大学附属中学校は、学校説明会と同時開催で、小学生向けの「体験学習・部活動体験」を実施しました。即日記事が掲載。すごい発信力・表現力です!記事を読んで、やはり論より証拠、好奇心こそ自分を見つけ、仲間と未来を創るエネルギーだと感動。まさに工学院の教育環境は生徒自身が自分の中に好奇心を生み、感じて、動いて、夢になる未来への軌跡の物語を描ける力を、先生方が寄り添いながら共に歩いていくのだなあと、その感覚が伝わってきました。

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(写真は同校サイトから)

★記事を目次化するとこんな感じです。

 講座の内容

・サイエンス部:自分の口内細胞を顕微鏡で観察・撮影・印刷

・バドミントン部:部員の指導で打ち方体験、再来の小学生も参加

・ダンス部:音楽に合わせて振り付け体験、緊張が笑顔に変化

・英語×ロボット:ネイティブスピーカーの教師との英会話でレゴロボを製作&プレゼン

・理科:糸電話で音の伝わり方を実験、対話を通じて探究心が育まれる

・茶道部:お点前と上生菓子を体験、立礼式のデモも見学

・情報:中野校長のバーコードの仕組みを使って“情報を考える”授業

・デジタルクリエイター育成部:マイクラのアドオン作成とゲーム体験

今後の予定:

・9月6日(土)・10月18日(土)にも内容を変えて実施予定

・7月27日(日)には、小学3年生から参加できる「自由研究教室2025」(全28講座)を開催予定

★それにしても、「自分だけの発見」がすべての根底にあるのに気づき驚愕です。サイエンス部の自分の細胞を可視化するなんて、サイエンスの力でリフレクションすることができるとは!

★バトミントン部も、スポーツは自分のマインドをどうコントローるできるかがすぐに了解できるスポーツ。そして、コーチや仲間の支えは当然なのですが、先輩が小学生に同じ目線で対話している様子の写真が工学院らしいなあと。

★ダンス部の活動も、自分の力量を高め同時にチームワーク。協調性の中の自分の際立った力。しかも芸術性の魅力。人気の部活ですよね。

★英語×ロボットも、インターナショナルコースだけではなく、すべての生徒が英語とイノベーションを対話しながら学ぶ。レゴは個性があふれる表現ツールでもあります。

★理科は、糸電話。かなりの長距離でも、伝わる振動。つながりと同時に自分自身の聴覚にダイレクトに伝わってくる感覚は、すてきな気づきが多かったでしょう。デジタル環境があふれている工学院があえて、このリアル体験。体験による究極の感動ですね。

★茶道部の体験を設定するというのが、すばらしい。破格のグローバル教育を行っているからこそ、国際交流をしている海外の私立学校にはない空間です。そしてなんといってもアスリートにとって自己を見つめる道が生まれる空間でもあります。日本の教育を支える世界でもユニークな場です。さすが。

★中野校長自身による情報の授業。バーコードシステム体験。バーコードシステムは、かつては画一的なコントロール装置として警戒されていたときもありました。それは今の生成AIもそうです。情報の授業は、常に警戒される冒険がつきものです。そして、その冒険の向こうに、今やバーコードは個人の特徴を認定する公共社会にはなくてはならないシステムとして発展しています。社会課題への問いを生み出す宝庫が情報の授業です。

★デジタルクリエイター育成部。工学院アントレプレナーシップが生まれる拠点の1つです。教師の情報の研修も請け負えます。アントレは、自分の才能を拡張していく冒険精神が旺盛だから可能です。

★ウダウダ書きましたが、要は自分は何が好きか感じて、動いて、未来をみんなで創っていける学校。それが工学院です。FLAT!FREE! FUN!

★これからも、このようなイベントを開くそうです。ぜひ楽しみましょう。

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2025年6月20日 (金)

工学系の私立中高一貫校の歴史的意義 シン・インテリジェンス・ライン ソフト・ハードパワー融合教育 リベラルアーツ×イノベーション

★八王子に工学院大学附属中学、東小金井に東京電機大学中学、豊洲に芝浦工大附属中学と、きれいに西から東に3つの工学系の私立中高一貫校が在ります。そして、そのいずれもが共学化しており、理系希望者が多く集まります。しかし、文理融合の時代、この工学系の私立中高一貫校は、最も新しい時代をダイレクトに開く学校になる状況が生まれてきています。この3校を結ぶラインは、日本のみならずこれからの未来を支える知の軸になるでしょう。シン・インテリジェンス・ラインとでも呼んで起きましょう。

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(写真は首都圏模試センターから)

★米国などは、20世紀末のIT革命から、ハードパワーからソフトパワーへ移行するという路線で進んできました。知的財産という意味で、確かにもの作りよりソフトパワーなのだと。

★しかし、実際にはDXの時代になりかつここに生成AIが融合し、発想ともの作りはカップリングされたわけです。工学系の人材が仕事をする組織も、ソフトパワーを生む人材とハードパワーを駆使する人材という区別がなされるツリー構造型ではなく、ネットワーク型になっています。

★フラット・フリー・ファン・フレンドシップな組織です。だれもが創発型であり、かつ技術力もあるわけです。ソフトパワーとハードパワーが融合された組織だし人材になりつつあります。

★実際にこれらの工学系の私立中高一貫校では、1人1台のパソコンと3Dプリンターは自在につながり、プロジェクト型で学んでいるシーンが広がっているでしょう。

★STEAM教育は当然広がっていますから、生成AIを使った学びはどんどん広がっていることでしょう。

★おまけにグローバル教育もベースになっています。工学の世界は人的交流やアカデミックな情報共有などにおいてグローバルな視野や英語力は当然必要ですから。

★これらのプロジェクトは、問題解決の提案にとどまらず、プロトタイピングまで行き着きますから、実はすでに中高段階でスタートアップの基礎も出来ているわけです。実際アントレプレナープロジェクトも動いているでしょう。

★近代産業社会は、アイデアをデザインする人とモノづくりをする人は区別されてきました。しかし、今はチーム組織です。メンバー1人ひとりがアイデアを持ち寄り、新たなアイデアを創発し、ものを作っていくというソフト・ハードパワー融合時代に移行しつつあります。ハードパワーからソフトパワーへ、そしてさらにソフト・ハードパワー融合へと時代は移行し、産業社会の時間と空間と研究のあり方の関係性が一変していきます。

★工学系の私立中高一貫校を卒業した生徒は、この新しい産業社会の即戦力として大学で研究しながら新都市デザインをしていくでしょう。

★ですから、入試も文理融合的な新タイプ入試が開発され続けるでしょう。それに、男子は理系で、女子は文系などということも解消されてているのがこれらの中高です。今や私たちの生活は、発想豊かなIoTベースの工学系の製品で満ちています。入試も教育も変わっていくのは当然です。

★そして、このシン・インテリジェンス・ラインの3校は生成AIを使っていくでしょう。学びの密度が高まり、教育の質の向上が爆上がりになります。その質がこれから日本や世界に大きな貢献を果たしていくことでしょう。注目していきたいですね。

 

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2025年6月19日 (木)

子供が成長する学校 生成AIを活用した授業づくりに取り組んでいる学校

★偏差値で語るのは、最近はやらないけれど、中学受験で偏差値40前後の生徒が高校卒業時に難関大学に入ったり海外大学に進んだりするくらい成長することは、たまたまではなく、そのようなシステムがその学校にあzることを示唆しています。成長は別に大学に進むか進まないかで測る必要は全くありませんが、もし受験したとしたら、そうなりますよと。しかも、総合型選抜準備や海外大学進学準備は、教科学力だけではなく総合的な人間力を養う機会になるので、なおさらです。

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★そして、その確率を高くするシステムは、学校全体で生成AIを使った授業づくりのディスカッションが行われているところにはアップデートされていきます。

★体験が大事だとかSTEAM教育が大事だとか、グローバル教育が大事だというのは、生徒1人ひとりによって、自分が成長するモチベーションやきっかけをつくる体験は違うため、多様な体験があれば、生徒ぞれぞれにとって成長するきっかけが増えるからですが、実際にはなかなか成長しない生徒もいるわけです。

★ですから、そのような生徒も取り残さないために、さらに生成AIを使った授業づくりを学校挙げてした場合、ほとんどの生徒の成長が期待されるのです。

★なぜか?それは、成長する生徒は、目に見えないあるいは身体化されたと言った方がよいかもしれませんが、メタ認知システムを内面化しています。成長がなかなかうまく進まない生徒は、そのメタ認知システムを内面に作り上げていないだけで、それが内面に核として生まれてくると、急激に成長します。そのメタ認知システムを内面から生まれてくるのを助けるのが生成AIを活用した授業なのです。

★ですから、まだ水面下ですが、生成AIを使う授業づくりをしている学校が前面に出てくるのが2025年度なので、説明会などそのようなプレゼンがある学校には、単純にICT教育を行っていると判断せず、その意味を問い返してみてください。

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授業の時間と空間と道具と仲間と協働して世界が生まれる 生成AIもまた授業で新しい世界を生み出す

★今先生方と仲間と生成AIを活用しながらどんな授業ができるのか実践研究をしています。各教科の授業は、時間と空間が設定され学習道具が活用され教師と生徒、生徒同士の対話などがあって、それぞれの教科の世界が生徒1人ひとりに広がっています。ここに生成AIが加わると、どのような世界が広がるのか、ワクワクしながら毎回先生方と対話しています。

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★30年前の1995年から学内に徐々にパソコンが入ってきました。ようやくインターネットとつながり、ネットスケープなどのブラウザーも認知されるようになっていました。3.11を境に、SNSが学校にも入ってきました。パンデミックを体験してからは、学校に生徒1人1台のパソコンが学習ツールとして定着し、オンラインの空間学習も広がりました。そして、今授業の中に生成AIが導入され始めています。

★生成AIという道具は、授業の時間も空間も変容させます。そして、各教科の専門性と普段思いつかない社会や自然の事象を結びつけます。各教科の授業の世界を専門的知識の深さと異領域異分野の世界に広げます。

★世界が広がるという点では、今までの教科の授業と同じですが、その広がり方が縦横無尽だという点で優れていると思われます。

★しかし、本当にすごなと思うのは、一人ひとりの生徒が自分の感情、思考、行動という思考動の方法論=コツ=ものの見方・感じ方・考え方・表し方を言語化できるということです。

★従来の教科授業でも「振り返り」をし、この思考動の方法論を自分なりに気づく機会をつくりますが、実際にはそれができないで終わる授業が多いでしょう。また、振り返りをしても、コンテンツを理解したかどうか、どんなコンピテンシーが得意なのかなどの振り返りが多く、自分のものの見方・感じ方・考え方・表し方を言語化したり可視化したりするところまではいきません。

★いわゆる出来る生徒は、暗黙知としてそれを身体化させています。小中高の学びは、実はこの身体化トレーニングが中心です。ですから、これだと暗黙知を体得できた生徒とそうでない生徒の格差がうまれるのです。

★この格差をなくすために、身体化トレーニングを重ねていくのですが、すべての生徒が獲得できるというわけでないことは今までを顧みるとわかるでしょう。

★もし、すべての生徒が、自分なりの思考動の方法論を言語化・可視化できたらどうなるでしょう。素敵なことになるのは明らかです。

★今までも、ある人の方法論を言語化・可視化し、それを獲得できていない生徒にパターン学習的にトレーニングしてきたのですが、それではうまくいかないケースが多いのです。自分の内側から生まれてきた方法論ではないからです。生成AIはそれをサポートする革新的学びのツールです。

★個別最適化とは、この自分なりの方法論を見つけるということであるのかもしれません。そして、協働的学びとの一体化の目的とは、互いにそれぞれの方法論を磨き合う関係性を構築するということなのでしょう。それが生成AIの登場によって、可能性が大きく開けたのです。

★これができると、本来的な多様な価値観を尊重するというウェルビーイングな状態が生まれます。

★先生方と生徒と仲間と一緒に生成AIを悪用せず最適な活用をするように相互モニタリングしながら新しい授業をつくっている日々です。

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2025年6月18日 (水)

学校選択を考える本 学校が希望の都市づくりへ動き出す

★今も昔も学校は地球環境、政治的環境、経済的環境、情報環境に影響を受けています。ポジティブな影響は、受容しながらシナジー効果を生み出す教育をし、ネガティブな影響に対してはしっかりリスクマネジメントする学校経営をしています。しかしながら、その度合いの波が気候変動や地政学的リスク、グローバル経済の分断、サイバー攻撃など予想外の大きさになっているから、学校はしなやかでラディカルな変化をせざるを得ない局面にぶつかっています。

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(claude作成)

★それを乗り越えるのは、一つは生成AI。今回の記事のイメージを図にしてほしいとプロンプトを書き込めば瞬時に上記のような図を描いてきます。いかに巧みにAIパートナーにするか、学校は模索し始めています。

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★そして、それを果たす学校組織として、今注目されているのは「冒険する組織のつくりかた」。たんなるボトムアップ組織ではない新しい展開が提唱されています。

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★そして、そんな組織にするにはOSTという対話の場をつくる研修をしていこうというトレンドも生まれています。

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★その行きつく先は、まだ予約販売中ですが、安宅和人さんが描いているような新しいウェルビーイングな希望都市を学校が市民を巻き込んでつくっていく活動態になることが希求されています。

★これからの学校選択は、以上のような風が流れている学校に出会うことだということになるでしょう。

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2025年6月16日 (月)

文化学園大学杉並 DDコース開設10年目にさらなる事業開設!!

★2025年度、BSICE(Bunka Suginami Innovation Centre for Education:文化杉並教育イノベーションセンター)が始動しています。3日前にBSICEのセンタースペースがデザインされたというので訪れました。MITの研究室のような透明度の高いスペースデザインです。かっこいいですね。2015年に今では誰でも知っているDDコースを立ち上げて成功しました。そして10年経ったところで、それまですでにSTEAMプロジェクトや斬新なキャリアプログラムを積み上げてきて、ついにBSICEという中高版スタートアップを開始したわけです。

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(左から校長青井先生、理事長補佐染谷先生、理科主任成瀬先生)

★今多くの学校で、高大連携、企業やNPOなどの団体と連携、STEAM教育や探究教育などをしています。また校内で教員研修や授業研修も進めています。文大杉並も染谷先生を中心にネットワークを広め、教育イノベーションを進めてきました。

★そして2025年、これらのネットワーク構築を各担当者レベルで運営していくのではなく、BSICEというイノベーションセンターを学内に創設し、そこでプロデュースしていこうという学内起業を行ったわけです。

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★文大杉並が2026年から新しく開設するイノベーションリーダーズコースにそのセンターの研究活動は寄与しますが、実は染谷先生は、全国の学校や教育を豊かにしていきたいという団体とコラボして教員研修、プログラム開発、教育評価システムなどを現場で実装できるモノやコトをクリエイトしていきたいということです。

★そのためには、大学機関ともコラボして、エビデンスをしっかりしたいということです。ただし、あくまで大学のセオリーと現場から生まれてきた理論の両方をうまくチューニングしたいということのようです。

★世の中には、いろいろな研修がありますが、大学の先生の理論パッケージを学ぶか企業が制作したアプリやプログラムパッケージの説明を聞くかというタイプのものが多いので、現場の独自性が発揮しにくいというケースもしばしばです。そこで、染谷先生は、現場で実装できる状態のモノやコトにしたいということでしょう。

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★もちろん、松谷理事長や青井校長の野望は、日本の教師は海外から学ぶだけではなく、海外から学ばれる軸を持ってほしいということのようです。2028年以降、私立中高の経営は少子化の大きな波が押し寄せてきます。生徒募集だけで私学経営は難しくなります。教育ソフトパワーを輸出するようにならなければということでしょう。

★DDコースを取り入れるたということは、当然10年後は、今度はイノベーションリーダーズコースをIBよろしく国内だけではなく海外の学校に広げていくということでしょう。そのためにはIB機構のようなセンターが必要です。それがBSICEというセンターのミッションではないでしょうか。染谷先生と対話しながらそんな妄想が湧いてきました!

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