教育イノベーション

2025年1月 6日 (月)

2025年再び転換の起点(4)ウェルビーイングな中学受験をプロデュースする首都圏模試の価値創出

★受験なのにその準備がウェルビーイングになることを追求している教育関連企業が唯一ある。それは首都圏模試である。思考コードを開発し、複眼的に生徒1人ひとりの才能開花のために模擬試験のみならず私立学校及び日本のウェルビーイング教育をサポートすべく多くの見識者と協力し縁の下の力持ちの役割を果たしている。

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★同社が思考コードに込める深い意味は、生徒のみならず私たち人類は、社会が本来ないはずの<Self as/for Me>を作ってしまったために、偏差値競争や富の競争に陥ってしまっていることを脱しようという挑戦だ。

★だから、思考コードをコンパスにして膨大な宇宙(Space)に宇宙船地球号の舵をとろうとしているのが同社だ。そのコンパスを活用しながら、<Self as/for Me>を脱し、<Self as/for Us>を見出し、そして<Self as/for Society >として成長/進化していく。さらに< Self as/for Earth in Space>へと視野を広げ複眼的に「考動」していけるようになる。すべての人や自然が宇宙の中のかけがえのない価値だということに気づきながら学び生きていけるようになる。

★このような気づきが中学受験を通して生まれて欲しいという希望を同社は持っている。

★ポピュリズムや新自由主義が、市場=悪玉というイメージを作ってしまったが、善玉市場というのがちゃんとあって、それがフラット、フリー、フレンドシップという3f精神を生み出す。市場なきコントロールは、3f精神を消滅させるし、悪玉市場は一部の人間にとって3Fを付与する。

★私立学校が創ろうとしている入試市場は、善玉市場である。そのための公私協議会での取り決めを行っている。

★市場は制度によって守らなければ、コモンズの悲劇に向かってしまう。

★脱<Self as/for Me>。首都圏模試と協力する教育関連企業が増えていく時代。今年2025年同社は35周年を迎えたのだから。

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2025年1月 5日 (日)

2025年再び転換の起点(3)残念ながら受験読解力の限界を認識する必要がある

★高校以降読書量が減少するとか、書籍を読まなくなってきているとか、読解力がついたとかつかないとかそういう話題は久しく言われ続けているが、なかなか改善しない。しかし、改善しないというより、従来の読解力とかいうものの考え方が時代と共に変わって来たと再認識したほうがよいかもしれない。読解力をつけるとか読書感想文の書き方だとかは、国語という教科の専売特許のようになっているが、その考え方をリフレクションする時代が来たとみなした方がよいのではないだろうか。

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★現状の受験の読解ステムは、文章が社会現象や自然現象のどの範囲まで語っているかはあまり考えない。あくまで文章というテクストに書いてある文字ベースの構造を解釈する程度でほとんどが終わっている。生徒が書いていないことについてまで言及するとそれは個人的な主観的な解釈だから、文章中のことばに根拠を求めよという指導がほとんど。それ自体は全く間違いはないが、それだけではその文章が立ち臨んでいる現象のほんの一部しか理解できない。というか、そもそも現象に行き着いていない可能性が高い。それでも合格点というのはとれるのだ。

★基本的な文章のことばの構造を読み解くという意味では、それでよいけれど、この受験読解システムが学校の国語の授業で行われている。中学受験であろうが、高校受験であろうが、大学受験であろうが、この読解システムでいく。そして大学に行っても文献リサーチも基本的にはこのレベルである。だからビブリオや引用が学問的に体系づけれている。たださすがに大学では、社会現象や自然現象、精神現象に関して、多角的な角度から見ることが配慮されるが、必ずしも諸現象を包括的に解釈するものではなく、あくまで部分的解釈で事足りることが今までは多かった。

★ところが、現行の学習指導要領から、社会課題と結びつけるようにとなってきた。こうなってくると、この受験読解システムでは収まりきれなくなってきた。にもかかわらず、国語だ、社会だ、理科だ、数学だと、それぞれの文章の文字ベースの解釈が行われ続けている。探究を行っても、文献の読み方が受験読解システムのままだと深まらない。諸現象はいわばブラックボックス。いろいろな角度からアプローチする必要がある。文章テクストは実はその重要なアプローチであるが、多くのアプローチの中の一つに過ぎない。

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★したがって、受験読解システムの単眼的解釈ではなく、上記の図のように複眼的解釈システムによって諸現象そのものにアプローチすることがポイント。

★だから中学受験では新タイプ試験が増えているし、教育においては探究が社会課題と結びつけて行われるようになってきたし、大学受験では総合型選抜が行われるようになってきた。

★知識がなければ思考ができないと相変わらず言われているが、単眼的解釈に基づいた知識の扱い方は、推論の梯子のように、行き着いた先がフェイクの場合だってある。複眼的解釈を支える知識の活用方法が大事な時代になってきているのであって、知識がいらなくなっている時代ではない。逆に複雑系の大量の知識が必要。

★ただし、もはやこの莫大な量の扱いは人智を超えている。AIをパートナーにしようということは、すでにコンピュータをパートナーに学びも仕事も行われていることと同様なのだ。

★そろそろ教科の構成そのものを再考する時代。ここを再構成しないまま学習指導要領をいくら改訂しても、良い方向は見えてこない。

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2025年再び転換の起点(2)論語と算盤ー倫理資本主義がベース

★2025年の正月は、久々にゆっくりした。元旦に、NHKの「欲望の資本主義2025」をみて、欲望の資本主義から倫理資本主義という路線は私学関連領域では私学創設の明治期から当然であり、不易流行としてこの領域から再び転換の契機が生まれる2025年になりそうだと直感した。人間存在の欲望の平衡感覚でもある倫理。欲望の社会的現象の典型は経済だ。日本の近代資本主義の父渋沢栄一が唱えた「論語と算盤」つまり道徳経済合一説は脈々と生きているなあと。

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(渋沢カリー)

★ネットで、オードリー・タンさんや隠岐さや香教授の論稿を読んだりして、トリムタブやフュ―ジョンの着想を自分の中で明快になってきたなあと思いつつ、ほぼ寝正月。正月休みも終わるので、さすがに外に出ようと、妻にナビゲートされながら東京三菱一号館美術館の中を観賞しながら歩いた。

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★ロートレックなどおもしろかったが、私はここにくるたびに赤レンガを見て、丸の内のエリアがかつてこの赤レンガで満たされていたことを想像してしまう。今も少し歩くと丸の内の東京駅の赤レンガがある。この地で、官と民の攻防戦があり、この民に渋沢栄一と岩崎家がある。

★明治からもう100年以上経ち今は21世紀だというのに、未だに渋沢家と岩崎家の掌の上で生活している。一号館隣接のカフェに入ろうかと思ったけれど、長蛇の列。さすがは1月4日だ。

★そこで、渋沢栄一ゆかりの帝国ホテルで私でも手が届くレストランに入った。そこで前から食したかった渋沢カリーを頼んだ。帝国ホテルは、私立学校の卒後式や周年記念でも活用される。初代会長が渋沢栄一だからここでも≪私学の系譜≫が脈々と。

★それにしても赤レンガ。岩崎家の偉業の1つはジョサイア・コンドルを庇護したことだ。それがこの一号館であり、丸の内の赤レンガの東京駅に象徴されている。この系譜は工学院。新宿キャンパスと八王子キャンパスにあるから、すっかりコンドルとの関係は見えなくなっている。しかし、権威を嫌って政府から解雇されたそのアート魂は工学院に今も生きている。工学院中高では教師と生徒は学習者中心主義で、フラットでフリーでフレンドシップの3f精神で満ちている。

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★帝国ホテルの初代会長は渋沢栄一だが、二代目は大倉喜八郎だ。公職追放や財閥解体で、大倉家は帝国ホテルを去らなくてはならなかったが、ホテルオオクラを創業した。東京私学教育研究所や日本私学教育研究所が宿泊研修でホテルオオクラ系列を利用することが多いが、ここにも渋沢栄一大倉喜八郎という「論語と算盤」を理念とする≪私学の系譜≫が脈々と生きている。

★これらのホテルは、最高のおもてなしをする。これは私学の建学の精神とも実は共鳴するものだ。私学というのは、教育と経営の両輪で動いているが、まさに論語と算盤、倫理資本主義の理念で動いていると言っても過言ではない。

★そんなことを思いながら帰宅して夜を過ごしていると、テレ東で「出没アド街ック天国」で二子玉川を特集していた。もう35年以上住んでいる街がゆえに見てしまった。高島屋は江戸から続く老舗の進化した姿だし、ライズは、五島慶太翁の創業した東急電鉄の系列。そもそも田園都市線そのものが東急だ。そして、五島慶太にこの道を進めたのが渋沢栄一だ。東京都市大等々力など五島慶太翁が創設者でもある。

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★ホテルや電鉄、銀行、デパートは現実にはいろいろあるが、ベースは論語と算盤という倫理資本主義。その象徴が今アントレプレナーシップで起業している人や生徒や学生が集うSHIBUYAQWS。いたるところに実は≪私学の系譜≫は実装されている。

★私たちはそのことを忘れているかもしれない。≪私学の系譜≫には教育者・学者系、宗教家系、実業家系がほとんど。それにこれらは複合的になっているというのが本当のところかもしれない。五島慶太はもとと英語の教師になろうとしていた。

★福沢諭吉は、教育者・学者系。儒教とイギリスの思想をベースにしている。これもまた論語と算盤だ。

★新島襄はプロテスタントという宗教系。倫理的資本主義を推進するキリスト教。カトリックは?その資本主義の萌芽だったとシュンペーターは言うし、ヴェーバーもプロトタイプは修道院の生活の中で生まれ、それを世に広めたのがプロテスタントだと語る。

★実業家系は、いろいろな考えがあるが基本は渋沢栄一に影響されているし、実は三方よしの近江商人の流れもある。もしかしたら渋沢栄一もその影響を受けていたのかもしれない。ここは妄想に過ぎないが。深谷ー群馬ー近江というのは線で結ばれそうな気がするのだ。

★ホテル、電鉄、銀行、デパートとくれば、建築。もともと丸の内エリアは都市政策の一環の開発地帯。ジョサイア・コンドルの腕の見せ所だった。AI時代、これらの業態はどうなるのだろうか。すべてがスマホ化していくし、やがては量子化していく。統合・融合は必至。論語と算盤、倫理資本主義がベースになることはとても大切なわけだ。欲望は平衡感覚でマネジメントされる必要があるから。その新しい仕組みを巧むのは私立学校の使命ということにならざるを得ない。それが≪私学の系譜≫の道筋ということだろう。

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2025年1月 4日 (土)

2025年再び転換の起点(1)3fの時代へ転換するHRP トリムタブ再考/最高

★世界の紛争の数が止むことなくむしろ増え続けている社会、気候変動はますます拡大している社会、ハランスメントレスにならない途方に暮れる日々の社会、それでもなんとかしようと私たちは思っている。しかし、これらの原因は、シンプルに格差があり抑圧があり愛がふみにじられる人間関係がもたらしていることは明らかだ。

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★しかし、公共という名で制約の多い現代社会の枠組は、データエビデンスや学問的根拠がないとこのことを認めることは単純すぎると一蹴する。善きサマリア法がまだまだ世界に広がっていない。しかし、だからといって、手をこまねくのではなく、このようなシンプルな原因がバタフライ効果でディストピアさながらの社会を拡張するのであれば、一方でオードリー・タンさんが引用するバックミンスター・フラーの語る「トリムタブ」という効果もあるはず。トリムタブとは、小さな部分が、巨大な全体をわずかな力で動かす働きのことを指す。本来のトリムタブとは、船舶において舵自体につける更に小さな舵のことを示す。フラーはか弱い個人でも最大限の決意を持って正しいことを行えば、人類という巨大な船をも動かすという意味で、「トリムタブ」というレトリックを好んだということだ。

★バタフライ効果vsトリムタブ効果。どちらも小さい3%くらいの人々による行動から起こる。できるならば、バタフライ効果からトリムタブ効果を生み出す力を備えたい。

★この考え方だと、自分が立っているところから「考動」できる。このように、ネガティブ社会(あるいは精神)からポジティブ社会(あるいは精神)へ動かす力をHRP(Hope Renewal Power:希望再生力)と呼ぶことにする。このHRPは、いまここで発動するので、置かれた地点が上記の図にある最悪領域だといきなり理想領域にいくのは難しいかもしれない。まずは、善きも悪しきも混在する現実にたどりつくことが大事かもしれない。

★しかしこの現実領域は、他人の芝生はなんとかで比較競争の組織や社会である。比較組織や社会は、格差あり抑圧あり愛を踏みにじることありの世界。これをフラットでフリーでフレンドシップの3f精神が広がるウェルビーイングな最善領域にシフトするにはいかにしたら可能か?ということになる。

★それは個々人がそれぞれの能力を「巧み磨き」していくことによってなされるが、すべてがそううまくいくわけではないし、巧みが悪用される場合もあるのは歴史を振り返ればわかる。HRPがDRP(Despair Recovery Power)に反転するアンコンシャスバイアスが結界としてはられることもあるのだから。

★そのため、理想領域へ向かうHRPを発動し続ける不易流行のマインドセットが必要ということになる。「巧み錬磨力」と「仕組み構想力」の融合。そんな簡単なものではないよと最悪領域や現実領域から聞こえてくる。DRPの声が。それを払拭するHRPのトリムタブの役割を果たせればと2025年を出発する前に刻んで置く。

★実際、すでに産官学やそのほかの団体、起業チームなどそれぞれの場で、トリムタブ才能を開花している人々はいる。それがフュージョンする流れがダイナミックになるのが2025年だろう。私自身は私立学校関連領域の中でそれをやりたい。身近な場で「考動」。そして、突き抜けるトリムタブミッション。このミッションを抱いている人々も、それぞれの領域から越境してくる。それはやがて一つの動きになるだろう。

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2024年12月31日 (火)

今年最終日、中学入試直前の12月のアクセスを振り返る。今年もご覧いただきありがとうございました。

★12月31日を迎えてしまいました。2024年は、静かなる次のステージがやってくる気配を感じていました。それがついこの間26日に、降りてきた感じで、なぜか一日中対面とオンライン、電話でいっぺんに多くの仲間と対話していました。改めて教育イノベーション経営の時代を実感しました。

★私の人生を振り返れば、1990年代は10年間勤務した中学受験塾でカリキュラムイノベーションを創発したし、その後2000年代は教育研究所で、大手自動車会社や先生方とコラボして、PBLを開発したし、2010年代は独立して先生方と21世紀型教育を創出し、思考コードも首都圏模試とコラボして開発する機会を頂きました。そして2020年代は私立学校に勤務する機会と今私学の協会に勤務する機会を頂きました。生成AIとも出会い、ようやくOnly One Earthの教育イノベーションをまた仲間と一緒に起こそうとしています。

★私にとって、これらのイノベーションのベースは「思考力×PC」です。ホストコンピュータ→ラップトップPC→タブレット・スマホ→生成AIというデバイスたちとの出会いでした。彼らを鏡に思考力を分析して統合してきたという感じです。何より、それぞれの時期に常に仲間がいました。今も各時期に出会った仲間とは対話が続いています。感謝してもし尽せない仲間です。そして、なぜか東京の中学入試市場がベースにあります。おそらく教育の世界でイノベーションが起こるのが、この場だったのだと改めて思います。それゆえ、今年も来年も中学入試情報を発信していきたいと思っています。その入試直前の今月の本ブログのアクセス数ベスト20を挙げて、本年最後の振り返りとしたいと思います。

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1:2025年中学入試 広がる英語入試・英語資格利用入試 偏差値ランキングの...
2:変わる私立中高(04)芸術系大学に多数進学する中高一貫校 女子美1位、吉...
3:2025年中学入試動向(34)普連土、JG、かえつ有明、麻布、工学院、聖学院、鴎友学園女子、明大明治、八雲などの司書・司書教諭の豊かな人的資本力
4:新しい学びを推進する学校の選択者の志向性 新しい学びを推進して出願数が多...
5:2024年12月首都模試合判の志望登録者数から(3)登録者数増加の女子校...
6:2025年中学入試動向(39)駒沢学園女子 禅と数学とアートを極める教師...
7:工学院(1) 田中教頭インタビュー第2弾 学習する希望の組織着々: ホン...
8:2025年中学入試動向(36)偏差値ではなくグローバル教育の5つのタイプ...
9:2024年12月首都模試合判の志望登録者数から(4)登録者数増加の女子が...
10:2024年12月首都模試合判の志望登録者数から(2)登録者数増加の男子受...
11:八雲学園をカリフォルニアから考える(1)
12:2025年中学入試動向(41)生徒が無限の価値を自ら生み出す力のシステム...
13:工学院(2) 田中教頭インタビュー第2弾 オープンマインドの世界に通じる...
14:2025年中学受験動向 北一成氏が語る 最も良識ある中学受験情報 保存版...
15:ホンマノオト21のアクセス数で今年度をひとまず振り返る 教育イノベーショ...
16:2025年中学入試動向(42)1月・2月に親子で気をつけたいこと 石田先...
17:筑駒の2022年の国語入試問題で出題された詩の意味。18歳の時に書いた谷...
18:2025年中学入試動向(28)富士見丘 11月合判模試の志望者数増: ホ...
19:2025年中学入試動向(35)富士見丘 学習指導要領をそのままグローバル...
20:2025年中学入試動向(38)本音。併願の画竜点睛を欠かないために、優れ...

★前回は1年通してのアクセスを眺めましたが、そのときも1位と2位は、12月と同じでした。英語資格利用入試と美学に相当関心が高い1年だったようです。

★そして12月ですから、やはり併願校や学校選択についての記事がずらりと並んでいます。

★その中で、個別の学校の記事も注目されています。ここに挙がっている学校に興味と関心が集まっているということでしょう。いずれもすでに教育イノベーション経営を開始しています。1月10日以降、出願数が順次公開されていくでしょうから、そこでこれらの学校の教育イノベーション経営についてみていきましょう。

★それでは、みなさま、大事なお時間を頂いて、独断と偏見の本ブログを1年間ご覧頂きまして、本当にありがとうございました。心から感謝致します。また来年もよろしくお願いいたします。1月4日から新たな気持ちを書初めして参ります。では、よいお年を。

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2024年12月30日 (月)

ホンマノオト21のアクセス数で今年度をひとまず振り返る 教育イノベーション経営の時代に入るか?

★今年4月からのホンマノオト21のアクセス数ベスト15を公開します。今年度は、まだ来年の3月まで続きますが、年末ですからひとまず振り返ってみましょう。

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1:2025年中学入試 広がる英語入試・英語資格利用入試 偏差値ランキングの...
2:変わる私立中高(04)芸術系大学に多数進学する中高一貫校 女子美1位、吉...
3:工学院大学附属中学校 教頭に田中歩先生が就任
4:New Powerの学校×教師(23) IB布教の第一人者大迫先生「教育...
5:2025年中学受験動向 北一成氏が語る 最も良識ある中学受験情報 保存版...
6:2024年中学入試(39)開智所沢が明らかにする私立中高一貫校の4つのタ...
7:2024年中学入試(44)首都圏中学入試本番モードに~湘南白百合と横浜雙...
8:2030年の次期学習指導要領は、HTHのコンセプトを学校に埋め込む?グロ...
9:文化学園大学杉並 サイトで人的資本力を公開 染谷先生理事長補佐に就任: ...
10:大妻中野 諸橋隆男先生、新校長就任 世界を創る市民が生まれる教育加速: ...
11:2024年度海外大学合格実績がたくさんでている学校
12:富士見丘学園 副校長に明海大学教授吉田成利先生が就任 学問とグローバル探...
13:豊島岡女子 新タイプ入試「算数・英語資格入試」の中学入試における影響大:...
14:2027年から移行措置が始まる新学習指導要領がヤバイ!?
15:2024年中学入試(04)サレジアン国際学園世田谷 画期的な「国際学園」... 

★やはり受験市場において「英語資格入試」には興味と関心が高かったということですね。2027年に東京大学がグローバル入試を行うし、東大の官僚からスタートアップシフトの流れもできていますから、グローバルアントレプレナーシップの流れは認めざるを得ないということでしょう。海外大学合格者が、多くの学校から輩出されているという記事にも関心が高いというのも何か相関があるかもしれません。

★しかし、一方でアートにも興味関心が高い。技術だけではないよ美学もポイントだと。

★そして、このアートや技術を統合する感性やSTEAM教育に力を入れ注目されている、工学院の田中歩教頭、海城の大迫校長、文大杉並の理事長補佐の染谷先生、大妻中野の諸橋校長、富士見丘の副校長吉田成利先生への関心度も高いわけです。

★もちろん、中学入試情報市場をゼロから創り上げてきた首都圏模試センター取締役・教育研究所長北一成氏の発信は大人気です。

★それから、次期学習指導要領について書いた2023年11月と2024年7月の記事も多く読まれています。予想しているわけではありませんが、今年12月25日に議論が始まった方向性とそんなにズレていないので、ホッとしています。

★開智グループとサレジアン国際学園グループの記事にも関心が集まっています。この流れは、教育というよりも経営という意味で私立中高一貫校に新たな流れを持ち込みました。現在の多くの私立中高一貫校は真正保守で中庸の精神を大事にしています。つまり、建学の精神に基づき不易流行を追究してきました。この流れは基本変わりませんし、私もこちらの立場に立っています。脱偏差値をベースにしてきたのは、偏差値階層構造は、この真正保守を崩しかねないからです。そして、そこと常に教育の質で対峙することで、真正保守の私立中高一貫校の教育は豊かにもなってきたはずです。

★しかし、この両グループの流れは、今社会のトレンドのアナーキズムという新たな受験市場を模索するものです。東大の現代国語の入試問題でも出題された論者やオードリ・タンさんのような保守的アナーキズムなのか、リバタリアニズムのハイエク的な経済主義なのか、それはまだわかりませんが、web3,0に突入し始めた世界で、真正保守はこれらの新しい社会の胎動にどう向き合うのか踏ん張りどころです。2025年度は、私立学校の経営の時代がやってきたということでしょう。もちろん、教育の質が豊かであることは大前提ですから、経営と言っても教育イノベーションに軸をおいたものになるでしょう。

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2024年12月11日 (水)

2025年中学入試動向(33)聖学院 STEAM教育 成果着々

★永井健太さん、おめでとうございます!聖学院のサイトに私にとっても嬉しい記事が掲載されています。<「日本図学会第一回高校生デジタルモデリングコンテスト」審査委員長賞を受賞!~デジタルモデリングで描く未来~>がぞれです。ぜひご覧いただきたいのです。

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(写真は、聖学院サイトから)

★12月8日(日)、日本図学会主催の第一回高校生デジタルモデリングコンテストにおいて、聖学院の永井健太さん(高1)が栄誉ある審査委員長賞を受賞したということです。このコンテストは、高校生たちがデジタルモデリング技術を駆使し、創造的なアイデアを形にする挑戦の場として注目を集めているようです。

★デジタルモデリングとかプロトタイプとか、いったい永井さんがどんなすてきなクリエイティビティを発揮したのかについては、同記事に詳細にまとめられていますので、そちらを是非ごらんください。

★私が嬉しいと感じたのは、なんといっても、聖学院を訪れたとき、ファブラボで生き生きとプログラミングなどをしている永井さんに会ったことがあるからです。それ以外でもすさまじいチャレンジングなスピーチに驚かされたこともあるのです。また、英語のイマージョン授業におけるミニ模擬国連のワークショップでも溌溂と取り組んでいる姿に出会っているからです。時間があれば、ファボラボでいろいろ制作しているんでいよと笑顔で接してもらったこともありました。

★その永井さんが受賞したというのですから、感動しないわけがありません。

★それと、もう一つ嬉しいことは、聖学院のSTEAM教育や環境(また新しい空間もできたようです。今度見学にいきたい!)の成果が着々と生まれているということなのです。

★聖学院のSTEAM教育は、部活でだけではなく、授業の中できちんと行われていて、一部の生徒だけが取り組んでいるわけではないのです。永井さんの多くの仲間がいるということが、今後ますます期待が高まります!

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2024年11月 2日 (土)

ZEN大学開設認可の衝撃 ミネルバ大学と力点が逆

★NHK(2024年10月29日)によると、「IT大手などが開校を目指していたインターネットですべての授業が受けられる通信制の大学が来年4月に開設されることになりました。入学定員は3500人で18歳人口が減るなか、通信制大学としては、異例の大規模校となります。」通信制大学はすでにありますが、ポストコロナ以降に開設されるZEN大学の意味は革命的なのです。文部科学省が認可するとは!次期学習指導要領に大きな影響を与えますね。

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(bing作成)

★ミネルバ大学のようにリアルスペースとサイバースペースのハイブリッドですが、ミネルバ大学は海外の拠点を巡るフィールドワークがベースで、オンライン上でアクティブラーニングを行っていきます。それに入試は難しいですね。

★ZEN大学は、サイバースペース上での学びや研究が中心で、リアルスペースは主ではありません。それに入試もそれほど難しいというわけではないでしょう。通信制のN高等学校の卒業生が概ね学ぶのでしょう。ただ、規模は東京大学並みです。

★パンデミックによって、ミネルバ大学はフィールドワークは困難だったと思います。しかし、ポストコロナに誕生したZEN大学はそのようなときにも学びや研究を十全にできます。

★そんな対面でなくて学びはできるのか?という方もいるでしょう。たしかにコロナ禍においては、それは問題になりました。

★しかし、今、対面型の研修や講義が復活していますが、DXが学習ツールとして媒介しない研修や講義は、効果的でしょうか。1人1台端末を有している時代に、DXをうまく使えない研修や講義は、オンライン講義や研修に比べ、実は効果がでていないのです。そんな馬鹿な、データエビデンスを出せと言う人もいるでしょうね。

★でも、実は、対面型が巧みな人ほどDXを巧みに使いこなします。生成AIの時代です。それも同じように使いこなしながら対話もします。

★対話が大事なのですが、同時に対話が難しいということはよくわかっているから、その難しいところをDXを媒介してクリアしています。

★だいたい、双方向に話をしていれば対話が成り立っているかというと、LOT(Lower oder Thinking)はできていても、HOT(Higher orde Thinking)は出来ていない可能性があります。対話には安心安全が必要だと言われます。マインドフルネスが必要だと言われます。なぜかというと、安心安全だったりマインドフルネスがあると、自由な発想やアウトプットする勇気が出てくるからです。つまり、マインドフルネスとHOTは相乗効果が生まれます。

★それに、3人以上になると、アウトプットと内面の気持ちがアンバランスになります。100人を超える研修や講義では、参加型にしないと、このアンバランスを修復することができません。そこでハーバード大学のマズール教授はPI(ピアインストラクション)を開発しました。かつてはクリッカーを1人1台用意しなくてはならなかったので、金銭的コストもバックオフィスの準備コストも高かったのです。

★今ではグーグルフォームやもっと便利なスライドなどのアプリがあって、だれでもがスマホでできてしまします。

★ポストコロナの授業も見た目は一方通行ですが、実際にはオンラインを併用しているので、参加型授業になってきています。

★老眼である私には眼鏡が欠かせません。眼鏡は道具ですが、今となっては体の一部です。そんな道具は人によっていろいろあるでしょう。サイボーグ人間の初期段階と捉えることもできるかもしれません。

★ZEN大学は、そんな感じで、日本の学びや研究のあり方を決定的に変えます。特にオンラインで海外との連携を行っていくことになりますから、このようなスタイルにシフトチェンジしない大学や初等中等教育は淘汰されていくでしょう。

★高大連携や企業などの団体との連携は進みますが、学習指導要領の教科授業の補完程度で活用していては、先がないのです。もちろん、それも重要なのですが、2040年、つまり次期「次期学習指導要領」では、文理融合が進みますから、74単位のうち、基礎知識は30単位分でいいということになるでしょう。共通テストも資格試験化しているでしょう。

★44単位は、10個のムーンショット目標が教科化し、そのうち2教科ぐらい選択すればよいということになるでしょう。2050年には、74単位すらあるかどうかわかりません。

★そんなあ!基礎知識はどうするんだあ!と。大丈夫それはあります。ただ、それは言語リテラシーと理数リテラシーと社会課題リテラシーぐらいになるでしょう。言語のロジカルとメタファーの性質、理数の変化率と確率を様々な現象で認識し応用するリテラシー、社会課題を見出し、ヤヌスプロセスで解き明かしていくリテラシーがあれば、現状の大学入試レベルの問題はクリアできるでしょうから、そもそもそのような大学入試問題も必要ありません。

★決定的なことは、ZEN大学のような新しいタイプの大学にシフトしていくことによって、学びや研究の度合いに応じてベーシックインカムの度合いも変わるでしょう。学びや研究が特許ベースになるので、同時に学生は働くことにもなります。ジョブ型のベースを大学でつくっていけるのです。

★フュージョンの時代です。働き方改革は24時間の時間配分だけではなく、同一時間に学びも仕事も出来てしまうということになります。

★実際にそのような兆しはいっぱいありますが、まだ微分化状態で政策として積分化されていないだけです。そこに気づいている人は、学生だけれど、ラップトップとスマホを持って、やっていけています。スタートアップと今は呼ばれていますが、すでにWeb3.0の世界は開かれています。

★なぜ私のような70代前後の老人がダメなのかは、多くは、DXを自分で使って稼いでいないからです。私たちは、若者にエールをおくり、昔の話でも価値あるものはあるものですから、それを短い言葉で伝えていくことぐらいです。

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2024年11月 1日 (金)

全国私学教育研究集会で エヴェリット・ロジャーズのファントムに出遭う・・・

★今年の全国私学教育研究集会は大分で行われています。昨日は全体会で一般財団法人日本私学教育研究所の吉田晋理事長から厳しい社会状況の中で国や自治体とどのように交渉をして私立学校がその建学の精神に基づいた生徒の成長を育成する独自の先見性・先進性を発揮した教育環境デザインを持続可能にするのかビジョンとその戦略について講演がありました。このビジョンの向こうには、受験市場とは違う第3極の教育に対し、私立学校がどうするかということが予告されています。

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★それを受けて同研究所所長の平方邦行先生が、そのビジョンと戦略を実現する方略として21世紀型教育からプレ22世紀型教育へシフトするパーパスとその方略ツールをいくつか紹介しました。その中で印象的だったのが、思考コードの取り扱い方でした。この思考コードが生まれた背景には、実はジェフリー・ムーアの理論との出会いがありました。2005年にムーアは、自身のキャズム理論を展開した一冊をまとめました。上記の写真の本ですが、1960年代に世に登場した社会学者エヴェリット・ロジャーズのイノベーション理論に基づきながらもキャズムをどう超えるのかについて発展的に展開した理論書です。この本の読みどころは、後半のキャズムがどうしてできてしまうのか、どうしてなかなか超えられないのか、社会や組織の疎外要素や諸関係を論じているところなのですが、そこまであまり世の中では言及されることはありません。

★しかし、平方先生は、それを思考コードの活用が停滞しているところにあると私立学校が今後超えるべき次元を提示されたわけです。そして、現状の確認として、その場で、自分はどの次元にいるかをグーグルフォームでアンケートをとりました。その項目は、次の通りでした。
➊ 新しい知識を受容する
➋ 獲得した知識をつないで理解を深めている
❸ 理解したことを多様な事象に適応したり、自分の理解とは反対の考え方を
  どのように捉えなおすか論理的に思考している
➍ 理解を深めている事象を規定している枠組みを批判的に検討し始めている
❺ 批判的に検討した枠組みやルールを新しい枠組みやルールに変更している

★すると驚いたことに、このアンケート結果は、まるでロジャーズのイノベーション理論のような結果になったのです。

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➎イノベーター(Innovators):冒険心が強く、新しいアイデアをいち早く採用する人々。
❹アーリーアダプター(Early Adopters):社会的に影響力があり、他の人々に新しいアイデアを広める人々。
➌アーリーマジョリティ(Early Majority):慎重に検討しながらも、比較的早い段階でイノベーションを採用する人々。
➋レイトマジョリティ(Late Majority):平均的な人々よりも遅れてイノベーションを採用する人々。
❶ラガード(Laggards):変化に対して非常に抵抗があり、最後にイノベーションを採用する人々。 

★ロジャーズの仮説の割合とはアンケート結果は完全に一致しませんでしたが、ほぼ傾向はこんな感じでした。イノベーターとアーリ―アダプターはもう少し多かったということは、参加者である私立学校の先生方がやはり世の中より先見性・先進性を発揮しているということでしょう。

★しかし、1960年代の理論であるロジャーズの考え方が今でも生きているというのは、さすがはムーアがこの考えを引き継いで、21世紀によみがえらせただけのことはあるなと感動しました。ロジャーズのファントムに遭遇し、すこし恐ろしくも希望が見えました。

★ただ、平方先生は、ロジャーズの理論をさらに進めているのです。私立学校の教職員も生徒もイノベーターでありアーリ―アダプターであって欲しいということなのですから。刺激的と感じるか、恐ろしいと感じるか、それは参加者次第ですが、受験市場や第3極とせめぎ合いサバイブするには、何をするべきかの方向性は明快だったのです。

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2024年10月25日 (金)

八雲学園の副校長近藤隆平先生に会いました。生徒の成長が飛躍するグローバル教育のリーダー

★昨夜、これからの日本の教育を創り持続可能にするカギを見つけるとある会合で、八雲学園の副校長近藤隆平先生にお会いしました。この夏、米国サンタバーバラで行われていた生徒が取り組む2つのグローバルプロジェクトに同伴してようやく帰国したということでした。その間、コロンビアでラウンドスクエアの国際会議に参加した10人の生徒は、帰国直前にイエール大学にも立ち寄り、来年度のイエールとの国際音楽交流のプロジェクトの打ち合わせもしてきたそうです。近藤隆平先生ご自身は分身の術をつかえないですから、行けなかったそうですが、OGで英語科のエースのボッサム先生が生徒と行ってきたということです。

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(イエール大学の八雲生。写真は同校サイトから)

★ラウンドスクエアは、生命主義でグローバルリーダーを輩出する八雲学園の理念と共感共鳴共振する世界のエスタブリッシュ私立学校の団体です。単に世界の超難関大学に入ることを目的(それは目的とするまでもなくあたり前過ぎるわけです)としている私立学校ではなく、この気候変動や環境悪化のリスク、地政学リスク、人間関係を壊すハラスメントのリスクなどを解決し、自然と社会と精神の循環を生み出す生命主義を牽引するグローバルリーダーを輩出することが目的です。当然八雲学園もそうなのは言うまでもありません。

★そのことは、実際にコロンビアで行われてきたラウンドスクエアに参加した生徒の皆さんの感想を読んでいただければわかります。

 Round Square国際会議、研修終了&生徒の感想

★世界の社会課題という痛みをラウンドスクエアに参加した世界の同世代というか同級生と引き受け、語り合ういわば世界会議で世界的視野を広め、同時に自己成長を実感していることがわかります。

★八雲学園では、このような実感を学内で共有するイベントも多いわけですが、何よりそのラウンドスクエアの加盟校の生徒が毎月のように交換留学生としてやってきているのです。そして、八雲生もやってきた留学生の学校で交換留学生として学べます。渡航費・生活費以外はかかりません。

★自己成長物語と世界的視野を広めるグローバルリーダーへの希望が生まれるグローバル教育の真価発揮ということでしょう。

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