教育イノベーション

2019年7月 7日 (日)

キャリアガイダンス2019年Vol.428 学びとコンピテンシーの結びつきを明らかにした。

★RECRUITの<Career Guidance 2019年Vol.428>の特集は、授業、探究、キャリ教育と「特別活動」を結び付け、それが多様なコンピテンシーを生み出すという構造で、記事や事例を編集している。

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★学校での多様な学びや活動が、確かな学力だけではなく、それ以上の資質・能力=コンピテンシーを生み出すメカニズムになっていることを明快に示している。

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★これは、画期的なことだ。2020年の大学入試改革やそれに伴う学習指導要領の改訂の方針をきちんと捉えているし、そのような事例がたくさんあることを示しているので、この改革が混迷しているところや現場の混乱を取り上げる新聞などのメディアとは違う、もう一つの現場の現状を紹介している。

★いかに一般メディアが偏った情報しか流せていないかが、改めてわかる。

★しかしながら、つながりのメカニズムの「X」なるものについては、難しいし、わかりにくいので、あえて編集していないなのだろう。そして、実際には、この「X」なるものは、幼児教育、小学校教育、中高教育と連綿として作られ、暗黙知として共有されているはずが、それが意識されてカリキュラムが作成され、実施されていないために、すっかり空洞化していることにまだ世の中は気づいていない。

★それで、高2や高3になって、突貫工事的に造りあげる。それゆえ、これを受験テクニックなどと呼ぶ習わしがある。しかしながら、これは本来は暗黙知として形成されているはずの大切なシステム思考の一端なのである。

★一端であるがゆえに、受験テクニックと称されている。したがって、学校では、受験テクニックを回避する傾向がでてくる。それゆえ、そこは学内予備校や学外予備校に任せてしまうという場合がほとんどである。それゆえ、いつまでたっても、学校で「X」なるものを開発する気配がない。もちろん、しているところも少数だがある。が、自覚的ではまだない。

★しかしながら、この受験テクニックと称されるシステム思考の一端は、「X´」であり、もともと暗黙知として育つはずのモノだった「X」に通じるものである。最近は、この「X」なるものが育ってないがゆえに、シミュレーションとしての「X´」が必要となる。学校もなんとか「X」もしくは「X´」を自覚するとよいと思う。

★ところが、これをやるとあたかもコンピテンシーを阻害するかのような錯誤が存在しているから、知識と思考が対立構造になるのだ。知識も思考もシステム思考の中でつながっているのであり、どちらも欠かせないはずなのだが。

★また、少し考えると、この体験をすると、このコンピテンシーが生まれるというのは、一握りの生徒にのみいえることで、多くの生徒はそうはならない。そうなるためには「X」が備わっているか、「X´」をトレーニングする必要がある。

★だが、このことに気づき、実践している偉業を果たし続けているのは、私の知る限り、神崎先生のみである。

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★「X」なるものが形成されてこなかったとしても、なんとか「X´」を突貫工事で、あるいはブリコラージュ的発想で一気呵成に形成するのだ。幼児教育から中高教育までに、本来学校教育で形成されているはずなのだが、そこが空洞化している生徒もいるのだ。いやとても多い。誰に責任をぶつければよいのか、生徒もわからない。そんなとき、神崎先生と出遭えば、シミュレーショントレーニングをしてもらえる。

★「X´」を形成できるのだ。そして、大学に入ってから、そこを豊かに自己陶冶し、失われた時間を取り戻すのだ。

★リクルートのキャリアガイダンスは、神崎先生と連携すると、本質的かつ実用的教育を多くの学校の先生方と共有できるだろう。日本の教育は一気に変わるだろう。

 

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2019年6月19日 (水)

三田国際 Apple Distinguished Schoolとしてのミッション(後編)

★ワークショップは大きく分けて2つだった。1つは、Appleのアプリを実際に活用して、創作するlearning by creatingだった。もう一つは、振り返りワークショップだったが、ただの振り返りではなく、気づきが創造性を生み出すという趣旨のものだった。

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★まずはミュージック制作グループとドローイングするグループとに分かれた。そして、各グループ、参加した先生方がさらにチームに分かれて作業に取り掛かった。

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★三田国際の先生方がテクニカルな説明をし、生徒のみなさんが、そのスキルアシスタントになって、参加した先生方がアプリを操作するサポートをした。

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★同校の先生方と生徒は、ふだんの授業で行っていることなので、まったく自然体でワークショップを進めていた。参加された先生方もかなりMac派がいたから、場はとても和んだ感じで、好奇心で満ち満ちていた。もはや教える人教わる人という従来の教室空間ではありえない景色が広がっていた。未来の教室というのはこんな感じだろう。

★もっとも、三田国際はいまここに、すでに未来が訪れてしまっているが。

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★そして、最後に再び、城野先生が登場し、振り返りワークショップのコーチを行った。時間もなかったので、ファシリテーターはあえて選択しなかったのだろう。あらかじめ用意した問いのハンドアウトに書き込みながらチームで対話していくというワークショップ。自分を見つめ、他者からフィードバックをもらいながら、気づきがどんどんあふれでていくという過程の中で、発想のビッグバンが起こるという流れ。

★自分を自分と他者と協力してダウンロードイングして言語化していくと、気づきの発火点に行き着く(プレゼンシング)。するとそこから創造性が生まれてくるという、簡易U理論の実践版みたいな感じだった。

★センゲの学習する組織やオットシャーマーのU理論など、本当によく学習理論や創発理論を研究し、実践に活かしている。田中潤教頭のみがそういうことを行い、先生方にシェアしていると思ってきたが、それは完全に間違っていた。先生方も生徒の皆さんも理論と実践と創造を日々営んでいる知の集積場が三田国際だったのである。そう改めて感じ入った。

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2019年6月18日 (火)

三田国際 Apple Distinguished Schoolとしてのミッション(前編)

★先日、三田国際で≪Everyone Can Create ワークショプ≫が開催された。同校は、ADS(Apple Distinguished School)認定校であるから、世界中の先進的教育校を視察し、帰国後その教育内容などをADS関係校のみならず広くシェアするミッションを毎年果たしている。今回もその一環。

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★ただ、いつもと違ったのは、同校の田中潤教頭が総合司会として完全にコーディネート側に立ち、若手先生と生徒にプレゼンやワークショップのファシリテーター役をエンパワーメント(委譲)していたのである。

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★カナダのブリティッシュコロンビア州のバンクーバーにある、Seycobe Secondary SchoolとYennadon Elementary Schoolの授業デザインとルーブリックの意味について、城野先生からプレゼンがあったが、たしかにパフォーマンスラーンングプログラム(PLP)とインクワイリーベーストラーニング(EBL)の話は興味深かった。

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★また、ルーブリックの項目立て方やその各項目の3ステップトランスフォーメンションの考え方の背景には、イノベーションと言えども、きちんとピアジェの系譜の構成主義的考え方や認知科学の成果が根付いているという点も了解でき、私たち日本人が今取り組んでいるPBLもちゃんとその世界標準に適合しているという確認もできた。

★それにしても、三田国際は、田中潤教頭に続く力のある先生方の層が厚いと感心しないではいられなかった。

★城野先生のプレゼンの後は、カナダの視察に同行した他校の先生方も登壇し、パネルディスかションがあった。各校の取り組みの夢と現実のギャップが生々しく語られ、そのリアリティに会場は熱くなり、盛り上がった。

★そして、ワークショップに移ったのだが、これがまた強烈だった。

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2019年3月21日 (木)

武蔵という学校 教育改革の拠点?

★本日3月21日配信のAERAdot.の記事「早大医学部構想どうなる? 『世界で輝くための改革』総長らが語る」を読んで、そういえば、今の早稲田大学総長の田中愛治氏は、武蔵の卒業生だったことを思い出した。2020年大学入試をはじめ初等中等教育も大きく変わる時期に、武蔵出身の総長が早稲田の改革を指揮している。

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(写真は、同校サイトから。武蔵の理念「自調自考」がトップページで語りかける)

★五神真現東大総長も武蔵のOBである。東大と早稲田の改革は、必ずしも同じ方向ではないけれど、日本の教育改革に影響を与えないわけではない。

★そういえば、1995年~98年まで中央教育審議会会長だった有馬朗人氏も武蔵のOB。現在は、武蔵学園学園長。1999年は文部大臣にも就任していた。あの「ゆとり教育」を展開していた。そのとき「総合学習」というのが目玉だったし、これからの改訂学習指導要領は、「探究」がキーワード。名前はどうあれ、またその賛否はどうあれ、連綿と武蔵流儀の学問的に深堀していく教育や学問の前提の教養としての学際的な視点・視野・視座を身につける教育を公立私立問わず広めようという情熱を感じないわけにはいかない。

★「1998年」といえば、私にとっては、東京女学館の当時の理事長渋沢雅英先生と出会った時期で、結構ターニングポイントだった。教育研究所の路線を歩むきっかけを与えて頂いた。あのときも英語とICTの両面を東京女学館に導入しようとしていた。当時としては大改革で、伝統と革新を揺さぶる衝撃的でグローバルな活動を渋沢雅英先生は行っていた。

★渋沢雅英先生は、当時の有馬氏の意向にはある程度共鳴していたものと思われるが、考えてみれば、渋沢先生も武蔵のOBである。才能者とか創造的才能という言葉を、私も使うようになったのは、たぶん渋沢先生の影響を相当受けていたのだと思う。

★しかし、その後ゆとり教育に対し脱ゆとりの揺り戻しがあった。渋沢雅英先生の改革もある程度までは進んだが、もっともっとという路線には現場はついていけなかったのかもしれない。いろいろあって、渋沢雅英先生は、理事長を後進に譲り、渋沢栄一財団館長として今も活躍されている。

★それにしても、今度は「主体的・対話的で深い学び」とか「探究」という学びが前面に出てきているが、これもまた結局は総合学習のアップデートということだろう。コンピテンシーという言葉も出てきているが、これも1970年代からすでに米国でトレンドになったり、その後コンピテンシーバブルと言われ、問い直されたり、行きつ戻りつ、再び今回前面に出てきた。

★「ゆとり教育」は、要するにテスト主義、得点主義で能力を測ることに対する挑戦であり、コンピテンシーもテスト主義をどう改めるかという問題意識があり、シンクロしていたのだろう。OECDのPISAもそのはずなのだが、脱ゆとり路線に揺り戻す大きな根拠として活用されたのが、パラドキシカルにも、PISAの結果だったのは記憶に新しいだろう。

★しかし、そのPISAのテストは、その後、公立中高一貫校の適性検査デザインのモデルになっている。全国学力調査テストのB問題もモデルとしている。公立高校入試も適性検査型がモデルだ。そして2020年以降の大学共通入学テストにとっても、PISAはモデルなのだ。

★私立中学入試の新タイプ入試もその影響を受けているし、さらに武蔵や麻布の中の改革派の路線(改革派ばかりではないのが、自由を標榜する両校の特色)の創造的才能者発掘の発想とシンクロしている「思考力入試」までも展開するように発展している。

★武蔵や麻布は、おそらく専門領域に学際的なものの見方を導入しない。あくまで教養レベルで学際的な発想を大切にしているのだろう。だから、専門の道を究めることが重要なのだ。これだと、閉じられた学校という感じを受けるかもしれない。しかし、専門領域を創造的才能者は幾つも探究することができるから、それぞれの専門領域の向こうにはじめて学際的な世界が現れるというのだろう。

★だから、はじめから学際科みたいな領域はなく、あくまで教養主義として学際という言葉、教科横断という言葉を使うのだろう。したがって、そのような専門領域を極める中高以外とはネットワークをはる意味を感じていない。

★自分の学校で、学問を究める学びを粛々と行っていけば、田中総長や五神総長のように、世界を変える人材を多数輩出できるのだから、十分役割を果たせるという考え方だろう。

★それがよいかどうかわからない。私自身は、それだと一握りの創造的才能者しか育たないのではないかと思う。思いは重なるところは多いけれど、路線は違う。クリエイティブクラスは誰にでも開かれているし、そのためには、必ずしも学問的な領域を追究しなくても別路線があるのではないかと思う。それがクリエイティブ・ラーニングとしてのC3思考=創造的思考のPBL型授業の機能ではないかと思っている。

★武蔵のOBは、たしかに教育改革のタイミングに活躍しているが、それ以外の方法もある。実際、教育イノベーションのプラットフォームは学歴ブランド校以外にも出来(しゅったい)しているのだから。

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2018年12月 8日 (土)

キャリアガイダンスVol.425の意味 探究で育む資質・能力とその評価?ヤヌス!

★「キャリアガイダンスVol.425」(RECRUIT)を頂いた。「探究」への各学校の取り組みが掲載されていて、どの事例も先生方の言葉も高水準である。一方で、すべての学校で探究モードへと誘(いざな)うちょっと恐ろしか本(^^汗)。編集長の巻頭言にそうある。

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2018年12月 1日 (土)

2040AI社会(4)オレ様優勝劣敗マインドからみんな最高善型創造クラスマインドへ

★2040年のAI社会をきちんと考えようと思ったきっかけは、多くの中高生や帰国生、先生方と次の問題を議論して課題を共有していったからということもある。

以下の設問を読み、小論文解答用紙(別紙)に解答しなさい。 (600~800 字)
「ルネサンス期にヨーロッパに大きな社会的変革をもたらした「火薬・羅針盤・ 活版印刷術」は三大発明と呼ばれている。なぜ三大発明と呼ばれているかを簡単 に考察した後,2050 年頃までに期待する3つの技術革新を挙げ,それらの相乗 効果がもたらす社会的変革を説明せよ。」(平成 29 年度 東京大学工学部推薦入試 小論文課題 )

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2040AI社会(3)サバイバルリーダーシップのために 平成最後の3つのイベント

★2040年の話なんて鬼が笑うよといわれるかもしれない。しかし、中学受験生の小6の子供たちは、2040年には34歳になっている。そのときに、知識・理解だけの学びで優勝劣敗を競うことが重要なのだという価値観を植え付けられていたのでは、たいへんなことになる。

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2040AI社会(2)ユートピアか超デストピアか

★前回、2040年のAI社会は、限界費用ゼロ社会になると語った。どうして奴隷や帝国の奪取、化石燃料の奪取などの抑圧的システムを脱却できるのか。それはまさにAI(artificial intelligence)×AP(artificial photosynthesis)による脱化石燃料というテクノロジーによって達成されるのである。

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2018年11月30日 (金)

2040AI社会(1)限界費用ゼロ社会到来

★限界費用ゼロ社会は、2040年を待つまでもなく、政治経済社会が誕生した時から見え隠れしていた。メルケルのブレインであるリフキンも、その著書で、中世社会から書き始めているくらいだ。

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2018年8月28日 (火)

【首都圏模試センター】思考論的転回の拠点 

2020年大学入試改革とか21世紀型教育機構の動きとかは、今ここで未来をつくるエポックメイクな事態で、歴史的刻印となる。たんに、改革が2020年に行われたとか、21世紀に行われている教育だというような年度や世紀にある出来事という表層的意味を示すものではない。

★産業革命から20世紀まで牽引してきたハードパワーの時代が終わり、いよいよソフトパワーの時代が始まるという歴史的記念碑的な事件なのである。この歴史的事件という意味について、昨日、首都圏模試センターの北氏、山下氏、NAMARA ASSOCIATESの蝦名氏、KN.PLANNINGの泉氏と対話をした。


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