教育イノベーション

2021年12月 7日 (火)

放蕩息子のたとえ話 芸術・文学・心理学・政治経済学のプロトタイプ 新しいカトリック学校のために

★カトリック学校の一つの課題は、聖職者の高齢化問題があります。勤務校のように、神父、シスターが常駐していないカトリック学校が増えていくという問題です。それでも、多くの学校の校長は信者であるという場合が多いのですが、それも必ずしもそうでないというケースも増えてきています。勤務校の場合は、ミサや宗教の時間はありますし、校長をはじめ理事会メンバーは全員信者ですから、カトリック学校の最小限の条件は満たしているかもしれません。しかし、大事なことは教育活動全体にカトリックの精神が染みわたっているかです。

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★さて、それをどうするか。このような課題は、常にイノベーションを起こします。今までは、ミサは神父様のネットワークに頼んで、宗教の先生にカトリック精神はお願いするというカタチをとってきました。それを、学内全体で広めるにはどうしたらよいかとなりますと、当然対話を巻き起こります。これがやがてイノベーションにつながります。

★勤務校の場合、聖書の中の黄金律をスクールモットーにしているため、学内で広めることに対する姿勢ははじめからあります。NY国連でもノーマン・ロックウェルのモザイク画をディスプレイしています。黄金律を謳っている作品です。そして、これはキリスト教のみならず、民族も、人種も、宗教の違いを超えて共通するルールだと国連はみなしています。

★したがって、信者であろうとなかろうと、黄金律を尊敬し実行することは、グローバル市民として大切なことなのです。グローバル教育を行う基礎には、この精神があることは大切です。したがって、教師は、この精神を胸に、生徒と対話し、小論文指導をし、進路指導をします。医療関係や介護の道に進む生徒は、今回のパンデミックで、この精神の重要性を深く受け止めて取り組みます。

★上智や南山大学などのカトリック大学に進む生徒も、神学部に進む生徒のみならず、経済や経営に進む生徒も、強欲資本主義ではなく黄金律的配分の正義に基づいた経済社会システムを考えるチャレンジをします。そして、カトリック大学ではなくても、法学部や政治経済学部に進む生徒も、ニューコモンズの新しい流れを黄金律的な発想と重なることに気づいて、構想を練ります。

★カトリック学校に進む生徒や新しい経済や都市構想を考えている生徒、SDGs関連や哲学に進む生徒の中には、私に問答をして欲しいと訪ねてくるので、対話をします。

★そんなことをしているうちに、いっしょにワークショップをしてくれる教師もでてきました。今では、その教師は複数いて、自分の授業でも創意工夫しています。カトリック精神の分有が生まれてきたとき、私たちは自己変容型マインドを共有することになります。

★それは、エンカレッジコースでも同じです。10月以降各学年各クラス、後期の特別講座を2回ずつ受け持つのですが、学年の先生方や日大文理学部のインターンの学生のみなさんとコラボして行っていきます。

★通奏低音のテーマは自己認識とアガペーです。表のテーマは、物語分析方法を学ぶです。前期はダ・ヴィンチの最後の晩餐をメインに暗号解読的アプローチで、表現を読み解く作業をしました。後期は、聖書を物語としたとき、物語分析をどうしていくのかをメインに登場人物の感情分析曲線をツールとして介してワークショップを行いました。参加した教師もインターの学生も、生徒と一緒に分析します。

★昨日は3年生の最終講座だったので、「放蕩息子のたとえ話」を使いました。勤労・勤勉・倹約と自由奔放贅沢三昧の対比や嫉妬と改心と愛が凝縮された物語で、後世の芸術や文学、心理学、政治経済学のプロトタイプになった有名な箇所です。

★ですから、即興劇を演じてもらうところから始まりました。兄と弟と父とナレーターを買って出てくれる生徒がいたので、配役はすぐに決まりました。他のメンバーは、全員友人だったり、祝いの席のメンバーだったりと教室全体がインプロ劇場です。

★そのうえで、感情分析曲線で分析する個人ワークをします。物語を読むだけではなく、ロールプレイをしていますから、当事者意識が広がっています。ここは以前と比べ物にならない程のスピードでできたので、自分のシートを語るダイアードを行いました。語り合うのではなく、語る人と傾聴する人の役割を明確にわけるペアワークです。シャッフルしていくので、仲間の考えや感じたことを共有できます。他者との違いをリスペクトすると自己の考え方や感じ方をリフレクションすることができます。自分で自分に即して感じる機会を創りたかったわけです。

★でも、直接自分を見つめることは避けています。感受性豊かな生徒が多いので、直接そこには向かいません。あくまで、自分で自分に寄り添う姿勢を大事にします。

★そのあと、心理学でもこの物語は活用されるという体験をします。兄と弟のメンタルモデル分析です。そして、そのあとに父の役割について考えます。一般の物語や小説では、このような父はいないので、バッドエンドになりがちです。聖書は救いが明示されているので、そこはたしかに心理学の肝かもしれません。もっとも、フロイトの流れでは、この父はまた別のキャラに読み替えられるわけで、複雑です。

★この分析もダイアードで盛り上がりました。

★時間がなかったので、「放蕩息子のたとえ話」は政治経済的アプローチではどうなるかについては、講義で終わってしまいましたが、サンデル座標で分析してみました。

★来年の高校の新学習指導要領では、各教科は、自然現象や社会課題にどう結びつくのか、社会実装としてどう役に立つのかが問われます。だとするならば、聖書も解釈にとどまらず、社会の制度設計にどうすでに役立っているのかを学ぶ機会を増やしていくことは重要です。

★新しいカトリック学校は、あらゆる分野ですでに社会実装されている聖書の発想を取り出して共有することとその発想でさらなるイノベーションを生み出す機会をデザインするということではないかと思っています。

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2021年11月27日 (土)

二子玉川エリア クリエイティブクラス輩出の都市へシフトか?

★日経ビジネスX(2021.11.24)に面白い記事が掲載されています。「美大に通うエリートたち、リスキリングが革新を生む」がそれです。こんなパラグラフで始まります。

<閑静な住宅街として知られる東京都世田谷区上野毛。ここを創設の地とするのが、日本有数の芸術大学である多摩美術大学だ。大半の学部は東京都八王子市のキャンパスへ移ったため、幾分ひっそりとしているものの、上野毛キャンパス内の柱に貼られた「映画制作のスタッフ募集」のポスターや画用紙を持った学生が歩く姿は芸術大学そのものだ。

 11月初旬、そんな多摩美の小ホールに、約30人の社会人の男女が集まり、プレゼンテーションに臨んでいた。5人グループに分かれ、自分たちが課題と思うことを基にした事業やサービスの概要を発表していく。>

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★この多摩美のキャンパスは、環八沿いに面していて、そこから瀬田はすぐです。つまり大平元首相の自宅があったそうです。国分寺崖線の上にあり、そこから多摩川を西へ眺めながら、大平元首相は、あの田園都市構想を国土計画として提案していました。その構想は国土計画の五全総に引き継がれ、ガーデンアイランド構想とも呼ばれました。

★そんなわけでしょうか、大平元首相の自宅のすそ野には、高島屋の別館「ガーデンアイランド」が建設されています。田園都市計画は、日本の大名庭園にヒントを得たエベネザー・ハワードが建設したレッチワースの田園都市を視察した渋沢栄一の息子が帰国後、田園調布をつくり、この地に住まう人を募るために、五島慶太に依頼して、今の東急線や田園都市線のプロトタイプを建設していったわけです。

★五島慶太がどう思っていたかどうかはわかりませんが、ハワードの田園都市はユートピア都市です。環境にやさしく、配分が考慮された都市創りです。今でいうNGO的な都市です。

★宏池会の文脈であるこの都市構想は、岸田政権がデジタル田園都市構想として継承していますが、この二子玉川エリアは、今や楽天都市でもあります。なるほど、デジタル田園都市なわけですね。

★この都市のデザインは、さらに教養人だった大平元首相の想いも継承したかのように、多摩美をデザイン思考やアート思考の拠点として新たな局面を迎えようとしているのかもしれません。政府によって巧まれたというよりも、この国分寺崖線は、江戸時代から西から攻め上らないように監視する場所でもあり、大名の別邸があったのです。明治以降は、政財界人の別邸の地でもありました。高橋是清も住んでいたし、あの岩崎家の別邸もあります。その跡地の一部に聖ドミコ学園が建設されました。

★ガーデンアイランドから商店街を通り、玉川高島屋へいく道には二子玉川小学校があります。そこは中学受験生の拠点です。その真ん前にカンザキジュクが今月オープンしています。教養豊かな総合型選抜対策をメインとする神崎史彦先生の経営する塾です。デザイン思考もやはり活用するし、デジタル発信する予定の塾でもあります。

★その近くには、図工ランドと言って、人気のアートの塾もあります。オーナーは芸大出身だそうです。またハートフルアートという、不定期ですが、やはり近くの公民館で女子美族のアートワークショップが開催されています。大学院生や海外の美大に研究しにいった女子美の卒業生が中心に企画運営しています。これらのアート空間は、純粋にアートを楽しむ子どもたちが多いのですが、中には慶応幼稚舎や慶応横浜初等部を受験する子どもたちも活用しています。

★インターナショナルスクールの拠点でもあるし、多摩美のある環八から澁谷方向に歩いていくと三田国際や都市大等々力などもあります。桜新町まで行くと、そこにはお受験の拠点である幼稚園もあり、そこから駒沢公園の方向に進むと八雲学園があります。三軒茶屋の方に行くと世田谷学園や昭和女子大附属昭和もあります。二子玉川から多摩川を渡れば、洗足学園があります。そのようなエリアの中心にGLICCという鈴木裕之先生が経営するグローバル教育塾が新町にあります。

★二子玉川から大井町線をつかえば、かえつ有明にもつながっていきます。二子玉川から玉堤通りを成城学園方向にいくと20分くらいで東京都市大や成城学園、そこからさらに30分くらい行けば鴎友学園女子や恵泉があります。

★どうやらこのエリアは、経済的にも教育的にももともとプレミアムエリアといえるかもしれません。そこにDXとアートがつながってくるわけですね。不動産の2022年問題がどういう影響を及ぼすかわかりませんが、このエリアからクリエイティブクラスが生まれる新たな教育の文脈が創出されるのかもしれません。あくまで、妄想ですが(汗)。

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2021年11月23日 (火)

聖学院の思考力入試はタラント発掘入試

★かなり遅くなりましたが、ようやく聖学院の2019年の難関思考力入試の分析を開始しました。2022年入試からは「グローバル思考力特待入試」と名称が変更になりますし、もしかしたら、中身も変わるかもしれませんが、そのエッセンスは以前から変わらないでしょう。原稿が書きあがるには少し時間がかかりますが、時期も時期だけに気づいたことをメモしておきます。まずは、まことにタラントを発掘するスーパー思考力問題であると記しておきましょう。

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(聖学院思考力入試の問いは、思考の質がS字曲線を描くように配列されている)

★将来大学入試を一般選抜で受験するには、上記の図の点線の成長をすれば、なんとかなります。しかし、海外大学や総合型選抜を受験しようとすると、上記の図のようなS字型成長曲線を描くような才能者を見出したいわけです。同試験の定員が5名というところからもわかります。思考力入試は採点などコストがかかりますから、5名を選抜するためにわざわざ行うには、5名で東大合格20人分くらいの潜在的可能性発掘を巧んでいるということでしょう。

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★さらに、海外大学へとなると、できればギフテッド型の才能者を見出したいともなります。S字型曲線のように成長する生徒は、あるとき突然ブレイクスルーします。それまでは、国算テストで目立たないのですが、あるとき突然なのです。ところが、ギフテッド型は、いきなりインパクトがあるアイデアを出します。

★同入試問題は、S字型成長をたどっていくような問いのデザインがされています。そして、その中に、いきなり才能を爆発させるかもしれない問いも含まれています。

★同校には思考力入試が3種類あって、いずれもS字型成長曲線をたどるような問いのデザインになっています。また思考力入試だけではなく、特待生入試、英語特別入試もあり、国内生160人のうち40人が、それらの入試を経て入学してきます。それに国際生も加わりますから、才能者が30%シェアの学校なのです。

★30%という多様性は、十分にインパクトがあり、一般選抜で大学入試を受けようと思っている生徒に影響を与えます。ケミストリーが起こるわけです。それが聖学院を≪Z世代≫のグローバルでイノベーティブな才能を刺激する拠点とせしめているのです。

★なるべくはやく、記事をまとめようと思っていますが、しばらくお待ちください。

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2021年11月13日 (土)

New Power School デジタルツインで教育市場を創出する局面へ World X education Market(世界変容型教育市場)

★先週、小田原で、私学経営研究会に参加していた時、プログラムの合間で、日本&東京私学教育研究所の所長平方邦行先生とデジタルツインやメタバースの世界変容(World X)型教育市場の立ち上げ局面について雑談しました。フッサールの相互主観がコモングッドに共感できる対話が学校現場でいかにしたら可能になるのかがテーマでした。このテーマは、現状どこも手を付けていないので、現場は悲鳴を上げています。

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★この苦難を乗り越えるには、リアルな世界ではそもそも収拾できないでいるわけですから、ここにいくら道徳を持ち出してもうまくいきません。ハイブリッドは、まだリアル>サイバースペースなので、根本的な解決はつかないのです。

★相互主観のコモングッド問題は、メタバースからやってきているので、そこにポジショニングを置かなければ解決がつきません。

★この点に関して、日本の教育市場はまったく動けていません。市場が働かない公立学校では、このメタバースの発想は生まれてこないシステムになっているので、やはり私学に期待がかかるのですが、それに気づいている学校というより人材はまだまだいません。もちろん、S大学の1年生Nさんと私たちはNさんが卒業するときには、そうなるように準備をしています。

★マーケットはある程度

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★新市場というのは、アーリーマジョリティまで拡散しないと動きません。今、ようやくNew Power Schoolの勢いが増し、首都圏の中学受験市場では、アーリ―アダプター領域を超え、したがってキャズムを乗り越えて、アーリーマジョリティ領域まで少し食い込みました。

★イノベーター理論の各領域のシェア率は、科学的に検証されているわけではありませんが、50,000人の首都圏中学受験生の学校選択をカテゴライズすると、ぴったり当てはまるのです。

★しかし、GAFAの動きがはやく、ハイブリッドではなくデジタルツインのメタバースの世界に突入しているので、日本のNew Power Schoolの中にも、すでに発想が古くなってしまっている学校がでてきました。マーケットがないので、コンサルタントやICT系の企業は、目に見えるもので商売をしますから、当面New Power Schoolは次のステージが見えない期間が続くでしょう。2024年までは、2011年ころに生まれたNew Power Schoolの仕掛けを追い続けるでしょう。ここにNew Power Schoolのプラトー状態が続きます。

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★現状のNew Power Schoolは、上記座標の第3象限、第4象限のどちらかに与しています。この座標はもはやOld Power Schoolは組み込んでいません。それは別の座標でカテゴライズする必要があるだけです。いずれにしても、2025年から、Old Power Schoolは、Z世代の次の世代にとっては、スーパーOld Power Schoolになるので、放置しておいても、マーケットから退いていきます。もちろん、起死回生で変容して復活することはありますが、そのときは、世界X教育市場か経済X教育市場かどちらかにポジショニングを決めているでしょう。

★結局、ここにいるのは、開成、麻布、女子学院ということになるでしょうね。それから、もちろん、現在のNew Power Schoolからそのどちらかのマーケットに位置するところがでてくるでしょう。

★平方先生としては、私立学校は、世界X教育市場を創出する側に回って欲しいとビジョンを創っていますが、最近ではリバタリアンの学校やコンサルタントが斜めから切り込んでくるので、経済X教育市場創出の勢いと競争関係になると思います。

★とはいえ、それは2024年からなので、この3年間で準備をしようということです。

★当然グローバルシチズンシップを広げる動きになりますが、このグローバルシチズンは、あくまで、世界X教育市場というデジタルツインの第1象限で活躍します。経済X教育市場は、グローバルリバタリアンが活躍します。

★私立学校の良いところは、未来を見ながらいまここで対応しながら働けることです。企業は未来を見ても、実際は目の前のマーケットで比較優位の競争を避けることはできません。

★これほどまでの新しい世界変容がなかった20世紀は、未来と言っても、効率性や実用性の向上だけで成功できたのですが、デジタルツインになると、その効率性は非効率性に転じ、実用性は無用の長物になっていく可能性が高いのです。

★本間はまた馬鹿なことを言っているといわれるでしょうが、こう語っているうちに、デジタルツインな世界で、世界変容型教育市場に投資する方が現われてくるでしょう。期待しています。

★法改正や制度設計の再構築がちょっと時間がかかりそうなので、そこをショートカットできる方法を考えねばなりませんが、現状の制度設計でそれが出来る領域もあります。すでにそこをつかって、リバタリアン教育市場を拡大しているところはあります。

★そこが、インターサブジェクトのルネサンスに火をつければ、一気呵成に経済X教育市場が立ち上がるでしょう。

★それに対応できるように、私立学校は世界変容型(世界X)教育市場を立ち上げる準備をしなければなりません。

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2021年11月11日 (木)

私学経営研究会 私立学校の働き方改革進む

★本日は、私学経営研究会理事長・校長部会に参加しました。1泊2日ですが、例によって私は初日だけ参加できました。といっても、午前中の開会式には間に合わず、事務局の方々にわがままを申し上げ、丁寧にご対応いただき、本当にありがとうございました。午後からは、お二人の弁護士先生による「私学の教員の労働時間管理について」でした。そしてその後、私の勤務校である聖パウロ学園の高橋博理事長・学園長の事例発表でした。経営インパクトのある話でした。テーマは「変形労働時間制」の経緯と苦労話と成功例などについて。

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★詳しくはさすがに企業秘密の部分が多いので、述べられませんが、働き方改革へ私学が動き始めている意志を感じました。その後、分散会で、弁護士の先生を交えて情報交換やアイデアについて対話がありました。

★制度設計の話と制度設計ではなかなかうまくいかない部分の両方がはっきりしたのは収穫でした。

★それを解決するには、労使関係の闘争や法廷論争ではなく、別の方法があることも気づきました。

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★勤務校は少人数だからやりやすいということがわかりました。

★改めて、少人数制は生徒のみならず教師のライフにも好循環を創り出せるのだと実感。

★いくら今の制度設計でリスク回避をしようとしても、教育の現場の根本的な問題は解決しないようです。

★経営者のためだけの働き方改革から、組織にかかわる教職員、生徒、保護者全体のライフをどうするのか、そのためのアイデアづくりの第一歩が始まったという感じです。教育は深いですね。深イイという意味と深刻という両方の意味をはらんでいますが。

★ともあれ、みなといっしょにがんばります。

 

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2021年11月 2日 (火)

女性のスーパーグローバルティーチャーは誰ですかと問われました。

★ある情報誌の編集者から、「本間さんなら、女性のスーパーグローバルティーチャーは誰を推薦しますか?3人を」と問われました。世の中にたくさんいるので、難問です。ですが、専門性が高いと同時に、哲学や思想など自分なりの世界観を持って発信できる先生、そして世界的視野をもって生徒の自己変容に影響を与えられるリーダーシップを持っている先生だろうなあと。あっ、それから思考コードや思考スキルなどを活用して暗黙知と形式知の往復が出来る先生。

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★そうなってくると、たくさんいるのですが、GLICC Weekly EDUで、鈴木さんと私と対話していただいた先生はみなそうだなと。で、たどってみたら、ちょうど3人の女性の先生とまるまる1時間話している動画がありました。

★26回めに、聖学院の本橋先生と対話。数学の教師でありながら多言語堪能で、数学は哲学というアプローチでPBLを行っています。新タイプ入試の思考力入試を一早く開発した先生であり、帰国生入試の広報でも活躍しています。先生が6年間担任して卒業していった生徒のみなさんは、みな自己変容しています。

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32回目は、成城学園の青柳先生と対話。広報部長で、日本教育史についての見識者。三角ロジックと思考コードをベースにしたPBL型授業を実践されている国語科教師でもあります。生徒が社会課題へ高い意識をもち、問題解決に対する思考力・判断力・表現力を豊かにしていける学びの場をプロデュースしています。理論と実践とマーケティングの統合力の手腕が優れている先生ですね。

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49回目は、湘南白百合の水尾先生と対話。広報部長かつ教頭で、学校のガバナンスから3ポリシーをデザインするリーダーシップがしなやかで強烈です。なんといっても、生徒と共に探究していく学びの理論が明快だし、学びの空間づくりもファシリテートしていくマルチインテリジェンスな先生です。

★実際に対話の内容を視聴していただければそのすばらしさがわかるので、エビデンス付きで以上の3人の先生をご紹介しました。

★まだ、直接お会いしたことがないのですが、様々なメディアで拝見する昭和女子大附属昭和の真下校長の革新的教育のリーダーシップパワーには、いつも刺激を受けています。大いに関心がありますということもお伝えしました。もっとも、真下校長はスーパーグロバルプリンシパルと言うべきでしょうが。

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2021年10月29日 (金)

学校林パウロの森で自然体験や生態系探究

★聖パウロ学園は、学校林パウロの森で、生徒が自然体験や生態系探究、イノシシと闘いながらの畑づくりなどをしています。このパウロの森は、八王子市の北高尾山地に位置し、23ha(東京ドーム5個分)の広大な面積を有しています。乗馬クラブもあり、生徒は体育の時間に馬術体験もしています。2007年に国土緑化推進機構のモデル学校林に認定されましたから、パウロの森くらぶが組織され、森の保全や整備をしています。そして、学園と連携してパウロ自然体験(PNP)もロングホームルームや探究の時間で実施しています。

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★パウロの森は、近隣の小学校にもくらぶのインストラクターといっしょに自然体験の場として使われたりしています。もともと里山ですから、まさにコモンズの機能を果たしているわけです。植物や動物の生態系を麻布大学の生命・環境学部の先生方と生徒は協働して探究してもいますから、彼ら自身が、その先に新しいコモンズの世界を見通すことになるかもしれません。

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(右上左から、松本先生、大久保先生、渡邊先生。高1の担任団です。教師も生徒と共に無心で自然体験できる聖なる場でもあります)

★この時期は、中間テストが終わり、しばし秋の恩恵に浴するイベントとして、学年ごとにPNPを行います。今回高1は、インストラクターの方々と対話しながら、森のアスレティックスーペースの遊具づくりをしていました。

★一学期の時に伐採していた木材もほどよく乾いたころを見計らっての作業でもあります。

★コロナ禍でなければ、カレー作りなどもしてさらに盛り上がる自然体験です。

★このような体験ができるのも、パウロの森くらぶのインストラクターの方々のおかげです。森の知識、森の豊かさに感謝し、森の自然のルールを熟知しているからこそ、子どもたちが安心して森の中で活動できます。しかし、ルールを逸脱すると、自然は猛威をふるうというのは、自然災害が多いこの国に住んでいる私たちは知っています。しかし、最近、直接そのような自然と接する機会が少なく、すっかりネットニュースで知っているつもりになっているだけということは多いですね。

★今回のパンデミックで、そのことを思い知らされました。PNPは、そのことを感じいる学ぶ機会でもあります。エゴはどんなに小さいか、大きな存在とコミュニケーションをとることの重要性。その存在の大切さ。。。

★さて、パウロのもう一つの学校エンカレッジの生徒はジャガイモやなすび、トマト、いちごなど一年中、畑をつくっていますが、イノシシに掘り返されないように格闘しています。イノシシの被害は、今や全国的に大きな被害になっています。各自治体で対策を練っているので、パウロ生の中から新たな対策案を講じることができるかもしれません。

★それにしてもイノシシは、実に賢いということが最近の動物行動学から証明されているらしいのです。麻布大学の江口教授はその専門領域の第一人者で、お話を聴くにつれ、イノシシの人間の裏をかく戦法は、なかなかどうして地政学的です。昨今の海洋を巡る軍事力のつばぜり合いなど、なぜあのルートを航海するのか、イノシシの戦法を通して了解出来てしまいます。

★自然から学ぶとは、多くの科学者や詩人が語っていますが、まさにそれを私も実体験しています。

★パウロの生徒にとってこの自然環境は当たり前の環境です。しかし、江口教授が述べるように、宝の山です。日常の中に新しい価値や意味を見出す学びこそ探究の第一歩だし、その出発点は、結構一生ものになります。

★幸せの青い鳥とはこのいことです。たくさんの気づきを得ることを祈っています。。。ウム。祈ることももちろん大事ですが、いかに生徒が好奇心旺盛になるか、授業で刺激を生み出すにはいかにしたら可能か。先生方と対話し続けたいと思います。

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2021年10月17日 (日)

富士見丘学園に末松信介文部科学大臣電撃的視察。

★仕事柄、文部科学省のサイトは頻繁に見るのですが、今朝開いて、驚きました。いきなり末松信介文部科学大臣が富士見丘学園を視察しましたと語り始める動画が目に飛び込んできたのですから!どういうことかというと、新着情報のトップ記事が、15日(金)に掲載されていた「末松信介文部科学大臣記者会見録」でしたから、クリックしたのです。すると、冒頭の2分間、富士見丘に視察に行って、先進的教育を見ることができたという旨を大臣が自ら詳しく語っているではありませんか。

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(富士見丘学園理事長・校長吉田晋先生 同校サイトから)

★驚き急いで、facebookに貼り付けました。しかしながら、考えてみれば、富士見丘学園の吉田理事長・校長は中教審メンバーの時代に、時の下村博文文科大臣の整合性のない教育政策に臆することなく直言し、大臣の怒りにふれたのですが、まったく動ずることなく、日本の教育のため、何より子どもたちのために、それ以降もますます本物教育のあるべき姿を文科省に提唱し続け、自らもSGHやWWL校のスーパーモデルとして21世紀型教育の範を垂れてきたのです。

★そして、2018年には、私立の中学校・高等学校及び中等教育学校の教育に長く従事し、その功労が顕著な者及び私立学校教育の振興に特に功績のあった者に対して表彰される、私立中学校高等学校教育振興功労者表彰において「文部科学大臣表彰」を受賞されたのです。

★それに、ご自身の学校だけではなく、日本私立中学校高等学校連合会会長として、日本全国の私学の教育のために奔走し、その先には、公立学校も含めたすべての子供たちのための教育の質向上のために尽力しているのは、教育関係者なら知らない人はいません。そのことは、優秀な文科大臣のブレインは情報収集済みです。

★今月4日、岸田内閣が発足した翌日、末松大臣は会見の中で、「岸田首相は聞く力を発揮され、私は見る力を発揮する」というような旨を述べていたはずですから、さっそく言行一致を見せたのでしょう。富士見丘学園視察は、そのような歴史的文脈からいって必然だったのです。

★そんなことを考えていたら、吉田晋理事長・校長及び教頭白鶯訓彦先生からそれぞれ当日の様子がわかる情報やデータがメールで送られてきました。facebookをご覧になったのか、それとも以心伝心なのかわかりませんが、日曜日であるにもかかわらず、この俊敏力こそ、24時間体制で教育の襟を正す緊張感を持続可能にしている証なのだと感じ入りました。そして私も学ばねばと思った次第です。

★それにしても、その情報を見るにつけ、今回の視察はやはり末松大臣の行動力をみせつける電撃的なもので、ほぼ抜き打ち同然の視察だったということがわかりました。

★12日火曜日の夜7時過ぎに文科省から打診があって、水曜日の午前には正式に、次の日の木曜日の午後に伺いますという一報が入ったそうです。火曜日の夜7時過ぎに打診があって、次の日の朝電話があったということは、ほとんど明日行くからよろしくというのに等しい連絡です。

★しかし、吉田晋先生は、21世紀型教育機構の前会長時代にアクレディテーションを機構で実施することを断行していましたから、いつでも先進的授業を行っているため、今日伺うでも構わないですよという姿勢でいるのでしょう。実際、アクレディテーションの結果はハイスコアです。そういう準備が整っているのですから、二つ返事でウェルカムですということになったようです。

★末松大臣が訪れたときには、当然秘書官、審議官、警護官などの行政官が10人以上連れ立っていたようです。当然心あるメディアも同行しているはずです。そして、大臣の第一声はやはり次のようなものだったそうです。「岸田総理は聞く力を仰っているので、私はそれに足して見る力をとの思いで、事務方に最初に私立学校の優れた教育を見たいと依頼したところ、WWLの指定校であり先進的な教育を実施している富士見丘中学高等学校が良いのではと、それと吉田先生にもご挨拶が出来るということで、急で申し訳ないが訪問した」と。

★そして、予定にはない教室にも積極的に視察にはいり、高校生と対話をしまくったようです。富士見丘の生徒は全員グローバルリーダーとして育っていますから、その的確な対応や対話ぶりに大臣も日本の教育の希望の光を見たことでしょう。子どもはやはり国の宝なのだと。

★吉田先生は、その姿を見守りながらこう感じたそうです。「生徒たちの物おじしない堂々とした姿に、私自身、大変誇りを感じました」と。

★以前から久しい間、そして今も、これからも、日本の教育のために全国を奔走し、世界の教育をリサーチしたり、国際交流のために世界中を飛び回っている吉田先生。さらに自治体や国とタフな交渉をして、日本の教育に本物の光を放ち続けています。私たち私学人も惜しみなく協力しなくてはと心の底から改めて意志を固める日曜日となりました。吉田先生、及び富士見丘の先生方これからも頑張ってください。私も微力ながら、協力して参ります。

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2021年10月15日 (金)

21世紀型教育機構 SGM(スーパーグローバルマネージャー)部会開催 新機軸始まる

★2011年に立ち上がった21世紀型教育機構(当時は「21世紀型教育を創る会」)は、今年10年を迎え、いろいろな動きを開始しています。すでに、SGT(スーパーグローバルティーチャー)育成のためのセミナーが3回行われ、加盟校のPBL授業やSTEAM教育などの質が豊かになり、蓄積されてきています。質の向上はしかしながら、大切なものが故に、市場では見えにくく、せっかく良い教育を行いつつも、その質がもたらした大学合格実績で多くの場合はじめて評価されます。たしかに、各加盟校の大学合格実績は伸びてきたし、海外大学進学実績は目覚ましく、ようやく市場で認知されるようになりました。

★しかし、同機構のミッションは、自分の学校がよければそれでよいということではないのです。善き教育は共有して、日本の教育や世界の教育に広げ、世界の痛みを引き受け、解消できる教育出動を使命としています。それがゆえに、昨日14日、加盟校のSGM(スーパーグローバルマネージャー)が集結し、現場の若き教師SGTが積み上げてきた質を大きな力に転換すべく、従来のビジョンのフォームを新たなビジョンにトランスフォームする対話をしました。

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★フォーム。つまり型というのは、質という可能態を現実態に変容させる大切な役割を果たします。デザインとか見える化とかいう言葉に置き換えるとわかりやすいかもしれません。ただし、生徒の可能性を引き出す形成的評価の「形成」=「フォーマティブ」という意味を込めて「フォーム」という言葉を使った方が教育の領域では意味があります。ともあれ、すでにSGTの教育の質は、各加盟校のPBLという型=フォームによって生徒の才能を可能態から現実態にシフトしています。

★SGTのミッションとしては、面目躍如です。一方SGMにとっては、その現実態は、日本や世界の教育を変える可能態でもあります。マネージャーは、この豊かな潜在的な可能性を、現実態に変容させるビジョンを立てる役割を担っています。新たな型を生成する必要があるのです。そして今回のパンデミックは、そのトランスフォームの必要性を促したのです。

★2011年、機構の出発点は3.11でした。10年後の2021年、機構のビジョンのトランスフォームの背中を押したのは今回のパンデミックだったのです。

★加盟校が教育で引き受ける日本の痛みは、実は世界の痛みに通じていたわけです。

★このような課題意識を理解しない方々は、21世紀型教育機構を合同説明会の集まりだと思っています。加われば人が集まるかどうかの損得勘定を考えるわけです。どのように思われようが、構わないわけですが、問題は、教育に携わる経営陣がその程度のことしか考えない、日本の教育の痛みはまずは解消しておく必要があります。

★そこで、理事会は加盟校の経営陣が集まる定例会以外に、校長あるいはその学校の次代をマネジメントする代表メンバーを集めて、SGM部会を新たに発足しました。

★今回のテーマは、21世紀型教育機構の新たな市場創出、新たな教育開発についてです。最終的な決定は理事会、定例会を通して公表されるでしょうから、ここではまだ発表はできません。ただ、世界を巻き込むダイナミズムを教育から生み出すことになるとだけお伝えしておきましょう。

★20世紀初頭までは軍事力・政治力が絶望を生み出しました。20世紀後半は、経済が世界を席巻し、格差を生み出しました。21世紀は、絶望と格差を引き受け、希望と正義を取り戻す教育=知が出動するのです。それゆえの21世紀型教育なのです。

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2021年10月13日 (水)

八雲学園の当たり前は世界の当たり前。でも日本では高根の花。

首都圏模試センターのサイトに、八雲学園の記事<教育キーワード「英語4技能」についてのインタビュー動画>が掲載されています。30分強ですので、もしかしたら29分あたりから見て、それから最初から見ると、八雲の凄さがよくわかります。

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★どういうことかというと、八雲学園の英語教育は、最終的にラウンドスクエアという世界の私立学校との国際交流を、全校で取り組むところにいたるということが決定的ということです。

※「ラウンドスクエア」に関しては、次のページを参照→「革新的教育×自己変容型マインド(06)岩辺みどりさんの記事で、ラウンドスクエアと八雲学園が紹介される。」

★今はコロナ禍で、リアルな交流はできませんが、世界がアフターコロナかwithコロナに入ったところで、再会するでしょうから、世界中のエスタブリッシュスクールのメンバーが集結して世界の痛みについて語り合います。

★また、200校以上の世界の高校と頻繁に交換留学を行います。互いに学校全体で留学生を迎え入れますから、国際交流が一部の生徒だけで運営されるということがないのです。

★2カ月ごとにいろいろな学校からの留学生を受け入れているので、まさに学内インターナショナルスクール的なシーンが映し出されます。

★それが八雲学園の当たり前の景色だし、同時にラウンドスクエアの同盟校にとっても当たり前の景色です。

★しかし、この景色は、日本の一般の高校では珍しい景色でしょう。未来のグローバルリーダー同士の交換留学ですから。

★この高次元の当たり前の国際教育が得難く、かつとても大切だと気づく方はまだまだ少ないのですが、いずれこのすごさがわかるでしょう。すでに、海外資本が日本の中等教育に着々と進行してきています。

★八雲学園が本当に世界標準だということがわかる時が到来しています。

★さて、なぜ29分頃から視聴してから最初に戻りましょうと指摘したかというと、このような高次元の国際交流の段階に至る段階的な英語教育の軌跡をたどることができるからです。

★帰国生上でもないのに、英語力や国際的教養を身に着けていくイメージを追うことができます。

★しかも、母校で段階的に成長したボッサム先生もナビゲートしていますから、なおさら実感を抱くことができるのです。

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