教育イノベーション

2023年11月29日 (水)

【速報】学校法人順天学園 学校法人北里研究所と法⼈合併に向けて協議を開始

★順天学園の副校長片倉先生から「創立 190 周年を迎える順天中学校・高等学校を設置する学校法人順天学園と、北里大学・大学院等を設置する学校法人北里研究所との法人合併を目指した協議を開始することについて、11 月 27 日に基本合意書を締結した」というお知らせをいただきました。

★下記のプレスリリース文書にもある通り、両法人は 2026 年 4 月 1 日(令和 8 年度)に合併することを目指しており、合併後、「順天中学校・高等学校は学校法人北里研究所が設置する学校となる」ことになります。

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★たしかに、両法人は学究的であり、人類のための奉仕の精神を重視していることなど、両者の建学の精神や理念における親和性は高いでしょう。また、グローバルな視野をベースに理数教育や研究に力を注いでいます。しかも順天の卒業生は、医学系に進む生徒も多いので、中高の新しい探究の環境ができることになり、画期的合併です。

★昨今ダイナミックに進んでいる高大連携の動きの中で、連携を超えた合併にまで至ったというのは驚きであり、同時に未来の有為な人材輩出を、中学・高校・大学・大学院等を通じた一貫教育によってできる可能性に大きな期待がかかります。

★設置者が改まったとしても、校名「順天」の2文字が継承され、中学高校の所在地をはじめ、教職員も継承されることになっています。国立大学や海外大学、文系・国際系などの私立他大学への進学指導も継承されるということです。

★また、令和8年度より、附属としての高校から大学への内部進学が開始される見込みのようです。北里柴三郎や福田理軒のような創設者の精神を引き継ぎながら、グローバルでイノベーティブでサイエンティフィックな新しい中高が誕生します。中学受験生にはとても希望がもてる最新情報です。

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2023年11月28日 (火)

東京家政大学附属女子中学校・高等学校 KASEIからSEKAIへ グローバルとICTと愛情

★知人の教育関係者から、東京家政大学附属女子中学・高等学校(以降「東京家政大」)が、ダイナミックに変化していると聞き及びました。検索してみると、首都圏模試のサイトに「東京家政大学附属女子中学校・高等学校2023 海外留学を充実させKASEIからSEKAIへ」という記事が掲載されていました。リード文にはこうあります。

「東京家政大学附属女子の学び140年以上の歴史を持つ東京家政大学附属女子。建学の精神「自主自律」できる女性を育てるために、生活信条「愛情・勤勉・聡明」を掲げています。2020年度からは国際バカロレアの中等教育プログラム候補校として認定され、"KASEI"から"SEKAI"へ向けて、大きな一歩を踏み出しています。」

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(写真は首都圏模試センターのサイトから)

★中等教育段階のIBのプログラムの候補校になっているというのは、たしかにすごいことです。「愛情・勤勉・聡明」とIBの10の学習者像が統合されてもいて、世界標準の教育を確立しつつあるということが予想できます。実際、記事を読んでいくとその通りです。

★しかも、生徒によるアドミッション・スタッフーチームが、中学から高校まで連綿とつながっていて、自分の学校の魅力を伝えるだけではなく、受験生や保護者の心も受けとめるおもてなしの心、つまり同校の理念の1つ「愛情」が伝わるアクションまで起こしています。

★主体的・対話的で深い学びがまずは身近な自分の学校の魅力を受験生・保護者と共有するところまで発展しています。実際、スタッフの一人の女子生徒は、将来はマーケティングをはじめ経営学を学びたいと語っています。いまここでのアドミッション・スタッフのアクションが生涯の学びにもつながる「聡明」な知恵が育っています。

★キャンパス内のビオトープもコンクールで何度も入賞を果たすほど、SDGsの根源的な課題解決に「勤勉」に立ち臨んでいるわけです。

★四季折々の自然の変化をキャンパス内で感じられるAWE体験をベースに島皮質も非認知能力を豊かにするように刺激されているでしょう。

★自然と社会と人間関係の循環は、これからの激変する社会において希求されていることです。つながりの分断が進んでいる今日ですが、その循環を生成する人材を同校は輩出するだろうと、記事を読みながら感じ入りました。

★そして、この記事は今年の5月に掲載されているので、最近の新しい情報は書かれていないのは当然です。知人によると、まだ発表はされていないので、詳しくは話せないけれど、「愛情」の育成部分にDXを融合さるらしいと。エッ!と驚きました。しかも「勤勉」「聡明」の部分はすでにそれは果たされていると。

★たしかに、新しいDXハイスクール構想が文科省からも発表されていますから、その流れを先にきちんとつかんでいるということは大いにあり得ます。東京家政大の大変貌ぶりに期待です。今後目が離せませんね。

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2023年11月23日 (木)

羽田国際② 人口減の未来に外生的技術進歩と内生的技術進歩を統合する人材輩出に期待

★来年から羽田国際高等学校として共学化し、グローカルシンキングを実装する生徒育成の新しい教育を実践していく全く新しい学園が誕生します。順次中学も開設していきますが、簡野校長は、次の学習指導要領の改訂の行方を既に読み取り、その改訂では、激しい世界の変化についていけないかもしれないと見通し、さらに未来の教育からバックキャストして新しい中高一貫校を計画しているようです。

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★GIGAスクール構想に基づいて、多くの学校が新しい学校づくりを開始していますが、すでに、そのスキルでは、生成AIの日々進化がもたらす社会の新たな変化についていけなくなっている可能性があります。文科省は、それにすでに気づいており、DXハイスクール構想を補正予算として組み、日本の1000校に1000万の助成金を用意していると言われています。

★東京都の方も同様です。すでにTOKYOスマート・スクール・プロジェクトが動いています。そしてTOKYOデジタルリーディングハイスクール事業について、都立高校の「TOKYO教育DX推進校」を指定しています。

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★上記のパンフレットも出され、学び方・教え方・働き方の3つの側面からDX化を進めようということです。このプロジェクトは、コロナ禍でプランされている<「未来の東京」戦略>の一環の動きです。その 附属資料として今年「東京の将来人口」という多角的な視点からまとめられたデータ集も出ています。その中で、中高にとってわかりやすいのは、次の人口推移です。

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★ご承知の通り、とにかく人口減なのです。自然減は止まりません。東京都外からの転入や働きやすい環境をつくって外国人を増やす「社会増」を増やす戦略が練られています。そのための環境として、一つは外生的技術進歩だというわけです。前回も日経のやさしい経済の京大佐々木教授の寄稿について紹介しましたが、人口減少の中で経済を持続可能にするには、外生的技術進歩によって一人当たりのGDPを上げるのだということでしょう。

★そのためにはDX進化は欠かせないと。

★羽田国際も、そのような社会増の環境の一環として、グローカルシンキングの育成の外生的技術進歩の準備をしています。しかし、簡野校長は、やはりさらに内生的技術進歩をいかに創り出すかなのだと構想しています。佐々木教授も内生的技術進歩の重要性についても触れています。

★外生的技術進化は、等しくすべての生徒にとって有益ですが、シンキングやケアのレベルでの個別最適化にはなりにくいし、個別最適化がリスペクトされた協働学習でないと効果的ではないわけです。1人ひとりの興味関心、モチベーションなどが湧いてくるには、思考や気持ちの状態が1人ひとり違うところに教師がチュータリングやファシリテートしていく必要があるからです。

★従来の教育DXでは、学力の3要素のうち「知識・技能」に関してはそれはできていましたが、思考力や判断力、表現力、主体性などへの「最近接発達領域」のアプローチができていませんでした。それをどうやってやるのか?簡野校長先生は、当然そこは「生成AIの形式知化実装」(この表現はまだ企業秘密として発表できないということなので、イメージとして私が勝手につけました)なのだと。

★たしかに、2027年から2032年ぐらいの間に実施されていく次期新学習指導要領では、そうなっていくでしょう。ただ、電子教材やデジタル教科書を活用するので、大きな未来の教育の枠組を構築するのは難しいかもしれません。

★国内だけで仕事ができるならば、それでよいのですが、2030年は、そのような世界ではないですし、すでにそうでないのは、ファストフード店(そばなどの和食も含めて)にいけばすぐにわかります。

★したがって、羽田国際のように、世界を牽引する教育を、独自に先進的に私学が進むことによって、その世界とのギャップをうめていく気概が重要になってくるでしょう。

※)参考→羽田国際① 新しいグローカルシンキング教育へ

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2023年11月17日 (金)

工学院の共感的コミュニケーション 哲学シンキングと響き合う

★昨日、工学院大学附属中高の教務主任田中歩先生とゆっくり対話ができました。田中先生は、工学院の教師の人的資本を豊かにするため、共感的コミュニケーションを教師と生徒の共通ホームベースにしています。講義型とPBL型の両方の授業で、本質的な基礎学力(実は文科省は、学力の3要素を基礎学力としているから、知識・技能のみならず思考力・判断力・表現力や主体的な学に取り組むアティチュードも基礎学力に含まれる。基礎学力を知識暗記というイメージは通俗的幻想にすぎない)を生徒が自ら組み立て行けるように仕掛けを教師と生徒と共にみんなで創っています。

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★そして、中野校長は、その機会と環境をサポートしているわけです。このことは、最近経済界とか金融市場で話題になっている「人的資本経営」と重なります。同校の専任は60名強だと思いますが、そのうち20名弱は20代から30代でしょう。この年代の教師の人的資本を豊かにすることも自分の使命だと歩先生は語ります。

★ですから、定期的に歩先生がファシリテートして研修も行っているということです。共感的コミュニケーション、PBL、思考コードなどシェアリングすることが目的でしょう。もちろん、学外の研修もあります。何せ外部のスタッフとコラボしながら国内外で行う生徒の学びのプログラムが多いので、そこで同時に教師は自己マスタリー出来てしまいます。

★話を聴いていておもしろいのは、自分が引っ張っていくというより、環境デザインをして、教師も生徒も自走していくモチベーションを生み出すアフォーダンス型のファシリテーションをしていることです。

★外から見ていると、それぞれに動いているように見えるので、20世紀型教育観、大学合格実績至上主義の方が見たら、自由過ぎるとか、みなが同じ標準的なスキルを活用していないと思われることもあります。

★私は、新しい学びや生徒1人ひとりの才能を自らそして協力し合いながら磨いていく愛情を持っているかどうか、リトマス試験紙だなと思うわけです。工学院をどのように多角的に見ることができるかどうかが、教育ジャーナリズムの未来を結構決めるインパクトがあると思うわけです。

★学びをデザインする方法論は多元論です。それぞれが活用し、互いにいいとこどりし、インテグレートしていく共感的コミュニケーション環境こそ、多様なグローバルリスクに接しながら生きている教師にも生徒にも役に立つはずだと歩先生は語ります。

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★そして、田中歩先生は、もともと英語科主任で、今のケンブリッジインターナショナルスクールやラウンドスクエアとの連携の基礎を創ってきました。おもしろいのは、これらの海外のカリキュラムやプログラムには、哲学があります。またIBのTOKなどの研修などでも学び、それもやはり文化人類学的で哲学的な要素があると感じていると。

★したがって、工学院の英語の授業の中には、イギリスベースの哲学的な授業があります。ですから、私が吉田幸司さんの哲学シンキングの話を以前したら、さっそく読んで、なるほどシンクロするところがあるなあと。

★そして、研修などで、このような考え方もメタ的な視点としてプロジェクトにできるかもと語っていました。

★つまり、人的資本の1つでもある「変化に対応できるサバイバル思考の可視化」ができると。それはまさに人的資本の経営の手法だなあと。

★今年もまだ具体的な発表はできないけれど、海外の大学進学はおそらく驚きますよと、その中には医学部もいくつかありますと。国内の大学も期待していてくださいと。生徒にとって自ら見出す未来の1つの足掛かりとして大学進学のサポートももちろんしているのが工学院なのです。

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2023年11月15日 (水)

高等学校DXハイスクール 令和5年度補正予算額100億

★<全国1000校超「DXハイスクール」に デジタル教育拠点>(日本経済新聞2023年10月26日)という記事がでて、今月になって数日前に閣議決定されたようです。すでに文科省は、昨年GIGAスクール構想の一環としてDXリーディングスクール事業を実施しています。東京都は都立高校に対しDXリーディング指定校を認定して事業を展開しています。

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★小中学校は、昨年段階で90%強は、一人一台体制になったということですから、いよいよ高校も加速させようということでしょう。日経によると、大学における理工系学部の増設などデジタル分野の高度人材を育成する流れに高校がうまく接続するようにという意図がありそうです。

★DXというワードがトレンドだからGIGAではなく、DXになったのでしょうが、実はGIGA」は「Global and Innovation Gateway for All(全ての児童・生徒のための世界につながる革新的な扉)」の略です。どうやらDXはたしかにWEBにつながればグローバルな世界につながりますから、あえてグローバルというコトを取り上げる必要はないのかもしれません。

★しかし、ちょっともったいないような気がします。グローバルとイノベーションの合力がどのように設計されているのか、あるいは設計するのか、哲学シンキングする必要がありそうですが、ともあれ1000校に1000万の補助金がでるのですから、それは各学校が考えればよいのかもしれません。要するにDXハイスクールは、むしろ物質的なDX環境に特化していると明快にし、その背景のGIGAのコンセプトがはっきりすればなあと。

★タックスペイヤーとしては、そこのところがなんとかなってほしいなあと。少なくともたとえば、こんな感じで生成AIに尋ねてみて、でてきた回答に対し、GIGA構想はどれくらい対応しているのか、対応しない場合どう脱構築するのかなど哲学シンキングしてもらえる委員会があるといいですね。bingに問うてみました。

 「グローバルマインドとイノベーティブな発想の合力はどんな感じですか?」


グローバルマインドとイノベーティブな発想が合わさると、非常に強力な結果を生むことができます。グローバルマインドは、異なる文化、価値観、視点を理解し、それらを尊重する能力を指します。一方、イノベーティブな発想は、新しいアイデアや解決策を生み出す能力を指します。これら二つが組み合わさると、以下のような効果が期待できます:

多様性の活用:異なる背景や視点からのアイデアを受け入れ、それを新たな解決策に結びつけることができます。
創造性の向上:異なる文化や視点から刺激を受け、新たなアイデアを生み出すことができます。
問題解決能力の強化:グローバルな視野を持つことで、地域や国を超えた問題解決が可能になります。
したがって、グローバルマインドとイノベーティブな発想は、個々の強みを最大限に活用し、より広範で効果的な解決策を生み出すための重要な要素と言えます。これらのスキルを持つ人々は、ビジネス、科学、芸術など、あらゆる分野で価値を創造することができます。

「哲学シンキングはどんなかかわりを持ちますか?」


哲学的思考は、我々が世界を理解し、問題を解決する方法に深い影響を与えます。哲学的思考は、以下のような特性を持つことが一般的です:

批判的思考:哲学的思考は、情報を分析し、論理的な結論を導き出す能力を強化します。これは、事実と意見を区別し、偏見や誤解を排除するのに役立ちます。

問いの探求:哲学的思考は、深い問いを立て、それに対する答えを探求することを奨励します。これは、新たな視点や理解を開くのに役立ちます。

倫理的判断:哲学的思考は、倫理的な問題に対する洞察力を深め、より良い道徳的判断を下すのに役立ちます。

これらの要素は、グローバルマインドやイノベーティブな発想と組み合わせることで、より深い理解と洞察を得るのに役立ちます。例えば、哲学的思考は、異なる文化や価値観を理解し、それらを尊重するグローバルマインドを深めるのに役立つかもしれません。また、哲学的思考は、新しいアイデアや解決策を生み出すイノベーティブな発想を刺激するかもしれません。

したがって、哲学的思考は、我々が世界を理解し、問題を解決するための重要なツールとなります。これらのスキルを持つ人々は、ビジネス、科学、芸術など、あらゆる分野で価値を創造することができます。

★もしGIGAスクール構想が、bingが回答した点をすべて網羅しているのであれば、たしかに日本の教育は変わるし、未来をつくる子供たちの成長に希望があるでしょう。

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哲学シンキングの希望

★長い間生きていると、いろいろな方々とネットワークができます。そのネットワークの中でもいくつかのグループはそれぞれ独立しているのですが、私の中では比較的強く(相手はそうは思っていないかもしれませんが・・・汗)つながっています。もしこれらのグループがつながれば、大げさに言えば人類の希望の光が生み出されるなあとずっとモヤモヤしていたわけです。

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(オレンジは、基本書やセミナーなどで習得したスキルを組み替えて活用している。黄色は、原典から紐解いて独自のアイデアを生み出している。)

★そんなとき、「哲学思考」という吉田幸司さんによる新刊に出遭いました。ずっと以前に購入していた「哲学シンキング」を読んだ時は、多様な思考の型の1つとしてリスペクトしていましたが、あえて「哲学思考」とタイトルがつけられているので、なにゆえ?と思い、吉田さんの出版記念セミナーに参加させていただきました。そこで哲学シンキングのWS型セッションを体験できたわけです。

★そこで、確信!が降りてきました。私の知り合いのグループ(濃い絆もあるし数度対話した程度のものもありますが)は、互いにまだ結びついていませんし、これからも融合や統合はないかもしれませんが、「哲学シンキング」の世界にダイブすることはできる方々です。

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★ダイブしたり、掘ったりしながら、内的メッシュワークができればまずはそれが第一段階だなと思うわけです。

★今学校の現場では、教育課程に余白がないために、教科授業と探究の接点をみつけると、そこに余白ができるなあとか、そもそもどうつなげるのか、教科横断型的発想とは何かなど日本全国の先生方がモヤモヤしているわけです。

そこを突破するのは、「哲学シンキング」なのだと。本を媒介に内的メッシュワークでつながり、次の段階で顕在化したメッシュワークに転換していくということになるでしょう。

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2023年11月10日 (金)

松尾豊教授 教育課程でこれからの人材の能力は育つのか相関を生成AIで示す あまりに衝撃的な

★全国私学教育研究集会香川大会の1日目が昨日開催。キーノートスピーチは、東京大学の松尾豊教授。今や超過密スケージュールで活躍している先生ですが、香川県出身で次世代才能児育成のエコシステムも創っています。そのため、全国私立学校にもその門戸を開くことができるという思いもあり、ご登壇されたのでしょう。いくつも衝撃が走り、やはり生のトークは感動的でした。

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★ChatGPT4のパラメーターは1兆個ほどあるというわけです。入力と出力の間のニューラルネットワークなどの計算式変数のことだと思います。その重みづけの数の多さに、そんな多角的な視点でテキストや画像を生成してくるのかと思うと、しかも瞬時にです。かなわないなあと思ってはいましたが、しみじみ。

★しかし、人間の脳のパラメーターは生成AIどころではないのだと。エッー!小論文で思考する時、たしかに根拠と論拠と背景と反駁根拠と反駁論拠くらいまでは重みづけするけれど、1兆もの視点では考えない。人間はどうやら、ロジカルというけれど、相当直感的にパラメーターを選択してというかデフォルトモードで思考しているのだなと。だからこそフェイクとアイデンティティ、つまり真偽の間を埋めるには、ああでもないこうでもないと喧々諤々とか熟議とか。所詮はあたりを付けて主張し合っているということなのかと。

★CPU獲得競争がおきているのは、そりゃあそれだけのパラメーターで変換を瞬時に行っていくには容量が莫大だろうなあと。人間も考えすぎると知恵熱がでるなんて言われるのと同じで、いよいよAIサイボーグの時代かあと。

★そんな熟議の人間の速度なんて遅いものだから、テスラを例にとって、アップデートの速度をあげることで、利益率を上げなくても指数関数的に増えていくのだと。複利方程式のrではなくtに注目すべきだというのです。

★それだけで、変化の時間が長い学校教育ではテスラを生み出すような人材は無理だろうと思っていると、松尾研の人材育成エコシステムに参加している中高生から、そんな人材が生まれている例やスタートアップでどんどん成功するのはなぜかまで情報提供。オオイ!わたしたち学校はどうする?

★と途方に暮れるま間も与えられず、教育課程の各教科では起業家精神とか変化する側に立つ能力などが育たないという生成AIによるデータを魅せられいやいや見せられてこれまた衝撃。

★PDCAをゆっくり回している場合ではないんですね(汗)。そんなカリキュラムマネジメントを推奨する文科省は、松尾豊先生の話にもっと耳を傾けたほうが。いやすでに傾聴してことを進めているでしょう。だから、ここのところ予想している2030年前後に行われる新学習指導要領の改訂座標は結構イケルじゃんと衝撃をうけました。所詮独断と偏見の予想ですが、松尾先生もabduction能力大事ですよこれこれからの人材にはと言ってますし。

★めちゃくちゃ具体的かつミクロの高度人材の育成過程が、実はダイナミズムを生み出す知の量子力学みたいなキーノートスピーチ。イサムノグチのゆかりの地香川で満喫できました。名刺交換もできたし(微笑)。開催した委員の先生方、日本私学教育研究所の皆様ありがとうございました。

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2023年11月 1日 (水)

2027年から移行措置が始まる新学習指導要領がヤバイ!?

★少子高齢化やエネルギーの転換、AI時代突入など、2027年から移行措置が始まるだろう新学習指導要領の改訂射程が次のような座標で表現できると予想します。

【学びをめぐる環境視座】

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★現状でもこの射程をビジョンに収めている私立学校はたくさんあります。しかし、もしかしたらやっているにもかかわらず、哲学なんてやっていないとか起業家精神も授業では育ててないとか、AIなんてまだこれからだとか、学びではなくまだ勉強だよなあとかいう声も聞こえます。

★確かに、まだまだ気づかれていないかもしれないし、部分的かもしれません。また文部科学省が直接このようなことをいう可能性は少ないかもしれません。

★しかし、シリコンバレーをはじめとする世界各地のイノベーションバレーが常にクリエイティブ×イノベーティブを進めるにあたり、マインドフルネスや哲学コンサルタントなどをいれているし、プロジェクトという学びは必須ですし、そもそも起業家精神であふれています。しかもThink globally, Act locallyというグローカルマインドがそれです。今やコンピューターサイエンスは生成AIをはじめとするAIイノベーションは当然の流れです。

★したがって、文科省や経産省がこの流れを無視することはないでしょう。

★まして、世界中が日本の田園都市構想にヒントを得た(そのことを日本人は知らずに軽視しているが、東急電鉄はそれを保守している)スマートシティーやエコシティーへ移行するわけです。

★上記の学びをめぐる環境視座が必要です。この視座を各学校の教育にあてはめてみて、どのくらい重なりがあるか?重なっている部分が多いほど選んだ方がよい学校です。塾も同様です。

★この視座は、孫泰蔵さんや伊藤穣一さんの考え方のレンズにも重なります。

★成城学園の青柳先生が、大学で教職教養の講義をされているようですが、そこで孫さんの「冒険の書」を紹介されたということです。素敵で過激ですね。しかし、教師志望者にとって未来の学校で教鞭をとる時は、上記の【学びをめぐる環境視座】が拡張していることでしょう。

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2023年10月29日 (日)

八雲学園 世界を魅了するグローバル教育

10月27日(金)、GLICC Weekly EDU 第149回「八雲学園の多様な留学プログラム」が開催されました。副校長近藤隆平先生がご登壇。ノイタキュード代表北岡優希さんもゲストコメンテーターとして参加。同校が、多様なグローバルプログラムを実施しているのは有名です。今回は、その中で今年実施した9カ月プログラムの学習と生徒の成長にフォーカスした話になりました。

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★9カ月プログラムを体験した生徒は、ラウンドスクエアの国際会議でも活躍するなど、同校の目標であるグローバルリーダーの意味をカタチづくる貢献を果たします。そのグローバルな知性や感性が育つ学びの具体的な状況が詳しく説明されるのは、おそらく本邦初でしょう。

★ある意味企業秘密なのですが、これをそのまま導入しようとしても、UCサンタバーバラの大学の先生複数を用意することはそう簡単なことではないですし、ラウンドスクエア校になるのもそう簡単ではありません。またサンタバーバラにリゾートホテル並みのレジデンスを所有することなどほとんど無理に近いでしょう。

★このような有形無形の教育資産を歴代の理事長が先生方と創ってきた結晶体ですから、近藤隆平先生は、公開するのに躊躇はなかったのだと思います。

★同じくラウンドスクエア校である姉妹校ケートスクールとのプログラムもこの9カ月プログラムと並行実施されているわけですが、そこらへんのことは次回菅原先生に語っていただくことにします。

★今回もう一つ6月初旬に行われたイエール大学との音楽交流会の具体的な様子について、カメラが入り、北岡さんが編集した動画も見ることができます。近藤先生の用意された動画と合わせると、今回4本の動画を見ることもできます。あまりにも具体的な状況がわかる今回のGWEでした。

★なるほど、世界のエスタブリッシュスクールの生徒が、八雲学園の教育に魅了されて、各国から月替わりに交換留学しに来るはずです。

学校の教育を、受験市場の中で偏差値比較優位競争の目で見るのか、世界市場でグローバルリーダーを育てる教育環境をフォーカスする目で見るのか、本当に大切なことを考えさせられる近藤先生のお話でした。

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広尾学園 未来の流れを創る教師と生徒そしてハイレベルなグローバル組織

10月13日(金)、GLICC Weekly EDU 第147回「広尾学園が牽引するこれからの日本の教育」が開催されました。池田理事長・校長、金子副校長、植松教頭がご登壇。生徒の活躍を中心にいかにそのような活躍があふれ出るのかその教育環境デザインの現状と進化する教育についての語りを聴くことができました。偏差値などの指標でも高いのは、周知の事実なのですが、それ以上に生徒1人ひとりのモチベーションのレベルの高さ、学び方のレベルの高さは、圧巻でした。そのような具体的状況を教師が日々創り、日々アップデートしていいける組織作りは、池田理事長をはじめとする3人の先生方のポジティブで子どもの未来を常に考えるメンタルモデルとアクティブなグローバルな視座に象徴されていました。

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そして、ご視聴していただければすぐにわかりますが、3人のチームワークの卓越性が伝わってきます。このチームワークの卓越性は、もちろん教師陣、生徒の皆さんに浸透しているのだということは、ご視聴していただけると明快だし感銘を受けます。

★APが12講座もあるということからも、ハイレベルな大学レベルの研究的文化が根付いているということもわかります。基本的に3人の先生方は謙虚に語られるというか謙遜されるので、植松先生がAPを大学の1年生くらいのレベル講座だと語った時、ああそうだと聞き流してはもったいないのです。

★それはこれらの講座から海外の大学にケタが違う進学実績を出している同校の枠組の話なのだと思い起こしてお聞きいただきたいのです。どういうことかというと、日本の大学の教養レベルという意味ではないということなのです。海外大学、特に世界大学ランキング100位以内の大学1年生のレベルということです。

★日本の大学1年に入学するのとそのよううな海外大学の1年に入学するのとすぐにわかる違いは、日本語で行われるか英語で行われるかの違いがあります。そして、講義する大学の教師は、自分の書いたテキストをベースにしますが、海外では多くの研究者の論文をベースに複眼的に思考するのかの違いもあります。さらに、日本の大学1年生は、机上の学びが多いですが、海外大学は、思考実験やフィールドワークなどプロジェクトベースの学びが必ずセットされています。

★そのような海外大学の大学1年生レベルの授業が学内に12講座(もちろんオールイングリッシュです)もあるのです。しかも外注ではなく、学内の教師が実践しているのです。その講座に携わっていない教師にも影響があるのは、推して知るべしです。

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★医サイのクラスの順天堂医学部での学び(研究といったほうがしっくりきます)も半端ではありません。実際に医学部の先生方と手術に立ち会ったり、病理診断のミーティングにも参加するのです。自らのキャリアデザインへの内発的モティベーションが内燃し続けるこれらの教育デザイン。

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★しかも医サイの生徒がそのように学んだ医学の知見をAGコースの生徒に英語で講義をする機会もあるわけです。金子先生は、そのようなことができるのは、中学から高校に進級する時、コースを柔軟に選び直すことができるからだといいます。AGから医サイにシフトした生徒が、理系と文系の知見を融合して学内に還元していくというアクティブなメカニズムは、広尾独自の学びです。そう簡単に他の学校でデザインできる環境ではないでしょう。

★このように柔軟でハイレベルな学びが日々進化するのはなぜでしょう?池田理事長・校長は、生徒が発案したり望んだりするプログラムに対応する教師の努力が日々あるからなのだと目を細めて語ります。そのように教師が活動できる環境を経営陣が作っているということでしょう。ただし、前提条件としての高い好奇心と世界の研究の成果にアンテナを張り巡らする広い知的視野、質の高い問いを自走できる学びの構えを教師も生徒も共有しているからなのです。

いずれにしても、広尾学園の教育の進化の速度や魅力、教育の質の豊かさについてここでは全く語り尽くせません。ご視聴いただくことをおススメいたします。

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