私立学校充足率V字回復5パターン❷充足率パターンE 今後は限定的パターン
★前回ご紹介した5つのパターンのうち充足率V字回復パターンEは、隔年現象を繰り返しながらも100%を持続可能にしている私立学校。しかし、偏差値が高いから充足率が100%かというと、歴史的にはそうではありません。1985年から1995年にかけて、私立中学入試の黄金期がありました。このときには偏差値が高い低いに関係なく、各学校が充足率で心配することはあまりありませんでした。校内暴力や学級崩壊という教育問題が横たわっていて、私立学校への流れが生まれていました。実は中学入試において偏差値というものが活用されるようになったのもこの時期です。
★したがって、市場も学校も新しい指標である偏差値を意識しはじめました。今も昔も教育理念や校風は大事ですが、それだけでは差別化ができません。当時、わかりやすかったのは、偏差値だったのです。
★そして、この偏差値をあげるには、今のように対話型授業など存在していなかったため、知識の効果的な記憶と活用の競い合いです。となると、当然大学入試の実績がものをいうわけです。MARCHという名称も、実はこの時代にようやく使われるようになったものです。
★1985年から2010年までは、この偏差値と大学合格実績のランキングが、学校選択の価値指標として固定化されアンコンシャスバイアスを形づくっていく時代でした。この1995年くらいから、この偏差値と大学合格実績をあげていった学校が、今では充足率V字回復のパターンEの学校です。
★たとえば、1985年には、偏差値30強だった女子校が、1995年委は50を超える近辺に来て、2010年には65を超え、今では70前後で、模試会社の偏差値表によっては、フェリス女学院よりも高いという女子校があります。
★この学校の戦略は、当時国際理解教育でぐんぐん評価をたかめてきた共学校と他の女子校を研究し、それを超える破格の国際理解教育を実施しました。国際学級も開設し、帰国生もたくせん入学してきました。
★外国人講師もそのときすでに20名くらいは雇用していたのではないでしょうか。21世紀に入るや、中学段階での短期と中期のアメリカの現地校の留学提携をしました。その体験者は、早稲田か慶應どちらかには進める学力を身につけました。
★東大はすでに激しいレッドオーシャンでしたから、まずはハーバード大学など海外大学に多数合格者を出しました。今のように受験市場は海外大学に反応しませんでしたが、確実に偏差値を超える総合的な学びの力を生徒の皆さんはつけていました。何より英語力が半端ないのですから、東大合格者が増加するのは時間の問題でした。
★2010年以降は、充足率が気になる時代に突入していました。そのときにその女子校は、それを心配する圏内はすでに超えていました。2013年からは開成なども海外大学の進学者を毎年多数出すようになる時代を迎えました。そして、海外大学は偏差値ではなく、国際理解教育やグローバル教育の教育の質で決まる時代になりました。
★その女子校は、一気に注目を浴び、偏差値の高い生徒も多数入るようになりました。今では、女子校において東大合格実績はベスト3にはいるほどになっています。
★パターンEは、1985年以降、偏差値と大学合格実績をどのように高くしていくかの戦略によって、そのポジションを創り上げました。
★したがって、2010年以降充足率が100%いっていない学校で、V字回復できた学校は、別の戦略でV字回復しています。偏差値と大学合格実績を上げる戦略では、V字回復できない時代になったからです。偏差値の高低にかかわらず、世界大学100位以内の大学に合格していく時代です。
★つまり、偏差値に変わる指標や広報戦略が有効な時代になりました。
★それはサイトを活用した広報戦略が、SEOからAEOにシフトしたことに象徴されています。つまり、広報の量のみから量×質に変わったことを示唆しています。
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