思考コード

2020年7月14日 (火)

2021年変わる中学入試(01)首都圏模試センター教務陣続々YouTuber!

★本日、首都圏模試センターの教務陣とZoom創発会議を行いました。教務陣は思考コードと思考スキルというリベラルアーツを中学入試に盛り込む画期的な発想を実現しました。

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★これらのリベラルアーツのスキルは、まだ業界に広まっていませんが、世界のエスタブリッシュスクールやCLIL、IBなどでは基礎スキルとして活用されています。これらのスキルや思考のルーブリックでもある思考コードは、首都圏模試の多様な模擬試験に取り組むことによって、自然に身について欲しという同社の願いがあります。

★もともとGAFAが席巻していて、リベラルアーツありきのイノベーションをうたっていますから、まだまだ日本では気づかれいなくても、未来への先行投資として山下一社長が企画、実行したものです。私も少し手伝いました。

★それが、今回のパンデミックで、世の中がテレワーク化し、首都圏模試もその例外ではなく、急激にリベラルアーツとテクノロジーの親和性が社内共有されてしまったのです。

★そこで、今ままでPDFで「この一問を通して偏差値アップ」という問題解説をしていものを、Youtubeでオンディマンドで解説してしまおうということになったのです。

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★同センターの取締役・教育研究所長の北一成氏が、首都圏模試のメンバーは全員YouTuberになるのですと、新しい発信力の革命が中学受験市場で起こるのだと。

★ああ、それで、「おうちdeオンライン説明会&相談会」を行い、105校もの私立学校が参加するイベントを巻き起こしているのだと合点がいきました。

★教務陣と動画編集の視点と思考スキルと思考のフローのデザインの対話を通して、これは結局システム思考を生徒は身につけ、中高に入学し、大学に進学・卒業したのちに、たいへんな思考のエネルギーを生みだす土台を創っているという実感を得ました。

★中学入試や大学入試では、ミネルバ大学のようなオンライン入試が行われていきますから、首都圏模試センターも当然準備をしているでしょう。しかし、それがメンバー全員がテクノロジーやエンジニアリングのスキルまで体得していくとは、さすが私学の先生方や受験生の保護者が頼りにする首都圏模試センターです。

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2020年3月22日 (日)

首都圏模試「思考コード」2021(14)A軸思考(知識・理解)とB軸(適用・論理)思考とC軸思考(批判・創造)の関係性を考える③常識とは何か?フェリスと桜蔭と東大と。

★C軸思考、とくにC3を象徴する問いを毎年出題するのはフェリス女学院。今年も「あなたなが変えたいと思っている現代の常識を一つ挙げ、その常識を捨てたときどのような変化が起こると思うか、あなたの考えを200字以内で書きなさい。」という問題が出題されました。もちろん、いきなりではなく、文章を読んで、常識に対する見方や考え方について理解したうえで、自分の考えを書いていく論述型ですから、A軸思考、B軸思考を重ね合わせながら考えていくC軸思考の問題です。

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★今年の桜蔭も「―線部「コペルニクス的転回」とはどういうことですか。この表現で筆者が言おうとしていることを具体的に説明しなさい。」という問題を出題しています。傍線部について筆者の考えを具体的にまとめるある意味要約問題です。B3レベルのB軸思考ですが、コペルニクス的転回は、常識を変えることですから、あなたならどんなコペルニクス的転回を考えますかとなると、フェリスと同じ問題になりますね。要するに、C軸思考は、A軸思考とB軸思考が重なり合っていることが文章×C軸問題で見える化されているわけです。

★そして、東大の問題。昨年の文Ⅲの帰国生入試で、「「常識がある」とはどういうことか。」という問題が出題されました。この問題は、文章は提示されていません。しかし、この問題を解く準備として、受験生は、様々な直接的&間接的経験をし、A軸思考として読解問題を考えB軸思考として小論文を行ってきたわけです。小論文の場合は、C軸思考のものもありますが、たいていは2つのシナリオを推理して選択していくという形のものが多いわけです。そのシナリオはたいていの場合、既存のものです。

★しかし、この常識をどうとらえるかという問題は、シナリオそのものを脱構築する問題で、本格的なC軸思考です。こうして並べてみてみると、C軸思考がA軸思考やB軸思考を重ね合わせていることが了解できるのと同時に、C3思考のC3レベルのさらに質の違いがあることがわかります。

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★「私なら」どうするのかという自分軸を問うものは、なるほどC3なのですが、そこで終わることはないのです。そう考えている自分軸は果たしてそれでよいのかと捉えるのがIBのTOK的なC3の問いになります。

★「私なら」どうするのか?→「私たち」ならどうするのか?→「世界」はそれでよいのか?→「世界」をどうとらえて、そう考えるのか?・・・・無限に問いは続きます。メタ認知そのものを脱メタ認知してしまう思考がC軸思考のC3レベルなのでしょう。もちろん、中学入試の段階では、「私なら」どうする?で十分です。あとは入学後、脱メタ認知までの探究のプログラムがその学校にあるかですね。

★つまり、共感関係の中で自己変容していく学びのプログラムの有無が大切になってきます。A軸思考が優秀でも頑な環境順応型では、社会で通用しないし、A軸×B軸思考で優秀でも共感的でなければ社会では役に立たないし、A軸思考×B軸思考×C軸思考で賢いけれど自分軸でとまっている自己主導型はもっとも厄介で、葛藤マシーンになります。自分が正義だと思っているから、どうしようもありません。

★自分軸と他者軸が共感し合う関係を創造できるかどうかがカギだし、そういう人間存在が育つ学びの環境を創りたいものです。

★別の言い方をすると、subject-being-objectの段階では、コペルニクス的転回以前の思考の枠組みです。これをベースにしているこれまでの教育を20世紀型教育と呼んできました。A軸の環境順応型、A軸×B軸の環境順応型(順応と共感は全く違います)がたくさん生まれました。しかし、新型コロナウィルスショックの現状を見ている今の私たちには、このベースでは創造的問題解決はできそうにないことは感じているはずです。intersubject-interbeing-interobjectの複雑適応系のシステム思考として、自己変容し続けるA軸思考×B軸思考×C軸思考というのがあるわけです。自分軸で止まると、その3つの軸の思考は、実はA軸思考のファイリング知識などに回収されてしまうのです。

★以上のような考え方は、なかな図にしにくいですが、イメージとしては現段階では上記のようなものになりました。

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2020年3月21日 (土)

首都圏模試「思考コード」2021(13)A軸思考(知識・理解)とB軸(適用・論理)思考とC軸思考(批判・創造)の関係性を考える②武蔵のお土産問題

★武蔵の中学入試における理科の最終問題は、いつも決まってお土産問題。今回は受験生が袋の中から取り出したものは二つの同じドーナツ型の磁石。その二つの磁石がどのようにくっつくのか、実際にやってみて、すべての組み合わせをスケッチし、どうのように組み合わさっているのか<説明>する問題でした。

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★このお土産問題として、受験業界では人口に膾炙されていて、毎年どんなお土産が提示されるのか、業界人は楽しみにしているわけですが、なぜ楽しいかと言うと、話題性という側面ももちろんありますが、単純で誰もが取り組みやすく、それでいてなかなか難しいB3思考をフル回転する問題だからです。

★問いのねらいは、おそらく、<対象=客体>を多角的に観察して、それを<絵>と<言葉>に<置換>える能力があるかどうかでしょう。「観察」する構えは、社会科学であれ自然科学であれ重要です。先入観を排除しながら、みたままをありのまま理解し再現できる能力。再現する時には論理が必要です。

★なぜこのお土産問題がB3かというと、とにかく多角的アプローチが大切なのです。毎年、手にとり、触りながらいろいろな角度から見ながら≪眩暈≫がするような第二の脳(手はそう言われています)で未知の体験をしていくのです。

★したがって、実はここはC軸領域ですね。ただ、創造的作品を創るわけではなく、分析で終わるので、最終的な採点段階では、B軸だと受験業界ではとらえられうでしょう。それで構わないわけです。受験生もそのような対策をしていきますから、創造的な思考を行っているとはもはや感じていないということもあるでしょう。

★しかし、袋を開けて未知なるものを手に取る瞬間は、C軸思考が発動するトキなのです。そこから、しかし受験モードになって、トレーニングしてきたように、お土産は、物体ですから、3Dの構成要件にしたがって、考えていくでしょう。

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★今回の二つのドーナツ型の場合、くっつくパターンは、接するところが、どのような面になっているのかそれとも点になているのか、それとN極とS極があるので、その関係を組み合わせてカテゴライズ<分割・統合>していくわけです。

★たしかに第二の脳<手>を使うだけでもできるのですが、それではもれなく観察したかどうかわからないので、思考スキルを活用して最終的には第一の脳を発動するわけです。ですから、C軸思考は背景に退き、B軸思考が前面に出てきます。

★この問題が、A軸思考ではできないのは、出題者側が、いままで経験したことのない問いを考えるからですね。ここでワクワクできるかどうかも大切です。好奇心は、科学者のもっとも大切にするモチベーションですから。

★それにしても、このシリーズでご紹介した武蔵の社会の最終問題といい、理科のお土産問題といい、ハザードマップとか二つの磁石とか、リサーや観察したことを<言語化>する<説明>とはなんでしょう。

★社会科学や人文科学では、理由<因果・相関>スキルを発動しますが、自然科学では<具体と抽象>の<置換>スキルを発動します。

★自然科学では、なぜ?ともちろん問うのですが、それは「~だから」という表現ではないのですね。具体的に「こうなっている」そしてそれはなぜ?と問うても「それはこういうシステムになっている」と置き換えていくのです。

★ですから、根拠やエビデンスといたっとき、「~だから」という構文にこだわっていると、自然科学の発想の芽が摘まれてしまう子供がでてきます。人間はなぜ存在しているのか?「人間は~だから」というのは、証明のしようがないのです。もちろん、論理的な整合性として物語としてはどれがすてきな最適な物語かで、そこに参加している共同体のメンバーが納得すればそれが根拠やエビデンスにあんりますが、違う共同体では認めれないということが多々あります。というかこの論争の連綿とした時の流れが人間の歴史あkもしれません。

★ところが、自然科学だと、「人間は~というシステムになっている」という仮説の検証過程こそが根拠やエビデンスです。

★つまり、理由とか根拠とか言ったときに、構文的理由・根拠とシステムとしての理由・根拠の2通りで私たちは対話しています。論争や感情のぶつかり合いが起こるのは、その意識をお互いにしていないからです。

★でも意識できるようになると、主体としての自分は相互主観だし、相互主観が見ている対象はいろいろな角度からみた視点の相互客体であることがわかり、その相互関係は無限に続きますから、その無限の流れに凛として立ちながら相互主観とお相互客体の統合をジェネレートする相互存在としての自分を見出すことができるでしょう。

★鏡に映してこれが自分だと思っているところに自分は実はいないわけです。鏡に映っているこれが客体だと思っている対象も相互接点の関係によって見方が変わってきます。鏡には映っていない相互客体があるわけです。

★鏡にその客体をもっていっしょに映った私も客体も、実はその背景にある相互の編集によって生成された物語の中にいるわけです。その物語を共に編集する生成するinterbeingとしての私たちは、まだ顕在化していません。世界が平和になるには、この物語の共編集、共生成が大事ですね。

★これがA軸思考から解放されなければならない本当の意味でしょう。

★二つの小さなドーナツ型の磁石を観察する生徒の構えの中に、そんな大切な真理が隠されていたわけです。武蔵が名門校といわれるゆえんは、東大の合格者の数云々ではなかったということです。

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2020年3月20日 (金)

首都圏模試「思考コード」2021(12)A軸思考(知識・理解)とB軸(適用・論理)思考とC軸思考(批判・創造)の関係性を考える①SFCの国語

★2008年から、慶応義塾湘南藤沢(SFC)中等部は、国語の入試問題でC軸思考の問題を出題しています。最初の頃は100字記述だったのですが、ここ数年は160字から180字の記述が多いですね。2020年の入試問題はまだ手に入れていないので、2019年の問題を見てみましょう。

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★上記の問題以外に長文2題の読解問題と語句問題も出るので、このC軸思考問題もちゃっちゃっとやらなくてはならないのですが、グラフの読み取り自体はA2思考とB2思考で解決できるので、それほど時間はかからないでしょう。

★ただ、この問題はこのグラフとしての<事実>の読み取りが、真実であるかどうかは、情報が少なくてわからないから、それを検証するためにはどうするのか問うています。ここが本題なわけですが、これもふだんの学校の生活体験の中で解決できる部分があるので、ちゃっちゃっと解決できてしまいます。

★身体検査とか保健体育の授業とか持ち出せばよいのでしょう。

★難しいかどうかというより、<事実>の物語編集とその物語がフィクションではなくて、ドキュメンタリーくらいの真実性があるかどうかを確かめるクリティカルシンキングがあるかどうかを問うているのでしょう。

★しかし、これが入試問題ではなく、SFCに入学してから授業で扱われたらどうなるでしょう。心理学やスポーツ科学、脳神経学、バイオテクノロジー、AI人間などの話に発展していくことでしょう。

★しかし、それには、<事実>としての物語をA軸思考とB軸思考で確かめておく必要があります。というより、C軸思考と同時に行われる話です。

★もともと経験の中から、あれっと思ったことを仮説を立て、推理し、検証し、そうそう調べることは言うまでもなく行います。とにかく、直接的経験であれ、たまたま二つのグラフが映し出す間接的経験を通してであれ、あれっ!?と思たっところから、A軸思考とB軸思考とC軸思考のループが回転し始めるでしょう。

★≪読書≫・≪自然との戯れ≫・≪社会のフィールドワーク≫・≪生活世界≫の直接的かつ間接的経験を通して生まれてくる気づきをA軸思考だけで回転させていくことは人間<存在>を無視しているというコトなのですね。私たちは、意外といつの間にかA軸思考のA1→A2→A3のループで学ぶことに慣れてきました。そこから解放されるには、SFCのような問題をプレイフルに学べるかということです。

★そうそう、この問題は、もちろん、C3思考の問題です。そして、適性検査型入試や思考力入試などの新タイプ入試は、このような華問題が満開に咲き乱れています。

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首都圏模試「思考コード」2021(11)A軸思考(知識・理解)とB軸(適用・論理)思考の関係性を考える②事実と存在 武蔵・麻布・聖学院

★今年の武蔵の社会の入試問題の最終問題は、ハザードマップの例を挙げ、その有効な使い方の<説明>を記述する問題でした。武蔵の社会科の入試問題全体は、昨年の台風や洪水の災害の経験を通して、社会、自然、科学技術、生活世界、人間の存在について総合的に思考する問題でした。自分ならどうするというC軸問題は出題されていませんでしたが、A軸思考とB軸思考を重ね合わせる思考力を発揮する問題だったわけです。

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★武蔵や麻布は、探究の入口に誘うテーマ主義的入試問題で、受験するしないにかかわらず考えてみる価値ある問題です。聖学院の思考力入試問題も同じ響きを奏でています。聖学院の場合は思考力セミナーを開催していますので、参加すると、麻布や武蔵同様の思考力を膨らませる体験ができるし、さらに、実は、C軸思考をフル回転させるところまで行き着きますからわくわくする学びになっています。

★やはり、自分ならどうするという、<事実>と向かい合う自分という<存在>に思いを巡らすところまでいかないと好奇心や開放的精神、深く鋭い問いが自分の中から生まれてきません。

★しかしながら、もちろん<事実>を理解するスキルとそれを説明する<論理的>思考力は大切です。このハザードマップの有効な使い方の<説明>も、<事実>に基づいていなければなりません。ウム?アレっ?武蔵のこの問題は、<事実>を<説明>するだけでは実はなかったのですね。

★ハザードマップの有効な使い方とは、誰にとって有効かというと、ハザードマップの便利さや有用という機能としての<事実>とそれによってリスクを回避したりサバイブできる私たち人間<存在>が重なり合っていなければ意味がありません。

★この問いは、ハザードマップの機能としての<事実>を説明するわけですが、そこには、実はその地域の地理的条件や経済的状況、生活世界の実態などが集約されているはずです。マップとしての<事実>は、その地域の地理的条件や経済状況、生活世界の実態としての<事実>が反映しているということです。

★つまり、そこには人間<存在>があるということです。しかし、それを全貌する直接的経験はできないわけです。ハザードマップという機能(ファンっクション:関数)としての<事実>は、その向こうに人間<存在>の現状がどうなっているかを感じたり考えたりする間接的経験の場だったのです。

★この間接的経験は、もちろんハザードマップによってイマジネーションを膨らませて復元するのだけれど、そのイマジネーションがフェイクでは困ります。そのアイデンティティを検証しなくてはなりません。自ずと地理的データをベースにする自然の状況や経済社会の状況を示す様々なデータを調べたり読み取るA軸思考が動員されることになります。しかし、生活世界はどうでしょう。ここはA軸思考では実はとらえられないで見落とされているところですね。

★だから、人間<存在>が幸せに生きるとはどういうことかという基準に合わせて、ハザードマップが示す<事実>では満たされない部分がでてきます。そうなってくると、その満たされないギャップの部分をどのように解決していくかという話になります。生活世界の多くの部分が見落とされていることも明らかになるでしょう。

★ですから、本当はここの部分はC軸思考が働いています。

★武蔵の問題は、A軸思考とB軸思考を重ね合わせて終わっているのではなく、その向こうにC軸思考を働かせている受験生を想定しています。ただ、そこを入試問題で問うてないだけです。

★そして、<事実>というのは、結局<物語>であることもわかるでしょう。ただし、それはファンタジーではありません。しかし、真実であるかどうかというと、それも汲み尽くせていないでしょう。

★私たちは、<事実>と<存在>の両方が真実に到達していない果てしない物語を巡って生きている<存在>なのかもしれません。だとしたら、固定された<事実>や<存在>をA軸思考だけに閉じ込めて学んでいると、不正確なハザードマップに従って生きて行くことになります。

★思考をA軸思考から解放している入試問題を出題をできる学校こそが、生徒の未来という果てしない物語を生成する場なのでしょう。武蔵や麻布、聖学院のような学校は、もちろんまだまだあります。和洋九段女子やかえつ有明もそうですね。入試問題でそれを探すのが実は大事なことなのです。<事実>と<存在>のスクランブル物語。それは果てしない物語。その物語を教師と生徒が共に編集し創造していける学校を探しましょう。

★そうそう、この武蔵の問題はB3レベルです。もう説明するまでもないでしょう。思考が<事実>から<存在>領域ギリギリまでに変容しているのですから。

 

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2020年3月19日 (木)

首都圏模試「思考コード」2021(10)A軸思考(知識・理解)とB軸(適用・論理)思考の関係性を考える①見えるデータと見えない物語の重ね合わせ。

★2020年の武蔵の社会の問題で、A軸思考とB軸思考がどう関係しているか眺めてみましょう。結論を先取りすれば、知識を憶えていれば、論理的に思考することができるというのはどうやら違います。また、思考力があれば知識はあとからついてくるという考え方もどうやら違います。

★知識と思考は、知識→思考とか思考→知識とか因果関係で捉えるのではなく、知識と思考は同時に生成されてきます。因果関係で捉えるのではなく、重ね合わせや相関関係で捉える方が生徒の頭の使い方に近いと思います。ここに最近接発達領域が存在します。

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★たとえば、この第二次世界大戦以降の水害被害の状況に関連するグラフから何が読み取れるかという問いをどう考えますか?グラフから読み取るとしたら、縦軸と横軸が何を表しているか<具体的>な内容を読み取ります。これはA1思考でいけますね。

★被害総額の推移を20世紀と21世紀と<比較>します。死者数についても同様に<比較>します。これもA1思考でいけます。

★さらに、被害総額と死者数の関係を同じように<比較>します。これもA1思考で理解していけるでしょう。

★しかし、これらを箇条書きで書いていくだけでは、変化の<説明>になりません。それだけなら、グラフの上下の推移を<置換>えただけです。もちろん、きちんと<置換>えることは大事です。これができないと、間違った<物語>知識を動員していしまうからです。

★ともあれ、グラフの動きをとらえたら、どうしてそのように変化したのか根拠を<説明>する必要があります。根拠を書けと書いていないので、本当は、どこまで書く必要があるかどうかは、?なのですが、武蔵の過去問や同校が出している解答を研究したら、武蔵では<説明>せよというのは、そこまで求めるのだということがわかります。

★小学生が自分ひとりで受験勉強ができないのは、こういう暗黙の了解というものを塾が分析し尽しているからですね。だから、公立の適性検査はこのような問いの場合、どこまで書くのか条件を明示します。しかし、それがかえって、複雑で、問いを考えるのか、問いの条件を理解するのか本末転倒ということもあります。そして、塾に通えない生徒のためにと思った丁寧さが、かえって煩雑で、結局公立中高一貫校専門の塾やコースが創られてしまうというパラドクスを生みだしてしまうのです。

★もし、本気で学校がそこを考えるなら、この手の問いは口頭試問で行えばよいのです。新タイプ入試が優れているところは実はそこですね。

★それはさておき、1960年くらい前とそれ以降の日本の政治経済の状況の変化、その行政と経済の動きが日本の風土や地理的条件をどう変えていったか、これら全体が絡み合う<物語>知識を生み出す必要があるわけです。

★そんな<物語>は、そもそも受験生にとっては生まれる前の話で、直接、経験はできません。見えないわけです。見えないけれど、そこに自然と社会と人間の諸関係はたしかにあったわけです。

★それぞれ断片的な要素としての知識を、グラフの変化や差異というグラフとして見える事実に結び付けていくと、見たことはないけれど、<物語>知識に変容することが生まれます。

★グラフとしての見える事実の諸要素の背景にファイリング知識が条件反射的にぶらさげるだけでは、この問題は<説明>したことにならにでしょう。

★1960年までは、被害総額と死者の数の相関があります。そこにはどんな凄惨な物語があったのか?日本の地理的条件とそこに直接住んでいて、治水のインフラ整備ができていないとどうなるのかはイメージすれば、そこに自ずと物語は生成されます。

★そして、1960年以降の高度経済成長とは日本をどう変えたのか?それは、都市化ですね。インフラ整備が行き届いたので、死者数は少なく抑えられますが、被害の後インフラを修復工事する物語が自ずと生成されてくるでしょう。

★かくして、A1は思考が、その関連性を組み立てるB1思考に移行し、そこに物語が生成されていく。それを論理的に記述していく。物語は複雑な要素が絡み合ていますからB2思考が働きます。

★このようにA軸思考とB軸思考は、どちらが原因でどちらが結果というわけではないのです。Aから入りBに進むけれど、またAに戻りとループになっているわけです。このループを走る速度は脳神経学的には計算できるかもしれませんが、おそらく光速よりも速いでしょう。光速よりはやいということはあるのでしょうか。

★それはわかりませんが、そのぐらい速いので、因果関係を問う議論はあまり意味がないのではないでしょうか。<物語知識><物語編集><物語創造>というのが、目に見える事実と目に見えない事実を結びつけ、その事実と同時に感情や意見や思想が生成される思考の働きがあります。

★それがなぜあるのかは、なぜ人間が存在するのかという問いと同じくらい永遠の問題ですね。

★いずれにしても、この<物語>は、リベラルアーツの中で、ミメーシスとかメタファーとかレトリックとか修辞学とかいわれてきたもので、2000年以上連綿と続く思考する人間の存在を規定する基盤です。コンピューターサイエンスでリベラルアーツが希求されるのは、当然ですね。サイボーグではなく、人間であり続けるためには。。。

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首都圏模試「思考コード」2021(9)B軸(適用・論理)思考を考える②生活世界の経験も重要。

★前回ご紹介した跡見の問題のつづきを見てみましょう。

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★問4は、問3までの一本のばねの現象に対するものの見方・考え方を、二本のばねに適用するだけではなく、てこの原理を加えて考えていく問い。

★受験生は、すでにパターンとして知識にしているから、そのパターン知識(順序づけ知識)を想起して、計算していくだけだから、(1)はA1思考でいけるし、(2)もそうでしょう。

★(3)(4)は、ばねの原理とてこの原理を合わせる複雑な問いになるので、そこは論理的に考えるレベルはB2になるでしょう。

★ここで重要なことは、直接的経験からパターン化された知識を間接的経験に適用していく過程だということですが、理科の場合、直接的経験が身近な<生活世界>のケースが多いということです。

★ばねは、最近日常生活で目に見えるところにはないかもしれません。しかし、ゴムはまだあるでしょう。また、二つのばねの感覚は、2つの荷物を右手と左手の両手でもってみると体感できるかもしれません。

★その<生活世界>の直接的経験を力学という目に見えない間接的経験に転換するわけですね。

★これまで、経験というのは大切だと述べてきました。≪読書≫・≪自然との戯れ≫・≪社会のフィールドワーク≫。これに≪生活世界≫が加わりますね。そして、うすうす感じていると思いますが、目には見えない間接的経験を可視化するには、<格納・想起>思考、<思考コード>、<思考スキル>が必要だったということです。

★そして、今は<格納・想起>思考と呼んでいますが、これは<思考スキル>のうちの<置換・変換>スキルを分類したものです。

★それから、これまで<言語>と<グラフ>が問いの素材になっていたところからおわかりのように、≪読書≫体験は、<言語>と<記号>の両方があります。A軸思考では、<言語>ベースの読書に偏りがちですが、B軸思考に飛ぶには、<記号>ベースの読書も必要になります。

★そして、いうまでもなく、≪読書≫体験は、行為そのものは直接的経験ですが、イメージする世界は間接的経験です。エッ!それは、≪自然との戯れ≫も≪社会のフィールドワーク≫も、行為としてとらえれば、同じことがいえるのでは?その通りです。

★実は<直接的経験>は、その背景に<間接的経験>がカップリングされているのです。ですから、経験は<直接的経験/間接的経験>と<間接的経験/間接的経験>の2種類があり、結局は<間接的経験>に私たちはどっぷり浸かっているわけです。

★そして、だからこそ、<越境>できるわけです。ということは、たとえば、<生活世界>という<直接的経験/間接的経験>をしながら、背景の間接的経験に気づいていくことが学びであるということであり、そこに気づけば、具体的な感覚的な対象や教科という具体的な領域を<越境>できるということになるはずです。

★ゴムやばねという<生活世界>の経験が、マシーンの領域で生かされたり、組織マネジメントの発想に活かされたりするのはそういうわけです。マシーンの場合は要素分解主義的に精緻化された使われ方をし、組織マネジメントなど社会制度に対しては構成主義的なメタファーとして活用されるわけです。

★しかしいずれにしても、あるモノを外から内側に組み立てていくわけですから、その効果の出方が違うだけです。A軸思考とB軸思考は結局は組み立て主義なのです。

★ところが、C軸思考は、生成主義です。細胞学的あるいは免疫学的なアプローチですね。細胞はあらゆる可能性をもっています。それがなぜかはまだ解明されていないでしょう。人間をはじめ生物は、物質でできているのに、物質以上です。それなのに、要素還元主義も構成主義も物質の組み立てによるメタファーで語られています。

★私たちは、物質以上のものは見えないからです。ところが、見えなくても明らかに物質以上であることはわかる。この存在を<ガイスト:Geist>とドイツ語では呼ぶわけです。物質と精神という分けて、人間は精神的存在という固定観念を創造的に破壊して、人間は物質であり同時に物質以上という両方を含む<ガイスト>という存在なのだと発想しているのが、マルクス・ガブリエルの<新実存主義>ですね。

★C軸思考というのは、そういう現代の文化人類学的哲学に及ぶ領域です。したがって、今までC軸思考は言葉では言われてきましたが、なかなか現場の授業で展開されなかったのは仕方がない面もあります。現場は要素還元主義か構成主義化どちらかで動いていますから。つまり組み立て主義で動いていますから、C軸思考も組み換えレベルまでいけばいいところでしょう。

★しかし、たとえば、IBのTOKが果敢に挑戦しているように、この領域は人間存在そのもにかかわる大事な学びのプラットフォームです。<探究・研究・芸術>の領域なわけです。要素還元主義や構成主義では満足できないのです。組み立て主義から生成主義へ。文化人類学的免疫学的哲学が新時代を拓こうとしています。

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2020年3月18日 (水)

首都圏模試「思考コード」2021(8)B軸(適用・論理)思考を考える①結局レベルA3とB1が重要?

★経験から気づいたことが検証されて知識となっていく。このプロセスはA軸思考のレベルA3で入門的にできるし、この入門編の学びが実はあとから重要なのですが、なかなかそうはいかないですね。検証と言っても、言語的な整合性は入門編でできるのですが、自然科学的な検証となると、数式というか関数への変換が必要になるので、やはりB軸思考にシフトせざるを得ない。おそらくこの違いが博学知と科学知の違いになると思います。

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★2019年の跡見の理科の入試問題で考えてみましょう。問1は、Aのばねが、おもりをぶらさげていないとき何センチになっていますか?という問いです。レベルA1で、グラフを見ればわかります。

★しかしながら、条件反射的にファイリング知識としてグラフの読み方が発動するまでには、なかなか複雑なプロセスを、私たちはたどります。しかもこれは、経験→言語化→グラフ化という変容過程をショートカットしています。つまりここのプロセスでの思考作用は、暗黙知化しているので、A1レベルで解答できるのです。

★かくして、ファイリング知識にコンパクト化される時に、多様な格納・想起チャンネルを含んで暗黙知化されていると、条件反射速度が速いわけです。これがなぜ起こるのか?おそらく脳神経学で解明するしかないでしょうから、ここはあくまで仮説にすぎません。しかし、教育や学びは、脳神経学で解明されていることはわずかですから、経験値による検証の連続によって話していくしかありません。

★さて、この多様な格納・想起チャンネルの暗黙知化には、A3レベルの学びが必要です。≪読書≫・≪自然との戯れ≫・≪社会のフィールドワーク≫ということです。

★そして、問2ですが、グラフにない100ℊのおもりをぶらさげたとき、ばねの長さがどうなるかという問いです。目の前にない現象はどうなっているのかということですね。

★グラフの表を拡大して、実際にグラフの線を引っ張ることによってできます。これは、目の前の現象が見えている枠内で考えるA軸思考の適用(応用)です。しかし、これはズレがあったりして、精緻化に欠くので、グラフの性質を式化して論理的に考えていくということになります。

★B1レベルのB軸思考が稼働するわけです。問3も同様です。

★しかしながら、これは日常生活で、ゴムなどで体験していることや、正比例のファイリング知識などを転用して理解していくわけです。受験勉強を通して、跡見の入試を受ける瞬間は、パターンという順序づけ知識がファイリング知識にショートカットしているので、なんなくB1レベルのB軸思考を発動できますが、首都圏受験生の正答率は80%くらいでしょう。20%は間違えるかわからないかどちらかです。

★なぜそなことが起こるのか?それはA3レベルの学びを丁寧に通過する環境がなかったからでしょう。

★しかも、A3からB1に飛ぶには、直接的経験から間接的経験に飛ばなくてはならないのです。私たちは目に見えない諸現象に包まれて生きています。水の分子記号はわかっても、水が分子結合している様子を見ることはできません。しかし、体験はしています。水をの飲むという直接的経験はしますが、水の分子結合を飲んでいるというのは<化学記号>を介在しながら間接的に経験することです。

★A軸思考とB軸思考の大きな違いは、直接的経験で情報を処理できる量が多いのか、間接的経験で情報が処理できる量が多いのかです。もちろん、きちんと分けるのは難しく複合的でしょうが、力点がとっちかということですね。

★前回までは<言語>を持ち出しました。今回は<グラフ>や<式>を持ち出しました。この<言語><グラフ><式>こそ、直接的経験と間接的経験をつなぐ優れた<媒介項>なのです。

★ということで、A3は<言語>、B1は<グラフ><式>を学ぶ領域ということになります。そして、この<グラフ><式>を学ぶマテリアルの優れものが<幾何>だったというわけです。

★この<幾何>をつかって、微積分を説明したのがニュートンです。そしてニュートンはまだユークリッド幾何学だったので、ポアンカレが非ユークリッド幾何学の応用編としてトポロジーを編み出したわけです。

★この微積とトポロジーが、近代経済学や新物質開発に大きなインパクトを与えていることはノーベル賞受賞の功績を見れば明らかでしょう。しかし、微積とトポロジーを学べばみな創造的にあんるかというとそうではありません。

★微積とトポロジーをアートと哲学で置換→変容→転換という複雑系コペルニクス的転回=ブレイクスルーを生み出すには、何が必要か?それが対話的存在者というわけですが、ここにいくまでにもっと思考コードの話を続けていかねばならないでしょう。

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首都圏模試「思考コード」2021(7)A軸(知識・理解)思考を考える②レベルA3が実は重要だった。

★今年の慶応中等部の国語の入試問題で、次にのような語句に関する問題が出題されています。単純な漢字の読み書きに比べ、複雑です。レベル的にはA2ということになりますが、それは<想起>するときに、同音異義語どうしの「意味」「文字」「文脈」の情報が増えるからですね。

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★そして、一般には、<格納>するときには、同音異義どうしで格納していませんから、受験勉強をしていない人にとっては、このような問題は難しいし、ゲーム感覚であれば楽しいかもしれません。知識の問題ですが<想起>するときに考えますから。

★かくして、知識の問題だからといって、条件反射的にアウトプットするわけではないということがこのような問題を通してわかるわけですが、この問題ができるかできないかで、何の差が付くのかは、本当はよくわかりません。

★たぶん、慶応中等部を受験する生徒は、前回のような漢字の書き取り問題では差がつかないので、このような複雑な形式で出題するのでしょう。

★塾の方は塾の方で、同校を受験する生徒には、このような複雑な語句問題を予想して作成してトレーニングすることでしょう。この手の問題を出題するところは、難度の差はありますが、灘や聖光学院、雙葉など結構あるので、それらの対策問題はつくっておくことは無駄ではないはずです。

★しかし、ここで重要なのは、このような問題の解答を<想起>するときにどのような思考が起こるかということです。この思考作用は、試験問題であるなしにかかわらず重要です。試験問題の世界だけに通用するということはないからです。

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★みなさんは、この問題をどのように考えましたか、「意味」「文字」だけで解答できる漢字の書き取りとは違い、同音異義語どうしの「文脈」を比較することによって「意味」が<理解>できます。「文字」については、この問題に関しては曖昧のままでよいですね。たとえば、(1)のカイシンが、文脈の比較ででてくれば、「会心」なのか「快心」なのか「改心」なのか「回心」なのかは詰めなくてもよいわけです。選択肢から「心」を選べばよいわけです。ただ、「回診」や「改新」とは違うということは<理解>できていればよいのです。

★しかしながら、大人はこの問題は、「意味」「文字」「文脈」で考えていくでしょうか。実は、「会心の出来」「怠惰→改心」という言葉の文脈はだいたい習慣上決まっています。つまり、「語用」「語法」というチャンネルを活用しながら、「意味」や「文脈」のズレを比較しながら確認していきます。

★「語用」は、こうした状況文脈と語の使い方がカップリングされ習慣になっていることを示しているわけです。たとえば、「全く~ない」というのは、論理的には「全く~ある」といったって問題ないわけですが、「語用」上、つまり「習慣」上使ってこなかったわけです。

★したがって、現在は、その習慣が崩れて、「全く~ある」という使い方は広まっています。「腑に落ちる」という表現もそうでしょう。もともとは「腑に落ちない」という語用の習慣があったと思います。しかし、これは「腑に落ちる」というパロディー的な表現がおもしろいので、使われるようになってきたということでしょう。果たして、本当にそうなのかどうかは、語源については学者に任せますが、言語の語用の<恣意性>がここにはあります。<自由>が生まれれる源泉は、この語用が生まれる時の<恣意性>にあるのかもしれないいとはソシュールやJ.J.ルソーの考え方につながるでしょう。

★言葉の「知識・理解」は、かくして<転用><語用>というチャンネルを活用すれば、<論理的思考>や<創造的思考>を楽しめるわけです。

★たとえば、さきほどの「会心」「快心」「改心」「回心」「回診」「改新」の違いやどんな時に使うのか説明してみてと問いかけてみてもおもしろいわけです。この6つの言葉が言い当てている世界を理解するには、「意味」「文脈」「語用」「転用」「文字」を<想起>するだけではなく、関連する状況情報を大量に動員・結合しなくてはなりません。<抽象と具体>という思考スキル、<比較・対照>スキル、<因果」相関>スキル、なんといっても<置換・変換>スキルは大活躍です。

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★もっとも、これだけでは、説明的でまだまだ盛り上がらないというか、面倒だと思う生徒もいるので、これら6つの言葉を全部使って、物語を創ってみようとなると、目を輝かせる生徒もでてきます。

★というわけで、この慶応中等部の語句問題を解けるようになることももちろん大切ですが、ルビンの壺よろしく、図と地をひっくり返すと、その背景にある<思考作用>が見えてくるわけです。A軸思考には、ファイリング知識という条件反射的な暗記行為だけ活用するのではなく、多様な記憶のチャンネルを活用することで、多様な<思考スキル>を発動し、<論理的思考>や<創造的思考>の土台を形成するのに役立ちます。

★A軸思考のレベルA3とは、このようにA軸思考がB軸思考やC軸思考に変容していく入口だと捉えられます。

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★ちなみに、今回の慶応中等部の語句問題を学ぶときに、A3レベルまで拡張すると、実は今年の東大の上記の地理のような問題を考える時の<思考作用>と同じだということに気づくでしょう。国語がどの教科においても重要だとよく言われますが、その言説(言い方)は、A軸思考のレベルA3まで射程に入れた学びを行っておかないと絵に描いた餅になります。

★意外と、A軸思考の学びはレベルA1で終わっています。知識と思考の分断が俗説になっているのはそういうわけです。国立大学に合格していく生徒は、実はA軸思考のA3レベルまで丁寧に行っている生徒が多いのです。上記の東大の問題形式は、世界史や日本史でも出題されるし、東大に限らず、一橋や名古屋大など多くの国立大学でも踏襲されています。

★ところが、そうでない大学も、特に私立大学ではたくさんあります。大学入試改革をしなくても、A軸思考をA3レベルまで拡張してくれるだけで、日本の教育はかなり変わっていきます。

★もっとも、A軸思考だけでは、論理的思考や創造的思考の入口に立つだけですから、これだけでは世界には通用しないでしょう。ただ、A軸思考でA3まで丁寧に学んでいないために、論理的思考や創造的思考になかなか飛べない生徒もいます。

★あっ、それから、このA3レベルの学びは、実は教室から外に出て、読書をしたり、自然と戯れたり、都市と農村の両方をフィールドワークしたりしていると、自然に備わるケースもあります。

★低学年までに、それができている生徒の中には、天才的な言動をする生徒もいますが、その生徒は、≪読書≫と≪自然との戯れ≫と≪社会のフィールドワーク≫によってすでにA軸思考のA3レベルまで経験の中で学んでいるわけです。

★しかしながら、同じ経験をしてもそうでない生徒もいます。それはなぜでしょう。それは、経験の中から得た気づきや知識を<格納><想起>思考の段階で、A軸思考作用のチャンネルの多様性が開発されなかったからです。

★なぜそれが起こるかと言うと、大人が介在する時に、その大人が知識と思考は違っていて、憶えることは暗記だというファイリング知識のチャンネルしか持っていない場合、それを子供に植え付け、他のチャンネルが作動しなくなるからです。

★大人があまり介在しないほうがよい。環境を設定するだけがよい。認知スキルだけではなく非認知スキルが大事なんだということは、この多様なチャンネルの芽を摘まないようにということと同義なのかもしれません。

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2020年3月17日 (火)

首都圏模試「思考コード」2021(6)A軸(知識・理解)思考を考える①

★一般に、受験勉強をしていると、「知識・理解」というA軸の領域における生徒の学びは、あまり思考活動とはみなされません。特に、漢字の読み書きや語句問題に関しては、暗記作業だと思われがちです。しかしながら、ここにこそ論理的思考や創造的思考が働いています。

【2020年慶応中等部国語】

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★たとえば、今年の慶応中等部の漢字の書き取り問題を見てみましょう。「垂らす」「他愛」「白磁」「深刻」「裁く」以外は、入試によく出る漢字として自動的に<想起>するようにトレーニングされていると思います。

★「垂らす」「裁く」なども練習はしていますが、小学生は、ふだん生活のなかで訓読みとして活用する場面は多くないでしょうから、自動的に<想起>はしません。普段使わないものは、丸暗記をしても忘却しやすいですね。

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★だから、憶える時に、つまり<格納>する時に、文字をアーカイブとして丸暗記するだけではなく、「意味」を調べたりする必要があります。

★「他愛」「白磁」などは、小学生はふだん活用しないでしょう。「読書」が大事というのは、「物語」や「体験」という文脈を加えて<格納>すれば、<想起>しやすいということはあるでしょう。

★「深刻」も「物語」の文脈で補うことはできるでしょうが、これは、「表情」と「深刻」の関係に「彫刻」の「表情」を重ね合わせると、「比喩」的な関係を理解することができます。物語や文脈の中でも「転用」という修辞学(レトリック)的視点で<格納>しておくということです。転用とか修辞学というのは難しそうですが、要するに比喩ですね。

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★ただし、比喩も「直喩」「隠喩」「換喩」「提喩」の違いがあることくらいは思考しておく必要はあります。もちろん、「換喩」とか「提喩」などというコt場を憶える必要はありません。ベン図を使って思考する作業をしておくといよいでしょう。

★かくして、漢字の読み書きという、最も暗記作業だと思われている作業も、「文字」「意味」「文脈」「転用」というチャンネルで<格納>しておくと、暗記知識(ファイリング知識)として<想起>しにくくても、他のチャンネルで<想起>しやすくなるということはあります。

★「知識・理解」というA軸思考の領域も、<格納>したり<想起>したりするときは、思考作用が稼働しているのです。この多様なチャンネルを思考する作業の内、「ファイリング知識」として条件反射的に知識を活用する部分だけデフォルメされて説明されているため、まずは知識を暗記することが必要だという俗説が固定化されてしまっているのですね。

★知識を<格納><想起>するときに、<順序づけ>というチャンネルもあります。言語活動では、「語用」と言われる<習慣的>な表現になっているチャンネルがあります。これについても、今年の慶応中等部の語句問題で考えてみましょう。

★そうそう、どこがA軸思考で、論理的思考や創造的思考が稼働しているのかというと、たとえば、格納したり想起したりしたりするときに、文脈を考えたりする局面などで論理的思考は必要です。また転用や文字は、意味だけではなく形や音などのイマジネーションを活用します。創造的思考が使われていることは説明するまでもないと思います。(つづく)

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