思考コード

2023年1月30日 (月)

2023年首都圏中学入試動向(12)首都圏模試センター はやくも渋谷教育学園幕張と東邦大東邦の算数を思考コード分析

首都圏模試センターは、2023年度の渋谷教育学園幕張1回目と東邦大東邦前期の算数の中学入試問題を、思考コードによって分析。学校の教育の特徴はやはり入試問題でくっきりその輪郭を隈どることができそうです。

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★上記の分析グラフをみると、はっきりと違いがでています。渋谷教育学園幕張は、B3問題を3割5分も出題しています。しかも年々B3の出題率が多くなっています。

★これはB3問題を重視している表れです。もしB3問題を多めに出さないと、同校が重視している複雑な論理を思考する問題を捨てても、他の問題をとれば、合格点はとれるということを意味してしまいます。

★3割5分出すということは、B3の問題をはじめから捨てる合格戦略は成り立たなくなります。とはいえ、同センターが「息つく間もない問題が並びますが、各大問の⑴は、ルールの理解に関する問題となるため、確実に得点しておきたいです。各大問の⑵以降、どこまでできたかがカギとなります。あくまでも予想ですが、大問1⑵、大問 2⑵、大問 4⑵、大問 5⑶を落としたとしても、およそ 6 割 5 分程度には達することができると考えられます」と書いているように、B3の問題を完璧に解けなくても合格可能というエッジを利かせた作問づくりになっています。今年の結果を見て、来年40%出題することになるかもしれません。

★そうすると、B3の問題を入試準備の段階で、丁寧に学ぶ必要があります。

★一方東邦大東邦では、B3の問題が出題されなくなりました。中途半端に出しても、受験戦略上、捨ててかかる可能性が大です。それであれば、B2までにとどめておいて、基本的な論理的思考がきっちりできる受験生に入って欲しいというメッセージでしょう。

★実は、大学入試のみならず、社会に出てからも、B3のようなハードな論理的な問題を解くシーンというのは実はあまりないのです。

★ただし、B3の問題に挑戦していなければ、B2までの問題を十分に解くことはできません。

★渋幕は、入試問題の準備とB3の学びを一致させたわけですが、東邦大東邦は、入試問題の準備と学びは違いがあるという設定でよいということでしょう。中高に入ってから学ぶということです。これに対して渋幕は、海外大学や東大を人生のステップとしてとらえていますから、ハイスペックな思考力をもった生徒が欲しいのでしょう。

★というのも、入試問題の解法としてB3の問題だったとしても、そのB3の問題を考える際に、実はC軸が必要になるのです。受験テクニック的な解法では、そのC軸である数学的発想法は前提で、解答集には書かれていないのです。

★しかし、東大の数学にあるように、ある解き方の見通しをたてるときに、今ままでの経験値を新しい問題に適用させる置換や変形の発想が必要になります。

★算数におけるB3問題とは実はC3思考が隠れているのです。一般的な受験勉強では目に見えない学びの領域を渋幕の先生は大事にしているのでしょう。

★その学びを先取りしているのが渋幕で、東邦大東邦は中学に入ってからそれはやろうということを暗に示していると言えます。ここらへんの違いは、どちらの学びがいいか悪いかではなく、生徒が進む進路に影響を受けると考えた方がよいかもしれません。

★演繹(デダクション)と帰納(インダクション)のロジックをベースにするのか、アブダクションまで要求するのか。それによって、生徒の進路の選び方は大きく違ってきます。その進路を支える学びを各学校はデザインするわけですから、学びの戦略がその影響を受けるのは自然でしょう。

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2022年12月 8日 (木)

ドネラ・プロジェクト(19)「主体的・対話的で深い学び」のイメージ

★PBLとかアクティブラーニングとかEBLとかいろいろな表現がありますが、学習指導要領では「主体的・対話的で深い学び」と表現されています。限定的過ぎて、学びとしてイメージを飛ばすのには、なかなか難しいかなと思っていました。しかし、現場では、PBLというより具体的限定性があったほうが、動きがでるということもわかってきました。

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★部活や行事、学校説明会、プロジェクトプログラムなど、いずれも主体的に生徒が活動している様子をみていると、この主体性は、自律しながら、いやしているから、先入見や権威などに「こだわらずに、脱中心という分散化ができるようになっていきます。それでいて、個人主義的に行動するのではなく、仲間を互いに巻き込む動きをしていきます。同調性ではなく、協働性です。

★このような自律分散協働系型の主体性ができあがるには、体験の中で多次元の葛藤を処理していく学びを通過します。この過程を通して葛藤を乗り越えるという知恵という技術ができあがっていきます。知恵は、マインドだけではなくスキルも両立していなくてはなりません。

★その過程で身に付ける知恵は、生徒自身は気づかなくても、心理学的技術や社会学的技術、法学的知識、経済的センス、健康に関する関心など多様です。

★葛藤を解決するエピソードや方法をプレゼンすることにより、それは同時にモニタリングになりますから、自分を圧迫していた壁が見えるようになります。だからこそ、この壁を取り除く解決策を考えようとします。それには、対話をする必要もあるでしょう。無意識かもしれませんが、心理学や社会学の手法は有効です。

★そして、協力する必要もあるでしょう。なんといっても、脱中心化した視点が必要です。

★知識については、データでモニタリングができますが、知恵については、自己表現というかパフォーマンスによってモニタリングすることができます。知識のモニタリングで大事なことは、知恵に基づいているかですが、そこはデータではなかなか分析できません。知識をどのように活用しているかパフォーマンスを見るしかないでしょう。ルーブリックや思考コードが必要となるわけです。

★このようなモニタリングを自分でも行い、他者からも行ってもらうことによって、目に見えない3つの境界線が見えてきます。あるいは気づくことになります。

★この境界線を越境することができるかどうか?深い学びへの挑戦です。かなり学際的なコンセプトレンズを結晶させないと、越境できません。チャレンジングな学びになるのです。

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2022年9月30日 (金)

教育の質の高い中身を選択する時代(05)高校受験情報誌「my SPECIAL ONE」の巻頭座談会の意味④

★今回の巻頭座談会で、北一成さん(首都圏模試センター取締役・教育研究所長)が3番目に振ったのは、青木顕太さん(個太郎塾川口教室・戸田公園教室室長)。青木さんは、公立中学校の教員経験もあるため、リアルな学校の状況や高校入試の閉塞状況を理解しています。だからこそ、高校入試や学校の教育を変えたいというモチベーションがずば抜けて高い人物です。

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★なんといっても、グローバルな視野かつ留学の意義など具体的な情報を豊富に持っています。1つの地球という立ち位置から教育を観ながら、同時に極めて現場で子どもたちが悩んでいるリアリティのある問題に真剣に向かい合う教育実践家でもあります。

★たとえば、自分の偏差値に合わせて同偏差値の学校を選択して入学したとします。すると、自分のペースと合わないため、退学・転学するという生徒もいます。高校進学率が97%以上になっているということばかりが注目されていますが、退学・転学率というのがいかに多いかは、統計がないですね。ただ、通信制高校の在学生が年々増えるというのは、退学・転学率も増えているということでしょう。

★通信制高校は、入学の時の生徒数より卒業生の生徒が増えているケースが多いのですが、それは退学・転学率がある程度高いということを示唆しています。

★ですから、青木先生は、生徒と学校情報の非対称性を無くそうと提案します。生徒目線で、学校情報を伝えられたらということと、学校情報を伝える場合、同じ目線で発信しようということですね。

★同じ目線でとはどういくことか?一人のジャーナリストやライターがすべての高校情報を書けば、一定の基準で学校を比べられるわけです。そういうジャーナリストが5人くらいいて、5冊分厚い情報誌を出せば、それぞれのライターの文章の中で比較し、かつそれぞれの情報誌を比較すれば、かなり生徒にとってはマッチング学校が見えてくるというわけですね。

★ところが、そんなことは不可能です。それで、情報誌を編集するメンバーがミーティングを重ね、コンセプトや価値観のすり合わせをして、一定水準の基準を共有=同じ目線で編集していくことが大事なのだと。

★それゆえ、今回8人の高校情報誌創刊プロジェクトメンバーが毎週のように制作会議を重ねてきたのでしょう。制作会議の合間に山下さんが「思考コード」の勉強会を開いていたのは、思考コードについて共有するという目的もあったでしょうが、実はコンセプトや価値観を共有する時に思考コードの理解は有効だからです。

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教育の質の高い中身を選択する時代(04)高校受験情報誌「my SPECIAL ONE」の巻頭座談会の意味③

★今回の巻頭座談会で、北一成さん(首都圏模試センター取締役・教育研究所長)が2番目に振ったのは、山下一さん(首都圏模試センター代表取締役社長)でした。北さんと山下さんは、日本の教育改革推進の盟友です。大学入試改革前に生まれた中学入試市場における英語入試や適性検査型入試、プレゼン入試、プログラミング入試、思考力入試、得意科目入試など新タイプ入試を開発する私立中高一貫校を応援し、新タイプ入試ー総合型選抜という中学入試ー大学入試カップリングのトルネードを生み出すのに一役買ったのです。そして、このような体験型入試は、多角的な評価基準が必要です。だったらと、思考コードというメタルーブリックを創り、中学入試の世界で実現してしまったのです。

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★ですから、山下さんは、その気概を高校入試にも適用したいと思っているのです。言うまでもなく、お二人は、今回のシン・高校受験情報誌創刊の仕掛け人です。そして二人の人柄が、多くの仲間を新しい世界に導くことになったのです。

★山下さんは、高校受験の学びは、自分の未来への選択の始まりだと語ります。受験科目の勉強だけではなく、自分の未来を開く魅力的な教育の中身をしっかりリサーチしようと。

★とはいえ、そのような「教育の魅力情報」は、限られた高偏差値の高校に限られ、他の私学の「魅力情報」を自分で収集するのは難しい。それに大学入試と直結する高校教育は、総合型選抜のような新しいタイプの大学入試においては、高校時代にどのような体験を積み上げてきたかが問われるので、それは体験してみなくてはわからないというものが多くなってきています。

★だったら、私立高校進学フェアを企画し、各私学の「教育の魅力情報」を講演スタイルで発信し、同時に各私学の体験型授業を行ってしまえと7月に行ったのでした。この行動力!凄まじいですね。

★そして、高校時代には、大学に合格して終わりではなく、大学でも活躍できる資質・能力を身に付けよう。そのためには、骨太で本物の教育の魅力のある学校を選択しようと語るのです。

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2022年9月25日 (日)

myTYPE特集「大切なことは全て、ゲームから学んだ」北岡優希著 現代のロジェ・カイヨワ

★「myTYPE2022.9(shuTOMO別冊)」を頂きました。特集は「大切なことは全て、ゲームから学んだ」。執筆者はあのノイタキュード代表北岡優希さん。北岡さんは、映像を駆使したインタビュー記事を多数発信している新しいタイプの教育ジャーナリストです。今回の記事は、ゲームを思考コードのA軸タイプ、B軸タイプ、C軸タイプの3つに分けて論考しています。思考コードを使っているわけですから、切り口が今までにない論考になっています。

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★自分の人生を決定づける感情、思考、行動を生み出す大きなきっかけは、人様々。ローバート・フルカムは、人生の大切なことは幼稚園の砂場で学んだと言ったし、建築家フランク・ロイド・ライトは、積み木から学んだと言いました。最近のZ世代なら、レゴから学んだと言うかもしれません。

★北岡さんの場合は、ゲームだというわけですから、時代精神とシンクロしていますね。ジャーナリストは何かしら時代精神を汲み取る独特のツールを媒介にするわけですが、北岡さんもそうだということですね。

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(教育キーワードVol.14 「自己変容」 聖パウロ学園高等学校 本間勇人先生) 

★北岡さんは、時代の精神を象徴するような教育キーワードについてインタビューして動画と原稿の両方で発信しています。私もインタビューをしてもらいましたが、北岡さんの教育ジャーナリストとしての経験値の進化は、なるほどRPGのような自己成長物語を地でいっているなあと感じていたところです。

★ゲームはとかくゲーム中毒だとかゲーム脳だとか警鐘が鳴らされるツールです。実際、社会問題になっている部分もあります。しかし、ウルトラQやウルトラマンが始まったころに出版された少年漫画は、当時今のゲームのようにやり玉にあげる教育評論家はたくさんいました。今では、日本の芸術文化を代表する漫画やアニメですが。

★また、現在は当たり前の英語ですら、20世紀末には、日本語が大事だと英語表層論みたいな議論を大学の識者たちが大真面目に論じていました。今では、国内大学の進学準備キャリアデザインは人気ですね。

★とはいえ、それらのマイナス面が今でも完全になくなったわけではありませんが、今のゲーム警鐘論ほどではありません。しかし、こうして過去を振り返ると、あらゆるものは、メリット・デメリット、アンビバレンツ、トレードオフなどの両義性を持っているのが健全で、だからクリティカルシンキング、北岡さんの言葉ではメタ認知能力が必要だという話なのでしょう。

★今でもそうかもしれませんが、麻布に進む小学生の中には、星新一の作品が好きだし、ドラえもんが好きだし、マイクラも自在だという生徒もたくさんいます。スクラッチコーディングのプログラミングも自在の生徒がたくさんいます。

★麻布の国語は、物語の構造論を活用して読みますが、この物語構造論を活用しているのは、RPGです。特に神話構造はベースになっています。もちろん、映画、たとえばスターウォーズやロードオブザリングもそうですね。視聴率の高いドラマも、ここはよく計算されています。

★ゲームは、かくして、ただ与えられたルールにのっとって時間浪費をしていくだけだとちょっと怖いことになるのですが、C軸発想で、プログラミングの仕掛けとかストーリー構造をプロデュースする側の視点、つまりメタ認知的スタンスでアプローチすると、北岡さんのように豊饒な学びがあふれます。

★実際に、ゲーミフィケーションのアプリを導入しながら授業を展開している教師もたくさんいるし、カウンセリングにゲーミフィケーションを活用する研究もされています。

★ゲームは、コンピュータゲームだけではなく、あらゆる遊びの基礎です。遊びとは交流です。コミュニケーションです。対話です。政治学における権力の優勝劣敗ゲームという危険なゲームもあります。そのゲームの構造を見破り、well-beingにするクリティカルシンキングゲームも政治学や文化人類学や社会学、哲学などで行われているのが昨今です。もちろん、経済学以外では、ゲームの理論という言い方はしないかもしれませんが。

★交流やコミュニケーションは、常にアンビバレンツ、パラドクス、ジレンマ、トレードオフなどと呼ばれる状況に直面します。それをワクワクC軸タイプゲームで乗り越えるか、B軸タイプで、ジレンマに陥りダブルバインド状態から抜け出るにはどうするか問題を発見し、悩みぬくこともよいでしょう。A軸タイプだとやりすぎると、無意識のうちに経済社会の負のループに巻き込まれるので、そうならないように生活規則を守るようにするわけです。

★つまり、ゲームの3パターンは、キーガン博士の3つのマインドー環境順応型マインド、自己主導型マインド、自己変容型マインドーに相当するのかもしれません。ダブルバインド状態に取り込まれているのに気づかないか、ダブルバインド状態の仕掛けを見破り回避するか悩むか、ダブルバインド状態を解除し解放するクリエイティビティを発揮するか。

★もしこのダブルバインド状態をC軸視点でグローバル市民が議論できるようになると、パンデミック、戦争、気候変動の現代の3大社会課題を解決する域に達するでしょう。

★北岡さんとともに、多くの人が対話をして、C軸タイプ対話を楽しんでください。気づいたときには、ホインジーガーやロジェ・カイヨワの次元に高まっていることでしょう。

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2022年9月23日 (金)

トランジション教育型学校(7)コア教育機能のクオリティC軸 と 3タイプの割合

★TQschoolの教育機能のうち、コア教育機能のクオリティを思考コードを参照基準としてみているわけであるが、東京の私立中高一貫校179校のA軸タイプ、B軸タイプ、C軸タイプの分布を調べてみた。独断と偏見の振り分けであるが、傾向は見えると思う。

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(A軸タイプは、学びの広さ深さがA1~A3の範囲で濃淡がある。B軸タイプは、A1~A3、B1~B3の範囲の濃淡がある。C軸タイプは、A1~A3,B1~B3、C1~C3の範囲で濃淡がある。たとえば、C軸タイプで、A1~C3まですべてカバーしているところもあれば、B1・B2・C1・C2の範囲に限定されてるところもある。)

★東京私立中高一貫校の中に、「受験指導型学校」は当然ながらない。なぜなら、バッファー教育機能である体験プログラムは程度の差こそあれどこも充実しているからである。また、先進的教育環境もなんらかの先進的環境をセッティングもしているからである。

★したがって、内容の違いはあるが、構造的違いはない。すると、やはり、コア教育機能の3つのタイプは学校の特徴を鮮明に表す。のはずだが、ここの分析は、受験情報シンクタンクでも教育関連シンクタンクでもまだなされていない。

★さて、C軸タイプだが、イメージ図は次のようになる。

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★コア探究型体験プロ五グラムとほぼすべての教科授業がつながっていて、知の循環が起こっている。あるいは化学反応が起きている学校である。

★このタイプは、探究か教科かという形の違いはあるが、T字型とQ字型の学びがどちらの授業でも行われているため、つながるし、それを学校が意識して、学校として取り組んでいる。

★もし教科授業までPBL型授業を貫徹させているとしたら、思考コードA1~C3までのすべての領域を教科と探究型体験プログラム循環の中で行えている。スーパーハイスペックの深い学びが行われていると言えるだろう。

★しかし、教科授業はPBLスタイルでなくても、問答型でも、C軸対応は可能である。ただし、そのときは、A1~C3まですべてをカバーしているわけではない。だから、タイプに分けたが、そこに3つのレベルでさらに分析をするとクオリティの差異がもっとはっきりする。が、そんな分析は、各学校のフィールドワークをする大規模なリサーチが必要で、現状それは不可能である。インターネットで収集できる情報では、ざっくり3タイプにわけるところまでである。

★なお、クオリティといっても、高い低いではなく、どの質感を好むかというだけであって、そこは価値自由である。本日のGWEで、C軸タイプ40校については、ご報告したい。クオリティのランキングなどはないが、C軸タイプのTQschool(トランジション教育型学校)の中に、2030年問題を乗り越える未来型学校がある確率が高いからである。

★C軸タイプの学校は、進路指導が東大ピラミッド型ではなく、国内外大学開放型であるということもいえる。

★なお、勤務校聖パウリ学園は、中学は設置していないが、C軸タイプである。ただし、現状は、A1~C3すべてをカバーはしていない。もちろん目指してはいるが。

 

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2022年9月22日 (木)

トランジション教育型学校(6)コア教育機能のクオリティ B軸

★コア教育機能のクオリティが、B軸タイプというのは、コア探究型体験と幾つかの教科授業が循環している段階に進んでいることを示す。教科授業で思考コードのB軸がレベル3まで到達すると、コア探究型体験と教科授業を結び付けようとしなくても、自ずと循環し始める。

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★もちろん、コア探究型体験プログラムも見学型体験だけではなく、自ら新しいつながりを見出す調べ学習から検証エビデンスを見出す広がりというか深さに移行する問いを自ら発見し、その新たな問いを調べるというより検証する段階がB3レベル。

★問題解決のアイデアに到る一歩手前だが、問題解決のアイデアが生まれる前の地道な探究がなされることは大学など研究機関に進むとき、あるいは経済学・経営学におけるマーケティングに進むときの基盤づくりになる。

★A軸は、いわゆる受験学力=基礎学力の基盤づくり。

★B軸は、研究に必要な意味でのリサーチや仮説検証の基盤づくり、研究の足場づくり。研究の基盤作りは、大学に行ってからでよい。というか、時間的にはそこに行き着く生徒は少なく、総合型選抜も研究の資質能力という素養があれば十分だろう。

★では、C軸は?次回考察しよう。

★なお、コア教育機能がB軸レべるになると、バッファー教育機能とのシナジー効果が生まれ始めるため、海外大学進学準備は、一部の生徒だけではなく、学内全体に国内外の進学準備の射程が共有されるようになる。

★もし先進的教育環境に、海外大学とのAP連携や海外の高校とダブルディプロマの連携が可能なものになっているとしたら、国内外両方の進学準備は、学校の取り組みとして明快に表現されたことになる。この先進的環境を導入できるのは、実はコア教育機能がB軸タイプに進化していなくてはならないのだが、最近では、このような先進的教育環境が最初にできて、A軸タイプがB軸タイプに進化するというケースもある。

★環境から整備される場合は、経営的判断が必要だが、コア教育機能のB軸進化が優先すると、現場力のパワーアップがすさまじく、実は先進的教育環境のグローバルキャリアプログラムが自前でできるコンパクトスクールになる可能である。

★この段階だと、海外大学の世界大学ランキング100位から250位だと特に外部団体や塾に頼らず、道が開ける。これでも、十分ハイスペックな学びなのだが、日本は、なぜか世界大学ランキング10位くらいにはいる学びでないとハイスペックな学びでないと幻想を抱いている自虐性があって学校当局としては困惑するだろう。

★いわゆる日本の御三家は、世界のエスタブリッシュスクールと学校全体としてコミュニケーションができない超優秀な特異点で、世界標準としてモデルにする理由はないが、なぜか国内ではまねたがる私立学校が30%はある。学歴社会製造装置として、そこらへんは社会学がすでに分析しているところである。

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2022年9月20日 (火)

トランジション教育型学校(5)コア教育機能のクオリティ A軸

★コア教育機能は、「コア探究型体験プログラム」と「教科授業」の関係によって、クオリティが決まる。コア探究型体験プログラムが見学型や調べ学習型だと、思考コードでいえば、A軸がメインになる。A3に達すると知識や情報が複雑になったり、新しい結合もあるので、それはそれで深い学びであるが、教科授業と結合しにくい。なぜなら、体験プログラムの知識は、教科知識に比べると詳細度が高くなり、教科を超え、それは個人の博学的関心として尊重されるが、大学入試には関係ないよねとなる。

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★コア教育機能A軸タイプは、バッファー教育機能がなければ、実は受験指導型学校と重なるのである。

★一般選抜と総合型選抜だと、一般選抜を選択する生徒が多くなろうだろう。

★バッファー教育機能は、有志や希望者が、A軸もB軸もC軸も思考コードの領域を広めレベルも1から3に深めていくから、そのタイプの生徒は総合型選抜を選択する。

★ただ、このA軸タイプの場合、学校全体としては一般選抜を推奨する。総合型選抜を選択する生徒の多くは、外部の団体に総合型選抜対策を依頼することになる。

★総合型選抜対策塾がたくさん誕生してくる現状は、TQschoolという意匠は出来ているが、コア教育機能がA軸タイプである学校がまだまだ多いということを反映している。

★これを過渡期とみるか、結局は、このようなA軸タイプの学校は、総合型選抜の塾と連携するほうが、はやいとみるか、それは経営判断であり、どちらが正解ということはまったくないが、きちんとそのような判断をしていることを学内で共有しないと、連携はとん挫することが多い。

★なお、バッファー教育機能があれば、学校全体で取り組まなくても、海外大学進学準備は、特定の生徒に対して学校が独自に取り組むことができる。その点は、バッファー教育機能を意識的にデザインしていない受験指導型学校とは違うところである。

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2022年7月30日 (土)

GWE 神崎史彦先生と対話 C3に飛ぶ生徒が生まれる学校や入試

★昨日、鈴木裕之さん(GLICC代表)が、主宰するGWE(GLICC Weekly EDU 第89回「 カンザキジュク代表 神崎史彦先生との対話ー探究ベースの学びと生徒の成長」)で、神崎史彦先生と対話しました。

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★神崎先生は二子玉川にカンザキジュクを展開し、鈴木さんは桜新町にGLICCを展開しています。このエリアは、田園都市線のプレミアムエリアと呼ばれ、その中でも進取の気性に富んだ市民が居住しているといわれています。

★そのような環境で新しい学びを実施しているために、お二人の運営する学びのプログラムなどは尖っています。したがって突き抜けた対話が2時間にもなりました。

★1時間以上は、C3に飛んでしまう生徒がたくさんいる学校やそのような生徒に刺激を与える入試などについて話が続きました。神崎先生は聖学院のGIC(グローバルイノベーティブクラス)でリベラルアーツの授業を実施しています。鈴木さんは、東大をはじめとする大学の帰国生入試で数々の実績をだしています。

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★両者の実践は、まさにC3に突き抜けていく生徒が生まれる授業ですから、リアリティのある対話になりました。そして、他の学校についても紹介がなされていきました。

★後半は、神崎先生の著作をトリガーとして、C3の生徒が生まれる学びのシステムについて深堀りしました。特に3つのチャートをめぐっての話は、グローバリゼーションやイノベーションの概念を拡張するところにまでいたったのです。

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対話は、あっちこっち飛びながらも、C3領域の発想に突き抜けていくものだという実感を抱けた対話になりました。神崎先生、鈴木さん、ありがとうございました。

 

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2022年7月 3日 (日)

東京私学教育研究所「所報№87別冊」 バックキャストは未来からではなく、未来を超えるところから構想するというコト

★東京私学教育研究所から、「所報№87別冊」を頂きました。本冊子は、同研究所で研究委託された委員としての私学の先生方の成果を発表する論文集です。しかし、今回は、同研究所所長の平方邦行先生のミッションとビジョンとそれが生まれる根拠としてのパラダイム転換の論考が載せられています。また、第2部ではその実現のために同研究所の所員の方々と「研修コード」を作成して、4月から新たに始めている研修の価値づけをまとめた論文も掲載されています。

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★それゆえ、「別冊」という扱いになったのでしょう。第1部は、今年5月15日(日)に開催された「Discover私立一貫教育2022東京私立中学合同説明会」において、ガイドブックとして来場者の保護者に配布された冊子の転載ですから、「別冊」という扱いは理に適っているといえます。

★恐縮至極なのは、同所報のあとがきで、平方先生が「ガイドブック制作に対して、惜しみない協力をいただいた聖パウロ学園校長の本間勇人先生」と何人かの方々といっしょに名を連ねて頂いたことです。ありがとうございます。

★このガイドブックのタイトルコンセプトは<「変革」の時代に試される私立中高一貫校の教育>です。新しくガイドブックを作成するので、対話をして欲しいということで、なんどか研究所やZoomで議論をさせていただきました。

★基本は、2089年から考えるというバックキャストの時間コンセプトの中で考察するということにしました。2089年というのは、昭和生まれの方々が100歳以上になり、すでにZ世代やα世代が、社会を動かしているエポックだからです。

★まずは、そのときに生き生きとした「私学の建学の精神」の意義づけから再考することになりました。そのとき、すでにバックキャストとは直線的な時間で考えるのではなく、「モモ」的な円環する時間で考えるのだということも了解できました。

★でなければ、普遍性を保つことができないからです。したがって、バックキャストは、未来から考えるのだけれど、その未来でも持続可能な普遍的なミッションは何かということを構想することなのだと。

★つまり、バックキャストは、未来からではなく、未来を超えるところから構想するコトなのだというコンセプトレンスを確認することができました。

★そのレンズで、先見性やイノベーションの概念を再構築しながら、なるほどだから私立学校なのだという多くの気づきを得ました。

★同研究所バージョンの思考コードと同研究所独自の研修コードを論考の中でいかに活用するかというコトも議論しました。

★ガイドブックですから、中学入試の動向や大学と連動する中学入試問題なども入れようという対話もしました。

★また、海外の私立大学や私立高校、インターナショナルスクールが続々上陸する時代なので、地政学的及び地経学的に考察するページも作成しようかと。しかし、これはまだ機が熟していないので、さわりだけにしようとか。ただ、触れておかないわけにはいかないと。

★この手のガイドブックは、保護者ばかりか、学校関係者、塾関係者も目を通すので、まだダボス会議を主催している世界経済フォーラムレベルの見通しをダイレクトには入れられないなど。ただ、私立中高一貫校の卒業生は、そのレベルで活躍しているし、そもそも保護者の中にはかなり進取の気性に富んだグローバルな方々もいるので、そこはやはりイメージしていただけるようにしようとか議論になりました。

★議論の過程で、目からウロコというものは、いっぱいあったのですが、リベラルアーツの現代化が思考コードとCEFRのルーブリックの掛け合わせで、その輪郭が明確に見えたことは感動的でした。

★そして、このリベラルアーツの現代化の領域こそ、未来を超える出来事なのだということも確信しました。もちろん、平方先生は、そこまではあえて書いていません。

★カタカナ言葉は、いっぱい使われていますが、取捨選択されていて、今では多くの方が日常使っているカタカナ言葉を使うようにセーブしていました。さすがです。

★今回私は、本当に貴重な機会をいただきました。今回の体験は、おそらくWeb3.0 を超える道を探すきっかけになりました。地政学→地経学→?ということです。Web3.0は、地政学と地経学のパラダイム転換ですが、その次の次元が実はあります。Web3.0もデメリットはありますから、それを解消する構想力が必要になります。そこの部分が、未来を超えるポジショニングなのでしょう。

★それは何か?2023年に向けて、多くの仲間と対話し、実践していきたいと思います。

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