創造的破壊

2021年11月13日 (土)

New Power School デジタルツインで教育市場を創出する局面へ World X education Market(世界変容型教育市場)

★先週、小田原で、私学経営研究会に参加していた時、プログラムの合間で、日本&東京私学教育研究所の所長平方邦行先生とデジタルツインやメタバースの世界変容(World X)型教育市場の立ち上げ局面について雑談しました。フッサールの相互主観がコモングッドに共感できる対話が学校現場でいかにしたら可能になるのかがテーマでした。このテーマは、現状どこも手を付けていないので、現場は悲鳴を上げています。

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★この苦難を乗り越えるには、リアルな世界ではそもそも収拾できないでいるわけですから、ここにいくら道徳を持ち出してもうまくいきません。ハイブリッドは、まだリアル>サイバースペースなので、根本的な解決はつかないのです。

★相互主観のコモングッド問題は、メタバースからやってきているので、そこにポジショニングを置かなければ解決がつきません。

★この点に関して、日本の教育市場はまったく動けていません。市場が働かない公立学校では、このメタバースの発想は生まれてこないシステムになっているので、やはり私学に期待がかかるのですが、それに気づいている学校というより人材はまだまだいません。もちろん、S大学の1年生Nさんと私たちはNさんが卒業するときには、そうなるように準備をしています。

★マーケットはある程度

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★新市場というのは、アーリーマジョリティまで拡散しないと動きません。今、ようやくNew Power Schoolの勢いが増し、首都圏の中学受験市場では、アーリ―アダプター領域を超え、したがってキャズムを乗り越えて、アーリーマジョリティ領域まで少し食い込みました。

★イノベーター理論の各領域のシェア率は、科学的に検証されているわけではありませんが、50,000人の首都圏中学受験生の学校選択をカテゴライズすると、ぴったり当てはまるのです。

★しかし、GAFAの動きがはやく、ハイブリッドではなくデジタルツインのメタバースの世界に突入しているので、日本のNew Power Schoolの中にも、すでに発想が古くなってしまっている学校がでてきました。マーケットがないので、コンサルタントやICT系の企業は、目に見えるもので商売をしますから、当面New Power Schoolは次のステージが見えない期間が続くでしょう。2024年までは、2011年ころに生まれたNew Power Schoolの仕掛けを追い続けるでしょう。ここにNew Power Schoolのプラトー状態が続きます。

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★現状のNew Power Schoolは、上記座標の第3象限、第4象限のどちらかに与しています。この座標はもはやOld Power Schoolは組み込んでいません。それは別の座標でカテゴライズする必要があるだけです。いずれにしても、2025年から、Old Power Schoolは、Z世代の次の世代にとっては、スーパーOld Power Schoolになるので、放置しておいても、マーケットから退いていきます。もちろん、起死回生で変容して復活することはありますが、そのときは、世界X教育市場か経済X教育市場かどちらかにポジショニングを決めているでしょう。

★結局、ここにいるのは、開成、麻布、女子学院ということになるでしょうね。それから、もちろん、現在のNew Power Schoolからそのどちらかのマーケットに位置するところがでてくるでしょう。

★平方先生としては、私立学校は、世界X教育市場を創出する側に回って欲しいとビジョンを創っていますが、最近ではリバタリアンの学校やコンサルタントが斜めから切り込んでくるので、経済X教育市場創出の勢いと競争関係になると思います。

★とはいえ、それは2024年からなので、この3年間で準備をしようということです。

★当然グローバルシチズンシップを広げる動きになりますが、このグローバルシチズンは、あくまで、世界X教育市場というデジタルツインの第1象限で活躍します。経済X教育市場は、グローバルリバタリアンが活躍します。

★私立学校の良いところは、未来を見ながらいまここで対応しながら働けることです。企業は未来を見ても、実際は目の前のマーケットで比較優位の競争を避けることはできません。

★これほどまでの新しい世界変容がなかった20世紀は、未来と言っても、効率性や実用性の向上だけで成功できたのですが、デジタルツインになると、その効率性は非効率性に転じ、実用性は無用の長物になっていく可能性が高いのです。

★本間はまた馬鹿なことを言っているといわれるでしょうが、こう語っているうちに、デジタルツインな世界で、世界変容型教育市場に投資する方が現われてくるでしょう。期待しています。

★法改正や制度設計の再構築がちょっと時間がかかりそうなので、そこをショートカットできる方法を考えねばなりませんが、現状の制度設計でそれが出来る領域もあります。すでにそこをつかって、リバタリアン教育市場を拡大しているところはあります。

★そこが、インターサブジェクトのルネサンスに火をつければ、一気呵成に経済X教育市場が立ち上がるでしょう。

★それに対応できるように、私立学校は世界変容型(世界X)教育市場を立ち上げる準備をしなければなりません。

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鈴木裕之さんとの対話 帰国生入試×英語入試×思考力入試が垂直的序列を破壊し、水平的多様性へシフトする。聖学院が注目されるわけも納得。

★昨日、GWEで、主宰の鈴木裕之さんと対話しました。テーマは、GLICC Weekly EDU 第54回「帰国生・国際生も注目! 英語/思考力入試ー本間勇人さんとGLICC鈴木の対話」でした。改めて、多くの気づきを得ました。鈴木さんありがとうございました。詳しくはぜひご視聴ください。ここでは、2つの気づきと、私が提示したグラフのミスを訂正させていただきます。何せ、リハなし、ストーリーなしのインプロライブだけに、ミスもあります(汗)。お許しください。

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★1つは、帰国生・国際生入試の入試問題を、思考コードで読み解いていくと、これは、もし日本語だと、開成や麻布、桜蔭の論述部分の問題、あるいは早稲田大学の政治経済学部の個別入試の総合型問題、つまり思考コードではB軸・C軸の問題が多数出題されているという事実が再確認されました。

★帰国生は、国語や算数、社会、理科の教科テストでは、開成や麻布、桜蔭に合格する生徒とは肩を並べることができない生徒もいるけれど、その生徒の素養は、開成や麻布、桜蔭に入る生徒以上の能力を持っている可能性があるということを示唆しています。

★そのような生徒が、今帰国生に爆発的に人気の聖学院、富士見丘、かえつ有明、文化学園大学杉並、三田国際、広尾学園などに入学していくわけです。それは偏差値という垂直的序列を壊していくはずです。

★また、もし英語で行えば、帰国生入試と同じ質、いやそれ以上になる思考力入試は、英語や国語や算数、社会、理科の教科では、開成や麻布、桜蔭に入れないけれど、C軸思考だけは、抜群の能力を持っているという生徒が入学していく聖学院が人気が高い理由は納得です。しかも、入学後、その生徒が目を見張るタラントの開花をし、結果的に大学進学実績も高めているのです。

★聖学院の児浦先生は、もはや大学進学実績がどうのこうのという話はしません。コモングッドを生み出す知と愛情を生徒と共有すれば、そして社会実装すれば、大学入試問題はもはや簡単なのだと。

★もう一つは、帰国生や国際生の過半数以上は、PBL授業でなければ、承服しません。だからPBL授業を行っているところを探します。聖学院や富士見丘など先ほど挙げた学校はすべてPBLをやっています。それから来週対話させて頂く和洋九段女子もPBL授業は実に質が高いのです。量もすさまじいですね。

★しかも、そのPBLは、特に英語で行っているコースは、授業の手法として行っているわけではないのです。グローバル・シチズンシップを同時に養うことにもなっています。

★つまり、PBLを拒否する学校は、国家追随型の発想があり、PBLをやろうとする学校はグローバルシチズンシップを大切にしている学校だという選別ができてしまうわけです。ちょっと恐ろしい気づきでした。勤務校もPBLをやってきてよかったとふと思いました。

★しかし、恐れずに言いますと、グローバルシチズンシップは、国家と市民社会の共生を考える発想があります。それゆえ、欧米の多くの民主主義国家は、ナショナルカリキュラムはなく、各自治体に委ねられています。日本も初等中等教育は、公立は国家の管轄、私立は自治体の管轄となっています。ときどき、折に触れ、国は、私立も国家に併合しようという動きをしますが。。。。

★いずれにしても、たとえば、J.S.ミルなどは、「自由論」の中で、表現の自由と翻訳されているところは、実はディスカッションの自由のことを言っているわけです。授業の中でディスカッションができるPBL授業をやっているかどうかは、そのような背景が見え隠れするわけです。

★私たち21世紀型教育機構の加盟校のPBLは、デューイ×パース×ジェームズのプラグマティストたちの発想を受け継いでいますが、彼らは、あくまで近代民主主義を生み出す教育を目指していました。その土台を形成する教育がPBLだったのです。特に聖学院は、キリスト教的なグローバルシチズンシップを創設以来育成する教育を持続可能にしています。

★それから、ミスしたグラフは次のグラフに置換えて頂きたいのですが、番組の中で使ってしまったグラフの傾向は、話の趣旨を変更することはありません。したがって、文脈に影響はありません。

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★これだけ、英語入試のシェアが広まっていく中で、中には、帰国生・国際生入試と同じような質感の問題を出題しているところが増えてきました。小学校5・6年生の英語教科化は、それに拍車をかけています。

★帰国生でなくても、思考力入試を受けなくても、英語だけで、入学する生徒もでてきていますが、それは思考力入試で入学する生徒と同じような傾向を生み出しています。

★誤解して頂いては困るのは、だから、御三家は衰退するなどということを言っているのではありません。水平的多様性が起こり、フラットになるだけです。多様な価値観のクラスターが生まれ、どのクラスターを選ぶかは自由です。サンデル教授ではありませんが、その価値観の比較優位的な能力主義の専制という今ままでの垂直的序列が崩れるというだけです。

★2022年の中学入試は、日本の教育の新たな地平を拓きます。私の勤務校は高校だけなので、受験という角度では当事者ではありませんが、私立学校の今後を洞察する身としては当事者です。ウォッチし続けたいと思います。

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2021年11月12日 (金)

聖学院の進化/深化/真価 コモングッドを追究するグローバルイノベーティブ教育が国内外で認知拡大

★GLICC Weekly EDUを主宰している鈴木裕之さんが、インパクト記事を掲載しています。「聖学院のオンライン国際生入試受験者数 500%増!」がそれです。同校は、思考力入試で、すでに国内の中学入試マーケットでは高く評価されていますが、いよいよ海外の中学入試プレイヤーにも高く認知されたという記事です。理由は同記事をぜひご覧ください。

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★21世紀型教育の先鋭的な推進校ですが、教育だけではなく経営もコモングッドを追究するZ世代にとって理想的かつ現実的なデジタルツインな学校です。マーケティングもブランドアクティビズムという全く新しい手法を活用しています。超大手広告代理店も、パンデミックを経験してここに気づきましたね。

★比較優位マーケティングから善なる言動によって人々が幸せになるというマーケティングに転換しているのです。メリトクラシー市場からwellbeing市場を創出する経済を教育イノベーションで活性化するまさに2089年を先取りした教育です。

★私もマインドだけでは追いつくのですが、聖学院のように理想的なものは現実的なものという実践はまだまだです。しかし、このようなスーパーモデルの存在意義は、日本、いや世界のZ世代にとって希望以外の何物でもないことは間違いありません。

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2021年11月10日 (水)

<超人気>を持続可能にしている学校の共通点~2つのコンプレックスをクリアできる自己変容型マインドが生成されているコト

★今年は、21世紀型教育機構の学校以外にも深いお話をお聞きする機会が多くなりました。昨年までは、数だけでいえばもっと多くの学校の先生方と話をしてきましたが、どちらかというと戦略的な話が多かったような気がします。生徒募集の方法、カリキュラムマネジメントの方法、進路指導の方法、PBLの方法等々。私はプラグマティックな価値を大切にしているので、もちろん、今も方法論とその実践的検証を重視する点は変わりません。方法とは私にとっては、存在の価値が生成される関数的な環境設定ですから、理論と実践と方法は循環的な統合をしていると考えています。

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★今年は、学校における経営陣や教師、生徒、保護者のそれぞれの存在価値を生み出す組織の方法について対話する機会が増えました。そういう意味では、方法論の新たな局面で対話するようになったということかもしれません。関数の次元や係数が増えたというコトでしょう。毎週金曜日、GLICC代表の鈴木裕之さんの主催するGWE(GLICC Weekly EDU)に出演させていただいていますが、そこで、そういう局面に毎回出会っています。また、私立中学高等学校協会やカトリック連盟の多様な会合に参加する機会も増えました。

★その中で、3年くらい人気が上昇し、その後ある一定の実質倍率を持続可能にしている<超人気>学校の組織のあり方として共通しているコトがあることに気づきました。また逆にこの共通点を持っていないと、人気が上昇しても、失速することもあるという恐ろしさがあるコトにも気づきました。

★その気づきのレンズを知ったのは、あの文嚮社から出版されているチョン・ジョヨンさんの「SIGNAL 10億分の1の自分の才能を見つけ出す方法」文嚮社 2021/9/10 チョン・ジュヨン (著), 鈴木沙織 (翻訳)」がきっかけです。10月から東洋経済ONLINEで、チョン・ジュヨンさんが同書から少しずつ引用しながら、折々のニュースに関連させて、同書を紹介している記事の連載を見て、知りました。

★それとホンマノオトで以前からご紹介しているロバート・キーガン教授の考え方やコトラーとクリスチャン・セーカー共著のブランド・アクティビズムという新しいマーケティングの考え方がスクランブルしたからです。

★この複数の著作をスクランブルに導いたのは、勤務校で生徒と対話している聖書のマインドです。そこには、スクランブルで現われた2つのコンプレックスの克服方法について書かれています。

★その克服すべき2つのコンプレックスというのは、ヨナ・コンプレックスとアカンタ・コンプレックス(アカンタ:棘)です。その言葉を使ってはいませんが、聖書に収録されているパウロの手紙などで問い続けられています。ダ・ビンチはそれをあの「最後の晩餐」で描いています。

★考えてみれば、シェークスピアのアンビバレンツというテーマにも通底しているかもしれません。夏目漱石やフロイトの著作がロングベストセラーなのもこのテーマが通奏低音さながら響いているからかもしれません。

★この存在のパラドクスを解く方法をブランド・アクティビズムとして学内外に浸透させている学校が、人気上昇の期間を経て、失速せずに<超人気>に行き着いているわけです。

★2024年から2045年にかけて、生徒数が急激に減少していきます。岸田政権のみならず世界同時的に新しい資本主義を巡って当面K字型格差成長をしていく状況に直面します。まずは2022年問題があります。都市からの転出率が増加が止まらなければ、いろいろな領域で淘汰が始まります。学校も例外ではありません。

★そのとき、生徒のみならず、生産年齢人口に相当する人々は、みなこの2つのコンプレックスに襲われます。すでに襲われているのですが、もっと露になるということです。それがゆえに、我が子には、この2つのコンプレックスをクリアできる学びの場(学校だけではなくなるでしょう)を探し始めます。

★経営陣も自身にふりかかる2つのコンプレックスを乗り越える自己変容型マインドを求められるのは、教師や生徒、保護者と同様です。

★しかしながら、これは内面にふりかかる相互主観のブランド・マーケティングの挑戦です。心理学的な理論ではなく、プラグマティックな経済社会も巻き込む関数循環関係ですから、新市場が創出され、ようやく新しい資本主義を支える根本的な循環の泉を生み出すでしょう。もちろん、デジタルツインな世界づくりです。現政権がそこを捉えているかどうかはわかりません。

★デジタル田園都市構想がこれにあたるかどうかもまだ定かではないですが、2022年問題のようなゆらぎは、日本だけではなく、すでに世界でも起きています。空間の囲い込みは新しいコモンズとしてメタバースの世界に移行し、コモンズの悲劇をクリアすることになります。

★またまた、本間は馬鹿げたことを言っているといわれるでしょう。1998年のときもそういわれました。2011年のときもそう言われました。2021年の今もそう言われています。長いスパンの未来は予測はしにくいです。しかし、10年くらい先まは、すでに多様で多角的な情報であふれています。それといまここで起きているけれども近代以降なかなかクリアできない根源的問題を照らし合わせれば、だいたいの予測は誰にでもできます。

★もちろん、明日はどうなるかはたしかに予測不能です。しかし、それが地球滅亡というほどの予測不能というものではないでしょう。いや、もちろん宇宙の話をしだすとそれすら予測不能です。それゆえ、推理しながらいまここで根源的な問いをクリアしようとする意志の力が求められるのでしょう。その意志の力が生成される組織のあり方が肝要だということなのかもしれませんね。

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2021年10月30日 (土)

全国私学教育研究集会 京都大会 「本当の論点は私学のガバナンスの独立性をいかにして持続可能にするかだった」

★10月21日・22日、京都で全国私学教育研究集会が開催されました。私は全体会が行われた21日にしか参加できませんでした。22日の分科会で塩瀬准教授の問いのデザインについての講演をお聞きしたかったのですが、仕事の都合で残念でした。先生の著書を熟読して自己研鑽することにします。ただ、今回全体会で、かなり衝撃的だったのは、全国から集まった各私立学校の先生方400名弱と共有した情報でした。どのくらい伝わったかわかりませんが、2006年の教育基本法改正当時以上に私学危機の論点が吉田晋先生(日本私立中学高等学校連合会会長・富士見丘学園理事長・校長)と平方邦行先生(一般財団法人日本私学教育研究所所長)から語られたことでした。

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★それは、学校法人のガバナンスについては、経済財政運営と改革の基本方針2019(令和元年6月21日閣議決定)に基づいて、令和2年1月に「学校法人のガバナンスに関する有識者会議」が設けられ、議論の取りまとめが令和3年3月から始まっていることに関係します。すでに会議は8回行われています。

★要するに、文科省が「学校法人ガバナンス改革」によって、私学に行政指導をしやすくする戦略的攻略をしているということでしょう。これは教育基本法改革の時もそうでしたが、やはり全国私学集会をバックに吉田先生や近藤先生(東京私立中学高等学校協会会長)が、押し返しました。

★今回もその攻防戦の真っ最中だということがよくわかりました。今騒がれているある大学のガバナンスの混乱状況は、その規模からいって行政が動かざるを得ない事態を生んでいることもあり、ある意味しかたがないのですが、私立大学と私立中高では、ガバナンスのサイズも違うし、何より研究と教育の決定的な違いがあり、大学や福祉法人と同様の規制をかけるというのは、確かに問題です。

★多くのメディアで、明日の選挙を控え、国家が大きな政府に向かっていることを論じ始めていますが、吉田先生と平方先生の講演に耳を傾けながら、ひしひしとそれを感じました。

★明治維新以降、官学と私学は、常にこのような攻防戦を続けてきました。不思議ですが、隙あれば私学はつぶされてきたし、公立学校と同様の機能を果たすように規制されてきました。そのたびに、私学は教育の自由を標榜し、ミニマムでは学習指導要領などを遵守するが、それ以上の教育の自由を果たしてきたわけです。

★しかし、今回の学校法人ガバナンス会議は、直接規制するというより、理事会・評議員会のあり方を財務チェック寄りにし、教学の機能を結果的に弱めようとしているわけです。

★私立学校は現場と理事会・評議員会のシナジー効果で成立していますが、現場は私学教育の資格を取得して勤務しているわけではないので、基本学習指導要領をベースにして勤務し始めます。それをガバナンスによって、建学の精神に基づいて学習指導要領以上の人間力を形成する教育の自由を遂行しているわけです。

★さすが、文科省だなあと思うのは、ならば、ガバナンスの教学面を弱めてしまうという戦略をとったわけです。助成金を出している以上、そこのチェックは当然です。会計士、税理士、弁護士がガバナンスのチェックを強化することによって、理事会のメンバーは教学の専門家は校長だけにしていくわけです。

★すると、校長は経営的な側面から教育の自由を規制されやすくなるわけです。アイデアを実行するなら、資金調達してこいということになります。ですが、校長は生徒募集・広報において、現場の教師と協力して定員を維持するのに精一杯というのが現状です。

★明治維新からこの≪官学の系譜≫と≪私学の系譜≫の攻防戦はずっと続いています。行政は、法規制を巧みに使って、法は法であってそれ以上でも以下でもないという法実証主義的手腕で、教育の自由を間接的に規制するのが常套手段です。

★ですから、目の前の仕事を回すのに手いっぱいになっていると、私学なのに公立と変わらないという事態になりかねません。

★≪官学の系譜≫側からはそれの何がダメなのかということになるわけです。

★そこで、平方先生は、「思考コード」「アクレディテーション」「クリエイティブクラス」というキーワードを使って、21世紀型教育を共に推進しようというわけです。

★20世紀型教育というのは、日本においては、明治以降の近代教育の話で、21世紀型教育はそれを超えようよという話です。要するにそれぞれ≪官学の系譜≫、≪私学の系譜≫が対応しているのです。

★吉田先生は、ガバナンス改革に対し、私学の財務面や行政面の規制強化に対する行政の動きに対して闘い、平方先生は教学面の規制強化に対して闘っているのです。

★ところが、この行政の戦略は、先述したように、巧みで表面化していないために、現場では公立も私立も相変わらず学歴階層構造の椅子取りゲームに目が向くように環境を作っていきます。

★このシステムは、一握りのクラスしか幸せにしないシステムだということは、今回のパンデミックでみな気づいています。それゆえ、このシステムが抑圧してきた「女性」「公正な配分」が、明日の選挙のキーワードになっています。

★意識が高まったことは喜ばしいのですが、それがうまくいくかどうかは現状の教育システムでは難しいかもしれません。

★珍しくネガティブじゃんと思われるでしょうか。そんなことはありません。制度はなかなか変えらませんが、良質な21世紀型教育を行う自由はまだ規制されていませんから、そこはやっていけばよいとポジティブなのです。

★ただ、これはタブーなのではっきり言えませんが、先進諸国で、私立大学の比率が多いのは日本なのです。アメリカよりも多いのです。当然私立中高の比率も多いでしょう。これは明治維新から始まっているのです。この定量的データは、行政のデータでも明らかです。

★なんだ教育の自由が日本は進んでいるということではないかと思うかもしれませんね。表面的にはそうだし、そうあって欲しいと思いますが、なぜ私立学校が多いのかというシステムの問題を考えたら、そう安穏としていられないのです。

★ここから先はもういうことはできません。表現の自由はここまでです。同調圧力の壁があることを言うにとどめておきましょう。この壁があるから、教育産業が成り立っているというジレンマということです。

★このジレンマをはっきり語る教育ジャーナリストはもちろんいません。吉田先生と平方先生は、そのことを熟知しているからこそ、闘っているわけです。ここをどう突破するか。Z世代もそこは近づけませんね。

★京都から帰ってきてから、21世紀型教育をより進化/させ強化することの意志を自ら静かに奮い立たせている日々です。しかし、これは戦略的にならざるを得ません。仲間の先生方、共にお願いいたします。

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2021年10月29日 (金)

女子校の時代再び

本日の日本経済新聞(2021年10月29日 18:00)「政策動かすSNS 政治家投稿9年分調査、女性・子育て増」の記事は、中学入試における女子校の復権に結びつくエビデンスではないかとふと思いました。今年の春の中学入試の女子校人気は、冬の時代と言われていた女子校不人気を払拭するような風でした。そして、その勢いは2022年入試においても衰えていない。むしろ増しています。

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★それは、各中学受験シンクタンクがすでに語っていることですが、GLICC代表鈴木さんと対話したYoutubeの反応が高いというのも何か相関があるかもしれません。

★そのYoutubeは、GLICC Weekly EDU 第3回「中学入試編~首都圏の注目すべき33の女子校~」です。私自身もう一度視聴してみようと思います。

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2021年10月26日 (火)

人気上昇座標 聖学院、八雲学園、かえつ有明、和洋九段女子の位置の意味

★前回、人気上昇の理由は2つあると紹介しました。1つは革新価値志向性、もう一つは学歴価値志向性。そして、革新価値志向性が理由で人気上昇の学校を見出すには、首都圏模試センターのデータが有効だと述べました。しかしながら、学歴価値志向であれ、革新価値志向であれ、倫理を有するかしないかの2通りあるのですが、そこまでは読み取れないと。ともあれ、前者を倫理経済乖離市場価値、後者を倫理経済合一市場価値と呼びましょう。それで、座標を描くと次のようになります。

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★リーマンショックの後からダボス会議で新しい資本主義が論じられています。その新しい資本主義は、革新価値の領域ではありますが、脱階層システムの方なのか、well-beingシステムの方なのかは、議論の分かれるところです。今回のパンデミックでも新しい資本主義は謳われていますが、やはりどちらかは、明快ではありませんが、マルクス・ガブリエルさんや落合陽一さんは、どうやら倫理資本主義の立場のようですから、well-beingシステムを模索しているのかもしれません。

★さて、受験生の保護者の中で、well-beingシステムを望んでいる保護者は、聖学院、八雲学園、かえつ有明、和洋九段女子を選びます。

★この4つの学校は、建学の精神から教職員が筋鐘入りのwell-being派です。人気上昇校101にも入っています。革新価値を求めながら伝統価値とのバランスをとる学校もあります。この学校も、well-beingを標榜するのですが、伝統価値と倫理経済合一価値の差異を意識していないので、教職員が2分しています。どちらの勢力が強いかで、well-being派か弱者救済派かに分かれます。

★弱者救済派は、前提が強者と弱者です。慈善家は、基本勝ち組です。ですから、みながwell-beingとは限らないのです。

★つまり、4つのシステムとはどのような存在者を尊重するかという違いがあるのです。

★学歴価値システムは、学歴階層構造の中の上位層=ファーストクラスを尊重します。格差社会ですね。

★脱階層システムは、コンピテンシー格差社会です。テクノロジー重視社会ですね。GAFAが目指す社会です。テクノロジーを習得している存在者が尊重されます。

★弱者救済システムは、カリスマ主導の配分社会です。配分する側と配分される側が前提ですから、カリスマ存在が尊重されます。

★well-beingシステムは、すべての存在者がクリエイティブクラスです。

★現実は、こんなに簡単に分けられませんが、システムを構成するメンバーが、ファーストクラスを尊重したり憧れたりする存在者、テクノロジーを有する人材を尊重する存在者、カリスマを尊重する存在者、クリエイティブクラスを尊重する存在者のうちどの存在者の割合が多いかで、そのシステムの種類が決まるのでしょう。

★これは、学校の組織だけの話ではありません。企業や、行政、社会、世界においても同じです。

★したがって、人気上昇校のうち、well-beingシステムの学校が選ばれれば選ばれるほど、社会には希望がともる可能性大なのです。だって、選択者がそもそもクリエイティブクラスだからです。

★この4座標をみなが意識すると、well-beingシステムへと変容するシフトがでてくるかもしれません。今までは、意識していなかったので、well-beingだと思っていたけれど、実際は脱階層システムだったり、弱者救済システムだったりしてきたわけです。

★ただ、はっきりしていることは、学歴階層システムだけは、well-beingシステムだと間違いようがないということです。白熱教室のサンデル教授も、最近そうはっきり断言する著書を書いているぐらいです。メリトクラシーは悪なのだと。ちょっと驚きです。

★世の中の多様性とは、このような互いの価値の均衡点を巡る関数関係ということでしょうか。結局は、存在者の意志の力によるのでしょうか。ニーチェ的ですね。。。

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2021年10月16日 (土)

神崎史彦先生 50回目のGWEで語る。学びの本質は君自身にあると。

★昨夜(15日)、GLICC Weekly EDUは50回を迎えました。GLICC代表鈴木さんといつものアイデアフラッシュ的な対話をしていたときに、Youtubeで発信しようかとなりました。その1週間後、鈴木さんから始めますよ、ライブ感を大事にアドリブでと誘われ始まりました。一年前のことです。アイデアをすぐ形にする鈴木さんのパワーにはいつも驚かされますが、さらに昨日とうとう50回迎えました。俊敏力と継続力の両方を持っている鈴木さんには、教育の希望を感じます。

★そして、そのタイミングで、神崎史彦先生がゲストとして出演してくださいました。お忙しい中、ありがとうございました。テーマはこんな感じでした。GLICC Weekly EDU 第50回「自己変容型マインドを生み出す総合型選抜ーKANZAKI METHOD 神崎史彦先生との対話」。中身が濃いので、ここで説明すると長大になりますから、ぜひご視聴ください。

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★カンザキメソッドは多様だし複雑系ですが、その中で私たちと共有しているシステム思考を中心に、生徒が自らを見つめ社会を見つめ、その両方を統合した世界アイデンティティを創る、自己変容型マインド生成過程をシステム思考を媒介にしていくという対話がメインです。

★そのとっかかりを、神崎先生がよく話題にする「氷山モデル」のメタファーからはじめました。そしてそれをループ図に転換して、最終的にはロバート・キーガン教授の自己変容型マインドを生み出す教育方法と評価方法に照合しながら、総合型選抜の学びの妥当性・信頼性・真理性を対話していきました。

★今回の学習指導要領は、そこまで要求していますが、それを現実態にするには、その器、フォームが必要です。ところが、残念ながら新しい酒を古い容器にいれることになり、可能性を実現することはなかなか難しいというモニタリングにもなっています。

★文科省は、鈴木さんや神崎先生の話に耳を傾けることも必要かもしれませんね。「聞く力」の政権に届くことを期待しています。

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2021年10月 9日 (土)

湘南白百合 生徒の内在的価値を高める教育。

昨日8日(金)、GLICC Weekly EDU 第49回「世界を舞台に活躍する女性を輩出するー湘南白百合学園中学高等学校教頭水尾純子先生との対話」で、湘南白百合の教頭水尾先生とGLICC代表鈴木さんと対話をしました。湘南白百合の緻密でダイナミックな教育をお聞きし、日本も女性が活躍する時代が本当に到来すると確信しました。

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★グランドデザインが策定されていて、多様な入試、教科学習、探究、行事、国際交流、企業をはじめとする外部団体とのコラボレーション、ICT教育、進路指導、同窓生の協力など、多岐にわたるアクションにその精神が浸透していて、まるでマインドが樹液に流れ、その循環が豊饒なぶどうの木(カトリックの精神の象徴でもあります)を生成しているかのようです。

★いろいろな活動をやっていても、このような精神が生徒1人ひとりの内面に循環していない場合は、見た目はダイナミックですが、生徒1人ひとりの内在的価値が豊かになりません。

★学校選択をする場合は、この生徒の内在的価値が豊かかどうかが決めてですが、なかなかこれは見えません。何せ内面の光は目には見えないけれどとても大切なものだといわれているのですから。

★ところが、湘南白百合は、広報担当の教頭水尾先生の発想力と表現力、そしてなんといっても見方を変えるコンセプトレンスに示されているように、生徒自身もまた自らのオリジナルの価値を表現し、やはりコンセプトレンズで同じものを見てもコペルニクス的転回を生み出す能力を有しています。

★発想力・表現力・コンセプトレンズは、基礎学力に偏りがちな日本の教育ではなかなか得にくいものであるということは、多くの人が痛感しています。そして予測不能な時代にあって、変えたいと思いつつも、なかなかハードルが高いというのも現実です。

★この閉塞感を希望に変える教育が湘南白百合にはあります。詳しくはぜひ動画をご覧ください。目からウロコです。そして希望の光が飛び込んでくることでしょう。

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2021年9月 5日 (日)

首都圏模試、2024年、2027年の市場変容に向けてダイナミックに動きを作っています。抑圧市場からウェルビーイング市場へ

本日9/5(日)に首都圏の25会場で首都圏模試センターの小6第3回・小5第2回「合判模試」が開催されています。合わせて20,000人弱の受験生がチャレンジしていると思われます。そして、ここに驚嘆すべき情報誌が配布されています。それは今までとはパラダイム転換を果たしている<shutomo>です。首都圏中学受験生の20%強の受験生の家庭に3年後の2024年、6年後の2027年に中学入試市場が2段階で大変化することをアブダクション的に大胆に推理・編集して、共有しているのです。

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★今までの情報誌と言えば、偏差値動向、入試要項変更情報、学校の教育情報、大学合格実績情報が中心で、情報編集の方法は演繹的な論理が中心でした。しかし、今回のパンデミックで、今まで語られてきた予測不能な時代というのが遠くの話ではなく、いまここで起きてしまっているため、帰納法的論理やエピソード推理以外に、新しい学びである探究で浮上してきた仮説推理(アブダクション)という予測を立てる推論方法も付加した編集になっています。

★同誌は、思考コードを始め新しい評価あるいは推論のモノサシの記事も多角的に掲載しています。その思考コードの眼鏡で見れば、知識・理解中心のA軸や論理中心のB軸を活用した編集から、B軸とクリティカル&クリエイティブシンキングを活用するC軸を活用した編集にシフトしているともいえるでしょう。

★そして、教育出動の大きなウネリとして、親のマインドセットの方法について、教育ジャーナリストでマザークエスト代表の中曽根陽子さんが執筆している論考を掲載しています。親がどのような価値観をもって子供の学びの環境を整えるのか、その学びの環境を有している私立学校をどのような観点から選択するのかについて詳細に論じています。

★昨今の市場の潮流は学歴社会の価値を重視するコンサバ志向と未来の市場で勝ち組になればよいという損得勘定をベースとしたリバタリアン志向の価値観以外に、競争主義ではなく、地球市民が包摂的にウェル―ビーイングになる解決策を探究する学びを重視するリベラリズムや弱者の立場から物事を考え社会全体が最高善としての黄金律を内側で共有する価値観をベースにするコミュニタリアン志向が加わっています。

★今回のパンデミックで、サンデール教授のように、メリトクラシー(日本では学歴社会志向性や勝ち組負け組志向性)を生む社会や考え方を悪とまで言い切るウネリが生まれています。

★中曽根さんも、OECDのPISAから生まれてきた2030年の社会のあるべき姿を目指しているラーニング・コンパスの考え方やSDGsの潮流の話題も紹介していますから、コンサバでもリバタリアンでもないでしょう。やはりリベラリズム的な発想をもとに論考を描いていると思います。

★学歴主義や偏差値主義などコンサバ、リバタリアン的な発想とは違うようです。

★また、さらに驚嘆すべき論考が掲載されています。それは、一般財団法人日本私学教育研究所理事・所長であり、東京私学教育研究所の所長でもある平方邦行先生の論考を掲載しているのです。タイトルは、<『21世紀型教育』と思考コード>です。平方先生は東京のみならず、私学全体の多様な教員研修を全国で展開するプロデュースをしている先生です。

★21世紀型教育の理念は、ニューヨーク国連が掲げているワン・アースの黄金律men for othersです。国連は、この黄金律は、キリスト教のみならずすべての宗教、民族、人種の差を無化する共通の理念だとしています。

★ほとんどの私学の建学の精神はこのmen for othersと通底する理念をもっています。

★そういう意味では、21世紀型教育は、リベラリズムやコミュタリアンのような発想がベースです。

★中学入試市場は、学歴主義の中でいかにサバイブするか、その抑圧的な雰囲気の中で傷ついてしまう子供たちは根性がないとかやる気がないとか精神的に弱いという抑圧市場だったのです。私もそのような市場でクリティカルシンキングを発動しないで生きてきました。しかし、みなさん、そのことをいっしょに振り返り、回心しようではありませんか。

★そういう抑圧市場をウェルビーイング市場にパラダイム転換しようというのが首都圏模試センターの30周年ビジョンだと思います。みなさんこの方向をいっしょに歩みましょう!

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