創造的破壊

2021年1月 5日 (火)

「教育とは生き方そのもの」へシフト(02)デューイ・ルネサンスはPBLの実践の中で生まれる。

★今年2021年は、デューイの「民主主義と教育」が出版されて105年。2016年にはその100周年記念で、各国でシンポジウムやセミナーが行われてようです。日本でも、日本デューイ学会がデューイ研究を行い、その成果が昨年12月に出版されました。デューイの教育思想の現代的意義が多くの学者によって投稿されています。現代の教育の課題をデューイならどう考えるかという着想で書かれているため、多くの学者が日本や世界の教育の課題をどうとらえているかがわかるかもしれないと思い購入しました。

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★デューイのアート教育と民主主義のつながりを現代化するという課題やそもそも民主主義を教育にどう結びつけるかデューイは解答していないとかデューイの職業教育に対する考え方が、当時から進路先教育を批判していたということなどなどなるほどなるほどとわかりやすかったですね。

★ただ、教育思想として教育学の枠内で語られているので、デューイが「民主主義と教育」でヘルバルト主義を批判する文脈で語っている箇所をPBLのエッセンスと捉える見方はなかったようです。

★民主主義と市民社会と教育を結びつけるのは、デューイにとってはPBLです。直接この言葉をデューイは同書では使っていませんが、別の書物である「考える方法」においては、「コンストラクション」と「プロジェクト」は多用しています。

★そして、そのPBLを人生の準備として扱うのではなく、人生そのものだと捉えるのです。

★デューイのこの着眼点でみるから、民主主義と市民社会と教育は結びつきます。職業教育を進路先教育ではないとするところに、民主主義を国家による実現ではなく、生活そのものの中に創り上げようとするデューイの斬新な発想があります。

★国家というシステムは、民主主義のすべてではなく、民主主義を運営する一つの装置に過ぎないのに、生活をそれに従わせるのは人間をないがしろにすることではないかというわけです。デューイはあくまで哲学者であって、教育学者ではありません。

★教育学者という枠内でデューイ再評価しても、現代思想のネオプラグマティズムの枠内で再評価しても、それはそれで何が問題なのかを露にするという点で貢献していますが、教育は人生であり、民主主義や市民社会も人生そのものなのだというデューイの考えを実践にシフトすることはできません。

★そのためには、PBLとは何か、なぜ必要なのか、エエーイ!デューイが今実践するとしたらどうするのか創ってしまおうというのがポイントですね。

★いずれにしても、デューイが哲学的に究めようとした主観と客観を分けることによって生まれるディストピアを阻止する学びとは何かは、ハイデガーをどう超えるかということと結びつきます。

★なんだやっぱり哲学の話ではないか?と思うかもしれませんが、ここには重要な意味が隠れています。主観と客観の二項対立を解決する方法は、日々生きている私たちの生活に新たな道を開くことになるという意味です。やはり21世紀は教育の時代だったということですね。

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GLICC Weekly EDU(09) 2021年学びの取り巻く環境は、デューイだったらどうするか考えれば見通せる。

★昨日は、GLICC Weekly EDU 第11回 新春企画対話でした。テーマは「2021年の幕開けに寄せて―『学び』を取り巻く環境はどう変わるのか 」。主宰の鈴木裕之代表と私立学校研究家本間が対話をしました。ときどきカメラが充電切れを起こすなどハプニングなどもありましたが、2021年はこういう変化にどう対応するかが大切、まさに今年を象徴した対話になりましたと鈴木さんは機転をきかしていました。さすがです。

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★2020年ではっきり見えたこと、それは、デューイのいう構成主義的な学びができる学校や塾がどこだったかということです。今年125周年を迎えるシカゴ大学のラボラトリースクールは、デューイが自身の理論と現場の教師と協力して立ち上げた学校です。

★昨年、ブラックホール発見に貢献してノーベル物理学賞を受賞した科学者の1人アンドレア・ゲッズ教授も同校の卒業生です。数多くの才能者を輩出しています。同校のサイトにある動画を見ながら対話をしました。

★静岡聖光学院、聖学院、工学院、三田国際、かえつ有明、日本女子大附属豊明小学校などの例を出しながら、デューイ学校にイメージがかなり近いことを対話しました。これらの学校は、御三家には似ていないけれど、デューイ学校には似ているのです。

★このことは何を意味するのでしょう。鈴木さんが、「世界標準」と表現していました。

★そういうことです。

★そして、デューイの時代には、まだ宇宙船もタブレットもITによる新しい脳科学の成果もありませんでしたから、もしデューイが今の世界にいたら、もっとおもしろいことをやっていただろうと。

★だから、2021年はそれを追究する学校がでてくるだろうし、塾も同じであると対話しました。

★シリコンバレーのHTHは、たしかにおもしろいのですが、限られた生徒の才能を育むだけではなく、すべてのこどもの才能を開花する環境をとなれば、それはデューイの発想の中にあります。

★GLICCを鈴木さんが創設するときに、話し合ったのは、普遍的な世界標準に対応できる環境を創ろうということでした。ですから、デューイのPBLを土台にしている洋書を探しました。その署はブルームのタキソノミーもインテグレイトしています。

★また英語の教材も、その理論が適用されているものも探しましました。

★もっとも、テキストは素材に過ぎないので、それをどう使うかが大事で、それをデューイの発想をベースに講師のみなさんと共有しようということだったのです。

★GLICCは外国人講師とGLICCの卒業生である帰国生が多いので、この考え方はもともとなじみやすいのです。

★私も、自然と社会と精神の循環世界を創る多様な才能の結合を教育を通して目指していますから、デューイとはシンクロします。それがデューイの「経験と自然」という著書を読んで、改めて共鳴しました。

★鈴木さんとは、ハーバーマスのコミュニケーン行為論や認知科学、ヴィトゲンシュタイン、ガタリ、ベイトソン、ブルーナー、ピアジェなどを読みながら議論して、ある中学受験塾の小3から小6のカリキュラムをデザインしたことがあります。当時のコンセプトは、その塾の渋谷校に訪れたアルビン・トフラー夫妻の「21世紀は教育の時代」をうたった「パワーシフト」と共鳴していました。

★基本的にはそのラインは変わていません。これらの流れは、構成主義でデューイとも交差します。

★PBLをずとやってきたので、当然そうなるわけですが、外国人講師と対話する時は、やはりデューイやブルームの理論でなければすぐに共有できなかったのです。

★現代思想や哲学の中では、ニュープラグマティズムとしてデューイ・ルネサンスは起こってきました。いよいよ教育においてもデューイ・ルネサンスが生まれる予感がします。

★デューイ学校は、私立学校のみならず、公立学校にとっても親和性のある教育です。デューイ学校かIB学校か、Aレベル学校かどれを選択するかということでしょう。いずれもすてきです。あとはお金の問題ですね。

★いずれにしても、デューイだったら、インターネット空間とリアル空間の両方を使うハイブリッドPBL環境をつくるでしょう。そして、あくまで生徒が自ら才能を発展させていく環境とは何か。その環境はたんなる物理的な自然ではなく、内面としての自然だけでもなく、自然と社会と精神が結合したネットワークを身体につなぐ人間存在となるでしょう。

★デューイの構想は、主観と客観を隔てる幻想を打ち砕くことだったのです。その幻想こそが才能者と才能を発展できない子供の差を生産してきたからです。

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2021年1月 1日 (金)

工学院Z世代の未来の開き方(01)仲野想太郎さんと郷野翔太郎さん①

★昨年末、工学院のZ世代仲野想太郎さんと郷野翔太郎さんとZoom対話の機会を頂きました。教務主任の田中歩先生と幾度も対話を重ねているうちに、2020年大学入試改革は一見とん挫しているようにみえるが、総合型選抜は、従来のAO入試と違うのではないか、もしかしたら何か変化が起きているかもしれないという話になり、いろいろ仮説をたてました。そうこうしているうちに、総合型選抜の結果がでてきたので、実際に合格した生徒にインタビューしてみようということになりました。そんなわけで、お二人と対話することができたのですが、結論から先に言うと、大学入試が変わったかどうかはまだまだわからないけれど、少なくとも、大学入試の概念を二人は変えたということが了解できました。

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★そういう意味では、大学入試を変えるのは、文科省や全国校長会でもなく、二人に代表されるZ世代が大学入試の意義や概念を2021年あちこちで発信していくことで、大学入試は変わっていくという実感を抱けました。少なくとも、田中歩先生は、2人の話に感銘を受け、想像以上の自己変容ぶりに感動し、進路指導やキャリア教育の在り方を改善し質を高めていくように進路指導部と協働していくと語っていました。

★そして、二人の友情の在り方がまたすてきでした。中高一貫の出会いは、得難い友情を生み出すのだということもしみじみ伝わってきたのです。もちろん、田中歩先生は、自らそうなる環境を整えてきたと野暮なことはいいません。ですから、私が岡目八目で語ることは許されるでしょう。

★二人に、総合型選抜は、大学が総合的な判断をして受けいれなければならないけれど、どういう点が認められたからたと思うのか、郷野さんから見た仲野さん、仲野さんから見た郷野さんという具合に、互いに評価してみようという話になったとき、6年間の友情とは本当にパートナーのことをよく理解していく過程なのだということがわかりました。

★二人はともに生徒会の役員を5年間ずっとやってきて、最終的には、仲野さんが生徒会長、郷野さんが副会長を務めたということです。それぞれ部活は違うし、クラスも違うのですが、生徒会の活動を通して互いを理解し合えたのでしょう。

★もちろん、いっしょにいたから友情が生まれたわけではありません。また後で、話しますが、工学院始まって以来の生徒会のパラダイム転換をやってのけたそうです。そういうときは、幾つもの壁が立ち上がり、葛藤が生まれます。それを一つ一つクリアしていくGRIT精神が凄まじいのです。

★仲野さんが突進し、壁にはねのけられても、郷野さんや他のメンバーと夜を徹して語り合い、立ち臨み、一つ一つ壁をクリアしていったということです。それが、一般社団法人生徒会活動支援協会が実施した、日本生徒会大賞2020の個人の部で優秀賞受賞につながりました。

★実は、この賞は、仲野さんが全国の学校の生徒会のフォーラムに何度も参加し、生徒会の新たな可能性を見出し、それを実行することで賞をとるのだと公言して受賞しました。有言実行の成果をあげたのです。とは、いえ、今まで挑んだことのない新たな生徒会の活動をやったからといって、すぐに獲れないだろうと最初はみなまさかと思っていそうです。

★仲野さんは、俄然燃えたわけですね。その内なる情熱。誰にでも燃やせるものではありません。外から燃やせと言われてできるものでありません。この心的構造は、仲野さん自身の才能だし、メンタルモデルの土台だと思います。その情熱の火を消すことがなかったのがなぜか?これも本シリーズで明らかになっていくことだと思います。

★さて、仲野さんと郷野さんは、工学院が21世紀型教育を行っていくぞと宣言し本格的に改革を実施したときの一期生なのです。田中歩先生は、

「この嵐のような教育改革は、今となっては大きな飛躍につながって自信がつきましたが、最初は教師も生徒もたいへんでした。突然教師全員が海外やIBの研修を受けに行ったり、ケンブリッジイングリッシュスクールとしての認定をうける準備をしたり、授業は一斉授業からPBLにすぐに転換するような流れになったりしましたからね。高1高2で完成させる探究論文のプログラムも創ったし、Mogや3カ月留学など今までなかったグローバルプログラムもつくりました。そのたびに私たちも海外を飛び回りました。英語科でなくても英語を使わざるを得ない環境ができてしまいました。そして、彼らが、高2の時に今までの修学旅行をグローバル・プロジェクトとという形で、新しいものにしました。でも思考コードを最初につくってブレない軸をつくったのはよかったかな。それに、これだけの体験を積んだ教師たちは、今回のパンデミックで、フルスペックのオンライン学習へ移行しなければならなかったときは、もはやそれほど戸惑いはなかったですね」

★と、いつも語っているのです。そして、今回こう言っています。「二人の話を聞いて、この改革は、生徒の学園生活も隅々に渡って変化を迫ってきたのだということが良く理解できました。そして、その変化に二人は果敢に挑戦してきたのだということも。中学の時の二人と卒業間近の二人は大きく変容しています。いっしょに改革を歩いてきたいや走ってきた同士です」とインタビュー後、メッセージが届きました。

★そういうわけで、郷野さんは、仲野さんのことを、軸がブレないマインドを持っています。何があってもそこは崩れない。だから進める。ただ、軸があるから柔軟です。はねのけられても、きっちり考え抜いて方法をブラッシュアップして乗り越えていきます。そんな人材、大学は欲しいに決まっていますよと。

★仲野さんは、郷野さんのことを良い意味で〇〇(これはいずれご紹介します。今ここで書くと誤解されるかもしれませんから^^)ですよ。自分の興味のあることはガアッーとやってのけます。もの凄い集中力です。今回の進路も決まるまで時間がかかりました。しかし、決まるとものすごい勢いで書類作成や対策を行いました。しかし、それは〇〇だからできたんだと思います。普通だともっと前から決めてじっくり準備していくのが総合型選抜への臨み方です。

★もちろん、郷野さんは、仲野くんも十分〇〇ですと。

★生徒会の活動のやりとりだけではなく、それぞれの総合型選抜の準備のこともよくしっているのは、友情もさることながら、二人が頼りにした教師とあえて壁になった教師の存在も大きかったでしょう。オープンマインド、田中歩先生はGrowth Mindsetといつも呼んでいますが、このマインドセットが学内には広がっているから相乗効果があったということもあったでしょう。

★いずれにしても、仲野さんと郷野さんは、新しい工学院の生徒会像を創ったわけです。これも世界を変える出来事だったのです。どうやら総合型選抜で重要なのは、体験を重ねるだけではなく、世界を変える意志と実績ということが見えてきました。

★ストーリーテラーの仲野さんとアートの知をもつ郷野さんの話は、まだまだつづきます。(つづく)

 

 

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2021年が開かれました!共に新しい道を見つける年になりますように。

★昨夜おおみそか、パンデミックは昨年の中で最悪の事態に到達しました。医療現場はギリギリのところまできていて、過酷な状況であると報道されていますが、外から見ている私たちの想像を絶する状況だと思います。医療従事者の方々やエッセンシャルワーカーの方々に心から感謝し、その使命感をそれぞれの場所で、背負うしかないと思っています。

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★どうか新しい道がそれぞれに開かれる年となりますように、共に2021年を動きながら考えていきましょう。

★昨年、「持続可能性」と「ザ・グレート・リセット」そして「才能主義(クリエイティブクラス)」ということについて考える局面に毎日のようにぶつかりました。

★多くの先生方と対話しました。幾人かの経営者・経営陣とも対話しました。小学校3年生から高校生とも対話しました。保護者の方々とも対話しました。そして、誕生してから5カ月の間孫とも対話(前言語段階で対話が出来るということに気づきました。つまりそれが「ことば」でした)しました。

★そして、「持続可能性」の意味が経済的意味だけではなく、生まれるやすべての人が持っている「才能」を削り落とさないことなのだと確信しました。その削り取らないための社会システムの構築こそ「ザ・グレート・リセット」なのだということも確信しました。

★そのことは2015年からうすうす感じていて、それを証明しようと多くの先生方と対話型授業や教育として「ことば」と「数学」をPBL環境の中で学べるシステムを創ってきました。

★しかし、その過程で、すべての人が持って生まれたはずの才能を削ってきた社会システムとそれを推進してしまっていると気づかない方々と闘わなければならない時間も膨大に費やしました。

★私自身がいつの間にか戦闘モード一色であったことに気づいたのは、昨年でした。そのことに気づかせてくれたのは、対話をしていただいた方々がいるからです。本当にありがとうございます。

★それからというもの、対話はセレンデピティを生み出すものだということがわかりました。そして、そのような対話を続けることこそ、すべての人が持っている才能を削り取らず、開花していく「持続可能」な環境を創っていくことだと気づいたのです。つまり、戦争をしない平和の持続可能性社会の追究及び平等を確保する経済の持続可能性社会の追究に、さらに「才能」を削り取らないことを達成する持続可能性社会の追究が明快に意識される時代がやってきたわけです。

★なるほど、21世紀は教育の時代です。

★SDGsにおける、地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを目標にするとは、足りないものを補って、平等を確保するという意味もありますが、そもそもすべての人間は足りないものなどなかったのに、それを削り取って足りないものがある人間にしてきた(多様なレッテル貼りとそのカテゴライズで)わけですから、そのような壁をぶちこわし、「才能」を削り取らない社会システムを創ることなのだと思うわけです。

★とはいえ、そのシステムができるまでは、しばらく時間がかかり、リスクマネジメントとして、足りないものを補って平等を確保する戦闘モードも必要です。しかし、それ一色になると、結局、才能を削り取らない社会システム構築への軸が見失われる危うさがあります。

★それゆえ、この新しい軸をきちんと立てて、そこに邁進し、この軸を崩そうとするシステムとは戦闘モードにならざるを得ません。もちろん、あくまで、交渉学的戦闘モードですが。つまり、交渉から対話にシフトできるように活動することです。

★才能を削り取らない社会では、1人ひとりがその才能を開花していくことが成長という概念になります。才能を削りとる社会では、その社会が欲する目標を達成することが成長であり、それが達成できない場合、落ちこぼれるということになりますが、それは自己責任ではなく、落ちこぼれるように才能を削り落としているのですからたまったものではありません。

★セレンディピティの反対語は、ゼンブラニティというそうですが、そういう意味では、ゼンブラニティ社会をセレンディピティ社会にパラダイム転換しようというのが2021年から始まる「ザ・グレート・リセット」なのだと思います。

★セレンディピティ社会システムは、対話から開始することができます。つまり、制度再構築や脱構築する前段階から創ることができます。パンデミックは、まるでパンドラの箱のようです。最後にZoom対話が、新しい社会システムを開く可能性を生み出してくれました。

★このセレンディピティ社会システムを共に創っていこうという友人にも出会いました。輪を広めていきたいと思います。そして、この確信を抱けたのは、6年前にいっしょに始めた先生方と生徒のみなさんが、それを証明したからです。昨年末12月の対話でその証明が次々となされていったのです。

★新年は、証明してくださったみなさんとの対話について語っていきます。

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2020年12月28日 (月)

Fresh Service合同会社 CEO五十嵐健太さん 多様なペルソナとのかかわりが未来を生み出す(2)

前回「Fresh Service合同会社 CEO五十嵐健太さん 多様なペルソナとのかかわりが未来を生み出す(1)」のつづき。

★五十嵐さんの大きな2つのペルソナは、聖学院の高1生というペルソナとFresh Service合同会社CEOというペルソナ。ここをきちんと分けているところが実に興味深いのです。たとえば、聖学院生というペルソナでは、聖学院の教育を受け入れ、大いに学院生活を謳歌している生徒ですが、CEOという立場では、自分だったらマネジメントやガバナンス、マーケティングはもっとこうするという経営者の論を展開するのです。

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★聖学院の先生方も、聖学院の在校生として応援する立場の教師もいれば、CEOとしての五十嵐さんへフィードバックをするという教師もいるようです。

★だから、聖学院の学びも聖学院の教育の枠組みの中の学びとして楽しんでいるかと思えば、CEOとしては、その学びをビジネスモデルに転換するという離れ業を行ってもいるのです。

★たとえば、聖学院の伝統的な体験学習である「糸魚川農村体験」を通して、糸魚川の産業構造の現状と困っているところを解決する提案をだしてプレゼンするところまでは学校行事の枠内ですが、クラウドファンディングで、糸魚川のリアルな姿を紹介する本をつくるあたりは、学校行事から抜け出て、起業家的精神のシミュレーションになっているのです。

★しかし、そこまでなら、少ないとはいえ、他の学校でも実践する生徒はいるでしょう。まだ、行事の延長ともとれます。

★ところが、五十嵐さんは、糸魚川の農村で収穫した新鮮で安心・安全な食物を仲介業者を通さず直接販売する販路を開拓するサービスを事業化します。

★莫大な利益を生み出すことが目的ではなく、あくまで困っている問題があったらそこを解決する架け橋になるサービスで、まさに文字通り奉仕なのです。

★しかしながら、タスクをする仲間には、交通費ぐらいはちゃんと出せるように事業化したわけです。しかも、いわゆるデリバリー商売をするわけではないのです。

★特に今回のコロナにあって、糸魚川の商品の販売ルートが切断されてしまいました。一方東京では、幼児を抱えている家庭では、外出が簡単にはできなくなったわけです。買い物困難者がでてきたわけです。

★それならばと、幼稚園などと交渉して、幼稚園にお迎えに来た時に開店して、買ってもらおうと。通りがかり販売をしようということになったそうです。産地直送だし、新鮮で安心安全だし、お迎えに行って別に買い物をするという時間をかけずに短縮できるとあって、アンケート調査ではみな満足しているという結果になっています。

★そして、グーグルフォームでアンケート調査をしていますから、買ってくれる参加者のペルソナマーケティングもおこなってしまっているのです。

★おもしろいのは、チラシやSNSの広報がどれくらい役に立っているかというデータも出していて、それよりも効果的な広報活動が何かまで突きとめています。

★それは、商品が生産されて店頭にでるまでのプロセスを丁寧に発信したり店頭で熱く語るというアクションそのものが口コミや評判作りになっているということでした。

★この対話の秘密は、実は参加した人々とコペ転(コペルニクス的転回)体験を共有するという共感的コミュニケーションだったのです。

★糸魚川は、フォッサマグナ領域にあって、大切な日本の地溝帯として注目されている地質学的価値のある場であり、それゆえそこにおける文化的価値もあるわけです。ですから糸魚川エリアは、ユネスコ世界ジオパークとして認定されているわけです。

★糸魚川の商品の背後の大切な意味を共有しながら商品を販売していくという探究型商品販売は、欲望資本主義とは違う新しい資本主義的な経済システムを予感させます。来春に向けてダボス会議は、資本主義から才能主義へというザ・グレート・リセットを唱えていますが、五十嵐さんの活動は、その先駆けかもしれません。

★つまり、解決するために何かを行うだけではなく、解決する新しい経済システムを生み出す可能性があるし、そのための企業の組織の新しい在り方にもチャレンジしているのです。(つづく)

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工学院インパクト(22)田中歩先生と振り返り、未来を展望する。PBL銀河計画③

前回のつづき「工学院インパクト(21)田中歩先生と振り返り、未来を展望する。PBL銀河計画②」

★田中歩先生は、すべての生徒が自らPBLをデザインすることができることを目標としているわけです。教師がPBLをデザインして、その中で生徒が生き生き積極的に主体的に学んでいたとしても、それは教師の掌の上での話です。それでは、限定的な主体性です。

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★教師のPBLでは、もちろん学びのテーマがあり、そのテーマについて生徒は学ぶのですが、同時にその学びのプロセスをモデルに、生徒自身が自分なりのテーマをみつけ、自分なりのプロジェクトを構想し、実行していくようになるというのが田中歩先生のPBL銀河構想です。

★そのためには、多くの経験をデザインし、生徒がそのいずれかの体験から自らのPBLを生み出して欲しいと。人間というのは、きっかけはいろいろですから、無限に用意はできませんが、そこは教師の経験で、「契機力」ある経験プロジェクトをデザインするわけです。

★しかしながら、その「契機力」だけに依存していても、すべてを網羅するわけにはいかないのです。

★契機力すら生徒がみにつけなければまらないのです。一見、自分の関心がなさそうでも、そこに興味のきっかけをみつけることができる「契機力」をです。「契機力」なんて変な日本語だよとお思いですか?

★田中歩先生は、英語の教師だから、これをOpprtunity Discovery Powerと了解しているわけです。

★このODPこそ、実はモチベーションの源だと田中歩先生は語ります。

★では、このODPとはどうやって身に付くのでしょうか?

★それは、「ことば」というメタ道具の力によってなのです。先日Zoom対話したときの図は上記のような感じです。

★「ことば」は思考の道具ですが、道具の中の道具です。そういう意味で、「ことば」はメタ道具です。道具の中の道具なので、とても難しいのですね。私がスマホやPCの機能をほとんど使えていないように、人間も「ことば」のすべての機能を活用することはでいていません。

★したがって、人間は壮大な歴史の中で、「言語」とは何か学び続けています。

★しかし、人間は生きていく生物です。「言語」とは何かすべて解明しなければ、生きていけないとなると厄介な話です。ですから、わかったところで、それを道具化して可視化します。代表例が「レゴ」ですね。

★ことばの一部の機能を「レゴ」化すると、互いに理解がしやすいという経験は多くの方々がしていることと思います。

★田中歩先生はバイリンガル教師ですから、英語と日本語を「ことば」というメタ道具として活用したり、言語という「道具」として活用したりと使い分ける対話を生徒と日々行っているわけです。

★だから、この「ことば」という「メタ道具」についての豊かな対話ができます。

★それにしても、田中歩先生は、このような「メタ道具」をすでに実装していて、デフォルトモードネットワークとして活用しています。すべてが身体化していて、いつでも発動できるような構えになっています。静かに笑顔をたたえていても、このネットワークが身体中で働いているのです。

★脳科学では、このモードは、1つのことに全集中しているときより、脳のエネルギー消費量は多いと言われています。したがって、デフォルトモードネットワークをリラックスモードネットワークにスイッチを切り替えるスキルも体得しています。その一つが家庭サービスなのかもしれません(笑)。

★デフォルトモードネットワークは、共感的コミュニケーションが生まれる泉です。

★リラックスモードネットワークは、マインドフルネスの森です。

★そしてこの泉と森の中からクリエイティブクラスが生まれます。

★この泉と森を活用してた学びの場こそPBL4CCということでしょう。

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2020年12月27日 (日)

2021年中学入試情報(06)栄東 アクティブラーニングも大学進学実績も痛快丸かじり

★埼玉エリアの栄東の第1回東大難関大入試は12月25日現在(日能研倍率速報)ですでに4,686名。昨年は6,200名だから現状では昨年対比68%。しかし締め切りは1月8日だから、昨年並みになるでしょう。

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★栄東のこの試験の応募者動向は、2021年の中学入試の受験生数の動向を見通す一つの試金石だから、1月8日時点で、横バイ以上だと、2021年の首都圏中学入試の応募者数は上向き以上になるだろうし、そうでない場合、パンデミックによるダメージがあったと判断できるかもしれません。

★そういう意味で、注視したい学校の1つです。

★それにしても、一貫してアクティブラーニングとインターナショナルクラスと大学合格実績のわかりやすい特色を前面に押し出している学校です。アクティブラーニングを行ったら大学合格実績はでないとか、大学合格実績を出すことが目的ではないとか、いろいろガタガタ言わずに、生徒にとって必要なものはすべてやる。以上。というのが爽やかでよいですね。

★埼玉を牽引するnew powerであることは明らかですね。

★それから、この第1回目入試は、3密を避けるために、場所を増設するのではなく、日にちを増設しました。6000人の応募者があっても、日にちを2回に分け、3000人ずつにするでしょうから、3密は避けることができるということでしょう。会場はどちらもグループ校のキャンパスを使用します。

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Fresh Service合同会社 CEO五十嵐健太さん 多様なペルソナとのかかわりが未来を生み出す(1)

★昨日午前中、Fresh Service合同会社 CEO五十嵐健太さんとZoom対話しました。ジョブスの制作した<Think Different>が予言しているような不思議な人物です。頼もしいし発想も豊かだし、めちゃくちゃプラグマティストでもあり、ミッションが強烈です。だからこそ実行力がすさまじい。最近学校における<new power>について探っているのですが、学校を超えるエネルギーを直観しました。だからといって、希望のエクソダスのように学校や日本を置いていくのではないのです。新「希望のエクソダス」がここにあると感じました。

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★タイトルに「多様なペルソナとかかわる」と記述しましたが、五十嵐さんは、ペルソナという言葉を常用しています。なんでもマーケティングの世界では、ターゲットとは最近呼ばないというわけです。もちろん、マーケットでペルソナと使っているからなんとなく使っているというわけでは全くありません。

★五十嵐さんにとって、同社の商品を売る場合、生産する人、消費する人、販売する人、購入する人というような分け方をしていません。とはいえ、そのような言葉を使わざるを得ない局面もあるでしょう。五十嵐さんが語る意味での新しい言葉が生まれるまでは、用意周到に形骸化したあるいは表層的な意味で使っているのではないことを熱く対話し続けながら、かかわっている人々と理解を共創造して仕事をしています。

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(村上龍さんが、作品を創る際に、インタビューなどした制作過程をノートとして痕跡を残していますが、五十嵐さんも同様のアクションをとっています。)

★この姿勢が、2000年に誕生した村上龍さんの「希望の国のエクソダス」とは違います。しかしながら、国外脱出はしないものの、こうしてあらゆる内的な意味を超えようとしています。しかもそれは、今語ったように、1人ではなく多様なペルソナとかかわってなのです。

★ですから、共に新しい意味を生み出していきますから、そこに価値や意義や理由が生まれます。その価値や意味や理由を生み出す過程をこれまた多様なSNSを駆使して、表現していきます。ペルソナ同士対話していきます。実はそれこそが、Fresh Serviceの商品でもあります。商品というより、新のサービスです。新のサービスと商品サービスは共通する意味はありますが、深さが実は違います。それはあとでまた触れましょう。

★ともあれ、このペルソナという言葉が、マーケティングで活用されるようになったのでは、SNSが拡大したころからでしょうから、Z世代が軽やかに使うのは当然です。

★そうそう、多くの方がご存知だと思いますが、五十嵐さんはZ世代高校生です。ですから、五十嵐さん自身CEOの顔だけではなく、聖学院高校1年生という顔ももっています。それからもう一つとても大切な糸魚川みらいプロジェクト実行委員会代表者の顔も持っています。

★五十嵐さん自身内的にも外的にも多様なペルソナをもち、同時に多くの方とかかわっているわけですが、その方々も1人ひとり多様なペルソナを持っています。

★現在のマーケティングにおけるペルソナは、エクソダスが生まれたころにトレンドだった「モノからコトへ」と呼ばれていた延長上にあることは確かでしょう。ターゲットという表現は消費者や購入者を「モノ」としてみなしてしまいがちです。しかし、当時キャラクターのプロフィール設定がトレンドだったように、彼らのニーズを掘り起こし、1人ひとりに最適化した商品を届けようとしていたわけです。この複雑な関係主義をコトと呼んでいたわけです。

★その掘り起こしのテクノロジーが「データマイニング」だったわけです。もちろん今でも使われています。五十嵐さんも、グーグルフォームで小まめにアンケート調査をしてマーケティングにおけるモニタリングを定期的に行っています。

★教育の世界の今のトレンドの「個別最適化」も同じような流れにあります。

★しかしながら、五十嵐さんは、そのペルソナを個人の性格やメンタルモデルの理解を互いに深めていく入口を示す言葉として活用しています。たとえば、糸魚川の生産者が、今回の新型コロナ感染予防のため自粛政策がとられ、販路を切断されて困っているということを対話によって共有するわけです。一方東京では、自粛によって買い物の機会が困難な人々がいて、そこでも対話がおこるわけです。

★もともと糸魚川みらいプロジェクトを行っているので、両方のエリアの人びととネットワークがありました。そのネットワークの人びととZoomやSNSで対話をし続け、互いのペルソナの声を聞き合うわけです。すると、新しいビジネスモデルがかかわった多様なペルソナからナチュラルに生まれてきたわけです。

★まさしく、新しいパートナシップマーケットの誕生です。五十嵐さんはSDGsを掲げないで、SDGsの背景にある世界の痛みを解決するビジネスモデルを創り上げてしまっています。

★世の中にあるSDGsを知ろうというワークショップを行うことは意味はあるけれど、いまここで世界の痛みはおこっている。目先のことを解決しようとしているのではなく、目の前のことは世界の痛みにつながっているのだから、それを解決するために多くのペルソナのパートナーシップを発揮しようよと身体が先に動いているわけですね。

★あっ、身体が先に動くという言い方は正確ではありません。五十嵐さんの場合は、事前に試行錯誤をしてテスト検証をしてからでないと動きません。動きながら考える、考えながら動く、そして決断材料を収集するということが同時進行で回転するのです。

★なぜそれができるのか、学習する組織ではなく、MI組織をマネジメントしているからです。(つづく)

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2020年12月26日 (土)

GLICC Weekly EDU(08) 神崎先生と鈴木さんの対話がおもしろい。エッジがきいています。

★昨日25日キリスト生誕を祝うクリスマスという時に、GLICC Weekly EDU 第10回「大学受験 総合型選抜のエキスパート神崎史彦氏との対話」が開催されました。大学受験における総合型選抜とIB教育(それに相当する海外の教育)を前提にしている帰国生入試との違いと共通点を対話することによって、総合型選抜の新しい価値が浮き彫りにされました。

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★個人名は出していませんが、神崎先生も鈴木さんも実際に合格した生徒の諸条件を念頭に、どういう取り組みをした生徒が合格したか、合格した生徒の思考の広がりや深さがどこまでか、その広がりと深さを追究していく行動の特性などについて、リアルに対話しています。

★大学入試であまり語られないシステム思考という切り口でも対話されています。

★メディアなどでは、国公立大学の一般入試でも90%くらい記述式問題を出題していると語るのですが、その記述が総合型選抜や帰国生入試とどのように違うかまでは論じません。

★これは、このような思考のレベルの違いに対する意識が現場ではそれほど高くないからということを示唆しています。メディアは原則取材ベースです。取材で獲得できなかった情報を流すことはないからです。

★大学受験における総合型選抜と帰国生入試で、生徒共に乗り切っている神崎先生と鈴木さんならではの話が盛りだくさんです。ぜひご視聴ください。

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2020年12月23日 (水)

2021年中学入試情報(02)持続可能なnew power shoolとして聖学院モデルがある。

★前回、2021年の中学入試(実は高校入試もそうなのだが)のテーマは「持続可能なnew power」とは何かであると書きました。受験生はすでに併願校をだいたい決めていますから、迷いはないとは思いますが、最後の詰めとして、2026年の時のことを考えてみるというのはどうでしょう。小3・4・5年生は、2027年、2028年、2029年のことを少し思い巡らしてみてはいかがでしょう。

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(環境問題を解決する本物の想いとテクノロジー実装の世界の情報がつまったドローダウンの書も、聖学院のタイ研修の冊子も利益のためではなく世界の好循環を生み出すボランティア精神の想いで出版されているという点で共通しています。これが世に生まれ出ずる原点とそこに巻き込む力は破格の体験から生まれます。)

★昨年までは、これからは予測不能な時代だと言われてきましたが、2021年は違います。予測不能な時代は来てしまっています。そしてこれからも予測不能ですが、私たちは来ない時点で予測不能だと言っていた時とは意識がもはや違っていますね。どういうことかというと、ユーザー意識だけではいけないということです。

★塾でも学校でもテストでも、他人が与えてくれるものをただ消費しているだけではだめで、自分でも創る側に立たなくてはならないということです。

★エっ、そんなことできるの?はい、できます。自分の眼で評価する・判断するという方法を創るということです。それには、自分の子どもが中学に入る時から卒業するまでのカリキュラムが、卒業時に進む未来に対応できるのかどうか見極めることです。

★そのぐらいのスパンは、もはや予測不能ではありません。今となっては、想定内の範囲でしょう。

★これ以上予測不能な事態が起こったら、そもそも私たちの存在の危機です。しかし、今回のパンデミックで気づいたことは、自分たちでリスクマネジメントすることの大切さです。

★すると、他者の判断を参考に、つまり使って教育をすることに疑問を持たないold power教師がたくさんいるところは最も危険だとリスクマネジメントできるはずです。

★old powerはヘビーユーザー意識のことを言います。ですから、old powerは年齢に関係ないのです。若くても物事のヘビーユーザーはたくさんいます。年寄りでも自分で創るのを重視するnew powerを持っている教師もいます。

★具体的には、聖学院をモノデルにすると、new powerが何か明快にわかります。首都圏模試センターのサイトに教育ジャーナリストのおおたとしまささんが投稿している次の記事があります。「(前編)新学習指導要領のさらに先を行く斬新なグローバル教育が始動」がそれです。

★まずはお読みください。すると、こんなすごいプログラムをPBL授業で日々行っているのかあ!!と驚くでしょう。これはnew power 教師のなせる業ですが、その教師の年齢は、若いも年寄りも、聖学院の場合はないのです。そもそも二人の教頭がPBLの達人なのです。そして、それ以上に、生徒がPBLよろしくいろいろな活動を行っています。

★中高生起業家もたくさんいます。そのプロジェクトを通じて世界大学ランキングトップクラスの海外大学にも進学しています。

★聖学院モデルは、new powerがいかなるものか、おおたさんの丁寧な記事を読めば了解できますね。

★さて、しかし、2021年は「持続可能なnew power」がテーマです。new powerがいかなるものかわかったけれど、「持続可能」とはどういうことか?聖学院の場合、おおたさんが記事にする前からPBLを行ってきました。しかし、それはカラシダネのようにだんだん成長してきたのです。これからも成長します。

★つまり、アップデートし続けているのです。これからもますます進化するでしょう。

★なぜそんなことが言えるのか?それは、聖学院は他校ではなかなかできない破格の経験を基盤にしているプロジェクトがいくつもあり、それを授業のエネルギーに変換するPBL連鎖が循環しているからです。

★その中でも、タイ研修は突き抜けています。国際バカロレア(IB)は、7年に一度大きくプログラムを変更しますが、毎年アップデートされています。そのエネルギーは、コアにあるCASという創造性と芸術と奉仕活動にあります。このCASは破格です。

★IB創設にかかわったクルト・ハーンは、IBにこの破格の体験としての奉仕、つまりボランティアを導入したのです。これはナチスと自分の命をかけて教育で戦い抜いた体験が源泉です。これぐらいでなければ民主主義は守れない、世界平和は生み出せないという覚悟を今ではIBは10の学習者像で再構築しています。

★このクルト・ハーンと同じ原体験をしているのが、麻布の創設者江原素六です。気概や覚悟は、この破格の体験である原体験から生まれます。まさにそれこそプロジェクトの原点です。

★聖学院のタイ研修は、この命の危機に瀕しつつも、聖学院の生徒を笑顔で迎え入れるタイやミャンマーの子どもたちとの生活を通して、存在の重さとその脆さにショックを受けて、たとえば、SDGsなんて富裕層の陰謀論だとか気の抜けたことをいう政治家や大人たちとは真逆の覚悟をもって学ぶ覚悟を決める生徒を生み出します。

★沖縄平和学習も糸魚川農村学習も、日本にいあながら世界の痛みと同根のものに心射抜かれる衝撃を受けて、学ぶコトの重要性を受けとめる生徒を生み出します。

★このエネルギーが尽きぬない限り、聖学院は永遠に持続するnew powerを生成し続けるでしょう。グローバルとはそういう世界の痛みを引き受けることだし、その痛みを乗り越える道具としてイノベーションへの飽くなき追究があるわけです。

★もし、東大がそういう思いで研究する拠点であれば、聖学院の生徒はわざわざ海外の大学にいかないかもしれませんね。

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