創造的破壊

2022年9月30日 (金)

教育の質の高い中身を選択する時代(06)高校受験情報誌「my SPECIAL ONE」の巻頭座談会の意味⑤

★今回の巻頭座談会で、北一成さん(首都圏模試センター取締役・教育研究所長)が4番目に振ったのは、立石哲也さん(個太郎塾北赤羽教室・浅草教室室長)。立石さんは、ご自身で個別指導塾を経営していると同時に、首都圏模試センターの個別指導CPPリーダーとしても活躍しています。つまり、自分の塾だけではなく、多くの個別指導塾の市場を盛り上げる活躍をしているわけです。塾の先生、塾の経営者、マーケティング・コンサルタントというマルチプレイヤーです。

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★立石さんは、セミナーや会議では、いつもラディカルなトークで、多くの人の慣習的な発想や固定観念をゆさぶる衝撃波を放ちます。しかし、驚かして終わりではないのです。気づきを生み出して幸せな雰囲気を作ったり、驚き不安がる人にはちゃんとフォローをする愛情があります。熱情と愛情とレトリックの人です。リーダーのモデルですね。

★今回も、「学校選びにあたっては、まず偏差値と内申を考えないでいただきたい!」と放ちます。何言っているんだ、考えないわけにいかないではないかとムカっと来る人もいるでしょう。そんなことできるのと不安がる人もいるでしょう。

★しかし、この話の背景には、「推論のはしご」というメンタルモデルの罠の論理が隠れています。

★大概の場合、私たちは、「私の信念は正しい」「真実は明らかである」「私の信念は現実に基づいている」「私の選んだ事実は、本当の事実」である」というところから出発します。しかし、それが思い込みだったら、どんなに論理的に思考しても、どんどんはしごを登っていくうちに最終的には誤謬の地点に登り立ってしまいます。

★だから、立石さんは、偏差値や内申はいったんかっこにいれて、その限界を外して学校を眺めてごらんということなのでしょう。

★それは部活にも言えますよと。最近部活のあり方は、学校の働き方改革で、かなり様子が変わってきています。

★自分がどのような部活のあり方を望み、高校にあるその部活が、自分の部活のあり方とマッチングするかどうかは確かめなさいと。

★学校選びは、推論のはしごのパラドクスに陥らないようにしなさいと。立石さんのレトリックの背景には、冷静なロジカルシンキングが働いています。論より証拠、立石さんは思考コードの達人です。

★学校選択のための思考様式のモデルになると思います。

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教育の質の高い中身を選択する時代(05)高校受験情報誌「my SPECIAL ONE」の巻頭座談会の意味④

★今回の巻頭座談会で、北一成さん(首都圏模試センター取締役・教育研究所長)が3番目に振ったのは、青木顕太さん(個太郎塾川口教室・戸田公園教室室長)。青木さんは、公立中学校の教員経験もあるため、リアルな学校の状況や高校入試の閉塞状況を理解しています。だからこそ、高校入試や学校の教育を変えたいというモチベーションがずば抜けて高い人物です。

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★なんといっても、グローバルな視野かつ留学の意義など具体的な情報を豊富に持っています。1つの地球という立ち位置から教育を観ながら、同時に極めて現場で子どもたちが悩んでいるリアリティのある問題に真剣に向かい合う教育実践家でもあります。

★たとえば、自分の偏差値に合わせて同偏差値の学校を選択して入学したとします。すると、自分のペースと合わないため、退学・転学するという生徒もいます。高校進学率が97%以上になっているということばかりが注目されていますが、退学・転学率というのがいかに多いかは、統計がないですね。ただ、通信制高校の在学生が年々増えるというのは、退学・転学率も増えているということでしょう。

★通信制高校は、入学の時の生徒数より卒業生の生徒が増えているケースが多いのですが、それは退学・転学率がある程度高いということを示唆しています。

★ですから、青木先生は、生徒と学校情報の非対称性を無くそうと提案します。生徒目線で、学校情報を伝えられたらということと、学校情報を伝える場合、同じ目線で発信しようということですね。

★同じ目線でとはどういくことか?一人のジャーナリストやライターがすべての高校情報を書けば、一定の基準で学校を比べられるわけです。そういうジャーナリストが5人くらいいて、5冊分厚い情報誌を出せば、それぞれのライターの文章の中で比較し、かつそれぞれの情報誌を比較すれば、かなり生徒にとってはマッチング学校が見えてくるというわけですね。

★ところが、そんなことは不可能です。それで、情報誌を編集するメンバーがミーティングを重ね、コンセプトや価値観のすり合わせをして、一定水準の基準を共有=同じ目線で編集していくことが大事なのだと。

★それゆえ、今回8人の高校情報誌創刊プロジェクトメンバーが毎週のように制作会議を重ねてきたのでしょう。制作会議の合間に山下さんが「思考コード」の勉強会を開いていたのは、思考コードについて共有するという目的もあったでしょうが、実はコンセプトや価値観を共有する時に思考コードの理解は有効だからです。

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教育の質の高い中身を選択する時代(04)高校受験情報誌「my SPECIAL ONE」の巻頭座談会の意味③

★今回の巻頭座談会で、北一成さん(首都圏模試センター取締役・教育研究所長)が2番目に振ったのは、山下一さん(首都圏模試センター代表取締役社長)でした。北さんと山下さんは、日本の教育改革推進の盟友です。大学入試改革前に生まれた中学入試市場における英語入試や適性検査型入試、プレゼン入試、プログラミング入試、思考力入試、得意科目入試など新タイプ入試を開発する私立中高一貫校を応援し、新タイプ入試ー総合型選抜という中学入試ー大学入試カップリングのトルネードを生み出すのに一役買ったのです。そして、このような体験型入試は、多角的な評価基準が必要です。だったらと、思考コードというメタルーブリックを創り、中学入試の世界で実現してしまったのです。

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★ですから、山下さんは、その気概を高校入試にも適用したいと思っているのです。言うまでもなく、お二人は、今回のシン・高校受験情報誌創刊の仕掛け人です。そして二人の人柄が、多くの仲間を新しい世界に導くことになったのです。

★山下さんは、高校受験の学びは、自分の未来への選択の始まりだと語ります。受験科目の勉強だけではなく、自分の未来を開く魅力的な教育の中身をしっかりリサーチしようと。

★とはいえ、そのような「教育の魅力情報」は、限られた高偏差値の高校に限られ、他の私学の「魅力情報」を自分で収集するのは難しい。それに大学入試と直結する高校教育は、総合型選抜のような新しいタイプの大学入試においては、高校時代にどのような体験を積み上げてきたかが問われるので、それは体験してみなくてはわからないというものが多くなってきています。

★だったら、私立高校進学フェアを企画し、各私学の「教育の魅力情報」を講演スタイルで発信し、同時に各私学の体験型授業を行ってしまえと7月に行ったのでした。この行動力!凄まじいですね。

★そして、高校時代には、大学に合格して終わりではなく、大学でも活躍できる資質・能力を身に付けよう。そのためには、骨太で本物の教育の魅力のある学校を選択しようと語るのです。

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教育の質の高い中身を選択する時代(03)高校受験情報誌「my SPECIAL ONE」の巻頭座談会の意味②

★高校入試の複合的な壁。この壁は実に不思議なパラドクスの産物です。明治維新以降、一高→東大という学歴社会の原型ができ、やがて、府立一中→一高→東大というエリートコースができます。明治維新以降の優勝劣敗主義、権威主義ができあがっています。戦後、現在の教育制度に移りますが、府立一中は日比谷高校となります。しかし、東大を頂点とする学歴社会の強化の役割を日比谷高校は担ってしまいます。これもまた実はパラドキシカルです。戦後民主主義は、平等、自由、博愛をコンセプトにするわけですから、権威や世襲や門地、門閥に関係なく、学力実力主義で、成功を獲得できるので、大学入試によって未来が拓けるのは当時は善だったわけですね。

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★ところが、特定の小・中学校→日比谷高校→東大というエリートコースと呼ばれた固定化されたラインができてしまうと、そこは新たな権威主義を生み出します。おそらく、そういう偏狭主義的な事態をなんとかしようと、1967年に学校群制度が実施されることになります。

★そして、1971年以降実施された現代化カリキュラムという詰め込み教育という言葉で表現される学習指導要領ができ、学力格差が思い切りでき、日比谷高校もその影響を受けます。

★このころから、私立中高一貫校が東大を頂点とする大学に合格させるようになっていきます。

★文部科学省は、一方で現代化カリキュラムを、その後ゆとりカリキュラムといわれることになる学習指導要領の改訂を繰り返していきます。ますます都立高校の学力的な差が私立学校とできていきます。

★それゆえ東京都の方は、2001年以降、進学重点校や都立中高一貫校の設置など、公立の巻き返しを図ります。日比谷高校は、今では東大合格者を多数輩出し、毎年注目されるようになったのは、周知の事実です。

★ざっくりわかりやすい変化を挙げてきましたが、これらは、みな制度設計の変更によって生まれています。戦後の制度設計の変更は、いずれも民主主義的原理に照らし合わせて策定実施されてきました。しかし、必ずしもうまくいっていないわけですね。そのうまくいっていない課題が制度設計の変更の度に生まれ、解決されないまま制度変更がなされてきたため、それらの課題が複合的にいくつかの壁を作りだしているのが高校入試の壁です。改善したいという理由で変更したのに、それが壁になってしまう。パラドクスです。

★この壁にどのようなものがあるのかは、首都圏模試センター取締役・教育研究所長北一成さんが、今回の巻頭座談会でまとめていますから、いずれ紹介します。ここでは、そのような壁をどう乗り越えるのか、プロジェクトメンバー1人ひとりがアイデアを述べていますから、しばらくそれをみていきます。

★まず、庄司正義さん(シンクアンドクエスト取締役社長)。庄司さんは、現代の高校入試の原型は生徒急増期につくられたものだから、生徒減少急激の現在には適合しなくなったという認識をまずもったほうがよいのだというわけです。そして、高校生人口急増期に進学率も90%を突破するようになります。現代化カリキュラムもはじまる時と重なりますから、個別最適化などなかった時代です。どうなったか想像するに難くないでしょう。

★もちろん、ゆとりカリキュラム化の過程を経たり、反ゆとり教育になったり、両方を統合する今回の学習指導要領になったりとかするわけですが、高校入試の制度設計の大枠が変わらないわけですね。

★これを突破するには、教育の中身の変更に合わせた入試制度の変更もしたほうがよいと。

★教育の中身は、「主体的・対話的で深い学び」と「ルーブリック評価」と「個別最適化」と「協働学習」などがキーワードになっています。

★したがって、庄司さんは、こう言います。「受験生・私学・公立中学3者が使える評価軸の創設がポイントです」と。

★現在でも、受験生・私学・公立中学3者は、入試相談などで、情報を共有することはできるのですが、対面で、互いの評価基準のすり合わせをするのであって、共通基準に照らし合わせるのではないのです。基準がバラバラだから、個別に会ってみなければわからないのです。わからないので、中学側は、過去の経験データに基づいて進学指導をせざるを得ないのです。未知なる学校は、合否が読めないわけです。

★高校進学率が100%に近くなっている今、合格が読めない進学指導はできないのは当然です。

★じゃあ偏差値がいいじゃないかという方もいるかもしれませんが、それはさまざまな問題を生んできたから、制度設計の改訂が行われ続けてきたのです。ですから、別の軸を作る必要があるということでしょう。

★多角的な評価軸の共有。これは、新学習指導要領のねらいでもあります。

★庄司さんのアイデアは、夢物語でもなんでもなく、現実化への道が文科省によってもなされつつあるという裏づけに基づいています。

★おそらく庄司さんの会社では、当然ながら、この新しい軸を開発しつつあるのかもしれませんね。今は、アプリでそれが可能だからです。AIを導入するともっと複雑な計算ができますし、基準を作りだしてもくれます。

★今回のプロジェクトミーティングは、回数を重ねるほど、いろいろなアイデアと、ICTによる実効性が議論されているはずです。どこかで手ごたえを感じているからこそ、この動きが生まれているのでしょう。ここに未来の教育を生む希望があります。

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2022年9月29日 (木)

教育の質の高い中身を選択する時代(02)高校受験情報誌「my SPECIAL ONE」の巻頭座談会の意味①

★高校受験情報誌創刊プロジェクトメンバー8人による巻頭座談会が圧巻です。高校受験の現状分析により7つぐらいの壁を見出し、それらをクリアするにはどうしたらよいかという現実と理想のギャップを埋める具体的アイデアが満載だからです。これほど明快な分析と解決策およびシン・高校情報誌創刊という実行力は、新しい受験市場を牽引するエネルギー源です。

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★創刊プロジェクトのメンバーは、編集にあたり、今年の5月から7月にかけて、毎週Zoom勉強会を開催してきました。多くの学校の先生方と編集者の方々も加わり、10回も行ったのです。私も何回か参加しました。いつも目からウロコで、勤務校の広報活動や体験ワークショップをアップデートするヒントを頂きました。ありがとうございます。

★そして、この勉強会は、7月16日、駒込中学・高等学校で「私立高校進学フェア」としても結実しました。講演会と私立高校11校の体験授業が並行進化するイベントでした。コロナ禍のため、これまでなかなかお会いできなかった私学の先生方と対面で前向きな対話ができたのも実り豊かでした。

★さて、座談会で話されているプロジェクトメンバーを紹介しましょう。

北一成さん(首都圏模試センター取締役・教育研究所長)

庄司正義さん(シンクアンドクエスト取締役社長)

山下一さん(首都圏模試センター代表取締役社長)

青木顕太さん(個太郎塾川口教室・戸田公園教室室長)

立石哲也さん(個太郎塾北赤羽教室・浅草教室室長)

菅原祐二さん(ミライクリエ代表)

野尻幸義さん(首都圏模試センター教材開発ディレクター)

北岡優希さん(ノイタキュード代表)

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2022年9月28日 (水)

教育の質の高い中身を選択する時代(01)首都圏模試センター シン・高校受験情報誌創刊!

★中学受験専門の模擬試験会社である首都圏模試センターが、シン・高校受験情報誌を創刊しました。その名は「my SPECIAL ONE」。受験生1人ひとりの“スペシャル”になる学校を見つけるための情報誌というコンセプトのようです。

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★創刊号では、そのスペシャルになる学校20校が取材され紹介されています。取材記事は、写真が多用されているため、わかりやすくそれぞれの学校の特徴が印象付けらるように工夫がされ、詳しくはQRコードで首都圏模試センターのサイトの記事に飛ぶようになっています。

★まずは、ざっと20校目を通して比較して、「自分というスペシャルな存在」に適合する「スペシャルな学校」をマッチングし、それから続きはサイトに飛ぶという仕掛けです。勤務校の聖パウロ学園も紹介されています。ノイタキュード代表の北岡優希さんに取材して頂きました。パウロの森という自然をベースにしたGXの「先進的教育環境」や探究ゼミなど「コア教育機能」、ボランティアなどの「バッファー教育機能」にも触れていただいています。

★また、数学科の数学的思考の発想の研究についても、つまり「リベラルアーツ」の現代化のフィールドまで執筆して頂いています。

★総合型選抜メインなので、キャリア教育は、一般選抜向け受験指導とは違っている点については、教育ジャーナリストの中曽根陽子さんの提案している7つのポイントでスコア化されているので、わかりやすいですね。中曽根さんは、同号で「しあわせな高校受験」という記事を掲載しています。

★なぜ「しあわせな高校受験」なのでしょう。それは、時代はすっかり変わり、教育の中身が多様になり、質も高まっている学校も増えているからです。ところが、あえて「しあわせな高校受験」と言わなくてはならないのは、幸せの青い鳥が近くにあるのに、その情報をまだまだ知らないという事情があるのです。

★このSNSを見事に使いまくっている情報の時代に、なぜそれぞれの高校の魅力情報をゲットできないのでしょうか?タブレットやPCなど1人1台になったので、これから高校の魅力情報をゲットする時代であることは確かです。

★しかし、従来の高校受験情報誌は、偏差値ランキングや大学合格実績の情報がメインで、高校の中身の情報といっても、高偏差値の学校に偏っていたということがあります。

★そこで、首都圏模試センターは、高校の模擬試験会社、プラットフォーマー、教育ジャーナリスト、教育広報の専門家などなどの仲間を集めて、偏差値にかかわりなく、魅力的な教育を行っている学校の情報を発信することにしたようです。

★教育の魅力は、「先進的教育環境」「コア教育機能」「バッファー教育機能」の3構成要素の掛け算で映し出されるというのが私の最近の仮説です。同情報誌で紹介されているいくつかの学校をこの3構成要素で分析していきたいと思います。勤務校に導入できそうな魅力的教育は、参考にさせていただきたいと思っています。

 

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トランジション教育型学校(8)コア教育機能のクオリティC軸の八雲と工学院 SDGsウォッシュを超えて

 ★八雲学園(以降「八雲」)と工学院大学附属(以降「工学院」)は、3年ぶりのラウンドスクエア国際会議(RSIC)にオックスフォード大学に渡英しています。閉幕したようですからもう帰国するでしょうが。このこのことについての概要や意義は前回紹介しました。ここでは、RSICのキーノートスピーチで講演したオックスフォード大学のディーター・ヘルム教授が登場してきた意味について妄想を述べたいと思います。

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★ヘルム教授は、オックスフォード大学エネルギー政策教授でオックスフォード大学ニュー・カレッジ経済学研究員のようです。英国エネルギー・気候変動担当国務長官の経済諮問グループのメンバーで自然資本委員会の委員長も務めていたようです。その経験やリサーチを通して積み上げた実績は、環境、エネルギー、公益事業政策へ貢献したと評価され、2021年の新年栄誉賞で爵位を授与しました。それで、ラウンドスクエアでは、Sir Dieter Helmとして紹介されたようです。

★2012年に出版された「カーボン・クランチ」は衝撃的で、再生エネルギーと環境規制を厳しく実施している欧州の政策のジレンマについて論考し、どうやら規制よりもイノベーションの方が合理的なのだと提案したようです。気候変動に関しては、たびたびメディアでもコメントを求められています。

★同書は、SDGsが登場する以前に出版されています。すでにSDGsウォッシュへの警鐘を鳴らしているといえます。警鐘を鳴らすだけではなく、提案もしているわけですね。2020年に“Net Zero”という本も世に出しています。

★要は、規制と再生エネルギーの運営は、助成金など莫大で本当に気候変動に対応できるのかということです。それよりもイノベーションを押し進めたほうが、合理的で最終的にコストも低くできるし、規制も緩和できるし、well-beingになれるのではないかというのでしょう。

★これは、ドネラ・メドウズが、すでに「成長には限界があるが、愛には限界がない」と科学的なリサーチを行いつつ語ったとことにシンクロしている可能性がありますね。

★リチャード・フロリダ教授が、クリエイティブクラスの登場によってグレートリセットが起こると論考したのにも同期します。それに対応するかのように、パンデミックに対応するためにダボス会議で、グレイト・リセットを真面目に議論していたように、やはりそこに到っているのです。

★もちろん、SDGsウォッシュもドネラが「ジェスチャーが悪いというわけではないが、根本的な問題を見失わないようにね」と言っているようにそれなりの意味はあるでしょうが、ラウンドスクエアは、もっと広く深く考え対話をする機会を創っているわけです。

★そこに、ラディカルかつ市場経済の持続可能性も考えるまさにラウンドスクエアの理念とシンクロするヘルム教授を登壇させたわけですね。

★爵位を有しているヘルム教授を日本に招いたとしたらいくらかかるんのでしょう。ふだん私立学校で大学の先生を招いてお支払いする額の何十倍ものお金がかかるでしょう。しかし、ラウンドスクエア認定校は、渡航費・宿泊費で、講演を聴けるわけです。

★今回の国際会議のテーマ“Take less:Be more.”にぴったりです。もちろん、講演料のことではありません。気候変動に対応する経済政策の話でしょう。コストをかけずに、SDGs以上の達成をしようということでしょう。成長には限界があるのだから、欲望とモチベーションの違いを冷静にメタ認知して、愛には限界がないのだから、みんながwell-beingにするには、制度設計をシンプルに、イノベーションを生み出せる自由で創造的な環境設定をということでしょう。

★実際八雲の生徒や工学院の生徒は、もっと興味深い気づきや発想を持ち帰ってくるに違いありません。いずれインタビューしようと思っています。

★さて、ラウンドスクエア認定校でない学校の生徒はどうしたらょいでしょう。DXや英語のスキルの高い生徒たちといっしょにSDGsの現状とそれに対する異論反論を論じているヘルム教授のような海外の識者の情報や文献をちゃんと読むところから始めるとよいですよね。もちろん、ボランティア活動と企業活動のフィールドワークをしながら。

★なぜなら、身近なボラティア団体や中小企業は、すでにグローバルな活動をしているので、海外に行くチャンスがない生徒にもone earthは開かれているのですから。ただ、そのようなことを私たちもしなくてはならないモチベーションをラウンドスクエアの国際会議の情報は与えてくれます。貴重な情報だと思います。Webに情報を発信してくれている八雲、工学院、及び参加しているラウンドスクエアの他の多くの認定校のみなさん、ありがとうございます。

以下は、上記記事をdeepLで翻訳した英文。

 Transition Educational Schools (8) Yakumo and Kogakuin on the Quality C Axis of Core Educational Functions Beyond the SDGs Wash


Yakumo Gakuen (henceforth "Yakumo") and Kogakuin University Affiliated (henceforth "Kogakuin") are traveling to the University of Oxford for the Round Square International Conference (RSIC) for the first time in three years. It seems that the conference has closed, so they will be returning home by now. An overview of this and its significance was presented in the previous issue. Here I would like to express my delusion about the significance of the appearance of Professor Dieter Helm of Oxford University, who spoke at the RSIC keynote speech.

Professor Helm is Professor of Energy Policy at Oxford University and a Research Fellow in Economics at New College, Oxford University. He appears to have been a member of the Economic Advisory Group to the UK Secretary of State for Energy and Climate Change and Chair of the Natural Capital Committee. His experience and the accomplishments he has built up through his research have earned him a knighthood in the 2021 New Year's Honors list for his contributions to environmental, energy, and utilities policy. So it seems that Round Square introduced him as Sir Dieter Helm.

His 2012 book, "The Carbon Crunch," was a revelation, discussing the policy dilemma of Europe's strict enforcement of renewable energy and environmental regulations, and apparently suggesting that innovation is more rational than regulation. He is frequently asked to comment in the media on climate change.

The book was published before the SDGs emerged. It can be said that it is already sounding alarm bells about SDG-washing. So you are not only sounding the alarm, but also making a proposal. We have a book coming out called "Net Zero" in 2020.

The point is that the regulations and renewable energy operations are so huge, with so many subsidies, etc., that they really can't cope with climate change. Instead, it is better to push innovation, which is more rational and ultimately less expensive, less regulated, and more well-being.

This may be in sync with what Donella Meadows has already said with her scientific research, "Growth has limits, but love has no limits.

This is also in sync with Professor Richard Florida's argument that the Great Reset will occur with the advent of the Creative Class. As if in response to that, we are still getting there, just as we were seriously discussing the Great Reset at Davos in response to the pandemic.

Of course, the SDGs wash is not a bad gesture, as Donnella says, "I'm not saying it's a bad gesture, but let's not lose sight of the underlying issues," but Round Square is creating an opportunity to think more broadly and deeply and have a dialogue. But it is also an opportunity to think more broadly and deeply and to engage in dialogue.

I wonder how much it would cost to invite Professor Helm, who holds a knighthood, to Japan. It would cost dozens of times more than what private schools usually pay to invite a university professor. However, Round Square accredited schools can listen to the lecture with only the cost of travel and accommodation.

This fits perfectly with the theme of this international conference, "Take less: Be more. Of course, we are not talking about the lecture fee. It is about economic policies to cope with climate change. It will be about achieving more than the SDGs without incurring costs. It would be about a calm meta-awareness of the difference between desire and motivation, since there are limits to growth, and since love has no limits, it would be about simplifying the institutional design and setting up a free and creative environment that can generate innovation in order to make everyone well-being.

In fact, Yakumo students and Kogakuin students must bring back more interesting insights and ideas. I plan to interview them at some point.

Now, what should students from schools that are not Round Square certified do? I think it would be a good idea for them to start by reading information and literature from overseas experts such as Professor Helm who discuss the current status of the SDGs and the arguments against them. Of course, while doing fieldwork in volunteer and corporate activities.

Because the volunteer organizations and small and medium-sized enterprises around us are already engaged in global activities, so ONE EARTH is open to students who do not have a chance to go abroad. However, the information from Round Square's international conferences motivates us to do such things as well. It is valuable information, and I thank Yakumo, Kogakuin, and the many other Round Square accredited schools that are participating for putting the information on the web.

Translated with www.DeepL.com/Translator (free version)

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2022年9月27日 (火)

2023年度入試覚書(03)八雲学園と工学院大学附属 オックスフォードでラウンドスクエア国際会議に参加

★ラウンドスクエア(RS:Round square)認定校の八雲学園(以降「八雲」と工学院大学附属(以降「工学院」)は、それぞれ高1・高2のメンバー6人が、オックスフォードで行われているラウンドスクエア国際会議(RSIC:The Round Square International Conference)に参加しています。

★コロナのために、2019年にインドで行われたきりで、久しぶりの対面によるRSCI。満を持してという感じがするのは、RSの拠点イギリスのオックスフォード大学で開催されたからというのもあるだろう。

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(写真は、八雲と工学院とRSのサイトから)

★今回は第53回目のRSIC。世界50カ国の認定校から800人以上の代表者が集まり、顔を合わせ、イギリスの今を代表する見識者のキーノートスピーチを聴き、世界の課題を語り合ったり、互いの文化をプエレゼンしたりします。後半は、英国の4校に分かれて、それぞれの学校のアドベンチャープログムやボランティアプログラムを体験します。もちろん、授業も。

★これは、RSの理念である"I.D.E.A.L.S.(「国際理解」、「民主主義の精神」、「環境問題に対する意識」、「冒険心」、「リーダーシップ」、「奉仕の精神」)を体験する目的があります。

★現代世界で起こっていることは、まさにこのI.D.E.L.Sを揺るがす出来事です。オックスフォードで、行う大切な意味はここにあります。

★RSの創設者は、ドイツ人でありながら、ファシズムに抗い、危機一髪で、先日亡くなられたエリザベス女王の夫となるエディンバラ公などの尽力で、イギリスに亡命。この命をかけた体験があったからこそ、クルト・ハーンは、I.D.E.L.Sという理念を持続可能にする教育を創ることに生涯をかけたのです。

★彼は、IBの一号店アトランティック・カレッジの創設にもかかわっています。

★したがって、RSやIBの意義とは、今こそ注目されなければならない、先進的教育環境です。

★八雲と工学院は、このRSの理念を継承するために教育を実施していると言っても過言ではありません。これぞトランジション教育の構成要素の一つである先進的教育環境のスーパーハイスペックなシステムです。

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2022年9月25日 (日)

2023年度入試覚書(02)桜美林 myTYPE9月号の記事を読んで

★myTYPE2022年9月号に桜美林中高の記事が掲載されています。創設者清水安三とキリスト教学校やキリスト教学校建築、病院、メンターム製造など自律した聖職者ヴォ―リズとの出会いからはじまる桜美林のキリスト教の精神と「主体的・対話的で深い学び」を実践している教科授業の連携について実に臨場感ある記事になっています。

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(堂本陽子校長:写真は同校サイトから)

★11支部で、堂本校長とお会いしたり、勤務校の生徒が桜美林大学を受験する準備などに接しているということもあり、同校の教育の質の高さと愛に満ちている雰囲気については知っているつもりでした。

★また、同校の社会の一般入試の思考力型問題を使って、多くの学校の先生方と思考コードを使って入試問題を分析するのかオンラインワークショップをノイタキュード代表北岡優希さんと協働して行っていたこともあって、授業の深い学びについても理解しているつもりでした。

★しかし、同記事を読んで、自分の理解は間違ってはいなかったが、まだまだ浅薄であったことに気づきました。首都圏模試センターの編集者部隊の情報収取のアンテナの大きさと教養・見識に感服しました。

★それにしても、堂本先生が校長というのは、清水安三を支えた妻の郁子さんの存在に光が当たる可能性があるのではないかと思っています。

★桜美林とはアルザスの牧師オベリンの名前に由来しているらしいのです。清水安三と清水郁子は、このオベリンの名前をつけた名門リベラルアーツカレッジで出会っています。近江に行き、市立図書館にいくと、清水安三とヴォーリーズの出会いの資料だけではなく、郁子の教育論と桜美林の関係についての論考も見ることができます。

★オベリンリベラルアーツカレッジは、創設以来共学校です。当時、今でいうジェンダー問題を解決する共学校化の運動が米国にはあったようです。郁子はその影響を受けているようです。

★今でいう、SDGs的な発想があったのでしょう。このSDGsのルーツは、ドネラ・メドウズという女性の研究者ですが、時代を超えてどこか郁子とドネラの精神はシンクロしているのではないかと勝手に思っているわけです。

★すると堂本先生も女性ですし、牧師でもあるわけですから、やはり同じ視点や精神があるのではないかと思うわけです。

★キリスト教精神は、イノベーションと貧しき人々、虐げられている人々、困窮している人々を決して忘れないという2つのベースが統合されています。

★ここに未来の希望はあるのではないかと。同記事を読んでますますそう感じ入ったわけです。

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2023年度入試覚書(01)動向や人気校 上半期ホンマノオト21ベスト20から気づいたこと

★またも沸騰受験列島の時期が来ました。本ブログは入試情報や教育情報、組織論、学習理論など思いついたことをつぶやいています。ですから、上半期(4月から9月)までのアクセスランキングベスト20の記事を眺めて、入試や教育全般について2023年度の動きをざっくりメモしておきます。

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★学校としては、三田国際学園が圧倒的人気を誇っていることがわかります。洗足学園、八雲学園も人気ですね。おもしろいのは、東京における人気の区は人気私立学校が数多くあるのではないかという仮説をメモった記事が人気であり、世田谷区の記事も注目されている点です。

★どういうことかというと、まさに世田谷区に三田国際があるわけです。八雲学園は目黒ですが、隣接エリアです。洗足も多摩川を超えるとすぐにありますから、隣接地帯です。これらの学校については、先日GLICC代表の鈴木さんとYouTube配信の番組GWEで語った通りです。トランジション教育型学校であり、その中でコア教育機能がC軸タイプの学校です。このタイプの学校については、ぜひ動画をご覧ください。

★また、このトランジション教育型学校の中でも21世紀型教育校は先鋭的で、C軸タイプですから、進取の気性に富んだビジョンを有している保護者には、関心をもたれているということがわかります。というのも、本ブログにアクセスしてくださる方は、基本プログレッシブな教育に興味と関心を持っている方が多いからです。

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★11位以降をみると、麻布のように伝統と革新を統合させる学校も人気があることがわかります。成城学園、工学院大学附属、静岡聖光学院、富士見丘も、やはりトランジション教育型学校で、コア教育機能がC軸タイプの先進的な学校です。

★神奈川で行われている女子校の合同説明会<shishokukai>にもアクセスが集まっているのは、この会を運営している学校がプログレッシブだからということもあるでしょう。

★それにしても、1位が、革新的教育×自己変容型教育について論考したもので、特に最近増えてきた学校と塾の連携についてメモしたものであるというのは、脱ピラミッド型発想の流れが加速度的になって来ているということなのかもしれません。偏差値というピラミッド型競争主義から才能を見出す市場の創出が勢いづいてきているのかもしれません。

★そして、その流れをうまく取り入れようとする学校が出現してきていて、塾機能や株式会社機能も自前で持ち始めたつえで、塾などの外部団体と連携するという新しい化学反応が生まれようとしているのかもしれません。

★それを象徴しているのが、校名変更、共学化、先進的教育をベースにした改革を実施しようとしている「星の杜中高」なのかもしれません。カトリック校におけるこのような動きは、すでに聖ドミニコ学園、サレジアン国際学園、サレジアン国際学園世田谷でも生まれています。

★伝統主義だと思われているカトリック学校は、伝統主義ではなく、普遍主義だという認識に立てるので、自己変容型学校になり得るのかもしれません。

★そうそう、聖ドミニコ学園も、サレジアン国際学園世田谷も世田谷区の私立学校です。

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