創造的破壊

2024年6月14日 (金)

一部の生徒しか得意でないからそのカリキュラムはダメだというパラドクス

★以前から結構耳にする言葉「一部の生徒しか英語ができないようなカリキュラムはだめだ」「一部の生徒しかICTのスキルが向上していないようなカリキュラムはだめだ」というのは、ちょっと考えるとどこかがおかしいと思いませんか?

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★世の中、英語やICTだけではなく、国語でも数学でも、化学でも、歴史でも、みんなができるカリキュラムなんてあったためしかないのですから、もし先の言葉が本当なら、みなダメなカリキュラムですよね。でも、そんなことをいう人はこれまたいないのです。

★思考というのは、「置き換え」が得意なので、その視点で見ると、実は、「英語ってそんなに必要なのか」とか「ICTってそんなに必要なのか」といいたいところ、「公平性」というウケのよい考え方を部分的に適応して語っているレトリックにすぎないのです。

★そんなにすぐれたカリキュラムやプログラムだって、生徒によってはうまくいく場合もそうでない場合もあるわけです。

★だって、生徒一人ひとりは個性もあるし、才能もあるからです。個別最適化というのは、本来その生徒一人ひとりの個性や才能に合わせた学びの環境をデザインすることなのでしょう。

★ところが、個別最適化によって、デコボコの学力をみな同じにしようというようなお話ですから、個別に面倒を見て画一的な学力を身につけようという逆説的なお話に聞こえるのは私だけでしょうか。

★たとえば、ハワード・ガードナー教授による8つの多重知能は、みな8つの知能を高めようというわけではないのです。得意不得意があるよというはなしですよね。それをどのようにミックスしていくかは、本人や教師のサポートによって様々でよいはずです。

★資質・能力についてだって、多様であって、そのすべてを高めようというわけではないはずです。

★ところが、実際はそうなってしまうのが「公平性」という罠なのかもしれません。

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グローバル教育を実施している私立学校はリベラルアーツが前提

★グローバル教育を行って海外大学進学の成果を上げている学校は、国内の大学に入らないということはまったくないのに、そういういう先入観や偏見をメディアの中には流してしまうところがあることに、受験生・保護者はお気を付けください。

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★私立学校は建学の精神という価値を大事にし、そこから時代のニーズや新しい方法、そしてモノやコトをつくったりゲットしたりできる全人的な人間教育を行っています。

★英語資格入試を行ったからと言って英語の学びしかしないということはないのです。完全インターナショナルスクール的な話でもないのですから、英語がうまくいかなければ、その他の得意な学びや探究を生かせるクラスやコースに変更してもらう相談もできるはずです。もしも、完全インターナショナルスクール風の学校があるとしたら、それは例外ですから、その学校を選ぶときには、ちゃんと覚悟した方がよいということです。

★すべてのグローバル教育を行っている学校がそうなのではありません。

★それに私立学校である限り、上記の図のような総合的な教育を行っているのです。

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★それから、グローバル教育を行っている学校は英語が世界共通言語だなんて考えていません。リベラルアーツ(この用語を使わないにしても)という言語・数学・芸術・体育というトータルな学びが、世界共通の教養だと考えて教育を実践しています。その世界共通の教養があるから自然科学や社会・人文科学などを学際的に統合できる新しい研究視点を身につけられるのだと。

★そうそう、STEAMという言葉を掲げて教育実践をしているところも、これはリベラルアーツの現代版ですから、結局グローバル教育を行っているのです。

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2024年6月10日 (月)

東京私学の新たな動きと全国の私学の動きが連動し始めた

★東京私学教育研究所のサイトに次のような記事が掲載されています。「【研究所ブログ第21回】東京私立中学合同相談会 教育プログラムの新たな動き」がそれです。同研究所は東京私学の研修企画運営をサポートしています。年間60くらいの研修を実施しています。その研究所が私学の動向について記事にするというのはちょと驚きです。

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★しかし、記事によると、受験生・保護者の学校選択意識の中に、進学実績だけではなく、雰囲気や教育プログラムになるというデータが判明したので、考察してみたということのようです。

★というのも、研修の委員会は25種類あって、委員のメンバは、東京の私学の先生から公募で選ばれています。120名強のメンバー数です。その先生方は、合同相談会でも自校の教育プログラムをプレゼンしてるわけです。そのとき、研修の成果をアレンジして現場でも活用しているし、現場の成果を研修プログラムで紹介もしてくれています。そのような内容も合同相談会で語られているというのを当日運営メンバーでもあった東京教育研究所の所員が、フィールドワークよろしく感知したということのようです。

★それを研究所内でシェアしたために、このような記事が編集されたのでしょう。

★たしかに、研修委員のメンバーは、高度な学力形成のための研修プログラムも作成しますが、より広い探究型の研修プログラムもデザインしています。上記の図のように第三象限の小さな円が、座標全体に広がる円を描くようにプログラムはデザインされていますね。

★そして合同相談会でも、その円が示す学びの領域は、どの学校も広いものだったのは間違いありません。

★東京の私学がこのような動きをしていることは、全国の中学の2%弱を占めている小さい動きですが、結構影響力はあるかもしれません。5月の合同相談会では中学だけでしたが、高校となれば、数が増えますから、全国の高校の約4%シェアです。

★3%の穴という考え方があります。3%シェアは、一見世の中は気づかないような雰囲気ですが、気づかれるやそのシェアは一気呵成に拡大します。

★福島の一般財団法人日本私学教育研究所主催の研修会に集まった全国からの私学100校の理事長校長の意識は上記の図と同じような広がりで教育を運営していました。100校は全国の高校の2%ですが、様々なイベントなどの公務により参加できなかった私学もあります。

★全国の私学は、日本私学中学高等学校連合会で一丸となって教育のフロントランナーになろうとしています。2030年から転げ落ちるように激減する15歳人口を見据えて、動いていることは、福島の研修で大いに感じました。

★全国の高校の数に占める私学は約30%です。地域によって圧倒的に私学が少ないところもありますが、連合会がサポートしながら、私学全体で日本の不易流行型教育を牽引していくビジョンが最近明快に見え始めたのです。

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2024年6月 9日 (日)

学校法人石川義塾中学校・石川高校の教育システム その私学ならではの独自性 生徒が7つの習慣×ルーブリックを実装➋驚きの設計

★学法石川が7つの習慣を教科の授業でも取り入れているということは前回ご紹介しました。そして、これら7つの習慣は、明治以来日本で取り入れられたイギリス流のプロテスタンティズムや功利主義的な個人を磨き上げる習慣です。現在では、東大法学部や慶応義塾大学法学部、一橋大学法学部が、このハイエク主義的なリバタリアニズム法学が大きな流派になっている程です。もちろんJ. ロールズ的な公正的正義論も影響力を持っていますが、リバタリアン寄りのリベラリストの研究者のグループが多い可能性があります。

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★その流派は市場の自由主義的原理を尊重しますが、新自由主義のような保守的な権威主義は大嫌いですね。この例に象徴されるように、7つの習慣やコンピテンシー論は、どちらかというと背景にはハイエク主義があります。自由な個人の才能が利益をあげ、結果的に慈善事業などで社会貢献するという考え方です。ビル・ゲイツがスーパーモデルですね。現実社会で生徒が生き生きといきるには、このような能力が必要だという学法石川の意志決定は、不易流行の流行の部分でしょう。

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★一方で、建学の精神10項目と認知科学的基準を10項目つくりルーブリック化し、生徒が内省してノートに記録していくというリフレクションの軸づくりの機会をたくさん設けています。建学の精神は言うまでもなく不易流行の不易の部分です。そして認知科学的な側面は、現状で普遍的な学びの理論です。そういう意味ではやはり不易の進化の部分です。不変の不易と進化する不易の両面を持っているルーブリックです。西洋プロテスタンティズムやリバタリアニズムの成功主義の7つの習慣と掛け合わすことによって、理想と現実を統合する凄まじい人間力が形成される学びの場を学法石川は形成しています。

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★ここからは、私の独断と偏見ですが、上記のマトリクスのように7つの習慣と20のルーブリックを掛け合わせると、★印は共通して育成される資質・能力ですが、空白部分は共通していない部分です。特に凄いのが、青の欄です。ここは、7つの習慣で養うことができない精神の領域を表現しているのですが、なぜ7つの習慣で育成できないのか?

★それは、マズローの五段階欲求説で、実は第6段階目があるのではないか。それは悟りに近い境地だと言われています。またハワードガードナーも多重知能で8つではなく9つ目があるのではないかと。8つ目は実存的内省なのですが、それを超えるやはり悟りのような9つ目の才能を入れるべきかどうか迷っていました。GAFAMはそこは迷うことなく、マインドフルネスやZENを取り入れています。

★ですから学法石川の7つの習慣と20のルーブリックを掛け合わせて育成する人間力はプロテスタンティズム精神だけではなく、江戸以来武士が大切にしてきた「道」の精神も統合しているのではないでしょうか。

★あの澤柳政太郎が、公立学校でも教鞭をとりつつ大正自由教育のウネリをつくっていくのですが、私立学校も創らざるをえなったのは、公立学校は明治維新以降法律進化論をベースに富国強兵・殖産興業を促進するのが官学で、私学はそれだけではなく、福沢諭吉のように英国流儀の経済学を取り入れながらも儒学のベースをもっていたし、麻布の創設者江原素六も、儒学とプロテスタンティズムを統合しようとしていました。渋沢栄一も日本の資本主義の父ですが、道徳経済一元論で、「論語と算盤」はその象徴的な書ですね。実際実践しました。

★つまり、私学は、欧米化のみならず、江戸の学問と欧米の学問の統合をはじめから目指していたのでした。そのルーツは横井小楠でもあったのではないかと思っています。酒癖が悪く、世でいう大思想家とは呼ばれませんでしたが、日本の近代化路線の契機をつくった「国是三論」は読み返さなければと思っています。明治の私学人や坂本龍馬、勝海舟などにも影響を与えた人物です。暗殺によって命を落としますが。

★いずれにしても、ギブアンドテークの市場原理主義ではない、ギブアンドギブというフランス社会学が発見した贈与論が今再び注目されている世の中です。それは、無私とか無欲とか悟りのような言葉とも類義語でしょう。

★今目の前にいる生徒は、22世紀社会を創っていきます。ギブアンドテークとギブアンドギブの平衡感覚が必須の社会です。学法石川は創設当初から見通していたのです。バックスキャンというより、そのアンビバレンツな社会に平和と愛をもたらす本質を見抜く心の眼を養うことが、子供たちが自ら未来を開いていけるのだという信念と気魄です。

★それを7つの習慣と20個のルーブリックを掛け合わせてシステマティックな教育を構築しているのです。22世紀型教育の準備を構想している私たちの仲間には大変なロールモデルです。

★8月友人と一緒に福島で研修講師を担当することになっていますが、学法石川のケースも紹介しながら、さらにこのようなルーブリックをシンプルにすべての教育活動で行い、その相乗効果が22世紀型教育を生み出すイメージを共有したいと気合を頂きました!

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学校法人石川義塾中学校・石川高校の教育システム その私学ならではの独自性 生徒が7つの習慣×ルーブリックを実装❶

★一般財団法人日本私学教育研究所が福島で開催した私学経営研修会では、全国から理事長校長(財団の役員も含め)が100人強集結しました。前回までにその模様の一部のメモをご紹介しました。さて、ここでは学校法人石川義塾中学校・石川高校(以降「学法石川」)の視察で気づいたことをメモします。今回の視察は、驚愕でした。というのも学法石川は、2時間で教育システムをすべて見せてくれたからです。

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★132年の歴史のある学校です。創設者は森嘉種。当時の石川町長吉田光一と協力して石川町の発展のため教育を通して貢献してきました。それは今も4代目理事長校長森涼先生によってさらに進化し続けられています。森嘉種は、石川藩の武士でした。ですから、儒学や仏教などの日本の学問をベースに、明治維新ではいってきた西洋の学問も習得して、世界学問を目指していました。欧米の教育は世界基準において大きな価値を占めていますが、最近は文化人類学者の知見が広まり、経済社会の考え方がより広くなっています。その中に当然江戸時代の日本の学問も射程に入っています。

★教育界で講演者として引く手あまたの田内学さんの金融教育論にもそれは反映していますね。欲望の資本主義から贈与論的資本主義とか倫理資本主義とかというわけです。また海城学園の校長大迫先生も欧米中心のIBに日本的な学問や文化、哲学を融合させる教育を実践しているのもおもしろい流れです。その流れを学法石川は132年前から生成していたのですから驚きです。

★学法石川が私立学校として出発する際に、あの澤柳政太郎と森嘉種との対話が転換点だったようだという話も同様です。視察の時に、すべての授業がアクティブラーニングで展開していたのですが、澤柳政太郎は、当時のデューイをはじめとする進歩主義的な教育を取り入れのちに大正自由教育の大きなウネリを生み出した立役者の一人です。学法石川の新しいアクティブラーニングも、そんな歴史を継承しているのかと歴史の重さと進取の気性の壮大な統合を目の前で見て、ワクワク、クラクラしました。

★明治時代はサミュエル・スマイルズの「セルフヘルプ(自助論)」と福沢諭吉の「学問のすすめ」がベストセラーだったと言われています。現在の学法石川は、フランクリン・コヴィーの「7つの習慣」と森嘉種以来の建学の精神と新しい学力のコンセプトを反映した学法石川独自の「ルーブリック」を掛け合わせて、すべての教育活動で、生徒1人ひとりが内省できるシステムを構築しています。

★実際「7つの習慣」を身につける授業も見ることができました。また「ルーブリック」もすべての授業の展開の中に織り込まれていました。ただし、それは授業では目に見えない大事な視点として扱われていました(これについては生徒の内省用のノートでは見える化されています)。

★欧米の先端的な教育「7つの習慣」と江戸から未来に向けてインド、中国、欧米の教育を融合した学法石川の独自の精神「ルーブリック」を見える化することで、教師も生徒も全員が共有する骨太な精神軸を形成しているのに参加者はみな驚愕したことでしょう。

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2024年6月 8日 (土)

私学経営研修会 in 福島県石川町 理事長・校長意見交換会と学校法人石川義塾中学校・石川高校

★今回の福島研修で有意義だったことはたくさんありますが、その1つは、自治体の人口動態と私立学校の役割との関係が各地域によってかなり特色が多彩だということと地域と私学のつながりが濃厚だったということです。神奈川の私立学校から参加した校長とも話し合いましたが、首都圏は、1つの地域に私学はいくつもあるし、地域をまたいで生徒が入学するため、地域とのつながりとなると都や県単位になって大掛かりになってしまいます。単独私学では物理的にうまくいかない。そのためどうしてもグローバルという結局は多様点とのつながりになってしまうわけです。

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★そんな話をはじめ多くの話題が、理事長校長がグループに分かれて情報交換をしたときに出てきたのですが、4つのテーマのうち「私立学校の特色と広報発信」というテーマのグループのときでてきた話を上記の図のようにまとめてみました。たまたまそのとき司会をということでしたので、最初、それぞれの理事長校長が思うところを話した後に、簡単にメモ書き程度でしたが図にして共有して、そこからそれぞれ深く掘り下げて情報をだしあっていきました。ちょっとここにはかけないようなディープで羨ましい話もあり、目からウロコだらけでした。

★紺色の部分が、当日話された話題です。先生方の話が目に見える話と目に見えない話があり、先にそれを氷山モデルで分けてから話を進めました。生徒募集に効果的な教育の特色と最も伝えたい特色だけれど言語化しにくい部分と分ける流れは、理事長校長にはすんなりでした。ワークショップにも慣れている理事長校長が多かったので、ブレインストーミングというよりフレームストーミングで行こうという流れは阿吽の呼吸でした。学校にいる時とはまた対話の空気が違いました。実際に改革を進めて切る若い理事長・校長(40代後半から50代が多かったですね。私は当然その中で年寄です)が多かったということもあるでしょう。

★生徒が主体的に説明会で発信させることはかつてはあり得なったけれど、今は経験が重視されるよういになったため、経験者が語ることは受験生保護者は大いに共感を示すし、その発信の経験それ自体がその生徒の成長にもつながるという積極的な意義があるということもさらりと。自分の学校に誇りを持っている在校生の存在こそ口コミにもなるしと。そこはさすが経営陣ですね。

★何より大前提は、地域にいかに愛されるかだということでした。それの具体的な活動は上記図の左の楕円の下の白抜きのところに並べました。

★教育の特色については、21世紀型教育(という言葉がでていました)的な方法論はもちろんやるのは当たり前だが、基本は不易流行で何か特別なことをやっているというわけではないと。ここには不易流行の捉え方がいろいろあっておもしろかったですね。流行はあくまで手段で不易を重視する不易中心タイプ。不易は目に見えるものではないので、その時代その時代に受験生や保護者に伝わりやすい道具を扱うという意味で不易流行進化論タイプ。不易を生徒の未来においてどうとらえるかという不易流行バックキャストタイプ。未来がどうなろうともいまここでの不易流行で未来に活躍できる人間力をという不易流行永遠の今タイプ。

★理事長・校長それぞれの気魄が生まれる原点がこの不易流行に対する持論のいいところですね。

★さて、図をまとめている中で、さらに気づいたこともありました。それは、オレンジの部分で、コンセプトレンズとしてまとめました。教育の特色と広報発信の一体化を理事長・校長のみなさんは考えていました。これぞブランディングです。そして広報発信のところは、社会課題に対する教師と生徒の主体的な教育出動や教育活動を受験生・保護者・メディアと共有するということが多かったですから、これは最近流行のブランドアクティビズムであると感じ入りました。

★それから紫の吹き出しの部分は、意見交換の時ではなく、休憩の時間とかバス移動の時とか個別に話題になったことを付け加えておきました。

★なぜ付け加えたかというと、この図に書かれていることすべてを理事長・校長の森先生は予言していたかのように、先生の学校法人石川義塾中学校・石川高校視察の時にすべて見せてくれたのですから。授業もオールアクティブラーニングで、DX化が進んでいました。一人一台と電子黒板とグループワークといろいろなアプリ、生成AIなども活用されていたのです。

★地域との連携や信頼もあつく形成されていて、なるほど生徒募集が公立学校よりも圧倒的に成功しているのです。特に建学の精神と学力に関するルーブリックによるセルフリフレクションシステムがすさまじいわけです。

★東京の私立学校にも大いに刺激になる実践研究となり感動しました。詳しくはいずれまた。

 

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2024年6月 7日 (金)

私学経営研修会 in 福島県石川町 人的資本教育スマート都市づくりに貢献する

★福島県石川町の八幡屋で全国の理事長・校長が集まって研修を行っているのですが、意見交換会やパネルディスカッションを聴いていて、東京の私学よりも偏差値のこだわりを捨てているということに気づきました。基本公立高校が優位ですから、そこと偏差値で競うのは、経営戦略的には優れているとは言えません。

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(bibg作成)

★それに藩校の継承とか藩の軍師が創設したとか、筋金入りの建学の精神に基づいた独自性を出そうという気概が凄まじいのです。東京の場合は、公立vs私立というより、私立vs私立という受験市場が拡張しているので、どうしても偏差値を無視できません。独自性だけでは偏差値のクビキから逃れられないのです。そこで、その受験市場の枠組み自体をフレームストーミングする必要があったのです。

★それがグローバル教育だったし、海外大学進学準備教育だったのです。要するに偏差値というドメスティック基準から、学習歴を土台に人間力を判断するルーブリックという世界基準というグローバルフレームで教育をする戦略です。

★ところが、福島にきて、グローバルだとかICTだとかは当たり前なのですが、地域との信頼関係や地域貢献の意識が相当高いのです。したがって「グローカル」という気概であふれています。

★2030年になると転がるように15歳人口は激減カーブを描きます。東京と決定的に違うのは、限界集落都市になることを意味します。するとどんなに独自の魅力的教育を行っていても、生徒がいなくてははじまりません。

★したがって、地方創生への貢献を私立学校はしなくてはならないのです。そういう人間力を育てなくてはならないのです。つまり人的資本教育スマートグローカルシティーですね。

★大学と中高は連携し、人的資本教育を自然と経済と精神が循環するスマートシティ。しかも少子化は回避できませんから、海外の学習者を集める努力です。それには大学という知のハブとの協力が必要です。日本だけではなく、世界の都市化現象は進むといわれています。

★それを日本各地でロールモデルをつくる。そのとき私立学校が大きく力を発揮するわけです。

★もちろん、このロールモデルは、海外にだけ効果があるだけではなく、日本の公立学校にも役に立つでしょう。ただ、グローカル教育に関しては、世界の人脈とつながらなければなりません。この人脈は実はプライベートでありパブリックである両義性のバランスが必要です。

★日本の生徒や学生が海外で学ぶことは、実はこのねらいがあります。明治維新も戦後も日本を救ったのは、海外の人脈をプライベートにもパブリックにも持っていた人物です。

★地方創生とは、かくして地域に根差しながらも教育の基準を世界基準に合わせ、さらにそのルールを自ら創る力量を発揮しなければなりません。

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私学経営研修会 in 福島県石川町 「教育政策と私立学校」 衝撃走る 少子化の本当の意味

★長塚篤夫先生(日本私立中学高等学校連合会常任理事・運営役員、一般財団法人日本私学教育研究所副理事長/順天学校長)からは、「教育政策と私立学校」というテーマで、目が覚めるような新しい価値創造をする時がすぐそこに迫っている希望と警鐘についてスピーチがありました。

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★全国から集まった理事長・校長は、2030年に急カーブで下降する15歳人口の少子化の問題や助成金の問題に関してはかなり創意工夫、新しいアイデアを持っています。それは講演の後の意見交換会で改めて了解できました。

★したがって、長塚先生の、少子化の問題や助成金の問題に関しては、共感し、理解をさらに深めていました。

★しかし、その少子化が何を意味するのか、UNESCOの世界の大学生の数の比較の話に移ると、衝撃が走りました。というのも、世界の大学生の数は2億5000万人強(2022年現在:UNESCCO調べ)。中国とインドとアメリカでその半分弱を占める。そんな中で日本は1.5%。

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★人的資本経営という流れは、最近ようやく日本の経済界でも言われるようになりましたが、世界はとっくにそうなっています。その中で、大学生の数(大学院生も含めます)は、減っていくし、世界で太刀打ちできない知的財産の劣化の可能性があるわけです。

★量で勝負できなければ、質で勝負するしかないのですが、その質を創り出す新しい価値転換はいかにしたら可能か?呆然とせざるを得ないわけです。

★そこで長塚先生は、ご自身もワーキンググループのメンバーですから「高等学校教育の在り方ワーキンググループ中間まとめ」からこれまた衝撃的な内容について語ったのです。それは高校卒業資格の74単位のうち36単位は、サイバー上の学びや通信制高校と連携するなどによって単位取得ができるように、省令改正があったというのです。学校教育法施行規則96条の規則改正です。すでに今年4月1日から施行されています。

★36単位を柔軟に対応できる機会ができたわけですが、それを各学校がどんなビジョン、どんな目的で対応するのか、にわかには動けないのは現場の事情を想えば、それは明らかです。

★しかし、ここに創発的な高い理想とそれを実現するスキル実装のチャンスがあることも直観的には了解できます。

★目の前の生徒募集や大学実績も大事です。しかし、それだけに集中して何も手を打たなければ、2030年から限界集落化する都市がどんどんでてきて、どんなによい教育を創っても、それを享受できる生徒がいなくなっているのです。

★そして、そのことは世界の知性から遠のく日本の教育の姿が出現し、それは同時に政治経済力の劣化を招くことになるでしょう。

★ここをどうするか希望の生まれるチャンスであると同時に、そのハードルの高さにどうしたらよいかわからなければ、希望は急に絶望になるのです。希望と絶望のアンヴィバレントな衝撃的な長塚先生のスピーチでした。

 

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2024年6月 6日 (木)

私学経営研修会 in 福島県石川町 始まりました。

★今年度の私学経営研修会が、福島県石川町八幡屋で開催。主催は、一般財団法人日本私学教育研究所、後援は、福島県私立中学高等学校協会、日本私立中学高等学校連合会です。したがって、全国から私立中高の先生方が集いました。100名強講演会場には参加しています。3.11以来、日本各地からの支援もあり、地方創生を着々と進めている(もちろんそう簡単ではないのですが)意味深い地で、私立学校の役割もまた重要です。

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★今回のテーマも、「教育のフロントランナーを目指す~新たな価値を生み出す経営戦略とは~」で、グローカルな大胆かつ細心の注意をはらった教育と経営のアイデアのフレームストーミングとブレインストーミングの両面からのプログラムになっています。

★講義とグループディスカッション、石川高等学校・石川義塾中学校の視察と対話が順次行われる2日間の研修会です。

★気づきが多いと思います。それについてはまたメモをしていきたいと思います。

★それにしても、日本のホテル・旅館百選の中で日本一にも輝いている八幡屋での研修。周りは自然豊かな農村都市です。未来のGXスマートシティーの感覚ですね。都心のビルの中での研修とはまた異なる刺激的な気づきがあることは間違いないでしょう。

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2024年6月 5日 (水)

海外大学進学準備教育校の3分類で3年後教育の景色が変わる学校を見つけることができる。

★海外大学進学準備教育を標榜していなくても、結果的にはその条件を満たしている学校があるとすると、その学校は3年後クオリティーは豊かになるし、生徒の視野は広く視点は高く探究心は深くなっています。特に女子校は、ジェンダー問題があります。実はこの問題は日本がとくにひどいと思われがちですが、そうではない先進諸国でも常に問題になっています。改善しては後退し、後退しては抗議をして女性は絶えることなく権利の闘争をしているのです。その中でも日本は表立って権利の闘争を仕掛ける文化は強くはありません。だから女子教育でわが子の未来を確かなものにする必要はまだまだあります。

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★もちろん、男子校であれ、共学校であれ、グローバル環境を整えているところは、世界的視野が広いですから、当然世界の数々の痛みを受容し、解決のための探究をしています。

★しかし、やはり女子教育はその点は他人ごとではないため先鋭的です。アンコンシャスバイアスへの気づきは半端ではないのです。もし、別に女子校でなくても可能なのだと放言したとしたら、すでにアンコンシャスバイアスによって大切なところが見えなくなっている可能性があると思った方がよいでしょう。

★ですから、女子校と協力して、自分たちはそんなつもりではないのに女性の権利を傷つけているかもしれないと謙虚になり、女子校と協力したり、NPOなどと協力してアンコンシャスバイアスを払拭する探究をしている男子校や共学校はすばらしいですね。それにはやはりグローバルな環境が必要です。なぜか?それは歴史を顧みればすぐにわかるはずです。

★さて、和洋九段女子や駒沢学園女子は、高い英語力を教育していますし、PBL型授業や探究に力を入れています。ICTも今や当然1人1台の環境です。グローバルクラスや英語クラスが設置されていて、オールイングリッシュの授業も多くなっています。中長期の海外留学のプログラムもデザインしています。

★グローバルな環境が充実しているので、女子生徒は多くの知的刺激を受けて、日々自分の才能や自分の意志、自分のやりたいことについて気づいていくでしょう。その気づきの連続は、生徒自身の変化だけではなく、自分もコースも超えて学内に化学反応が連鎖し、3年後には不易流行の「不易」の軸はもっと確固たるものになり、だからこそその軸の周りを大きく「流行」が転回しているということになっているでしょう。

★サレジアン国際やサレジアン国際世田谷ももともとは女子校でしたから、共学校になっても世界の痛みを受容しつつ解消しようという心は忘れていません。

★和洋九段女子と駒沢学園女子は、どちらかというというとリベラルアーツ型教育で、サレジアン国際グループは、三田国際がロールモデルですから、進路目標教育型でしょう。しかしその「型」は「流行」の部分ですから、「不易」の精神は変わることはありません。私立学校というシステムは不易流行で回転していますから。

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