創造的対話

2023年12月 1日 (金)

どうする東京の私立学校2024

★学校法人北里研究所と学校法人順天学園の合併の協議にはいるというプレスリリースはものすごい反響です。1つは医学部のある大学と附属という最強の連携だし、順天の破格のグローバル人材輩出力と豊かなケアの精神を育む中等教育との新結合はようやく日本の従来のピラミッド型の大学階層構造が世界の大学に追いつけない壁を破壊的創造する大きな契機になるからです。

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★最近、来年以降の私立学校のチューニングを上記のような表で示して、「どうする東京の私立学校2024」をお会いする方と「問い合い」をしています。順天の学校長長塚先生とも昨日「問い合い」ました。長塚先生とは、久しい間コンピテンシーベースのルーブリックと私たち仲間がアップデートし続けている「思考コード」との関係性を「問い合って」きました。回答はそれぞれの識者や学校が創造していくので、私は「問い合い」でよいと思っています。

★長塚校長は、この方向性も当然含んだうえで今回の合併はいくのだと、具体的には今までの成績スコアではなく、コンピテンシーでつながるようにするのだと。だが、この考え方はなかなか広まらないから、待っていないで、自分たちの新しいカタチを創っていくのだと今後の統合体の新しいステージの創造に意欲と気概を示していました。

★昨日は、日私教研&東私教研所長の平方先生(わが上司)ともこのWMS(Worid Making System:教師と生徒の内的知のメカニズム)実装したグローバル市民としての日本の子供たちと共有していく運動体の基礎作りを来期以降していこうと議論しました。結構長い時間ディスカッションしました。

★東京の私立学校の教育市場は、実は、県外の通信制学校がサポート校を東京に設置して、東京都と東京の私立学校のさまさまな紳士協定を無視する傾向が強まっています。東京の教育コモンズに侵入してきています。そしてそのような動きを礼賛する県外の私立学校の有名校長もいます。さて、「どうする東京の私立学校2024」なのですが、制度的正当性を教育行政としての政治力学を生み出しながら動くことと何より豊かで強靭で人類愛に満ちた教育力で世界の自由と平和と公平性を牽引するグローバルリーダーシップを私立学校出身者が各界で発揮でいるスキルとマインドとコンピテンシーが身につく機会と環境をデザインする以外にないと。

★これぞWMSのミッションです。

★このミッションについて東私教研(東京私学教育研究所)のリーダー佐瀬さんとも「問い合い」ました。3時間くらいのディスカッションとなりましたが、方向性は一致しました。どのような研修プログラム(東私教研の研修は年に約80種類あります)になっていくかは、東私教研のサポートする各研修委員会の東京私学の先生方(委員のメンバーである東京私学の先生方は120人くらいかかわっています)との対話によってデザインが形になっていきます。今年度も画期的なプログラムが増産されています。新しい研修スキルやマインドが共創されています。今後がますます期待できます。

★そして、夜、21世紀型教育機構の教育研究センターの主任研究員の田中歩先生(工学院教務主任)と同機構参与の伊東竜さん(日私教研メンバー)と21世紀型教育機構のSGTとWMSを共創する活動をしようよという結構具体的なプロトタイプをメールで「問い合い」ました。お二人とは、様々なプロジェクトの同士なので、これまですでに試行錯誤してきた生徒の才能を開いていく知の実装の統合体としてのプログラムであることが阿吽の呼吸で理解し合え、新たな展開を「問い合う」ことができました。対話ベースの学びが、CEFRや思考コードと関連し、生徒の問い生成の自走、生徒の哲学シンキングの自走を支える「問い合い」コミュニティができるというイメージを共創できました。

★このWMSは、地球上のすべての子どもたちが実装できる最小で最大の効果を生み出す知の内的なメカニズムです。ノートパソコンとスマホと自分という身体があり、リアルスペースとサイバースペースの往還をしながら、哲学的で共感的な対話ができれば成り立ちます。もちろん生成AIは善きパートナーです。

★おそらく優勝劣敗主義者には、理解されないだろうというのは、私たちは重々承知です。しかし私立学校の使命は、優勝劣敗ではないのです。もちろん、思考コードやこのようなミッションを、かげでまやかしだと叫んでいる人もいます。明治の日本の教育は東大の初綜理の優勝劣敗宣言からその部分は変わっていないので、そのような思想に汚染され続けてきたというのも歴史的な流れでしょう。しかし、その初綜理の考え方に真っ向から「否」を唱え、私立学校を創設した私学人がたくさんいて、そこから連綿と続いているのです。

★私は、戦後教育基本法改正前夜、麻布の前校長氷上先生にその≪私学の系譜≫を学び、それ以来受け継ごうとしてきました。それが私の「私立学校研究家」というライフワークの名称で、これは私の無形資産だと思っています。

★それを仲間と形にしたのが21世紀型教育機構です。いまでは、誰でもが21世紀型教育と語ります。私たち仲間は、自分たちが起爆剤になっていることを静かに内的誇りにしています。21世紀型教育機構の同盟校から輩出される哲学的起業家たちの活躍を誇りに思っています。

★次のステージは、WMSを目指します。海外の大学にいくと日本の学歴社会を超えられるなどというアホな考え方は私たちはしていません。だいたい、世界の大学で学んだエリートたちが治めていても、ウクライナやイスラエルのような問題がおきているし、核の問題も気候変動の問題もなんら解決していません。

★しかしながら、WMSを実装した世界中のグローバル市民はいます。そのような問題の氷山モデルの海面の目に見えない根本問題を見ぬき、どうしたらよいか問い合いながら対処療法もしながら、根本的な解決を求めて考動しています。

★そのような市民が増えることがレバレッジポイントになります。私立学校の人的資本経営は、そのような人々を増やす仕掛けづくりなのです。

★21世紀型教育機構が軌道に乗るに8年(2011年から2019年)かかりました。パンデミックに突入して、21世紀型教育の有効性に多くの人々が気づいたというのは、なんか皮肉なことですが、リスボン大地震のときに啓蒙思想が開花したのと同じような感覚です。

★生成AIが世の中の表舞台にでてきたので、8年はかからないと思います。WMS実装の時代は3年くらいで軌道に乗るといいですね。

★1995年のウインドウズ95が世に出てから、2010年まで15年で、新しい教育の転換意識がやっと広まり、それをテコに21世紀型教育が8年かけて広まったわけですから、次のステージは5年くらいかかりそうですが、生成AIのスピード感はさらに速いので、期待しています。

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2023年11月29日 (水)

なぜ八雲学園か!英語でミュージカルまでやってのける。

★11月の八雲学園の文化体験は、中学生を対象に音楽座ミュージカルによる「シアターラーニング」を行ったということです。12月9日に開催される「英語祭」などにも向けて、表現力などを向上するためのワークショップ。生徒たちは体を動かしたりしながら、楽しく学んでいたようです。

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(写真は同校サイトから)

★「ミュージカルを見ているときは衣装や背景が物語に寄っていないのに情景が浮かびました。見ているだけではなく、ワークショップがあったので、インプットとアウトプットを両方でき、楽しんで学ぶことができました。」と生徒が感想を語っていますが、イギリスのAレベルのダンスの試験のような感覚です。何も具体的な背景の道具がないのに、演じることによって身体が、その背景のイメージを聴衆の頭の中にあるいは心の中に生み出すわけです。その理論だけではなく実際にアウトプットのパフォーマンスを行うことで、その醍醐味に気づく。すてきな「シアターラーニング」です。

★「声の力と表情で観客にも世界を共有するという感覚を得られた。演者と観客が一体となって良いミュージカルになるのだと思った。感動を観客に与えるには演者側も感動しなければならないと言っていたが、これを意識して英語祭の劇などで活かせることができたら良いと思った。」実にいい気づきですね。

★興味深い生徒の感想はまだまだあります。八雲学園のサイトをご覧ください。

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【速報】学校法人順天学園 学校法人北里研究所と法⼈合併に向けて協議を開始

★順天学園の副校長片倉先生から「創立 190 周年を迎える順天中学校・高等学校を設置する学校法人順天学園と、北里大学・大学院等を設置する学校法人北里研究所との法人合併を目指した協議を開始することについて、11 月 27 日に基本合意書を締結した」というお知らせをいただきました。

★下記のプレスリリース文書にもある通り、両法人は 2026 年 4 月 1 日(令和 8 年度)に合併することを目指しており、合併後、「順天中学校・高等学校は学校法人北里研究所が設置する学校となる」ことになります。

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★たしかに、両法人は学究的であり、人類のための奉仕の精神を重視していることなど、両者の建学の精神や理念における親和性は高いでしょう。また、グローバルな視野をベースに理数教育や研究に力を注いでいます。しかも順天の卒業生は、医学系に進む生徒も多いので、中高の新しい探究の環境ができることになり、画期的合併です。

★昨今ダイナミックに進んでいる高大連携の動きの中で、連携を超えた合併にまで至ったというのは驚きであり、同時に未来の有為な人材輩出を、中学・高校・大学・大学院等を通じた一貫教育によってできる可能性に大きな期待がかかります。

★設置者が改まったとしても、校名「順天」の2文字が継承され、中学高校の所在地をはじめ、教職員も継承されることになっています。国立大学や海外大学、文系・国際系などの私立他大学への進学指導も継承されるということです。

★また、令和8年度より、附属としての高校から大学への内部進学が開始される見込みのようです。北里柴三郎や福田理軒のような創設者の精神を引き継ぎながら、グローバルでイノベーティブでサイエンティフィックな新しい中高が誕生します。中学受験生にはとても希望がもてる最新情報です。

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2023年11月27日 (月)

【研究所ブログ第6回】教科の授業と探究の接点

★東京私学教育研究所のサイトに、「【研究所ブログ第6回】教科の授業と探究の接点」が公開されています。多くの学校で、「探究」の方法を追究していますが、同時に教科の授業とどのように結合できるのか、その接点をめぐっての追究も行われています。家庭科の委員会の研修「情報活用型PBLでつくるホームプロジェクト」で行われた東北学院大学文学部・教育学科の稲垣忠教授の講義とワークショップによってその接合点のヒントが示されました。

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★探究といっても様々なタイプがあり、稲垣先生は4タイプを示しました。実におもしろいですね。たとえば、成立学園で行っている教育は、この4つがすべて入っています。富士見丘もそうですね。

★そして、たしかに、そのような4つのタイプの探究(学校は教育活動として行っていて、すべてを探究と呼んでいるわけではないのですが)すべて行っている学校の教科の授業は、プロジェクトベースだったり、ゼミ形式の場合が多いですね。

★探究のときに活用するカードなど、学びのツールは参加した先生方に酷評で、先のブログに稲垣先生のサイトのリンクが紹介されており、ゲットできるようになっています。ぜひご覧ください。

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国立大学「地域枠」6割に 都市の生活社会をどうするかも当然重要

★読売新聞(11月26日)にこんな記事。「医師偏在の解消を目的に始まった国立「地域枠」、卒業生の5%弱はルールより早く流出」。地域の医師不足、教師不足、法律家不足、地場産業のイノベーションの停滞などがある現状、優秀な人材確保のための政策のようです。2000年ごろから始まって、今や6割の国立大学で。

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(デジタルーネイチャー都市を活性化する大学のイメージ。bing作成)

★しかし、移動の自由という人権が憲法で保障されているから、一生縛るなんてことはできないし、4年以上地域で勤務などとルール化しても罰則規定は難しいでしょう。

★その大学のある都市の生活社会に魅力があればルールは機能するでしょうし、グローカルであれば、地球上どこでも世界につながっているので、むしろ余白を楽しめる幸せな地域であればどこでもよいわけです。

★しかし、静岡県議会に見られるように、そのような高い志よりも政局にもちこみ、そのような話にならない地域もあります。多かれ少なかれ、そうなのかもしれません。それは日本人の生活社会の文化的特徴なのかもしれません。

★それは東京だって同じですよね。

★AI×natureな学校を創って、それをロールモデルとして都市を創っていくしかないかなと思っているのですが、果たしてそういう学校はできるのか?で、世界にはあるのか?複雑なネットワークが絡んでいるので、なかなか見えにくいのですが、イギリスのパブリックスクールとオックスブリッジの関係はそうです。

★また、カナダのBC州などは、大学と公立の小中高がそういう関係になっています。

★GAFAとHTHもややそういう関係になっているかもしれません。

★グローバルシチズンシップ教育が背景にあるので、そうならざるを得ないし、もともとが市民社会づくりから始まっているので、そうなるのは自然だったのかもしれません。

★日本の場合は、東大と私立中高がそういう関係になっているかというと、生徒募集という点ではそうなっていますが、東大が私立学校と日本社会の市民性を育成する関係にはないでしょう。

★そのような関係だから、「地域枠」というアプローチにならざるをえないわけです。いずれ国立大学無償化にならざるを得ないでしょうが、それは前提でなくても、並行進化で都市の生活社会が見直されていくというのは必要です。

★デジタルーネイチャー都市構想。です。これについては、落合陽一さんや伊藤穣一さんや孫泰蔵さんらがそれぞれに構想を持っているので、まあ大丈夫でしょう。

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2023年11月24日 (金)

2025年以降は、教育力を「外生的技術進歩」と「内生的技術進歩」と「哲学シンキングなど」の3つのスコープで学校選択ができるようになる

★2025年は、次期学習指導要領の重要な準備基盤ができる年です。共通テストで情報Ⅰが入試科目として実施される年でもあり、それにめがけてデータサイエンスコースだとか学科が、中高や大学で創設されています。DXハイスクール1000校計画も進んでいるはずです。2025年には、その準備が全国に広がっているでしょう。しかも、そこに生成AIが加わります。生成AI実装が当たり前になっているでしょう。

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★グローバルアントレプレナーシップやライフシフトなどのダイナミズムは、「探究」のプログラムと結合して、総合型選抜にも結合していくでしょう。総合型選抜は選抜のための入試システムからキャリアガイダンス型入試に明快に移行するでしょう。そこに生成AIがさらに結合するのです。

★ですから、経済力と教育力のかなりの部分でシンクロが起こります。ここ数回、経済力を外生的技術進歩と内生的技術進歩で見てきましたが、その方程式を教育力に置換えると上の図のようになるかもしれませんね。

★学校の人的資本運営は、無形資産を生みます。生徒数は定員が決まっているところがほとんどなので、経済力のように生徒数増による教育力の質のアップは考えにくいですね。

★そうなると、外生的技術進歩と内生的技術進歩のアップデートが重要になってきます。

★外生的技術進歩は、「空からパンが降ってくる」と言われます。ですから、学校に資金力があれば、外から技術を購入してくればよいのです。

★しかし、たいていの学校は資金が潤沢ということはないので、外生的技術進歩は最小限で最大の効果を上げるDXとAIの結合したものに集中するでしょう。そして、内生的技術進歩に力を入れることでしょう。ただ、ここはその技術の背景に「哲学シンキング」あるいはそれに相当する教師や生徒の内的メカニズムをアップデートするシステムが必要になります。

★これらは、見える化されます。

★ですから、保護者は、「外生的技術進歩」「内省的技術進歩」「哲学シンキングなど」というスコープで学校を観るとよいでしょう。この3者の結合力の強さがあれば、国内外の大学進学実績も出るし、何より自分の子どもの未来を子どもが自ら開いていくスキル・マインド・コントリビューションアクションを社会実装する準備ができます。

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2023年11月23日 (木)

羽田国際② 人口減の未来に外生的技術進歩と内生的技術進歩を統合する人材輩出に期待

★来年から羽田国際高等学校として共学化し、グローカルシンキングを実装する生徒育成の新しい教育を実践していく全く新しい学園が誕生します。順次中学も開設していきますが、簡野校長は、次の学習指導要領の改訂の行方を既に読み取り、その改訂では、激しい世界の変化についていけないかもしれないと見通し、さらに未来の教育からバックキャストして新しい中高一貫校を計画しているようです。

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★GIGAスクール構想に基づいて、多くの学校が新しい学校づくりを開始していますが、すでに、そのスキルでは、生成AIの日々進化がもたらす社会の新たな変化についていけなくなっている可能性があります。文科省は、それにすでに気づいており、DXハイスクール構想を補正予算として組み、日本の1000校に1000万の助成金を用意していると言われています。

★東京都の方も同様です。すでにTOKYOスマート・スクール・プロジェクトが動いています。そしてTOKYOデジタルリーディングハイスクール事業について、都立高校の「TOKYO教育DX推進校」を指定しています。

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★上記のパンフレットも出され、学び方・教え方・働き方の3つの側面からDX化を進めようということです。このプロジェクトは、コロナ禍でプランされている<「未来の東京」戦略>の一環の動きです。その 附属資料として今年「東京の将来人口」という多角的な視点からまとめられたデータ集も出ています。その中で、中高にとってわかりやすいのは、次の人口推移です。

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★ご承知の通り、とにかく人口減なのです。自然減は止まりません。東京都外からの転入や働きやすい環境をつくって外国人を増やす「社会増」を増やす戦略が練られています。そのための環境として、一つは外生的技術進歩だというわけです。前回も日経のやさしい経済の京大佐々木教授の寄稿について紹介しましたが、人口減少の中で経済を持続可能にするには、外生的技術進歩によって一人当たりのGDPを上げるのだということでしょう。

★そのためにはDX進化は欠かせないと。

★羽田国際も、そのような社会増の環境の一環として、グローカルシンキングの育成の外生的技術進歩の準備をしています。しかし、簡野校長は、やはりさらに内生的技術進歩をいかに創り出すかなのだと構想しています。佐々木教授も内生的技術進歩の重要性についても触れています。

★外生的技術進化は、等しくすべての生徒にとって有益ですが、シンキングやケアのレベルでの個別最適化にはなりにくいし、個別最適化がリスペクトされた協働学習でないと効果的ではないわけです。1人ひとりの興味関心、モチベーションなどが湧いてくるには、思考や気持ちの状態が1人ひとり違うところに教師がチュータリングやファシリテートしていく必要があるからです。

★従来の教育DXでは、学力の3要素のうち「知識・技能」に関してはそれはできていましたが、思考力や判断力、表現力、主体性などへの「最近接発達領域」のアプローチができていませんでした。それをどうやってやるのか?簡野校長先生は、当然そこは「生成AIの形式知化実装」(この表現はまだ企業秘密として発表できないということなので、イメージとして私が勝手につけました)なのだと。

★たしかに、2027年から2032年ぐらいの間に実施されていく次期新学習指導要領では、そうなっていくでしょう。ただ、電子教材やデジタル教科書を活用するので、大きな未来の教育の枠組を構築するのは難しいかもしれません。

★国内だけで仕事ができるならば、それでよいのですが、2030年は、そのような世界ではないですし、すでにそうでないのは、ファストフード店(そばなどの和食も含めて)にいけばすぐにわかります。

★したがって、羽田国際のように、世界を牽引する教育を、独自に先進的に私学が進むことによって、その世界とのギャップをうめていく気概が重要になってくるでしょう。

※)参考→羽田国際① 新しいグローカルシンキング教育へ

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2023年11月22日 (水)

外生的技術進歩と内生的技術進歩の統合 人的資本がカギ

★ここ最近、日本経済新聞の「やさしい経済」のコーナーで、京都大学教授 佐々木啓明さんが、「人口減少時代の経済成長」という論考を寄稿しています。経済成長の1つのモデルは、ソロー・モデルですね。人口が増えることを前提にした外生的技術進歩による生産量の持続可能性が中心です。佐々木さんは、人口が減っても資本深化によっては、一人当たりのGDPが増える場合があることを語っています。

 

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★しかし、これも限界はあるので、ノーベル経済学賞受賞者ポール・ローマなどの内生的成長論も紹介しています。外生的技術進歩とは、外部的な要因によって起こるものを指します。例えば、気候や鉱物資源などの自然環境、政府の政策や法制度などの社会環境、他国の技術革新や国際貿易などの国際環境などハード面の技術の進化でしょうか。

★これに対し、内生的技術進歩とは、経済内部のメカニズムによって決定されるものを指します。例えば、研究開発や学習効果によるもの、集積の経済や誘発的技術進歩によるものなどです。ソフト面の技術の進歩ということでしょうか。

★両方ともマクロ経済学ですが、これを教育で考えると、内生的成長はミクロ経済にも関係しているように見えます。

★マクロなのかミクロなのか、専門的なことはよくわかりませんが、労働人口が減った場合でも、内生的技術進歩によって、一人5人分くらいの仕事ができれば、一人当たりのGDPは右肩上がりになります。

★しかもソフト面が進化すれば、それを形にするハード面も進化するので、外生的技術進歩もあるでしょう。要素還元的にではなく、資本深化、労働人口、外生的技術進歩、内生的技術進歩は、当然関係総体です。

★ところが今まで、企業も学校も、内生的技術に関しては読み書きそろばんレベルを整えてきただけであり、外生的技術進化は一握りの専門家に任せてきました。

★ところが、内生的技術進歩は、すべての労働者、つまり地球市民の知性を広げ豊かにする作用がある可能性があるのです。

★少なくとも、人口減少の傾向にある日本は、ソローモデルを読み替える必要があります。

★それに関しては、総務省が、すでにアイデンティティとは何か、アバターの有効性は、AIの活用の有効性はなど、内生的成長理論の新たな読み替えを開始しています。

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2023年11月20日 (月)

「学校づくり委員会」に参加して刺激を受け調べてみたら、AIと哲学のつながりの深さに驚愕

★東京私学教育研究所の実施している研修などの企画運営している委員会の一つに「学校づくり委員会」があります。先週土曜日開催されました。月に1回行われる委員会で、委員の先生方は毎回レポートを提出し、それをベースに議論していきます。今年のテーマは生成AIです。委員の先生方が、それぞれ自分の関心ある視点からアプローチするので、合わさるといろいろなアイデアが生まれ広がり深まります。

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★委員の先生方は、

1)歌曲の分析と創作を生成AIのものと比較する研究

2)言語学的アプローチ

3)哲学的アプローチ

4)学びのツールの比較研究

5)AIをめぐる各団体の政策比較研究

6)経産省、文科省など省庁が描く教育ビジョンの中でのAIの位置づけ

7)国内外のプログラムの中で成長する生徒とAIの相関研究

★など多角的なアプローチで生成AIを語り合っています。その議論の中で、人間の知性や言語の身体性を生成AIはどのように取り扱っているのか深堀していっているように感じました。結局は、人間とは何かであり、さらにおもしろいのは、この人間とは何かまで、各省庁がガイドラインを描いているのではないかということまでみえてくることです。未来の人間のマインドセットをしようということかもしれません。

★先生方の話に耳を傾けながら、かりに身体性がAIには無理だとしても、そもそも言語や知性は、個人の経験を超えた存在であり、AIは、その存在を膨大な言語のアルゴリズムを活用した取り扱うのですから、すでに言語や言語が可視化する知性の中にもしかしたら何かしらの人類の何千年という知が内包されている可能性があります。

★また、そういえば、カントがアプリオリという認識の方程式を持ち出していたのを思い出し、そもそも経験する前にあるものについては、生成AI[のほうが得意なのではないかとも思い、ゾッとしました。

★わたしたち日本人は、どちらかというとAIのイメージは鉄腕アトムに結び付きポジティブですが、欧米はどちらかというと黙示録的なネガティブなイメージに結びつきやすいような気がしていたのは、言語という記号の内包するものに対する文化的な違いがあるのだろうと。言語のアポロ的なイメージとディオニユーソス的なイメージの両義性があるとしたら、後者の部分は予想不能です。

★生成AIの論理的明快さの背景に言語のディオニューソス的なものがあるとしたら、やはり生成AIの可能性は予測不能かもしれません。

★恐ろしくなって、さらにAIと哲学でググってみたら、「人工知能 38 巻 3 号(2023 年 5 月)「AI 哲学マップ」[総論・後編]七つの哲学─人工知能コラボレーション」という論文が出てきました。三宅 陽一郎さん((株)スクウェア・エニックス、立教大学 大学院人工知能科学研究科 特任教授)、大内孝子さん(えだまつ工房)、清田陽司 さん((株)LIFULL AI 戦略室)共著の論文で、目的は「人工知能分野における哲学の役割を明示し,哲学という大地が指し示す新しい人工知能研究分野を照らし出すことである」とのことようです。

★次の7つの哲学マップそれぞれの中でのAIの役割が描かれています。

(1)知能の全体論
(2)思考,精神,身体を含む人工知能
(3)自律性と意識
(4)時間と空間の認知
(5)社会的存在としての人工知能
(6)言語と概念を操る人工知能
(7)人工知能の新しいかたちの探求

★AIがすでに膨大な哲学や心理学などの知見をディープラーニングしているわけです。

★今、文化人類学や哲学が、GAFAMなどの企業で活用されているというのは、このような人工知能の出現があるからでもありましょう。そんな感じで、ググっていったら、総務省のスライドに行きつきました。総務省は欧米の人間観と日本人の人間観を文化人理学的観点から比較研究し、AI時代に日本人観の脱構築が世界をリードするレバレッジポイントだというのです。

★つまり、通時的知性の塊である言語観に対し、共時的な八百万の諸関係で成り立つ人間観は、実にコンビニエンスな学びで拡張性のある知性を形成するということでしょう。深さについては、欧米の人間観とコラボすればよいということでしょうか。

★それにしても、経産省、文科省とは違う、国の組織的枠組みだけではなく、人類の枠組みまで研究している総務省。これからの教育を考えるとき、それら全体の動きをダイナミックにみる鳥の目、細かく見ていく虫の目、流れを読む魚の目、違う観点からモニタリングしてみるコウモリの目、真実を見抜く心の目の総合力がなければ、新しいビジョンだと思っても、結局は省庁の敷いたレールの上を走ることになります。その信頼性・正当性・妥当性があれば全く問題ないのですが、そこのモニタリングは誰がどのように行うのでしょう。

★まさかそれもAIがやるということでしょうか?アポロとディオニューソスの葛藤はまだまだ続きます。

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2023年11月18日 (土)

八雲学園のシン・グローバル教育 新/真の物語が始まる

★昨日、<GLICC Weekly EDU 第151回「八雲学園のシン・グローバル教育」>で、同校副校長菅原久平先生がご登壇。ROUND SQUARE SCHOOLとしての八雲学園の理念<IDEALS>をコンセプトレンズとして、八雲学園全体の具体的な教育の機会と環境を映し出すという、どこの学校も話したことがない本邦初の物語となりました。

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★このIDEALSという理念は、<Internationalism><Democracy><Environmentalism><Adventure><Leadership><Service>のイニシャルをつなげたフレーズです。八雲学園が、この海外のエスタブリッシュな私立学校連盟であるROUND SQUAREの加盟が認定されるのに2年間ほど審査を受けました。加盟の条件は、このIDEALSの理念をすべて教育の中で実践しているということです。ですから加盟をしてからやりますでは加盟できないのです。このことが意外と受験業界では知られていないことです。

★ですから、多くの学校の国際理解教育とかグローバル教育というのは、この6つの構成要素のうちの1つである<Internatinalism>という個別解の話で、IBの生みの親クルト・ハーンが私立学校にこの理念を託してつくったのがROUND SQUAREです。いわば、国連の教育の全体の指針を支える実践の場です。その経緯は、第二次世界大戦を二度と起こさないためにと、クルト・ハーン自身の壮絶な経験の中から生まれたものです。

★世界標準のグローバル教育は、この6つの要素の関係総体でできあがっていて、その一つの<Internationalism>の軸だけで行われるものは、世界標準とはいえないのです。このことは、日本から見ているとわかりにくいですね。やはり世界から眺望してみる機会と環境がふんだんにないとなかなか見えません。そして、それが英語の教員だけでが創っていくのではなく、教科横断的にすべての教員がその海外プログラムにかかわることによって見えてきます。八雲学園は長い間、いろいろな海外のプログラムにすべての教員がかかわってきたので、それがもともと見えていたということが、ROUND SQUARE加盟認定の決め手の大きな要素だったでしょう。

★今回は、この6つの要素が、絡み合いながらですが、八雲学園の日常の教育と4つの特徴的な教育にどう反映しているのかを菅原先生が語ってくださいました。かなり具体的に抽象的なコンセプトが体現されているトータルな話です。シン・グローバル教育、つまりこれは本当に新しいグローバル教育のコンセプトだし、真のグローバル教育だということがわかります。

★中1段階で、アルファベットから学ぶ生徒が、高3段階では、CEFR段階のB2,C1、英検でいえば準一級、一級に到達する生徒がどんどん増えています。国内の段階では、CEFR基準でB1でアドバンテージをとれますから、ここまではほぼ全員が到達するでしょう。

★八雲学園は、CEFR基準でC1を目指していますから、当然そうなりますが、それはIDEALSを実現するために必要なのです。なぜなら、CEFRはいわゆる4技能に「対話」の技能もいれているからです。ROUND SQUAREの国際会議では、バラザという対話がキーパフォーマンスですから、対話の高い能力が要求されるのです。

★「対話」は、IDEALSという6つの関係総体を生み出す時のキーコンピテンシーでもあるのです。

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