創造的対話

2020年9月18日 (金)

思考コードがつくる社会(14)ポストコロナの社会を変えるリーダーが生まれる場が絞れた②

★晶文社の「2021年首都圏中学受験案内」の思考コードのデータを活用して東京エリアの私立中学の入試問題の思考特性をみてきたわけですが、それをまとめると以下のようなデータが作れます。関西圏や高校入試、大学入試も分析してみたいのですが、何せ思考コードのデータ作成源は、首都圏中学受験専門の首都圏模試センターですから、それ以外のデータがありません。受験案内に掲載されているものも晶文社以外にはないのです。

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★それゆえ、今回のような大切な気づきは、一般にはまだまだという感じなのです。しかし、ダボス会議の革新的な動きを感じるセンサーを有しているのは、この首都圏の私立中学入試市場でもあるのです。よいかわるいかは、別として、ダボス会議の情報にフロンティアンテナを張り巡らして仕事をしている家庭層がここに集中しているのです。

★首都圏の私立中学に進む中1は、全国の同年代の中1に対してどのくらいの割合だと思いますか?ざっくり3%です。この3%の意味は何でしょう。それは、日本の富裕層は、全世帯の3%だということなのです。

★もちろん、実際の富裕層は高齢者に多いですから、中学入試市場のプレイヤーではありません。しかし、70%以上を高齢者層以外の若者層が占める準富裕層(アッパーマスも含めた広い意味での:純金融資産保有額3000万以上5000万未満)は、全世帯のおよそ23%です。

★首都圏ではなく、全国の私立中学と公立中高一貫校を合わせると、同世代人口の10%です。日本全体の地方は、公立王国が多いです。東京の日比谷みたいな高校に進学する層も含むと、だいたい20%になるでしょう。

★そして、ここから東大を頂点とする学歴階層構造のアッパーの部分に進むわけです。「富裕層経済―学歴階層構造―私立中学・公立中高一貫校などの選抜が中学段階である学校」という一連のつながりは、今更いうまでもなく、強いことは周知の事実です。

★この層をファーストクラスと私は呼びます。私立学校研究家というのは、この層の光と影を見据えて、社会が変わるヒントを掘り起こそうとするわけです。ですから、私立学校の光以外の部分には、辛口になるので、私立学校からも嫌われるのです。もちろん、意気投合する私立学校もあるわけです。そしてその意気投合するという価値を共有する学校が、世界を変えて未来を創っていくクリエイティブクラスの人材を輩出していくという信念を私は持っています。

★それゆえ、私立学校が、明治の時に、官僚近代社会とは違うもう一つの近代社会の理念やコンセプトを抱き、歩んだように、今回のパンデミックによる「ザ・グレート・リセット」も、ファーストクラスからクリエイティブクラスへというウネリが存在するのだといいたいわけです。

★来春のダボス会議の「ザ・グレート・リセット」はあくまでファーストクラスの制度設計の変更です。日本の私立学校の「ザ・グレート・リセット」は、クリエイティブ・クラスによる制度設計の創造です。

★このクリエイティブ・クラスを輩出する学校は、東京エリアの私立中学においては25%の学校だということが、今回の「思考コード」の分析でわかったのです。

★とはいえ、クリエイティブ・クラスは、B3思考とC軸思考の両方を含みます。男子校は圧倒的にB3思考です。これは、「ザ・グレート・リセット」の情報やウネリを察知するも、あくまでファーストクラスの枠内になりがちです。それでも、20世紀型経済成長モデルをリセットするのですから期待はかかります。

★しかし、C軸思考でクリエイティブ・クラスを輩出しようというのは、上記の表のような学校です。いずれもC軸思考のスコアです。すべてが、工学院、聖ドミニコ、聖学院、文杉のように、C1英語×PBL×ICT×リベラルアーツを先鋭的に推進する学校ではありませんが、B2英語×アクティブラーニング×ICTはやはり力を入れています。

★上記の表の学校は、今回の自粛の際のオンライン授業でもいち早く実行していった学校の面々です。こういう学校が世界を変え、未来を創るクリエイティブクラスを生み出す拠点となるでしょう。

★そして、これらの学校を御三家と比べ揶揄してきた方々もいます。その方々は、ご自身をファーストクラス至上主義者だということを示しているのだということでもあります。その何が悪いと言われるでしょう。その通り、私事の自己決定ですから、価値自由です。

★しかし、ダボス会議で、そのファーストクラスでさえも、「ザ・グレート・リセット」されるのです。クリエイティブクラスという彼らにとって両刃の剣でもあるソフトパワーの手を借りようとしているのです。

★25%といっても、同世代人口全体から見れば、0.5%です。しかし、このファーストクラスの階層構造経済社会を造った層もまた3%です。90%の国民の意識を変えることはそう簡単ではありませんが、3%の意識や価値意識を変容させることはかなり可能でしょう。タイミングがそうなってきています。

★今回の菅政権も、医療と教育に対してはICTを導入する規制緩和をすると言っています。総裁選で、「グレート・リセット」をぶち上げたのは石破さんんでしたが、菅政権もその流れをつかんでいることは確かでしょう。ファーストクラスグレートリセットになるかクリエイティブクラスが活躍する「ザ・グレート・リセット」になるか、今のところ、神のみぞ知るではありますが。

★いや、このクリエイティブクラスについて「働き方5.0」で触れている落合陽一さんは知っているかもしれませんね。

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思考コードがつくる社会(13)ポストコロナの社会を変えるリーダーが生まれる場が絞れた①

★2021年のダボス会議のテーマは「ザ・グレート・リセット」。座長であるクラウス・シュワブ博士は、フランス出身の個人投資家ティエリ・マルレ氏と、書籍という形でブローシャ―を先駆けて出版しています。それによると、こうあります。

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「今回のパンデミックによって人は皆、哲学的議論に引きずりこまれた。市民も政策決定者も、好むと好まざるにかかわらず、ダメージをできるだけ抑えつつ公共の利益を最大 化する方法をめぐって深く考えさせられた。何よりも、これを機に公益の本当の意味をじっくり見つめるようになった。公益とは、社会全体のためになることを指すが、社会 にとって何がベストかをどのように決めたらいいのだろうか?何がなんでも失業の増加を食い止めるために、GDPの成長と経済活動を維持することが公益なのか?社会的弱者に手厚くし、お互いのために犠牲を引き受けることなのか? それとも公益はその二つの中間にあるというなら、どのようなトレードオフが存在するのか?リバタリアン( 個人の自由を最優先する自由至上主義者)や功利主義者(最大多数の最大幸福を求める人々)のような哲学者は、公益は追求する価値のある大義だという意見に異論をはさむ だろうが、道徳論的な対立は解決できるのだろうか? パンデミックによってこうした人々の議論が沸騰し、対立する陣営の間で熱のこもった議論が交わされた。「冷徹」で 合理的だとされる意思決定は、その多くが経済、政治、社会のみを考慮したものだ。しかし実際には、人としての在り方を教えてくれる思想をひたむきに求める道徳哲学の深い影響を受けている。もっと言え ば、パンデミックへの最善の対応を目指した判断はすべて、倫理的選択だと捉え直すこともできるだろう。 」

(クラウス・シュワブ; ティエリ・マルレ. グレート・リセット ダボス会議で語られるアフターコロナの世界 (Kindle の位置No.3085-3091). 日経ナショナル ジオグラフィック社. Kindle 版.)

★リバタリアン的な経済がつくってきた格差社会を覆すような哲学議論をみんなが考えるようになったのが、今回のパンデミックの衝撃なのだと。グレート・リセットが起こるのだと。そこには「哲学」が生まれたのだと。

★大事なことは、格差社会を、今までのように公正資本主義などの経済的な制度によって解消しようというのではないということです。そのような制度改革はもちろん大切です。しかし、パンデミックは、もっと大事なことに気づかせた。そのような制度改革を突き動かす背景に、「人としての在り方を教えてくれる思想をひたむきに求める道徳哲学の深い影響」があることをというわけです。

★だからといって、「道徳」が大事だと飛びつかないでください。あくまで、法と経済の制度設計と良心の総合的な判断力を、シュワブ博士は念頭に置いています。日本の教育哲学者は、この法と経済の制度設計の部分を射程に入れていないので、パターナリズムをクリティカルシンキング出来ずに、べき論を排したべき論を振りかざします。自由の制限を柔らかいパターナリズムによってあたかも相互自由の承認みたいなものがすばらしいというようなすり替えを行ってしまいます。

★これが教育を改革しないサイレントキラーを増やします。とても世界のグレートリセットの動きについていけないでしょう。しかし、そこを嘆いても仕方がないのです。日本の教育の90%は、そういう相互承認の自由みたいなべき論によってがんじがらめです。そこに、そうでないと言っても響きません。

★私の友人の1人は、その90%に向かってそうではないとクリティカルシンキングを繰り返し、打ちひしがられ、心を弱くし、心身共に疲れています。この90%を何とかするには、別の方法を考えなくてはなりません。

★実は、これがグレート・リセットの本意です。

★90%は、救われたいと思っているのですが、変わるのも嫌だと思ってもいるのです。このアンビバレンツな人間像は、実は近大が誕生するや生まれ、ますます広がる格差を生み出す近代社会に寄り添ってきた資本主義によって持続可能にされてきました。産業革命以前は、戦に負ければ奴隷になる、生きるべきか奴隷になるべきか、それとも死かそれが問題だだったのですから、それに比べれば大きな進歩です。

★しかし、2011年から広がる格差は、純金融資産保有額5000万以上の富裕層の数も増やしてきました。格差が広がるということは、富裕層も増えるということです。純金融資産保有額とは、ざっくり言えば、すぐに現金として使える経済力を示唆しています。日本全体の9%が富裕層だそうです。3000万以上5000万未満の準富裕層をいれると23%になります。

★ダボス会議に参加する世界の政財界人、起業家、慈善事業家は、この層までです。

★自分たちがこのような格差社会を造っておいて、今度は道徳哲学を持ち出すなんてと驚きませんか?77%%は驚かないのです。そんなもんだなんです。しかし、このままいくと、世界はしぼんでしまいます。目の前でその光景が広がっているわけです。これが今回のパンデミックの凄いところですね。

★90%の中の10%ぐらいの部分の人びとは、もしかしたら変わらなければならないのかもと思い始めたわけです。

★だから、私の友人は、その富裕層の9%を含む準富裕層以上の23%にグレート・リセットの火をつける仕事をしたほうがよいのです。これによって、救われたいけど動けないと思っている人々が、動ける制度設計に変えることができます。

★富裕層・準富裕層は、経済はある程度循環しなくてはならないことは理解しています。今回のパンデミックで、出入りの循環がストップしました。この状況によって、自分たちが造ってきた制度設計が間違っていたことに気づくわけです。あまりにリバタリアンで損得勘定旺盛な功利主義で動いてきたために、というよりも、その価値観がうまくいくような制度設計にしてきたために、パンデミックのように、あらゆる階層や壁を乗り越えて襲い掛かるリスクを回避することはできなかったのだと。

★そこでグレートリセットだというのです。シュワブ博士は、「幸せの王子」や「サロメ」で有名なオスカー・ワイルドの次の言葉を引用します。「あらゆるものの値段を知っているくせに、いかなるものの価値も知らない人間のことである」(クラウス・シュワブ; ティエリ・マルレ. グレート・リセット ダボス会議で語られるアフターコロナの世界 (Kindle の位置No.3174-3176). 日経ナショナル ジオグラフィック社. Kindle 版.)。

★リバタリアンや損得勘定旺盛な功利主義者である準富裕層の人びとのことを示唆しています。もちろん、シュワブ博士自身、その仲間です。しかし、そこから抜けなければどうしようもないことを知り、21世紀にはいるや、制度設計を変更しようと警鐘をならしてきたのです。しかし、リーマンショックにも耐えて、強欲資本主義は洋々たるものでした。ところが、今回のパンデミックで、パタッと循環が止まったのです。

★シュワブ博士はこのタイミングを見のがさなったわけです。

★制度が壊れたのだから、新しくしようと。公益のためにだが、準富裕層の持続可能のために。情けは人のためならず戦略で行こうと。タイミングとしては、産業革命以降、これまでの経済社会を支えてきた機械産業からAi産業への飛躍の時代でもあるから、すでに痛みを強いられてしまったのだから、思い切りAi社会に切り替えようと。するとベーシックインカムのような制度設計に変わり、今回のようなパンデミックが発生しても、経済循環は止まらないと。

★そして、それには、産業革命時代に技術革新を生んだ発明家、つまりクリエイティブな人材が活躍したように、AI時代にふさわしいクリエイティブ人材の集団、クリエイティブクラスが必要なのだと。ここは、テクノクラートのような論理明晰な人材だけではなく、創造的思考に満ち溢れた人材が必要だと。

★では、そういう人材が育つ場所はどこなのか?これが思考コードでいうB3思考とC軸思考を学べる教育を実施しているところなのだということになるわけです。そして、それと共に、救われたいけれど、変わりたくないというアンビバレンツな近代的自我もグレート・リセットされることになります。

★変わりたいけれど、産業革命以来の延長上の変容ぐらいでは満足がいかない。現状を救うけれど、準富裕層の利益を守るだけでは嫌だと。クリエイティブ・クラスは、実はダボス会議にとって両刃の剣ということになります。

★思考コードでB3を重視する教育は、グレート・リセットと称して、準富裕層以上のファーストクラスの人生を幸せにするでしょう。しかし、C軸思考を重視する教育は、その準富裕層とマスの間にある境界線も突破してしまいます。それは道徳哲学でではなく、法と経済の制度設計と倫理とテクノロジーというトータルな<哲学>によってです。ファーストクラスからクリエイティブクラスへ。ダボス会議とは違うもう一つのザ・グレート・リセットの誕生です。(つづく)

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2020年9月17日 (木)

思考コードがつくる社会(12)東京私立共学中学校の入試問題 革新的本物教育が勢揃い 辛めの本音を少し(汗)

★前回同様、東京私立共学中学校の入試問題の思考コード分析をしました。新タイプ入試(ここでは、このタイプの入試は、思考力が中心ですから、思考力入試と呼んでいます。思考コードを使って分析しているということもあるため)に果敢に挑戦している学校は共学の中にはたくさんあります。しかし、共学全体では国算B3思考とC軸思考を行っている学校は93校中、35%の29校でした。

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★時代を語り、未来を語り、トークのうまい校長で有名な学校は共学校に多いわけですが、ふたを開けてみれば、そうでもないということです。ランキングを並べてみると、工学院と東洋大京北がダントツです。両校とも堅実で真面目な話をする校長がリーダーシップを発揮している学校ですね。TTP(徹底的にパクる)路線とは違います。革新的で本物教育を行っています。両方とも哲学をしっかりやっている学校です。

1:工学院 100★
1:東洋大京北 100★
3:日本工業大学駒場 66.7★
4:ドルトン東京学園 53.5★
5:文化学園大学杉並 50★
6:八王子実践 47.5★
7:城西大城西 44★
8:実践 40★
9:目黒学院 40★
10:東京成徳 39★
11:開智日本橋 35★
12:多摩大聖 35★
13:八王子八王子 32.5★
14:宝仙理数インター 30★
15:安田学園 30★
16:かえつ有明 28.5★
17:桜美林 22.3★
18:聖徳学園 20★
19:駒込 11★
20:早稲田実業 9
21:広尾 7.5
22:渋谷教育学園渋谷 6.5
23:中央大附属 6.5
24:慶応中等部 5
25:共栄 3.5★
26:国学院久我山 2.5
27:都市大等々力 2.5
28:三田国際 2.5
29:成蹊 1

(スコアの隣の★印は、思考力入試のスコアです。ないものはB3のスコアです)

★生徒募集だけ増えて、きちんとクリエイティビティを授業で行っていない学校は革新的なことを大げさに言いますが、全部外部ネットワークの力でやっていて、学内のソフトパワーはありませんね。

★外部ネットワークに頼るのは構わないのですが、学内のソフトパーワーがない学校は、口先リーダーがいなくなったら持続可能になっていないわけですよ。

★ともあれTTPを行っている校長の話はうまく、驚くことに、自らTTPをやっているくせに、それはあたかもオリジナルで、みんな自分の真似をしていると高らかに言えてしまう学校は、確かに人気がありますよね。

★それも、別に取り締まる法律はないわけです。表現の自由ですよ。ですから、そんなリバタリアンや損得勘定功利主義の校長のトークに共感する人たちも、またリバタリアンだし功利主義です。市場において、そのような価値は自由ですから、全く問題ないのです。

★ただ、事実はそうだという認識はあってよいでしょう。その事実をどのように解釈し、選択するかは私事の自己決定だし、価値自由です。

★いずれにしても、思考力入試(新タイプ入試)のスコアが20以上の学校は、真剣に革新的な教育に取り組んでいる本物であることは間違いないでしょう。もちろん、それ以外の学校もがんばっています。スコアに現れていないだけです。ただ、ご自身の目で確かめに行って、校長のトークがすばらしく、この思考力入試のスコアが低い場合、なんでギャップがあるのか?とクリティカルシンキングを働かせるのは当然ですね。

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思考コードがつくる社会(11)東京私立男子中学校の入試問題 創造性も重視傾向

★前回に続き、同様の計算方法で、東京私立男子中学のクリエイティビティ度を算出。何らかの形でクリエイティビティの思考特性を測ろうとしている男子校の方が多いという結果になったのです。男子校30校のうち、57%の17校がクリエイティビティまで問う入試問題を出題していました。

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★これは意外な感じがするでしょう。しかし、B3思考をプロセスのクリエイティビティをみているとみなすことによる結果です。算数でB3を出題している男子校が多くなるので、当然と言えば当然です。ランキングで並べるとこうなります。やはりプロセスもコンテンツも両方のクリエイティビティを重視する聖学院が突き抜けています。(スコアの横の★印は、思考力入試のスコアであることを示します。)

1:聖学院 65★
2:開成 34
3:足立 30★
3:佼成学園 30★
5:武蔵 29
6:日本学園 22.3★
7:麻布 17
8:暁星 12.5
9:芝 12
10:早稲田 10
11:駒東 9
12:早稲田高等学院 7
13:海城 6.5
14:東京都市大 6
15:攻玉社 5
16:高輪 3
16:桐朋 3 

★足立と佼成学園が、進学実績面でも伸びてきています。プロセスだけではなく、コンテンツの面のクリエイティビティも重視する、つまりクリエイティビティの社会実装は、今後ますます注目される可能性大です。

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思考コードがつくる社会(10)東京私立女子中学校の入試問題の思考特性

★晶文社の「2021年首都圏中学受験案内」の思考コードのデータで、東京の私立女子校が出題する入試の問いのうち、B3とC軸の問題の割合を抽出してみました。国算でB3問題を出題している割合と思考力入試でC軸を出題しいる割合に注目しました。B3は国語算数の問題の中での割合を計算。C軸は、思考力入試の中で、C1C2C3の合算の割合です。両方とも100点満点で換算してあります。すると、65校中31校が、クリエイティビティ度を問う問題を出題していることがわかりました。東京の私立女子中学校の48%は、何らかの形で入試の段階でクリエイティビ度を測る問いを投げかけているということなのです。

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★データが煩雑なので、単純にB3の割合とC軸の割合を混ぜて、ソートすると、次のようになりました。

1:聖ドミニコ 80
2:目黒星美 60
3:北豊島 58.5
4:淑徳SC 57.5
5:東京女子学園 57.5
6:大妻多摩 55
7:大妻中野 55
8:共立女子 50
9:女子聖学院 50
10:白梅清修 42.5
11:共立女子第二 40
12:佼成学園女子 40
13:神田女学園 39.5
14:十文字 39
15:東京純心 37.5
16:桜蔭 36
17:藤村女子 33.4
18:品川女子 32.5
19:桐朋女子 31
20:トキワ松 30.5
21:光塩女子 30
22:東京家政学院 30
23:中村 30
24:富士見丘 30
25:女子学院 12.5
26:豊島岡女子 11.5
27:昭和女子 10
28:鴎友学園女子 8
29:雙葉 4.5
30:学習院女子 3
31:江戸川女子 1 

★江戸川女子のように、割合は少ないですが、B3問題にまでチャレンジしている女子校は、当然カリキュラムポリシーでも創造的思考を大切にしているということが見え隠れするわけです。

★B3は、論理的思考の軸なのに、なぜクリエイティビティが測れるのかと思われる方もいるでしょう。B3を出題する学校が少ないので、そこは単に難問だと思われがちです。たしかに、難問なのですが、論理的に積み上げていくだけでは時間内に解けないのです。考えるプロセスを創意工夫する必要があります。これはまさにクリエイティビティなのです。

★C軸の問いは、実際に正解のない解を、生徒が自分なりに創る創造性が必要なものです。プロセスだけではなくコンテンツも必要です。要するに作品ですね。

★実は、今後世界が求めるクリエイティビティは、プロセスのクリエイティビティとコンテンツのクリエイティビティの両方を充実していなければなりません。クリエイティビティの社会実装ということです。常識や従来のやり方を変容させかつ新しい作品やアイデアを生みだす。C3は、そのような両面備えたクリエイティビティへの問いなのです。晶文社のデータは、この2つの因子が入り込むとわかりにくくなるので、当然、創造的思考は作品が創られるかどうかで判断されます。そのような曖昧性はデータにはなかなか反映されにくいのです。

★そこは、少し今後解釈をしていきますが、今回は、しばらくは、晶文社のデータをシンプルに活用していきます。

★ソートをみると、聖ドミニコ学園のクリエイティビティ度の割合が高いですね。1学年80名という小さな学校だし、共学の附属の小学校からの内部進学の生徒がいますから、卒業してしまう男子生徒の分の募集です。ですから目立たないというのが実情です。

★しかし、ゆったりした豊かな時間を過ごせる教育環境だし、進学実績も驚くほどよいのです。海外大学も毎年進学しています。ダンスやコーラス、美術などの教育も豊かで、芸術系の大学も毎年多いですね。

★女子校と言えば、大妻グループ、共立グループが思い浮かびます。伝統校ですが、新機軸も次々と仕掛けてきます。やはり、クリエイティビ度が高い教師がいるということですね。思考コードをこうやって活用してみると、教育の中身や教師の特徴も予想できます。

★もちろん、あくまで推理ですから、興味と関心がわけば、実際に足を運びたいものです。ですから、はやくコロナ収束を願うばかりです。

★クリエイティビティと言えば、桐朋女子です。やはり上記のリストの中にちゃんと位置していますね。

★C軸ではないのですが、B3を出題している学校に、桜蔭、女子学院、雙葉、豊島岡女子も入っています。東大合格実績だけにこだわっている教育ではないことを示唆しています。

★もちろん、入試問題だけで、創造性に満ち満ちている学校かどうかはわかりません。女子美のように、クリエイティビティ豊かな生徒が受けに来るのはわかっているので、作品だけではなく、プロセスの創造性のポテンシャルを見るために、論理的思考の基礎は最低限みておこうとうする学校もあるからです。

★ですから、あくまで参考としてのデータなのですが、時代の精神と呼応していることもまた否定できないのです。

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2020年9月16日 (水)

PBLで世界は変わる(03)アサンプション国際小学校 内なるエネルギーを豊かにする対話

★昨夕、アサンプション国際小学校の先生方とPBLについて対話を行いました。今回は森本先生がコーディネーターで、いつもとは違い、フリーな対話を行いました。

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★いつもは、PBLの小さき泉をワイガヤで対話して、そこからPBLの竜巻が生まれるというシナリオの対話なのですが、今回は、PBLの意義や生徒の成長の発達段階だとか、現場の授業で生徒が興味関心をもったり、没入していく仕掛けはありやいなやとか、実はPBLを学校を上げて実施している学校はほとんどなく、自分たちで創っていく必要があるとかいうPBLの前提条件や価値論が話題になりました。

★PBLの背景や価値について、改めて共有して、泉のエネルギーを豊かにするシナリオを森本先生はコーディネートしました。

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★小さく始めて、大きく育てるという学びのパターンの逆を行ったわけです。

★ミクロからマクロへというシナリオからマクロからミクロへというシナリオと置き換えてもいいかもしれません。

★実際には、ミクロからマクロへ向かう時、そのつど広がらない理由や壁に気づいて、そこで質疑応答を行いながら軌道修正していきますから、両方を往復するのですが、これだと、速度がゆったりなのです。

★しかし、マクロからミクロへというシナリオで始めるのは、速度感があり、ダイナミックなのですが、その分ハードルが高いのです。宙に浮いたままになってしまいがちなのです。

★よく俯瞰してという言葉を使う人がいますが、多くの場合、現場を見ないで、俯瞰するので、かゆいところに手が届かないわけですね。

★ところが、アサンプション国際小学校の先生方は、現場でPBLのチャレンジをしていますから、マクロから入ったほうが、一気呵成に疑問を解消できるというわけです。

★そのうえで、またミクロから始めてみる。そういうミクロからマクロ、マクロからミクロという2つのシナリオの循環が起こると、大きなPBLの竜巻が生まれるでしょう。阿弥先生といい、森本先生といい、婦木先生といい、海見先生といい、それ以外にも多くのPBLコーディネーターがいるアサンプション国際小学校は、生徒にとって希望の学校ですね。

追伸:マクロから入ると、私のような年寄は話が長くなります。先生方、耳を傾けて下さり、感謝申し上げます。

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思考コードがつくる社会(09)工学院 自己変容率が半端ない。偏差値を突き抜ける仕掛け。

★晶文社の「2021年首都圏中学受験案内」の工学院の思考コードデータでは、2科入試と思考力入試の両方が公開されています。それをグラフ化すると、次のようになります。

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★とてもシンプルな作り方になっています。国算2科目入試は、A1A2とB1B2の思考特性を求める出題になっています。思考力入試では、C1C2の思考特性を求める出題になっています。

★いわゆる偏差値で40~53くらいのレンジの生徒が入学していきますから、受験勉強の準備がやりやすいですね。驚くべきことは、この生徒たちが6年後、すさまじい成果をあげることになるという自己変容率の高さです。

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(入学後教師が豊かにする思考特性のターゲットが明快で、そこを鍛える学びのデザインがされているのが、工学院の教育の奥義なのです。21世紀という予測不能な時代を牽引する人材は、クリエイティブクラスだと言われています。そのクラスが輩出される学びの経験ができるわけです。)

★6年間で、自分の人生を人から指示されて選択するのではなく、自分の内側から選択する思考力・判断力・創造力を養えるのです。しかも志が高いので、自ずとそこを乗り越えて自己実現していくGRITマインドや高次スキルを身につけていくことになります。

★ただ、自分ひとりでそれは限界がありますから、仲間同士協働しながら立ち臨みます。その仕掛けは、授業を中心にすべてがPBL型(プロジェクト型)になっているからです。

★高1から高2にかけて探究論文やグローバルプリジェクトに学年一丸となって取り組む豊かで最強のハードルが設定されています。それをやりきるためにも中学からGRITマインドを多様なプログラムで鍛えていきます。高入生は、そのことを知っていますから、その3年分を追いつくために必死になれるモチベーションの高い生徒が入ってきます。

★したがって、入学後、A3、B3、C3は難しいのではなく、ワクワクしながら挑戦していける思考特性だと感じられるプログラムが発達段階に応じて設定されています。そのプログラムが多様なために、外から見ていると複雑系なのですが、教師や生徒にとっては、複雑適応系であり、あるいは自律分散協働系の学びの環境であると感じられるわけです。

★生徒の自己変容率は、いわゆる御三家に比較するとすさまじいでしょう。世界大学ランキング200位以内の大学にたくさん進学するし、医歯薬系にも進みます。中高6年間で、自分とは何か、何をすべきか、見つめ、悩み、自信を持ちながら疾風怒濤の青春を通過できまるのです。

★なぜこんな複雑適応系の学びのデザインができるのか?それは工学院が自らの「思考コード」を有し、それを生徒も共有して活用しながら、リフレクションする内省型・共感型のコミュニケーションができる雰囲気があるからです。緻密でかつ愛が溢れる教育デザインが生まれる泉が同校の思考コードです。

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2020年9月15日 (火)

PBLで世界は変わる(02)ノートルダム女学院の場合 生徒が<新しい学びの経験>を共有していく

★昨年、ノートルダム女学院中高(以降「ND」)は、教育のアップデートを開始しています。そして、今期のパンデミックで、一気呵成にオンライン授業をフルセット(オンディマンド×プラットフォームで課題配信×テレビ会議システム)で行い、それはさらに加速しました。

★ソサイエティ5.0やVUCAの時代と呼ばれて久しいですが、新型コロナウィルスは、それは遠い未来ではなく、いまここですでに起こっていることを世界同時的に示したのでした。

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★それでも、動けた学校もあったし、動けない学校もありました。危機感を感じながらも、自粛が解除になってから、元に戻る反作用もあります。もちろん、さらにアップデートを果敢に行っていく人も学校もあります。ノートルダム女学院は、アップデートにチャレンジしていく学校です。

★ある日中1の3クラスの授業をいくつか拝見しました。すると、社会の森兼先生は、カースト制度について調べ、その問題点を見出し、解決策を考えて、プレゼンするPBL授業を行っていました。森兼先生は、中身の深さとか論の組み立て方とかは、中1だから完璧なものは求めません。調べ方や、編集の仕方、チームワークなど、これからの学びで大切な方法を、試行錯誤しながら悩みながら身につけていくことがこの時期大切ですと。

★そして、遠くの国の話と自分の身の回りとを比較して、同じ問題があることを知り、自分ごとであることも知って欲しいのですと。関心や好奇心は、他者や出来事への愛から生まれるのだと。森兼先生は、ケアフルでフィードバックでは鋭くかつ温かいメッセージを投げかけます。カトリック学校の真骨頂です。

★数学の北島先生は、中1では代数が担当です。方程式や関数(特に微積)や数論につながっていく式の計算の基礎の授業を展開していました。自分で考える姿勢、考える過程をていねいにたどる授業展開でした。北島先生は、リアリスティックなリフレクションをその都度、生徒自身、生徒同士、黒板でのプレゼンなどで行っていきます。

★計算は手順を暗記するのではなく、分解と合成という数学的思考の基礎が詰まっている。この基礎が次への応用や発展にもつながる。6年後、自分のやりたいこと研究したいことのためのモチベーションが高ければ、この数学的思考の基礎力は必ず役に立つと。長年多くの専門家が議論し、多様な目がはいって編集されている教科書は、その数学的思考の基礎を生徒とひもといていく体験をするのには適していると。根源的な基礎の意味を語ってくれました。

★星野先生の英語の授業は、調べたことを英語でキーノートやパワーポイントでまとめ、プレゼンしたり、1人ひとりの生徒の作品をギャラリーウォークをしながら、ピアエンパワーメント評価をしていました。タブレットを1人1台活用して学ぶ自然な姿に驚愕でした。もちろん、生徒の皆さんは、オールイングリッシュに挑んでいました。

★英語のノートルダムと言われているのは、なるほど納得でした。中1からこのようなシーンが、あの高2、高3のディーン先生をはじめとするネイティブスピーカーの先生方のスペシャルな授業に結びつくのだと感じ入りました。

★理科の村田先生の授業は、昆虫類やクモの生態について授業を展開していました。虫というのは、世界でその数が人間よりもはるかに多い生物で、生態系にとって欠かせないとか、ゴキブリを研究する大学の研究室の話とか、牧野先生の植物学の話など、多様なエピソードを瞬時に挟み込みながら、生徒の虫に対する恐怖心を好奇心に転換していく見事な博物学的なPBL授業です。

★実際に野に観察に行くことはできませんからと、タブレッドに資料を配信し、その映像をみながら、生徒に昆虫類やクモの違いがわかるように図式化する作業時間も設けていました。フロー状態(没入状態)はPBLの醍醐味です。村田先生は、観察して図式化するという学びは科学的思考の基礎をつくる入口なのですと。

★フィールドワークも大切ですが、いつもそれができるわけではないので、デジタル環境を効果的に活用していくことはやはり大事だとも。

★別の時間で数学の中村拓先生の授業を拝見して、驚愕だったのは、生徒が三角形の合同条件を自ら議論してチームで見つけていくというゲーム感覚のPBLを行っていたことです。ルールや法則、あるいは公理をはじめに教えてしまうのではなく、自ら発見していく体験を大切にしていますと。

★生徒は教科書にない4番目のルールを発見してもいました。2つのチームがそこに到っていました。教科書を突き抜ける授業。

★しかしながら、なぜ合同条件は3つなのだろうと、中村拓先生は問いを投げかけます。生徒たちは思考をフル回転させていました。中村拓先生は、いろいろ発見していくプロセスを体験する。そして、一見違う物でも見方を変えれば同じだと気づいたりする。そんな置換操作をするのも数学的思考の基礎です。基礎とは易しい問題をやることを意味するのではないと。代数と幾何の授業という違いはありますが、北島先生と中村拓先生のND数学科の共通点は、数学的思考の基礎を大事にすることなのだと了解できました。

★ND教育開発センター長の霜田先生は、PBLをやろうというのは、共有していますが、何か一つのマニュアルをみんなでやるというのではなく、本間さんもいっている5つの基本要素(前回紹介しました)の組み合わせは共通していますが、アプローチは様々でいいんですと。観察をベースにしていたり、社会課題をベースにしていたり、数学的思考や科学的思考をベースにしていたり、ピアプレビューをベースにしていたり。

★大事なことは、それぞれの教師のPBLを生徒はみな体験するということなのです。本間さんが見学してくれた中1の先生方がそれぞれのPBLを実施することによって、生徒は小学校では体験してこなかったPBL体験をしているわけです。

★1人の先生だけがPBLをするのではなく、多くの教師がチャレンジすることによって、生徒は<新しい学びの経験>をドーンと受け止めます。PBLは、学力や非認知的な面をサポートしますが、人間存在の価値の気づきが生まれてくる場でもあります。しかし、それは自ら気づかなければ自分の血肉にはなりません。しかも、生徒によって嗜好性が違いますから、いろいろなアプローチのPBLが行われることの方が相乗効果は生まれやすいのですと。

★そう語る霜田先生の高2の授業を覗くと、生徒たちはその見出した価値をGoogleサイトでホームページを作成して発信する編集活動を行っていました。アメリカの学校だと、最終的に本として出版して、果たして市場価値を得られるかという教育まであるわけです。まさにPBLの醍醐味です。

★しかし、お金がかかりますね。クラウドファンディングもいいのですが、その前に、今ではホームページは簡単にできますから、そこをうまく使ってみようかなと思ったのです。パンデミックでオンライン授業を実施しながら、新しいアプローチも発見できましたと。

★自らサイトを立ち上げる時に、SNS上の様々な問題にも気づきます。フェイクニュースが表現の自由問題でなかなか解決できないというリーガルマインドも学びます。18歳成年はもう直です。自分の良心や正義の重要性とそれだけでは解決できない紛争もあるということに気づくわけです。倫理と法のせめぎ合い。霜田先生は哲学の先生でもありました。

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2020年9月11日 (金)

思考コードがつくる社会(04)晶文社「2021首都圏中学受験案内」が世界を開く時代

★今年も晶文社は、「2021首都圏中学受験案内」に各学校の入試問題の「思考コード」分析スコアを掲載しています。入試問題は学校の顔ですから、このスコアによって、昨今予測不能な時代に必要とされている思考力の各学校の特性がわかります。

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★思考の特性がわかることはどうして重要なのでしょう。それは、中学入試で使う思考力は、入学後学校の授業で求められる思考の在り方そのものです。また、その思考の在り方を使って先に進む卒業後の状況が予想できます。かりに知識・理解ばかりの思考の在り方が入試問題で出題されたとしましょう。そうすると、大学はMARCHまでしか進めない。海外大学は射程にないキャリアデザインが展開されていると読むのは容易です。

★もちろん、生徒によっては、そうでない場合もありますが、それはその学校の教育によってではありませんね。

★このような学校選択ができるのは、しかしながら、首都圏だからなのです。首都圏という一つのエリアに私立中高一貫校が300も集まっているという国は日本にしかないのです。特にその3分の2が東京に集積しています。中学入試の段階で、一部のエリートだけではなく、教育を選択するという経験が出来る日本には、本来希望があるはずなのですね。

★しかし、偏差値で選択していた時代は、偏差値ランキングの価値意識、簡単に言えば学歴社会価値意識で画一的に選択されていたので、多様な価値意識のマッチングができる有効性を発揮できない教育市場だったのです。そう考えれば、もったいないですね。ところが、ようやく偏差値基準の価値だけでは乗り切れない予測不能な時代がやってきたわけです。

★晶文社は首都圏模試センターと協力して、新しい教育価値の選択肢を増やす画期的な受験案内を出版したわけです。

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★たとえば、麻布、開成、武蔵、駒東の思考の特性(出題された問いの思考コードの9つの領域の割合分布)を出して比較したら、上のようなグラフになります(4教科の出題の平均)。

★開成と駒東は、知識・理解のA2と適用・論理のB1・B2の領域で十分に考えることができる思考の特性が求められています。麻布は、B2思考の特性が明確ですね。ここを鍛えていればまずは大丈夫ということです。

★武蔵は、B2・B3の思考の特性が求めれれています。

★こうしてみると、開成や駒東は、手堅く知識も暗記し、論理的に思考する力を重視しているということがわかります。東大合格の力のマッチングは最強です。

★麻布は、B2思考を身につければ、知識はあとでついてくるし、B3まで根詰めなくても、そこは別の方法で軽やかにクリアすればよいというカジュアルで自由な思考様式が極端に求められています。

★武蔵は、B3にまで立ち向かっていく重厚なあるいは執拗な思考力がこれまた極端に大切にされていますね。学問知をはじめから求めているということのでしょう。

★こう見ていくと、なんとなく、それぞれの進路先のイメージと合うような気がします。

★4つの学校からは、もちろん、高いクリエイティティビティを有した人材が輩出されていますが、それは学校の教育とはまた別の要素でしょう。同窓力とか家庭の力とか。

★ですから、そういうことを重視している家庭や本人は、クリエイティビティを養成することは、別に学校に期待はしていないということでしょう。

★しかし、時代は変わりました。来春のダボス会議で、「ザ・グレート・リセット」宣言がなされ、よいかわるいかは、ともかくクリエイティブクラスを積極的に育成する教育が必要だとなるでしょう。経済学側からも内生的成長論がノーベル賞を受賞しているぐらいですから。

★このようなリバタリアン・パターナリズムの是非は、世界標準な議論になっていますが、日本ではまだまだ法学部のしかも先端的な法学部を形成している大学でしか話題になっていませんね。

★しかし、この今後WebやVRの世界で教育がなされると、一気に話題になるテーマです。この流れに対応できる学校を探さなければならないわけです。そのとき、晶文社の同書が大いに役立ちます。クリエイティブクラスはC領域の思考の在り方を必要とします。このC領域の思考様式を大切にして、入試問題をデザインしている学校を見つけることができるのです。(つづく)

 

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2021年変わる中学入試(09)山本崇雄先生が仲間と拓く新しい中学入試 10月3日緊急教育座談会で保護者と想いを共に

★来月10月3日(土)、新渡戸文化学園は、特別企画「教育座談会」を開催します。同時開催で、iPadを使った算数と国語の体験授業もあります。「教えない授業」とは何か、PBLとは何かを体験できるわけですね。

★教育座談会は、新渡戸文化小中高等学校統括校長補佐の山本崇雄先生が座長で、石川一郎先生となぜか私も(汗)参加して、対話をします。エポックメイキングな対話になると思います。ぜひいっしょにその時間を共にしませんか。

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★テーマは、「どうなる!?中学入試」です。入試は学校の顔とよく言われます。難しく言うと、アドミッションポリシーなわけですが、その学校の中学入試問題を見ると、その学校のカリキュラムや授業の様子やシステムがわかります。そして、どんな未来を実現するために生徒が卒業していくかもシナリオがわかります。カリキュラムポリシーとディプロマポリシーが予想できるということですね。

★それを端的にいうと、入試は学校の顔ということです。高校入試や大学入学共通テストなどは、学校や大学の顔は見えないので、どうしても偏差値などのランキングで選抜されてしまいます。一方、私立学校の入試問題や山本先生も携わっていた公立中高一貫校の適性検査は、学校の顔がちゃんとわかるものです。学校と生徒の多面的な能力とのマッチングが可能なわけです。

★しかしながら、山本先生は、私立学校全体の状況が必ずしもそうなっていないことに気づき、学校の仲間といっしょに、この多面的な能力のマッチングの意味をもっと深く踏み込み、突き抜けてしまいました。新渡戸文化学園の画期的な中学入試については、すでにホンマノオト21「2021年変わる中学入試(03)新渡戸文化の画期的な中学入試 生徒が主語である学校のアドミッションポリシーとはこれだ。」で取り上げていますからご覧ください。

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(山本崇雄先生の著書の中にある重要な図)

★さて、この画期的な意味とは何か?それは、当日の教育座談会でさらに明らかになることと思います。山本先生も石川先生も教育改革や新しい教育のアドバイザーとして学校以外でも活躍されていることは、みなさんもご存知だと思います。ですから、今回の新渡戸文化学園の画期的な中学入試は、新渡戸文化学園のためだけの事態ではないでしょう。

★おそらく、同校のチャレンジが今までの学校が社会と分断されていたことを赤裸々に映し出すでしょう。そして、その分断を無意識の内に強化していたのが、一発ペーパー入試問題だたっということが。

★生徒は、ソサイエティ5.0の道を歩んでいます。今回のパンデミックでVUCAの時代に直面していることに痛いほど感じています。2022年に改正民法が施行され18歳成人になります。

★学校は、そんな予測不能で激しく変動している社会と分断しておいて、卒業おめでとう、さああとは自力でがんばってと、ライオンが子どもを崖から突き落としてはいあ上げって来いというような教育を、実はしていたのですね。そのことに気づいたら、みなさんはどうされますか?今回のパンデミックでケアの大切さマインドフルネスの必要性を時代は要請しているのに、教育だけは真逆というのでよいのでしょうか。

★自分のお子さんだけではなく、世界の子どもの状況にも想いを馳せてみると、なんとかしなくてはと思うことでしょう。でも、それはいきなりはできないのです。でも大海も一滴が大切です。いまここですることが、世界に未来に波及するプロトタイプづくりになる。あるいは種づくりになる。そういうことが大切です。

★中学入試のあり方を問うことは、実は、そんなことを問い返すBigQuestionだったわけです。ぜひ共に!

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