新しい社会の在り方を「人間—テクノロジーー世界」の多様な関係性でとらえる世代
★東京私学教育研究所の理事長校長会でお招きした青山学院大学の香川秀太教授の講演を聞いた何人かの先生方が、教育の中に新しい社会のとらえ方のスコープを埋め込み始めています。まだまだリアルな領域の話ですが、それは学校という器の今のところ限界です。学校はプロトタイプで終わらせることはできず、プロジェクトにして実践しなくてはならない宿命があるからです。
★ところが研究所の場合、プロジェクトを実施する前のプロトタイプ段階で終えなくてはなりません。プロジェクトはあくまでも学校の先生方が実施するからです。
★ところが、プロトタイプでよいのであれば、メタ的な絵柄を生み出せばよいわけで、リアルな学校の器を越境して社会の在り方のモデルを創れます。香川秀太教授の講義の中からコンヴィヴィアルという概念に共鳴した研究所の若い世代のM氏が、緒方壽人さんの上記の書籍を引っ張り出してきて、新しい社会の在り方のヒントになりますよとメールを送ってくれました。
★デザインとテクノロジーを結びつける集団が存在していて、テクノロジーといえば、ハイデッガーをどう読み解くかなんだとかいう話になって、哲学がまさにSTEAMに大いにかかわっていることがわかりました。
★M氏は、このコンヴィヴィアルテクノロジーについて総務省も研究しているとメールをくれ、イリイチの考え方を企業や官が取り入れているとはなんて時代なのだろうと改めて驚きました。
★文部科学省のいう「主体的・対話的で深い学び」や「個別最適な学びと協働的学びの一体化」など、「テクノロジーからの哲学」で考察すれば、なんて先進的なことを行っているのかということに驚きます。
★STEAMが教科と探究をつなぐんだというようなことも言っていますが、コンヴィヴィアルテクのロジーという言葉を学習指導要領の中に引用や参照するだけで、あっさり次の次元に学校は飛べるのに、わざわざ新しい漢字交じりの日本語フレーズに変換して、今やっていることは、まるでそこに行くのを回避するように誘導しているかのようです。
★一体文部科学省は何を隠そうとしているのでしょうか。すでに大学や民間でこのコンヴィヴィアルテクノロジーをとりまく技術と実践と哲学が三位一体になる研究や商品開発がどんどん進んでいるのに、そこに追いつかないSTEAM教育や探究の成果を発表しあって満足しているとはどういうことなのでしょう。
★文科省は知っているのに、それをなぜ隠すような日本語で学習指導要領を編集しているのは一体なぜでしょう。実に不思議です。
★まあ、それはともかく、東京私学教育研究所のM氏のように学校に所属していないことで、その隠されている大切なビジョンを見抜くことができるというそういう場で、この年寄りが若き世代に刺激を受けて学ぶことができるなんて、とても幸せなことです。
★M氏とは、ここを掘り起こす作業を地道にやっていくことになりました。
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