大学入試

2021年9月 9日 (木)

高校生の学びと成長に向けた「大学選び」溝上慎一著(東信堂)

★溝上慎一先生から著書を頂きました。ありがとうございます。<高校生の学びと成長に向けた「大学選び」偏差値をうまく利用する>(2021年8月30日 有信堂)がそれです。プラグマティックで、世界を変える野心的な著作です。そして、同書を読んだ生徒はいまここで力が湧いてくるでしょう。

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★「偏差値をうまく利用する」という視点がまずすてきです。「偏差値にこだわらない」とかいうのではなく、「偏差値」の問題性を客観的な視点で冷静に見つめ、偏差値がみていないものを、見出し、それが結果的に偏差値が低くても、他の生徒が気づかないような宝物や秘密の花園を見つけたようというのです。

★偏差値が語り得ぬものを見出すという、偏差値を逆手にとる方法が書かれています。

★考えてみれば、偏差値は上位15%のためにあるようなものです。その15%の生徒が受験しようという大学の情報はマスメディアや受験情報誌が常に発信しますが(それでなければ売れないので)、それ以外の情報は、その大学が広報する場合にようやく世にでます。

★そういう意味では、自ら大学のサイトをみて、オープンキャンパスなどに出かけて、皆が気づかないような大学や学部学科を見つけるという手が、確かにあります。

★同書では、実際に偏差値で選ぶ受験生が少なくなっているというデータも掲載しています。先ほども言いましたが、受験生の15%が偏差値をまず気にするのです。それ以外は、大学や学部、学科の特色です。どうやらそういう偏りがあるのなら、残りの85%の中から宝探しをしようよということでしょう。大いに賛成です。

★また、大学を何を学びたいかで選ぶのではなく、どんな職業に就きたいからどういう大学や学部を選ぶのかと考えよというのも実に現実的で創造的です。

★それによって、大学で何を学びたいのか、何を研究したいのかがはっきりわかるからですね。

★しかも、未来は予測不能で、AIによってなくなる職業もあるわけです。ですから、未来にどういう職業があるのか、なぜあるのか、それは世界にとってどんな価値があるのかを、実はリサーチし考えぬくわけです。

★自分の興味と関心を仕事という現実態にするにはどうするかというのが、自分の就きたい職業をリサーチする考える、なければ起業するという壮大な話です。

★結局、自分の興味と関心=夢を実現する仕事=メカニズムを創るということです。世界を創るという話だったのです。

★それには、アクティブラーニングやPBLの講義を行っている大学を選びなさいと溝上先生は語るわけです。

★これらの講義は、予測不能な未来を、それでも見通そうとする学びです。

★こんな進路指導をするとしたら、しかしながら、一般選抜ではなく、総合型選抜にチャレンジということになるでしょう。

★宝物を見つけるには、うってつけの入試制度です。同書は溝上先生の戦略的な書です。ひそかに大学入試のあり方まで変えようという野心に満ちた書なのです。

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2021年9月 5日 (日)

世界を創る人神崎史彦先生と対話 

昨夜というか今日の夜中というか、久々に長時間、神崎史彦先生とZoom対話をしました。テーマはいつものごとく、実用的な話から世界を創る時代感覚の話まで多様ですが、多なるものは1であり、1であるものは多であるという往還対話です。要するに盛沢山。最後はまた実用的な探究や小論文のプログラムのフラッシュアイデアを出し合って互いに退出しました。

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★超多忙な神崎先生。長時間ご教示ありがとうございました!

★さて、先生のワークは、スタディーサプリ登壇や執筆活動、各学校コンサルなど多様です。首都圏をベースにしながら、北は北海道、南は九州を駆け巡り、絶望を希望に変える世界を創る発想力・思考力・意思決定力・正義に基づく判断力・men for othersとしての行動力をZ世代生徒及び教師と共有しているエバンゲリストです。

★古今東西エバンゲリストは苦難に遭遇し、深く悩み、にもかかわらず異端者との対話をあきらめずにしていくというパッションを持っています。パッションというのは情熱という意味もありますが受難という意味もあります。

★もちろん、神崎先生はクリスチャンではありませんが、ときどきSNSで、ニューヨーク国連でディスプレイされているノーマンロックウェルのモザイク画を投稿しているように、あらゆる違いを超えた黄金律を胸に、ワン・アースの最高善を求めて教育支援をしています。

★わたしは、神崎先生がクリティカルシンキングを発動したり、クリエイティブな活動をしたりするときに、よって立つ世界性が何であるか対話によって明らかにしたいと思っているわけです。

★というのは、この世界性にしっかりと立って、自分の力で世界を巻き込みながらいまここで生きている人間像というのは、20世紀まで活躍していた人間像とは違う21世紀型人間像だと思うからです。

★というのも、21世紀型教育において価値が大事だとよくいわれますが、その価値はお金に換算されるものです。マーケティングにおける価値という条件つきです。

★GAFAの製品のヘビーユーザとしての教育は、クリエイティブではないし、そこで評価される価値は、GAFAにとって利益になる価値です。それを無批判にGIGAスクール構想だとかいったとしたら、本当はどうなんでしょう。EU諸国のICT戦略やドイツのアーティストの中には、警鐘を鳴らすだけでなく、それに対抗する倫理、制度、公正市場、アーキテクチャーというトータルな制度設計を進めている人々がいます。

★だから、神崎先生の語る価値というのは、そういうある団体の価値を超えた超越的内在者としての人間の在り方を生徒と語り合っているのでしょう。

★価値は、マックス・ヴェーバーではないですが、神々の闘争でしょう。それでよいとするか、多なるものは再び1に向かおうとするのか。部分集合の中にとどまる内在的超越者であればよいのか、全体集合という世界性を足場とするのか。

★それとも部分集合と全体集合が反転するのでしょうか。

★バックキャスティングといまここの力がどこでもドアでつながるのでしょか。GAFAが進める次なるメタバースの戦略は、どこに向かっているのでしょうか。

★マイスター・エックハルトの流れを汲むサヴォナローラの生きたルネサンスにすでに20世紀型経済社会の萌芽はありました。もちろん、そこではサヴォナローラは火刑に合います。そのような萌芽が成長し開花するのに、邪魔だったからです。メディティ家の経済システムと教養とスペインの軍事力がサヴォナローラを排除します。

★しかし、今再び絶望を希望に変える世界創りが求められています。サヴォナローラの松明は、ルターを通して、継承されて未だ脈々と続いています。その現代化と一つの宗教にこだわらない世界性の普及に、つまり大きな存在のイメージをもちつつ神崎先生は駆け巡っているのだと思います。

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9月の末には、二子玉川に拠点を移すということです。教育とビジネスの融合こそ、21世紀型経済社会のあり方であり、社会のベースが化石燃料の寡占システムから大きな存在のイメージを内在化させる生徒1人ひとりの学びの場がベースで経済社会が成り立つ時代に大きく転換します。そのエバンゲリストが神崎史彦先生なのです。

★化石燃料の寡占システムは競争を生みます。格差を生みます。そこを無化する大きな存在者を内在化させる人材が、競争と格差をなくす新しい経済社会を創ろうと取り組んでいくことになるでしょう。競争から包摂へ。ポストパンデミックの世界性です。

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2021年8月29日 (日)

工学院の卒業生仲野想太郎さんとの対話

★今年工学院大学附属中学校・高等学校(以降「工学院」)を卒業生て大学に進学した仲野想太郎さんとZoom対話をしました。以前、田中歩先生とのつながりでインタビューをしたことがあったということもあり、総合型選抜で入学したその後の話を聴きたいと思ったからです。やはり、思った通り、総合型選抜の準備に取り組む背景になった実践的学びが生きていました。

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★その理由は何か?またつくづく工学院の教育は先進的で、大学や社会で役立つベースができるという話にも花が咲きました。

★そして、何より田中歩先生をはじめ同校の先生方が<共感>という言葉や行動を大切にしているように、仲野さん自身もまた<共感力>に満ちていました。

★中高一貫校の質は、6年間だけでは完全にはわからないとしみじみ感じ入りました。

★仲野さんには、GLICC Weekly EDUに登壇していただくことになりました。卒業生が語る工学院、総合型選抜が大学生活を豊かにするなどなどまだ未定ですが、そのようなことを対話できると思います。新しい切り口の学校選択の話やどの学校でも、受験生も知りたい総合型選抜の取り組み方を明快に語る仲野さんの登壇をご期待ください。

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2021年6月30日 (水)

教育のアップデート~2022年に向けて(28)グローバル進路プログラムが拡大。

★湘南白百合学園中学・高等学校のサイトによると、同校はUPAAに加盟したようです。UPAAとは、アメリカおよびイギリスの計18の協定大学が連携する「海外協定大学推薦制度」を有し、優れたオンライン英語教育も実施しています。日本の加盟校も年々増え、知っているだけで、次のような学校がズラリ。

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啓明学園
工学院
八雲学園
神奈川大学附属
日本大学(日吉)
足立学園
聖学院
北豊島
麹町学園女子
実践女子学園
湘南白百合
桐朋女子
山脇学園
和洋九段女子

★すでに、各校実績も出しつつあります。

★昨今では、UPAA以外に、ダブル・ディプロマやデュアル・ディプロマ、IB校の増加、ラウンドスクエア加盟校の増加もあり、多様なグローバル進学プログラムが拡大しています。

★その結果、国内の高校の偏差値の高低にかかわらず、東大級(これが何を意味するか本当のところはよくわからないのですが)の海外大学に進学しています。

★国内だけに目を向けると、学歴階層社会の箱の中で、鬱屈するのですが、世界に目を向けるとそれがバカバカしくなります。

★それにしても、本ブログの今月のアクセスランキングでベスト3は、

2021年変わる中学入試(14)海外大学へそして偏差値至上主義の無化へ加速 三田国際のデュアル・ディプロマ参入の意味

文化学園大学杉並の染谷先生 New Power Schoolの価値と作り方を語る

教育のアップデート~2022年に向けて(26)広尾学園の海外大学進学実績の意味 人間の存在の根本問題のシェアリング

★海外大学進学に関する情報に関心が拡大している一つの証かもしれません。

★こうなってくると、海外大学に入るための対策勉強が塾などで行われ元の木阿弥だと思われる方もいるでしょうが、仮にそうだとしても、日本でいう総合型選抜のような学びですから、いやもともとこの新しい試験制度が海外の大学の試験制度を真似しているわけですが、ともあれ、「自分とは何か」「社会貢献のための活動は何を何のためにしているか」「エッセイライティングはロジカルにかつクリエイティブにかつ世界の痛みをシェアしているか」「リベラルアーツ的素養は身についているか」などが要求されますから、動機や入口はなんであれ、日本の一般入試に比べ思考の深さも教養の広さも思いやりも必要です。

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2021年6月23日 (水)

児浦先生との対話 SGTのWorld Making Classとしての活動が始まる 歴史的・地政学的価値の転換(3)新ソフトパワーへ

★児浦先生と対話していて、21世紀型教育の本質はソフトパワーだということに当然なります。そのソフトパワーがオリジナリティーの高いものであり、広く世の中に受け入れられれば価値の転換はようやくできます。少なくとも欲望の資本主義(NHKの言い方を採用しています)の価値観は転換したほうがよいとは誰もが思っているのが、ポストパンデミックで明らかになります。

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★21世紀型教育機構のメンバー校は、共通教育フレームを実現化しています。それはC1英語×PBL×ICTです。グローバル教育(GE)2.0段階のフレームです。今は同機構はGE3.0になっていますから、C1英語はグローバルイマージョンに進化し、PBLはハイブリッドPBLになり、ICTはSTEAMへと進化しています。そしてGE4.0として、そのアップデートし続けるフレームが日本の学校から世界の学校へと進化し、生徒の学びや探究はWorld Makingへと向かっています。

★よく、21世紀型教育は多くの学校で行っていると言われますが、機構のGE2.0段階時代にも到達していない21世紀型教育がまだまだ多いですね。B2英語×一部アクティブラーニング×1人1台PCという段階です。しかしながら、バージョンの違いだけで、たしかに21世紀型教育です。

★New Power Schoolであることに間違いはないでしょう。

★そのような全体集合と部分集合の関係の差異を市場は理解できないとか言われていまsが、国の未来を決めるのは、市場に参加しえいるメンバーです。このような差異を理解できないとしたら、そのメンバーがグローバル市民やクリエイティブクラスに成長していないということを示唆します。

★メディアは、そのことが問題なのだと論じたほうがよいですね。自ら市民をそのようなことはわからないのだからわかるようにわかりやすく説明することが良いのだとしていると、やがては国がダメになっていき、自分たちの経済状況も立ち行かなくなります。

★ですから、21世紀型教育機構は、21世紀型市場もしくはNew Power School市場を創出しようとしてきたし、今後も続けていくわけです。

★ただ、C1英語×PBL×STEAMのフレームは、変容させねばなりません。というのも、英語教育は日本でもどんどん進んでいます。PBLも探究という名で行われていくでしょう。STEAMもGIGA構想で進んでいくでしょう。

★ですから、これだけを追究していくと、比較優位の原則が働いて、ランキング競争になりかねません。偏差値競争にかわるランキング競争は避けなければなりません。

★そうするためにはどうするのか。それにはオリジナリティの高いソフトパワーの構築です。考えてみれば、C1英語のソフトパワーも欧州評議会のものです。PBLもデューイやMITメディアラボなどの欧米の伝統的な学びの1つです。ソフトパワーは欧米のものです。STEAMに至っては、いまやGAFAのソフトパワーを借用しています。哲学もそうです。

★結局はパクりものです。既存の市場では、このパクリものの組み合わせの技で競争すればよいわけです。しかし、その既存の市場とは学歴社会市場ということで、Z世代の未来を考える上では、具合がわるいですね。

★オリジナルと言っても、全く別物というわけではありません。欧米の哲学も根っこにはアジアの思想の影響を受けています。ですから、そういう意味では、世界全体の従来の学びの理論をアップデートするという意味でのオリジナリティです。

★ですから、だれそれの学習理論を振り回している段階では、世界の学校として突出できません。しょせんは日本の学歴社会市場で差別化して目前の利益を得ようとすることで終わります。

★もちろん、目前の利益も大切です。その利益がZ世代の未来に役立つ利益であればよいわけですが、ソフトパワーがアップデートされないと、意欲はあっても成し遂げることはできないのです。

★それでは、その世界全体の従来の学びの理論をアップデートするにはどうしたらよいのか?それには児浦先生の書かれている本や私が三田国際の学園長大橋清貫先生とごいっしょさせて頂いた本にヒントがあります。ただ、詳しく説明していません。ですから融合することで新たな境地が見えてきます。

★それとて、フランク・ロイド・ライトが建築で果たした茶室思想と欧米の建築思想の融合のように、茶室思想と欧米の学習理論の融合というわけです。アインシュタインが磁場の方程式を相対性理論にシフトしたように、私たちもそうしたいと思います。憧れのHTHが、エンジニアリングだけではダメなのだ。ガーディング発想が必要なのだと言ったとき、それはマインドフルネスやZENをGAFAが必要としていると言っているのと同じ意味あいでしょう。

★ガーデニングとは、この場合は日本の大名庭園です。大名庭園の真髄は、その中にある茶室です。庭園が全体集合なのではなく、茶室が全体集合で、そこに庭園が部分集合としてあります。見た目は庭園のほうが大きいので、逆だと思う人がほとんどでしょう。このトリックアート的要素がガーデニングには仕掛けられています。またそれがいいわけですね。ブラックホール的魅惑があります。

★庭園を探索しながら徐々に躙り口に迫り、やがてそこをくぐりぬけると別次元の世界が無限に広がるという話ですが、ここでは、躙り口をくぐりぬけるまで、言葉があまり介在しないのです。庭園の空間がアフォーダンスするわけです。そして、茶室の中で初めて対話的で深い境地が待っています。

★まさにワークショップの元型ですね。今はまた何を言っているのかわからないと思われるかもしれません。現在の世界の環境にやさしい都市創りの発想が、19世紀末に万博で発表された日本庭園にあったという歴史的事実を知っているとその謎が解けてきます。しかし、そんなことを知らなくても、そのうち形として明らかになっていきます。楽しみにしていてください。

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2021年6月16日 (水)

教育のアップデート~2022年に向けて(27)21世紀型教育研究センター グローバル4.0/World Makingに向かって動き出す

★先日、21世紀型教育機構理事・事務局長である鈴木裕之さん(GLICC代表)とfacetimeミーティングをしていたとき、同機構の21世紀型教育研究センターのリーダーが集まってZoomミーティングを開いたという話題になりました。

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(それぞれの自分が省察的関係的自己=RRS/Reflective relational selfとして活動し合う時世界はwell-beingを創造する)

★聖学院の児浦先生、工学院の田中歩先生、和洋九段女子の新井先生、静岡聖光学院の田代先生、文杉の染谷先生などの目の輝きを思い浮かべながら、またまた21世紀型教育機構のバージョンアップをするステージに進んでいるなあと感じました。

★それぞれのメンバー校がバージョンアップをし、その情報交換のみならず協働ワークショップを開くことで、機構のバージョンアップのスピリチュアリティが燃えあがり、その火が再び各メンバー校にリレーされていくという循環ループが、メンバー校と機構のエネルギーを生み出してきました。

★その主役がこの教育研究センターのリーダーの先生方でした。その絆は今も続き、今年はさらなるステージに飛躍するということです。

★世の中は国内外すべてを含んだ海外大学進路指導がようやく当たり前になってきましたが、2011年以降それを牽引してきたのは、彼らです。IBのようなプログラムを自前でできないかという戦略的目標のもと、C1英語やPBLやSTEAM、そして哲学を駆使した各メンバー校独自のプログラムを創りながら情報共有するワークショップを行いながら進みました。

★もはやIBなくても世界につながる実績をだし、グローバル3.0には到達しました。いよいよ海外の留学生を受け入れる段階、その多様性がまたまたイノベーションを生み出し、世界そのものを創る生徒を輩出しようというのです。

★海外では、18歳ですでに未来の大統領になる人材づくりが始まっています。そもそも18歳で大統領を選べるのですから当然の動きです。日本も2022年、つまり来年の4月から18歳成人です。高校時代に世界を創るスキルとマインドとアクションが必要になるでしょう。

★現場と世界をつなぐ教師の集団が21世紀型教育研究センターに集結しているなあと感じ入りました。

★私の方は、そのセンターの先生方と他校の先生方や大学の先生方と、「それぞれの自分が省察的関係的自己=RRS/Reflective relational selfとして活動し合う時世界はwell-beingを創造する」というデカルトーヘーゲルーフッサールーデューイなどに学び乗り越えるワークショップを模索しています。

★いわば、超越的世界作り=TWM:Transcendental World Makingです。超越というのは、本質が背景にあることを意識し汲み取るワークショップを行うビジョンと言うことです。

★またまたわけのわからないことを言っていると思われるでしょう。しかし、すでに現場で気づかないうちに行われています。PBLに覚悟を決めてやっている教師はどこの学校においても孤軍奮闘このTWMの法(mood)を広げているのです。

★私も勤務校の数学の先生方と少しずつ動き始めています。

★年内に教育研究センターの先生とそして同じ想いで実践している先生と活動していきたいと思っています。

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2021年6月13日 (日)

教育のアップデート~2022年に向けて(26)広尾学園の海外大学進学実績の意味 人間の存在の根本問題のシェアリング

★先日、一般財団法人東京私立中学高等学校協会の総会に出席した折、広尾学園の理事長池田富一先生にお会いしました。私が聖パウロ学園の校長に就任したことをわがことのように喜んでくれましたが、全く別の教育を行っていることを受け入れ、エールも送っていただきました。池田先生は、ある意味、中学受験の地図を変える新しい教育を行い、大学合格実績も目覚ましい躍進をして新しい進学校を築き上げています。そんな静かな情熱と内に秘めた自信が穏やかな表情に反映していました。

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★従来の中学受験の選択の理由は、東大を頂点とする進学実績でしたが、広尾学園は、日本にこだわらず、世界をキャリアの舞台としてみなしています。東洋経済ONLINE2021年5月9日の記事によると、こうあります。

新型コロナウイルスの影響で海外渡航に制限がかかり、多くの生徒たちの海外留学の機会は奪われた。そんな状況下でありながら、留学ではなく、日本から海外の大学への進学率は増加傾向にある。多くの学校では、毎年6月頃に、英国や米国などの海外の大学への合格実績が公表される。早くも、私立中高一貫校の中で最も多くの海外大学合格者数を輩出する広尾学園高等学校の数値が発表された。20年度、広尾学園高等学校では、昨年度の79名から大きく3桁に数字を上げ212名が海外大学に合格している。(2021年5月7日時点) 

★212名の海外大学合格というのは、圧巻です。開成は毎年東大に150人前後合格者を輩出するのですが、それをも超える意味があるかもしれません。

★東大は今、男女の入学者数の割合で、ダイバーシティの問題を解決する糸口を見出そうとしている段階です。それはダイバーシティの1つの在り方であり、とても大切なことではありますが、世界におけるダイバーシティの問題は、それこそ多様なのです。

★その点、広尾学園は世界に開かれたダイバーシティを追究していると言えるでしょう。

★ダイバーシティの意味はダイレクトに光の領域にあるわけではありません。ダイバーシティとイノベーションは、実はダイレクトに結びつくわけではないのです。

★中学受験の学校の広報活動において、ダイバーシティは大事にしていると言われています。しかし、その表現は光の部分だけです。できるだけネガティブなことは広報活動では表現しないのが暗黙の了解です。

★しかし、本当は、ダイバーシティは世界の痛みを受け入れることなのです。それゆえに、それを解決しようとイノベーションがうまれてくるわけです。

★広尾学園は、ここに対する覚悟があるのです。池田理事長と対話した時、教育の内容は全く違うのですが、その点においてしっかりと共有することができました。世界の痛みを受け入れるがゆえに、海外大学の進学者が増えるという本物のシステムができあがっているのです。

★海外大学は、このテーマを括弧に入れて自分とは何かを表現する学生には興味がないからです。

★日本の大学の一般試験は、ここの問題意識を前面には出さないで受験が成り立ちます。それゆえ、国としてはまずいのです。それゆえ、総合型選抜という、世界の痛みを受容しながら一方でイノベーションへの気概を持った学生を募集しようという流れがでてきています。

★大学受験勉強という何か表面的で利益主義的な勉強とみなされがちなのは、世界の痛みという人間の存在問題にマスクをかけて勉強が成り立ってきたからです。

★これに対する省察が文科省の中で、あるいは経産省の中でも生まれているわけであります。それゆえ、総合型選抜というわけですが、その人間存在の根本問題に触れずに一般入試で合格させようという根強い流れは、未来から見たら、悪法も法という時代だったということになりましょう。

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2021年6月11日 (金)

教育のアップデート~2022年に向けて(24)教育も地政学の時代 2022年から海外の名門校やIB校続々か?

★英国の名門ハロウ校のインターナショナルスクール部門は、2022年8月に日本に開校するということです。岩手県安比高原スキー場に隣接した11万㎡の敷地に中高生向けの全寮制のキャンパスを開校するようです。また、2022年春、西本願寺前に、新たにAIC World College 京都校が開校の予定。まずは初等部からのようです。すでに、オークランドのこの学校は広島で実績をもっていますが、いよいよ世界で最も住みたい都市京都に進出です。

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★また、工学院大学附属や静岡聖光学院は、イギリスのAレベルのシステムを導入し、ケンブリッジインターナショナルスクールとして教育を拡大しています。

★世界のエスタブリッシュな学校は、教育と経済は循環しています。その意味では、中国や東南アジア、インドの経済に接続したいわけですが、今回のパンデミックや中国の政治力学の影響で、学校を出すにはあまりに不安定であると判断したのでしょう。

★もともと教育に対する意識の高い日本で、かつ相対的に治安などが安定している日本に学校を出すことは、東南アジアやインド、中国の富裕層の子弟を呼び込めます。

★21世紀型教育機構のメンバー校のように、世界の学校に進化している学校もあり、そのような学校に通う保護者の3%は、十分にインターナショナルスクールに通わせる学費を払えるでしょう。御三家などの学校も同様の事情でしょう。

★そうすると1000人くらいは、ハロー校等の名門パブリックスクールを選択する価値意識を持っていると予想しているのではないでしょうか。それに日本の生徒というより海外の生徒をターゲットにしているというのが本音でしょう。

★日本でも海外大学進学指導が注目されているからこそ、市場の動向を素早く読む地政学的な分析をしている世界の学校は動き始めたのでしょう。

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2021年6月 6日 (日)

【速報】児浦先生第2弾「オンラインの場づくり」アイデア帳」出版!私はピアとしての自己存在である。

★今や八王子の住人になっている私ですが、ひさしぶりに自宅に帰ってきて机の上を見ると、聖学院の児浦先生の執筆が掲載されている「オンラインの場づくりアイデア帳」の新刊本と「大学時報05」の2冊が光を放っていました。児浦先生が贈ってくださったのです。ありがとうございます!どちらも児浦先生の傑作論考が載っています。

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 「そのまま使える オンラインの“場づくり"アイデア帳 会社でも学校でもアレンジ自在な30パターン 2021/6/7」ワークショップ探検部 (著), 松場 俊夫 (著), 広江 朋紀 (著), 東 嗣了 (著), 児浦 良裕 (著)

★今回のアイデア帳は、ご承知の通り、第2弾です。1冊目は、リアルスペースでのワークショップのパターン集で、2冊目は、パンデミックの最中多くの人がテレワークやオンライン授業で苦心しているメンタルケアと絆ケアに焦点をあてたオンラインワークショップのパターン30が掲載されています。

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★本書を読んで、目からウロコなのは、よくオンラインより対面だといわれる常識は、間違っているなあということです。問題設定が違うのだなあと。リアルでもメンタルケアは必要です。絆をつくるのは必要です。でも、対面だからといって、うまくいっていますか?もしうまくいっていたら、こんなハッピーなことはないのですが、必ずしもそんなことがないことは火を見るより明らかです。

★ですから、オンラインスペースでもいかにしたらメンタルケアができ、絆をつくることができるのかという挑戦が大事だということです。特にZ世代はデジタルネイティブで、リアルとオンラインの両スペースを往復して生きているわけです。

★両スペースでのメンタルケアや絆づくりのケアの方法を考えなくてはなりません。それぞれ違ってよいのです。

★そう、それぞれ違ってよいのです。このことは凄いことですね。だって、リアルスペースで解決できなかったことが、オンラインスペースで解決することができるかもしれないということだからです。また、逆もありますね。オンラインで解決できないことをリアルスペースでの対面で解決できるということなのです。

★ある意味、21世紀になって複眼思考が必要だと言われて久しいのですが、その社会実装がリアルスペースとオンラインスペースでの活動ということかもしれません。

★児浦先生を始め仲間の方々が執筆している両著は、もう一つ重要な歴史的意義を投げかけています。それは19世紀末から20世紀初頭に盛り上がったのですが、二つの世界大戦で社会の深層に追いやられていた本質的な人間観の復興です。その後の戦争やテロ、そして今回のパンデミックで、ようやく世の中にはっきりと浮かび上がってきた人間観です。

★それは個人とは内面において多様態だということです。リアルスぺースでは、私たちは、1人ひとり違います。外形は全く違いますね。しかし、内面においては、私たち自身、他者との交わりによって自分というモノではなく自分というコトが生成されているということに気づかなくてはならないのです。それを19世紀末から20世紀初頭にフッサールが発見したのです。もちろん、それはデカルトの省察の再構築ですから、近代的自我は、生まれるや省察されて物理的な個性ではないことは気づかれていたのです。

★しかし、それは世界大戦を予感する前夜に、平和を求める思想家や芸術家が明快に気づいたのです。しかし、オンラインはなかったのですね。フッサールの言う、インターサブジェクト(相互主観)や数学者の発見する論理階型やすべては関数的概念なんだとか、要するに要素還元主義に対する構成主義的な発想です。当時のペスタロッチやデューイもその流れですね。

★グローバル時代になって、多様性という意味が際立ちました。テレワーク時代になって、その多様性は内面においてもそうなのだということが身に染みて世界中の人が了解したのだと思います。私はピアとしての自己存在であるということが。

★両著は、この<ピアとしての自己存在>を創る場がワークショップという場であり、リアルとサイバーの両スーペースの往復で豊かに生まれてくることを予感させます。

★そして、その実践を中学入試で行ってしまっていることを、児浦先生が大学時報で詳細に論じています。

★ハンナ・アレントが両著を見たら、活動と仕事と労働の概念がワークショップによって変わる。第二次世界大戦で観た人間のリアリティの本質をワークショップが変えると言ったに違いないのではないでしょうか。

★そう、彼女のアウグスティヌスの愛の概念の体現がワークショップだったのだと。

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2021年6月 5日 (土)

成城学園(02)近代的自我から出発しない第三の≪私学の系譜≫

青柳圭子先生と対話していて、成城学園の自学自習や自治自律、個性尊重ででてくる自己は、近代的自我ではないなあと気づきました。明治期の≪官学の系譜≫と対峙した≪私学の系譜≫には2つあると思ってきました。1つは、内村鑑三や新渡戸稲造、天野貞祐、河井道などのクリスチャン私学人や京都学派の流れをくむ私学人の系譜。もう一つは、官僚内部から日本近代社会を自浄しようとした高橋是清のような私学人の系譜だと思っていました。≪官学の系譜≫にしても二つの≪私学の系譜≫にしても近代的自我をめぐり、その乗り越えの方法の差異だと思っていたのです。

★しかし、青柳先生との対話を通して、澤柳政太郎を創設者とする成城学園は、クリスチャンや哲学者ではなく、教育思想家の影響を受けていて、近代的自我そのものから出発していなかったということに気づきました。つまり、第三の≪私学の系譜≫なのだと。

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★というのも、大正自由教育の時代は、すでにフッサールの現象学がありました。フッサールだけが感じていたのではなく、ペスタロッチやデューイもおそらく近代的自我から出発したのでは、「児童中心主義」はうまくいかないと感じていたに違いありません。経験や直観を大切にしていたのが何よりだし、ディスカッションや協働活動を大切にしていたのもその証拠だと思います。

★つまり、外から見たら個人なのですが、内面はインターサブジェクト(相互主観)的な存在が構成されているというところから出発していたのでしょう。

★私たちの内面は、自然に触れたり、他者と対話したり共同作業をしたり、そこに道具が介在して、それら全体が構成されてできているという構成主義的な考え方です。プロジェクト学習を、デューイをはじめ多くの教育者が提案し、実践してきました。ドルトン・プランもその一つでしょう。

★成城学園もその影響を受けますが、日本の当時の官学は、ヘルバルト主義ですから近代的自我の形成のための5段階インストラクションシステムです。実は、これはどういうわけか、創造的プロセスが削除されて、「基礎→応用→発展」という教授法になってしまいます。

★ヘルバルト主義でも創造的な要素を想定していたのです。しかしながら、それは5段階の枠の中での創意工夫ですから、近代国家の制度をはみ出すわけにはいかなかったのでしょう。近代国家を作ろうとしている条件下での教育で、はやくも崩すわけにはいかなかったという気持ちはわかります。

★ところが、官学でも師範学校では、創造性を維持したヘルバルト主義とデューイのようなプロジェクト学習を融合するような日本独自の教授法が生まれます。奈良女子の木下竹次の学習現論などはどうもそのようです。

★おそらく澤柳政太郎は、国の文部政策や大学にもかかわっていましたから、同じように両方のよいところをアレンジしていたはずです。

★それこそが、当時の日本の歴史的条件の中で、子どもたちが幸せに生きる道を最適化したのだと思います。近代的自我がいかなるものか哲学的に前提とするのではなく、現実の中で子どもたち自身が生きていく内面的エネルギーをどう生み出していくのか、それには相互主観的な個性が大切だったのでしょう。

★もちろん、これらは憶測にすぎないので、引き続き青柳先生と対話をしていかなければならないのですが、成城学園の教育指標が、個人から始まるのではなく、ピアから始まったり、青柳先生の対話型論証という反証可能性を内包した対話と言うことは、近代的自我の発想ではもはやありません。この今の成城学園の教育の根っこが澤柳清太郎にあったのだとしたら、やはりそれは第三の≪私学の系譜≫の流れだからでしょう。

★そんなことを妄想しているわけですが、いかがでしょうか(汗)。あくまでアブダクション的思考ということで。。。

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