大学入試

2021年11月27日 (土)

二子玉川エリア クリエイティブクラス輩出の都市へシフトか?

★日経ビジネスX(2021.11.24)に面白い記事が掲載されています。「美大に通うエリートたち、リスキリングが革新を生む」がそれです。こんなパラグラフで始まります。

<閑静な住宅街として知られる東京都世田谷区上野毛。ここを創設の地とするのが、日本有数の芸術大学である多摩美術大学だ。大半の学部は東京都八王子市のキャンパスへ移ったため、幾分ひっそりとしているものの、上野毛キャンパス内の柱に貼られた「映画制作のスタッフ募集」のポスターや画用紙を持った学生が歩く姿は芸術大学そのものだ。

 11月初旬、そんな多摩美の小ホールに、約30人の社会人の男女が集まり、プレゼンテーションに臨んでいた。5人グループに分かれ、自分たちが課題と思うことを基にした事業やサービスの概要を発表していく。>

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★この多摩美のキャンパスは、環八沿いに面していて、そこから瀬田はすぐです。つまり大平元首相の自宅があったそうです。国分寺崖線の上にあり、そこから多摩川を西へ眺めながら、大平元首相は、あの田園都市構想を国土計画として提案していました。その構想は国土計画の五全総に引き継がれ、ガーデンアイランド構想とも呼ばれました。

★そんなわけでしょうか、大平元首相の自宅のすそ野には、高島屋の別館「ガーデンアイランド」が建設されています。田園都市計画は、日本の大名庭園にヒントを得たエベネザー・ハワードが建設したレッチワースの田園都市を視察した渋沢栄一の息子が帰国後、田園調布をつくり、この地に住まう人を募るために、五島慶太に依頼して、今の東急線や田園都市線のプロトタイプを建設していったわけです。

★五島慶太がどう思っていたかどうかはわかりませんが、ハワードの田園都市はユートピア都市です。環境にやさしく、配分が考慮された都市創りです。今でいうNGO的な都市です。

★宏池会の文脈であるこの都市構想は、岸田政権がデジタル田園都市構想として継承していますが、この二子玉川エリアは、今や楽天都市でもあります。なるほど、デジタル田園都市なわけですね。

★この都市のデザインは、さらに教養人だった大平元首相の想いも継承したかのように、多摩美をデザイン思考やアート思考の拠点として新たな局面を迎えようとしているのかもしれません。政府によって巧まれたというよりも、この国分寺崖線は、江戸時代から西から攻め上らないように監視する場所でもあり、大名の別邸があったのです。明治以降は、政財界人の別邸の地でもありました。高橋是清も住んでいたし、あの岩崎家の別邸もあります。その跡地の一部に聖ドミコ学園が建設されました。

★ガーデンアイランドから商店街を通り、玉川高島屋へいく道には二子玉川小学校があります。そこは中学受験生の拠点です。その真ん前にカンザキジュクが今月オープンしています。教養豊かな総合型選抜対策をメインとする神崎史彦先生の経営する塾です。デザイン思考もやはり活用するし、デジタル発信する予定の塾でもあります。

★その近くには、図工ランドと言って、人気のアートの塾もあります。オーナーは芸大出身だそうです。またハートフルアートという、不定期ですが、やはり近くの公民館で女子美族のアートワークショップが開催されています。大学院生や海外の美大に研究しにいった女子美の卒業生が中心に企画運営しています。これらのアート空間は、純粋にアートを楽しむ子どもたちが多いのですが、中には慶応幼稚舎や慶応横浜初等部を受験する子どもたちも活用しています。

★インターナショナルスクールの拠点でもあるし、多摩美のある環八から澁谷方向に歩いていくと三田国際や都市大等々力などもあります。桜新町まで行くと、そこにはお受験の拠点である幼稚園もあり、そこから駒沢公園の方向に進むと八雲学園があります。三軒茶屋の方に行くと世田谷学園や昭和女子大附属昭和もあります。二子玉川から多摩川を渡れば、洗足学園があります。そのようなエリアの中心にGLICCという鈴木裕之先生が経営するグローバル教育塾が新町にあります。

★二子玉川から大井町線をつかえば、かえつ有明にもつながっていきます。二子玉川から玉堤通りを成城学園方向にいくと20分くらいで東京都市大や成城学園、そこからさらに30分くらい行けば鴎友学園女子や恵泉があります。

★どうやらこのエリアは、経済的にも教育的にももともとプレミアムエリアといえるかもしれません。そこにDXとアートがつながってくるわけですね。不動産の2022年問題がどういう影響を及ぼすかわかりませんが、このエリアからクリエイティブクラスが生まれる新たな教育の文脈が創出されるのかもしれません。あくまで、妄想ですが(汗)。

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石川一郎先生の野望 GWEの対話で明かされる。

★昨夜、GWE(GLICC Weekly EDU 第56回「『2024年の大学入試改革』著者 石川一郎先生との対話」)で、全国を飛び回って本質的な教育の改革を説いている石川一郎先生と対話しました。今月、先生は、新著「いま知らないと後悔する2024年の大学入試改革 (青春新書インテリジェンス)」を出版されました。2016年から執筆し続け、今回7冊目です。

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★石川先生の教育改革の新しさは、道徳や行動心理学というよりは認知科学的アプローチを軸としているということです。道徳や行動心理学は、どうしても因果律ベースになり、「~しなければならない」が自由も大事だぇれど、規律をやはり主軸にしようとなりがちです。

★ところが、思考コードなどのように認知心理学的アプローチになると、多様な関係性や認知能力と非認知能力の均衡性などを柔軟に洞察する姿勢が前面にでてきます。そんな石川先生の認知的柔軟性が、本書では面目躍如とばかり発揮されています。

★今回の対話は、2024年の大学入試改革の明らかに見える部分から始まり、その実効性について水面下では複雑で、しかも結果的にそうなっているわけではなく、あえて反対派と推進派が生まれるように巧んでいる文科省の妙技が掘り返されます。近代教育は、常にアンビバレンツを包摂しているのですから当然で、それゆえ改革のエネルギが蓄積されるというなかなか不思議な世界です。

★しかし、それが結果的にジャーナリズムを活性化し、3歩進んで2歩下がりながら文明は進化していくでしょう。

★最後には、man for othersのマインドに基づいた石川一郎先生の壮大な野望が明かされます。希望とは、このような野望から生まれてくるのだと実感しました。ぜひご視聴ください。

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2021年11月21日 (日)

11月26日石川一郎先生と「プロジェクト2089」の対話 2024年総合型選抜の変容?それに伴い探究も変容か?

★来年2022年、高校の新学習指導要領が本格実施。石川一郎先生はその生徒たちの卒業年度の大学入試改革がどうなるか新著を執筆し、ベストセラーとなっています。すでに多くのセミナーで講演されていて、大忙し。GWE(GLICC Weekly EDU)のご出演の日程が確定するのもなかなか大変でしたが、今週の金曜日26日、登壇いただけます。他県で仕事をされてからの出演ですから、本当に大活躍ですね。そんな時に、ありがとうございます。

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★石川先生は、多くの講演会やセミナーで、新著の内容を話されていますから、GWEでは直球の質問をしてみようと思っています。それは、2024年以降、総合型選抜はどのように変容するのか?そしてそれに伴い「総合的な探究の時間(以降「探究」)もどう変容するのか?自己変容は個人の話だけではなく、組織や制度にも及びますから。

★今、私学の経営者の方々と対話していると、総合型選抜は本当に継続するのかというダイレクトな質問をよく投げられます。これは、今来年に向け時間割を大胆に変えている作業の最中なので、そういう質問がでるのでしょう。というのも、経営者は、教師の働き方改革を迫られているからです。

★どういうことかというと、総合型選抜の準備は、学校内でやろうとすると、今度の時間割では、できないか、各教科に含めるかどちらかなのです。つまり、現状の総合型選抜は、教科の中に含めないと、放課後生徒と学ぶ時間をとるしかないのです。

★それは探究の時間を使えばよいではないかとなりますが、卒業単位は74単位以上で、探究の標準単位は、3から6となっています。卒業単位74だと授業時間数の4%から8%しか占めていません。たいていは卒業単位は90ぐらい設定しますし、探究は3ぐらいでしょうから、実質3%前後です。

★その時間内で、総合型選抜の準備は無理です。現状そういう試験だということです。公立の場合は、総合型選抜は塾・予備校でやってねでもいいでしょうが、私立学校は、総合型選抜の学びをどうするかは腕の見せ所で、魅力づくりにもなる領域です。しかし、労基は厳しいですね。これによって、働き方改革を進め、間接的に私学の公立化への道を開けてしまう恐れがあるのです。

★文科省はやはり巧みだなあと経営者と話していると感じるわけです。

★一方、大学側も総合型選抜はコストがかかりますから、今以上に増やすことはできません。もちろん、活用する学部学科は増えますが、定員はそう簡単に増えないでしょう。東大の推薦入試は、かつての後期試験同様、総定員の3%前後です。おそらくそういう形式でどこの大学も残るでしょうが、今と同じではないと思います。

★そもそも、今の総合型選抜は、専門的な領域というか、大学の1,2年で学ぶ内容にまで踏み込むことがあります。意外とその実態は経営者の間では知られていないのですが、そのうち情報が浸透していくでしょう。一般選抜はあれほど学習指導要領の制限があるのに、総合型選抜は何をやってもよい領域です。外国語の資格試験も一般選抜でははねのけられているのに、総合型選抜では、活用されたりしています。

★働き方改革から言えば、ここがまず制度設計を変えなければ、話にならないでしょう。大学側もそういう意味では、定員の3%ぐらいにおさえてくるでしょう。

★しかし、それでは、日本の経済社会全体にとっては、困ります。クリエイティブクラスをたくさん輩出しなければ外国人高度人材に頼るしかなくなります。多様性は大事ですが、依存するのは衰退の道しかありません。

★では、どうするのか?一般選抜の各教科の中に探究的な要素を入れ込むのです。早稲田大学の政経のような問題を行うわけです。総合型1本にする必要はなく、各教科の30%以上を小論文など思考力型形式にすればよいわけです。なんだ今の国公立大学の入試と同じではないかとなります。そうです。私立大学もそうなるということです。(中学入試では開成や麻布などは、もともとそうなっています。中学入試の新タイプ入試は、その開成や麻布の入試問題から知識問題を除いた思考型のところだけを手順を追って考えらえるように作成しています。すでに、ここに未来の大学入試のモデルがあるわけです。)

★そうなると私大は、採点が大変になります。したがって、大学入学共通テストが威力を発揮します。今も幾つかの大学で行っているように、足きりするわけです。これによって、定員の厳格化が維持され、定員充足の大学は増えるでしょう。

★とはいえ、高3生80万人時代は目の前です。どうするか?高校卒業生の大学入学率を今以上にあげるしかありません。そうすると30万人分は、大学入学共通テストを課すとメンタル面で大変なことになりますから、その部分は、大学共通テスト免除で、一般選抜に思考型の問題を多めに盛り込んだ形の入試問題が作成されるようになるでしょう。

★結局高校入学率と同じように、大学入学率を限りなく100%に近づける方向に向かうでしょう。諸外国ではすでにそうなっているところもあります。

★外国人高度人材と日本の学生が全員協働できる水準にもっていくには、そうならざるを得ないでしょう。英語と思考力(論理・批判・創造)は全員が学び、基礎知識は記憶するのが苦でない生徒は一般選抜のために活用する。それがいやななら、英語と思考力は身に着け総合型選抜で乗り越える。大学入学後、基礎知識はアプリでなんとかする。

★えっ!一般選抜もそうならないの?なりません。それでは、教育産業界は困るからです。教科書会社が困るからです。実は経済社会を支えるために、基礎学力を学んでいるということが明快になる時代です。でもそれは、SDGsを達成するのは、持続可能な経済社会を形成するためなのですから、同じ構造ですで、何が悪いという話になるでしょう(汗)。

★でも、すべての児童・生徒・学生がクリエイティブクラスになる道を開くことでもあります。AIがもっと浸透する2034年。そのときの大学入試改革は、一般選抜から基礎学力はなくなります。ポートフォリオでそれは必要なくなります。しかし、それはますますマインド監視社会になるので、ディストピアへの道でもあります。だからこそ、マインドフルネスが大切になります。

★いつの世も、ユートピアはマインドの中にしかないわけですね。現実はディストピアというアンビバレンツこそが人間存在なのでしょうか。もちろん、そこを打開するために、メタバースの世界が訪れるのですが、ますますマインド監視社会は進んでしまいますが、メタマインドフルネスの領域も開かれます。。。

★石川一郎先生とは、2089年までの教育の変容論をいつか書こうと話し合っていますから、26日は、そこへの入口になるぐらいの話になるでしょう。「2089年の大学入試改革」プロジェクト、つまり、「プロジェクト2089」を宣言するGWEになると思います。楽しみです。

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2021年11月11日 (木)

総合型選抜や適性検査型(思考力入試)の増加の意味~メタ相互主観の時代がゆえの対話の重要性

★大学入試ではまさに総合型選抜入試がピークを迎えている時期ですが、文部科学省によると2021年は2020年に比べ国公立大学学部で実施している同入試は増えています。おそらく2022年春までに行われる総合型選抜はさらに増えているでしょう。

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★一方首都圏中学入試における新タイプ入試(適性検査型入試・思考力入試・PBL型入試・自己PR入試等)も、首都圏模試センター教育研究所調べによると増えています。

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★2021年度入試において、総合型選抜を実施する国公立大学・学部の割合は、いずれも50%を超えています。また、首都圏中学入試における新タイプ入試実施校は30%を超えています。もちろん、これは実施校数であり、受験者数はまだそこまではいっていないでしょう。

★ただ、大事なことは、組織としての大学や学校が、従来の一般選抜入試だけではなく新しい入試システムを開発・導入するシェアが増えたというコトの意味です。

★一般選抜は、大学入試においても中学入試においても知識・技能が中心です。つまり思考コードで言えばA軸B軸の領域です。一方総合型選抜や新タイプ入試は、論理的思考・批判的思考・創造的思考、つまり思考コードでいえば、B軸C軸の領域です。

★これは、客観的な知識やデータを論理的に扱うだけではなく、生徒の主観も評価対象にしようという流れがマイナーではなくなったということを意味します。

★今までは、そんな主観的なアイデアは、評価できないよという話でした。ですから、授業も客観的とされている内容ばかりを扱っていたのです。何を言ってもいいかもしれないけれど、それは主観だからテストには関係ないと斬り捨てられてきた領域です。

★ところが、思考力というのは、主観が重要です。好奇心や興味関心、主体性を大事にするとなると、当然ながら主観の領域が加わります。多様な考え方や感じ方が大事だということは、シンプルには主観が大事だよというコトです。

★主観は自由です。この領域に対し、コントロールという指導が入ると、個性はだいなしになります。思想や表現の自由の領域でもありますから、指導は容易ではありません。しかし、この領域こそ、クリエイティブクラスの真骨頂があるわけです。

★この主観の領域を実は探究だとかPBLだとかいう学びの場に持ち込んだのが、今回の学習指導要領でもあります。

★個別最適化というのは、いまのところ、客観的知識記憶と操作の定着度の違いを細分化して、効率よく到達度を高めるシステムで、生徒の存在の成長には直接関係ありません。ですから、個別最適化をやっているということを誇らしげにしていると、いつのまにか生徒の存在は無視されているということもあり得ます。なお、個別最適化=ICTではありません。むしろICTは主観性の発露なのです。

★それはともかく、主観の部分を大切にしているチュートリアルを導入している学校や大学は、まさに主観の部分を大切にし、クリエイティブクラスが生まれる環境を作っていると言えます。そして、総合型選抜や新タイプ入試を実施している大学や学校は、そこを自覚しているということを意味します。

★しかしながら、この主観は恣意的なものも含みます。その正当性・信頼性は検証しまなければなりません。それゆえ、アブダクションという仮説型推理が重要なのですが、正当性・信頼性のある主観というのは、独善的でも恣意的でもないがゆえに、相互に信頼し尊重する主観です。これをインターサブジェクトというのだと思います。インタサブジェクトあるところに、コモングッドがあります。これがブランドアクティビズムという新しいマーケティングでもあります。マーケティングは主観を昔から扱う学問ですね。

★また横道にそれましたが、インターサブジェクトは日本語では、相互主観とか間主観と訳されています。第二次世界大戦前夜までフッサールが提唱してきた概念ですが、全体主義者には、こんな主観は危ういので、排除されたものです。実際ユダヤ人であったフッサールは追い詰められて亡くなります。100年たって、今ようやく教育現場に相互主観が導入されたわけです。

★総合型選抜では、志望理由書や口頭試問で、この相互主観をベースにした自分の考えを語らなければなりません。そして、さらに大事なことはこの相互主観が独善的でないことをモニタリングしておくことが大切です。このモニタリングを経て形成される相互主観をメタ相互主観と呼びましょう。

★現状の総合型選抜や新タイプ入試というアドミッション領域で起きていること、それをウケて授業でPBLが行われているというコトは、このメタ相互主観を尊重する時代になったというコトを示唆します。

★それゆえ、メタ相互主観の形成過程では、多様な葛藤が起こります。今までは客観的でないと抑圧していればよかったのですが、解放されたのです。望ましいことではありますが、学校現場ではその形成過程にありますから、様々な葛藤が沸騰し、内面のカオスを生んでいます。コーチングとカウンセリングを発揮しなければなりません。文部科学省はそこを乗り越える制度設計をしなければなりませんが、そこは全く動けていません。

★現場でなんとかしなければならない状況になっています。そして、一方で、その中でコーチングとカウンセリングを駆使するリーダーが現場から生まれていることも確かです。しかし、問題は彼らをリーダーとして認識する眼鏡を経営陣が持てるかどうかですが、そこは当面、現場と経営のギャップがあるでしょう。2045年に向けてこのギャップを埋める対話が噴出することです。

★そのギャップを埋めない組織は淘汰されます。メタ相互主観を尊重し生成する対話の時代だということは間違いないでしょう。

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2021年11月 6日 (土)

小中学時代に幾何を真剣に学ぶかどうかで、認識の仕方が変わる。多分。

★中学入試は、おそろしく幾何の問題がおんもしろい。ある中高一貫校では、中学時代は幾何の学びがメインになっているところも多いですね。マイクロソフトの入社試験の三角問題はとても有名です。なぜこのような問題を出題するのかネット上でわんさか語られています。

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★公式を暗記してあてはめる能力はいらないというメッセージでしょうか?たぶんそれもあるでしょうが、そうは簡単ではありません。トリックアートとして把握できるかどうかですよね。この図の背景に、直径10の円周が描かれているのが見えているのかどうか。ルビンの壺というやつです。

★数学とアートを結び付けたエッシャーのトリックアートを想起すればピンと来るでしょう。

★しかしながら、そう簡単な話でもなさそうです。もし、これがオックスブリッジのあの口頭試問でだされたら、このような三角形の存在理由やアイデンティティについても対話するのではないでしょうか。

★果たして、これは二次元に描かれているのか、描かれているとしたら、ユークリッド平面ではなく、トポロジーに変換しなくてはならないのではとか、そもそも立体で、鳥瞰する地点がどこなのか。かりに湾曲していたとしたら、どんな方程式で解くことができるのか。

★湾曲している屋根の場合だったら、最初は微積をつかうでしょうが、一般的な面積の公式に係数をかけて出す簡易な方程式を見つけるために使うだけだとか、なんとかいろいろ語れます。

★マイクロソフトのこの問題は、常識を見破る力とか多面的なアプローチができるかとかいう哲学入門的な発想よりも、現実にあるこの図をどのように捉え返して、デジタル処理できるか、そのアイデアをちゃんと出しなさいと言うことでしょう。

★それはともかく、こういう問題を議論すると、幾何と関数、特に三角関数や微積分がストレートに関係することがわかります。私たちがスライドで図をつくるとき、幾何の組み合わせの創意工夫はたしかに大事ですね。

★ところが、小中学校の教科書では、公式を覚える練習問題が山積しているだけで、幾何と関数の関係がみえてきません。

★一方、中学入試は、面積の問題にしても、等積変形など、関数的な計算をします。上記のマイクロソフの三角形も、等積変形すると、二次元ではこの図形はないなあということがすぐにわかります。

★中学入試で、旅人算などの速さの問題も、幾何と座標を結び付けて考えるようになっています。中学入試で方程式を使わないようになどという話は本当かどうかわかりませんが、線分図や面積図なんていうのは関数そのものでしょう。

★面積の問題は、そもそもが積分の問題です。

★幾何の問題は、関数的素養を養ううえで、もしかしたら有効なのかもしれません。トリックアートやトポトージ的な発想を中学時代に加えて幾何を学ぶコトができたら、関数的な認識を養えるでしょう。公式を覚えればそれでよいという認識はなくなるでしょう。

★関数的な認識の方法を身につけないと、アナログとデジタルを往復することができません。これができない教育がなされている現場で、教育改革が進むはずはないし、ましてルーブリックだなんて発想は、観点別という要素還元主義的な認識方法で足踏みしてしまうだけでしょう。

★様々な思考ツールが開発されていますが、あれはデザインロゴのように使われていて、関数的な発想や幾何、とくにトポロジー的な発想で使われていないので、残念です。

★とはいえマイクロソフトのような問い作りをしている先生方も現れています。入試問題的なシリアスな問いから、マイクロソフト的なポップな問い作り。中学入試の算数の問題にはそういう問題があります。麻布の問題はそうですね。それにアナログからデジタルに飛ぶ数の問題も出題されます。

★シリアスからポップへ、アナログからデジタルへ、そしてあるときはその逆へ。この往復関数発想が見える化される学びのホームベースは、幾何かもしれません。

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2021年10月27日 (水)

麻布大学 江口祐輔教授 地球共生系の発想をパウロの森でも生徒と共有

★本日午前中、麻布大学生命・環境科学部教授江口祐輔教授が、聖パウロ学園に御来校。理科の澁谷先生といっしょにパウロの森に分け入り、イノシシの生態のリサーチのための仕掛けをしてくださいました。いずれ探究ゼミのメンバーである生徒と調査するためにです。江口教授によると、パウロの森は宝の山だそうです。最近自然と共生する都市づくりや社会づくりというのは注目されていますが、それをつくる前に私たちが動植物に対する先入観を実体験をしながら払拭する必要がそもそもあるそうです。たしかにそうですね。多くの話をたくさん聴きながら、頭で考えている自分を反省しました。

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★江口教授は、島根県のフィールドワークセンター(島根県美郷町)長でもあります。NHK「サイエンスZERO」にも出演しています。このフィールドワークセンターについては、麻布大学のサイトでは次のように記述されています。

<本学生命・環境科学部は美郷町の協力により、フィールドワークセンター(場所:島根県美郷町粕渕)を開設し、動植物のフィールドワーク、野生動物を用いたジビエ料理の加工技術、食品衛生管理の国際基準「HACCP」などの教育・研究を実施します。麻布大学は獣医系・生命科学系大学としての特色を活かし、有害鳥獣被害対策の指導・支援の拠点として、地域連携による新たな教育・研究を展開していきます。>

★食や動植物の新しい価値を見出し、新しい自然と社会と精神の循環を生み出すセンターということでしょう。

★パンデミックで、この循環がいかに重要であるか、世界中が身に染みています。

★今後このような研究はますます注目されるでしょう。

★美郷町のようにはいかないでしょうが、パウロの森もそのような新しい循環を見出す場となればと思います。そして麻布大学の教授と学生の皆さんとその場に立ち会えるパウロ生に未来の希望を期待したいです。

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筑波学院大学 21世紀型教育を標榜する大学誕生

筑波学院大学は、2022年から本格的に21世紀型教育を実施する大学となります。英語重視と資格試験重視の2コース制のようですが、4つの専攻に進みます。東大のシンフリのように、リベラルアーツを体得してから専攻に進むという流れのようです。インターナショナル型大学ともいうべきでしょうか。あるいは米国のリベラルアーツ型大学が日本に誕生したといったらよいのでしょうか。とにかく、斬新です。

★もともと2005年に、東京家政学院筑波女子大学を共学化し筑波学院大学に名称変更して、さらに2019年に「VISION2040」の構想を策定して、2022年を迎える準備をしていたようです。

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★勤務校に「つくば21C教育フォーラム」という筑波学院大学21世紀型教育研究所報第3号が届き、いよいよ21世紀型教育を行っている初等中等教育学校に直結する大学が誕生するのだと感動しました。

★というのも、初等中等教育段階で、PBLやアクティブラーニングの中で学び、C1英語を取得した生徒が、今までの偏差値の高い大学に行ったとしても、20世紀型の講義がほとんどの場合、戸惑ってしまうというケースも少なくなかったからです。

★筑波学院大学のいわゆる偏差値は現段階では高くはないかもしれませんが、中高で海外大学準備教育が広がっている今、学費の面で海外には行けないと落胆している生徒にとって、海外と同質のリベラルアーツ大学が日本にあるじゃないかとなれば、それは救いになります。

★今後、小さな大学は、筑波学院大学のような路線に舵をきるでしょう。とはいえ、21世紀型教育を大学で行うのは、人材的に難しいのです。しかし、10年後、高3生の人口は100万人をきります。準備はせざるを得ないのです。

★私立中高一貫校が21世紀型教育を開始したのが、10年前です。今では中高レベルでは、21世紀型教育は一般名詞になっています。大学レベルも10年後は、そうなっているでしょう。そのとき、旧態依然とした大学は淘汰されてしまうのは、歴史を顧みれば推察するに難くはないでしょう。

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2021年10月17日 (日)

100年ぶりのパラダイム転換と評価する神田眞人財務官の意味 グローバル教育を標榜する私学教育関係者はどう捉えかえしますか?

★先週木曜日、アメリカで開催されたG20で、法人税の最低税率を15%に定めることをメインとする国際課税のルールの見直しを支持するとする共同声明を採択。今年7月にベネチアで開かれたG20ですでにその路線は敷かれていたから、岸田政権も「新しい資本主義」という言葉や「配分」という言葉を使いやすかったわけです。

★難しいことはわかりませんが、私学教育関係者にとって重要なことは、神田眞人財務官が、国際課税のルールが100年ぶりに変わったことに対し、「パラダイム転換」だと述べたということを各メディアが一斉に取り上げたことでしょう。

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★何も、私学教育関係者が財務官とシンクロしたなどということを言いたいわけでは全くないことは強く断わっておかねばなりません。大事なことは灘・東大出身の財務官が、お金の側面からパラライム転換などという言葉を使ったという事実です。

★私学関係者は、カタカナ語を使うことに対しては控えめですし、21世紀型居郁機構のメンバー校以外はパラダイム転換などという言葉を使うことは思っていても公の席では言いません。誰に気遣っているのかわかりませんが。。。日本人が一番好きなお金の話で、日本人の一番好きな東大、しかもやはり大好きな灘出身の、しかも財務次官と同じレベルの財務官のお墨付きをもらえたということが重要なのです。

★今まで心の中で思っていた方々も、パラダイム転換!望むところだと言わざるを得ないわけです。

★1989年ベルリンの壁が崩壊して、グローバリゼーションが急激に広がったのですが、翌年、すぐにお茶の間に流れたのは「百年ぶりの世紀末・・・」から始まる「胸がドキドキ」という歌でした。「名探偵コナン」のオープニングテーマ曲です。コナンのアニメは今も放映されていますね。

★この100年ぶりの世紀末とは、1989年の100年前のフランス革命後に出版されたウィリアム・モリスの「ユートピアだより」(1890年)の雰囲気を、作詞作曲者のバンド「THE HIGH-LOWS」さんが念頭に置いていたかどうかはわかりませんが、モリスというアーティストとそのロックバンドが、「自由」「平等」「共有」のミーム(文化遺伝子)を有しているということは考えにくいことはないでしょう。

★そのミームを学者の斎藤幸平さんが<人新生の「資本論」>で爆発させて、ニューコモンズの世界を開いているのは、まさに世界同時的に地球市民が「100年ぶりの世紀末」で「胸がドキドキ」しているのでしょう。

★ダボス会議もリーマンショック以来「新しい資本主義」について、手を変え考えてきて昨年は「グレートリセット」だなんて言っていたわけですから、岸田政権が「新しい資本主義」と語るマインドセットはかなり前から準備されていたのでしょう。

★それぞれ思惑は別々ですが、エンターテイメントが100年ぶりの世紀末を歌い上げ、学者もまた人新生の資本主義を歌い上げ、21世紀型教育機構も1989年の100年先の2089年から教育を考えることを提唱し、政治家も新し資本主義を公約として掲げ、そしていよいよ金庫番の財務官までもが100年ぶりのパラダイム転換だと宣言するのです。日本もだいぶ様変わりするのが現実的になってきたのではないかという予感がします。

★もちろん、100年前のウイリアム・モリスの「ユートピア」は、歴代のユートピア論同様、ディストピアを内包しています。原題は「News from Nowhere」なのです。

★多くの人々が語っても、「どこにもない」未知なる、つまり正解のない世界創りなのです。過去に引きずられることなく、2089年から構想する必要があるのはそういうわけです。はてさて、わたしたちは、自身の成功体験や方法を捨てられるでしょうか、そのようなフォームをトランス・フォームすることができるでしょうか。その謙虚さのみが、2089年のZ世代の成果を導くでしょう。

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2021年10月15日 (金)

21世紀型教育機構 SGM(スーパーグローバルマネージャー)部会開催 新機軸始まる

★2011年に立ち上がった21世紀型教育機構(当時は「21世紀型教育を創る会」)は、今年10年を迎え、いろいろな動きを開始しています。すでに、SGT(スーパーグローバルティーチャー)育成のためのセミナーが3回行われ、加盟校のPBL授業やSTEAM教育などの質が豊かになり、蓄積されてきています。質の向上はしかしながら、大切なものが故に、市場では見えにくく、せっかく良い教育を行いつつも、その質がもたらした大学合格実績で多くの場合はじめて評価されます。たしかに、各加盟校の大学合格実績は伸びてきたし、海外大学進学実績は目覚ましく、ようやく市場で認知されるようになりました。

★しかし、同機構のミッションは、自分の学校がよければそれでよいということではないのです。善き教育は共有して、日本の教育や世界の教育に広げ、世界の痛みを引き受け、解消できる教育出動を使命としています。それがゆえに、昨日14日、加盟校のSGM(スーパーグローバルマネージャー)が集結し、現場の若き教師SGTが積み上げてきた質を大きな力に転換すべく、従来のビジョンのフォームを新たなビジョンにトランスフォームする対話をしました。

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★フォーム。つまり型というのは、質という可能態を現実態に変容させる大切な役割を果たします。デザインとか見える化とかいう言葉に置き換えるとわかりやすいかもしれません。ただし、生徒の可能性を引き出す形成的評価の「形成」=「フォーマティブ」という意味を込めて「フォーム」という言葉を使った方が教育の領域では意味があります。ともあれ、すでにSGTの教育の質は、各加盟校のPBLという型=フォームによって生徒の才能を可能態から現実態にシフトしています。

★SGTのミッションとしては、面目躍如です。一方SGMにとっては、その現実態は、日本や世界の教育を変える可能態でもあります。マネージャーは、この豊かな潜在的な可能性を、現実態に変容させるビジョンを立てる役割を担っています。新たな型を生成する必要があるのです。そして今回のパンデミックは、そのトランスフォームの必要性を促したのです。

★2011年、機構の出発点は3.11でした。10年後の2021年、機構のビジョンのトランスフォームの背中を押したのは今回のパンデミックだったのです。

★加盟校が教育で引き受ける日本の痛みは、実は世界の痛みに通じていたわけです。

★このような課題意識を理解しない方々は、21世紀型教育機構を合同説明会の集まりだと思っています。加われば人が集まるかどうかの損得勘定を考えるわけです。どのように思われようが、構わないわけですが、問題は、教育に携わる経営陣がその程度のことしか考えない、日本の教育の痛みはまずは解消しておく必要があります。

★そこで、理事会は加盟校の経営陣が集まる定例会以外に、校長あるいはその学校の次代をマネジメントする代表メンバーを集めて、SGM部会を新たに発足しました。

★今回のテーマは、21世紀型教育機構の新たな市場創出、新たな教育開発についてです。最終的な決定は理事会、定例会を通して公表されるでしょうから、ここではまだ発表はできません。ただ、世界を巻き込むダイナミズムを教育から生み出すことになるとだけお伝えしておきましょう。

★20世紀初頭までは軍事力・政治力が絶望を生み出しました。20世紀後半は、経済が世界を席巻し、格差を生み出しました。21世紀は、絶望と格差を引き受け、希望と正義を取り戻す教育=知が出動するのです。それゆえの21世紀型教育なのです。

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2021年10月12日 (火)

今週のGLICC Weekly EDU50回記念 神崎史彦先生出演!

今週15日(金)のGLICC Weekly EDU(GWE)は50回を迎えます。私はコメンテータートして90%は出演していますが、主宰の鈴木裕之さん(GLICC代表)は、皆勤賞です。毎回、多くの革新的教育と自己変容型マインドを生み出す見識者に出演して頂いています。鈴木さんの広い視野と深い問題意識があるからこそ、みな出演を快諾してくださるのです。継続は力なりと言いますが、毎回発見が多く、それを私たちも実践において活用させていただいています。さて、今回50回の記念すべきGWEには、あの神崎史彦先生が登壇!鈴木さんとの対話は大いに盛り上がるでしょう。

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★11月にはカンザキジュクが二子玉川にオープンする予定でもあります。

★今なぜ二子玉川なのか?

★今なぜ総合型選抜なのか?

★今なぜシステム思考なのか?

★今なぜ思考コードなのか?

★今なぜ世界創りなのか?

★などなどは神崎先生の探究プログラムではすべてつながっています。

神崎先生と鈴木さんの創造的対話をぜひご視聴ください。

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