中学入試

2019年11月12日 (火)

新しい思考力生成(03)首都圏模試センターの「思考コード」と「思考スキル」は中学受験と中学入試を橋渡しする。③

★首都圏模試センターのすべての子どもに深い思考力を!創造的思考力を!という挑戦は毎年進化しています。このシリーズで紹介している「最難関校・攻略本」には、新しいアイデアがさらに加わっています。

Dsc04523   

★それは、1964年東京オリンピックで、日本のデザイナーたちが生み出したピストグラムの活用。当時は、外国人と日本人のコミュニケーションのギャップが今以上にあったため、そのギャップを埋めることを目的に制作されました。

★山下社長はそこに目を付けて、知識と思考(深い思考や創造的思考)が離れ離れになっている子供たちが、イメージでそのギャップを埋められるように、アクション型思考スキルとシンキング型思考スキルをすべてアイコン化したのです。

Dsc04518

★オブジェクト指向のプログミングになじんでいる子供たちはこのピストグラムを、ディスクリプションでプログラミングしていくのが好きな子供は、従来通りの言語化された思考スキルを活用すればよいわけです。

★同センターは、最難関校の入試問題を思考コードで分析しています。どの思考コードの領域を攻めれば、その学校を攻略できるかわかるわけです。

Dsc04527

★今までも、データは見ることができましたが、どんなアクション型思考スキルやシンキング型思考スキルを組み合わせれば、攻略できるかまでは、まだまだ子供自身のものにはなっていなかったのです。

★しかし、このピストグラムによって、子供は子供自身でスキルを活用するダイナミズムが始まりそうです。

 

|

2019年11月11日 (月)

新しい思考力生成(02)首都圏模試センターの「思考コード」と「思考スキル」は中学受験と中学入試を橋渡しする。②

★首都圏模試センターの「思考コード」と「思考スキル」のコンビネーションについては、「最難関校・攻略本」に詳しい。「最難関模試」を受けた生徒にもれなく配布されたようですが、他の模擬試験でも解答解説冊子「ブレイク」に、毎回シンプルに掲載されています。

Dsc04520

★しかし、今回同攻略本では、今まで算数のスキル、他教科のスキルと分けれれていたのを、アクション型スキルとシンキング型スキルという分け方にアップデートしています。

★これは、学びのアクションの視点とそのアクションによって何を考えていくかそのプロセスの結節点の視点がシンキング型思考スキルという分け方になっていると同時に結合しています。

★どういうことかというと、思考コードの領域は、レベルと軸の広がりがあるわけですが、レベルをあげたり、軸を越境したりする場合どうするのか?とデータをみて生徒がリフレクションしたとします。

★シンキング型スキルで、比較してみようとか、置き換えてみようとか、具体的に広げてみようとか、抽象的にまとめてみようかなどとアプローチすることもできますが、アクション型思考スキルの「視点を変えてみよう」と身体感覚でアプローチしようとすることもできます。

★では、どうやって「視点を変えていくのか」というと、たとえば、図形の場合、別の角度から見てみようとか、立体を平面に変換しようとか、多角的に見てみようとかなるわけですが、これは全部「置換」スキルでもあります。

★国語の場合、長い文章を理解するには、置き換えたり抽象化したりして、視点を変えていく必要があります。

★アクション型思考スキルでアプローチを開始するか、シンキング型思考スキルでアプローチを開始するか、生徒によって違いますが。全体感覚と分析感覚ということですから、その両方を生徒は最終的には使い分けたり、統合したりして活用していきます。

★成績データをみながら問題を解くプロセスをリフレクションするとき、両面からモニタリングしていくことで、どんな学びの構えを強めたり、どんな思考のプロセス視点の活用をトレーニングしていくか、自覚できるようになります。

★中学受験において、塾では、これは受験勉強の習慣や思考問題の解法テクニックをトレ―ニングすることでありますが、学校においては学びのマテリアルが中学入試問題というアドミッションポリシーから、多様な自然現象、社会現象、精神現象に広がっていくカリキュラムポリシーに発展し、再び大学入試問題へ挑戦するディプロマポリシーに収束していく一連の学びの生態系をつくっていく出発点になっています。

★中学受験では、たしかに合格することが目的ではありますが、中学入試というアドミッションポリシーにつながることによって、合格しておしまいという解法テクニックを受験勉強して終わるのではなく、その先につながっていければ、中学受験勉強をしている生徒にとっては、一生ものの学びのスタート地点にたてるわけです。

★中学受験と中学入試がつながることによって、キャリアデザインが始まると考えてよいと思います。これが断絶したら、なんて無駄な受験勉強に長時間費やしたのだろうというネガティブな気分が生徒のその後の人生を包むかもしれません。

★意外とこのような気分は、受験生にはあるものです。トラウマになるとよく言われていますよね。これでは、自己肯定感は広がりません。これを払拭する思考コードや思考スキルは、中学受験の葛藤を解消したいという首都圏模試センターのメンバーの熱い想いから生まれてきたのです。

|

2019年11月10日 (日)

新しい思考力生成(01)首都圏模試センターの「思考コード」と「思考スキル」は中学受験と中学入試を橋渡しする。①

★近年首都圏模試センターは、「思考コード」を開発し、それを模擬試験の成績表に埋め込み、データ分析ができるようにしています。これは画期的な<新しい学びの経験>を学校に先んじて中学受験生に提供することになりました。

Dsc04514_20191110175801

★よく「脱偏差値」という表現が使われることがありますが、これはあくまでメタファーであり、統計学の手法の「偏差値」を誰も否定していません。もちろん、否定して項目反応理論を持ち出してもいいのですが、生徒の知識問題に対する反応はベルカーブにならざるを得ず、項目反応理論を使ったとしても、知識問題を測る以上「偏差値」という統計学的方法論を否定することはできないのです。

★もし項目反応理論と偏差値の関係がわからないという人がいれば、その方はそもそも「脱偏差値」というのをメタファーとして使う以外に統計学的な方法論を批判する立場で語ることは不遜です。

★わかるように説明しろといわれるかもしれませんが、それは虫がよすぎます。まずは自分で考えたり、調べたりしてからです。それをしないで、相手にわかりやすさを求めるのは、そもそもおかしいと反省したほうが良いでしょう。というか、今回の大学入試改革の1つにこの項目反応理論と偏差値の関係の正しい理解の仕方もまたテーマの一つだったのです。メディアも民間英語試験否定論者も、このことを語っている人はいません。

★なぜなら、公平性というのが、経済的格差の話であって、テストの公平性を全く問題にしていないで、論じていることがバレバレになってしまうからですね。大学入試改革は、経済格差を考慮することはとても重要ですが、経済格差を生む大きな原因は学歴社会そのものにあるのに、その中で研究し、その中で執筆料をもらって生活しているので、根本的な原因にマスクをかけ、別の問題点を指摘して、今回の改革がもしかしたら学歴社会を崩すきっかけになるかもしれないとうすうす気づいていて、自己正当化理論を吠えまくるということをしたのです。

★ところが、そんな醜いことはどうでもよく、子供の本当の学力や学びを考えて、首都圏模試センターは、「思考コード」と「思考スキル」の開発を進めたのです。歴史を振り返れば、このことがどれほど歴史的意義や価値があるか計り知れません。

★「思考コード」はA1A2A3というA軸思考とそのレベル分け、B1B2B3というB軸思考とそのレベル分け、C1C2C3というC軸思考とレベル分けをして、9つの領域で偏差値をだしていきます。多次元偏差値です。

★すると、A軸では、A1とA3で、その生徒の偏差値が逆転現象を起こすということがあります。B3とC3でも同じようなことが起こります。模擬試験は、A1とB1の領域の問題が多いので、全体の偏差値(いわゆる今までの偏差値)でいけば、その逆転現象が見えなくなってしまうのです。

★ところが、その逆転現象が起こっているところこそ、その生徒の潜在的な才能が見え隠れする場所かもしれないのです。今までの中学受験勉強は、偏差値と正答率で戦略を立てていきますから、弱点ばかりをトレーニングして、潜在的可能性をもっと生き生き活用できるようにしようという指導はされてこなかったのです。もちろん、塾の先生の中には、学校の教師以上に学びのプロがいて、そこをうまく引き出して、偏差値に関係なく、たとえば、麻布に合格する指導をし、ギリギリ入るけれど、最後はすばらしい活躍をして卒業する生徒の跳躍台を創ることができる達人がいるものです。

★しかし、それはその先生と出会わなければならないわけですが、そんなことをアピールできる見識を有している塾経営者はそう簡単にいません。

★ところが首都圏模試センターの山下社長は、そういう達人の学びの手法や考え方に共感し、そういう達人を探しては、話し込み、その思考システムや学びシステムを首都圏模試センターの模擬試験を受けた受験生全員にその機会を提供できないかと考えたのです。

★5年の歳月をかけて試行錯誤して結実したのが「思考コード」と「思考スキル」というわけです。指導の達人及び学びの達人シミュレーターというわけです。

★この考え方は中学受験市場だけではなく、中学入試という学校のアドミッションポリシーでシンクロしたのです。それゆえ、新タイプ入試という知識・論理的思考問題から創造的思考問題が出現したのです。そうなってくると、この新しい問題の部分で偏差値の逆転現象が年々現れるようになったのです。「思考コード」の発想はルーブリックなどと表現はいろいろですが、アドミッション・ポリシーーカリキュラム・ポリシーーディプロマ・ポリシーと共鳴共感するようになったのです。

★いわば、首都圏模試センターの「思考コード」と「思考スキル」の開発は、中学受験市場と中学入試という学校の3ポリシーを架け橋する画期的な歴史的使命を果たしているのです。

|

2019年10月28日 (月)

2020年からの中学入試(35)女子に人気の共学校

★男子にも女子にも人気のある学校、男子の人気はそれほどないが女子には人気があるという学校という2つのタイプの共学校がありますが、その区別はともかく、まずは前回までと同様、昨年の女子の志望者数よりも少しでも増えた共学校を地域別五十音順で並べます。データは、いつものように首都圏模試センター主催の「10月の統一合判」のデータに拠ります。

Photo_20191028100901

郁文館
かえつ有明
啓明学園
国士館
駒込
桜丘
品川翔英
自由学園
修徳
淑徳巣鴨
城西大城西
聖徳学園
成城学園
成立学園
多摩大聖
多摩大目黒
帝京八王子
東海大高輪
東京立正
東洋大学京北
新渡戸文化
日本工業大学駒場
日本大学第一
八王子実践
文教大付属
武蔵野大学
明治学院
明星
目黒学院
目黒日大
目白研心
立正大学付属立正
早稲田実業
聖ヨゼフ学園
日本大学
横須賀学院
市川
渋谷教育学園幕張
昭和学院
東海大浦安
青山学院大学系属浦和ルーテル
浦和実業
狭山ヶ丘
西武学園文理
聖望学園
東京成徳大学深谷
東京農業大学第三
武南
本庄東高等学校附属

★啓明学園、駒込、桜丘、品川翔英、城西大城西、聖徳学園、成立学園、東京立正、日本工業大学駒場、武蔵野大学、目黒日大、目白研心、立正大学付属立正、聖ヨゼフ学園、昭和学院、青山学院大学系属浦和ルーテル、西武学園文理などは、それぞれ違いますが、何らかの大きな改革を進めている学校です。

★やはり、教育イノベーションは注目を浴びます。

★東洋大学京北は、改革が成功してしばらくたちますから、安定的に人気といったところでしょう。

★成城学園、市川、渋谷教育学園幕張は、隔年現象はあるでしょうが、不動の人気の共学校です。

|

2019年10月25日 (金)

2020年からの中学入試(34)人気女子校を追う

★首都圏模試センターが10月に実施した「統一合判」の志望者数登録のデータから、前回同様の方法で首都圏人気女子校を抽出しました。地域別五十音順で並べています。

Photo_20191025115401

跡見学園
桜蔭
神田女学園
共立女子第二
国本女子
光塩女子
晃華学園
麹町学園女子
佼成学園女子
昭和女子大学附属昭和
女子美術大学付属
白梅学園清修
田園調布学園
東京家政大附属
東京女子学院
日本大学豊山女子
富士見丘
和洋九段女子
北鎌倉女子
相模女子
聖和学院
日本女子大附属
フェリス女学院
横浜雙葉
和洋国府台女子
札幌聖心女子

★跡見学園、桜蔭、光塩女子、晃華学園、田園調布学園、日本女子大附属、フェリス女学院、横浜雙葉はブランド女子校ということでしょう。

★神田女学園、国本女子は新たなダブルディプロマの導入という果敢な動きが評価されています。

★麹町学園女子と佼成学園女子は英語教育の凄まじさということでしょう。

★昭和女子大附属昭和、富士見丘、和洋九段女子は、新しい女子校の象徴として進取の気性に富んだ保護者が評価しています。

★女子美は、毎年人気ですが、やはりクリエイティビティ溢れるアートやデザインの学校であるからでしょう。美術専門中高ではないのですが、他校に比べて圧倒的にアーティステック、ファッショナブル、コンテンポラリーな生徒で溢れています。アート好きには、「楽しい!」がとまりません。世界が全く違います。

★相模女子、聖和学院は、神奈川エリアで、新しい学びに果敢にチャンレンジしているその姿が投影されているからでしょう。

|

2019年10月24日 (木)

2020年からの中学入試(33)男子に人気の共学校を追う

今年10月に実施された首都圏模試センターのデータから、首都圏男子に人気のある共学校を抽出してみます。抽出方法は前回と同じです。地域ごと五十音順で並べました。

Photo_20191024194601

慶応中等部
工学院大附属
國學院久我山
駒込
淑徳
城西大城西
聖徳
成立学園
青稜
創価
多摩大目黒
東海大高輪
ドルトン東京学園
日本工業大学駒場
八王子学園八王子
文教大学附属
武蔵野大学
武蔵野東
目黒日大
立正大付属立正
アレセイヤ湘南
東海大相模
桐光
日本大学
森村学園
横浜創英
横浜富士見丘
渋谷学園幕張
千葉日大第一
東海大浦安
日出学園
麗澤
青山学院大学系属浦和
浦和実業
大宮開成
春日部共栄
狭山ヶ丘
秀明
昌平
西武台新座
土浦日大
茗渓
國學院大學栃木
佐久長聖
長崎日大

★男子に人気があるとしたのは、共学校だからと言って男女両方に人気があるとは必ずしも言えないからです。

★とにも、こうして眺めると、慶応中等部や渋谷教育学園幕張、國學院久我山は、常連でしょう。

★工学院、駒込、聖徳学園、成立、昌平、茗渓は、<新しい学びの経験>プログラムを創出しています。

★淑徳のように、大学進路指導重視でありながら、ICT教育にも力を入れているところは、城北とシンクロしています。城北も人気がありますから、やはり大学合格実績プラス1は人気のでる理由かもしれません。

 

 

 

 

 

|

2020年からの中学入試(32)人気男子校を追う

今年10月に実施された首都圏模試センターのデータから、首都圏人気校を抽出して今後追っていこうと思います。10月くらいから併願の決定も進み始めているはずですから、時期的にはちょうどよいでしょう。各校の勢いや、全体の動向が推理できると思います。ここでいう人気校というのは、同センターが集計している志望校の登録者人数が昨年より増えている学校のことを示しています。

Photo_20191024063801

★まずは男子校から。寮制学校は東京会場の志望者数です。五十音順です。

海城
学習院
暁星
京華
攻玉社
城北
巣鴨
聖学院
世田谷学園
高輪
桐朋
日本学園
日本大学豊山
早稲田
栄光学園
城西川越
静岡聖光学院
函館ラサール

★同センターのデータによると、男子校は48校集計されていますから、上記人気男子18校は、男子校の37.5%を占めています。

★隔年現象で人気校というところもあるでしょうが、海城、暁星、城北、巣鴨、聖学院、世田谷学園、静岡聖光学院のように学内で新しい動きを開始したところあるいはその中でも、海城、巣鴨、聖学院、静岡聖光学院のように<新しい学びの経験>の環境を生みだしているところには、志望者が集まっているというのは、日本にとっても希望です。

★英国の「エコノミスト」元編集長ビル・エモット氏などは、日本は教育投資で人的資本を強化することで世界に貢献できると語っていますが、それは昨年のノーベル経済学賞受賞者ポール・ローマ氏の「内生的成長論」にも呼応しています。もっとも。ポール・ローマ氏は、日本だけのことを言っているわけではないですが。

★中高段階では、<新しい学びの経験>の環境を創っている学校を選ぶというのが、教育投資と言えるでしょう。もちろん、ビル・エモット氏やポール・ローマ氏は、個人レベルの投資ではなく、もっとマクロの話なのでしょうが、AI社会へ徐々にシフトしている時代です。個人の投資判断は小さいようですが大きな影響を与えるようになるでしょう。

|

2019年10月19日 (土)

2020年からの中学入試(30)「進学レーダー2019年11月号」で中学入試の全貌を見通そう

★「進学レーダー2019年11月号」(みくに出版)は、<中学受験SDGsと新しい入試>の大特集を組んでいます。そして、この時期大事なもう一つの特集<「学校別」入試の採点基準>とそれを活用できる<過去問分析シート>がとじこみで手に入れることができます。

★「聖学院」が8ページ圧巻の<私立中高一貫校レポート>で登場しているのも驚きでした。SGDsの活動などでも有名なZ世代リーダーYujinさんをはじめとする聖学院の生徒さんがトップページ全面でバーンと登場しているのもすてきでした。

★「宝仙理数インター」「横須賀学院」の<クラス1日密着ルポ>や「成城学園」の<私学の校舎散歩>も読みごたえ見ごたえたっぷりです。

Dsc03406

★さて、同誌は、数多くの私立中高一貫校がSDGsに取り組んでいることの国際的な重要性を背景に着目しています。グローバル教育の本質的な活動を見通した視点です。そして、中学入試問題は学校の顔ですから、SDGsの取り組みを行っている学校の多くが、SGDs関連の入試問題を出題していることを丁寧に検証しています。

★この取り組みが、大学にもつながっているということにも触れ、受験の世界が、国連広報センターの野望の1つSDGsの告知に実は一役買っていて、受験の重要性について社会貢献や国際貢献という観点から光をあてる画期的な特集になっています。

★それとZ世代高校生がSDGsをテーマに未来会議を開催している活動も紹介し、2040年に相当混迷した日本社会であると予想されている時期にリーダーシップを発揮せざるを得ないZ世代の希望も取りあげています。

★そして、このSDGs関連の入試の出題方式が、4科入試以外に、新しい入試で出題されていることにも射程を広げています。これらを合わせ読むと、2040年から考えてZ世代にとって有益有効な<新しい学びの経験>を創ろうとしている各私立中高一貫校の創意工夫が浮かび出てきます。

★とはいえ、もちろん、<中学受験>という視点できっちりまとめられています。いまこの時期に、中学受験生の保護者は2040年から想いを馳せながらわが子の受験態勢に臨むということはしないでしょう。それは当然です。

★偏差値60以上の学校の9割は、4科入試中心で、その中でSDGs関連の問題は当然出題されるわけです。中学受験マーケットでは、この層に生徒が集まりますから、4教科の受験勉強をサポートすることが極めて重要です。大手塾の中には、ここだけにターゲットを露骨に当ててそれ以外を切り捨てるようなことを公言するところもあるぐらいです。

★しかし、この層の中でも、麻布や武蔵は、4科入試でも新しい入試で重視しているような「高次思考力」はもともと出題していて、この層の中でも特別で大切な位置を占めています。もともと新しい入試の登場は、公立中高一貫校の適性検査を意識して作成されるケースと麻布や武蔵の「高次思考」を偏差値が低くても考えてなんとか突破できて自信と勇気を取り戻すことはできないかという問題意識から作成されるケースの2通りありました。今では、もうそのような意識は曖昧になるほど、拡大しましたが。

★そんな中で、開成は、昨年、「高次思考」の問題を作ろうと思ったらできるぞというサインを出しました。今年筑駒の詩では、正解がたくさんでうるような問題も工夫次第では採点がきっちりできるぞという筑駒叡智の面目躍如の問題を出題しています。

★だいたい開成の数学や化学の授業などは、もともとアクティブラーニング(同校はそんな呼び方をしていないでしょうが)ですから、創造的という意味での「高次思考」の問題を出題しようと思えばできるのです。ただし、開成に入学してくる生徒は、もともとそこの部分はもっているので、知識と論理をベースにハードルを越えてきてくれればよいということでしょう。

★そんなわけで、偏差値が50前後の学校群が<新しい入試>を実施するケースが圧倒的に多いのです。だから、そこから飛び出てきた今では偏差値が高くなった三田国際は、通過点として一度<新しい入試>をやっただけで、あとは算数一科入試に変更しました。マーケティングに俊敏な学校は実に戦略的です。

★しかしながら、このような戦略的な学校は例外的です。大事なことは、この4科入試と新しい入試の背景にある偏差値グルーピングという事態は、「進学レーダー」に取り上げられるほど一つの「事実」として定着してきたわけです。グルーピングができるということは、実はダイナミックな動きが意図しなくても発生するというのが歴史的な力学というものです。2020年中学入試は注目ですね。

|

2019年10月13日 (日)

2020年からの中学入試(28)ドルトン・プランと水都国際

★遅ればせながら、マリヤン B プレキシコ氏の著書「ドルトンスクール方式」 (祥伝社 2018/10/17)を読みました。1920年代にアメリカのマサチューセッツ州のドルトンの小学校において試みられたヘレン・パーカーストの教育の理念と方法論が、ドルトン東京学園に息づくのかと思うと、胸が熱くなりました。

41irigrapl_sx343_bo1204203200_

★ヘレン・パーカースト自身、モンテッソーリやJ.デューイに学んでいて、そこから着想を得て実践を積み上げていったのでしょう。

★そういう意味では、国際バカロレアやHTH、日本の21世紀型教育など、根っこはいっしょです。子どもを子ども扱いせず、1人の人間としてその才能を1人ひとり開花するサポートをする学びの環境を創っていくという点では同様です。

★1920年代に子どもを子ども扱いしないというのは、今とはちょっと感覚がちがうかもしれません。甘やかすなとか子供中心主義とか、まあそういう考えもありですが、ヘレン・パーカストの時代は、「子供」の権利など認識されていませんでした。考えてみれば女性でさえ、権利の闘争をしていた時代です。

★ですから「子供」をどのようにとらえるかは、時代によって違うでしょう。そこに注目すると、本書を読んで結びついたのは、水都国際の今の教育実践でした。ここはIBのディプロマの候補校ですが、そのコースを受けるのは、30人弱でしょう。大人気の学校で、それ以外の生徒はどうするのか?とお思いでしょうが、21世紀型教育の粋を極めた教育を実施しています。

★そして、その姿は、本書が述べているドルトンスクールの理念そのものが行われていると言っても過言ではありません。IBとか21世紀型教育のようにMITメディアラボやスタンフォードやハーバードの流れを汲む教育は、J.デューイやピアジェ、レヴィ・ストロースなどの考え方の系譜にあるから当然なのかもしれません。

★もちろん、水都国際は、本書に書かれている以上にSTEAM教育の側面も色濃いですが、生徒は、1人1台パソコンをもって、英語も話し、PBLを授業で行っていくだけではなく、自分たち自身が水都国際の教育をデザインするプロジェクトを立てています。

★何より、教師一人一人も生徒と同様ICTを駆使し、全員が英語を学んでいます。<新しい学びの経験>を教師も生徒も一丸となってっ創っています。思考コードという表現を使っているかどうかはわかりませんが、太田教頭は「思考コード」を生み出してきたプロフィールもあり、そのコーディングのメガネを持っています。

★IBの構造の話を聞いても、実によく理解していて、それ以上の教育を水都国際のメンバーといっしょに考えています。

★私は、ドルトンであれ、IBであれ、MITやスタンフォード、ハーバードの系譜であれ、根っこはデューイ、ピアジェ、レヴィ・ストロースにあると思っています。つまりDPLの系譜。

★もっと言えばJ.J.ルソーです。

★ですから、PBLという授業には、この系譜がコアの部分で反映し、現代化されているかという2つの側面で見ています。その現代化の方法は、多元論です。いろいろあってよいのです。

★そして、何より重要なのは、これらの<新しい学びの経験>を創出する教師自身が、DPLの系譜でありイノベーターであるということです。水都国際は、すべての教師がそうなのです。これは生徒にとって最高の環境です。

★たいていの学校は、進歩派と守旧派は必ず存在し、革新的に進んだり、揺り戻したり、なかなか大変です。

★ドルトン東京学園の教師がすべて、DPLの系譜でイノベーターであることを期待しています。

★そうそう、<「高校教育は学問ではない」上野千鶴子が17歳の時に訴えたこと 寄稿文を発見>(週刊朝日:10/13(日) 7:00配信)で、教育ジャーナリストの小林哲夫氏が発見した53年前の上野さんの貴重な文章が掲載されています。<新しい学びの経験>とは、言うまでもなく、上野さんの描く自らを見失った高校教育ではなく、上野さんが現状から脱して欲しいと考える教育と同期しています。それにしても、上野さんの訴えから、53年経ってようやく時代は動き出したとは、社会変容の難しさとそれがゆえにイノベーター教師の価値に改めて感じいりました。

|

2019年10月10日 (木)

2020年からの中学入試(27)新しい女子校の可能性を2科4科の思考コード分析で考える

★新しい女子校は、新しい世界観、新しい哲学、新しいパラダイムを創る可能性が高いですね。それは男子校にも言えるのですが、何せ女性の虐げられ方は、日本ではすさまじい。それゆえ、女子校というのは、特殊現代日本の社会構造上の問題を引き受けていると考えるのは間違っていないでしょう。

Photo_20191010194801

(2科4科重視型の女子校の中で、気になる女子校のデータを調べてみました。)

★女性の社会進出のあり方は、ざっくり3通りあります。1つは、パラダイムチェンジメーカー型社会進出。今までの社会制度そのものを変え、そのパラダイムチェンジメーカーとしてのリーダーシップを発揮するタイプ。これは中学入試で<新タイプ入試>を行い、授業も<新しい学びの経験>を創出している女子校がそれである。富士見丘、和洋九段女子などが筆頭でしょう。

★しかしながら、2科4科だけもしくは、2科4科を重視している女子校の場合、国語の入試問題で創造的思考を必要とする問題を出題しているところがそうです。上記の表(データは、晶文社「中学2020受験案内」から)でいえば、田園調布学園、フェリス女学院、日本女子、桜蔭、立教女学院がそうでしょう。

★2つ目は、イノベーション型社会進出。イノベーションを起こす研究者や開発者としてリーダーシップを発揮し、結果的に社会が変わっていくというタイプ。

Photo_20191010195701

★これは、数学的思考を重視している女子校です。白百合、洗足学園、フェリス女学院、立教女学院、雙葉がそうでしょう。

Photo_20191010195901

★3つ目は、アッパー層型社会進出。社会制度がどうあれ、その社会の中で男性と競争して、勝ち抜けばよいというアッパー層を狙うタイプ。

★2科4科の問題を思考コードで分析していみると、桜蔭、雙葉、フェリス女学院、立教女学院、白百合がそうでしょう。

★こうしてみてみると、3つのタイプすべてに顔を出しているのがフェリス女学院と立教女学院です。多様なリーダーシップが生まれる女子校だということでしょう。

★入試問題は学校の顔。その学校の先生方の知恵が反映しています。その知恵は、建学の精神も学校文化も背景に含みます。学校情報の重要のリソースです。解けるかどうかももちろん大切ですが、その学校の授業文化の質を調べるには、絶対的な資料といえましょう。ここをきちんと分析している晶文社の学校案内は必見ですね。

|

より以前の記事一覧