中学入試

2026年8月16日 (日)

本質ベース教育(1)本質はコンテンツではなくコア・ループ

★工学院の教頭田中歩先生と駒沢学園女子の山口先生と聖学院の本橋先生と対話をしながら、AI世界において生徒が自ら考え、発信し、それを方向付ける判断力を身に着けるレッスンが必要だということは共通の認識をもっています。

★そして、それは多くの学校の先生方もそう思っているでしょうし、そもそもAI世界がやってくる前から、わりと普遍的というか本質的というかあたり前のことだといえるかもしれません。

★これは、私立学校だから、あまりそこに疑問はないかもしれません。建学の精神を大切にしていますから、本質は不易流行なのだという考え方は共有しているからです。

★しかし、世の中の価値感覚では、反本質主義というのがあります。本質にこだわらず、その時その時どう生きていくかは、流動的なのだと。本質というものに対する疑いをもち、相対化する考え方ですね。ポストモダニズムはそうらしいです。またそれ以前の実存主義もそうですね。本質よりも実存が先にあるのだという感覚。

★ところが、田中先生も山口先生も本橋先生も、真理は大切にしていますが、真理は未完ですから、これが真理かもしれないというのは、一人一人が考え、判断し、表現し、対話して、現状で最善の真理だというところにいきつくという考え方です。

★これが本質だぞと生徒に押し付けるのではなく、本質はあるけれど、その内容は固定的ではないのです。いつか固定するかもしれないのですが、それは実に未完なのです。考え続けるという意味で、自分の中に思考や判断のコア・ループの在り方を身に着ける教育が本質だという考え方です。

★経験を内省しながら、観察するものを分析していきます。その観察するものは、自分がこれだと好奇心をもったものです。それがどんなものなのか、なぜ機能しているのか、どんなことをどれくらいの量でどのくらいの速さで生み出していくのかなど検証すべく考えていくわけです。そしてどんなリスクやコストがかかるのか判断するわけです。

★この思考のプロセスは、コンテンツが変わっても同じです。ただ、プロセス自体は軌道修正していくあるいはチューニングしていきながら正当性・信頼性・妥当性のあるコア・ループを創っていくわけです。

★おそらくこのコア・ループのできていく過程や様態は生徒1人ひとり違い、変化の仕方も違うでしょう。ですから、このコア・ループのそれぞれの生徒による進化が、成長物語でもありましょう。

★3人の先生方との対話は、この本質ベース教育、もっというとコア・ループベースの教育を構築していく物語です。

★基本、3人の先生方は生徒中心主義的な価値観を持っているので、このような流れになります。しかし、世の中は必ずしも生徒中心主義ではない価値観もあります。その価値観とどう対話していくか、3人の先生方は常に考えています。悩んでもいます。この2つの極が融合することで、第3のアイデアが生まれてくるのではないかという期待もあります。

 

 

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2026年8月14日 (金)

筑駒 原ひろ子さんの「子どもの文化人類学」から出題

★2026年の筑駒の国語の入試問題大問【1】は、原ひろ子さんの「子どもの文化人類学」から出題されています。場所は、最終章の「文化の中の教育Ⅲ」です。1979年に晶文社から出版されています。1990年代前後の中学入試では、河合隼雄さんの「子どもの宇宙」や今江祥智さんをはじめとする児童文学が盛んに出題されました。原ひろこさんもその一人だったと思います。ただ、原さんがフィールドワークした60年前のヘヤー・インデアンやジャカルタの子どもたち、エスキモーの子どもたちは、今ではかなり違ったシーンになっています。にもかかわらず、今なぜ原ひろ子さんなのでしょう。

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★それは2023年にちくま学芸文庫から再出版されるときにも話題を呼んだほどです。原さんは、米国の文化人類学者ミードが来日した時、彼女のフィールドワークのアテンドをしたそうです。ミードは、あのグレゴリー・ベイトソンとも結婚しており、新しい文化人類学の時代のフロンティアでした。ジェンダー問題の掘り起こしをした研究者でもあったでしょうし、ベイトソンは、学際的で現在の探究のもっと先を論じている研究者でもあります。

★今、原さんの本を読むと、当時の影響を受けながら独自の視点で書かれているのがわかります。

★ピラミッド型組織マネジメントや方法一元論的な押し付けがましい学びではない発想がすでにそこにはあるのです。

★同書で書かれている現代の教育論を揺さぶるようなヘヤー・インデアンの子どもたちの「覚え方」は、原さんが執筆した当時に、すでに近代合理的教育の影響を受けてしまうがと但し書きがされているぐらい古くてそれでいて未来に残したい新鮮かつ大切なものであったのかもしれません。

★あいかわらず記述式の問いですが、【1】は、文章の中にヒントがある記述で、筑駒を受験する生徒にとっては標準的な問題ですが、このような発想を持ってきてほしいというメッセージを受けとめられるかどうかはポイントです。

★それにしても、2つの読解問題で、フレーズの意味を問う選択肢が1問ずつ出題されていますが、これは筑駒の国語の先生の言語に対する「語用論」的見識をが反映されています。

★文化人類学や芸術人類学や言語人類学など学際的な視点から国語の授業を展開している筑駒の授業のシーンが浮かび上がっている入試問題です。

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2026年8月13日 (木)

筑駒の国語の入試問題は、探究の道に足を踏み入れている

★2026年度の筑駒の国語の入試問題は、いつもそうですが、文章の中に答えを探す文章のどこに何がかいてあるかの確認レベルの読解問題ではありません。しかし、今年は、課題文のテーマが社会課題を考える大前提のものの見方考え方のイマジネーションを発動させつつ、論理的整合性を問う問題でした。正解には幅がありますが、多様な解答になるというものではありません。ただ、文章の中に明文化されていないので、かなり推理力が必要です。

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★しかも、その推理の内容は、さりげなくアーティスティックです。文学的推理と言えばそうなのですが、それでは収まらない新しい文章が出題されているのです。今年の国語の入試問題の大問【2】がそれでした。アーティストであり作家であり、社会起業家である瀬尾夏美さんの文章を課題文としていました。「声の地層: 災禍と痛みを語ること」という本の第1章「おばあさんと旅人と死んだ人」から出題されていました。震災や戦争で被害を受けた方々の語り継ごうとする苦悩と未来へバトンを渡そうとする気持ちをルポルタージュやノンフィクションとして編集するのではなく、エッセイ風であり、物語風であり、詩的であり、でもフィクションではないのです。

★被害を被ったおばあさんに旅人である瀬尾さんと犠牲になって死んだ人が対話をしていることを語っています。死んだ人が登場するので、物語風ではあるのですが、おばあさんにとっては確かな存在なのです。当然旅人は、とても大事なことが語られているのに、共感できるとはとてもいえない深淵が瞬間瞬間に広がっています。

★しかし、それは何かあえて明らかにせず、大切なものの周りを長い時間かけて語っているその時間と空間を大切にしています。

★私たちは、こうしているうちにも、自然災害に遭っているし、戦争地帯で困難を抱えている人々がいることを知っています。なんとか助けたいという意志はもちろん大事なのですが、無力感も感じてしまいます。にもかかわらず、自然災害や事件、戦争によって心身に傷を負った人々が何か伝えようとしていmす。ですから、瀬尾さんはまず耳を傾けようとする活動をしています。

★制度としてあるいはインフラとしての支援だけではない活動とは、いったい何なのでしょうか。マニュアルはありません。瀬尾さんの存在の光が文字に起こされている文章。アートです。アートの力で被災地の人々の想いを表現しているわけです。小さな現場で語っている方の言葉を伝えるのですが、そこには回答は語られていないのです。長い年月の声の地層が堆積し、その地層のどこかに大切なものがあるのです。しかし、それは何かは、その地層全体が表現しているので、見ようとしても見えないのです。

★中学受験生は、読解と言えば、文章の中に解答があるから探せばよいと思われているかもしれません。もちろん、多くの場合は、まずどこに何が書いてあるのか確認するレベルから始まるのですが、書いていない場合どうするのでしょう。

★そこをどうやって認識したり推理したりするのでしょう。そしてどのように検証するのでしょう。筑駒の国語の中学入試問題は、そのような姿勢を受験生にとらせる問題です。これぞまさに探究の道に足を踏み入れる姿勢です。

★改めて中学入試の学びとは何か問い直したくなります。同時に中高で行っている探究の本質的なベースは何かについても問い直したくなります。

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2026年8月 9日 (日)

海外大学進学教育がメディアで取り上げられる時代(3)首都圏中学受験市場に拮抗する2つのカテゴリー市場

★従来の首都圏中学受験市場は、東大・医学部・難関校進学の実績の競争がメインの市場でした。ところが、海外大学進学準備教育校が増え、仮に準備教育を行っていなくても、在校生自身が対策を講じることで一人でも海外大学に合格する学校を含めると、首都圏私立中高一貫校の約40%強は、海外大学に合格させています。したがって、東大・医学部・難関大学進学校と海外大学進学準備教育校の二つのカテゴリー市場が、首都圏私立中高一貫校受験市場に併存するようになったと言えます。そのことは、サンデー毎日という従来国内大学合格のランキングばかり掲載していた雑誌もが海外大学合格に強い100校のランキングを掲載するようになったことからもうかがえます。

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★もちろん、開成や海城、渋谷教育学園グループのように、両カテゴリーの共通集合に位置する学校もあります。

★それぞれのカテゴリーには、上記の図のように、魅力が際立っているブランディングの細分化ができます。そのことについては、以前も本ブログで紹介しています。

★広尾学園や三田国際科学学園は、一見すると海外大学合格数が圧巻なために、海外大学進学準備校のカテゴリーに入る感じますが、教育環境は、むしろ共通集合に属しています。そして、東大・医学部・難関大学への教育もしっかり行っていますが、この領域はすでに大量に合格させている私立学校が多く、レッドオーシャンのため、徐々に浸食する形になっているため、今のところ目立たないのですが、それも時間の問題でしょう。

★それは、開成が、圧倒的に東大・医学部をメインに進路指導しているように見えますが、実は海外大学進学準備教育も魅力的で、ただ東大以上の世界大学ランキングの海外大学を志望する傾向にあるため、量的には目立たないだけです。ですから広尾学園や三田国際科学学園と開成は目に見える量の多い大学のカテゴリーが真逆なだけです。

★2030年以降は、上記の共通集合の領域が増えていくことになるでしょう。

★現状では、東大・医学部・難関大学の入試は、まず知識が大事で、そのうえで思考力を育成するという学びで対応できます。海外大学進学準備教育では、経験から学んだ情報を自ら新しい知識に仕立て上げる創造的思考力とその正当性・信頼性・妥当性を検証する論理的思考力が求められます。

★2030年以降は、両方の学びを統合する形になっていくので、自ずと2つのカテゴリーは融合されていきます。

★どちらの道からアプローチしても、最終的には融合されるので、今は子供たちは自分にとって適合する学びをしていればよいだけです。

★ただ、そのときに自分の学びが、未知の分野にも適用できる「転移学習」の方法を体得しておくことが将来差がつくことになるので、そこは注意しておきましょう。そのためには、哲学的な対話が大事になってきますが、これについてはまた。哲学対話というと難しそうですが、実は哲学者という専門家がいなくては哲学的対話はできないという規制主義の哲学的対話ではない、市民に開かれたアプローチも最近開発されているのです。

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2026年8月 8日 (土)

海外大学進学教育がメディアで取り上げられる時代(2)海外大学合格20名以上の首都圏私立中高一貫校

★前回ご紹介したサンデー毎日に掲載されている海外大学合格に強い100校の中から首都圏の私立中高一貫校を抜き出してみました。20名以上合格させている学校は次の通りです。なお、海外大学合格は7月くらいまで未定のところもあるため、同誌のランキングの中に入ってくる私立中高一貫校もいくつかありますが、今回は同誌のランキングの中から抜き出しました。合格者数多い順に並べています。

 
321:広尾学園
167:三田国際科学学園
73:渋谷教育学園渋谷
63:八雲学園
60:北豊島
58:文化学園大学杉並
56:渋谷教育学園幕張
50:茗溪学園
43:佼成学園
37:かえつ有明
33:浅野
32:公文国際
24:開智日本橋
23:学習院
20:工学院
20:芝国際
20:玉川学園
20:横浜女学院

★渋谷教育学園グループ、浅野、公文国際、学習院などは、「東大・医学部・難関進学校」と「海外大学進学準備校」の両カテゴリーの共通集合に入っています。多くの「学校は、今後この共通集合に属するようになっていくでしょう。

★というのも、すでに、インターナショナルスクールやIB校、ケンブリッジ国際教育認定校など海外からの波がやってきているため、教育における国際競争力を各学校が模索しているからです。

 

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海外大学進学教育がメディアで取り上げられる時代(1)~中学受験進路の自由の時代到来

★サンデー毎日 2026年8/16・23合併号で、「2026年 海外名門大学に強い学校世界大学ランキング トップ100 合格高校一覧」が掲載されました。かつて、国内大学合格校のランキングばかり掲載されていましたが、ようやく海外大学合格校のランキングも掲載されるようになりました。受験市場で、海外大学合格の意義が支持されるようになったのです。

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★また、「シン・名門校ルポ 海外大合格者が倍増! 八雲学園 驚異的伸びの真実」という記事も出ました。東大・医学部合格校ランキングの特集だと開成をはじめとする高偏差値校の記事が載るのですが、海外大学合格ランキングの特集になると、海外大学合格の伸びが驚異的な八雲学園が取り上げられるのです。

★この海外大学にたくさん合格する学校が増えたことは、従来の偏差値という一つの価値で選ばれてきたのが、多様な選択価値で選ばれる時代になった象徴なのです。

★つまり、「東大・医学部・難関進学校」と「海外大学進学準備校」という大きな二つのカテゴリーが受験業界で認識されるようになったわけです。そして、前者が学力向上駆動型教育であるのに対して、後者は好奇心駆動型教育です。もちろん、両カテゴリーともこのように単純にわけられません。ルビンの壺です。どちらが「図」として前面に現れるかの違いですが、好奇心駆動型教育が前面に出るグループの方が、2科4科入試以外に多様な才能発見のための新タイプ入試が実施される傾向にあります。

★そういう意味で、受験生の側からとってみれば、自分の好きなことややりたいこと、自分の潜在的才能を生かせる学校選びが可能になったということです。

★今までもそうだったのすが、そのためには、世の中の偏差値神話主義の流れに確固たる意志をもって抗うストレスが高かったのですが、今後は、そのストレスはある意味軽減されるわけです。

★「中学受験進路の自由の時代」の到来ともいえるでしょう。

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2026年8月 2日 (日)

開成のグローバル教育 圧巻 そして多くの私立中高一貫校の突破口も開く

★2026年度の開成の海外合格実績も凄まじい。イエール大学やコーネル大学などアイビーリーグの私立大学に合格しているし、AI時代に憧れのMITにも合格している。UCバークレーやUCLAなどパブリックアイビーにも当然合格しています。

★授業としての英語教育も、友人から聞き及んだ話ですが、AIも当然のように活用しながら行っているし、毎年カレッジフェアを開催し、海外大学が集結し、大学の説明で終わることなく、世界の科学の最前線や地政学・地経学的なディスカッションの機会も設けられているようです。

★また在学中に海外留学した生徒は、在学生に報告し、グローバル体験も共有しているらしいのです。

★これらの情報は、ほとんどが同校のサイトで公開されています。たとえば、このような記事が掲載されています。「ハーバード大学 政治学部教授・統計学部教授 今井耕介先生と高3生徒による座談会 2025.07.23」。そこには次のようにあります。

ハーバード大学の政治学部と統計学部の教授として、世界的に活躍していらっしゃる今井耕介先生(開成高校 1994 年卒)が、6 月 30 日にご来校しました。今井耕介先生は統計的手法を社会科学分野や政治分野へ応用するという新しい学問を切り開く第一人者です。大学での講義・研究活動以外にも、世界各国大学での講演や、選挙区再編訴訟における専門家証人として、多くの州裁判所や、さらには連邦裁判所にて、学問的見地から証言をするなど、活動の場は多岐にわたります。 

今井先生には、今までにも「高 1 生対象 ようこそ先輩」へのご招待をはじめ、4 回にわたり在校生へ講演をしていただいています。5 回目の今回は、急な企画であったこともあり、高 3 の海外大学志望生徒6名と座談会を行うという小ぶりな企画でしたが、それだけに大変濃密な時間にもなりました。最初は、今井先生のご経歴やお仕事の内容のスケールに緊張していた高3生徒でしたが、今井先生の気さくなお人柄と、「自分も英語が苦手だった」「困難もあるがあきらめない」といったメッセージに触れて、自分の海外進学への悩みを相談したり、各自の夢を語ったりと、活気ある座談会となりました。 

★なんて贅沢なリソース。また、こんな記事もあります。「College Fair 2025.07.15」。そこには次のようなこれまた贅沢な記事があります。

 開成 OB として Shimamune Satoki 氏(2020 年卒、Cambridge University)、Yamaoka Kento 氏(2025 年卒、Duke University)が海外での大学生活、出願までの準備へのアドバイスをご紹介下さいました。海外大学の代表として、Columbia University, Princeton University, Swarthmore College の方が登壇してくださり、 Columbia の代表のお1人として、Uejima Towa 氏(2024 年卒)もご参加くださいました。国際交流・留学委員会からも組織の紹介、準備のスケジュール、リソースとなる Google Classroom の紹介、奨学金制度の概要をお伝えしました。

★海外大学進学のOBの層がどんどん厚くなっていっています。東大のネットワークの次に、世界の大学のネットワークが拡張しています。途切れることなく、毎年つながっています。伝統と革新の真骨頂です。

★開成自身も、もはや東大のランキングを競う時代ではなく、これからは世界の大学だという認識を持っているようです。もちろん、東大合格ランキングは1位を持続しながらが大前提ですが。

★そして、ここに東大・医学部では開成にはかなわないと思っている私立学校にも、突破口が生まれました。開成の海外大学合格実績が定着してくるのは2013年ごろからです。そのころ私立中高一貫校の中に海外大学進学準備教育に着手し、今や多くの実績を出している私立中高一貫校が増えてきました。

★今首都圏の45%の私立中高一貫校は海外の大学合格を増やしつつあります。グローバルな知のネットワークの拡張という意味では、開成と肩を並べることができる可能性がでてきたということです。

★この戦略は、都もすでに開始しています。都立高校の中でIBを導入する予算を立てたたり、世界大学ランキング200位内の大学に進学する生徒に対し、上限800万/年の留学補助の予算を立てています。

★とはいえ、開成をはじめ多くの私立中高一貫校が10年以上構築してきた海外大学進学準備教育は、一朝一夕でできあがるものではありません。都もそのことは十分わかっていますから、力を相当入れるでしょう。何せAI教育にも力を入れるわけですから。

★したがって、東京都のグローバル人材育教育は、公私問わず、盛り上げっていくことでしょう。都と国が連携して国際競争力の復活をねらってもいますから、なおさらでしょう。

★もちろん、私立中高一貫校は、そのような思惑を目標にはしません。あくまで、生徒1人ひとりの才能を開くことが重要なのですが。

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2026年8月 1日 (土)

開成に学ぶ 受験生も保護者も教育関係者も(5)STEAMやアントレプレナーシップ、探究の教育のシンプルで深い在り方

★次期学習指導要領でも、STEAMやアントレプレナーシップ、探究は重視されていて、その質を高めようということになっています。これに関しては私立中高一貫校は、すでにかなり進んでいます。公立も一部の学校は高度なプログラムを実践していますが、モデル校として予算がついているところが中心ですから、圧倒的にまだまだ進んでいないのが本当のところかもしれません。

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★これらのプログラムは、体験的だし、実際にプロダクトやプロトタイピングにまで到達しますから、ワクワクするし知的好奇心が広がります。しかしながら、道具立てや数多くの外部との連携など大掛かりなものが増えてきています。そうなると、生成AIを始めとするDX関連の道具を使うことが目的で終わり、外部人材のスタッフの考え方に依存するということになる場合も少なくありません。もちろん、そうならないようにカリキュラムマネジメントをしっかりしている私立中高一貫校も少なくありません。

★ところが開成の場合は、実はシンプルです。特にSTEAMのプログラムやアントレプレナーシッププログラムのような大掛かりなものを用意しなくても、先生方の学術ネットワークや各界で活躍する先輩を招き、知的興奮で満ちている状態をデザインして、あとは生徒自身が自分で自律分散協働系の学びをアップデートしていくということになるわけです。

★しかも、それを稼働させるのは、思考=知識×論理×創造/想像という知の循環の質を向上させることです。そして、その循環は対話によって動くわけです。

★対話も、共感的対話、論理的対話、批判的対話、創造的対話、戦略的対話を、取捨選択しながら自在に統合していくわけです。

★もちろん、開成の先生方がそのような方法論を語っているわけではありません。むしろ、先生によって文学的方法だったり科学的方法だったり、そしてそれぞれがまた多元的な方法論になっているでしょう。

★それを一般化する必要はまったくないのですが、外から見ていると、STEAMやアントレプレナーシップ、探究を動かす生徒の内的プロセスが見えてくるような気がするのです。そして、シンプルに普段の授業でもそれは行われているでしょう。それは入学試験問題を見ればわかります。

★生徒による内的な自律分散協働系の学びこそが、多様な経験を通して作られていくということがシンプルで深い教育デザインの在り方であり、シンプルでありながら強烈な知的興奮を生み出す教育デザインであると思うのです。

★それは開成だからできると思われがちですが、たしかに開成の持っている知のリソースは真似ができなくても、それぞれの受験生やそれぞれの学校が行う経験を通して生徒の内面に思考の循環が生まれるようにする点は同じようにできると思われます。

★何を本間は言っているのかと思われるでしょうが、開成を巣立つ生徒と同じ教育経験はできなくても、同じような思考の循環を身に着けることは、すべての学校でできます。膨大な時間と金をかけてよりよい社会をつくるために(この気概は私立学校ならではかもしれません)、社会で世界で活躍している人材を輩出している開成に学び、開成とはまた別の魅力的教育デザインをしていくことは、これからのAI世界にあっては合理的かつ有効なのではないかと。

★もちろん、そんなことはわかりきっているということなのでしょうが。。。

★いずれにしても、近道はグローバル教育なのです。このような考え方なくしてグローバル教育はできないからです。これまでの文脈にグローバル教育はでてきていないのに、唐突な感じがするでしょうが、開始自身グローバル教育には力を入れています。この点に関してはまたいずれ。

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開成に学ぶ 受験生も保護者も教育関係者も(4)落合陽一さんもOB講演会で語る

開成のOB落合陽一さんも同校の「OB講演会」で語っています。落合陽一さんと言えば、あの「デジタルネイチャー(計算機自然)」の概念を提唱して「魔法の世紀」を展開している超有名メディアアーティストで、2025年の大阪・関西万博でシグネチャーパビリオン「null²」のプロデューサーを担当して今も注目を浴びています。

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★落合さんの活躍は、今でいうSTEAMやアントレプレナーシップを凌駕する動きです。落合さんが開成在学の時には、そのようなキーワードは学習指導要領などにはなかったでしょう。

★というわけで、STEAMだとかアントレプレナーシップの本質は、何をなぜやるかということではなく、どんな能力を生徒が内燃するかということでしょう。知識と思考を二項対立にしたままでは、なかなかこのような人材は生まれてこないかもしれません。思考=知識×論理×創造/想像というコンセプトに転換できるかどうか。

★それには、いろいろなプログラムがデザインできます。STEAMもアントレプレナーシップなどのプログラムも、そのうちの代表的なものですが、これがすべてではありません。実際開成は、このようなプログラムを前面に出して教育は行っていません。大事なことは「内燃」のデザインということなのでしょう。

★それが未来への知のビッグバーンになるということかもしれません。同校サイトでは、落合陽一さんの講演の内容が次のように説明されています。

メディアアーティストで筑波大学で教鞭も執る,平成18年卒落合陽一氏による「Computational Diversityへ」。
「エジソンはいつも死の谷で死ぬ」「おじいさんにモテろ」「未来からお金・人・労働力を持ってくる」「たしからしいテコを発見する能力」などなど,印象的なキーワードに溢れた講演は,近代以後の世界を構想し,担っていくであろう生徒たちにとって,とても示唆に富んだものでした。落合氏の著作『魔法の世紀』は,サイン付きで高校図書室に入っておりますので,興味のある生徒はぜひ読んでみてください。 

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開成に学ぶ 受験生も保護者も教育関係者も(3)角野隼斗さんの演奏会も開催

★開成は、先輩を招き、その活躍を在校生は共有共感共鳴します。同校サイトにはこんな記事があります。「角野隼斗さんのピアノ演奏会を開催しました。2022.03.21」という記事で、何と贅沢なと感嘆します。角野隼斗さんをOBということで招くことができる開成はさすがですが、そこを私たちが学ぶということではありません。そんな唯一無二の開成のイベントをそもそも真似することはできないでしょう。ですからその必要はありません。

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★大事なことは、角野さんは、Wikipediaによると「東京大学3年次に工学部計数工学科数理情報工学コースへ進学し、音声情報処理、とりわけ音源分離の研究に従事した。東京大学大学院進学後は情報理工学系研究科創造情報学専攻に進み、機械学習を用いた自動採譜および自動編曲をテーマとした研究を行った」というところです。

★音楽と脳とAIなどの研究もしつつ、世界的なコンクールで数々の賞を受賞しているのです。

★このような多彩な能力、学際的な能力は、前回ご紹介したように「学習の転移」能力を有しているから発揮されます。

★開成のサイトを見ると、角野さんのような多彩な才能を発揮して活躍しているOBが招かれて講演をしています。角野さんはいわば今でいうSTEAMの分野を研究しているということもできます。

★サイエンスとテクノロジーと数学とエンジニアリングとアートを学際的に統合しているのではないでしょうか。

★角野さんが開成学園に入学する数年前の文化祭の準備を拝見したことがあります。オーケストラがガーシュインの「 ラプソディー・イン・ブルー」の練習をしていて、驚愕していたことを鮮明に覚えています。そのとき在校生が、音楽室の方が音響はいいですよと教えてくれたことも。そのときから、開成はいわゆる教養豊かな雰囲気の私立学校だと思っていました。

★そして、サイトによると角野さんが開成で演奏したプログラムの中に同じガーシュインの曲がありました。もしかしたら、このような音楽の文化も連綿と続いているのかもしれません。

★いずれにしても、そのような生徒が開成に集まってきているということでしょう。受験業界の開成観はやや偏っているかもしれませんね。

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