中学入試

2022年5月16日 (月)

Discover 私立一貫教育2022 東京私立中学合同相談会 変化と普遍 本質と革新(03)建学の精神の新しい意味付け 

★Discover2022のガイドブックは、見事なまでにコンセプトブックになっています。その象徴的なが第1章「建学の精神と黄金律」です。東京私立中学184校が集結する合同相談会ですから、各学校の建学の精神をすべて並べるか、一切具体例は挙げないで語るかのどちらかなのですが、平方先生は各学校の建学の精神一覧は掲載しませんでした。それは、保護者が興味のある学校のサイトをスマホで開いてすぐに知ることができるからです。また、一部の学校の建学の精神を例として挙げれば、公平性を欠きます。

Img_2133

★したがって、書くとしたら、建学の精神の本質部分を書く以外にないわけです。建学の精神は大切ですが、その本質を2000字強で記述するものは、今までに語られたことはありません。個々の学校の建学の精神は語られることもあるし、それが抽象的に教育活動に反映しているという言説はよくあることです。

★しかし、東京私立中学の建学の精神の本質を包括的に記述することはなかなか困難です。

★ところが、平方先生は、次の3つのセクションに分けて物語っていきます。

・共通の世界を抱くことの大切さ

・建学の精神は、生徒自身の成長物語のテーマ

・建学の精神と黄金律

★学校選択の際に、受験生のメンタルモデルが学校の雰囲気に合うか合わないかは重要だというアプローチから始まります。そして、1人ひとりの自分の物語を歩んでいくのだけれど、通奏低音にあるテーマはそれぞれの学校の建学の精神なのが私立学校なのだと。だからこそ卒業後も私立学校の同窓力は勢いがあるのだと。

Img_2135

★建学の精神が、1人ひとりの才能を開き、個性的な技術を身に着ける。そして社会貢献へという物語編集の通奏低音であるという生徒個人に向けて語る記述はあまりみたことがないし、それこそ本質的です。

★そして、その本質があるからこそ、ニューヨーク国連本部のギャラリーにディスプレイされているノーマン・ロックウェルのモザイク画に刻まれている黄金律に結びついているのだと。

★建学の精神の1人ひとりの才能に染みわたることが世界性を豊かにしていくことにつながるのだという建学の精神の物語。

★ここまで明快に語ることができるのは、受験市場のライター側からはなかなか語れません。能力の問題ではなく、目の前の生徒に建学の精神が反映していく過程を経て卒業していく姿全体を共経験していないので、確信をもって書けないのです。私立学校が学習指導要領をミニマムとしかとらえないのは、この普遍的で具体的で個別最適な建学の精神があるからです。残念ながら、従来型のコンサルタントやライターは、客観的事実にこだわらざるをえません。したがって、学習指導要領を金科玉条のように持ち出すのです。それは仕方がありません。よりどころは、そこしか見当たらないのですから。

Img_2131

(大正自由教育の本質は今も生き続けているし、これから再び出番がきます。成城学園の青柳先生が熱心に語っています)

★しかし、私学人にとっては、建学の精神が生徒1人ひとりの中で物語を展開していくのは、確信をもって客観的な事実なのです。この確信が映し出されている部分を引用紹介します。

「中高6か年で、建学の精神を軸に自分の物語を描くのですが、実はそれは卒業後も生涯続きます。自分の未来は誰も予測ができません。描くのは自分です。立ちはだかる壁は、未来も現れます。その壁は自分の内側から不安や悩みとして出てくるときもあります。自然の猛威や社会的事件に対する恐れや他者との関係の間に立ちふさがる壁などもあるでしょう。

しかし、大丈夫です。不安や恐れ、苦悩を解決する判断の指標は、<建学の精神>です。自分の物語は、当然自分ひとりの物語ではありません。自然や社会そして他者の精神とのかかわりすべてが詰まっています。生徒が描き続ける、その関係性の中で壁を乗り越えていく行き先は、その都度well-being(幸せ)でなければならないはずです。保護者の方々はそう祈り見守り続けるはずです。

well-beingとは、他者との関係の中で、自分の才能や言動が他者に貢献できていると実感した時訪れます。その一見小さな行為が、気象変動で猛威を振るう自然を穏やかにし、紛争や格差を生み出すような行き過ぎた利益主義を公正な社会活動に回復することになります。

それは、今回のパンデミックショックや国際秩序の揺らぎに見舞われた私たち人類が思い知ったことです。

そして、そのエゴを廃し、磨き上げた自分の才能を他者に貢献するというメンタルモデルが、中高時代に身に着けた<建学の精神>であることは、私学出身者はみな自覚しています。なぜなら、人生の壁に直面し、乗り越えるたびに、母校の<建学の精神>を思い起こすことになるからです。 」

|

Discover 私立一貫教育2022 東京私立中学合同相談会 変化と普遍 本質と革新(02)表現の変化 本質を重視 

★今回の東京私立中学相談会は、言うまでもなく高校だけの私立学校は参加していません。勤務校は高校だけですから、私は行く必要はなかったのですが、今回のイベントの本質的なコンセプトの部分について、委員長である東京私学教育研究所の所長平方邦行先生のお手伝いを少しさせていただいたということもあり、具体的な状況に浸りたいと思い参加しました。

Img_2122

★また同僚の企画戦略室室長伊東竜先生(入試広報部長)ともいっしょに行き、私立中高一貫校と私立高校の違いと共通点を見出し、今後の経営戦略のアイデアをリサーチをするというのももう一つの目的でした。PBLとしては、まずはフィールドワークです。

★さらに、首都圏模試センターの情報誌「shuTOMO」の編集者・表現者の1人北岡優希さんとも合流し、私がお世話になている先生方を紹介するというのも目的でした。北岡さん自身、取材の新たな視点を探索するフィールドワークリサーチだったと思います。

★今、首都圏模試センターは、取締役代表の山下一さんと取締役・教育研究所長北一成さんが、新しい情報誌を発刊しています。かなり斬新な情報誌で、中学入試動向の確固たるデータを基盤に、新しい教育展開のみならず、従来の教育の中にある目に見えない本質を可視化する新しい表現に挑戦しています。

Img_2128 Img_2129

(生徒と共に未来をwell-beingにする教育を行っている強烈な私立男子校の聖学院の様子)

★そのために中学入試情報のチェンジメーカーを集めています。北岡さんはその1人です。本質をどのようにわかりやすく表現するか。今までの文字ベースの表現だけでは、本質部分を書き込んでいくと小難しくなります。それゆえ、短絡的に難しいからと拒絶され、わかりやすく表現するために本質部分を切り離す表現になりがちです。正解のない時代に、正解のあるわかりやすい表現をするという、編集の矛盾をいかに乗り越えるか、首都圏模試センターはそこにチャンレンジしています。

★そして、実に興味深いのは、東京私学教育研究所が、今回のイベントのDiscoverのガイドブックをパンフレットからコンセプトブックに切り替えたということです。

★従来は、広告代理店に依頼して、監修するというやりかたでしたが、今回は文章それ自体から、平方邦行先生を中心に書き下ろし、デザインから細部に至るまで、平方先生がデザイナーに事細かく編集フィードバックしていきました。

★そのため、今回のコンセプトブックは、私立学校の教師、広報部長、校長、文部科学省のワーキンググループの委員という経験を重ねた平方先生の広く高い視座が反映しています。

★中学入試市場で、私学の各学校の情報を校長や広報部長が語ってきたということはありますが、コンセプトブック丸ごと私学人が書くということは画期的なことです。しかも、東京私立中学全体の教育のコンセプトですから、具体的な学校に偏る部分が一切ないのです。ザ・東京私立学校のコンセプトブックになっているのです。

★受験市場のライターが取材しても、外から見えることしか表現できません。しかし、今回は、学校の日常を知らなければ、見ることができない内容が詰まっています。氷山モデルでいえば、海面下のことも踏まえて書かれているところが随所にあります。

★私立学校は、経営と教育の両輪によって成り立っています。どんなに新しい教育をやりたくても、経営の枠組を知らなければ、何もできません。多くのコンサルタントは、意外にも私学の経営の論理を知らないかのように、無視した発言が多く、現実的ではないことが多いのです。生徒募集が成功すれば何でもできると思っているかのようです。学校の経営者が理想的で、コンサルタントが現実的だとすてきな協力関係が生まれるのです。

★しかし、学校経営者が理想と現実の一致を模索しているのに、教育コンサルとの多くは、空虚な夢を押し付けてくるということも多いのです。その点首都圏模試センターの山下さんは、経営者ですから学校経営者とシンクロする洞察力をもち、その洞察力をベースに理想と現実を一致させる企画を立案実施していくのが北さんです。

★私学と共に未来を創る本質を大切にする教育コンサルト人材が首都圏模試センターに集結しています。

★表面的に新しい教育・古い教育と分断するのではなく、新しくても本質が軽んじられていては生徒の未来はありません。古くても本質が大切にされていれば生徒の未来はあります。その見極めの洞察力と判断力が、私立学校の市場では重要になってくると思います。

★最近北岡さんとコラボしているのは、北岡さんは思考コードを活用したPBLのファシリテーターができる方だからです。ああ、それから押し付けるのではなく、寛容です。寛容こそクリエイティブクラスに必要なのですが、才能と技術があっても、寛容の精神がないコンサルタントは多いですね。ともあれ、才能、技術、寛容性が揃てちるところが北岡さんを尊敬するところです。勤務校の伊東先生も思考コードとPBLを自在に使うクリエイティブクラスです。このような若いコンサルタントと教師が出現する時代であるとういことでもありましょう。

|

Discover 私立一貫教育2022 東京私立中学合同相談会 変化と普遍 本質と革新(01)私学の教師の仕事は本質的

★昨日、東京国際フォーラムで、「Discover 私立一貫教育2022 東京私立中学合同相談会」が開催されました。ウィズ・コロナの開催とあって、参加者は申込制でした。時間指定人数指定です。1万人定員のところ4万人を超え、抽選となったということです。2014年以来、大学入試改革、学習指導要領の改訂、パンデミック、ウクライナと続く国際社会秩序の動揺、高インフレによる衝撃にもかかわらず私立中学入試の受験生は増え続けています。不安定な世の中だからこそ、不測の事態に対応できる学習環境を選ぶというコトなのかもしれません。

Img_2132

★開催10時の30分前、相談会の準備をしていた東京の私立中学184校の先生方に、一般財団法人東京私立中学高等学校協会の会長近藤彰朗先生(八雲学園理事長・校長)から挨拶としてのエールがおくられました。

★パンデミックをはじめ、この予測不能な事態の中で、先頭に立って私立中学の先生方は、創意工夫して、生徒の命を守り学びの機会を守り続けている。いかなる事態にあっても屈しないで、未来をつくる生徒の精神と知恵が育つ環境を創意工夫して乗り切っている。このような本質的な仕事をしている先生方は、医療従事者の方々と同じように、エッセンシャルワーカーであると確信していると。

Img_2120

★たしかに、オンライン授業で乗り切らざるを得ない時は、オンラインで、しかしリアルな体験がなければ、多感な時代の人間の成長は豊かにならない。そのため、感染症対策を厳しくしながらも。ぎろぎりのところで創意工夫しながら行事や部活や体験授業を行っているのだと。

★現場で、教師は生徒共にリスクをマネジメントしながら、知識のみならず、感性や知恵も豊かにする総合的な教育を実践しています。いかなる事態にも屈せず、勇気をもって正しい言動を大切に生きる体験をしています。もしかしたら、このような状況のデメリットを自分たちを生徒と一緒に強くする経験値を高めているといっても過言ではないでしょう。

★こうして、私立学校は時代の要請に応じて、創意工夫をするがゆえに、新しい教育を展開していきます。しかし、時代の要請は、時代の不安を何とかせよという要請ですから、その不安に屈することなく勇気をもって世界を巻き込み生きていくという建学の精神が時代を超えて存在し続ける普遍的根っこは変わりません。

★コロナ、ウクライナ、フクシマなどの世界の問題が身近な問題と一致しているVUCA時代の真っ只中で行われたのは歴史的な意味があるのだと思います。

|

2022年5月14日 (土)

八雲学園の教育の総合力は、ROUND SQUAREを抱え込んでいる。(1)

★まずは、次のイギリスの4つの私立高校の紹介動画を見て頂きたい。このような高校の生徒と八雲の生徒が英語でコミュニケーションをとれるのです。いずれの学校もエスタブリッシュだし、日本の私立学校の学費にくらべると、5倍から10倍です。

Aks

★この4校は、今年イギリスで行われる、ROUND SQUARE(RS)の国際会議に参加するRSの加盟校の生徒が立ち寄る学校です。この動画が出来たときは4校でしたが、現在では5校に増えています。RSは、すでに有名になってきていますから詳しい説明はもうよいと思いますが、世界のエスタブリッシュ私立学校200校の国際私立学校連盟です。

★八雲学園は、その加盟校です。したがって、毎年それぞれの加盟校が属している国や都市で開かれる国際会議に、八雲学園の代表生徒も参加します。ここ2年間ほど、コロナ禍であったため対面型のカンファレンスはありませんでしたが、今年は実施する予定です。

★最初の3日間は、オックスフォード大学に集結し、キーノートの講演を聴いたり、各学校やその国の文化などのパフォーマンスを披露します。キーノートのテーマについて、チームに分かれて対話をします。バラザと呼ばれています。問題解決をするためではなく、もっと多様性を尊重して、互いの感じ方や考え方に耳を傾け、自分の想いを伝え合うという共感の時間です。

★4日目からは、5つの学校の内一つを選び、その学校のアドベンチャープログラムやサービス(奉仕)プログラムを体験したりします。このRSの国際会議に参加する生徒の様子をこの動画で確かめることができます。

★このような生徒とディスカッションし、それぞれの学校の文化や教育に触れることができる経験は、RSでなければできないことは説明するまでもないでしょう。どこの学校でもこのようなっ国際会議に参加できるわけではないのですから。

★そして大事なことは、八雲学園の教育とRSの教育理念やPBLなどの教育方法論が一致しなければ、加盟校として認定されないということです。認定には3年も厳しい審査を受けるのです。

★いくらお金を出しても、加盟校でなければ、参加できないのです。このようなRSの教育は、もはや八雲学園の教育とシンクロしているわけです。したがって、加盟校同士の交換留学は、渡航費以外はかりません。一般の海外研修の場合、コーディネーターに頼みますから、渡航費や宿泊費、生活費以外に、コーディネート料やプログラム企画料がかかります。

★もちろん、国際会議に参加するには、相当な英語力と英語でロジカルにかつクリティカルに考える力、それと芸術や文化、歴史に関する教養も必要です。八雲学園が文化体験を重視していることは、認定の条件として重要なマッチングポイントだったということでしょう。

★それにしても、すごいのは、中1のときに帰国生としてはいってきたわけでなく、初めて英語を学ぶという生徒が、英語で困ることなく、RSの国際会議で、上記の動画にでてくるよな生徒とディスカッションができるようになっているということです。

★どうして、それが可能か?それは中1の時からスモールステップの巧まれたプログラムが目白押しで、小さく始めて大きく育てるようにシステム化されているからです。このことについて、昨日菅原先生と対話をしました。ぜひご視聴ください。

 

 

|

2022年5月13日 (金)

八雲学園の教育の総合力をいかに表現するか

本日GWEで、八雲学園の副校長菅原先生と対話をします。八雲学園の教育の総合力が、VUCAの時代に極めて効力を発揮するということがメインテーマになると思います。今まで、八雲学園の教育の総合力を支える4つの柱と同校が加盟しているROUND SQUAREの教育理念は、結びついているけれど、どう結びついているかあまり論じられてきませんでした。

Photo_20220513155601

★実は、上記のように表現することができます。これを見て、氷山モデルを思い浮かべる方もいらっしゃるでしょう。

★その通りです。海面下は外から見ているとなかなか見えないのですね。

★しかし、こうしてみるとちゃんとつながっているのですね。

★もしつながっていないとすると、八雲学園はROUND SQUAREに加盟を認められないのです。ところが、加盟が認定されているわけですから、つながっているわけです。

★中学入試情報を発信するライターの方は、ノイタキュード代表北岡優希さんのように、このようなつながりをわかりやすく表現する挑戦をすると、世界を変えられるはずです。少なくとも日本の教育はようやく善い方向に向かうでしょう。

★よく売り物は何ですかと声高に質問する方もいますが、そもそもそのような点でみているといつまでたっても総合的なつながりが見えてこないのです。

★わかりやすくとは、本質をはぎ取るのではなく、本質をイメージできるように表現することです。それは確かに難しいですね。しかし、みなで協力して、本質を見極めましょう。その姿勢が共有できれば、希望は必ず現れてきます。

|

2022年5月 9日 (月)

聖ドミニコ学園動く

★先月、21世紀型教育機構の定例総会がありましたが、そのとき聖ドミニコ学園の教頭千葉先生が3人の若き俊英である先生方といっしょに参加しました。同学園は、2019年から21世紀型教育機構に加盟し、インターナショナルコースとアカデミックコースを設定。C1英語とPBLとSTEAM教育などの実績を積んできました。

Photo_20220509142301

★すでに大学進学実績は成果がでていますから、受験指導だけでも構わなかったのでしょうがが、同学園が大事にしている対話教育は、それでは満足できなかったわけです。同学園の守護神である聖ドミニコは、13世紀という今と同様のVUCAの時代を先駆けていたといってもよい激動の時代に生きていました。その時代は、資本主義の萌芽と軍事力で帝国をいかに維持するか戦争の絶えない時代です。その中にあって、対話によって平和と愛を説きまくっていたのです。

★軍事力か経済力か知の力(教育力)かだったわけです。この構造は、1世紀にイエスが誕生した時から変わっていません。15世紀マキャベリが理想の軍人のモデルとしたのがチェーザレ・ボルジアでしたが、ローマ教皇の座を巡って彼と競い合ったのがメディチ家です。まさに軍事力か経済力かという構造はずっと続いていたのです。しかも、この軍事力と経済力の負の競い合いに、一石を投じたのがサヴォナローラでした。彼もまた聖ドミニコの意志を継承した修道士です。

★しかも、軍隊の動きや交易は、同時にペストの感染も広げていた暗黒のパンデミック時代です。

★なんだか、今の世界と重なりますね。

★そんなとき、教育力でなんとかしようというのが聖ドミニコ学園なのです。まさにドミニコに倣いてということですね。

★21世紀型教育機構に加盟して4年目になります。まずは基礎固めをして広報で新しい学びのシステムについて広めてきました。この過程で手ごたえを感じてきたわけです。

★そこでさらに新しい学びのバ―ジョンアップをということでしょう。千葉教頭率いる21CEO推進チームが結成されたというのはそのことを示唆しています。そのお披露目を定期総会で行ったのです。

★千葉先生をはじめ3人の先生方の眼が輝き、絶望を生み出すかもしれない今日のVUCAの時代に、希望の教育をもたらそうという意欲を感じました。実際、歴史を振り返ると、絶望が現われるたびに希望を見出す活躍をしたのがドミニコ会士でした。今の時代も同じですね。聖ドミニコ学園の出番がやってきたと思います。

|

2022年5月 8日 (日)

湘南白百合のトランジションモデル 過去問から見えるコト

湘南白百合が今年の過去問を公開しました。帰国生入試の過去問をみて、これはなるほど新しい学びの体験値を積んでいくことが前提になっているなあと感じ入りました。偏差値を伸ばすという意味の学力成長論ではなくて、多角的で奥深い学びの体験値の密度を上げていくという成長論を湘南白百合は明快に採用しているということが了解できます。後者の成長論を私はトランジション教育と最近呼んでいます。極端な対比になりますが、偏差値成長教育とトランジション教育という違いを今後意識することは、学校選びではとても重要です。

Photo_20220508040601

★偏差値成長教育では必ずしも進路先や社会に出たときにVUCA時代に対応できるリーダーシップを発揮する活躍をするとは限らないのは、今までの日本の状態を見ていて明らかです。そこで最近、経営学の組織開発論や人材開発論、社会学、心理学などで、PBLに代表されるクリティカル&クリエイティブシンキング、コラボレーション、コントリビューションなどの資質能力を養う新しい学びの体験値を積むトランジションを経てきた生徒がどうなるか研究が進められてきました。結果は、やはり大活躍というわけですね。

★湘南白百合が、このトランジション教育(この言葉を使ってはいませんが)を最近ダイナミックに展開しているのは、進路先でも活躍できる総合的な人間力を育成する目的があるはずです。

★それを予感させる問題が、帰国生入試で出されています。上記の算数問題をみてください。ペン落としゲームで勝敗を決めるルール創りをする問題です。5回ペンを落として、5つの点が紙につく状態を比較して順位付けをするというわけです。2通り考えて、どちらが公平なのか、主張+理由で記述するというのです。

★確率論的に考えるのか、幾何的に考えるのか、トポロジー的に考えるのか、美学的に考えるのか、正解のない問いかけです。そして、それを算数的にというか数学的に理由付けするわけです。となると客観性と公平性が結びつくのか、主観性をどのように公平に解決するのか、まったくあの大哲学者フッサール問題が現われてきます。こんな素敵な問いを入試段階で考えるわけですから、入学後の授業や教育活動の豊かさがすぐに想像できます。実際ダイナミックでかつ繊細な教育が行われています。それは水尾教頭先生がふだん説明会や広報活動の中で物語る中で十分に了解できます

Photo_20220508042301

★英語も強烈です。2問出題されていて、1問目は課題文付き小論文で、パラグラフライティングの要領が詳しく説明されていて、その条件に沿って書いていくエッセイライティングの問題です。2問目は上記の絵を見て、二人の冒険物語を創作するクリエイティブ・ライティングが出題されています。

★いずれもパラグラフライティングというロジックをベースに、生徒自身のクリエイティビティを発揮する学びの体験を入試段階でするわけです。

★国語も、佐藤淑子さんの『イギリスのいい子日本のいい子』(中公新書)の文章を読んで、まずは「自己主張」についてのイギリスと日本の比較スタディをするところから始まります。そして、海外経験によってコミュニケーションの自己変容がどのように起こったか論述するわけです。

★入試問題の傾向と対策についても同校サイトには掲載されていて、この問題の論述の仕方については、次のように説明されています。

<作文は書き出す前に、まず「全体の構成」を考え、いくつかの「段落」に分けて書くことが大切です。これは読み手に自分の考えをわかりやすく伝えるための工夫の一つです。


「具体的な自分の体験・経験」を交えながら書き、その体験・経験から得られた「考え」や「思い」を伝えましょう。


主語・述語や修飾語・被修飾語など、それぞれの対応関係が正しいかどうかに注意しましょう。また、漢字・語句などは正しく表記しましょう。>

★段落構成やデータや根拠を書くという点で、英語のパラグラフライティングと共通しています。

★このようなトレーニングは、入学してから一般には行っていくのですが、同校の場合は、その素養が入試段階ではやくも引き出されるわけです。

★一般入試のほうもかなりおもしろく、思考力問題は、帰国生入試と共通するコンセプトでデザインされています。

★湘南白百合のトランジション教育は、同校の中学入試問題を学ぶところから始まるのですね。

★このような視点で、今度水尾先生と対話ができればと思います。ホンマノオトの書き込みでは、不足している部分が多すぎますが、水尾先生との対話では、全貌が見えるからです。オンラインとリアルのハイブリッド時代になって、学校の先生の生の声=本物の情報をシェアできる時代になったのは、学校選択の時に大いに役立ちます。そんなところにも、新しい時代の風が吹いているわけです。

★保護者の方の選択眼も豊かになってくるわけです。その眼差しに対応するように学校も教育の質を向上させていくわけです。市場の原理の光の部分ですね。

★とにもかくにも、今後の湘南白百合のトランジション教育の展開は注目していきたいと思います。

|

2022年5月 5日 (木)

5月の連休で思ったこと メモ

★4月の20日以降から、体調を崩し、学校も3日間も休んでしまい、関係者の皆さんには本当にご迷惑をおかけしました。しばらくホンマノオトも書き込めない状態が続きました。15年書き込んできて、こんなに書かなかった日はありませんでした。書く意欲が湧かないなんて!あるのだと自分の事ながら驚きましたが、少し動けるようになって、久しぶりに和洋九段女子で行われた21世紀型教育機構の総会に参加し、仲間と対話でき、かなり刺激を得て、少し勇気が湧いてきました。翌日、GLICCの鈴木さんに励まされながら、同僚とGWEに登壇させていただき、また力を得ました。

Photo_20220505164801

★その前週、成城学園の青柳先生と対話する予定が、そんな状態だったので、参加することができませんでしたが、後から動画を視聴し、またまた勇気を頂きました。健康を取り戻したときに再度青柳先生と対話をお願いしたいと切に思いました。

★もちろん、PCRの結果は陰性でしたから、まずは学校には迷惑はかけなくて済んで、ほっとしているわけですが、どうも昔の疾患が再発している感じでふと不安がよぎるのですが、とにかく少しずつホンマノオトに書き込み始められるようになりました。

★首都圏模試の山下さんや北さんにも元気づけられ、寄稿のための原案も考えられるようになりました。長野の森の中で、ビールを飲みながら、孫と戯れながら、ぼーっと空を眺め、風の音や虫の羽音、木々から色々なものが降ってくる音に耳を澄ましながら、八雲学園のトランジションについて思い巡らしているうちに、ふといろいろ降りてきました。近藤隆平先生、菅原先生と約束したアイデアを表現したいという意欲も湧いてきました。

★DISCOVERに向けて平方先生と私立学校の模索について一杯宿題をもらいましたが、それらは、21世紀型教育機構のメンバーとの対話や勤務校の同僚との対話ともだんだん結びついてきました。

★同時に、受験業界からの目線と学校からの目線の両方を公平に見られるようになっている自分にも気づきました。受験業界も学校も実はかなり変わってきていて、互いに批判している視点や価値観がかなり古くなっているということにも気づきました。

★やはり私立学校は、進路指導が大事だと。しかし、その進路指導は受験指導という狭い範囲に限られないから大事なのだと。一般に外から見た場合、進路先の結果が目立ちます。氷山の一角です。たしかに、かつては一般選抜のために受験指導をメインストリームとして受験業界も学校でさえもが行ってきたことがあるかもしれません。

★しかし、今では、海面下の見えない部分が重要で、受験業界も学校も、ここの学びの質の部分には力を入れているわけです。ただ、受験業界と学校は、得意不得意がそれぞれあって、たとえば、B社のような教育産業の情報と学校が連携することは必要です。

★その連携の際、氷山の一角の見える部分の情報だけを共有するか、海面下の教育の総合力を共有するのかでは、生徒の育ち方に差異がでます。

★そのことは、今や受験業界も学校も十分にわかってきています。

★進路先でそして社会や世界に出たとき活躍できる人的資本として成長するには、やはり教育の総合力が必要です。最近は学校の働き改革で、なんでも合理化して、この教育の総合力を圧縮しようとする動きがあります。

★そして逆説的なのですが、この合理化は、受験指導という狭い範囲に学校を導いてしまう結果になるわけです。そして、このことが大学合格実績は出せども、人的資源は枯渇するというディストピアを導くことにもなりかねないのです。

★授業をPBLにするだけで、総合的な探究の時間を行うだけで、教育の総合力ができるかというと、それはできませんね。

★合理的なことを推奨する人々の共通点は、自分が苦労して成功している人に多いですね。そんな苦労はしなくてよいという経験からくる考え方です。苦労しないで成功する人は、実は基本いないので、結局そういうことを言っている人々は、個性的というより一つの偏った見方ですね。

★むしろあれもこれもしたかったけれど、自分はできずに成功できなかったという人々の考え方も大事にした方がよさそうです。

★その発想こそがクリエイティビティを生み出すし、コラボレートなんてのは、一見するとあまり合理的ではないですから、やはり成功しなかった人の方が必要とするのです。また、ケアリングも成功者にはあまり湧いてこない発想です。

★学習指導要領は、合理的に考えてよといいながら、合理的にできない現場の時間性を物理的にしか再考しないから、いつまでたってもうまくいかないわけです。

★直線的時間と円環的時間の両方で考えていくと、片方から見ると不合理的に見えたり、非合理的に見えたりするものだということが了解できます。

★直線的に考えると収まり切れない仕事。円環的に考えると収納される仕事。前者は、氷山の一角で、後者は海面下にあるものです。

★それでいて、両者はつながっている。この両方をつなげてみると、今までの教育の議論が大きく変わるわけです。

★そのような氷山全体の諸関係を捉えている教育の総合力が進路先、社会、世界にでてC軸クラスとして活躍する人的資本を生み出すことになります。そのような世界環境をいかにしたら創れるのか。そのような世界環境とはいかなるものか。教育の総合力の出番です。

|

2022年5月 2日 (月)

起業家の思考法 教育に逆転換してみるとおもしろい

<起業家の思考法――「別解力」で圧倒的成果を生む問題発見・解決・実践の技法 ダイヤモンド社>はおもしろい。この「別解力」とは思考コードでいえば、C3領域。起業家精神は「思考コード」に置換えることは可能で、教育と起業は脱偏差値的なトランジションを描けるなあと直感したそのとき、ふと著書平尾丈さんのプロフィールをググりました。すると、海城学園→SFCというまさに新しい学びのトランジションを歩んでいるということがわかりました。

41gilb1vx8l

★前回ご紹介したように、C3思考力を有して、高邁な精神という理想と現実化する力の両立をするタイプは、年収が5000万以上は可能なわけです。年収という言う言い方はわかりやすいから使ったまでで、C3思考力を中等教育時代に身に着け、社会に出たら、年間5000万以上のひと・もの・かね・情報のネットワークをマネジメントしているよということです。5000万どころではないと思いますが。。。

★平尾さんが海城を卒業するころというのは、同校が激しく改革を行っている(このときから今もアップデート持続)ころでしたから、体験値を上げるPAプログラムや骨太小論文を編集するチャンスやコミュニケーション能力を高めるプログラムなどが矢継ぎ早に実現していた時代です。

★東大進学という優れたプログラムと別のプログラムも行い、多様な学びが並行進化し始めていました。そして平尾さんはSFCですから、そのころから別解力を発揮していたのでしょう。

★平尾さんの人生のトランジションを垣間見るだけで、中等教育と起業の結びつきは、東大進学プログラムとは別解のプログラムも存在していることが重要だということが了解できます。

★そして、この本を通して、思考コードは、学びのコンパスであると同時に資産・資本のコンパスでもあることが了解できます。

★well-beingと平和が希求されている喫緊の事態が起きている状況下では、理想の教育は平和を象徴する新しい経済社会を現実化する別解力=C3思考が必要だと理解できます。

★平尾さんは、同書のいろいろなところで、「誰もが思いつく実現可能な選択肢では人は無価値になる時代だ」「 誰もやらないような創造的な打ち手を繰り出さなければ、勝負にならなくなる」と語っています。同感です。ですから、教育の現場でも、学習指導要領の言説を振り回しているようでは、起業家は生まれないということです。

|

21世紀型教育機構 新たな次元へ

★先週の木曜日(28日)、和洋九段女子のフューチャールームで2022年度の21世紀型教育機構の第1回総会が開催されました。各校のマネージャーとSGT(スーパーグローバルティーチャー)、及び首都圏模試センター、アクレディテーションチームなど協力団体が一堂に会しました。同機構教育情報センターの主席研究員の児浦先生や田中歩先生、主任研究員の新井先生、田代先生、染谷先生も参加し、熱くSGTの未来構想を語り合いました。

Img_2057

★そして、理事の大橋清貫先生からは、本格的にSGM(スーパーグローバルマネージメント)部会の座長として、理事長・校長・マネージャーの資質能力向上のためのビジョンが示されました。

★SGTーSGMという21世紀の教育と経営の両輪をいよいよ走らせる段とななったわけです。

★VUCAの時代と言われて久しいですが、今まさにVUCAの真っ只中にいます。もともとVUCAは軍事用語です。それが経済の世界で語られるようになったのですが、現状はまさに軍事用語としてのVUCAの展開を毎日目にしています。私たちも対岸の火事では済まされません。教育で何ができるのかを問い返す総会の雰囲気が広がりました。

Img_2067

★ですから、最後に八雲学園の副校長菅原先生が一本締めをする際に、この現状化において、グローバルリーダーを輩出することの重要性を説きました。各校well-beingを求めています。しかし、それは新しい平和を生み出すグローバルリーダーを育成してこそ達成できるでしょう。

★グローバルリーダーとはひと・もの・かね・情報を公平にかつ自由市場を持続可能にしながら活用し、民主主義的社会や世界をマネージメントしていく人的資本です。

★したがって、その高邁な精神という理想と活動資金という現実的な力を得る必要があります。理想と現実を一致させる資質能力ですね。グローバリリーダーになれば年収5000万以上は得ることになるでしょう。半分は家族という未来の世界を創る無形資産を持続可能にするために、そしてもう半分は未来を創る資本として自身の活動のために活用されるでしょう。

★教育の世界は、お金に対する正しい認識を教育することを少し怠ってきましたね。イマニュエル・カントでさえ、平和を創るには、金が市場で循環している環境を創ることだと語っていました。教育において道徳はカントが主役ですが、このカント経済循環のお話はほとんどマスクをかけられたままでした。いやいや金融教育をやっているではないかと。いやお金の光と影の両方のシステムをきちんとオープンにしていないのは誰も否定しないでしょう。

★しかも、ライフシフトの時代です。クリエイティブ資本と無形資産の新しいBS(バランスシート)をイメージする必要があるのです。この領域は思考コードでいえばC3の領域です。グローバルリーダーは、この領域を重視します。

★独断と偏見ですが、21世紀型教育機構は、資本と資産の関係を次の図のように描こうとしているように感じました。

Photo_20220502074901

★こうして分類すると、思考コードのC3は年収5000万以上、B3は2000万以上、B2×C2は3000万以上、A3は1000万以上ということになるでしょう。根拠は、それぞれのカテゴリーで活躍する人的資本を想起してということです。具体的には、あまりに衝撃的なので、ここでは述べられませんが。

★起業家精神豊かな生徒はC3ですから、思い起こせば、そういうことになります。このC3人的資本を生み出す教師がSGT[だし、そのような環境を創るのがSGMです。では、SGTの年収は変わるのか?はい、ライフシフトの時代を引き寄せることができると、大転換が起こります。教師になりたいという状況が生まれるでしょう。ただし、SGTの資質能力が必要になります。

★いずれにしても、21世紀型教育機構の加盟校は、すべて海外の大学への道をたくさんの生徒に開いています。これはC3の道でもあるというわけです。中でも三田国際は、140名を超える生徒が海外大学へ進むパスポートをゲットしたということです。21世紀型教育機構は、この教育をはじめた1期生が2021年前後に海外大学進学率を飛躍させると予想していましたが、それは実現しました。

★同機構のSGM及びSGTは、理想と現実を一致させる資質能力を有していることが証明されたわけです。今後は、この高邁な精神と現実化力の両方が機構内で共有されるシステムができたわけです。新たなケミストリーに期待がかかります。

|

より以前の記事一覧