中学入試

2020年1月21日 (火)

2020年中学入試でも洗足学園人気!

★東京・神奈川エリアの中学入試も近づいてきたので、ホンマノオト21の1月のアクセス(2020年1月20日現在)ランキングを調べてみました。ランキング10は、次の通りです。

1:自由と市場と組織と国家(20)桐朋女子の中学入試問題 思考力の根本から出...
2:洗足学園 今年も人気 その理由の向こうに見える時代のウネリ。
3:2020年首都圏中学入試の学校選択(04)東洋大京北の場合
4:シンポジウム「探究的学びと高大接続」の感想
5:自由と市場と組織と国家(14)創造主義志向の意志が生まれる:工学院の田中...
6:自由と市場と組織と国家(08)2020年は、教育において「主体」の新発想...
7:自由と市場と組織と国家(12)対話が根付くかえつ有明
8:自由と市場と組織と国家(13)創造主義志向の意志が生まれる:工学院の田中...
9:自由と市場と組織と国家(22)聖学院と工学院の思考力入試の新市場創出の革...
10:八雲学園 俊敏力!中3のハワイ3ヵ月留学スタート。

★昨年12月以降に書いた記事がほとんどであるのは、ブログの性格上当然ですが、その中に2018年9月21日の洗足学園の記事が2位に入っています。これは、検索エンジンで拾われているからで、ホンマノオト21をダイレクトにアクセスしているわけではありません。

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★ということは、洗足学園への注目がネット内で湧いているということでしょう。おそらく今年も人気が続いているということですね。そう思ったので、首都圏模試センターの出願倍率速報にアクセスしてみました。すると、締め切りになっている帰国生入試は前年対比100%超えているし、現在出願中の入試でも1回目は2科4科合計で、すでに100%を超えています。

★はやくも勢いを感じる出足です。人気の理由は、上記のランキング2位の記事をご覧いただきたいのですが、要は理念にしたがって教育を実践していながらも、その理念への熱いこだわりを感じさせないカジュアルなというかスマートなというかおしゃれな雰囲気がするのが市場にウケるのだと思います。

★鴎友学園女子も洗足学園同様人気校ですが、この理念への熱いこだわりは洗足学園とは対照的です。安定的に人気ですが、カジュアルな感じはしない分、洗足のような勢いは感じません。そんな勢いは求めていないというのが鴎友学園女子の構えでしょうし、それはそれでよいと思います。

★武蔵野大学の人気も、この理念へのこだわりの構えがユーモアを交えて共感しやすい表現をしていますね。三田国際もこだわっているのはものすごく伝わってくるのですが、プレゼンがシリコンバレー流儀の魅力が演出されています。麻布の説明会もウィットに富んでいて笑いがでるほどです。

★時代の希望になる教育の実践とその表現のカジュアルさは大事ですが、この表現はなかなか難しいのです。わかりやすさに陥り、中学受験生を子ども扱いしている表現になっていたり、幼稚な感じを表してしまっていたり失敗しているケースもあります。

★その学校のコミュニケーション能力の品質が説明会では露になってしまうのですね。

★もちろん、洗足学園は、破格の留学システム、帰国生教育、ハーバードやイエールなどの海外大学をはじめ国内大学の実績も積み上げてきました。それにくわえて、コミュニケーション能力のクオリティが高いということなのでしょう。

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2020年1月19日 (日)

東洋大学京北 伝統と革新の二兎を追う教育に人気

★毎月、東洋大学京北はトピックスというニュースレターを発行しています。年賀版2020年1月1日号では、哲学ゼミと中学のカナダ修学旅行のニュースが掲載されていました。

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★哲学ゼミは、新学習指導要領の柱の一つである「思考力」を伸ばす学びの場です。ただし、同校の場合は東洋哲学がベースにありますから、従来の欧米の思考力育成プログラムとは少しニュアンスが違います。自然と科学の二元論的発想はなく、そこはつながっています。最近の欧米の新しい哲学でも、そこに注目し始めていますから、ある意味古くて新しいのかもしれませんね。

★今年のそして最後のセンター入試の現代国語の素材文では河野哲也教授の「境界の現象学」から出題されましたが、河野哲也教授も二元論を批判し、自然と環境と心の全体的な関係を重視する思考の重要性を説いています。

★中学の修学旅行がカナダというのも、英語学習だけではなく、多様性とグローバル市民性のある場所を選んでいるところに大切な意味があります。

★思考力とグローバル教育に力を入れながらも、大学進学準備にもつながるような革新的な教育を行っています。伝統と革新の二兎を追う東洋大学京北の人気が安定的になってきたのは、中学受験業界における主流派であるバランスを志向する多くの受験生・保護者のニーズに適っているからでしょう。

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2020年1月18日 (土)

八雲学園 俊敏力!中3のハワイ3ヵ月留学スタート。

★12月15日のカンファレンスで、八雲学園の近藤隆平先生(英語科主任、海外・英語特別委員長)は、ROUND SQUAREの次にSTEAM留学を計画中だと発表していました。そのアイデアは、ハワイのミッド・パシフィックインスティチュートを訪問したときにインスパイア―したということでした。

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(写真は、ミッド・パシフィックのサイトから)

★同校は、日本では見たことのない先進的21世紀型教育を行っており、IBのDPも取り入れたりしてもいますが、なんといってもアートとイノベーションに力を入れているということです。そして、徹底的に生徒1人ひとりの才能を伸ばすPBL授業が展開しています。

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(写真提供は、近藤隆平先生)

★近藤隆平先生は、「この学校はこれから私たちも学ぶべきG-STEAMのロールモデルだが、どうやって学ぶかは、生徒の留学を通してです。帰国後、その生徒が何を母校に持ち帰るかなんです」と語っていたばかりです。八雲学園は、生徒の要望によって常に教育をアップデートしていくのです。

★いずれにしても、おそらくその時に、すでにミッド・パシフィックとの交流の話がまとまっていたのでしょう。はっきり決まるまで、予定ということにしていたのだと思います。

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(校舎が、イノベーションスペース。写真提供は近藤隆平先生)

★だから、1月に入って、中3生の3ヶ月留学が始まったというわけでしょう。八雲学園のグローバル教育の戦略は、ROUND SQUAREという世界の私立学校のコミュニティ(世界50カ国、200校)との多様な交換留学を中心に、それ以外の先鋭的な21世紀型教育を行っている海外の学校との提携を広げていくことです。

★八雲学園のグローバル教育は他の追随を許さない王道を着々と歩んでいます。

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2020年1月17日 (金)

2020年神奈川・千葉・茨城・埼玉の帰国生募集の状況

★東京エリアの帰国生募集は前回までにご紹介しました。ここでは、神奈川・千葉・茨城・埼玉の帰国生募集状況をお知らせします。

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★東京に比べ、帰国生募集を行っているところは少ないですが、聖光学院、洗足学園、法政第二、桐光、市川、渋谷教育幕張、東邦大東邦の勢いは圧巻です。

★森村、昭和学院、聖ヨゼフなどが帰国生が次に評価する学校かもしれません。

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聖学院も帰国生が評価する男子校

★聖学院の広報部長児浦先生から連絡がありました。聖学院の帰国生の応募は13名だったそうです。男子校で10名超えることの重要性については、このあと、神奈川や千葉、茨城、埼玉の様子を公表しますが、そのときわかります。何せ、中学受験生全体に対し帰国生は20分の1くらいのシェアです。貴重な人材資源です。

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★聖学院の他の入試の応募の出足は好調で、ものづくり思考力入試は、昨年を超える勢いだそうです。

★創造的思考力の持ち主や帰国生などの評価が高いのは、多様性と協働性と寛容性の心地よい雰囲気をベースに、高い知的推進力ある社会的実効性が育つ≪新しい学びの経験≫ができるからでしょう。

★ある意味、男子校の中で異色異彩の学校です。4月から飛躍する秘策があるそうです。いったいどんなものでしょう。楽しみにしています。

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2019年12月 8日 (日)

富士見丘 世界に目を向け世界から日本を見つめる女性が羽ばたく。

★昨日、富士見丘は学校説明会とチャレンジ入試を開催。学校の人気というのは、ニューロマーケティング的には、ブランディングが前面にでていて条件反射的に選ばれるパブロフ型の人気と大学合格実績などの目標達成度への期待値が高いというゴール達成型人気とその学校の質を学んで本質を見極める学習習得型人気の3つがあるといわれていますが、富士見丘は学習習得型人気の学校です。

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★ですから、急激に生徒募集が増えるということはありません。しかし、昨日もそうでしたが、受験生と保護者が学校に足を運び、富士見丘の教育の質を自ら学びその良さに共感して入試を決めるという家庭が着実に増えています。今年も昨年よりも多くのチャレンジ入試に挑戦する生徒が参加していました。

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★富士見丘はSGH認定校であるし、21世紀型教育機構の牽引校でもあります。その21世紀型教育はアクレディテーション委員会の評価によると、目標まで高い達成度を年々上昇させています。

★SGH認定校あるいは21世紀型教育機構加盟校ということは、簡単に言えば、教育のポジショニングを世界に設定しているということです。特に女子校ですから、国内のまだまだはびこるジェンダーギャップを解消するには、そのギャップを生み出してきた国民国家的な閉鎖エリアに位置していては、国内の学歴社会の中で椅子取りゲームをする競争社会の中で翻弄されます。

★そこで、イギリスやオーストラリア、米国、ドバイなどの高校や大学と姉妹提携に奔走し、SGHのプログラムとして、シンガポール、台湾、マレーシアにフィールドワークしながら、世界問題を世界の高校生や現地の人と共有し、いっしょに問題解決を考案していく探究も行っています。

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★富士見丘理事長・校長の吉田晋先生ご自身も、海外留学の経験もあり、英語も堪能ですから、その教育ネットワークは、国内だけではなく世界に広がっています。つまり、教育のポジショニングを世界に設定しているのです。その日本においては革新的で、世界のエスタブリッシュスクールとしては当たり前の境地を、国内の多くの受験関係者は見ることができません。そこを足場にしている保護者も見ることができません。

★それゆえ、国民国家の学歴社会の中で、満足している受験関係者やそこを足場にしている保護者にとっては、御三家という日本の名門校が世界の名門校と教育の質でかなりのギャップがあることは見えないのです。

★しかし、吉田先生は、そんなマーケット以外に、新しい保護者の存在が増えている手ごたえを感じています。海外にいる帰国生の中で、日本の塾にいかず、現地校でのびやかに学んでいる帰国生は、国内で偏差値で競争している日本の教育に疑問をもっています。実際に吉田校長をはじめ、同校の先生方が海外に飛び、そのような保護者と対話をして、ファン層を掘り起こしています。

★実際、中3段階で英検準2級以上を75%が取得し、50%は2級以上を取得しています。帰国生は準1級、1級を取得してしまいますから、中学から本格的に英語を学んでいる生徒が、準2級、2級を中3段階で取得していくのです。

★吉田先生は、帰国生の現地校でのびやかに学んできた環境をそのまま富士見丘で設定しています。ハイレベルな4技能英語の環境、たとえば、模擬国連部の活躍はその環境の質の良さを象徴しています。一方通行型の講義形式の授業ではなく、PBLという探究型授業も設定し、1人1台のタブレット型ラップトップのICT環境も設定しています。

★海外の現地のエスタブリッシュスクールでは、このような環境は当たり前なのです。日本の1条校のIBスクールでも一握りのコースの生徒しかこのような環境を設定していませんが、富士見丘はすべての生徒がこの環境を共有しているのです。

★英語もICTも、小6まで教育でほとんど享受してこなかった中1も、富士見丘に入学してから4技能英語×探究型授業×ICTという学びの環境を楽しんでいるというプレゼンテーションがありました。

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★プレゼンテーションは、英語だけではなくあらゆる教科や探究科で鍛えられていますから、入学して9カ月が経とうとしている中1生にとってはお手のものという感じでした。もちろん、PPTの作成も自分たちで編集し、デザインしています。

★アクレディテーションの目標達成度というスコアは、一般に公表されていませんから、目標達成型の人気はまだ現れていません。そこはやはり学習習得型人気に頼るところですが、同校サイトには、12月2日現在での推薦とAO入試による合格者数が公開されています。たとえば、大学合格実績実績を重視するかたにとって気になる早慶上理GMARCHグループの大学の実績は次の通りだそうです。

早稲田大学     4名
上智大学      6名
国際基督教大学   1名
青山学院大学    4名
中央大学      3名
法政大学      2名
学習院大学     1名

★卒業生数94名ですから、22%がこのようなグループの大学にこの時期に入っているのです。上智大学6名、ICU1名は、当然4技能英語レべルが高いことは必須条件です。

★そして、一体自分は何を研究し、それがどう社会に貢献できるのか、探究科で育んだ力がモノを言います。ICTは、世界で議論する時、ICTを活用するのは当たり前ですから、ある意味英語とICT、探究は世界の共通の学びの構成要素でしょう。

★どうやら、学習習得型人気に目標達成型人気も加わり、応募者数が毎年増えていく可能性が見えてきました。吉田先生をはじめ、同校の教師も生徒も世の中がどんなに反動的な教育に揺り戻されようとも、自分たちの教育へ自信をもち邁進する気概を感じた説明会でした。

そして、まだ教育の質が海外名門校を超えてはいませんから、これから次のステージとしてさらなる教育の環境を仕掛けていくでしょう。その新機軸とは?12月15日、21世紀型教育カンファレンスで吉田晋理事長・校長が語ります。

 

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2019年12月 3日 (火)

12月1日私立中コラボフェスタ 新タイプ入試=ソフトパワー化へシフト<了>

★今回の私立中コラボフェスタは実に深い局面にも到達しました。それは「思考力型入試」のパネルディスカッションでした。聖学院の思考力入試について、21教育企画部長・国際部長・広報部長の児浦良裕先生が登壇しました。清泉女学院のアカデミックポテンシャル(AP)入試については、中学入試・広報部長の 瀧康秀先生が登壇しました。

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★瀧先生は、パネルディスカッションぎりぎりまで、アカデミックポテンシャル入試の体験授業を行っていました。

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★瀧先生はAP入試で、これからの社会でミッションをしっかり抱きながら社会貢献していけるポテンシャルを持っている自らに気づくためにも挑戦して欲しいテストですと。合格するためとか、大学受験に役に立つとか、そういうことは第一義的な目的ではありません。自らの中に社会貢献できる潜在的才能を生み出すことが最も重要な目的なのですと、中学入試は合否のための競争ではなく、自分の潜在的な才能の豊かさを自分のために社会のために試す機会なのだと語りました。

★その潜在的な才能を見出すために、多様な資料やデータ、文献から、たとえば「共生」という社会にとって最重要かつ根源的な問題について、多角的に考察し、自分がどうかかわっていけるのか使命感を深めていけるAP入試を準備しているわけです。

AP入試のサンプル問題

★瀧先生の語りをうけて、聖学院の児浦先生も、入試問題のネイミングは違いますが、コンピテンシーとして重要な能力を自分自身の中にあることを探っていく思考をしていく問題としては全く共通ですと。おそらく瀧先生のおっしゃるポテンシャルと私共が大切にしている賜物=タラント=タレント=才能は同じ意味なのではないでしょうか。瀧先生は二つ返事でそうですと。

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(児浦先生は、聖学院を超えて他校の≪Z世代≫の生徒のジェネレータでもある)

★考えてみれば、聖学院と清泉女学院は、プロテスタントとカトリックの違いこそあれ、クリスチャンスクールとしては同じ精神を共有しているのです。ですから、この思考力入試やAP入試が接続する学校の教育活動もかなり似ています。東南アジアでのボランティアや起業による社会貢献活動を行っていく国内外の多様で豊かな教育活動が行われているのもそうです。

★清泉では論文作成という思考と表現と使命を貫徹する学びも行っています。聖学院も自由研究という思考と表現と新しい発見を求める学びを行っています。

★そして、何より、合格するための勉強をするのではなく、大学に入学してから、社会に進んでから、自らの使命を全うする探究活動を深め、社会貢献ができる自分を自ら育てていく才能やポテンシャルを大切にしていくという点で、完全に一致を見ました。もちろん、そうはいっても大学合格実績の成果はでていますし、必要とあれば海外大学への道も開かれています。

★ただし、聖学院は男子校で清泉は女子校です。書くという行為に対しては、男子は女子に比べ抵抗があるというのは、児浦先生も瀧先生も感じているようでした。

★ですから、児浦先生は聖学院の思考力入試では、いきなり200字で書きなさいということはなく、グラフや図、資料、文献から気づいたことをいったんレゴを介して思考するというプロセスが挿入されるというのです。

★なぜレゴ®シリアスプレイ®なのか、今までは<新しい学びの経験>として当然だと思っていましたが、入試のあり方や目的が共通しているにもかかわらず、男女の特性の違いで、手法が違うというのは目からウロコでした。多様性とは口で言うは易いですが、大事なことは多様性とは違いがあると同時に壁にもなるということです。共生とは、その壁をどのように払しょくできるのかということです。

★レゴ®シリアスプレイ®も共生のための多様な壁を払拭する機能も持っているのだと。実に深いですね。

★2科4科入試で、そこまで意識して入試問題が作成されてきたでしょうか。私立中学校の新タイプ入試の意味は、大学入試改革と直結しますが、大学入試改革が大切にしなければならない本来的なものへ開かれゆく導きの光でもあったのです。

★考えてみれば、私立中学が一堂に会し、入試問題について互いに手の内を公開しシェアするコラボフェスタのようなイベントは、今までなかったわけです。なんて画期的な企画なのでしょう。首都圏模試センターの未来を映し出すパースペクティブは確かなものです。そう改めて感じ入りました。

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12月1日私立中コラボフェスタ 新タイプ入試=ソフトパワー化へシフト③

★今回の私立中コラボフェスタは、実に新しい局面があらわれました。社会のパラダイムの転換がはっきり示されたのです。それは、「自己アピール・得意科目型入試」(北鎌倉女子 日本語4技能入試、聖セシリア グループワーク型読解表現入試、関東学院六浦 自己アピール型入試、共立第二 サイエンス入試、聖和学院 プレゼンテーション入試)のパネルディスカッションと「個性派オリジナル入試」(湘南学園 湘南学園ESD入試、聖園女学院 総合力、相模女子大中学部 プログラミング入試、聖和学院 プログラミング入試、八王子実践 プログラミング入試)のパネルディスカッションで起こりました。

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(石田教育情報研究所の代表石田温則氏による丁寧なパネルディスカッション「個性派オリジナル入試」のシーン)

★いったい何が起きたのか?その1つは、男性の教師の情熱的プレゼンテーションに対し、その全部を包み込む圧倒的な寛容性の要求をパネリストにさりげなくムチャブリするしゅとcommu学校サポーター市川理香氏のモデレーターぶりでした。

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★自己アピール入試にしても、プレゼンテーション入試にしても、ワークショップ型入試にしても、たんなる独りよがりな自己主張ではなく、周りを巻き込んで自身の生み出す世界に連れて行く表現力を求めているということが明らかになった段階で、突然、市川氏は、パネリストに、もし自分だったら他校のどの新タイプ入試を受験したいと思いますか?と問うたのです。

★一瞬パネリストも会場の保護者も、何を聞いているのだろうと時間が凍てつきましたが、パネリストが次々と自分の興味や関心からこの入試を選びますと回答し始めたため、すぐに氷解し、急に場は温かくなりました。互いの学校の入試をリスペクとしている姿を見ることができたからです。

★市川氏は、新タイプ入試を行う先生方は、自分の学校だけよければよいではなく、みんなが<One Team>でしょうと競争型男性中心社会目線よりも、協働型人類愛社会目線の重要性を確認したのでしょう。新タイプ入試の本意はSDGsやその中でもジェンダー問題を解決する使命を持っているのだという宣言だったのです。

★その宣言があったので、最後の「個性派オリジナル入試」は、すべてが、協働型社会や循環型社会、AI共生型社会を目標とする教育のエッセンスが反映しているということが了解できました。湘南学園のESD入試はまさにSDGsがベースにあります。聖園女学院の総合力は、教科横断型であり、それはあらゆる領域どうしの壁を越境する視点を大切にしています。相模女子大中学部、聖和学院、八王子実践のプログラミング入試は、AI共生社会を大切にしています。

★いずれも、競争型男性中心社会目線を払拭しています。ああ、本当に塾歴社会から塾歴解放区は鮮明になってきたと鳥肌でした。

★ところで、3つの学校のプログラミング入試は、それぞれ特徴があったのも新しい発見でした。

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★相模女子大の場合は、サイエンス・マスが前面に出たプログラミング入試でした。机の上を落ちないように、右左前進などのアルゴリズムを丁寧に組み込んでマインドストームのロボットを動かしていました。

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★八王子実践は、テクノロジーが前面に出たプログラミング入試体験授業を行っていました。動きも360度回転ダンスや声もアウトプットできるように本格的プログラミングでした。

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★聖和学院のプログラミング入試の体験授業は、残念ながら見逃しましたが、パネルディスカッションで、聖和学院の栢本さゆり先生のプレゼンテーションのインパクトが、聖和学院のプログラミング入試の特徴を浮き彫りにしました。

★それはプログラミング入試であるにもかかわらず、アートとしての「愛」があふれた入試だということです。ここでいう愛は、友情や恋愛、憐憫の情の話ではありません。「愛」は、聖和学院の理念の一つですから、聖書に由来します。聖書でいう「愛」はアガペーと言われ、「人類愛」のことを指します。

★ヨハネの福音は、はじめにロゴスありき、はじめに光があったから始まりますが、栢本先生のプレゼンは、明晰な言語の力と会場中を包みこむ圧倒的な「愛」の光を放ちました。

★市川氏といい、栢本先生といい、私たち男性の情熱を丸ごと包み込む大きなマインド。それは2科4科時代の中学入試が競争型男性中心社会を反映していたのに対し、新タイプ入試が協働型人類愛社会を反映している入試であるというポジショニングを明快に示したのです。中学入試の大きな変わり目の本意は、この社会のパラダイム転換を示唆していたのです。感動!しました。

 

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2019年12月 2日 (月)

12月1日私立中コラボフェスタ 新タイプ入試=ソフトパワー化へシフト②

★パネルディスカッションは、多様な新タイプ入試のうち英語入試から始まりました。関東学院六浦の校長黒畑先生、共立第二の入試広報部主任 戸口先生、工学院大学附属の広報部長水川先生とのディスカッションは、短い時間なのに、世界の情勢の中の日本の危うさを共有し、今の≪Z世代≫の生徒が、2040年に日本を立て直し、世界のリーダーシップを発揮できる環境を創るミッションと実現力と創造力を身に着けることができるのはいかにして可能かという熱く深い教育論が展開されたのです。

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★関東学院六浦の校長黒畑先生は、自分の学校の話というより、生徒の未来に待ち構えている大きな艱難辛苦を憂いつつ、それを彼ら自身が乗り越えるために、英語力がいかに必要かを解く。それは実に戸口先生も水川先生も同じでした。英語力も、受験のための英語力ではなく、社会貢献できる視角からみな語るのです。

★それぞれの学校の校長とか、入試広報部主任とか、広報部長という学内のポジションではなく、新タイプ入試を行い新しい地平を開こうとする私立学校全体の校長であり、入試広報部主任であり、広報部長であるという使命を背負って語るその姿を頼もしく思いました。

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★私は、パネルディスカッションの部の担当でしたが、新入試体験授業の方は時々合間をみて、訪れてみました。午後からの英語体験授業のために工学院の加藤先生と水川先生が準備をしていました。加藤先生は英語科教諭で、米国流儀の学年運営をして、チームビルディングやコミュニティづくりが得意だという評判の先生の1人です。一方で探究論文という高校2年時1年かけて、すべての生徒がメンターの先生と深掘りして2万字の論文を仕上げる探究活動を仕掛けているリーダーでもあります。

★工学院の帰国生入試では、準1級や1級の生徒が入ってきます。しかし、英語入試では、英語が好きだとか興味を持っている生徒もチャレンジしてきます。今回も、英語が得意でなくても大丈夫ですかと生徒がおそるおそる教室に入ってきましたが、加藤先生は、大丈夫ですよと、レゴを使いながら英語をまず楽しむところから始めましょうと。すでに、このような新しい学びを実践して工学院は6年経ちました。英語入試で入ってきた生徒は、必ずしも英検など高い級で入学するわけではありませんが、6年経つとちゃんと2級や準1級レベルに成長しているというのは実証されています。

★工学院は、すべての生徒は1人ひとりの才能を持っているから、それを生かせる学びを創意工夫していこうという学校です。そのために、先生方は、世界を回り、広い視野で学びを研究してきます。加藤先生も時々外国で研究しているそうです。すごいですね。

★新タイプ入試の英語入試が、大学入学共通テストの民間検定試験がなくなろうが延期されようが、そんなこととは関係なく、生徒1人ひとりが自分のやりたいことを社会でやりぬき、結果的に大いに社会貢献するキャリアデザインの入口だったのです。

★続く適性検査型入試のパネルディスカッションも実に興味深かったのです。たとえば、相模女子大中学部の副校長の中間先生は、1年目は公立中高一貫校の適性検査に近いものを作ろうと努力したが、そのために公立の適性検査を分析し尽くしていくと、私立学校とは違い建学の精神や理念に基づいて作成されているわけではなく、あくまでも学習指導要領という枠内であることが優先しているということが改めてわかった。今では、相模女子の精神に基づいて独自の適性検査型入試を創るようになったのだと。

★適性検査型入試も、今や私立学校型に転換していることがディスカッションされていたのでから、さすが私立学校と感動しました。

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★鶴見大学附属の適性検査型入試の体験授業を瞬間的に覗きましたが、アクティブラーニングの手法で行われていました。鶴見区とその沿線の都市について多角的に考察する問題をみんなで考えていたようです。おもしろかったのは、記述の問題を自分のみならずチームでリフレクションしていたところです。簡易ルーブリックが創られていて、適性検査型入試を介して、新しい学びの経験を生徒はしていました。

★入試問題は学校の顔です。かつて、新タイプ入試は、生徒獲得の手段であり、入学後の教育とつながるかどうかは疑問であると揶揄されたときもありましたが、今や骨太の新しい学びの経験がカリキュラムポリシーの中で実現されていて、それが新タイプ入試に如実に反映されているという実感を抱くことができました。

 

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12月1日私立中コラボフェスタ 新タイプ入試=ソフトパワー化へシフト①

★12月1日、相模女子大学中学部・高等部で、「私立中コラボフェスタ」(首都圏模試センター主催)が開催されました。昨年に続き2回目です。パネルディスカッションの先生方も同じ方がほとんどでしたが、驚いたことに、「新タイプ入試」の意味が、実に深いものになっていたのです。

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★今までは、2科4科では生徒がなかなか集まらないから、新しいタイプの入試で生徒を集めるという生徒獲得手法やマーケティング的側面も否めませんでした。しかし、今年は、2科4科の意味と同等、いやそれ以上の意味を先生方は短い時間にきちんと圧縮して語ったのです。

★もはや、生徒の才能を見出す教育や学びの準備ができて、そこに接続する新しいテストとしての意味がしっかり生み出されていたのです。2科4科は、20世紀戦後社会の人材を育成する重要な教育に接続するテストです。しかし、その日本における20世紀型教育の本意は、ハードパワーを生み出す教育だったし、それをコントロールするエリート養成のための教育でした。

★一方、この新タイプ入試は、21世紀においてソフトパワーが重視されるために、そこにしっかり接続する才能を見出すテストです。その意味が、今回のフェスタで明快に語られるようになったのです。

★首都圏模試センターの取締役・教育研究所所長の北一成氏は、今回民間検定試験の件で大学入試改革そのものがなくなるような話題がメディアではちろほらみえますが、それはない。改革が行われることは歴史的必然です。そうでなければ、今目の前の小学生の未来はどうなるのですかと強く希望を語りました。

★このビジョンに私立学校の先生方はシンクロするかのように、パネルディスカッションでシャープにハートフルに語り、新入試体験では、生徒と新しい学びの体験をして楽しみました。

★今後少し詳しくみていきましょう。

★ところで、次の本ブログの記事のアクセス数が、ここのところ毎月ベスト5に入っています。「洗足学園 今年も人気 その理由の向こうに見える時代のウネリ。018年9月21日 (金)」がそれです。その中にこんな箇所があります。

<今後、中学入試市場は、「高偏差値群」と「偏差値無関係群」に分かれる。端的に塾歴社会と塾歴解放区という流れになっているわけだ。それを象徴するのが、思考力型入試と英語入試の増加である。

「高偏差値群」の受験生数は減らないが、増えもしない。4科目入試中心だから、知識と論理ベースの才能児が入っていく。「偏差値無関係群」は、知識と論理ベースの才能児ももちろん大切にするが、創造的才能者も迎え入れる。レゴやプログラミングベースの塾、英語の塾という新しい塾が中学入試に参入してくる。よって、そこの部分は増える。>

★おそらく、この対比は、今後思考コードでいう「A軸・B軸高偏差値群」と「C軸高偏差値群」という感じになるでしょう。そういう予感が、今回のフェスタで降りてきました。

 

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