創造的才能

2020年10月25日 (日)

ノートルダム女学院(12)グローバル英語コースは関西学院大学と高大連携プロジェクトを行っています。①

★昨日、今日と2日間、ノートルダム女学院の高2のグローバル英語コースの在校生は高大連携プロジェクトを実施しています。連携大学は、関西学院大学で、国際学部国際学科の關谷武司教授とゼミ生が訪れています。

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★栗本校長と關谷教授の出会いから始まったプロジェクトで、もう4年目だそうです。例年であれば、在校生が関西学院大学まで訪れ、宿泊探究活動になるところですが、今回のパンデミックの件もあり、今年は大学生が訪れたようです。

★チームに分かれ、国際問題について1つテーマを絞り、さらに問いをつくって、それについて調べて、文献やインターネットでデータやエビデンスを見出し、論拠を組み立てていくグループワークをしています。アドバイザーは、關谷ゼミの大学生です。最終的には、本日の午後からプレゼンテーションとなります。

★關谷教授は、様々な研究をしていますが、国際社会の課題を見出し、それを解決する方法を学生と研究し、実際にボランティアで東南アジアなどにも出かけて社会貢献会活動もしているようです。その際、国や自治体、市民などとも交渉して巻き込んでいるようです。

★すなわち、国際関連のプロジェクトマネジメントを行っているのでしょう。学生の進路も国際関係の仕事が多いようです。

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★本来であれば、テーマを絞ったり、問いをつくったりする作業から行うのですが、2日間しかありません。予定された時間は12時間くらいです。もっとも、昨日は学校から帰宅して夜を徹してZoomで議論が続いたようです。20時間くらいは費やしているのかもしれません。

★IB(国際バカロレア)のEE(エクステンド・エッセイ)は、40時間で8000文字を書き上げます。今回のプロジェクトは時間的にはその3分の1~2分の1しかありませんが、チームで協働しながら行っていきますから、EEやTOKレベルの批判的・創造的思考が展開しています。

★それもそのはずです。テーマや問いは、關谷ゼミの学生の皆さんの研究テーマを追跡するところからスタートするからです。大学生の研究テーマを取り扱うのですから、ある意味、IB以上の質的展開です。

★とにかく、議論は白熱していました。テーマに関しては、ここではちょっと公開するのは差し控えようと思います。かなりディープだし、万が一トランプ大統領が目や耳にすれば、あまりに学問的な誠実さと真理の追究の正しさに悔しがり、反撃されるターゲットになる可能性があります。それほど、世界にとって重要なテーマについて考え抜き、議論が進んでいるのです。

★エビデンスの不足、論拠が甘いなど、アドバイザーにフィードバックされ、そのたびに調べ直し、議論し直しています。

★たんなる調べ学習ではないのです。大学生に事実の羅列では論の展開にならないよとフィードバックされ、事実の背景に何があるか文献で根拠づけしながら、論拠を作成していきます。

★ファクトとオピニオンという単純な論理ではなく、ファクトがフェイクであるかもしれないし、オピニオンを支える根拠の正当性の証明もしなくてはならないようです。

★リサーチスキルの研鑽がつまれている感じです。ファクトやオピニオンを支える根拠などの信頼性・正当性を問うクリティカルシンキングも養うことになっています。これから行われるプレゼンは、そのクリティカルシンキングのプロセスの中から誠実に生まれてくるクリエイティビティがどんな感じになっているのか楽しみです。

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工学院インパクト(16)チームSCTのクリエイティブ・コア・ミッションが私たちの希望。①

★工学院大学附属中高のチームSCT(スーパー・クリエイティブ・ティーチャー)のクリエイティブ・コア・ミッションがすてきです。学校もイノベーションを生み出す時代はとっくにきていますが、なかなか進んでいないように見えます。それはなぜでしょう。クリエイティブ・コアミッションがないからです。ところが、工学院ではそれが誕生し、根付き始めました。

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★イノベーションが広まる「イノベーター理論(1962年)」で親しまれているスタンフォード大学の社会学者、エベレット・M・ロジャース教授(Everett M. Rogers)の理論は有名です。しかし、産業構造が20世紀末には変わってしまったので、ジェフリー・ムーアは、キャズム論を加えて塗り替えました。

★ロジャーズ教授は社会学者です。ムーアはコンサルタントで、経済的視点で展開しています。したがって、私立学校の教育イノベーションを語る時、ジェフリー・ムーアの考え方が採用されることが多かったのです。

★しかしながら、多くの学校シンクタンクや教育コンサルタントは、時系列の普及カテゴリー(イノベーター→アーリ―アダプター→キャズム→アーリーマジョリティ→レイトマジョリティ→ラガード)のシェアに注目するだけで、その先を論じません。あるいは企業秘密にしているのかもしれません。三田国際のようにこの理論も参考にしながら、急激に教育イノベーションを果たし、生徒獲得戦略に大成功を収めているところは、この普及カテゴリーの先をしっかり学内で共有しています。

★それは、ジェフリー・ムーアの「コア」と「コンテキスト」のマトリクスです。この理論は、ムーア自身の本で展開されていることですから、セオリーをきちんと理解しているわけですね。

★工学院も同じスタンスですが、「コア」と「コンテキスト」をもう少しわかりやすく「コア」と「ルーチン」と読み替え、「コア」をクリエイティブ・コアミッションとマーケットニーズコアミッションに分けています。もっと簡単に言えば「本質」と「実用」です。

★三田国際は、このコアの部分は完全に自前です。「コンテキスト」つまり「ルーチン」の部分は外部ネットワークと連携します。丸投げアウトソーシングはしません。工学院も、ルーチンの部分は三田国際と同じです。しかし、コアの部分は少し違います。

★三田国際はコアの構成要素である「本質」と「実用」を明快には分けていません。三田国際の場合は、「本質」=「実用」=「学問」ですからその必要がないのです。立ち上がり当初は、一部連携もしていましたが、改革2年目からは完全内製化にシフトしました。

★工学院は、「本質」と「実用」は分けています。というのも、「実用」のコアミッション部分はやがて「ルーチン」に転換していきます。ですから、このコアミッションの「実用」の部分は、はじめから連携によって運営していきます。

★しかし、「本質」つまりクリエイティブコアミッションのところは、完全内製化です。ソフトパワーを生み出す拠点を自前で確保しているのです。ここは「TTP(徹底的にパクる)」をしないところです。

★おもしろいのは、クリエイティブ・コアミッションの最大の拠点は、高2のグローバルプロジェクトです。他校にない学年全体で取り組むプロジェクトで、運営には外部ネットワークと連携しますが、企画そのものを生み出す部分は教師と生徒ががっちり協働します。

★ケンブリッジインイングリッシュスクールやラウンドスクエア、UPAAなどのコアミッションの連携もしますが、これらを統合するグローバルインテリジェンスは、完全自前です。教務主任とカリキュラムマネージャーなどが知を創出しています。

★それから普段のPBL授業の部分は、田中歩教務主任が若手教師のプロジェクトチームSCTを自然な感じで生成し、自主活動をしています。田中歩先生との長い付き合いの成り行きで、私もSCTのコアミッションの実用部分までは立ち会いますが、クリエイティブ・コアミッションは、完全にSCTチームが内製します。

★田中歩先生が英語科主任時代に、やはり当時のチームメンバーと創出したのが、「思考コード」で、今では中学入試でも別のカタチで広まっていますね。そこも、私は立ち会う機会を頂いたのですが、クリエイティブ部分は、完全に先生方が創出していきました。

★そして、今はSCTチームメンバーが、「興味関心を生み出すパターンカード」を創ってしまいました。昨日、この自作のカードを使って、柳田先生の中1の社会の授業を分析して、実用性を検証していきました。ワクワクしますね。

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2020年10月24日 (土)

GLICC Weekly Edu Youtube限定公開配信 入試文化から世界を見る・観る・診る・魅る(01)はじまりました。20%は本音オピニオンです。

★GLICC主宰鈴木裕之さんとYoutubeでポストコロナ時代の教育についてトーク配信始めました。今のところGLICCスタッフの手作りスタジオなので、限定公開で、ひそっとやってます。

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★それにしても、鈴木さんの俊敏力というのはすさまじく、先週の金曜日に対話しているうちに、言いたいことは公開しようということになりました。二人ともブログで発信していますが、その背景や本音のオピニオンは文章では誤解をまねくこともあり、寸止めなので、そこをもう少し広く共有していこうと。

★まあ、年内にやることになるのかと油断していたら、機材を買い込んで設定したから、さあやりましょうと。私のような口先だけでのアイデアではなく、実行力あるアイデアの持ち主が鈴木さんです。教育界の元祖起業家だけでのことはあります。

★さて、小学校入試、中学入試、高校入試、大学入試という日本社会の入試文化を斬るという文化人類学的社会学的法哲学的心理学的などなど文化論といのがこのチャンネルの特色になると思います。そして、その入試文化の日本の情況と世界の情況をクロスさせながら語り、情況だけではなく、オピニオンも語っていきます。最初のうちは、静かにオピニオンは20%くらいです。

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★オピニオンはどういいう感じででてくるのかと?たとえば中学入試の情況についてダイレクトに学校選択や合格のための学び方を話すのが80%になりますが、インダイレクトにそこからみえる(見える・観える・診える・魅える)ことを語る時20%オピニオンになります。本音ということですね。

★今回は、パンデミックによってクローズアップされた「Emotinal, Physical, Social」とそこをかき乱す「fake news」がもたらす世界同時的(グローバル・シンクロシニティ)痛みを中学入試の準備で解消するサバイブスキルを身につけることができるというオピニオンを海城と開成の国語の物語の入試問題を通して語りました。ダイレクトな合格の学び方として、思考コードでB2思考を身につければよいこと、そのためには思考スキルを3つくらい組み合わせる話をしましたが、インダイレクトには 、聖学院のような思考力入試という新タイプ入試では、従来の成長物語と違う心理学的な自己変容の局面を生徒と一緒に考えていくことになるだろうとC軸思考の実装の重要性を述べました。

★文章で書くと小難しいし抽象的なのですが、Youtubeで鈴木さんとウダウダ対話しているとわかりやすくできるなあと感じています。

★今春は、海城と開成とそのほかの学校でも、朝比奈あすかさんの小説が使われています。今後も活用されるので、読まれるとよいと思います。そのとき心理学的なアプローチと社会学的なアプローチで読むと、ダイレクトな受験勉強からインダイレクトな豊かな生き方をつくっていくサバイブスキルを身につけていくことができます。

★この多様なアプローチをする学び方は、IB(国際バカロレア)では、当たり前です。GLICCでは鈴木さんも私もこの学びについてはリサーチをして、実際に活用しています。特に鈴木さんはIBジャパニーズなどのアドバイザーでもあるので、当然です。

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★そんな学び方の世界標準への視野が広がったところで、我らが盟友アレックス・ダッツン先生の英語で哲学授業の話がでました。鈴木さんが座長を務めている21世紀型教育機構で、英語で哲学対話をするオンラインセミナーをアレックス先生が行ってくれています。この模様は21世紀型教育機構サイトで動画になって公開されています。実に頼もしいZ世代が同機構の同士校から育っています。

イエール大学の助教授で起業家の成田悠輔さんが、日経の「やさしい経済学」で、「学歴に意味はない」という挑発的論考を書いていますが、全くそのとおりです。偏差値に関係なく、このような学びの環境をつくっている学校からクリエイティブクラスが誕生しているわけです。

★IBのプログラムを、すべての学校が行うことはできません。そこで、機構は、それに代わるプログラムを世界のネットワークと連携しながら独自に創っていくことを証明しようとしたのです。そしてその通りになりました。いやそれ以上になりました。

★私も水都国際の太田教頭や沖縄国際学院の知念理事長や同校の先生方とZoomで対話をしながら自分のスキルアップをさせていただいています。太田先生も知念先生も、DP段階になると、全員がそのコースに進めませんから、そこへの学びの環境デザインを創意工夫しています。そこでDPに相当するあるいはそれ以上と意欲を燃やしていますが、そのような学びを設定しなければ、中学から進んできて、DP以外のコースに進む生徒は困ります。

★そこの部分では私の考え方や学習理論は役に立っているのかもしれません。対話が続いているというのはそういうことでしょう。

★ともあれ、1時間はあっという間に過ぎました。次回は、そのようなポストコロナ時代に対応できる学びの環境を設定できる私学はどこかをテーマにしながら、学校選択の視点を鈴木さんと明らかにしていきたいと思います。

★もうしばらくしたら、ゲストを招くと鈴木さんは考えています。

★めちゃくちゃラフでフラットなウダウダトークセッションです。いずれみなさまと共に!よろしくお願いいたします。

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2020年10月23日 (金)

新しい教育社会(15)私立中高の各価値志向に対応する広報戦略タイプとは?

★前回は、私立学校の広報戦略の私の一般論をご紹介しました。ホンマカイナと思われた方も多いでしょうけれど、まあ経験値から述べているので、真理ではないかもしれませんが、戯言でもありません。参考にするかどうかは、私事の自己決定ということで。ともかく、その一般論に基づいて、私立中高の各価値志向座標に重ね合わせてみましょう。赤い項目が、その志向ドメインでよく使われる戦術です。

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★コンサバドメインでは、「直接広報戦術」が圧倒的です。中でも大学合格実績広報はすさまじいですね。

★ブランディングマーケティングドメインでは、「新市場ムーブメント創出戦術」が中心で、これを広げるための「直接広報戦術」「連携戦術」「覚醒共感戦術」の関係づくりが巧みです。

★GAFAドメインでは、ブランディングマーケティング領域に似ていますが、「新市場ムーブメント創出戦術」には興味と関心がありません。コスト(お金だけではなく労力)がかかるので、そこは便乗です。フリーライダーではありません。オープンソース論です。リバタリアンの真骨頂ですね。

★DAVOSドメインでは、70%理論が成り立ちます。大学合格実績がそんなに派手に出ていない段階なので、それ以外の項目を関係づけようとします。かえつ有明のように、大学合格実績もでているのですが、そこは目的ではないという間接広報戦術を中心に他の項目を構成主義的な関係で結びつけています。そこが成功していますね。

★聖学院のように、新市場ムーブメント創出戦術に成功し、メディア戦術もうまく構成主義的に関係づけられている成功例もあります。

★そういえば、かえつ有明と聖学院、新渡戸文化学園は、「覚醒共感戦術」がスーパーパワーフルです。

★こうして、座標を一望すると、どの領域も「口コミ戦術」がまだまだうまくいっていません。それは、豊かで強い「広報戦略方程式」が確定していないからでしょう。PBL授業を教育全体に結びつけていないということもあるでしょう。ここを真摯に突き進んでいる学校といえば、桐朋女子ですね。他のドメインでは、授業なんて前面に出さなくても、強い「勝利の方程式」があるからという感じです。それは、世界を変える教育布教方程式ではなく、勝ち組負け組を生み出す方程式です。

★しかしながら、今後それがどう変容していくかが興味深いです。まずは、生徒を集めなければしかたがないのですから、そこから出発することもありなのです。

★いずれにしても、この関係方程式にオンラインというのが重要になってきたわけです。オンライン入試をミネルバ型で突破したところに、注目が生まれるわけですね。東京では私立中高協会のオンライン入試自粛宣言の中でそれをどう創意工夫するのか!腕の見せ所ですね。

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新しい教育社会(14)私立中高の広報の本当の価値とは?

★この時期は、生徒獲得戦略の話題が盛りあがったり、中学入試から大学入試までの生徒のコーチングの仕方をどうするかなど激論が交わされたりと、徐々に沸騰入試列島にシフトしています。ですから、この時期になると、ときどき本間さんの広報戦略は?ときかれます。エッと戸惑います。私はPBL屋さんだと思われているので、広報戦略を私にきくのはなぜと。でもそれを問うてくる学校の経営者は、すでにうまくいっていたり、新しいことをやろうとしている学校の経営者です。さすが、角度が違うと思います。そこで、私は持論を述べます。広報戦略で仕事をしているのではないので、もしお役に立てればと思い、公開できる範囲で少しご紹介します。

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★私は、個々の私立学校や21世紀型教育機構の立ち上げにかかわってきました。といっても、C1英語×PBL×コンピュータサイエンス×思考コード(言語・数理哲学)のクリエイティブシステム思考のワークショップやブログ発信という口コミ戦術にかかわる領域がメインストリームでした。

★ただ、このクリエイティブシステム思考は、世界中の生徒が共有するのがすてきだと思っていますから、かかわった学校や機構が広く認知されることは大切です。私学における広報とはクリエイティブシステム思考の学びの環境を公に共有する関係を普及・布教することだと思っています。

★ですから、ダイレクトに生徒獲得戦術だけの広報をすることは、私自身はしてこなかったのです。それゆえ多くの私学の広報の先生方からは歯がゆいとか迂遠だとか言われてきました。小難しいだよとは今も言われます(汗)。もしかしたら機構でもそう思われていた方もいたかもしれません。きちんとそこを共有できないまま止めてしまったので、この場を借りて共有しておきましょう。

★私は、広報は8つの関係で方程式を創ります。ものごとは関数関係=構成主義的デザインが大切だとするのが持論です。PBLも広報も含めた3ポリシーもすべてつながっている、一貫性があるというのがシステム思考です。ですから、まずは、「構成主義」という手法を使います。それから、どんな項目をつなぐかと言いますと、学校の3ポリシーを中心に直接うちはこんな成果をあげているとダイレクトに広報する「直接広報戦術」があります。

★2つめは、生徒のみなさんの学園生活の中でどんな思いで活動しているのかなどをPBLにからめてインタビューしたりしています。直接広報ではないですね。直接広報というのは、市場のニーズに直接つながる情報を流すことです。大学合格実績が必要なのは、そういうニーズが強烈にあるからですね。

★生徒の活動は、そういう意味では、市場のニーズランキングではそう高くありません。しかし、目の前の入試に直面している生徒や保護者にとっては最重要な情報に転換します。ああそいうことだったのかと。「救いの情報」ともいえます。

★3つめは、「口コミ戦術」です。「直接広報戦術」の裏付け情報とでも言いましょうか。実際はどうなのよおという情報です。結局生徒が学校生活で最も時間を費やす授業の中身は、なかなか共有されていません。経営陣がそこに興味がないのが実態ですからね。それに、先生同士も互いに授業を見ることが物理的にできないのが実情です。

★4つめは、「新市場ムーブメント創出戦術」です。機構で行ったのは、C1英語×PBL×STEAM×思考コード×思考力入試でした。この中で新タイプ入試は時代とマッチして、21世紀型教育はこの戦術を活用できたと思います。機構メンバー校は、この方程式は共有していますし。

★5つめは、「覚醒共感戦術」です。「目からウロコ戦術」といえばわかりやすいかもしれません。あるいは「感動戦術」でしょうか。一過性のものではない仕掛け作りがポイントです。

★6つ目は、「連携戦術」ですね。合同説明会をやるのもその一つですが、これは少しルーチンになり過ぎて、積極的な意味は少し色あせているかもしれません。新しいテストや学びの体験を学校と塾が連携したり、経産省やIT企業と連携したりという動きは大事です。もっとも効果的な連携はメディアを巻き込むことですね。

★7つめは、上の図の、6つの項目と構成主義戦略の間にある空白領域です。ここは、つなぐ方程式がはいっています。「戦略方程式」ですね。

★IBやラウンドスクエアの広報戦略方程式です。とはいっても、IBやラウンドスクエアに加盟しているからと言って、その「戦略方程式」を体得しているかといえば、必ずしもそうではないので、そこをもっと学ぶとパワフルになるでしょうね。

★8つ目は、「構成主義」そのものの考え方をしているかどうかです。これがないと、6つの項目はバラバラでシナジー効果が現れません。現状は「直接広報戦術」に偏っている私学が多いですね。そんなことに気づいたら、この8つの関係を見直し、シナジー効果がでるような動きを生み出してみてはどうでしょう。

★結果的に、その学校だけではなく、日本いや世界の教育を変える動きになるでしょう。東京のような首都に私立中高一貫校がたくさん集積しているエリアは、世界にはありません。ですから、首都圏の私学に期待がかかるのです。それぞれ独自に8つの項目でシナジー効果を出せば、意図せずして私立学校全体のパワーが世界に影響を与えるほどになるでしょう。

★この全部の項目を70%つないで成功している学校といえば、東洋大京北です。ですから、100%つながなくても、70%くらいで150%くらいのシナジー効果を出す仕掛けがいいのかもしれません。100%やろうとすると、広報費が膨大になりますから(笑)。

★ちなみに御三家は何もしていないように見えます。そうです。今はしていないのですが、長い歴史の中で100%やりつづけて、それが持続可能になっているので。立ち上がり当初は、官学とやり合うほど新市場創出に燃えていたのです。今はできてしまっているので、何もしていないようにみえるだけです。歴史は繰り返します。かつての新市場も、今は既存市場です。そこに新市場が割って入ってくるのは歴史的必然でしょう。

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2020年10月22日 (木)

ノートルダム学院小学校 思いやりが学びの原点

★ノートルダム学院小学校(以降「ND」)では、先生方がチームNEXTという自主プロジェクトを行っています。昨年秋くらいから動き始めて徐々に本格稼働してきました。今回のパンデミックでしばらくZoomでコミュニケションをとってきましたが、今回は久々にリアルな空間で学び合いを行うことになりました。

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★NDはオンライン授業やPBL授業を行っています。今までは特にすべての教師が行うというわけではなく、行う先生は行うが、そうでない先生もいるという感じでした。

★しかし、今回のパンデミックで生徒が自ら考え仲間と協力して困難を乗り越え解決をしていく必要性を先生方は感じ入ったということです。そこで、好奇心・探究心・冒険心を大切にしながら、思いやりを互いにもち、深く考えていく学びとしてPBLに挑戦しようということになったようです。

★学内でPBLについて探究し、研究する対話が盛り上がり、実践しては改善していく流れが生まれてきていて、大きな川になる兆しがみえてきたということです。

★今回は梅下先生の「秋の動物」の単元の最終回のPBL授業について、分析していきました。なんと、「秋の動物」についてまとめるため、自たちでテスト作成をするという破格のリフレクション授業です。梅下先生の7分プレゼンのあと、授業の中で生徒がどんな学びの活動をして、どう反応したかをポストイットで書き出し、授業のストーリーの再現スクライビングをしていきました。

★そのあと、そのストリーに沿って、どんなツールが活用されたか、生徒はどんな楽しみ方をしたのかなどジグソーパズルのピースを当てはめるように立体的に再現していったのです。

★先生方は、仲間の授業について思いやりをもち、共感しながら復元していきます。柔軟で深くそして広がりのある対話が展開していきました。

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★そして、梅下先生の復元した授業、その授業を通して、生徒はどのように学び成長していったかに思いを馳せていきました。具体的な授業から帰納法的にそして、先生方自身が見守っているいつもの生徒の様子を想いながら、生徒がどのタイミングで好奇心をいだき、知ることの喜びを感じ、躓いたとき互いに励まし合うのかなど、その様子を思い浮かべ、最後は自分を見つめるようになっていくだろうとPBLの授業の効用の仮説を立てていきました。

★それぞれの想いをその都度シェアしながら対話は進みました。そして、最終的には、今回の分析を通して、NDのスタンダードPBLの考案を練りました。創造的なスクライビングに変容していったのです。もちろん、これはこのような対話を今後行うたびにアップデートしていくでしょう。

★このようなアップデートの変化を楽しめる柔軟で深く思考する先生方の姿に希望を見出しました。チームNEXTの先生方、すてきな時間をありがとうございました。

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新しい教育社会(13)私立中高の各価値志向に対応するオンライン授業のタイプとは?

★首都圏の私立中高一貫校の4つの価値志向ドメインに、①4つの学習観、②革新教師の4つの特徴、③4つの組織の佇まいを重ねてきました。今回はオンライン授業とリアルな授業を重ねてみます。すると、4つのタイプのオンライン授業やリアル授業があるわけではないことに気づきます。

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★こうしてオンライン授業とリアル授業の比較をすると、組織や学習観などが4タイプあっても、授業はざっくり2タイプになっているというわけです。したがって、授業のタイプだけみていても、学習観の違いや組織の違い、革新教師の特徴の違いはみえてこないのですね。

★保護者の方が学校選択で迷われるのは、ワンウェイ授業なのかツーウェイやアクティブラーニング、PBLなどの対話型授業だけをみていても、学習観や組織の佇まいの違いを認識しないと、ピタッとあるいはグッとくる学校が見つからないからなんです。

★この違いは、今のところオンライン説明会を見比べてもなかなか感じられないところですね。そのうち、静岡聖光学院のように、テレビ局並みの環境の説明会を(やる予定)やるようになると、だいぶ感じ取れるようになるかもしれません。

★ピンとくるピタッとくるグッとくるには、実際に説明会に行く必要がやはりありますね。帰国生がZoomでたっぷりやり取りできるのは、人数が少ないし、実際にリアルには頻繁に足を運べないので、学校側も、懸命にリアル並みの心配りをします。こうなってくると、リアルかオンラインかはあまり差異がなくなりますが、一般の受験生とだと、物理的な制約があるのはしかたがないので、保護者が主体的にリサーチする必要があります。

★それから、上の図は、あくまで各ドメインの最大公約数で、役割機能組織でもワンウェイではなくツーウェイやPBLを実践しているところもあるし、フルスペック(課題配信・学習アプリ・オンライン対話・オンディマンド)のオンライン授業をしているところもあります。

★本来役割機能組織は、フルスペックでいくぞと号令がかかれば、あっさりできてしまうものです。実際そうなっています。ですから、役割機能組織で、それができないのは、役割分断がおきている可能性があります。革新教師はわが道を行くでフルスペックでオンラインやPBL授業をやるでしょうが、保守教師は課題配信だけとかワンウェイ授業だとかをやっているという風景が目に浮かびます。

★この役割機能組織の学校が、60%です。私立が校でまだそんなところです。公立学校はどうでしょう。おそらく90%です。そのうち役割分断になってしまっている組織はどのくらいあるでしょうか。

★GIGAスクール構想は、役割分断組織にとっては黒船というわけですね。とにかく2025年問題を解決の糸口を見るけるために、また2025年に本当は大学入学共通テストはCBTに移行し始めたいわけですから、文科省や経産省も必死です。

★この流れに利権もからみますから、そこはクリティカルシンキングを発動しなくてはならないのですが、保護者の声、Z世代の声こそがカギになってくるでしょう。

★私はといえば、とにかく創造型自己変容組織の価値の重要性を発信し、その組織で活躍する革新教師といっしょにハイブリッドPBL授業をアップデートし続けることをさせて頂き、かつその教師のかけがえのない価値を広報することですね。まずは100人の革新教師と出会い、対話し続けようと日々Zoomで対話する機会を頂いています。この100人プロジェクトは第一フェースは2021年3月までに達成できそうです。

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2020年10月21日 (水)

聖パウロ学園 イノベーティブエデュケーター(06)工藤先生のクリエイティブなパワーイングリッシュ授業

★聖パウロ学園は不思議かつ魅力的な学校です。いわゆる入学時の偏差値でいえば、48~50くらいでしょうか。学力面で自信をもって入学してくるというより、自己肯定感は少し低い感じではいってくる生徒が多いでしょう。でも、野球とか馬術とかスーパータレントを持っている生徒も入ってきます。グローバルコースに入ってくる帰国生もいます。

★1学年80名ですから、めちゃくちゃスモールサイズです。それゆえ、生徒1人ひとりに対して何人もの教師と対話できる機会があふれている学園です。1つにはこれが奏を効して、誰もが自信を回復していきます。自分がやりたいことを見出していきます。それからもう一つはハイブリッドPBLですね。パンデミックによる自粛期間は、もちろんリモート授業を行いましたが、学校再開後もリアルな授業にサイバー空間を併用するハイブリッドPBLを実施しています。

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★すでに理科、国語、英語、社会、数学、保健体育などのケースを紹介しています。ここでは、もう一人の英語の工藤先生のケースを紹介しましょう。工藤先生ご自身、スーパー英語教師で、IELTSも8.0以上だし、英検でいえば軽く1級をクリアする実力です。CEFRで言えばC1は当然クリアしています。そして、ICTも様々な方法で創意工夫しています。

★あるときは、電子黒板をボードゲームのように活用し、チーム戦をして盛り上がりますが、高1の授業では、ちょうど映画について、ジャンル分けや作品についてヒントになるフレーズや絵を投げかけて生徒がチームで話し合って回答していくというアクティビティを行っていました。

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★映画は、ロマンスあり、アクションあり、ミステリーあり、SFファンタジーあり、アドベンチャーあり、ミュージカルありで、英単語を覚えるというよりは、好奇心を刺激する授業です。思考タスクでは、ラテラルシンキングという手法を採用しています。

★英語の学びなんだけれど、自分の好きな事柄や興味のあることをリフレクションするアクティビティです。こうして、生徒は英語を学びながら柔らかい思考をトレーニングし、自分を見つけていくというマイプロジェクトが授業で稼働しているのです。

★しかも、このマイプロジェクトを立ち上げるということは勇気のいることで、挫折もあるでしょうが、教師や仲間と対話し回復していくリジリアンス体験を積み重ねていきます。

★それから、自分のやりたいことを見つけ、探究していくのですが、それを実現するにはスキルが必要です。大学に進むにしてもっその後社会に進むにしても、主体的にアウトプットすることは必要です。企画提案やイベント運営やクライアントとの対話など、複眼思考とコミュニケーションスキルが必要です。もちろん寛容なケアマインドも。

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★リーディング、スピーチ、リスニング、ライティングの4技能に関して、工藤先生は、テキストであるUncoverのライティングスキルを巧みに活用すると英語科主任の大久保先生がお墨付きをつけていました。クリエイティブでパワーイングリッシュ授業を展開していますよと。

★テキストを拝見すると、思考スキルのチャートがふんだんに活用され、リフレクションによるスキル視点も明快です。このスキルを、工藤先生はライティングだけではなく、4技能すべてに活用していくのでしょう。

★また、テキスト以外の様々なマテリアルを用意しています。インターネットの情報を工藤先生はフルに活用していきます。思考を深める時、マテリアルの深さも必要だし、スキルを磨き上げていくこともポイントです。

★さらにおもしろいのは、国語科との連携もあるのです。実は国語科は独自の思考コードと思考スキルをすでに見える化しています。

★英語科の活用するCEFRのメタルーブリックと国語科の思考コードは親和性があります。また思考スキルはほぼ重なります。工藤先生のエッセイライティングの指導は定評があります。

★また国語科の小論文指導も生徒には人気です。両方とも、今後の総合型選抜や早稲田の政経のような総合型一般入試には必要だとされているスキルを育成するということを生徒は了解しているのです。

★これらが、探究の活動で合流します。探究は各教科のPBLでみつけたマイプロジェクトをワールドプロジェクトにできるかどうかの挑戦でしょう。

★こうして自己肯定感があまり高くない自分から自己の際の才能を見つけ、その自己実現のために仲間と教師と取り組んで、自己変容していけるのが聖パウロ学園です。偏差値に囚われていた自己が、そのくびきを自ら解くことになる瞬間瞬間を体験できるのです。一般の進学校は、このくびきをますます強固なものにし、人と比較してランキングを競う人生に迷い込んでしまいがちですが、聖パウロ学園はその逆をいくのです。

★英語と国語というバイリンガル思考スキルが明快になっている学校はそうは在りませんから。

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新しい教育社会(12)私立中高の価値志向に対応した組織の4タイプ。

★座標系で首都圏私立中高一貫校の価値志向を4つに分類し、コンサバから3つの革新教育が出現していることを眺めています。その動きには、①学校の学習観の違いがあり、②革新教師の特徴の違いがあるという話をしてきました。そして、今回は③組織の佇まいの違いを紹介したいと思います。

★もちろん、きっちり4つに分けることはできないのです。個々に見ると、あてはまらないということに、この手の分類は必ずなります。しかし、各類型の集合となるとそれぞれのタイプの特徴を感じ取ることができます。感じ取るですから、あくまでも私の経験値による独断と偏見です。学校選択の時の1つのものの見方・考え方として参考にしてもらえればとおせっかいな話なわけです。

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★組織開発や人材育成の研究は世の中に山ほどあります。多くの教育コンサルタントは、その研究成果を活用して学校経営を指南していきますが、前提として、それは収益増大ビジネスモデルで、誰かが得をすれば誰かが損をするゼロサムモデルです。しかも昨今の情勢は、誰かが得をし続け、誰かが損をし続ける可能性のある利益非対称型あるいは偏向型ですから、学校教育では、少なくとも初等中等教育では直接活用することはできません。

★私立中高一貫校の場合、学則定員が決まっていますから、定員確保維持が目標で、定員確保増大はそもそもないのです。基本学費と助成金で私立学校は成り立つ循環経済モデルです。学費は、生徒の学びの環境にすべて適用し、基本利益はでないというモデルです。実際には土地を売却したり、寄付金を募ったりして、学費と助成金以外に入ってきますが、誰かの利益になるわけではありません。

★施設の建て替えや、新しいテクノロジーの入れ替えなどに投入されます。先生方の給料だって、教師の生命維持だけではなく、生徒の学びを豊かにするための創意工夫ができるコンディションをととのえる分も必要です。学校の先生をやっていて、ビル・ゲイツのようになりたいというのは本末転倒です。最近そういう教師も現れてきていますが、どうなるかおもしろそうですね。

★しかし、循環経済モデルで、実はウィリアム・モリスやミヒャエル・エンデがユートピアとして描き、それを社会実践しようとしてきた歴史の成果がひっそり私立学校に継承されてきたというのが、私立学校の思想としての≪私学の系譜≫を支える経済システムの在り方です。ケインズもすでに「雇用・利子および貨幣の一般理論」でそこを重視していますね。トマ・ピケティやその仲間たちの税金配分の正義の政策もそこに論点があります。

★かくして、革新教育は、実は、この循環経済モデルをぶっ壊す動きとコンサバの学校が無自覚に継承してきた循環型モデルを再定義し、それを学校モデルから社会の経済システムモデルに変えようとしている動きに二分されます。

★マーケティングやGAFAはゼロサム経済モデルの動きをする組織です。コンサバとDAVOSタレンティズムは循環経済モデル組織です。ただ、おもしろいのは、ブランディングマーケティング主義は、旧来の市場の覇者を駆逐しようとダイナミックに動くので、階層構造を戦略的に書き換える経営組織です。

★一方GAFAタレンティズムは、学校現場は教師も生徒もフラット・フリー・フェアで、一見循環モデルですが、それを支えている経営組織はブランディングマーケティング型組織です。

★コンサバは、本来循環型で、今もそうですが、校務分掌がいつのまにかピラミッド型機能になってしまうところもでてきています。本来は役割を互いに尊重しひたすら遂行することに幸せを感じる循環経済効用型なのですが、そこのマインドセットが、偏差値によって影響を受けてしまっているということですね。

★ですから、DAVOSタレンティスム組織は、循環経済モデルを自覚的に遂行し、経済利益向上に幸せを見出すのではなく、様々な内発的プロジェクト創出の行為自体に幸せや生きがいを感じる組織にシフトしているのです。well-beingの経済モデルは循環モデルです。ですから、このドメインの学校はSDGsの取り組みが広く深いのです。

★この学校は、クリエイティブシステム思考とクリエイティブシステム組織(これも頭痛が痛いと同じ表現でしつこすぎますが^^;)が一致している組織です。ダイアレクティブ組織です。理想的なものは現実的なもの、現実的なものは理想的なものというマインドフルネスに溢れている<ルソーの系譜>=≪私学の系譜≫というわけです。ここにきて、この≪私学の系譜≫も4タイプあったということでしょう。第Ⅰ象限がルソー型、第Ⅱ象限がロック型、第Ⅲ象限がアダム・スミス型、第Ⅳ象限がハイエク型ということになりましょうか。そして、公立はサヴィニー型なのかもしれません。

★学習指導要領の中で、このサヴィニーを取り扱っていないのが実に謎ですね。U理論を述べるコンサルタントが、逆Uを研修で扱わないのと似ています。あるいは、マーケティングにおけるイノベーター理論で、レイトマジョリティやラガードの背景にある権力のパラドクスを語らないのと似ています。U理論のオットー・シャーマー教授もイノベーター理論を発展させたジェフリー・ムーア氏も、ちゃんとその点を論じているのに。。。

★教育コンサル系のシンクタンクや社団法人がこれからどんどん生まれてきます。そのとき、ここらへんの情報を共有してくれるところが信頼できるのかもしれません。

★要するに、あらゆるものの見方や考え方には光と影があります。メリットとデメリットと置き換えてもいいのですが、そこを確認することが大切です。コンサバは安定的価値観を追い求めますが、行き過ぎると抑圧的になります。ブランディングマーケティング価値は、行き過ぎると一望監視型組織になります。

★GAFAタレンティズムは行き過ぎると、相互監視型組織になります。

★DAVOSタレンティズムは、行き過ぎると新しいパターナリズム型組織に陥ります。

★学校選択は、やはり多角的に複眼的にリサーチする必要があります。自分一人ではなかなかできません。玉石混合ですが情報はたくさんあります。学校自体が豊富な情報を発信する時代にもなりました。情報の収集・分析の目をいっしょに磨いていきましょう。

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2020年10月20日 (火)

新しい教育社会(11)私立中高の価値志向に対応した革新教師の4タイプ。

「新しい教育社会(09)首都圏私立中高一貫校の革新性のベクトルが3方向に拡張。その背景で、教師の新しい生き方が生まれている。」で、首都圏を中心とする私立中高一貫校の価値志向を4つに分類しました。同記事の【図1:首都圏私立中高一貫校の学校の価値志向性分類】をご覧ください。今回は、それぞれの領域で革新教師がどんな動きをするのかその特徴を座標に重ねてみました。

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★革新教師は保守教師同様、いずれの領域にも存在します。しかし、その領域の組織の在り方や人間関係という環境の影響で動き方が変わります。コンサバ領域では、圧倒的に保守教師が多いので、相手にされませんから、我関せずで「わが道を行く学者型教師」として動きます。広報活動や部活の顧問など自分の探究時間をとられるようになると、他の領域の学校を探し始めます。

★もちろん、自分を変容できない場合は、他の領域は魅力がありません。だって、今まで以上に忙しくなりそうだからです。じっと我慢して居座ります。しかし、環境がそうさせてきただけの場合は、どうせ忙しくなるなら、自分の特徴を生かせる領域に移ろうという動きになります。

★ブランディングリバタリアンの領域では、経営陣がマーケティング分析をして新市場のニーズに合う道具立てや施設を用意しますから、それを有効活用するようにマネジメントされます。新しい道具や武器、特にテクノロジーをガッツリ操作できるので、ある意味モチベーションはあがります。しかし、これ以上内発的なモチベーションが生まれてこないと判断した時は、やはり他の領域に移ります。

★タレントリバタリアンの領域では、基本資金力がある学校なので、先生に変われということほど厄介でコストがかかることはないと算段し、外部の専門家に外注します。つまり、「最先端の専門家と生徒の学びを結びつけるコーディネーター型教師」としてのロールプレイが、この領域では中心になります。

★コーディネートだけではなく、自分もプログラムをデザインするソフトパワーを発揮したいという場合は、やはり他の領域に転職します。

★こうして、流れ着く領域がDAVOS型タレント主義です。進取の気性に富んだ起業家精神旺盛の教師がたくさん集まってきます。それでいて、倫理観やジャスティスを重んじる、つまりfor othersの精神を大切にしています。そう表現した方が市場のニーズに適合するというブランディングリバタリアンの領域とは全く異なる領域です。

★for othersのマインドが内燃しているのです。ですから、「最先端の技術と学習する組織を結び付けシナジー効果を外注ではなく内製的に生み出すクリエイティブ教師」の動きをします。

★だんだんこのようなクリエイティブ教師が多くなり保守教師は他の領域に逆シフトします。非常に幸せでマインドフルネスなメンタルモデルに自己変容していく組織になっていきます。ただし、問題は、このDAVOS型タレント主義領域は、慈善事業家の力が必要です。日本ではまだまだそれがうまくいきません。したがって、市場の覇者に成れるかどうかは常に問題です。にもかかわらず、踏ん張っています。

★そこにこそやりがいやかけがえのない(Only One for Othersということらしいです)境地があり、ブランディングリバタリアン領域からみたら、大丈夫かね?ということのようです。

★リバタリアンは、スピードを大事にします。DAVOS型タレント主義は、そのような人のこと時間泥棒と呼ぶモモに親和性を感じていますから、違いは明白です。

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