創造的才能

2024年5月29日 (水)

駒女で伸びる理由

★駒沢学園女子(以降「駒女」)に入学した生徒の伸び率というものの測定器があるとするならば、その針は平均的な伸び率をはるかに超えることは間違いないでしょう。駒女の生徒が伸びるとは、いわゆる学力だけではなく人間力も含めその両方です。なぜそうなるのか?まず環境がよいですよね。自然豊かで施設も多様な学びができる創意工夫がされています。自分を見つめる坐禅をする空間もあります。近未来都市構想をするときに必要な庭園発想の空間もあります。このように、学力と人間力を統合するキャリア教育の環境が他校にはないほど優れているのです。

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★グローバル教育やICT教育も行われ、高大連携や海外留学など外部団体との連携も年々充実しています。このようなネットワークを広げていくことができるのは、実は授業と探究が有機的につながっているからだと先生方は語ります。つまり教科横断的にあるいは有機的に結合しているわけです。ですから、拡張する結合子がいっぱいできあがっています。

★それと中学の時の生徒支援の方法と高校からの生徒支援の方法が明確に意識されてデザインされいるのも驚きです。これができるのは、先生方が生徒1人ひとりの様子を心身の側面や人間関係づくりの側面、モチベーションの側面など多面的に理解しているからです。ただ、そうなると本当に生徒1人ひとりに違う学びの支援や成長の支援を考案し実施してくので、外から見ているとたいへんだなあと思うわけですが、教育とは大量生産の工場ではないのですから、1人ひとりカスタマイズするのは当然ですと先生方の気合に圧倒されます。

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★授業でも探究でも、中学の段階では、リサーチの方法、文章の書き方、対話の仕方、プレゼンテーションの仕方など学びの基礎を生徒1人ひとりが活用していけるようにアドバイスをしたり環境設定をしたりすることができるのは、1人ひとりのことがよくわかっているからだと思います。

★それから、おもしろいのは、「カタツムリには意識はあるでしょうか?」というようなケンブリッジ大学の口頭試問で出題されるような正解のない問題は喜んで生徒は取り組むというのです。そのようなマインドセットがされているのも、生徒1人ひとりに寄り添っているからでしょう。

★さらに、生徒同士話し合いながら、1人ひとりのアイデアをブレインストーミングしていくそうです。それは、それぞれの得意な能力を出し合っていくからできるというのです。それぞれ自分が好きだと思っていることや興味関心のあることを追究していく普段からの学びがあるからこそ得意な能力を発揮できるのですと先生方は語ります。

★One for All, All for Oneという有名な言葉がありますが、まさに駒女の生徒さん同士の関係性を現すのにぴったりの言葉だと感じました。そして、今回先生方のプロジェクトでの対話に立ち会わせていただいて、確信したのは、先生方の関係そのものがOne for All, All for Oneの柔軟で堅固な関係になっているということです。

★このように、トータルなシステムが循環して有機的に結合しているわけですから、受験生・保護者が訪れたときに、「学校の雰囲気」に魅了されます。「教育プログラム」も多様なものの見方や感じ方が内側から生まれてくるし、視点も高まっていくようにデザインされているのも魅力です。そして何より、教師と教師の関係性、生徒と生徒の関係性、教師と生徒の関係性が良好だというのは、学園生活が楽しいし安心感があります。

★学校説明会に参加すると、たくさんの有志の駒女生徒広報部の生徒さんがおもてなしをしてくれるので、その様子を見て感動することができるでしょう。

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2024年5月28日 (火)

学校雰囲気の生まれ方

★受験生と保護者が、学校選択をするときに、認知的能力でよりも、非認知能力で選ぶでしょう。快適、幸福感がある、ポジティブな空気、とにかくなんかよいという学校の雰囲気を感じるのです。受験生・保護者からは、どうしてその学校の雰囲気が生成されているのかなかなかわかりません。

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★ですから、共感してもらえるプレゼンテーションやパフォーマンスを学校当局はするのです。

★そのとき、次の5点の良好さが実感できると成功する可能性大です。

1)教師と生徒の関係が自由と規律の両ベクトルの合力になっている。

2)あらゆる教育活動が有機的に結合していて、それが教師と生徒の関係に良い影響を与えている。

3)キャンパス内の施設や空間が有機的につながっていて、それが教育活動や教師と生徒の関係に良い影響を与えている。

4)高大連携や探究活動など外部団体との連携がうまくいき、学内の有機的結合にうまくつながっている。

5)グローバルな視野の教育が全球の幸せをつくる活動につながっている。

★これら5つが化学反応を起こして、学校の良い雰囲気を生んでいるのでしょう。そしてその触媒は、経験と対話です。さらに経験と対話をつなぐものは何か?それが問いの生成力です。

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経験の連続の原理~有機的関連(1)経験の理論=経験を科学する

★ジョン・デューイは、教育を科学的に考えようとしました。彼の教育哲学は道徳哲学でも人生哲学でもないのです。あくまで科学的に哲学し、ギリシャ時代や中世の時代にもあった、そしてそれが連綿と続いている教育の本質を見出し、実践していくことにあるのです。その過程こそが経験であり、本質が人為的に設計され複雑になり、子どもたちの才能を阻害して格差を生み出すアンチ本質的なことを回避しようとしたのです。

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★同時に、当時そのような伝統主義的教育に対しトレンドとなっていた進歩主義的教育に対しても、ただ経験が大事だと唱えているだけでは、シンプルに本質を汲み取る科学的な教育デザインをしていないと一刀両断するわけです。

★進歩主義的教育あるいは新教育の元祖デューイが、シンプルな本質を汲み取る経験を思索するものではない場合、このようにクリティカルシンキングを発動するのです。

★その上で、デューイは、こう語ります。

「私はよろこんで、新教育が原理上、旧教育よりも単純であることを認めるものである。新教育は成長の原理と調和しているが、他方、旧教育では教材や方法の選択や、その配列に人為的なものが多くはいり込み、その人為性が常に不必要な複雑性を導き出している。しかし、「易しいこと」と「単純なこと」とは同一の事柄ではない。真に単純なものを発見し、その発見に基づいて行動することは極めて困難な課題である。ひとたび人為的なものと複雑なものとが制度的に確立され、慣習や型にはまった仕事に深く根をおろすと、その踏みならされた通路を歩くほうが、新しい観点を採り入れたのち、その新観点のなかに実際に含意されているものを解き明かすことよりは容易である。旧いトレミーの天文学説は、その周期や周転円に関して複雑であった。しかし、コペルニクス学説に基づいて現実の天文現象が組織立てられるようになるまでは、もっとも安易な歩み方は、古くからの知的習慣によって用意され、しかも最も抵抗の少ない方向をとることであった。そこで、もとの考え方に戻るが、適切な教育の方法と教材を選定し組織化するような積極的な方向を提示するような、首尾一貫した経験の「理論」により、学校の仕事に新しい方向を与えるような試みが必要とされていたのである。ジョン・デューイ. 経験と教育 (講談社学術文庫) (p.28). 講談社. Kindle 版. 」

★デューイが20世紀初頭に批判した旧教育は、いまもそのまま引き続いています。それを20世紀型教育と呼んできたわけです。そしてデューイが批判する新教育ではなく、デューイが想定する新教育を引き継ぐのが21世紀型教育だとしてきたわけです。

★デューイの時代にAIはなかったですが、すでにそのような未来はSFでは想定されていました。ですからデューイもまた感覚を使わない経験の是非を経験の理論として問うています。

★デューイの時代は、民主主義を生み出すための社会関係を創り出す教育が考案されていました。現在は、民主主義の危機(そもそも民主主義自体が過渡期)を回避するための社会関係を創り出す教育が必要とされています。

★イノベーションの発達は全く違いますが、デューイがギリシャ時代や中世の時代に学んでいるように、21世紀型教育実践者がデューイに学ぶことが古臭いなってことは全くないのです。

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2024年5月27日 (月)

湘南白百合 学びのニューコモンズの拠点(3)授業も探究も多様な教育活動も有機的に結合をするギミック 教科横断から有機的結合へ

★当日同席していた中学受験業界の重鎮N氏に「変化し続ける私学を感じ、襟を正す」と言わしめた湘南白百合。私も同感です。それはなぜか、私は、やはりあらゆる教育活動が有機的に結合し、その結合子が新たな結合子と結びついていくため、その都度化学反応が起こり、有機的結合体全体がパワフルになっていくからだと感じています。

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★たとえば、水尾先生は

①学びの実践の場としての学校行事=主体性,リーダーシップ,コミュニケーション能力,創造力,共感的,粘り強さ

②確かな学力を育む学習サイクル=少人数制で状況把握,小テスト,個別指導,理解,次の授業

➂演習と問題解決型授業で展開する数学の学び=問題演習で数学的な知識定着,ひとりで・仲間と考え確かな理解につなげる

④探究的な学び=問題解決力,協働する力,意思決定スキル,批判的思考,創造的思考,コミュニケーション力,ITリテラシー,計画する力,やりぬく力

➄答えのない問いに、自分なりの答えを=身近な課題を発見し、考える,平和について 調査方法,環境問題 課題設定 調査,論文を書く

⑥環境論文=課題設定,情報収集,整理・分析,まとめ・表現

⑦高大連携=探究的な学びの論文を書くサイクルに適用

★この7つの基本的な学びのサイクル(関数)をつなげているのが「プランニング手帳」を介して生徒と教師が対話する日々です。

★湘南白百合の国内外及び高大連携による大学並みの学びのベースには、以上の7つの有機的結合があり、循環しているのです。まるで化学記号のシクロペンタンやベンゼンのような環境構造が幾重にも結合しているかのような教育環境デザインがなされているのです。

★このことについては、「授業と探究と教育活動の有機的結合」と称して、今年の夏の福島の中高協会の研修でご紹介したいと思います。「教科横断から教育の有機的結合へ」という教育の質の高い学びを構築してきた学校にとっては当たり前だけれど、湘南白百合のように言語化はしてこなかったなおです。すてきな発見だと私は思います。水尾先生!ありがとうございます。

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2024年5月25日 (土)

湘南白百合 学びのニューコモンズの拠点(2)これほど教育活動が有機的につながっていることが言語化されているとは!

★湘南白百合の具体的な教育活動については、教頭水尾先生がプレゼンをしました。参加した方々はトータルに理念が行き届いたすばらしい教育に感動していました。嘆息がもれていました。そして、その後の学校案内で、なるほどこのトータルな教育が学びのニューコモンズという環境の中で見事に有機的結合を果たしているとその雰囲気に感動したことでしょう。

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★私も同じです。しかし、今回は不思議とこの有機的結合のシステマティックなつながりの全貌が見えた気がしたのです。一般の説明会では、教育コンテンツの羅列です。こんな凄い画期的な教育内容があるのだというわけです。グローバル教育はどこに誰とコラボして行っていて、こんな成果がありました。探究ではこんなやり方でどことコラボして素晴らしい成果を上げました。外部コンクールで優勝賞を獲得しましたなどと。

★それで十分、そこの学校の教育活動のクオリティの良さはわかるのですが、それぞれの活動を運営している教師がどんなチームワークで実施しているのかは意外とわかりません。結構一人の先生が強烈に回しているということも少なくありません。それだとその先生がいなくなるとその教育内容は消滅します。

★教育は持続可能であると同時にアップデートしていく必要があります。ですから、緻密にシスマティックにプランされチームワークも十分である必要があります。

★つまり教育プログラムのマネジメントと組織マネジメントの一体化なのです。

★教育プログラムのマネジメントは、一つ一つのプログラムの運営のシステム化だけではなく、プログラム同士のつながりがシステム化されている必要があります。このつながりは、教師という人的資本を豊かにしていくことでもあるので、組織マネジメントも重要なファクターになります。

★こういうシステムをカトリック学校ではぶどうの木のシステムと呼んでいます。愛の循環システムです。これを湘南白百合は教育と組織の両方がつながるようにマネジメントしています。しかし、それは学校の先生方には気づかない場合も少なくありません。

★いつの間にかそうなっていたと。しかし、そんなことはないのです。里山や人間の身体もそうですが、放置しておいて良好な状態が持続可能になるわけではないのはご承知の通りです。

★やはり手入れをしたり、メンテしたりしているのです。教育も同じです。とはいえ、日々先生方が対話をしながらつなぎ合わせてきた結果ですから、当事者にとっては暗黙知になっています。

★しかし、入試広報部というのは、その学校の特徴を最も現しているその暗黙知を可視化する役割を果たしています。水尾先生のプレゼンは、その暗黙知としての教育プログラムと組織マネジメントが一体となっている循環システムを見事なまでに多様なサイクル図で示しているため、聴いている側は、勝手にそのサイクル図をつなげて循環させてワクワクしているのです。

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2024年5月24日 (金)

湘南白百合 学びのニューコモンズの拠点(1)今までとは違う私立中高一貫校

★本日、湘南白百合で教育関係者対象の学校説明会がありました。同校は、ここ数年神奈川エリアの私立学校の中で最も重要で本質的なことを真正面から唱え、なおかつその本質を実現るために新しい教育環境デザインをし、生徒たちも自らの才能や能力を自ら見出し自ら開発し、その結果社会に貢献するマインドとスキルを見事に実装しています。

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★そして、今年も着々と不易流行よろしく、進化が続いています。そんなとき、今春4月新校長岩瀬有子先生が就任したと聞き及び、これ以上何が始まるのかと不思議に思っていました。教頭水尾先生にいつも同校の現在進行形の不易流行をお聞きしていて、十分凄すぎると思っていただけに、いったい何がさらに起こるのだろうと。

★水尾先生とはいつもバーチャル上で出会っていたので、リアル湘南白百合の教育環境の中でお聞きしたいと思ったのです。

★というわけで、久しぶりに訪れて、やはり改めて驚いてしまいました。予定より1時間30分前(意外と近かったのです)に着いたので、最初の30分くらいは入口から事務室までのキャンパス内にしばらく佇んでいました。すると「あめのみつかい」と「キリエ」などミサ曲が響いてきました。トビの鳴き声も響いていて、音楽と自然の豊かさにしばらく癒されていたわけです。

★社会課題を扱う探究が充実していて、言語活動の視野が広く深いのは知っていました。また学芸大の先生方と幾つかの私立学校とコラボして数理モデルのシミュレーションをする問い作りをしていることも水尾先生からいつも教えて頂いていたので、言語、数学、そして音楽がこんなに豊かに循環している学校なんだと、つまりリベラルアーツが通奏低音としてい響いている学校であることを実感した30分間でした。

★そんなことを想いながら、会の始まるのを楽しみに待っていたのです。そして始まるや、非常にフラットに岩瀬校長が話をはじめました。フラットでフェアでフリーといった感じのプレゼンテーションに、いわゆる古いカトリックの学校の校長とは全く違う雰囲気に驚きました。水尾教頭も同じ雰囲気ですから、これは2025年度入試も湘南白百合はまたまた高人気だろうなあと思いました。

★それにしても、学びのニューコモンズとAIと数学的ものの見方・考え方について自然体で語っているのは、実に興味深かったのです。これは、一般に校長が紋切り型の未来ビジョンを語るのとは全く違うのです。ついにこういう校長がカトリック校からも現れたのかと感動しました。

★金融機関のSEも経験していて、社会課題を考える過程の中で数理モデルを生徒と共に創ってきたという探究活動も実際にやってきたうえで、しっかりAI時代における新しい教育として、キャンパス、教育プログラム、メディアスペースとしての図書館、新しいコンピュータ室、教科の授業は1人1台のクロムブックをグループワークで結んで個別最適化とコラボレーションができるICT環境を創り上げています。自然と社会と精神の分断が起きている現代社会の課題を解消するための学びのニューコモンズが湘南白百合全体の教育環境デザインとしてトータルに構築されているのです。

★このようなニューコモンズのコンセプトは、一般に今の学校の理事長・校長はほとんどもっていないでしょう。情報として知っていて話すことはできても、そのコンセプトを社会実装している校長はレアケースです。しかし、これからはどんどん出てくるのかもしれません。

★ニューコモンズの発想は全球的なウェルビーイングの発想と通じるものですが、コモンズの悲劇と言われるように、倫理が崩れる時、恐ろしいことが訪れます。ですから、学校で実践するのは難しいのです。しかし、湘南白百合はカトリック学校です。エシカルな教育は十八番なのです。ですからパラドキシカルですができるのです。

★一般の学校なら、まずはルールはどうするセキュリティはどうするという議論が先で、なかなか進まないでしょう。

★ですから、岩瀬校長がAIを使って学びのニューコモンズで生徒たちが学んでいる様子をさりげなく語っていたのは、極めて革命的です。そしてそれをすでに具体的に実践して成果をあげていく現場の教員と校長のコンセプトを架け橋する水尾教頭。最強ですね。

★このような組織は、当面首都圏の私立学校では出現しないので、中学入試市場で圧倒的な支持を確立することでしょう。

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東京私立中学高等学校協会 定期総会 開催 東京私学の意義

★昨日(5月23日)、一般財団法人私立中学高等学校協会の定期総会が開催されました。東京の私立中学と私立高校合わせて424校が一堂に会し、東京の私立学校の教育の質を高め東京、日本、世界に貢献する役割を果たす理念を共有する会です。

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★東京の私立学校は、一つの都市に私立の中高が400校強もある世界でもたいへん珍しい存在です。特に東京の公立高校と私立高校に通う生徒は、私立学校の方が多いのです。したがって、知事所轄の私学ですから、都政における教育においても私立学校の教育のビジョンや質は良い影響を与えています。

★東京というグローバル都市と私学のグローバル教育は、相乗効果を生み出しています。また、政府も文部科学省も東京にありますから、国の政策に対しても影響力があります。

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★高い学力を生み出すだけではなく、グローバルリーダーを生み出し、世界と日本の架け橋を構築していく高いレベルでの人材育成の拠点ともなっています。

★そして、それを実現するために、私学助成法にのっとって、助成金や多様な補助金の交渉を、父母の会、私学部、私学財団など多くの団体と協力し提案をしていきます。その意志を確認し、一丸となるために、大きな総会が年に二回開催されています。

★常任理事会と12支部(東京は12エリアに分かれていて、密に情報共有ができるようになっています)の代表が集まる理事会は、月に2回行われ、各支部の会議が月に一度開催されています。

★したがって、受験市場から見ているような、偏差値競争をしているのではなく、互いに高め合い、東京私学全体の質を維持し、未来のグローバル人材がトビ立てる拠点を一丸となってつくろうとしているのです。

★受験生の保護者には、この部分が見えにくいので、受験市場がつくる情報で学校選びをされることが多いでしょう。しかし、それはほんの一部の情報である可能性があります。

★では、どこを見ればその姿がわかるのか?それは、年に3回国際フォーラムで行われる合同相談会などに足を運んでいただけるとありがたいですし、協会の部署である東京私学教育研究所のサイトを見て頂ければ、東京の私学の先生方が協力して創り上げている研修の様子がわかります。ここは、私学の教育の粋を集めた教育プログラム作りや経営のあり方を考える場です。私学の先見性・先進性の動向がわかります。

★そして、各私学の説明会に足を運んでいただければ、その先見性・先進性を共有しながらも、各学校の建学の精神という魂を土台に独自の教育が成立していることが了解できるはずです。

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2024年5月23日 (木)

1%の世界で起きていること 中高の大学化(3)ヘルバルト主義からデューイ主義へ

★100年以上前に、J・デューイ自身が、ヘーゲルからプラグマティズムに発展し、ヘルバルト主義からデューイ主義を確立していきました。この動きは、法律にもあてはまります。当時はドイツでは、ヘーゲルは近代国家の哲学的礎には実はなっていなかったのですね。哲学者はその後も今もヘーゲルを引きずっている方もいますが、もはや法実証主義がベースなのが特に日本ですね。したがって、日本の教育の制度的枠組みは、見えないところで法実証主義です。

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★ところが、教育哲学者は、カントやヘーゲルをベースに、法実証主義の制度を問い返すことなく、思想を広げます。その思想は別に問題ないのですが、現場では実態として有効ではないのです。

★民主主義を維持する制度として、ヘーゲルやカント、もゥ少し遡るとルソーなどの啓蒙主義などの制度構築だけではなかなかうまくいかないのですね。そのことをデューイは民主主義を形成する教育を考えていったとき気づいたのでしょう。

★法実証主義の教育的置換は当時も今も実はトレンドであるヘルバルト主義です。デューイは最初大いに刺激を受けます。ヘーゲル主義を改めていくのは、ヘルバルト主義の影響もあったかもしれません。しかし、ヘーゲルを離れるけれど、かといって法実証主義的な権威主義が拭えない枠組みでは、民主主義は形成できない、そう考えたのでしょう。

★それゆえ、今の指導案のような予め設計して授業を行うのは、「教師の学び」であり「子どもの学び」ではないのだとPBL型の経験や対話、生産をする学びに変えていったのでしょう。そして、その際に「道具」を活用します。ノートと黒板と教科書もツールではありますが、そこには対話を促進する「道具」がないのに気づくわけです。

★今でいう、FabラボやICTは学びのツールです。そしてPBLですから協働的な学びです。チームビルディング。なんとも民主主義です。それにinter-esseを大事にしました。学びは興味関心という関係性が本質なのだと。

★100年以上前にデューイ(もちろん、パースやジェームズやキルパトリックや多くの進歩主義者がかかわっています)が考えたことは不易流行として一部の学校では継承されています。東京の私立学校だと30%は、デューイ型教育を継承しています。

★もちろん、意識はされていないかもしれません。システム思考とかMITメディアラボの方法が継承されているというのが現代的ですが、おそらくデューイのように、欧米の学問的成果をインテグレイトしてプラグマティックな理論と実践を創り上げているのと同じで、広く深い融合的な理論と実践をしているのだと思います。

★デューイの理論というより、デューイのこのような学問の融合という発想に基づいている教育をデューイ主義と呼んで起きます。逆にそのような複雑な理屈ではなく、今でいうPDCAのような設計や計画主義の発想がヘルバルト主義だと呼んでおきましょう。

★こうして考えるとデューイの学びは、リサーチ(研究)型です。ヘルバルトは、配列型で、大学に接続するように合理的に階段を上っていく発想なのです。大量生産型のT型フォード主義といってもよいかもしれません。

★デューイ主義の学びを行っているとしたら、中高でも大学レベルの学びを行っているということになります。

★探究は、実はヘルバルト主義でも行えます。ただし、問いは設定されているので、リサーチ型ではない場合が多いのです。したがって、雑駁ですが、ヘルバルト主義とデューイ主義を対比しておくと1%の動きが見えやすくなります。

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2024年5月20日 (月)

2025年からはじまる越境的リサーチの広がり 中高大の動き

★東京の私立中高一貫校を眺めていると、70%は東大を頂点とする学歴社会を無視できないカリキュラムマネジメントをせざるを得ない状況であり、30%は世界的視野をもってカリキュラムマネジメントする私学が出現しています。世界的視野をもったからといって、何か善なる理想に燃えているかというと、もちろん燃えていますが、70%の学校だって理想に燃えています。ただ、30%の学校が実行していることは、その理想に水をかけたり、歩むべき道の障害になったりするもの=アンコンシャスバイアスを無化しようというアグレッシブな動きだといういことなのです。

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(共愛学園前橋国際大学のサイトから。同大学のデジタルグリーン学部の新設は文科省も特筆すべきと評価している)

★その障害となっている壁は、もちろん制度的なものもありますが、その制度さえもアンコンシャスバイアスによって言説化され構築されているという側面もあるくらいですから、たとえば、大学が「女子枠」を設けなくてはならい、それを文科省も推奨するのは、ジェンダー問題に潜むアンコンシャスバイアスを払拭しようという動きとセットになっているわけです。

★ですから、私立学校もそこに思い切りチャレンジすればよいのです。30%の学校はそうやって、偏差値や学歴社会を無化する動きにでてきたのです。もちろん、それは私立中高だけのチャレンジではないのです。総合型選抜の動きや大学・高専機能強化支援事業など文部科学省も高等教育機関を支援し始めているということもあるでしょう。

★高大連携の広がりもあります。もちろん、学生の人口減少に対する生徒獲得戦略としてのねらいもあります。しかし、リベラル資本主義の国であれば、経営のことを考えるのはむしろ当然です。補助されるのが当然だという権威主義的なものは、無化しなければというのが、資本主義のそもそも原理で、そのプリンシプルを追究しているだけでしょう。

★ただ、このリベラル資本主義がエシカル資本主義になるかエゴ資本主義になるかは、人間次第なのです。シンプルにそうです。エゴ資本主義は権威主義になっていきますから。

★だから、偏差値や学歴社会を無化する動きは大事であると同時に警戒もしなければなりません。その外皮をかぶりエゴ資本主義を進める可能性もあるからです。

★さらに、この権威主義的な偏差値や学歴社会を無化する動きが私立中高や文科省の推奨する高等教育の制度の枠組以外から起こってもいます。

★それは、

①インターナショナルスクールが続々日本に上陸

②ミネルバ大学が日本をフィールドワークの場とする

➂ZEN大学の開校予定

★インターナショナルスクールは、富裕層の私立中高からのシフト。ミネルバ大学は高度英語の学びに拍車をかける。ZEN大学はN高などの通信制高校の新しい道をさらに開くという動きを作っています。

★インターナショナルスクールに対しては、私立中高は、その機能を超える教育を開発するようになっています。むしろメリットの方が多いですね。外国人日本人という教育インバウンドにも拍車をかけるでしょう。そして、これは明らかに海外大学への道が大幅に広がります。

★ミネルバ大学は、私立中高の教育にC1英語とPBLとSTEAMを盤石のものにする影響を与えてきました。フィールドワークとオンラインというハイブリッド空間での教育に拍車をかけるでしょう。メリットの方があります。

★ZEN大学が本当に稼働するとしたら、私立中高にも既存の大学にも打撃を与えます。もはや高校卒業資格に74単位も必要がなくなるし、大学もミネルバ大学のオンライン教育をデフォルメするわけです。政府のムーンショット計画の時空を超える生活というものとマッチしてしまいますから、従来の学びや研究の常識を覆すことになります。これはだれにとってメリットなのかデメリットなのか熟慮・熟議するのが良いでしょう。未来はしかし、この方向を進める可能性の方が大です。

★そこで全日制は、74単位のうち36単位は柔軟に活用できるようになりました。しかし、まだ実際には動けていないですね。もっとも、柔軟にせざる得ないでしょう。

★このような時代です。経済道徳合一説の≪私学の系譜≫が再び動き出しています。社会の不安や壁を無化し希望に変える私立学校の動きです。

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2024年5月19日 (日)

立教大学 2026年度から環境学部を新設 文理融合、国内外のフィールドワーク、リベラルアーツ、リーダーシップ、etc.

★今月、立教大学は、2026年度から「環境学部」を新設するとリリース。文理融合ということですが、理系的技術というより理系的発想がベースのような感じです。文科省の理系人材不足解消の政策「大学・高専機能強化支援事業」の一環でもあります。

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★グローバルリスクの中の地政学リスクや気候変動リスク、またそれらも含む複合的な理由による「不安」に囲まれた人間関係のハラスメントリスクなど解決が切迫しています。新設の環境学部は、環境分野のリーダーシップを発揮できる人材の育成を目的にしているようですから、これらすべてのリスクを回避する政策やアクションを想定しているでしょう。

★したがって、国内外のフィールドワークも予定されていて、本格的なリサーチ・リーダーシップを発揮しようという学生が集まってくる期待が高まります。

★香蘭女学校は、すでに立教大学と系属校推薦における推薦枠数を2025年度立教大学入学予定者から160名に増員する締結をしたことを発表しています。1年タイミングがズレていますが、香蘭女学校にとっても環境学部新設は知の選択肢が増えるのですから大歓迎でしょう。

★文理融合というのは、リベラルアーツ的発想が前提ですから、立教大学にとっても、文科省の政策は大歓迎ということでしょう。

★これで、ますます中高時代は、PBLなどによるリサーチの基礎、高度英語力、ICTなどDX力などは盤石にしておく必要があるということでしょう。できれば、PBLはリベラルアーツを背景に埋め込んでおいて欲しいということでしょう。

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