スポーツ

2021年4月 6日 (火)

非属の才能教育(03)伊達公子さんに学ぶコト 才能と普遍性

★かえつ有明のAjiki先生がシェアしていた記事を読みました。ありがとうございます。それは、Sports Graphic Number2021/04/05の <留学も英才教育もなし…それでも“世界4位になった”伊達公子に聞く「部活から世界に羽ばたくことは可能ですか?>」です。

★伊達さんのパイオニア的なテニス界へのデビュー。海外などエリート教育をうけたわけでなはく、同記事では「純国産選手」という表現を使っていました。規格外の世界で活躍できたトッププレイヤーは、いかにして生まれたのか?同記事はそうこに焦点を合わせています。詳しくはお読みください。

★その中で、私がなるほどと思ったのは、誰もがトッププレイヤーになることはできないけれど、それでも、その可能性に立ち臨むのはよい。とはいえ、高校時代は4Cを身に着ける普遍的な勉強もした方がよいのだというくだりです。そして、次の言葉は、極めて現実的でキャリアデザインを考えるうえで、とても参考になります。

 「テニス選手のキャリアは他の職業に比べて短く、その後の方が長い。高校時代は伸びる時期なので、テニスに費やしたいと思うのは当然です。ただ、テニス選手に求められるスキルはたくさんあるなかで、学校の勉強がコートの中にも還元される。学ぶ時間は確保する方がいいと思います」

★4Cは、私たちはPBLの中で大切にしている能力ですから、ちょっと驚きました。この能力について、同記事では次のように記述されています。

 <「教育のなかで大切な『4つのC』があるというのが、私に響いたんです」と伊達は言う。「4C教育」は、米国の教育省がアップル社、マイクロソフト社、その他20の機関および教育専門家たちと連携して提唱したロジック。

 その「4つのC」とは、Creativity(創造性)、Critical thinking(論理的/客観的思考)、Communication(意思疎通)、そしてCollaboration(協力・協調)だ。

「創造することと、自分のアイディアを伝えていくことがコートの中では必要だし、それを判断していく力も大切。どれ一つをとっても、テニスにおいても必要な要素だと思ったので、ジュニアと接するときには、同時にこれらの要素も育てていかなくてはいけないと思いました。かっこいいフォームで打つだけでない部分の大切さを、ジュニアの時から育てていかなくてはと思ったんです」

★プレイというのは、創造的だし、自分のアイデアを伝えていくことなのだというのは目からウロコでした。最近保健体育科の重要性をますます感じているだけに、同記事に勇気づけられました。Ajiki先生ありがとうございます。

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2021年3月14日 (日)

wish自由とwill自由(01)争い事と交渉事

★世の中は、いつも自由と規制の葛藤で混乱を生み出します。これは解決困難で、できたためしがありません。ですから昔から種類や方法は千差万別ですが、争いごとは絶えないわけです。しかし、同時にそればかりだと、人類は滅んでいますからそうなっていないということは、交渉をしながらなんとか均衡を保つ時間があるということです。

★そのうちに、解決する争い事もあれば、別の新しい争い事が起きることもあるというわけです。再び交渉がはじまるわけです。壮大な歴史も人生としての歴史も、争い事と交渉事の連続であるわけです。それゆえ人生は物語そのものなわけです。そして、この交渉事が対話術によって行われる時、均衡の時間は長持ちします。これについては、いずれ述べます。

【図1】

Wish

★さて、争いが絶えないのは、個人が普遍と特殊をどう考えているか違うからです。普遍を社会、特殊を個人と置き換えたとき、社会の中の個人としてとらえることもできるし、その社会の中に納まっているのは窮屈だ、そんなの関係ないと社会と個人は別々だと捉えることもできます。

★この考え方の違いで争い事が起こるわけですね。中世以来の普遍論争という哲学的闘争もその一つです。哲学論争であれば、それは議論として尊重していられるわけですが、ことそれが戦争となるとただ事ではないのです。この違いが宗教戦争を起こしていたことは、世界史を見れば明らかです。

★ですから、議論や戦争に一定の解決策を講じるために交渉をする時間というのが必要だったのです。デイヴィッド・ヒュームが倫理の条件に時間をセットしたのは、まさに当時の経験の観察からでてきたのでしょう。ヒュームに限らず、哲学者たちは、戦争とパンデミックにいつも迫られていたからです。そして、この環境は今も続いていることは、いまここで私たちが実感していることです。したがって、この倫理と時間の問題は現代社会でも継承されています。交渉にかける時間を重ねることの重要さですね。

★授業は交渉というより、対話ですが、この対話なき長時間の講義形式の授業は、実は倫理上問題だという気づきも生まれつつあります。オンライン授業の中に対話のシステムがなく、オンディマンドだけだと何か変だと大学の学生はクレームをあげます。今回のパンデミックで、それはメディアでもSNS上でもあふれました。これを無視すると倫理上の問題が起こることは、もはや説明するまでもないでしょう。

★何か事件が起きたとき、初期対応で謝罪が送れると、法律上の訴訟はあまりおきませんが、倫理上の問題は追究されます。この謝罪が交渉術的にとらえるか対話術的にとらえるかで、また問題の現れ方は違いますが、それについては、また改めて。ともあれ、時間というの概念は、たんなる物理的な意味だけではなく、倫理的なそしてもちろん感情も関係しているわけです。このような時間概念をもつかどうかで人間かそうでないかが区別できるかもしれない程です。

★というわけで、上記の【図1】のように、普遍と特殊の集合論的な関係は、対話によって循環するわけです。この図の中には、3つのタイプの関係があります。違うタイプの考え方をしている社会と社会、個人と個人、社会と個人が対立するわけですから、交渉によって、つまり、この考え方をグルグル回していくうちに3つ目にステップアップすることで、普遍性と特殊の共通点を見出すことができます。ここでようやく、妥協していくというわけです。こうして、自由の安心安全が紡がれるわけですが、これはしかし、油断していると、もとに戻ってしまい、また交渉するということの繰り返しになるわけです。

★元の木阿弥なんて言葉がすでに存在しているわけですし。

★これは、常に一つのタイプを続けていると自由になりたいという意志がこみあげてくるからですね。この自由を私はwish自由と呼びたいと思います。今の束縛、つまり共通性という普遍性から逃れたいという自由ということです。

★これに対し、wish自由はローカル普遍に自分を適合したいとか適合させたくないとか、普遍に適合させる自分の自由にこだわっているのに気づき、なんだそもそもローカル普遍を見直して、新しい普遍を創ってしまえというのが、will自由です。

【図2】

Will

★【図2】のように、wish自由の循環から飛び出るわけですね。起業家精神が大事だなんていうのがトレンドなのは、wish自由からwill自由へということでしょう。創造思考が大事だとかアート思考が大事だとかプロジェクト思考が大事だとかいうのもそうですね。

★wish自由循環は、演繹推論と帰納推論で正解がある程度あります。しかし、will自由は、正解はありません。あくまで仮説推論です。したがって、wish自由論者から見れば、訝し気に思われてしまうのは、will自由論者の運命なのです。

★しかしながら、運命に身を任せていると、will自由論者は独善的・独裁的になりがちです。万能感に溺れると大変なことになります。自分ひとり溺れているうちは問題はありませんが、普遍性を創るわけですから、周りも巻き込まれます。それゆえ、クリエイティブシンキングには、クリティカルシンキングが欠かせないということです。2つのWと2つのCがダイナミックに交差するのがシステム思考なのです。

★完璧なwill自由とか完璧なクリエイティブシンキングとか、多/他から独立したものを求めると、関係を断ち切る要素還元主義に自ら陥没していくのです。

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2021年1月26日 (火)

聖パウロ学園の保健体育 ポストコロナ時代に大切な役割を担う

★先日、聖パウロ学園の廣瀨先生の保健の授業を拝見しました。ちょうど感染症と免疫がテーマの講義が行われていました。3密を避けるために、いつものペアワークやディスカッションはできません。そこで、興味と関心を生徒1人ひとりの内面に生み出すために、ストーリーテリングというアクティビティで授業を展開していました。

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★今回のパンデミックの感染拡大状況をグラフなどのデータの読み取りで復習しながら、今後ワクチンによって新たな感染防止策が現実化しそうなので、「免疫」のシステムにストーリーは移行していきました。

★そこで、驚いたことに、5種類の免疫を5レンジャーのそれぞれのキャラクターに置換えて物語を話していったのです。生徒の反応はもちろん上々です。また、免疫を漫画で解説している本からもエピソードを挿入するような展開で物語っていました。

★また、感染症や免疫について自分ゴトとしてとらえる仕掛けとして、「現代免疫低下リスクチェック」で、リフレクションするシーンもありました。緊急事態宣言が再び出ている中で、授業でディスカッションができないのは、もどかしいところだと廣瀨先生は語ります。

★しかし、生徒は、グラフと言葉を置き換えたり、物語というメタファーで免疫システムを学んだり、論理的思考力をフル回転させていました。またリフレクションシートではクリティカルシンキングも養っていました。

★保健の授業こそ思考力を大転回させることになるのだと改めて気づき、感動しました。

★そして、保健のテーマが、公衆衛生やヘルスの問題などSDGsにも直結していることにとても重要な学びがここにはあると感じました。

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★それは、聖パウロのMFO=Men for Othersという精神と各教科の知を生徒1人ひとりが、自らの身体と脳神経と循環システムによってつないでいるという重要な学びのコーディネートを行ているということではないかと。

★また、ポストコロナの時代は、医療従事者をサポートする役割も免許に盛り込まれたりするのではないだろうかとかスポーツトレーナーやスポーツカウンセラーなど幅広い仕事が保健体育教師に望まれるようになるかもしれないと思ったりもしました。フィジカル、ソーシャル、メンタルという3側面をつなぐ医療的サポートの資格が保健体育科の先生方に求められるような気がしました。

★負担ということではなく、それだけ重要な科目だということです。

★実際、他教科とのコラボレーションもできそうです。授業終了後、廣瀨先生と対話をする中で、次のようなつながりが広がるという話になりました。すてきですね。

❶免疫システムをキャラ化し物語に置換えている→国語科と連携できる。
➋免疫システム→理科と数学と連携できる。システム連関図や統計データなどで。
➌多様なスキル→視野を広げ探究へのきっかけづくりになっている。→探究やキャリアデザイン教育につながる。
❹感染症を通して自分の問題、社会の問題への気づきを生み出せる。→キャリアデザイン教育につながる。
➎保健体育自体の価値→実技と連携させ非認知能力のベース(=ソーシャル×メンタル×ヘルスサイエンス)を身につけることができる。 

★聖パウロ学園の近隣には東京薬科や北里など医療関連の研究ができる大学もあります。実際そこへ進む生徒もいます。その動機付けは理科だけではなく、保健体育科の授業が大きな影響を与えているということも理解できました。

★教育というのは、実に奥が深い。そして、他教科間で、コラボのための対話ができる聖パウロのチーミングは、他の学校ではなかなか得難い大切なものだと感じ入りました。廣瀬先生、多くの気づきをありがとうございました。

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2019年10月21日 (月)

STEAM教育(01)工学院の生徒 時代を変える 東京ビックサイト「Maker Faire Tokyo 2019」でも活躍

★工学院大学附属中学校・高等学校の生徒が、STEAM教育とグローバル教育で、ダイナミックな活躍を繰り広げています。その活躍そして実績は多様で、生徒1人ひとりの才能が開花する<新しい学びの経験>をたしかなものにしています。とにも、あまりにもダイナミックで、その活躍を追跡するのはなかなかたいへんです。

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(現在は、Fab3Dコンテストに応募する作品を多くの生徒が創っている最中です。クリエイティブな雰囲気に満たされる工学院です。)

★たとえば、2019年8月3日・4日で東京ビックサイトにて行われた「Maker Faire Tokyo 2019」でも大活躍でした。べネッセコーポレーションがプラチナスポンサーとして初出展したブース「School Maker Faire」で繰り広げられました。

★STEAM教育(Science、Technology、Engineering、Art、Mathematicsを重視した教育)を先進的に学びに取り込んでいる学校による作品展示がなされ、イベント2日目の8月4日には、生徒たちによる制作発表と協力企業賞の授与が行われたようです。そして、赤堀侃司先生<日本STEM教育学会幹事 日本教育情報化振興会(JAPET&CEC)会長 ICT CONNECT 21(みらいの学び共創会議)会長 東京工業大学名誉教授>から各校へ講評がありました。

★そのSTEAMに取り組んでいる先進的学校とは、首都圏からは、麻布、聖光学院、豊島岡女子、広尾、そして工学院大学附属中学校・高等学校だったのです。赤堀先生の講評は、こうでした。

「工学院大学附属中学校・高等学校は、おもしろい視点が際立っていました。同校の他の生徒は、フロッピーディスクを入れることで音楽が奏でられるツールを作っていました。これも斬新。古いデバイスと新しいテクノロジーを掛け合わせる視点は素晴らしかったです。」

★賞も「創意工夫賞 株式会社ソニー・インタラクティブエンタテインメント」で、日ごろ工学院が実践している創造力を養う学びが見事に評価されたものとなりました。

★この工学院の創造力を養う2つのSTEAM教育について、10月27日(日)、同校で「第1回21世紀型STEAM教育フォーラム」でワークショップを体験しながらシェアできます。いよいよ偏差値ではなく、創造力育成の学びの在り方で学校を選ぶ時が到来しました。しかも、そのような学びが、大学合格実績まで生成してしまうのです。時代は完全に変わりました。

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2019年10月 5日 (土)

【速報】八雲学園と工学院の代表生徒がラウンドスクエア国際会議に参加

★今、八雲学園の工学院は、インドのインドールのThe Emerald Heights International Schoolで行われているラウンドスクエアの国際会議に参加しています。ガンジー生誕150周年とも重なり歴史的な会議になりそうです。1,000人以上が世界50カ国から集結しているということです。

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(ラウンドスクエア理事長ロッドフレーザー氏と撮影する八雲生)

★今回のテーマは、Sarvodaya ~The world we wish to seeで、Sarvodayaとは、サンスクリット語で「全ての人が進歩すること」を意味するということです。

★各学校の紹介パフォーマンスから始まり、キーノートスピーチは、ノーベル平和賞を受賞したカイラシュ・サティヤルティ氏と世界で初めて市民権を与えられたロボット"The First Robot Citizen"とキランガンジー氏のスピーチが行われたそうです。

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(工学院の生徒はRSの国際会議は、今回が初めてです)

★キーノートスピーチの後は、チームに分かれてディスカッションをしたり、The Emerald Heights International Schoolのボランティア活動や自然体験などを経験していくでしょう。ラウンドスクエアの加盟校のプログラムは極限の体験を通して人間の深い存在意義に気づき、それがゆえ世界を確かなものにしていくリーダーシップを発揮するミッションを身にしみ込ませる学校ばかりです。

★日本から八雲学園と工学院が参加し、日本人も経済システムだけではなく、人間存在という意味から世界を創るリーダーの仲間に参加していく挑戦をしているのです。

★海外研修とか留学とかとはまた違う次元のグローバルな活動がようやく日本でも始まりました。これからますます注目していきたいと思います。

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2019年6月 2日 (日)

聖学院 飛躍的進化へ(2)人材開発と学習する組織をつなぐ聖学院「思考コード」

★聖学院の「思考コード」は、先生方が自分の授業で生徒がどこまで広く深く考えていくのか、どうやって内発的モチベーションを生み出していくのか、自己開示をし、省察(リフレクション)していくのかをモニターするコンパスとして活用され始めている。

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★また、学習する組織として、クリエイティブクラスになるには、思考コードのC軸に沿ったプロジェクトをどのように創っていくのか考える契機にもなっている。この授業デザイン研究会自体、児浦先生は教師力や組織としてのイノベーションを創発するプロジェクトとして成長を見守ってきた。聖学院の人材開発と組織開発のプロトタイプであろう。

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★今回は、吉原先生の社会の授業のスクライビングを行った。吉原先生がご自身の授業を7分間のストーリーにして語る。そして伊藤先生がその話をフローチャート化して転写していく。授業の7分間物語の転換とさらにフローチャートという図式の置換。これらの作業はCoreflection(共省察)でもあり、ズレがあるかないか互いに耳を傾けよく観察するところが意外と重要。

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★そのあと、フローチャートに従って、生徒の学びのスタイルをチームで分析していく。傾聴とか個人ワークとかグループワークとかディスカッションとか生徒の様々な動きが明らかになっていく。

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★フローチャートと生徒の言動の様子の議論が終わり、シェアした後、再びフローチャートに従って、思考コード分析していく。このとき、吉原先生の授業で、生徒はどこまで考え表現していくかその可能性が見える化される。

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★そして、参加者全員がつけた思考コードを各ドメインごとに集計して、割合を計算する。すると、やはり、考える授業であることがくっきり見えてくるし、想像力や創造性も発揮する授業になっていることに改めて気づく。

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★吉原先生の授業は、生徒から大人気なのであるが、それは≪Hard Fun≫で、ストリーテラー吉岡先生の世界に導かれ、さらに主体的に考え抜く力を発揮できるから人気があるのである。

★しかしながら、吉原先生は、中1だから、まだC軸までは考えていなかったが、みんなで振り返ってもらい、自分の授業の可能性に気づいた。挑戦しないわけにはいかないという自分の気持ちを仲間とシェアした。

★今回、児浦先生は、素晴らしい授業もさらなるアップデートができるというのが、聖学院の強みになるはずであると語る。一人でアップデートすることはなかなか難しい。それはスポーツにおけるアスリートと同じである。チームでアップデートしていく協力が大切なのだと。

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★つまり、人材開発や授業力の向上は、そういう協力し合える組織作りが必要なのだと。

★今後、この思考コードを生徒と共有し、そのときの授業のルーブリックを生徒といっしょに創ることもできる。また、ルーブリックを「問い」化することによって、生徒自身が問いを立てることができるようにもなる。

★自己開示、共有共感は、聖学院の生徒はすでにかなりできている。あとは自ら問いを立てることができるよういになれば、おのずと探究活動やキャリアデザインを自分で描けるようになる。

★自分とは何か?という問いをめぐる絶えることのない新たな自分発見の拠点が授業であるのが今後ますます聖学院の強みとなろう。

 

 

 

 

 

 

 

 

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