グローバル教育3.0

2023年12月 4日 (月)

2024年中学入試(06)湘南白百合の海外大学進学準備教育

★首都圏の中学入試は、帰国生入試から始まります。したがって、すでに静かに激しく中学入試は開幕しています。湘南白百合も帰国生を受け入れる学校として有名です。しかし、同校を選ぶ帰国生は、少し志向性が教養を重んじる傾向にあるかもしれません。多くの帰国生はリバタリアニズムの傾向があります。J.S.ミルやハイエクの政治経済志向性ですね。ところが湘南白百合はミッションスクールとして利他主義的価値観がベースにある家庭環境かもしれません。今まではリバタリアン主義が政治経済の中心でしたが、世界の多様なリスク回避のためにこのケアをベースとした利他主義的政治経済発想も注目されています。SDGsの動きはまさにそうです。

【帰国生の学校選択志向性4タイプ】

Photo_20231204081801

★最近では、東大の帰国生対象の入試問題(帰国生対象だから一般的には知られていない)では、グローバル経済の格差を生み出す原因を具体的に分析せよ、そのうえで、グローバル経済でも格差を生まないということは可能なのか考察せよという小論文の問題を出題しているぐらいです。

★それはともあれ、湘南白百合は、帰国生の学校選択志向性のタイプとしてはAに相当します。どのタイプがよいのかということはまったくありません。あくまで受験生の志向性の話です。

★それにきっちり4タイプにわけられません。AとBは共通する部分も多いでしょう。また、Cにあてはまる学校は少ないと思います。

★Aタイプの興味深いことは、同校の米国のリベラルアーツ大学に進学したOGのロングインタビューをご覧になっていただければ了解できると思います。高2まで医学部に向かって学んでいたのが、高3になってシアターアートを学びに米国に行くと決めるのです。日本でシアターアートを学ぶというとすぐに俳優を目指すのかとなりますが、そんなことはないのです。

★ダンスやドラマの歴史や文化人類的見方など、リベラルアーツ的なアプローチをするわけです。その広がりと深さは、湘南白百合のグローバルな探究プログラムにうまく接続していて、帰国生から見たら、湘南白百合はグローバルスクールとして自然体の佇まいを感じるでしょう。

★それにしてもそのOGは、高3になってから海外大学に行くことを決めてハイレベル英語を学んでいくのですが、一気にCEFRでB2(英検で行けば準1級)レベルのIELTSのスコアをとってしまうのですから、湘南白百合のグローバル教育の底力はすさまじいですね。

|

2023年12月 3日 (日)

2024年中学入試(05)小泉信三賞が認める富士見丘の高校生活

★12月1日、第48回小泉信三賞全国高校小論文コンテストの審査結果が発表されました。その2位に富士見丘の高2の宮台さんが栄光を手にしました。このコンテストは、もはや説明する必要がないほど有名ですね。今回宮台さんが2位として認められたことは、実は人生の中で高校時代のあるべき姿の環境として富士見丘が抜群によいのだということも示唆しているのです。

Keio

(写真は、慶應義塾大学サイトから)

★というのも、今回の課題は以下の4つで、そこから選択して6000字から8000字もの長文の論文を書くのです。宮台さんは、3を選びました。

1.物語の力・声の力
2.社会の中の格差
3.人生の中で高校時代はどうあるべきか
4.フクシマ(Fukushima)
5.学問×AI×福澤諭吉

★上記の5つのうち3以外は、個人研究に終始してもできるのですが、3は自分以外に高校の教師、仲間、環境などすべての自分とのリアルな関係性をベースにしなければ書けないので、なかなかハードルが高いはずです。なぜかというと、論文である限り、どこかメタ認知的視点で書く必要があります。

★しかし、3のテーマは、あまりに身近で日々のリアルな生活の中での話ですから、メタ的に俯瞰する視点をもつのは困難です。よほど多角的な視点を持っていなければ6000字以上も書けないでしょう。したがって、それだけ富士見丘の高校生活の時間というのは、宮台さんにとって日々多次元であるはずなのです。

★中1から始まる「個人探究」、中3からはじまるプロジェクト、高1から始まるゼミナール形式のプロジェクト、多様な海外研修やWWLやSGHのネットワーク校との知の祭典など他校では経験できないような多次元の経験がつまっている密度の濃い中高時代の環境をデザインしているのが富士見丘です。

★宮台さんを含め今回の受賞者は、次の通りです。


【小泉信三賞】
浦上 真緒(うらかみ まお)栃木県/栃木県立宇都宮女子高等学校1年【選択課題:5】
「『表層的クリエイティブ』からの脱却~『令和時代の実学』を問う~」

【次席】
宮台 はびる(みやだい はびる)東京都/私立富士見丘高等学校2年【選択課題:3】
「『時』を捉え、『時』を紡ぐ」

【佳作】(五十音順)
青山 直樹(あおやま なおき)東京都/私立海城高等学校1年【選択課題:2】
「若者の貧困への考察 -『官民共同』を通しての解決へ-」

福井 愛朝(ふくい まあさ)千葉県/私立市川高等学校3年【選択課題:1】
「希望の物語、つなぐ声」

宮田 康生(みやた こうき)東京都/私立ドルトン東京学園高等部2年【選択課題:4】
「原発事故を踏まえた福島から考える日本のエネルギーの在り方」

★それにしても1位と2位は女子校の生徒です。世界の先進諸国では共学がある意味常識かもしれません。しかし、まだまだ日本では女性の社会進出にはガラスの天井があります。その中で、今回の結果は、希望がもてますね。

★宮台さんは、この日本のまだまだ女性に対するアンコンシャスバイアスがある社会構造にあって、それを打破する叡智を学べる女子校富士見丘であるべき高校時代を過ごしているのでしょう。日本における女子校の役割はまだまだこれからです。それを宮台さんは証明していると思います。おめでとうございます。

|

2024年中学入試(04)サレジアン国際学園世田谷 画期的な「国際学園」

★サレジアン国際学園世田谷の教頭 小西恒先生、教務部長 村井純先生、インターナショナル推進部長 上田かおり先生からZoom上でお話をお聴きすることができました。その時の模様は、<GLICC Weekly EDU 第153回「サレジアン国際学園世田谷ー世界市民力の育成」>で視聴できます。ぜひご覧ください。

Photo_20231203094501

★今回はっきりしたことは、「国際学園」というのは、私立公立問わず日本中にいっぱいあります。その中で、最も先鋭的なそして海外大学進学でも相当な実績を出している「三田国際学園」に最も近い教育を行っているのがサレジアン国際学園世田谷だということです。

★ですから、三田国際と共通した教育の質や効果を生み出すことは間違いありません。しかし、「サレジアン」ですから創設者ドン・ボスコの精神を中心としたカトリック精神がベースです。

★三田国際は、日本の私学人が創設していますから、両校の生徒のメンタルモデルに影響する価値観が違います。

★サンデル教授なら、三田国際を設立した私学人はJ.S.ミルやハイエクに代表されるリバタリアニズム的民主主義的メンタルモデルかもしれない。一方サレジアンは、利他主義的民主主義のメンタルモノデル、つまり共同体主義(コミュニタリアニズム)的なメンタルモデルの影響を生徒は受けるだろうと。

★日本のミッションスクールではない多くの私立学校は、その創設者をたどるとどちらかというとヨーロッパ啓蒙主義か英米功利主義的な理念に基づいています。

★1985年以降中学受験がどんどん拡大してきたその時代のエンジンは新自由主義経済が驀進していましたから、ヨーロッパ啓蒙主義や英米功利主義は、そのデメリットを問題解決しながら、中学受験の流れを創りました。ミッションスクールの中でも、プロテスタントスクールは、もともとマックス・ウェバ―の「プロテスタンティズムの倫理と資本主義」にあるように、このような経済の流れに親和性があったと思います。

★ところが、カトリック学校は、利他主義的ですから新自由主義的な貧困格差を生み出す流れに控えめでした。それがゆえに、徐々に人気が失われていきました。そのために、そこを脱するために幾つかのカトリック学校は、東大にたくさんいれることによって、それを盾にカトリック教育を持続可能にしようとしました。しかし、東大の定員は3100人くらいなので、そこに合格させる教育にはおのずと限界があります。カトリック学校の中で人気格差がついてしまったのです。

★しかしながら、2011年の3・11以降、この新自由主義的経済が貧困格差をあまりに生み出してしまったことに私たちは気づきました。そしてそのような流れが徐々に拡大してきたわけです。今では、あの開成でさえも東大の合格者数で学校を評価する時代は終焉したのだと語るようになってきました。つまり、その背景にはSDGsを中心にOne earthの感覚がグローバルリーダーの価値観になってきたということでしょう。1つの地球・1つの自然・1つの人類・・・。なんと利他主義的社会への転換がおきています。

★ここにサレジアン国際世田谷の誕生なのです。であれば、すべてのカトリック学校にチャンスがあるのではと思われるかもしれません。しかし、そうはいかないのです。マインドだけでは世の中の問題を解決できません。スキルが必要です。そのスキルは、しかもAI時代にあっては、そのAIのスキルを凌駕するメタスキルとメタ思考力が必要です。

★つまり、このメタスキルやメタ思考力を育成する教育が21世紀型教育です。

★サレジアン国際学園はカトリック精神と21世紀型教育を結合した画期的な「国際学園」なのです。

★教養や見識のある方は、ICT業界で、欧米はAI時代を黙示録的方向性で問題解決しようとしているし日本は鉄腕アトム的方向性で問題解決しようとしていると語ります。AIに対するルールメーカーは欧米の知であり、AIを実用的なものづくりに転換できるのが日本の知だと。

★これは欧米はソフトパワーで日本はハードパワーだと置き換えられます。これでは、また20世紀日本の社会的枠組みをAI道具で引きずるだけです。ソフトパワーもハードパワーも統合できなければなりません。日本が文系と理系に分けてしまうのは、ハードパワー主義だからです。ソフトパワーは文理融合のクリエイティビティが必要ですが、クリエイティビティはモノにならなければ実装できません。ですからソフトパワーvsハードパワーの構図では格差を生まれてしまいます。

★ここには大きな課題が隠れています。2030年になるとこのソフトパワーとハードパワーの統合価値が表に出てくるでしょう。バックキャストするとサレジアン国際学園世田谷の価値が世界からも注目されていることでしょう。

★21世紀型教育を仲間と一緒に共創した私としては、今後のサレジアン国際学園世田谷の進化をワクワクしながら注視していきたいと思います。

|

2023年12月 2日 (土)

2024年中学入試(03)昭和女子大学附属中学校・高等学校 どこよりも進化する生徒プロンプトエンジニア

★本日14:30から大妻女子で、「生成AIで先生の業務を効率化!学校教員・教育関係者向け生成AI公開研修」が開催されました。主催は、特定非営利活動法人ニュークリエイター・オルグ、株式会社ニュークリエイター。いろいろな学校で生成AIを活用した研修や授業設計、教務の仕事の効率化のコンサルあるいはアドバイスを行っているようです。今回の研修は定員は45名で、会場は満席でしたから大盛況でした。

Abm00016424

(昭和女子大学附属中学校・高等学校の校長真下峯子先生:写真は同校サイトから)

★協力は、大妻中学高等学校で、同校校長梶取弘昌先生、教頭の赤塚宏子先生も参加されていました。実は、東京私学教育研究所の実施する研修の委員会の一つ「学校づくり委員会」の座長が梶取先生で、毎月のように生成AIについて委員の先生方と<インベスティゲイション>しています。

★その梶取先生が協力しているAI関連の研修ですから、これは参加しなくてはというのが、不勉強な私が珍しく参加しようと思った理由の一つでした。それから、もう一つ決定的な理由は、昭和女子大学付属中学校・高等学校の校長真下峯子先生が登壇されるというので、ぜひお聞きしなくてはと駆け付けた次第です。聖パウロの校長小島綾子先生や国語科主任の高橋祐佳先生も参加してくれました。

★第1部、第2部は、生成AIのプロンプトエンジニアリングをベースとした基本的なメカニズムと実際に学校業務に役立つプロンプトエンジニアリングの実習でした。

★帰り道、国語科主任であり、聖パウロ学園のICTのマネージメントをしている高橋先生が、教師の視点から生徒の視点へぐっとシフトしたと大きなヒントを得ていたようでした。

★ようやくプロンプトエンジニアリングという言葉が学校現場にも降りてきたかとほっとした気分になったのが今回の研修の実務的な意義がありました。

★しかし、何より圧巻だったのは!痛快だったのは!真下先生の講演でした。学校におけるDAOの組織の広がりの速度感を感じざるを得なかったのです。生成AIに対する教師の凍てついたアンコンシャスバイアスを解凍する熱い意志と多くの外部団体の協力を取り付ける熱い情熱。

★文系理系なんて区別はそもそもはいのだという迫力。凄いです!しかも、プロンプトエンジニアリングは、問いづくりの妙技だから、言語能力にたけた文系女子には実は理系への道を開く強烈なアイテムなのだと。論より証拠、生徒が1時間の研修である学びのプロンプトを作り上げてしまったのだということです。どんどん生徒がプロンプトエンジニアになる研修を広げるプランニングをしかけているそうです。

★しかし、そのためには組織を動かし、保護者の心を動かし、生徒の才能を開放していくコンセプトとビジョンを描き実行することなのだと高らかに謳いました。

★もちろん、その道はそう簡単ではない。しかし自分の生きている間にそれを果たすのだというなんという気概とミッション。昨日、バンクーバーから帰国したばかりとは思えないくらいインパクトがありました。

★私の知り合いに女性校長が何人かいますが、共通点は21世紀は女性の才能・知性・感性が日本だけではなく世界の閉塞状況を開くのだという強い意志があることです。東京の私立学校は、真下先生をはじめとする女性校長が、グロ-バルでイノベーティブでケアフルな人材をたくさん生み出す人的資本教育経営を推し進めていくのだろうと確信をもった時間となりました!この機会を創ってくださった皆様に心から感謝申し上げます。

|

2024年中学入試(02)富士見丘 中学説明会 参加者大幅増!

★本日午前中から富士見丘は、中学学校説明会とチャレンジ入試体験を開催。同校の人気は右肩上がりです。データではわかっているものの、実際に臨場感をと、説明会の部に参加しました。すると、コロナ前だったら、少林寺の部活の練習場にもなっていった小ホールで行われていたのが、今回は体育館というメインアリーナで開催されていたのです。つまり、小ホールには入りきれないというわけです。

Photo_20231202130501

★実に勢いを肌で感じました。開会まで時間があったのですが、そこで同校の生徒の生活がよくわかる動画が流されていました。2つ動画があって、一つ目はミュージカル風の学校の様子を紹介するものです。在校生がだんだん集まってきて、いろいろな施設ですてきなダンスを披露するのです。もう一つは、学校説明会然としたきっちりした動画でした。驚いたのは、広告代理店が創ったと思ってみていたのですが、途中で生徒が作成したものだと。なるほどSTEAM教育効果がこういうところにも発揮されているのかと感動。

★理事長・校長の吉田先生の挨拶も、壇上からではなく、目線を保護者と合わせる位置から離されていました。もっともこれは以前からそうで、慶應義塾の歴史的なルールですね。おそらく吉田先生の出身大学は慶応なのでしょう。

★みなさんが高校卒業を迎える6年後は、大学入試制度はかなり変わっていて、骨太の記述力や高度な英語力が必要になっていると明快に予想していました。だから、偏差値など気にせず、富士見丘で学びたちという意志を持って受験してほしいと。6年後のみなの夢をかなえられる教育を先生方と一丸となってつくっているのだと。

★そのすぐ後に進路指導について話された関根教務部長は、校長のトークを受けて、そのような準備が今からできているのは、富士見丘をおいてほかにないと言い切っていました。

★国内外の大学進学実績を観れば、それは大いに納得のいく話でした。

★そして、圧巻だったのは、中1生2人による富士見丘の学園生活のプレゼンでした。特に驚いたのは、授業で使われているロイロノートのアプリを使いながら、どのように個人探究と協働探究が授業の中で行われているのかその操作とプロセスを説明していたところは時代の変化を印象付けました。

★中1でこれほどまでだと高3になったらそりゃああのような大学の修士レベルのディスカッションや論文を書けるようになるはずだよと一人納得していたら、理事長補佐・校長補佐の吉田成利先生から、速報メールが届きました。今年の慶應義塾大学の論文コンテスト小泉信三賞の2位が同校の高2の生徒だったというのです。

★小泉信三賞は、慶応大学だけではなく、他の大学でも総合型選抜の時などのプロフィール要件としては大きなアドバンテージがあることで有名です。このことについてはまたいずれ書きたいと思います。

★このように、あらゆる機会を自分の探究を広め深めるチャレンジの場として超主体的に活躍するするのが富士見丘の生徒だし、一人一人サポートする同校の先生方なのです。

★学校をいま目の前の偏差値で選ぶのか、6年後の未来から選ぶのか。受験生の保護者にとっては、いよいよ意志決定の時期です。がんばってください。

|

2023年11月28日 (火)

東京家政大学附属女子中学校・高等学校 KASEIからSEKAIへ グローバルとICTと愛情

★知人の教育関係者から、東京家政大学附属女子中学・高等学校(以降「東京家政大」)が、ダイナミックに変化していると聞き及びました。検索してみると、首都圏模試のサイトに「東京家政大学附属女子中学校・高等学校2023 海外留学を充実させKASEIからSEKAIへ」という記事が掲載されていました。リード文にはこうあります。

「東京家政大学附属女子の学び140年以上の歴史を持つ東京家政大学附属女子。建学の精神「自主自律」できる女性を育てるために、生活信条「愛情・勤勉・聡明」を掲げています。2020年度からは国際バカロレアの中等教育プログラム候補校として認定され、"KASEI"から"SEKAI"へ向けて、大きな一歩を踏み出しています。」

Photo_20231128081201

(写真は首都圏模試センターのサイトから)

★中等教育段階のIBのプログラムの候補校になっているというのは、たしかにすごいことです。「愛情・勤勉・聡明」とIBの10の学習者像が統合されてもいて、世界標準の教育を確立しつつあるということが予想できます。実際、記事を読んでいくとその通りです。

★しかも、生徒によるアドミッション・スタッフーチームが、中学から高校まで連綿とつながっていて、自分の学校の魅力を伝えるだけではなく、受験生や保護者の心も受けとめるおもてなしの心、つまり同校の理念の1つ「愛情」が伝わるアクションまで起こしています。

★主体的・対話的で深い学びがまずは身近な自分の学校の魅力を受験生・保護者と共有するところまで発展しています。実際、スタッフの一人の女子生徒は、将来はマーケティングをはじめ経営学を学びたいと語っています。いまここでのアドミッション・スタッフのアクションが生涯の学びにもつながる「聡明」な知恵が育っています。

★キャンパス内のビオトープもコンクールで何度も入賞を果たすほど、SDGsの根源的な課題解決に「勤勉」に立ち臨んでいるわけです。

★四季折々の自然の変化をキャンパス内で感じられるAWE体験をベースに島皮質も非認知能力を豊かにするように刺激されているでしょう。

★自然と社会と人間関係の循環は、これからの激変する社会において希求されていることです。つながりの分断が進んでいる今日ですが、その循環を生成する人材を同校は輩出するだろうと、記事を読みながら感じ入りました。

★そして、この記事は今年の5月に掲載されているので、最近の新しい情報は書かれていないのは当然です。知人によると、まだ発表はされていないので、詳しくは話せないけれど、「愛情」の育成部分にDXを融合さるらしいと。エッ!と驚きました。しかも「勤勉」「聡明」の部分はすでにそれは果たされていると。

★たしかに、新しいDXハイスクール構想が文科省からも発表されていますから、その流れを先にきちんとつかんでいるということは大いにあり得ます。東京家政大の大変貌ぶりに期待です。今後目が離せませんね。

|

2023年11月18日 (土)

八雲学園のシン・グローバル教育 新/真の物語が始まる

★昨日、<GLICC Weekly EDU 第151回「八雲学園のシン・グローバル教育」>で、同校副校長菅原久平先生がご登壇。ROUND SQUARE SCHOOLとしての八雲学園の理念<IDEALS>をコンセプトレンズとして、八雲学園全体の具体的な教育の機会と環境を映し出すという、どこの学校も話したことがない本邦初の物語となりました。

Yakumo-ideals

★このIDEALSという理念は、<Internationalism><Democracy><Environmentalism><Adventure><Leadership><Service>のイニシャルをつなげたフレーズです。八雲学園が、この海外のエスタブリッシュな私立学校連盟であるROUND SQUAREの加盟が認定されるのに2年間ほど審査を受けました。加盟の条件は、このIDEALSの理念をすべて教育の中で実践しているということです。ですから加盟をしてからやりますでは加盟できないのです。このことが意外と受験業界では知られていないことです。

★ですから、多くの学校の国際理解教育とかグローバル教育というのは、この6つの構成要素のうちの1つである<Internatinalism>という個別解の話で、IBの生みの親クルト・ハーンが私立学校にこの理念を託してつくったのがROUND SQUAREです。いわば、国連の教育の全体の指針を支える実践の場です。その経緯は、第二次世界大戦を二度と起こさないためにと、クルト・ハーン自身の壮絶な経験の中から生まれたものです。

★世界標準のグローバル教育は、この6つの要素の関係総体でできあがっていて、その一つの<Internationalism>の軸だけで行われるものは、世界標準とはいえないのです。このことは、日本から見ているとわかりにくいですね。やはり世界から眺望してみる機会と環境がふんだんにないとなかなか見えません。そして、それが英語の教員だけでが創っていくのではなく、教科横断的にすべての教員がその海外プログラムにかかわることによって見えてきます。八雲学園は長い間、いろいろな海外のプログラムにすべての教員がかかわってきたので、それがもともと見えていたということが、ROUND SQUARE加盟認定の決め手の大きな要素だったでしょう。

★今回は、この6つの要素が、絡み合いながらですが、八雲学園の日常の教育と4つの特徴的な教育にどう反映しているのかを菅原先生が語ってくださいました。かなり具体的に抽象的なコンセプトが体現されているトータルな話です。シン・グローバル教育、つまりこれは本当に新しいグローバル教育のコンセプトだし、真のグローバル教育だということがわかります。

★中1段階で、アルファベットから学ぶ生徒が、高3段階では、CEFR段階のB2,C1、英検でいえば準一級、一級に到達する生徒がどんどん増えています。国内の段階では、CEFR基準でB1でアドバンテージをとれますから、ここまではほぼ全員が到達するでしょう。

★八雲学園は、CEFR基準でC1を目指していますから、当然そうなりますが、それはIDEALSを実現するために必要なのです。なぜなら、CEFRはいわゆる4技能に「対話」の技能もいれているからです。ROUND SQUAREの国際会議では、バラザという対話がキーパフォーマンスですから、対話の高い能力が要求されるのです。

★「対話」は、IDEALSという6つの関係総体を生み出す時のキーコンピテンシーでもあるのです。

|

2023年11月17日 (金)

工学院の共感的コミュニケーション 哲学シンキングと響き合う

★昨日、工学院大学附属中高の教務主任田中歩先生とゆっくり対話ができました。田中先生は、工学院の教師の人的資本を豊かにするため、共感的コミュニケーションを教師と生徒の共通ホームベースにしています。講義型とPBL型の両方の授業で、本質的な基礎学力(実は文科省は、学力の3要素を基礎学力としているから、知識・技能のみならず思考力・判断力・表現力や主体的な学に取り組むアティチュードも基礎学力に含まれる。基礎学力を知識暗記というイメージは通俗的幻想にすぎない)を生徒が自ら組み立て行けるように仕掛けを教師と生徒と共にみんなで創っています。

Img_5749

★そして、中野校長は、その機会と環境をサポートしているわけです。このことは、最近経済界とか金融市場で話題になっている「人的資本経営」と重なります。同校の専任は60名強だと思いますが、そのうち20名弱は20代から30代でしょう。この年代の教師の人的資本を豊かにすることも自分の使命だと歩先生は語ります。

★ですから、定期的に歩先生がファシリテートして研修も行っているということです。共感的コミュニケーション、PBL、思考コードなどシェアリングすることが目的でしょう。もちろん、学外の研修もあります。何せ外部のスタッフとコラボしながら国内外で行う生徒の学びのプログラムが多いので、そこで同時に教師は自己マスタリー出来てしまいます。

★話を聴いていておもしろいのは、自分が引っ張っていくというより、環境デザインをして、教師も生徒も自走していくモチベーションを生み出すアフォーダンス型のファシリテーションをしていることです。

★外から見ていると、それぞれに動いているように見えるので、20世紀型教育観、大学合格実績至上主義の方が見たら、自由過ぎるとか、みなが同じ標準的なスキルを活用していないと思われることもあります。

★私は、新しい学びや生徒1人ひとりの才能を自らそして協力し合いながら磨いていく愛情を持っているかどうか、リトマス試験紙だなと思うわけです。工学院をどのように多角的に見ることができるかどうかが、教育ジャーナリズムの未来を結構決めるインパクトがあると思うわけです。

★学びをデザインする方法論は多元論です。それぞれが活用し、互いにいいとこどりし、インテグレートしていく共感的コミュニケーション環境こそ、多様なグローバルリスクに接しながら生きている教師にも生徒にも役に立つはずだと歩先生は語ります。

51cazrlv8ol_sy445_sx342__20231117090701

★そして、田中歩先生は、もともと英語科主任で、今のケンブリッジインターナショナルスクールやラウンドスクエアとの連携の基礎を創ってきました。おもしろいのは、これらの海外のカリキュラムやプログラムには、哲学があります。またIBのTOKなどの研修などでも学び、それもやはり文化人類学的で哲学的な要素があると感じていると。

★したがって、工学院の英語の授業の中には、イギリスベースの哲学的な授業があります。ですから、私が吉田幸司さんの哲学シンキングの話を以前したら、さっそく読んで、なるほどシンクロするところがあるなあと。

★そして、研修などで、このような考え方もメタ的な視点としてプロジェクトにできるかもと語っていました。

★つまり、人的資本の1つでもある「変化に対応できるサバイバル思考の可視化」ができると。それはまさに人的資本の経営の手法だなあと。

★今年もまだ具体的な発表はできないけれど、海外の大学進学はおそらく驚きますよと、その中には医学部もいくつかありますと。国内の大学も期待していてくださいと。生徒にとって自ら見出す未来の1つの足掛かりとして大学進学のサポートももちろんしているのが工学院なのです。

|

2023年11月15日 (水)

高等学校DXハイスクール 令和5年度補正予算額100億

★<全国1000校超「DXハイスクール」に デジタル教育拠点>(日本経済新聞2023年10月26日)という記事がでて、今月になって数日前に閣議決定されたようです。すでに文科省は、昨年GIGAスクール構想の一環としてDXリーディングスクール事業を実施しています。東京都は都立高校に対しDXリーディング指定校を認定して事業を展開しています。

Dx

★小中学校は、昨年段階で90%強は、一人一台体制になったということですから、いよいよ高校も加速させようということでしょう。日経によると、大学における理工系学部の増設などデジタル分野の高度人材を育成する流れに高校がうまく接続するようにという意図がありそうです。

★DXというワードがトレンドだからGIGAではなく、DXになったのでしょうが、実はGIGA」は「Global and Innovation Gateway for All(全ての児童・生徒のための世界につながる革新的な扉)」の略です。どうやらDXはたしかにWEBにつながればグローバルな世界につながりますから、あえてグローバルというコトを取り上げる必要はないのかもしれません。

★しかし、ちょっともったいないような気がします。グローバルとイノベーションの合力がどのように設計されているのか、あるいは設計するのか、哲学シンキングする必要がありそうですが、ともあれ1000校に1000万の補助金がでるのですから、それは各学校が考えればよいのかもしれません。要するにDXハイスクールは、むしろ物質的なDX環境に特化していると明快にし、その背景のGIGAのコンセプトがはっきりすればなあと。

★タックスペイヤーとしては、そこのところがなんとかなってほしいなあと。少なくともたとえば、こんな感じで生成AIに尋ねてみて、でてきた回答に対し、GIGA構想はどれくらい対応しているのか、対応しない場合どう脱構築するのかなど哲学シンキングしてもらえる委員会があるといいですね。bingに問うてみました。

 「グローバルマインドとイノベーティブな発想の合力はどんな感じですか?」


グローバルマインドとイノベーティブな発想が合わさると、非常に強力な結果を生むことができます。グローバルマインドは、異なる文化、価値観、視点を理解し、それらを尊重する能力を指します。一方、イノベーティブな発想は、新しいアイデアや解決策を生み出す能力を指します。これら二つが組み合わさると、以下のような効果が期待できます:

多様性の活用:異なる背景や視点からのアイデアを受け入れ、それを新たな解決策に結びつけることができます。
創造性の向上:異なる文化や視点から刺激を受け、新たなアイデアを生み出すことができます。
問題解決能力の強化:グローバルな視野を持つことで、地域や国を超えた問題解決が可能になります。
したがって、グローバルマインドとイノベーティブな発想は、個々の強みを最大限に活用し、より広範で効果的な解決策を生み出すための重要な要素と言えます。これらのスキルを持つ人々は、ビジネス、科学、芸術など、あらゆる分野で価値を創造することができます。

「哲学シンキングはどんなかかわりを持ちますか?」


哲学的思考は、我々が世界を理解し、問題を解決する方法に深い影響を与えます。哲学的思考は、以下のような特性を持つことが一般的です:

批判的思考:哲学的思考は、情報を分析し、論理的な結論を導き出す能力を強化します。これは、事実と意見を区別し、偏見や誤解を排除するのに役立ちます。

問いの探求:哲学的思考は、深い問いを立て、それに対する答えを探求することを奨励します。これは、新たな視点や理解を開くのに役立ちます。

倫理的判断:哲学的思考は、倫理的な問題に対する洞察力を深め、より良い道徳的判断を下すのに役立ちます。

これらの要素は、グローバルマインドやイノベーティブな発想と組み合わせることで、より深い理解と洞察を得るのに役立ちます。例えば、哲学的思考は、異なる文化や価値観を理解し、それらを尊重するグローバルマインドを深めるのに役立つかもしれません。また、哲学的思考は、新しいアイデアや解決策を生み出すイノベーティブな発想を刺激するかもしれません。

したがって、哲学的思考は、我々が世界を理解し、問題を解決するための重要なツールとなります。これらのスキルを持つ人々は、ビジネス、科学、芸術など、あらゆる分野で価値を創造することができます。

★もしGIGAスクール構想が、bingが回答した点をすべて網羅しているのであれば、たしかに日本の教育は変わるし、未来をつくる子供たちの成長に希望があるでしょう。

|

2023年11月 5日 (日)

中学受験の二つの意味 どちらを選ぶか?

先週金曜日、GLICC Weekly EDU 第150回「ロンドンから見た<ヤバイ>中学受験の二つの意味」がありました。今回は、ロンドンにも拠点を設定したGLICC代表鈴木裕之さんに私から聞いてみたいことを中心に対話しました。「ロンドンからみた」というのはメタ認知するという意味が含まれていますが、メタ認知を同じような考え方や文化の中で作動させても見えてこないコトもあります。ですから、文化の違うロンドンという拠点からみたらどう中学受験が映るのか、また言語が違うと社会意識や文化、価値観が異なるので、英語を使用する学びから見るとどう映るのかという視点でみてみようという意味があります。

Photo_20231105092101

★<ヤバイ>という言葉を使ったのは、この言葉はネガティブな意味でもポジティブな意味でも使われている現代語だからです。中学受験をネガポジでみてみるとどう映し出されるのか対話しました。

★もちろん、受験生保護者だけの目でみるかだけではなく、塾もどちらの目で見るか、私立学校も現実的にはどちらの方針なのか複合的に見ていく必要があります。

Photo_20231105094301

★上記のように、組み合わせ的には8通りありますが、グラデーションで見ていくと無限になりますね。とはいえ、実際にはAタイプかBタイプかEタイプかFタイプが多いと思います。

★A・Bは結局流れを創ろうタイプに重きがあり、E・Fは乗り遅れるなタイプに重きがあるのでざっくり2つに分けることができます。それゆえ、今回の対話の段階は、そこはざっくり両極端の意味で対話していきました。

詳しくは、ぜひご視聴ください。1.5倍速で早回ししながら見て頂けるとありがたいです。何せ、お爺ちゃんお話は長いので(汗)。

★いずれにしても、今回は、5つの目を身につけられる中学受験の学びをしたいし、5つの目を身につけられる学びを体験できる学校を選びたいというのが結論です。

★5つの目は、思考力・判断力・表現力のベースです。哲学シンキングのベースです。IBでいえば、TOK的な発想のベースです。サバイバルスキルのベースでもあります。

|

より以前の記事一覧