グローバル教育3.0

2020年8月 9日 (日)

工学院インパクト(06)生徒1人ひとりの価値を生み出す教師と生徒のチームワーク。 誰も置いていかない、出来ることはなんでもやる。

★世の中、これからの組織は、ティール組織だとかボトムアップ型組織がよいとか、トップダウン型組織ではダメだとか、いろいろ喧しいですが、そんな議論から始めるのではなく、いまここでどの生徒も置いていかないで一人ひとりがみな自分の価値を生み出すためには何が必要か何ができるのか考えて行動する教師ばかりの工学院は、取材に行って本当に心が晴れ晴れします。

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★学習理論がどうのこうのではなく、いまここで生徒が目を輝かす学びの実践を理論化する。つまり生徒と一緒に学びながら最適な学習理論も創ってしまうアクションを俊敏におこしている教師と生徒のチームワークにこそ、つまりすでにここに未来の教育があります。

★もちろん、どこよりも工学院の先生方は最先端の学習理論を学び、ICTも駆使し、グローバルな経験もしています。そのうえで、理論武装するのではなく、実践をするのです。学んだ理論は実践の中でアップデートしてしまいます。

★とにかく教師は、目の前の生徒の価値を高めるためには、できることは何でもやるんです。やりすぎて押しつけになるかもしれませんが、それは生徒がそう感じれば、先生ちょっと待った、そこからは私がやるからと。ああ、そうだったねと。こういう対話ができるから、1人ひとり違うことがわかるのです。

★逆に、手放していると、生徒の方から、お~い、先生、先生、放置しすぎだよと。すると、そうかやっと出番だなと目を輝かせてかけつける場合もあります。互いに今必要だよあるいはいまはいらないよということをオープンに対話ができる状態が共感的コミュニケーションの広がりです。

★もちろん、教師は全知全能ではないですから、いろいろな情報や外部のリソースと結びついて、協力し合いながら生徒1人ひとりの価値を生み出すハイパーループを生み出していきますが、どこまでも生徒1人ひとりの行く末を引き受けるのが工学院の教師です。そして生徒はそのような教師を信頼しています。もちろん、不満も言うんです。賞賛もするんです。悔しがりもするのです。助けて欲しいというときもあるんです。

★だから、いつも教師はバタバタです。生徒のためですよ。「~のため」とかは押しつけがましいとかよく言う方がいますが、今目の前で必要とされていて、動かないほうがどうかしています。

★今日も一学期のまとめのグローバルプロジェクト(高2)の事前学習だというので、取材というより様子を見に行きました。すると、先生方は神出鬼没で、何人もの先生が、すれ違いざまに、こんなことを今日はしているんですと情報を提供してくれるのです。基本先生方は小走りで前のめりです。

★昨年から、工学院の教育の総まとめというか総動員というかとにかく大きな渦がダイナミックに回転するプログラムであるGP(グローバルプロジェクト)が行われています。英語とICTとPBLという基本スキルを使って、1年かけて実際に社会貢献活動や起業をしてしまうプロジェクトです。

★アメリカやバングラディシュ、タイ、カンボジア、沖縄など現地に行って、そこで何が必要とされているのかフィールドリサーチをしていきます。多くの方々にインタビューし、自分たちができることは何か探っていきます。そして現地の人々と協力して事を成します。高1・高2の前半までに探究論文をこれまた全員が行います。

★ですから、同時並行的に、チームで探究どころか、実際に社会実践を創り出してもいくのです。論文も大事ですが、そこから発展して、社会の中で自分の学びや探究がどう生かせるのか?事前学習で、間口を広げ、気になる論点を深堀していきます。

★自分たちだけのメガネでは、見えないものもあるので、各エリアのコーディネーターの講義とワークショップも経験します。今回はこの講義とワークショップを受けていたようです。

★自分たちは調べ尽くしたと思っても、現地の方から見れば、まだまだです。生徒は自分たちの視野を広めるためにもっと足場を広くしようと感じたでしょう。そうやって、情報を広く深く探りながら、ある程度仮説を立てて現地にいきます。そして、そこでその仮説は創造的に破壊されてしまいます。この強烈な限界を超えるような体験こそ、未来から自分の像がはっきり映しだされるのでしょう。

★さて、今回は昨年と違って、コロナ禍にあって、海外渡航はできない状況になり、事前学習は途中で変更になっています。しかし、どこに変更するかは、生徒がある程度企画提案するところから始まったようです。あるチームは、バングラディシュと八王子と京都の共通ビジネスに気づきました。そこで、海外に渡航できないので、今のところ京都フィールドリサーチを考えているようです。

★結局八王子の産業再構築のヒントを見つけたことになります。いろいろ関係を結合していくことによって、隠れている新たな結びつきが見つかる瞬間ですね。フィールドワークによって、もっと驚愕すべき事態に変容していくのでしょう。

★今回、チームによっては、現地からこられないコーディネーターとは、Zoomで講義を聞いたりワークショップをやっていました。

★眼前に立ちはだかる壁をいかに乗り越えるかチームで話し合い行動にうつしているわけです。

★このような環境を教師と生徒がデザインしながら行う総合的な工学院教育の結晶がGPなわけです。

★いずれ、生徒のみんさんにインタビューする機会を雨宮先生がつくってくれるということですから、楽しみにしています。たぶん、Zoomインタビューになると思いますが。

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2019年12月14日 (土)

工学院大学附属 痛快破格なグローバルプロジェクト!

工学院大学附属中学校・高等学校のブログをみると、日々タイやカンボジア、シリコンバレー、沖縄で高2生がプロジェクト学習をしている様子が、頻繁に更新されています。どうやら、一般の学校の修学旅行に相当する教育活動のようです。

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★このグローバルプロジェクトは、同校ブログによると、「国連が定めたSDGsの17目標の中からそれぞれの国や地域が直面する課題を学び、その解決に貢献するための取り組みを目指します。訪問するのは沖縄・カンボジア・タイ・アメリカの4か所です。ハイブリッドインターナショナルコースでは、現地の起業家が直面する社会問題の解決に挑む「MoG(=Mission on the Ground)」をGlobal Projectとして行います」とあります。

★SDGsのゴールデンゴールズの探究とその創造的問題解決のために、高2生が一か所に訪れるのではなく、それぞれの問題意識によって地域を選択して動いているようです。

★もともと高1~高2にかけて「探究論文」をじっくり練り上げてきました。それゆえ、高2生は、自ら課題を見つけ、自ら見つけた課題だからこそモチベーションを内燃し、探究し、フィールワークをしながらその都市の人びとといっしょに問題解決していけるのでしょう。

★工学院の探究とは論文やレポートを書いて終わではなく、フィールドワークの中で、その地域や都市の人びとと共に考え、解決を模索するオーセンティック(実際的)なプログラムです。しかも、その地域や都市は国内外両方で行えるのです。このとき重要なのは、多言語によるコミュニケーション、理性的なコミュニケーション、そして何より情意的なコミュニケーションの統合された高次コミュニケーションです。理性的なコミュニケーションには、知識・理解・応用・論理としての思考力が必要です。情意的なコミュニケーションには、意外にも批判的思考力と創造的な思考力が必要なのです。問題解決にはパッションとプレイフルな感情の側面が必要だからです。

★工学院は、ふだんの授業の80%がPBLです(外部団体に質をモニタリングさせるアクレディテーションを行っています)。80%!そんな数字まで、教育を科学するという視点で、ちゃんとリサーチしているぐらいです。このPBLの授業のベースは、この高次コミュニケーションを醸成することも目的です。

★授業と探究、教育活動などが有機的に高次コミュニケーション能力によって学びの循環が出来上がっているのですね。

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★ブログを見ると台湾の報告もありました。あれっ?グローバルプログラムには、台湾のプログラムはないなあと思い、そのページを開いてみました。するとそこにはこうあります。

「工学院大学が提携しているアジアの工科系大学(南台科技大学・ダナン工科大学・フィリピン工科大学)との国際学会に、昨年度から高校1年生の有志を招待していただいております。今年の当番校は「南台科技大学」。ということで、希望者の中から男女8名が選抜され、12日に台湾入りしました。」

★なんと、これは高2のグローバルプロジェクトとは違う高1のグローバル大学連携のプログラムだったのです。

★夏は、中3が全員オーストラリアか米国で海外研修を行っていたはずです。それ以外に高1や高2は3か月留学を実施しています。国際コンクールでシンガポールやニューヨーク国連で活躍する生徒もいます。

★ランドスクエアの加盟校ですから、世界中のエスタブリッシュスクールに行ったり来たり交換留学もあります。中3がオーストラリアに研修でいけば、そこの学校の生徒が20人くらいホームステイにも訪れます。

★一般の学校では、こんな景色はないでしょう。メディアも最先端のイノベーションを追跡しているNews Picksのような雑誌社から取材が来るぐらいです。大学合格実績の切り口しかないような受験雑誌の場合、この景色の意味がわからないようですが、日本の受験ジャーナリズムの常識は世界の教育から見れば非常識なのかもしれません。

★そのギャップに、教師も悩まないわけではないですが、≪Z世代≫の生徒の未来に想いを馳せれば、何をやるべきかは自ずとみえてくるとは教務主任の田中歩先生。≪Z世代≫の生徒の希望が、ここにあるのは、そのような先生方の情熱があるからでしょう。明日12月15日、工学院大学新宿キャンパスで、そのような工学院の見えざる本質的教育とその成果を語ります。

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2019年12月 1日 (日)

ラウンドスクエアの八雲学園②世界のエスタブリッシュな紳士淑女に注目される学校 日本では知る人ぞ知る学校。

★説明会終了後、近藤彰郎理事長校長にお会いしました。今回の文科省の民間検定試験騒動について、こう語っていました。

「文科省はやるならきちんとやる。準備をしている生徒に迷惑はかけないというのが筋だろうが、そういうのが政治というものだろう。きちんと制度化したならそれには従のだから、やるならきちんとやればよい。今回の件は、世界とのバランスで考えれば日本の教育は相当遅れてしまう。すでに遅れているのだから、日本のこれからはだいぶ辛いね。私立学校はそこは自由に意思をもってやれるから、どんどん世界のエスタブリッシュな私立学校ときちんと交流できるように先に進んでいくしかない。生徒にも、生まれる時代は選べない。歴史は理不尽な変化はあるのが普通だし、世界を見回せば、それはすぐにわかるだろう。理不尽さの比較はできないが、こんなことに付和雷同したり右顧左眄しないで、自分は自分の道を貫くようにといつも語っている」と。

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★ラウンドスクエアに加盟したということは、そううことですね。最高のグローバル教育だと私も思いますと語ると、近藤理事長校長は「ありがとうございます。世の中のわかりやすい表現を借りれば、グローバル教育偏差値75だと確信している。でも、それに甘んじることは考えていない。日本の大学や学校で、いわゆる偏差値が高い学校は、そんなに進化しない。その必要性を感じていない。たしかに、現状の日本だけの大学入試システムだと、それでよいのだろうと思う。しかし、世界をみたらとんでもない破格の豊かな教育を実践している学校がたくさんある。八雲はそういう学校と交流し、八雲生の才能のみならず、世界のエスタブリッシュな紳士淑女にもよき影響を与えたい」と。

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★えっ!まだ進化するのですか?と驚くと、英語科主任で海外・英語特別委員長である近藤隆平先生(近藤理事長の長男)がこう説明してくれました。「ラウンドスクエアの加盟校はたしかにエスタブリッシュですが、世界には加盟校180校以上の教育を実践している学校がまだまだあります。そういう学校と交流するのは、一般には難しいんです。だいたいそのような学校をどう探します?ところが、ラウンドスクエアに加盟していると、そのことでそういう学校との出会いが巧まずして増えるのです。RS加盟校の出身者が加盟校でないけれど優れた革新的な教育を行っているところで教師をやっているなんてことはいっぱいあるのです。すると、OB/OGどうしのネットワークでそのような学校が出会うことになるのです。そんなわけで、今回もすいばらしい学校と出会う機会をもらえました。」

★と、ついこの間視察に行ってきたばかりの学校の写真を見せてくれました。日本のどの学校にもない教育を実践しています。「ここももとは、大学進学実績をあげるための学びをやっていたのですが、あるときから21世紀型教育に大胆に移行して、世界から注目を浴びるようになたのですよ。インパクトありましたし、新たな気づきをもらいました。カンファレンスではこのあたりを話そうと思っています。楽しみにしていてください」と。

★毎年アップデートし、進化する八雲学園。ラウンドスクエア加盟ということでもどほとんどの学校が真似できないのに、それ以上進もうとするこのエネルギーはどこからくるのか?それは生徒への愛情であることは確かです。おそらく、日本のインターコースを有している学校やインターナショナルスクールでも、このような教育は真似できないでしょう。

★近藤家の野望が少し了解できたような気がしました。

 

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ラウンドスクエアの八雲学園①世界のエスタブリッシュな紳士淑女に注目される学校 日本では知る人ぞ知る学校。

★昨日11月30日(土)、八雲学園は高校ミニ説明会を開催。会場は満席になりました。

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★八雲学園と言えば、中学入試ですが、実は高校入試も行っています。当然中学校説明会とは違い高校の3年間に絞って説明がされるはずです。そこで参加してみました。予想通り、「ラウンドスクエアの八雲学園」というテーマに絞って、横山先生は控えめにそして誇りをもって力強く語ったのです。

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★おそらく、2013年から2015年までラウンドスクエアに加盟する準備を経ていますから、ラウンドスクエアのあまりの凄まじさに謙虚になり、2016年以降実際にラウンドスクエアの仲間に認められて活動が本格的に2018年から始まってからというもの、その極まりない重要性ともはや憧れではなく、自分の学校の文化として接合したことによるそこはかとない自信は、他の学校では理解できない世界です。

★参加した中学生は、期待以上のすさまじい活躍をしている先輩たちの姿に、自分の意志をしっかりとかためた様子でした。説明会終了後、キャンパスツアに参加しながら、近藤校長ともすすんで対話する保護者もいました。グローバルな世界で生きているお父さんなどが多く、はっきりと日本の教育では八雲以外に経験ができないと感想を語っていました。

★八雲学園は、共学化し、ラウンドスクエア加盟校になってからというもの、人気は再び右肩上がりです。ただし、それは知る人ぞ知る人気です。日本の学歴社会にこだわっていては、決して見えない光景を見ることができる人たちがチャレンジしてきます。世界的視野を持っている家庭や世界で活躍している保護者の家庭でしかなかなか気づかない教育です。

★一方で、世界からはラウンドスクエアに加盟している数少ない日本の学校ということで、エスタブリッシュな紳士淑女の学校として知られています。ですから、米国ロサンゼルスのチャドウィックックスクールという日本でいえば開成や麻布のような私立学校から留学生がやってきます。

★そして、ラウンドスクエア加盟校どうしは留学を受け入れれば、その学校に留学する相互関係がルールなので、そのチャドウィックスクールに八雲生が留学してしまうわけです。このような学校は、日本人の場合、ロサンゼルスで学んでいない限り入学できるような学校ではありません。しかし、そのような交換留学が一年中できているのが八雲学園です。カナダからアメリカからヨルダンからオーストラリアから・・・八雲に留学している生徒の紹介がされました。

★これぞ本物のグローバル教育です。しかもラウンドスクエアは国際会議や地域会議が毎年持ち回りで開催され、世界の180校のエスタブリッシュな紳士淑女の私立学校の生徒が集結します。

★2016年に挑戦した八雲生は、英語ができるだけでは歯が立たなかったと帰国後八雲生とシェアし、しっかりとした世界の問題に関して及び日本の文化に対し高い意識をもち、ディスカッションできる思考、エッセイライティングができるスキルのトレーニングが始まりました。

★2013年から2015年、ラウンドスクエア加盟に準備の1つとして、今も続くイエール大学との国際音楽交流を八雲学園は行いました。そのとき刺激を受けた八雲生はミュージカル部として「グリー」部を自ら生み出しました。片方で、英語の八雲の教育をさらにもっと凄いレベルにという生徒からの要望が9カ月留学プそグラムに結実しました。

★菅原先生は、「日本の中から見えていると、この7年間の急速な進化は、なかなか見えませんが、世界からみると、一気呵成に日本の枠を突き抜けて世界のトップ校と交流できる学校に成長しました。イエール大学と交流し、ラウンドスクエアの加盟校という八雲は、日本では唯一無二でしょう」と明言しました。

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★そして、「12月15日のカンファレンスで、近藤隆平先生が、八雲がまたまたアップデートする話を披露します。八雲の進化はとまりません。期待してください」と、実に頼もしい話をしてくれました。

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2019年11月23日 (土)

工学院のG-STEAMとPBL(02)工学院のZ世代の脳科学

★先月、工学院は「2つのSTEAM教育フォーラム」を開きました。教育関係者や保護者、メディアの方が参加し、ワークショップを通して、2つのSTEAMを体験。そしてパネルディスカッション型のリフレクションを行いました。中1、中2の工学院の≪Z世代≫が、ファシリテーターとして共に学びました。

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★その中2生の理科の授業をリサーチすることができました。彼ら≪Z世代≫は、授業の外でシンガポールや国連、ビッグサイトなどですでにSTEAMベースの提案やモノ創りをして活躍しています。このような教室から外にでて活躍するSTEAMと今回のような授業の中でSTEAMを学ぶ機会が2種類あるのです。

★理科の中村先生は、目と耳の感覚器官のメカニズムについて、単元を通してPBL型授業を展開していました。感覚器官のメカニズムを様々な刺激を体感しながら考えていくアクティビティや目チームと耳チームに分かれてリサーチし、ジグソー法的にあるいは複眼的に情報を伝達し合うアクティビティを挿入したり、サイエンスのコンテンツを理解していくインストラクショニズム的な展開がなされていました。

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★知識をいきなりインプットして記憶する強制的な授業を行うのではなく、まずは自分たちで調べて、イメージを結んだあとで、レクチャーを受けるというPeer Instrution Lectureも仕組まれています。ここを短時間い詰めていくには、Webの力は絶大です。なるほど「テクノロジー」の力も活用しています。

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★しかし、なんといってもすさまじいのは、生まれながらにして目が見えない子供が、現実の世界をどのように認識していくのか脳科学の話にシフトしていくところです。クライマックスが用意されているのです。目は視角野が反応し、耳は聴覚野が反応するという生徒の理解を、ある意味ひっくり返す眩暈がマインドセットされていたのです。

★目の見えない子も、視角野が反応しています。どうやら、脳は要素分解主義的な発想では理解ができないメカニズムのようです。

★授業終了後、教務主任の田中歩先生は、中村先生の授業のリフレクションを共にしていきます。中村先生の情熱的な理科の専門的な説明にじっくり耳を傾けながら、ダイレクトな学びとしてすばらしいと確認しながら、中村先生自身が気づいていない、でも実際にはとてもすごいリベラルアーツ的な、つまりここにこそSTEAM教育の肝があるわけですが、授業が展開されていることを共に気づきたいと感じたようです。それについては、他教科の意見も交える方が気づきは豊かになるので、午後からのチーム田中の研修で検証することにしたようです。

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★チーム田中の研修では、互いのPBL授業のメカニズムを分析し、気づきを得る目的で行われています。各教科各教師それぞれのPBLがあってみんないいわけですが、互いにシェアすることで、相互に刺激し合いPBL型授業のクオリティが向上していく成果があがっています。

★今回も、新海先生のファシリ―トによって、スクライビングをして、アクティビティタイプ分析をして、思考コードの時系列分析をしていきました。中村先生の意図を共有しつつ、それぞれの教師の気づいたアイデアをシェアしていきます。

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★授業というのは、教師の授業デザインと生徒の身体脳神経系全体の活動の両方のセッションで成り立ちます。1人で授業をデザインすると、どんなに生徒の内側から生まれるアイデアを大切にしようと思っても、教師の設計した理解の線路の上を走らせることになりがちです。

★そこで、田中歩先生は、アクティビティという生徒の活動に注目して授業をリフレクションする研修を行っています。また、知識の理解で終わることなく、論理や創造を≪Z世代≫が楽しむ授業になっているかどうか思考コードでモニタリングしていきます。

★田中歩先生は、中村先生の授業を通して、≪Z世代≫は身体脳神経系全体をどのくらい活用したのか、生徒の脳の中にはいりこんで、リフレクションし、チームメンバーと共有していました。

★五感と脳と外界の関係を理解する理科の授業ということもあり、≪Z世代≫の脳科学に思い馳せる豊かな時間となりました。工学院のPBL型授業は単元テーマのダイレクトな学びとリベラルアーツとしてのインダイレクトな学びがカップリングされているということでしょう。ここにもう一つのSTEAMである工学院のPBL授業の肝があると感じいりました。

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2019年11月20日 (水)

工学院のG-STEAMとPBL(01)活躍する工学院のZ世代

★工学院大学附属中学校・高等学校は、毎年教育のアップデートが起こります。今やルーチンとなっているオーストラリア留学、スペース&ロボティクスキャンプ、外務省が推進する対日理解促進交流プログラム、マルタ島異文化体験研修、MoGの活動、探究論文・・・思いつくまま挙げていくときりがない。でも、これらはルーチンなのです。

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★同校校長平方先生によると、今後はラウンドスクエアの活動がルーチンになっていくし、SDGsをベースにしたアメリカ、カンボジア、タイ、沖縄などへ分かれてそれぞれ探究する新しい高2の修学旅行が実施されるそうです。

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★「ルーチンになったプログラムもアップデートするし、毎年いろいろなグローバルなコンクールがあるため、毎年新しいプログラムが生まれているというのが現状です。普段の授業がPBL型になているし、ICTを活用するのは当たり前というSTEAM型の授業にもなっているので、特別なトレーニングをしなくても、生徒が挑戦できる環境はかなりできたと実感しています」ということでした。

★そうなると、盛りだくさんで、どんなことをやっているのか全貌をみるのは受験生にとって難しくなってきたということですか?と尋ねると、「そんなことはないですよ。たしかにルーチンだけだとパンフレットを一度つくればそれでよいので、楽ですが、うちの場合は、広報チームが自前でリーフレットを創るテクノロジーの能力が高いので、新しいプログラムは、そのつどリーフレットやSNSで発信できるのです」と、新しいリーフレットの原稿を見せてくれました。

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★たしかについ一週間前に体験してきた新しいプログラムも掲載されています。生徒ばかりか教師もSTEAM的感覚で仕事ができているということでしょう。とはいえ、教師の仕事量相当ハードだなと思いましたが、やりがいはたしかにある環境だなと。

★6年間こうした環境を創り上げてきて、このような多様な新しいプログラムに生徒が主体的に取り組むのは、たしかに21世紀型教育の成果です。もちろん、シンガポールや国連で表彰されているのも、大きな成果ですが、ほぼ全員の生徒がグローバルな舞台で自分の世界を生みだしてくる環境があるというプログラムの存在が成果といえるでしょう。

★そして、平方先生は、「このような環境を整えてきて、そこで生徒が創造性を発揮してさまざまなプロダクトを生み出していく中で、次に生徒が取り組むステージが3つほどまた見えてきたのです」と。

★「結局、自然のメカニズムと社会のシステムと精神の構造が、断絶されてきたのが20世紀だし、それをある意味支えてきたのが20世紀型教育です。この断絶を循環にシフトすることこそ21世紀社会の目標だし、それを支える人材育成の場が21世紀型教育です。今では、工学院の生徒は、自らSDGsに取り組み、世界の平和について国連を始めいろいろなところで提案しています。多くの災害に被災した地域の復興について支援する活動をYouTubeなどのメディアで行っている生徒もいます。世界の平和をスーパーアプリで実現しようと提案するチームもあります。こういう生徒たちの探究は、どんどん深堀して、実は深層/真相にたどりつくのです」と感慨深げに平方校長は語りました。

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★エッ?どういうことですか?「21世紀型教育の改革は、時代の流れや時代の精神に向かい合い、私たち教師が語り合いながら始めましたが、今度の新機軸は、生徒が行き着いた深層/真相から始まるということですよ」とほほ笑んだのです。

★その3つの新機軸とは何ですか?それは、12月15日の「21世紀型教育カンファレンス」で話をしたいということです。PBL型授業、ケンブリッジイングリッシュスクール型英語教育、高大連携、探究論文への取り組みという基盤となっている教育が生成する多様なプログラム。その中で、生徒が行き着いた深層/真相。そこから新機軸が生まれるという教育。これこそ21世紀型教育だと感動しました。

★ところで、成果と言うと、大学合格実績は、受験業界からは問われるのではないですか?と尋ねると、「もちろん、これだけの教育を行っていたらちゃんと生徒たちは自分で選択して、実現していきますよ。偏差値ではなく、自分の才能や技術を鍛えながら探究できる大学を探します。結果的に、受験業界の方が注目するような大学に進学していきます」と謙虚な自信を示したのです。

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2019年10月20日 (日)

2020年からの中学入試(31)GLICCの帰国生を巻き込み新しいアクション

★GLICC主宰の鈴木裕之代表は、中高大の帰国生の入試をケアしたり、麻布などの思考力を要する入試対策をする小規模だけれど、実績は大きい<新しい学びの拠点>を形成しています。

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★中学入試における帰国生入試の要項は言うまでもなく、各学校の出題する入試問題の分析を徹底的にしている学びの拠点は他にはないでしょう。大学入試における帰国生の入試問題も当然分析していますが、東大や一橋大学をはじめとする帰国生入試のための小論文対策や志望理由書の書き方の指導は、教室というリアルスペースのみならず、Web上での議論やププラットフォームを形成してバーチャルな学びを実施しています。

★したがって、身構えているスペースは小さいのですが、生徒は世界各国にいて、実はスケールが大きいのです。

★しかしながら、大手塾が実施している海外での帰国生入試のための説明会は、とても情報が偏っていて、一般受験生の情報をベースに流しているので、グローバルに活躍したいと思っている帰国生の発想を生かすことができないでいるという実情も、Webを通してコミュニケーションをしているうちにわかってきたといいます。

★GLICCのスタッフは、鈴木氏の教え子がほとんどだったり、その友人で構成されています。またケンブリッジなどの世界ランキング100位以内の大学で学んできたネイティブスピーカーの講師も多いですね。したがって、扉を開くとそこはまるでどこでもドアを開いたかのようです。急にグローバル圏になるのです。

★そこから、今の帰国生の現状をみて、もっとケアしなければ、せっかくの世界的視野や発想の芽を摘まれてしまうと思いたち、今回12月2日にドバイのミレニアムプラザホテルで海外生対象(小・中・高)の海外進学説明会を実施する決断をしたようです。

★ほかの塾のように学校の説明会ツアーを組むのではなく、1人で乗り込むわけです。他の塾がそういうことができずに、ただのつなぎ役になるのは、それは日本の帰国生入試の情報を幅広く公平に情報収集していないからだし、自分で三田国際や東大やケンブリッジ大学に合格させる経験がないからです。そもそも入試問題の中身まで知っている大手塾のコーディネーターは少ないのが実情です。

★ようやく、真実を語る帰国生のための救世主がドバイの地に現れるのです。鈴木氏は、英語堪能、ICT技術堪能、PBL授業の達人、小論文指導の第一人者です。Webの世界では有名人ですが、日本では、帰国生入試はそれほど注目されないので、知る人ぞ知る達人です。真実は、世界から見なければ見えませんね。

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2019年10月 2日 (水)

PBLの世界(32)学力も伸ばす才能も開花する学びのコンビネーションは?

★才能は伸ばすけれど、現状の大学入試問題が解ける学力は伸びないでは困ります。もちろん、学力は伸びるけれど、才能は開花されないは、今後の<新しい学びの経験>では論外です。しかし、学力だって捨てたものではない。才能が開花すれば、学力が伸びなくていいなんて、それも論外ですね。

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★授業は「レクチャー」「問答講義」「PIL」「PBL」に大きく分けられるけれど、学びの内容によってコンビネーションが妥当です。学力だけを伸ばしたいのなら、「レクチャー」が最適でしょう。

★生徒との対話を重視し、理解を定着させるには「問答講義」がよいでしょうが、これだと学力も伸びないし、才能も開花しませんね。もちろん、生徒自身の能力で、勝手に学力を伸ばし、才能を開花する場合はあるでしょう。

★しかし、もっとも「学力」を伸ばす方法は、「PIL」です。残念ながら、これはほとんどの学校で実行できていないですね。ICTがないとうまくいかないからです。

★「PBL」は才能を開花するけれど、学力を伸ばすのは、ダイレクトな目的ではないから、やはり「PIL」とのコンビネーションが最適です。

★このPIL×PBLを行う準備ができているプログラムを用意している学校を探しましょう。

★10月6日の聖学院でのセミナーと10月27日の工学院でのフォーラム両方参加するとそれがばっちりわかります。

★才能も開花し、大学合格実績も出せる方法です。教育は理想主義だけでも現実主義だけでも、生徒にとっていい迷惑です。両方必要です。プラグマティックな教育実践こそ希望です。

★理想ばかり語っている教育者は空虚だし、現実ばかり語っている教育者は愚かです。メディアに幻惑されないようにしましょう。

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2019年7月18日 (木)

学校の授業の空洞化というリスクを回避できるか?

★日本の高校の実態を直視してみると、ちょっと恐ろしい。というのは、学校は、法律で守られているからカタチはあるけれど、もはや教育は自前ではできない状況にある可能性がある。

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★今日の大学入試は複雑で、膨大な入試情報を整理し、抽出し、生徒1人ひとりの学びの状況とマッチングさせることは、もはや学校独自でやることは不可能な状況である。

★学校の先生方も、大手予備校の研修にでて、大学入試問題の解き方を学ぶ。そして、学校に帰ってきて、その解き方を授業で実演していくという20世紀型授業が、今までの20世紀型教育。海外大学も、予備校に頼れば、20世紀型教育で十分に成果は出る。

★だから、国内外の大学合格実績を出すのに、実際には学校独自の授業などないと言ったら叱られるかもしれないが、そういう事態になってしまっているのは否めないだろう。

★外部との連携は大事であるが、外部に丸投げか、外部のプログラムの下請けを結局はやっているのが、20世紀型教育である。

★これだと、偏差値偏重型だし、知識偏重型になるから、生徒1人ひとりが自分の未来を創り上げる力などつかないのは、今の日本の国力の減速を見れば明らかである。

★そこで、21世紀型教育によって、新しい学力や成長の基準を生みだし、それに基づいて論理的思考や創造的思考を生成し、生徒1人ひとりが自分の未来を創ることができる力をトレーニングしようという動きが生まれてきた。もちろん、その自分の未来は、自分というエゴな世界を広げることではない。新しい人間観への価値の転換を伴う。

★ところが、それには、すべての授業がPBL型で行われていなければならない。PBLで行われていけば、それが高2から戦略的PBLに変容するだけで、国内外の大学進学準備教育になる。外部の力と連携するも、下請けにはならない。

★つまり、これはかなり理想的な状態で、ほとんどの21世紀型教育標榜校は、授業はときどきPBLであればよく、国内と海外両方の大学を射程に入れたグローバル大学準備教育を外部に丸投げか、授業が下請けであれば、結局結果は出てしまう。ときどきPBLをやるから、なんとなく新しいこともやるという雰囲気があり、20世紀型教育よりも相対的に知識偏重という雰囲気は回避できる。

★かくして、フェイク21世紀型教育を行っている学校で、実際には、学校の授業は空洞化してしまっていても、外部の力によって大学合格実績を国内外両方で出すことができるのである。

★もし、法律の学校という枠組みが解けてしまったら、自前でできる学校は、真正21世紀型教育推進校しかなく、そのほかの学校は、みな外部団体に飲み込まれてしまう。そうなっていないのは、単純に「規制」があるからだ。

★「規制」がなければ、学校として機能しない状態の中で、多くの生徒が縛られているのである。これでは、日本の国力を回復する才能児が羽ばたけるわけがない。

★「規制」を外して、予備校型学校、海外大学附属型学校、真正21世紀型教育校とはっきりしたほうが、生徒も教育力そのもので学校を選択できるし、才能も開花できるだろう。

★まあ、荒唐無稽な話だが、もしも「規制」を外したら、自分が行きたいと思っている学校がどのタイプに属している学校なのか見えてくるだろうから、論理的仮説として考えてみるのも許されるだろう。

★そうはいっても、いずれにしても、「規制」が成立しなくなる時代はすぐそこまできている。Facebookの≪リブラ≫の話は、今は各国から包囲網を仕掛けられているが、それは一過性で、やがては中央銀行の機能を突破し、そこを中心に積み上げてきたあらゆる規制を崩していくだろう。制度の再構築が起こるのは、多くの見識者が見通していることである。

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2019年7月 1日 (月)

工学院 チーム田中③ PBL授業の存在価値を高める

★チーム田中の活動において、田中歩先生は、スーパーファシリテーターというロールを果たしているわけであるが、同時に新しい何かが自然とというか、メンバの主体性によって生まれてくるマインドセットをするスーパージェンレーターの役割も果たしている。

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★というのも、田中歩先生は、世界から工学院の教育を考えているから、国内の教育では制度上、世界の本物のエスタブリッシュ校と同じ土俵で学べないということを熟知している。

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★従来は、それに気づいた一握りの生徒が家庭の力で留学したりしてきたわけであるが、現代の日本の国力の低下を救うには、一握りの生徒の教育ではなく、学校全体の教育の質の向上を果たさなくてはならないと田中歩先生は語る。

★そのためには、海外のグローバル高大接続が可能なコミュニティと数多く連携することが大切なのだと。実際3つくらいのコミュニティと連携する予定だという。

★しかしながら、連携したいからと言って、すぐに連携できるわけではなく、C1英語のレべルやプロジェクト型の学びができる環境でなくてはそれらのコミュニティとは連携ができない。

★しかも、海外のそのようなコミュニティは、日本の学習指導要領の教科主義とはまた違う、かなり柔軟な科目設定nなっていて、昨今言われている教科横断型教科とか合科とかいうのは当たり前なのである。

★したがって、チーム田中のメンバーのPBL型授業は、そのようなしなやかで強い思考力や知性やタフネスを生み出すような授業としての存在価値を高めていきたいのだという野望があるようだ。

★つまり、今の大学受験体制や大学入試改革の枠内の教科とか探究とかいうものにこだわりをもっていると、世界のエスタブリッシュスクールと同じ土俵で学び合うコトができない。そして、田中歩先生は、チーム田中は、このこだわりを捨て、現状の殻を打ち破る何かを生み出す予感がするというのである。

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