グローバル教育3.0

2023年5月10日 (水)

変わりゆく世界(03)富士見丘学園 インターナショナルスクールを超えるハイパフォーマンス

★富士見丘の2023年度の大学合格実績がすばらしい。早稲田大学6名、上智大学22名、立教大21名、青山11名、ICU2名など国内大学の実績も目を見張るが、世界大学ランキング100位以内の大学に4名、200位以内だと6名合格しているのも驚きです。他にも多数実績を挙げているので、詳しくはサイトをご覧いただければと思います。

★卒業生は102名です。いわゆる、国公立、GMARCH以上と世界大学ランキング200位以上トータルの合格数が102名なのです。もちろん、他にも関西の素晴らしい大学や獣医系の大学などバラエティに富んでいます。それに、大学合格実績が素晴らしい学校だということを言いたいのでもありません。

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(写真は同校サイト。グアムフィールドワークのシーン)

★大事なことは、この結果は当然でる教育環境デザインになっているということです。インターナショナルスクールにいかなくても、IB校にいかなくても、生徒は多様な領域でハイパフォーマンスを発揮できるようになるのです。1条校ですから、インターナショナルスクールやIB校に比べ、破格に学費はかからないのです。にもかかわらず、ハイパフォーマンスを生み出すのです。

★そりゃあ、帰国生が注目するはずです。しかし、在校生のうち70%は国内生です。どういうことか、言語環境は、もはやバイリンガル状態だということです。

★アートもスポーツもグローバルです。テニスやアイススケートなどめちゃくちゃ強いですね。実際「7th ASEAN Open Inline Freestyle Championship で高3生徒が第3位!」ということです。

★グローバルスタディー演習という探究活動、海外研修、海外留学など、高大連携ベースの長期スパーンの活動です。しかも、自分の学校だけではなく、日本の私立公立の区別なく、グローバル教育を広めていくコミュニティWWLの拠点でもあります。

★今日本にIBやインターナショナルスクールが続々押し寄せています。それは、地政学的治安の面と富士見丘のように世界のエスタブリッシュスクールに匹敵する学校が現われてきたので、そこにグローバル教育の市場があるというマーケティングリサーチをした結果でしょう。

★富士見丘が先頭にたって、真のグローバル教育を牽引しています。日本の教育シーンは大きく変わるでしょう。

※ちなみに同校サイトに公開されている2023年度の大学合格実績は次の通り。

東京都立大学    2名
早稲田大学     6名
上智大学     22名
東京理科大学    2名
国際基督教大学   2名
青山学院大学   11名
学習院大学     4名
中央大学      7名
法政大学     10名
明治大学     10名
立教大学     21名
関西学院大学    1名
立命館大学     1名
立命館APU     1名
成蹊大学      6名
成城大学      5名
明治学院大学    4名
獨協大学      9名
武蔵大学      5名
國學院大学     2名
津田塾大学     3名
東京女子大学    8名
日本女子大学    8名
学習院女子大学   3名
日本大学      7名
東洋大学      7名
駒澤大学      1名
専修大学      3名
大妻女子大学    3名
実践女子大学    1名
白百合女子大学   5名
昭和女子大学    2名
フェリス女学院大学 3名
北里大学      2名
杏林大学      4名
工学院大学     2名
芝浦工業大学    5名
順天堂大学     3名
帝京平成大学    3名
東京医療保健大学  4名
東京農業大学    5名
日本獣医生命科学大学2名

 

【海外大学】*( )内は英国Times Higher Education による「2023年世界大学ランキング」順位
University of Michigan-Ann Arbor(第23位)1名
University of Washington, Seattle(第25位)1名
University of California, San Diego(第32位)1名
Georgia Institute of Technology(第38位)1名
Rice University(第147位)1名
Texas A&M University(第181位) 1名
Texas Wesleyan University 1名
University of Texas at Arlington 1名
University of Central Arkansas 1名
University of Nebraska Omaha 1名 

 

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2023年5月 3日 (水)

変わる私立中高(17)八雲学園のすばらしさを受験生・保護者が知った時、日本の教育は本当に変わる

★30年ほど前、ケイトスクール(全米でも相当なエスタブリッシュスクール)が、日本の私立学校を視察して回り、姉妹校を探していました。そのとき、自分たちが求めている教育がここあるとピンと来たのが八雲学園でした。ケイトスクールはそのあとラウンドスクエアの加盟校になり、その後八雲学園も加盟校にいたります。このエピソードに日本の教育が変わる方向性が見えています。

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(ラウンドスクエア交換留学プログラムを活用して、トレバー・デイ・スクールからやってきた留学生。写真は八雲学園サイトから)

★ケイトスクールが八雲学園を発見した時、自分たちの教育とシンクロすると感じ、さらに両校がその後ラウンドスクエアに加盟します。ラウンドスクエアの世界の180強の私立学校が、高い使命感とグローバルリーダーを育成するハイクオリティー、ハイパフォーマンスの教育環境をデザインしている点でシンクロしているわけです。このネットワークはラウンドスクエア交換留学プログラムや国際会議に集結してバラザという対話を行うなど、ものすごいネットワークです。生徒の未来のかけがえのない価値・財産であることを想像するのは難しくないでしょう。

★ラウンドスクエアの交換留学プログラムはすべての加盟校に開かれていて、ある加盟校から八雲に行きたいという生徒がいたら、八雲は躊躇なく受け入れ、受け入れたらその加盟校に八雲の生徒は留学することができるようになります。逆に八雲学園があの加盟校に行きたいと願えばかなえられるます。そしてその加盟校からまた留学生がやってくるのです。

★ですから、年間計画では予め立てられない交換留学が頻繁にやってくるし、八雲からも頻繁に行くわけです。学校という組織で、年間計画にないことを柔軟にやっていくということはなかなか難しいのですが、それが相互にできること自体奇跡です。変化に強いラウドスクエアということでしょう。

★昨年も6週間、トレバー・デイ・スクールから留学生がやってきました。彼のプロフィールがまたすごいのです。彼自身はこう語っています。

 「私はネパールで生まれ育ちましたが、2015年に家族とともにアメリカに移住しました。私は自分を、好奇心旺盛で冒険好きな性格で、人生で提供されるすべてのことを学び、経験したいと願っています。私の趣味は、バスケットボールの観戦やプレイ、本を読むこと、そして音楽(ラップ、R&B、J-pop)を聴くことです。私はマクロ経済学とファイナンスについて学ぶことに大きな関心を持っています。将来は、ウォール街で投資銀行家になり、J.P.モルガンやゴールドマン・サックスといった世界有数の銀行で働きたいと思っています。

これまで、フランス、ロンドン、イタリア、マレーシア、シンガポール、トルコ、ドバイ、カタールなど、多くの国を旅してきました。しかし、私がいつも行きたいと思っていたのは日本でした。幼い頃から、日本の文化や歴史に触れてきました。父や祖父も、過去に何度も日本を訪れています。ニューヨークでは、暇さえあればワンピースやナルト、ドラゴンボールZといった大好きなアニメを観ていました。好きな食べ物はいつもラーメンで、着物や武士の歴史、芸術や書道など日本の伝統的な文化も好きです。」

★どうです。学校がグローバルなだけではなく、生徒自身がすでにグローバルな生活をしているわけです。八雲学園の生徒がラウンドスクエアの加盟校の生徒と結びつくということの広がりと深さがお分かりいただけるでしょう。八雲学園の生徒がサンタバーバラを拠点に様々な研修プログラムを体験するのは、このような留学生を迎えるにあたり、自分たちのグローバルマインドやスキルを体得している必要があるからです。はじめは姉妹校ケイトスクールを受け入れるところから始まりました。次に年中行事になっているイエール大学の学生とコラボした音楽会の開催を実現しました。そしてラウンドスクエア加盟で、一挙にグローバルネットワークが広く深くなったのです。

★さて、トレバー・デイ・スクールの学校紹介動画がYouTubeにアップされています。まずご覧ください。

→Trevor Day School - Ambitious Academics, Engaged Students, Balanced Lives

★八雲学園の教育シーンと重なります。八雲学園とはこのような学校なのですといっても過言ではないのです。

★つまり、ケイトスクールだけではなく、ラウンドスクエア加盟校すべてが姉妹校なのです。そして、なぜ姉妹校に八雲学園を選んだのか?動画を見て頂いておわかりのように、長時間机に向かって東大に合格するための勉強をしている学校に、自分の学校の生徒を留学させても、そもそも東大を目指していませんから、その勉強はアンビシャスではないし、冒険や社会貢献に熱心になる体験ができませんね。やはり知性と感性と論理と倫理と創造性のバランスの取れた教育環境デザインをしているところであることが必要だったのです。

★そして、それが世界のエスタブリッシュ学校が求めている教育だということです。

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2023年4月30日 (日)

八雲学園 今後世界が求める「バラザ思考」を学べる超学校 真のグローバルリーダーを輩出する環境。

★先週金曜日、GLICC Weekly EDU 第126回「八雲学園ー本物のグローバル体験ー」がありました。今回は、八雲学園のグローバル教育の多様なプログラムを一通り丁寧に、その内容のみならず、開発された経緯や、その中で生徒がどう成長するかなど語っていただきました。副校長菅原久平先生の社会や文化的背景の見識と副校長近藤隆平先生のご自身海外大学で学び、世界の学校の豊富なリサーチを通じての見識の両側面から語っていただきました。そして、その中で、他校にはないそれでいて国連や世界の人材開発マネジメント、G7などでも注目されている「バラザ思考」の学内浸透について語っていただきました。

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GLICC Weekly EDU 第126回「八雲学園ー本物のグローバル体験ー」

★60名収容できる海外の高級ホテルレベルの八雲レジデンスをサンタバーバラに所有しているというのは、まず他にない環境です。そして、中3の最後の時期に、回数を分けて、全員が参加するわけです。このように国内の多様なイベント同様、海外のプログラムも、有志の生徒だけではなく、全員が体験するところからはじまるところが八雲学園の大きな特徴です。そこからもっと英語力を生かしたいという生徒にとっては、多様なプログラムが用意されているのです。

★とにかくグローバル教育のプログラムは本当に多様で充実しているのです。したがって、海外大学に進みたいという生徒にも準備は万全で、実際に多くの生徒が海外大学に合格しているのです。

★海外大学に合格するというのは、高度な英語能力のみならず、文化や歴史などの教養と未知の問題に直面した時、その解決に立ち臨む柔軟な思考力が必要です。したがって、そのような資質・能力を身に付ける教育環境が、すべての八雲生に整っているのです。

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★そして、さらに八雲学園のグローバル教育の他にない特徴は「バラザ思考」を活用する機会がすべての八雲生に開かれていることです。バラザという対話システムは、八雲学園が加盟しているラウンドスクエア(RS)が開催する国際会議で重視されています。RSでは、次のように説明されています。

<バラザ(Baraza)は、アフリカのスワヒリ語で「異なる人々が集まること」を意味する古い言葉です。バラザでは、学生や社会人の代表者がディベートや自由な議論を行うことができ、全員の意見が平等に評価されます。すべての会議参加者は「バラザグループ」を割り当てられます。バラザはリッカより小さく、学生のバラザリーダーが指導します。>

★この文章の中に「リッカ」という別の対話システムがでてきますが、このリッカは、私たちがふだん活用している対話システムです。G7のように同じ想いをシェアしているメンバーが集まって、合理的に議論し解決の合意に向けてディスカッションをしますが、バラザはその前提を外して「異なる人々が集まって」自由に話すわけです。

★リッカは制約的自由がありますが、バラザは開放的自由が前提です。そしてより根源的な問題に迫っていくわけです。リッカは、課題が設定され、それを解決する目的があるのでしょう。

★このバラザが、国連などでも取り入れられているわけです。目の前の問題を解決するのが国連の常でありますが、その前に根源的な問題を掘り下げていく機会が世界の人びととシェアできることも大切なのだということでしょう。

★世界標準のカリキュラムとか教育とかよく言われますが、その多くが海外大学に合格できるという目標が決まっていて、それ以上に根源的問題があることにも目を向けるというところにまではいかないのです。そして、このことに気づいている学校は海外でもそう多くないのです。RS加盟校のような学校で展開されているぐらいかもしれません。

★IBも創設するのに尽力したクルト・ハーンですが、彼がIBはやはりリッカ的側面が強く、それではグローバルエリートを生み出すことはできるけれど、真のグローバルリーダーを生み出すことはできないと思ったのでしょう。そこでRSを創設したのだと思います。

★IBとRSの違いは、グローバルエリートを生み出すか真のグローバルリーダーを生み出すかの違いがあることに気づいている人は実は少ないのですが、クルト・ハーンが置かれたシチュエーションと同じような世界環境が迫ってきている今日、バラザ思考はとても大切なのです。ぜひご視聴ください。

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2023年4月20日 (木)

変わる私立中高(06)八雲学園 多様な体験とグローバルプログラム全開の要に「バラザ」

★2023年度は、八雲学園の多様な体験行事や破格のグローバルプログラムが全開となりました。この体験やグローバルプログラムが、他校とは全く違う学びの文化を創っているのですが、そのカギは「バラザ」という対話システムなのです。エッ?バラザって何?と思う方もいるでしょう。実はグローバルサウスの時代にあって、とても重要な古くて新しい民主的な対話システムなのです。

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★国連でも注目されている対話システムです。国連はバラザについて、次のように語っています。

「バラザとは、スワヒリ語で「公開会議」を意味し、意識を高め、コミュニティに影響を与える問題に対応し、重要な情報を共有し、市民に懸念事項を特定し解決策を提案する機会を提供するプラットフォームとして使用されます。また、コミュニティへの情報発信の手段であり、コミュニティに影響を与える重要な問題についてのフィードバックを得るための迅速な手段でもあります。」

★また、組織開発におけるミーティングの手法としてOST(オープン・ステージ・テクノロジー)を開発したハリソン・オーウェンは、アフリカに参加したカンファレンス体験に着想を得ていると語っていますが、そのカンファレンスは、OSTとの共通点が多いことから言ってバラザだったと予想します。

★現代の時間がかかり大掛かりな民主主義体制や変化に対応しづらくなった組織などを活性化するヒントとしてアフリカ(特にインド洋沿岸)のバラザという水平的多様な関係の中で意思決定が俊敏でかつ共有速度がはやい対話システムは、グローバルサウスの重要性が強まれば強まるほど注目されていくでしょう。

★八雲学園が加盟しているラウンドスクエアでは、国際会議で、このバラザを活用しているのです。およそ50か国から180校強の私立学校が集まるコミュニティです。バラザには、異なる人々が集まるという意味もあります。

★まさに世界各国の私立学校の生徒が集い、12人前後のチームをベースに1週間ほどのプログラムを体験していきます。バラザが採用されるのはなるほどだし、世界の時代精神とシンクロしているラウンドスクエアの先見性には驚くばかりです。

★八雲学園は、この国際会議に参加した代表生徒が、八雲にバラザをと学内に浸透させました。この動きも、八雲生のケアの精神と主体的精神が見事に発揮された一例です。八雲のバラザについては、いずれご紹介したいと思います。

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2023年4月18日 (火)

変わる私立中高(04)芸術系大学に多数進学する中高一貫校 女子美1位、吉祥女子が2位、桐朋女子が4位、鴎友が6位、共立女子が9位、フェリスが11位、女子校が強い意味。

★「中高一貫校&塾&小学校(週刊ダイヤモンド 2023年4/15・22合併号」の特集『わが子が伸びる中高一貫校&塾&小学校』(全29回)には、「過去3年間の芸術系大学の合格実績」を集計してランキング化されています。1位が女子美(内部進学は含んでいない)、2位が吉祥女子、4位が桐朋女子、6位が鴎友学園女子、9位が共立女子、11がフェリス女学院。詳しくは同誌を見て頂ければと思います。

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★興味をもったのは、女子校が強いという印象を受けることです。スポーツは男子で、芸術は女子というようなジェンダーに関することについていいたいのではありません。むしろ、理系も女子が増えている中、女子校が芸術系大学に行くことの意味は何かということに興味があります。

★理系に女子志望者が増えているというのは、国や各大学が応募政策や戦略を創意工夫しているからというのもありますが、STEAM教育、SDGs教育の広がりの影響が大きいのではないかということです。

★海外の大学では、工学部の中にファインアートを学ぶ学部や学科があります。日本では、まだまだですね。ところがSTEAMというのは、国際的な動きですから、当然理系と芸術系は交差するわけです。そこに日本の生徒も気づいてきたということでしょう。

★また、SDGsでは、多くはデザイン思考型のプロジェクト学習になっています。SDGsの根底にはデモクラシーの理念があります。表現の自由や、ゴールデンゴールズでも課題にしている格差問題の解決に興味をもつ生徒は多いですね。特に女性のエンパワーメントの問題意識はSDGsや国連の国際会議では重要ですから、女子校の生徒がそこにフォーカスするのは必然かもしれません。

★それゆえ、理系や芸術系に進路を決めるというのかもしれませんね。

★それから、もう一つグローバル教育については、女子校はかなり進んでいます。女子校から共学校になったところもそのまま破格のグローバル教育を展開しています。

★グローバル教育は英語と実は芸術なのです。それは国連やユネスコなどに訪れればすぐにわかります。英語はその中では、公用語の1つで、コミュニケーションをとるのにディスカッションをするのに必要ですが、それらの建物の壁は、平和を訴える芸術作品が陳列されていて平和ミュージアムさながらです。

★美大に限らずですが、美大も英語が必要だし、工学部も芸術が必要だという時代なのです。

★大学に行ってから途中で、あるいは卒業して留学する学生もいます。むしろ、これからはどんどん多くなるでしょう。岸田政権も50万人を留学させたいといっているぐらいです。50万人というのは、毎年の大学の受験生の数に匹敵するわけです。

★英語は言語です。言語と数学と芸術と天文は、リベラルアーツに重なります。STEAMと哲学が今私立中高一貫校で注目されています。理系は当然宇宙が旬ですから、時代はリベラルアーツの現代化に突入しているのでしょう。

★女子校は、もともとその素養を大切にして教育していますから、結果的に芸術系の大学進学者が多くなったのかもしれませんね。

★そうそう、同記事には、次のような記載もありました。こういうところからも芸術系大学の人気もでてくるかもしれません。

「今年3月下旬、その難関を突破して話題になったのが、人気アイドルグループ、乃木坂46の池田瑛紗さんだ。藝大を目指して浪人中に乃木坂のオーディションに合格し、芸能活動を行いながら藝大入試を突破したという。しかも出身高校は、私立中高一貫校の女子御三家の一角を占め、「JG」の愛称で知られる女子学院だと言われている。」

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2023年4月15日 (土)

GLICC Weekly EDU 第124回 現実的な学習観の変化を見据えた新しい学びの環境GLICC編

★2011年冬、私立学校は21世紀型教育を創発して、予測不能な時代に子どもたちが自ら未来を創っていけるようにしたいという強烈な意志の力が働きました。そのとき、その先生方の意志を実現すべく、鈴木さんと私は事務局を立ち上げたわけです。今では、21世紀型教育は一般名詞になっていますが、塾などの学びの環境では、必ずしも広がっているわけではありません。鈴木さんは、中学受験市場などでも21世紀型学びを浸透させる必要があると思い立ち、強い信念でGLICCを桜新町に立ち上げ、今では広尾教室も展開しています。私は、直接経営にかかわっていませんが、私立学校のつくる中学入試市場と塾がつくる中学受験市場は、共通する部分もあるで、私学を支えながら、中学受験市場の21世紀型学びへのシフトをしたいという関係者の応援もしています。

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(GLICC Weekly EDU 第124回「小3・小4・小5・小6これからの英語と国語の学び方-GLICC編」)

★子供の環境全てが来るべき2050年、2100年からバックキャストしたとき、21世紀型教育や学びにシフトしていくことをサポートすることは、鈴木さんも私にも孫ができ、ますます孫の未来に想いを馳せたとき、私たちの強いミッションとして再び確認する時がきたわけです。

★そんなわけで、GLICC創設当時の、子どもの言語体験をどのようにデザインするかというコンセプトに還って対話をしました。

★幼小中高大そして社会、世界へと、その都度子どもが自分たちの未来を創る時に、どのような言語体験をし続けることが可能なのか?生成AIが出現している今だからこそ、改めて意識化する機会となりました。ぜひご視聴いただければ幸いです。

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2023年3月27日 (月)

GLICC Weekly EDU 第121回「グローバルアドミッションの時代ー英語学位プログラムとはー」鈴木氏の目からウロコの視点 気づいた人の未来が開く チャットGPTとの対話

GLICC Weekly EDU 第121回「グローバルアドミッションの時代ー英語学位プログラムとはー」は、私が参加できなかったため、主宰の鈴木裕之さんは、チャットGPTー4と対話しながらのトークセッションを行いました。なんて新鮮な!

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★最近各大学では、英語の授業だけで学位がとれるプログラムを設定しています。どんな大学を受験できるのか、10個サンプルをとチャットGPTー4に問いかけると、さらりとでてきます。サーチエンジンで人力で探すとかなりの時間がかかりますが、さすがはAIです。

★もっとも、多少出願条件など違うところがあるので、そこは鈴木さんが訂正します。

★しかし、だからといってチャットGPTー4は不正確だとかいうわけではありません。本人は、そうやって学習していくだけですから、大丈夫なのです。

★凄い時代になったわけですが、ICTは当然ながらグローバルです。英語がツールとして必要なのは言うまでもありません。今回は日本語で行っていましたが、本来は鈴木さんは英語でやりとりしています。

★そして、チャットGTPー4は、1人1台のPC環境になっている初等中等教育おいて、当然活用可能なのです。ICTと英語はどんどんカップリングされていきます。ICT無用論は英語無用論にもなり、英語無用論はICT無用論にもなり、もはや両者を拒否することはできない時代です。ですから、哲学者や文化人類学者は、AIにはまだまだかかわりないゼーレ(魂)をもとめ、倫理システムを構築しようとしているわけです。

★そのシステムをAIがディープラーニングすると、ゼーレにはかかわらなくなるはずだと。

★そうすると、WHOがようやく健康概念に加えたゼーレの部分は、人間の専門領域になるわけです。身体のケア、メンタルのケア、人間関係のケアはある程度AIロボティクスで何とかなるかもレれないけれど、ゼーレの部分は人間どうしの領域となる。

★もっとも、いずれはそれすらも突破するでしょう。なぜなら、人類が、このゼーレを健康概念、つまりウェルビーイングに結びつけたのは、2021年12月なのですから、依存とケアの関係を考案し実践するケアリングクラスは、今回のパンでミミックでようやく注目されるようになったのですから。それまでは、アリストテレス以来、依存の鎖から解放されることこそ自律として推奨されてきたのです。人類もようやく長い人間の潜在的な根源を掘り起こし始めたばかりなのです。

★パンデミック前は、ケアは、それがどうしてもできない人々のための特別な活動だったのですが、今回のパンデミックで、その重要性が、市民全体が暗黙の裡に引き受けてきたケア活動全体に広がったのです。

小学校から大学まで、日本語と英語の二刀流でいくことは学びのベースになるという鈴木さんのグローバルアドミッションは、ようやくジェンダー格差をはじめ依存とケアの関係を無視してきた明治以降の日本の近代文化に対し一石を投じることになるでしょう。

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2022年12月28日 (水)

2023中学入試の役割 ソーシャルジャスティスを求めて(22)帰国生入試動向 データ更新 大妻中野などの凄さの理由

★帰国生入試の志願者数のデータを更新しました。広尾グループとかえつ有明、開智日本橋、都市大グループが著しく志願者を集めています。グローバル教育をある意味教育の中核においていることがはっきり表明されていて、そのマーケティング戦略が引き続き成功しているというわけでしょう。そんな中で大妻中野は、たしかにグローバル教育に力を入れていますが、それを大妻のコア教育として位置付けているわけではありません。にもかかわらず、志望者数も多く、前年対比も伸びています。帰国生入試の保守本道という感じでしょうか。

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★海城学園、洗足学園、聖光学院、攻玉社、山脇も志願者数は多いですが、一見するとこれらの学校は同じカテゴリーにはいっているように見えますが、海城は少し意味合いが違います。グローバルな環境を、自前でプログラムしているという感じです。

★洗足学園は、国際学級以外に、留学制度が完備しています。海城とは少し違います。聖光学院や攻玉社、山脇において、帰国生入試の目的は独自のグローバル教育というより多様性を中心にした教育を重視しているという感じですね。

★いずれにしても、帰国生入試の志願者が多い学校は、そうとう強烈な特色を言語化あるいは見える化しているといえるでしょう。

★一般生も含めて定員がもともと少ない湘南白百合は、一見すると目立ちませんが、その小規模定員を考慮すると、志願者数も多いし、前年対比も伸びています。湘南白百合の特色は、学校全体が、すでに英語教育という意味ではないグローバルな教育を行っていること。もちろん、英語教育が充実していることは言うまでもありませんが、グローバル教育プログラムが多様でプログレッシブであること。one earthに対するケアリングの精神が必ずある未来のグローバル教育のモデルであることが実感できるプレゼンテーションやパフォーマンスが行われていることです。

★このようなプレゼンテーションやパフォーマンスは、いわゆる広報宣伝用のものではなく、ふだんのありのままの教育そのままを表現しているのです。そこが凄いですね。

★さて、本物のグローバル教育とは、海外大学進学実績を競うものではありません。英語教育の凄さでもありません。2030年、2050年のAI未来社会にあって、その未来をディストピアに導くのではなくwell-beingに導けるリーダーシップを発揮して主体的関係性をデザインできる人間力を生み出す誠の道を切り拓くのみです。

★ディストピアに導く可能性の高い人というのは、well-beingに進んでいると信じて疑わない無自覚な人です。2023年の中学入試は、そういうことが議論される時代になるでしょう。

 

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2022年12月26日 (月)

2023中学入試の役割 ソーシャルジャスティスを求めて(20)帰国生入試の動向から見える新しい動き

★2023年度帰国生入試の志願者数が出そろってきました。まだまだ中間澎湖港段階ですが、大まかな傾向は見えます。日能研倍率速報2022年12月23日現在のデータを使って、志願者数順位と前年対比順位を出してみました。志願者数10人以上の学校に絞ってみました。慶應義塾中等部や三田国際など未公開のところもありますから、あくまで中間報告です。

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★常連の学校が45校という感じですが、この45校の志願者総数は、前年より減少しています。なぜでしょう?帰国生乳牛人気が減退というわけではなく、あくまで予想ですが、パンデミックとロシアのウクライナ侵攻などのグローバルクライシスの影響があるのだと思います。

★にもかかわらず、三輪田、湘南白百合、大妻中野、海城、順天など21世紀型教育をしっかり推進している学校は順調ですね。

★森村学園が帰国生の志願者を伸ばしているのは、大胆な体制変更によるものと予測します。注目していきたいと思います。

★かえつ有明は相変わらず志願者は多いですが、前年対比は減っています。これは敬遠されているということもありますが、おそらく帰国生の条件を少し絞っているのだと思います。さらにハイクオリティを静かに目指しているというわけでしょう。

★中央大学付属もグローバル教育に力を入れているのでしょうが、他校と違い、大学で実施しているELSI関連のグローバルプロジェクトが影響しているのかもしれません。ELSIは、医学部で話題になっていますが、倫理と法制度の側面からは、文系も大いに参加できる社会課題解決プロジェクトなのです。

★このプロジェクトは文理問わず全学部で研究できるし、実用的な研究になります。2050年のムーンショット計画にもつながる可能性があります。

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2022年12月 3日 (土)

2023中学入試の役割 ソーシャルジャスティスを求めて(09)グローバル教育を捉え返す shuTOMO12月号特集記事から

★昨日は、GLICC代表鈴木裕之さんからグローバル教育を中学入試という視点から捉え返すアイデアを聴くことができました。「shuTOMO 第12号(2022年11月3日発行) 」の特集記事「グローバル教育3.0」を鈴木さんが丁寧に取材し執筆していたこともあり、その記事に沿って対話をすることができました。グローバル教育の意義とかグローバルとは何かという話ではなく、世界をone earthとして越境しながら生きていくためのマインドとスキルを身に付けざるを得ないリアリティを「記述」するような対話でした。

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( GLICC Weekly EDU 第106回「2023年中学入試のポイントー中等教育のグローバル教育の質について考える」)

★かつてグローバル教育というと、ネイティブスピーカーの先生が多いとか、英検1級取得者何人とか、英検ではなくIELTSだTOEFLEだとかいう話題がメインでした。しかし、鈴木さんが取材した学校のグローバル教育は、そのような話は、日常化していて、その日常の中で、世界の学校とつながっているという話がメインストリームです。

★たとえば、八雲学園は、たしかに目黒区にありますが、もしもそのままカリフォルニア州のサンタバーバラに移動したとしても通用してしまうというレベルがグローバル教育3.0なのだということでしょう。

★それぞれ特徴がありますが、one earthで<boundary crosser>としての知と愛とスキルと言語力を身に付けられるようになる教育がグローバル教育だということでしょう。鈴木さんは、海城学園、八雲学園、三田国際、順天、工学院、富士見丘、文化学園大学杉並、広尾学園、開智日本橋などのグローバル教育について語ってっくれました。本当にそれぞれ特徴があり、グローバル教育の満開の花が私立中高一貫校でも咲き始めた動きが了解できます。

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★そして、私の方で、これは12月23日に詳しく話しますが、そのなグローバル教育を行っている21世紀型教育のカテゴライズをして、それぞれどんな学校があるのか少し紹介しました。40校強あるので、詳しくは23日にしたいと思います。人気の進学重視校が40校くらいありますから、それを合わせると、首都圏私立中高一貫校の30%シェアです。

★進学重視校については、この番組で話さなくても、皆さん熟知しているでしょうから、この番組の話と合わせると、結局人気校すべての情報をゲットできるということになります。グローバル教育について、ここまで俯瞰した話ができるのは、鈴木さんしかいないので、ぜひご視聴ください。

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