21世紀型教育

2023年9月22日 (金)

工学院の魅力➂ 生徒は体験とリフレクションとメタローグの次元を往還する

★明日23日(土)から2日間、工学院は夢工祭。正面玄関にあるビッグモニター(一般には中高にはない代物ですね)で生徒が自ら躍動感あふれるPR動画を作成して流しています。さすがSTEAM教育が日常化・自分ごとになっている工学院。その夢工祭に向けて準備をしている超忙しい中、5人の生徒が入れ代わり立ち代わり対話撮影のためにMAKE ROOMにやってきていました。

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★その5人は、21世紀型教育研究センターが主催した3校合同プロジェクトのメンバーです。工学院と聖学院、和洋九段女子の生徒がお互いに学校フィールドワークをして、感じたことや発見したことについて対話し、共に居心地の良い学校を創るアイデアを出し合っています。そのプロジェクトのリフレクションの対話をしていました。

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★場所はやはりMAKE ROOMで、3F(フラット・フェアー・フリー)な雰囲気をアフォードしてくれる環境でした。話を聞いていて、グローバルなエッセイライティングの基本ができているなあと。それぞれが気になった各校の空間のファクトについて語りながら、それに対する素直な自分の感情を語っていきます。当たり前のように思うかもしれませんが、自分の気持ちをさらけ出すということは、自分の価値観やメンタルモデルを公開することですから、実は意外と臆病になるものです。それがまったくないのです。もちろん、カメラが5台くらい囲んでいたので、最初はそれに対して少し緊張はしていました。しかし、これは人間当然です。

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★おもしろかったのは、八王子の学校と都心の男子校と女子校の違いを意識していたアンコンシャスバイアスを互いに対話し、それぞれの良さを受け入れながら、自分たちの学校の良さに改めて気づいたという展開です。

★ほかの2校の生徒が、工学院の校舎の吹き抜けを見てAwe体験している姿に、この空間の機能の良さに改めて気づいたのだと。教師と先生の距離が居心地の良いのは、このような吹き抜けのオープンスペースが関係しているのではないかと。たしかに、反対側の廊下を歩いている先生に、「いまいいですか」と声をかけても通じてしまうわけです。グーグルクラスルームと同じような機能のソフトに慣れている生徒ですが、リアルに声を掛け合うことができるこの空間の大切さに気付いていたのです。

★中野校長が、うちの生徒はメタ認知ができるようになっていますからねと語っていたのを思い出しました。工学院のキャンパスもAwe体験できる大自然をシミュレーションした空間があったのです。

★ファクトーオピニオンーリフレクションーアウェアネスという一連の対話が、新たな問いを共に開いてく工学院の生徒。体験とメタ認知の循環。いったいそれはいかにして可能なのだろうか?実は5分間くらいのアンケートにフォームで回答してもらったときに、その秘密が顔をのぞかせたのです。ダイアローグとメタローグを往還できる教育環境デザインのなせる業だったのです。(つづく)

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2023年9月21日 (木)

工学院の魅力② 信頼は非認知能力が豊かに育成されるから

★工学院の魅力の大きなベースは、教師と教師、教師と生徒、生徒と生徒、教師と保護者、保護者と保護者、学校と卒業生などまずは学内に信頼関係が広がっていることです。そんなことはどこの学校でも当たり前ではないかと言われるかもしれません。たしかに、そうであってほしいのですが、そうでないことは昨今のニュースを見聞きすれば明らかです。学内全体に信頼関係が広がるのは、言うは易く行うは難しなのは、受験生・保護者もわかっているはずです。ですから、自分にとって信頼できる、そして自分を信頼してくれる教育環境を探しているのです。

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★中野校長先生と田中歩先生(高校教務主任)の対話を聞いていて、それを身に染みて感じました。そもそも校長と学校の先生方のフラットな対話を公開するということ自体、レアケースでしょう。どこの学校も校長が前面に出て話したり、インタビューを受ける動画はよく見ますが、インタビュアーなしで、自由にのびのびと1時間もなごやかにそれでいて未来を共に創るにはどうしたらよいか対話するのです。

★しかも、校長室とかではなく、Make RoomというSTEAMの拠点の一つ(学内に幾つかある)を選ぶのが校長らしい選択です。中野校長自信がICT関連教育の第一人者です。ICTというグローバルイノベーションは、フラットでフェアーでフリーという3Fに象徴されます。このことはご自身の発想そのものです。ですから、学校組織の人間関係もその3Fを自ずと体現しています。

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★この3Fは、田中歩先生ともシンクロします。同校のグローバルな教育の総合力を先生方と共に生徒と共に創っていますが、その真価/進化が止まりません。それはやはり互いに信頼しあい、自分たちのやりたいことを英語とイノベーションとで形にしているからです。

★しかも人間関係を豊かにするもその反対にしてしまうのも、言語の使い方次第です。それはICTの使い方次第と同じですね。人間関係を豊かにする使い方ができているのが工学院です。

★つまり、信頼関係をつくるのに、言語教育とICT教育が相乗効果を生み出し、工学院の魅力を増幅しています。

★それにしても中野校長先生と田中歩先生の対話は、互いにリスペクトし、気遣い、相手の立場に立って思考をめぐらす共感的コミュニケーションが展開していました。

★つまり、言語もICTも専門的な認知能力が必要ですが、大前提として相手の立場に立って具体的な状況や文脈に対するイマジネーションを膨らませて語り合えるかどうか、すなわち「非認知能力」を豊かにできる環境が必要です。

★その環境の条件が3Fであることは間違いないでしょう。

★この共感的なセンス。実はイギリスの文化にも根付いているコモンセンスとアダム・スミスが語っている公平な観察者を心の中に生み出すことなのですが、この感覚を持っていた人が、工学院の道を開いたジョサイア・コンドルだったのです。

★ジョサイア・コンドルは英国人で建築家であり、実はイマジネーション豊かな若きアーティストでした。すでに3Fはジョサイア・コンドルの生きざまに重なるのです。

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工学院の魅力① 先進的教育のベースに開国当時の素晴らしい精神性が今も流れている

★鹿鳴館時代、イギリスから若き建築家というかアーティストがやってきました。ジョサイア・コンドルがその人です。開国まもないころ明治政府が招聘しました。コンドルは、今の東大工学部のルーツの工部大学校で、日本初の建築士を育てた人です。その弟子たちが創設にかかわったのが工学院大学です。

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★その創設にかかわった辰野金吾の設計が今復元されている東京駅の丸の内駅舎です。赤レンガでなかなか壮観でありそれでいて風情もあり、観光客の人気のスポットです。そこから歩いて10分くらいのところにこれも復元されて赤レンガ造りの建物があります。三菱1号館で今は美術館として使われていますが、コンドルとその弟子との多分共作でしょう。

★この地は、当時の政府と岩崎家と渋沢家の巧妙なというか絶妙な競争的共在関係が繰り広げられた地で、本人は意識していたかどうかは知らないですが、コンドルも巻き込まれていました。

★いずれにしても、まさかと思われるかもしれないですが、このコンドルの精神が、工学院大学附属中高に美しく輝いているのです。もちろん、私の妄想かもしれません。

★しかし、昨日、中野校長と田中歩先生(高校教務主任)のお二人が対話するシーンに立ち会ったり、21世紀型教育研究センターの学校越境プロジェクトに参加した生徒のリフレクション対話に立ち会ったりして、そう感じたのです。その生徒の対話を見守っている宮井先生(数学科教諭)の話に耳を傾けてそう感じたのです。

★そして、奥津先生(中学校教頭・教務主任)と久しぶりにお会いすることができ対話をしてそう感じたのです。

★さらに、OBの仲野想太郎さんと少しでしたが対話をしてそう感じたのです。仲野さんは後輩の学びをサポートするファシリテーターとしてきていました。ふだんは、仲野さんがもう一人の同期生など仲間と起業している活動の中で、対話をしていますが、そこでもやはりそう感じているのです。(つづく)

 

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2023年9月20日 (水)

八雲学園 シン・グローバル活動

★八雲学園のサイトにこんな記事が掲載されています。「吹奏楽部、氷川神社例大祭にてミニステージ!」

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(写真は同校サイトから)

★サイトの記事内容をご紹介します。

「八雲学園の近くにある氷川神社で行われた例大祭にて、吹奏楽部が演奏を行いました。氷川神社の例大祭は、4年ぶりに御神輿渡御が復活し、活気溢れる雰囲気の中、吹奏楽部としては初めて、神楽殿での発表の場を頂きました。ステージに上がれる人数が限られた中、普段とは違った緊張感を味わいつつも、たくさんの方々から温かい手拍子、ご声援をいただき、充実した本番となりました。10月の文化祭でも演奏を披露しますので、ぜひお越しください。」

★各地で、アフターコロナとあって、お祭りが繰り広げられています。外国人も参加し始めています。その姿を見て、お祭りは国を超えて何か共通する胸を打つものがあるし、ある意味異次元へのアドベンチャーなのではないかと感じました。

★八雲の生徒の皆さんは、国内外の異次元の境界線を越えて挑戦します。ある意味この活動は越境するシン・グローバルな活動として再発見されてもよいのかもしれません。

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2023年9月13日 (水)

聖学院 豊富なAwe体験学習と内省的Awe空間

★Awe体験とは、結局実るほど頭を垂れる稲穂かなというメンタリティ。大自然や天空の星々を見て、自分の存在の小ささに畏敬の念を持てる存在を感じるわけです。すると、自分は何ができるのか素直に深い内省にはいっていくという体験ですね。多くの学校でこのAwe体験ができるプロジェクトがデザインされているし、キャンパスそのものがAwe空間であるということもあります。

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★聖学院は北区中里の丘の上にあります。それゆえ、正門から坂を上り、さらに階段を登っていくキャンパス空間になっています。毎朝その階段を登り切った右手に講堂があり、そこで生徒全員が朝の礼拝に参加します。実に清々しい聖なる空間です。内省的Awe体験が毎日なされているのです。

★さらに中2では、蝶ケ岳登頂、中3では小糸川農村体験に全員がいきます。修学旅行や多様な海外研修、そして究極のタイ研修があります。外界的Awe体験とOne Earthの中で内省的Awe体験ができるのです。

★それゆえ、聖学院の生徒の島皮質は豊かになり、クリエイティビティとセルフレスなボランティアやソーシャルアントレプレナーシップも発揮します。まさにOnly One for Othersのメンタルモデルを生徒は共有しているのです。

★卒業生が社会貢献活動で活躍しているのは必然なのでしょう。

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グローバルアイランド教育 すでに私立学校は行っている

★私立学校は、グローバルと名のつく多くの教育を行っています。“Think globally, Act locally.”という精神はその通底にあるコアコンテキストですね。この精神は、実はAwe体験がベースになっています。One Earthという本来境界線のない一つの地球という大自然を感じてAwe体験をし、それなのに、政治的な分断線、経済的な分断線、身体的な分断線、メンタルな分断線、人間関係の分断線、気候変動的な分断線など多くの人間がつくった境界線が多重分断を生み出しているなんてとクリティカルシンキングを発動し、解決へと活動していくのです。

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(イラストはBongが作成)

★そして、このAwe体験は、二種類が結合していることが了解できます。One Earthという大自然、もしかしたら、その背景にある宇宙まで感じ取り、自分の小さな存在に気づき圧倒されます。しかし、そのあとに深く内省し、この小さな自分が何ができるかクリエイティブに発想するわけです。つまり、外界的Awe体験と内省的Awe体験。その結合が“Think globally, Act locally.”というメンタルモデルです。

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★この大自然と内省を結びつけるものは、しかし何でしょう。それが脳科学的には、人間の島皮質なのです。この島皮質がOne Earthと結びつき、Awe体験が起こり、内省的精神が生まれてくるわけです。

★ですから、このグローバルな島皮質をトレーニングする教育が必要です。私立学校は、上記の図のように、いろいろなグローバル教育を行っています。当然<Think globally, Act locally>のメンタルモデルはプロジェクト型の活動や探究活動になります。英語はグローバルシチズンと意思疎通をはかるには最低必要でしょう。マクルーハン的発想からはDXネットワークは当然必要です。

★そして、私立学校がこれらの様々なグローバル教育を行っているのをより効果的に、多くの生徒が自分事として活動していくには、グローバルアイランド教育を暗黙知の状況から形式知化し、多くの学校で共有することが大切ですね。

★すでにいろいろなプログラムの事例ケースの共有セミナーは頻繁に行われています。この事例ケースがどのようにグローバルアイランド教育になっているのかメタローグできるセミナーがあるとよいなあと。

★ここでいうアイランドは、“insula”で島皮質のことを言っています。島資質は、セルフレスで多くの問題をケアしようとする非認知能力が発動すると同時に、他の多重知能を生み出す大脳皮質と連合する位置にあります。

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2023年9月12日 (火)

グローバルアイランドの時代 AI地球時代を豊かに生きる

★岩崎一郎先生の本に出合って、大脳皮質に関する論文なども読んでみました。やはり島皮質は重要だなと。大脳皮質はいろいろな皮質に分類されていますが、知性と感性と倫理性などにかかわる位置にあるというか接しているのが島皮質です。ですから、セルフレスの倫理観というか謙虚な状態の中から創造性を生み出す皮質のようだということがわかりました。

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★そして岩崎先生は、島皮質を豊かにするトレーニングをいろいろ考えていますが、多くは外界からの刺激の受け方です。その中で京セラのフィロソフィーや論語を大事にしている側面もあるというコトを知りました。

★なんと内面から島皮質を磨き上げるのですね。

★森の中で大自然のシャワーを浴びながら、瞑想したり哲学したりというわけですね。

★システム思考とSELとブレークスルーなどを掛け合わせて、誰でもが内面から島皮質を豊かにする創造的思考力を養うコンセプトレンズの地図を描いてみました。この地図を自らの駆動力にするための問いのトレーニングを伊藤竜さんと福島の研修でやってきたのですが、その時にはこのような図にはまだなっていませんでした。思考コードと変形の視点をむずびつけることはまだしていなかったのです。結合することで、SELのチェンジメーキングの最終段階の規格外の領域が浮かび上がってきたのです。そう、この図を描きながら思いついたのです。

★実は、今日のランチタイムの時に伊東竜さんとチャットでほかの件でアイデアを出し合っていたら、伊東さんのレンズがこんな感じだったので、絵がイメージできたということもあります。

★新しいというより、これが今まで生徒と対話しながら、彼らが成長の翼を広げていく姿に立ち会っていたのだと。そのときの対話の仕掛けを可視化するとこんな感じというわけです。

★そうそう、グローバルアイランドのアイランドは、insulaを置き換えました。insulaといってもピンとこないので。insulaとは島皮質のことを意味します。島皮質がOne Earthと結びつくことによって、規格外のAwe体験をする。ゆえに、世界で通じるクリエイティビティを生み出せる子供たちでいっぱいになるというわけです。言語野には生成AIはめっぽう強いでしょうが、島皮質の豊かさには、まだまだ追いつけないでしょう。

★もし追いつけたなら、生成AIは人造人間にでもなっていることでしょうね。

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2023年9月11日 (月)

私立中高の広報室がIR室と同じ機能を持っている学校はサバイブできる

★2024年は大学全入時代だと警鐘が鳴らされて久しい。その危機を乗り越えるため、日本の大学は21世紀にはいってIR(Institutional Research)の重要性を論じてきました。今では、40%がIR室を設置しているというのが大学の現状のようです。IRというのは、大学の独自の創意工夫ですが、米国では学問として成立しています。その成果を活用しているのが日本ですね。

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★実は1999年にNTS教育研究所を設立した時に、当時の同僚と一発目に行ったセミナーが「エンロールメントセミナー」です。2日に分けて行う程多くの学校の先生方が集まってくれました。ほとんどが当時の広報部長とか室長でしたが、今思えば、このときのエンロールメントセミナーはたんなる広報戦略セミナーではなかったですね。その証拠に、そのとき集まった広報リーダーは、その後校長、教頭にどんどん進化していったのです。

★「エンロールメントストラテジ」というのは当時米国で流行っていた広報戦略の学問だったので、今でいうTTP(徹底的にパクる)セミナーだったのかもしれません。しかし、それを東京の私学の先生方と学び、飲みながら日本流儀に落とし込んでいったのを想いだします。

★そのエンロールメントマネジメントの一環として、おそらく当時の他社のシンクタンクと違ったのは、「授業」の中身や質を広報しようということを中心にしたことでした。新しい授業、今でいうPBLを創っていこうと勉強会を先生方と結成しました。

★つまり、広報戦略は、入学の宣伝や入試問題の領域だけの話ではなく、入試は学校の顔として位置付け、入学後生徒がどんな授業を受け、どのように成長していくのか、今でいう3ポリシーのストーリーを実装する戦略を練ったわけです。

★一方生徒獲得戦略は、世界の教育情報を収集し、保護者の志向性をマイニングするマーケティングも行っていきました。今思えば、最近はやりの大学のIR室と同じような位置づけの広報戦略室がいろいろな学校に生まれた時期でした。

★ただ、エンロールメントなんて言葉を使う本間はカタカナ語が多いと揶揄もされました。しかし、今では当たり前の世界になりました。上記の4ポイントをトータルした戦略を練ることが、私立中高の広報室の役割というところが多いですね。

★ですから、広報部長や広報室長が教頭レベルの経営的視野をもった人的資本が兼ねているという場合が多いですね。

★私が、私立学校の教師は全員が経営者だよと言っているのは、上記の4ポイントの知見を磨くという意味です。特に人的資本を豊かにするのは、教師のためのみならず、それは生徒にとっても同様なのです。

★そして、その4ポイント領域に関しては、統括的なデータが創られることを望みました。校長時代普段私も授業を見て回るし、保護者と対話もします。それは、先生方が出すデータとマッチングすることによって、私なりの勘を磨くためでもありました。

★この時期から生徒募集の手ごたえが、時系列比でデータ化されていきます。進路の行方も現実的になります。さらに文化祭、修学旅行、探究活動等の教育活動が活発になります。生徒募集の時に生徒がプレゼンするときに、そこに投影される活動記録は質的データです。

★量的データと質的データとリアルな実感の勘をすり合わせて、理事会と掛け合う資料作りなどをしていきながら、学校を先生方と運営する時期です。データや資料は自分でも作りますが、それぞれ先生方が深く広く創りますから、ここはどういう状況か教えてよと聞きまくります。

★そして、各先生方が作成したデータや資料について、レクチャーを受ける対話を日々していきます。それを理事会に報告する資料に挿入していきます。そして、そのデータによるアイデアが通ると、人的資本が豊かになっていくでしょう。

★学校にとって理事会は、コンクール審査会のように使っていくと、理事会も教育に興味を持ってくるわけです。

★IR的な情報収集と分析とビジョン操作は、私立中高でも行われているわけですね。データ作りはICTシステムがとても重要なのは言うまでもありません。一元管理ができるほどのシステム化はまだまだ私立中高では遠いですが、DXの進化によってそれはやがて果たされるでしょう。

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2023年9月10日 (日)

対話関係を生み出す分解・統合・変形ワークショップ 伊東竜氏とコラボして➌

★不思議なのですが、伊東氏とコラボしてきたWSは3年前パウロの校長に就任した時の夏も2年目に入った時の夏もだいたい5時間でワンセットのWSだったのです。父母の会との対話WSも年間5回ですから5時間ですね。ただし、1回90分ではありましたが。福島でも5時間半ですから、WSを5回ぎりぎり回せました。大学で1セメスターの講義は15時間でしたが、たしかに3テーマはできたましたから、私たちのWSは5時間くらいであるゴール設定になんとかいけるのかもしれません。

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★自然と社会と精神の循環を生み出す思考のコンセプトレンスを掘り当てるというのが、私たちのWSのデザインの仕掛けです。いたってシンプルで、同じ構造のWSを少しずつ次元をあげて5回回します。すると、これらのWSの構造を循環させる思考の種であるコンセプトレンズを参加者一人一人が見出していくということになります。

★思考のコンセプトレンズは、一人ひとり違ってよいので、思考のコンセプトレンズとは何かから始めません。まずやってみようというWSⅠから5回、回転したところで最終ピアリフレクションをしてそれぞれに行き着くわけです。

★もちろん、私たちの仮説はプレゼンします。でも同じでなくてよいのです。One Earthという循環態に適用できるかどうかがその信頼性、正当性、妥当性を実感することになるからです。ですから、このようなWSを幾つも体験したり、自分でデザインしたりしながら、WS自体もコンセプトレンズ自体もアップデートしていくでよいと私たちは考えています。

★今回は使いませんでしたが、WSの過程で、生成AIも使うことができます。今回実は講義で使うデータ整理にはAIを使ったのですが、WSではそうしなかったのです。はじめは使おうと思ったのですが、私たちが設定したWSの問いに対し、生成AIの反応がボロボロだったので、生成AIにはできないWSをやれるのだなあと伊東氏とかえって勇気をもらえるとなったわけです。

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★ファシリテーター伊東氏とコラボしたWSについては、いずれ具体的にご紹介しようと思います。また、田中歩先生、柴谷先生、片瀬先生などとも協働してさらにアップデートしたものを紹介できると思います。

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対話関係を生み出す分解・統合・変形ワークショップ 伊東竜氏とコラボして➋

★「<教科と探究>のつなぎ方・<学習指導と生徒指導>のつなぎ方」というテーマに絞ったのは、伊東氏が日本私学教育研究所で全国の私学の先生方と話したりアンケートを整理する中で、同様に私も東京私学教育研究所で行う研修で東京の私学の先生方と対話する中で、ここは重要だと互いに思ったからです。このつなぐ媒介項は、実はマインドフルネスや心理的安全をつくるワークショップやSELのセミナーなどで行われているのですが、その媒介項それ自体は、あまり注目されてこなかったことです。主体的だとか思考力だとか判断力だとか表現力が大事なのはみなわかっています。

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GLICC Weekly EDU 第93回「聖パウロ学園:偏差値では測れない複眼思考型教育~すべての生徒が才能者」 は、伊東氏がパウロ時代に出演した動画ですが、そこですでに思考のコンセプトレンズの種の種の話に触れています。参考になると思います。そして、今のパウロ自体は、小島校長のもとでさらに次の次元に行っています。)

★しかし、どうやったら主体的になれるのか、どうやったら思考力が身につくのか、判断力は?表現力は?ということなのです。もちろん、いろいろなワーックショップを行ったり探究をデザインをすると、主体的になる生徒もいるし、思考力も身につける生徒もいるわけです。しかし、全員が自分の才能に気づいてとはならないのです。そこは、その主体的で思考力ある生徒のその暗黙知を明らかにし、共有するという作業が必要です。

★伊東氏と挑戦したのは、そこでした。いわゆる偏差値50行くか行かない生徒がどうやったら上智をはじめとするカトリック学校に合格する思考力・判断力・表現力を自ら掘り起こせるようになるのか。自ら掘り起こそうとする生徒は主体的になるのは当時生徒たちの様子から私たちは理解していました。上記の動画で伊東氏が話している時は1年前で、その成果がまだ未定でした。しかし、この春成果がでたとき、やはりそうだったんだということが了解できたわけです。

★そこから、工学院の田中歩先生と相談して、互いの学校の教育デザインを統合して新しい教育デザインを創ろうとなったわけですね。それを福島でも共有してきたわけです。

★つなぐということは対話関係をつくることです。信頼とか絆とか。それができたとき、そこには共感的コミュニケーションが広がっています。これは田中歩先生が先生方と協働して創り出すのがうまいわけです。

★パウロは、生徒が自己組織化して考えたり動いたりする態勢を生み出すのが得意です。今教頭の大久保先生はこのデザインは天才的です。

★伊東氏はその状況を数学的思考で機能を見出すのがうまいですね。私は、そういう状況すべてに起こっているシステムをメタローグに転換しようとする姿勢があります。姿勢と言ったのは、結果はどうわからないからですが(汗)。

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