21世紀型教育

2020年8月24日 (月)

中高生の活躍(04)文化学大学杉並DDコースの生徒と和洋九段女子の生徒のシステム思考×デザイン思考

★聖学院の三浦さんのプレゼンのあと、文化学園大学杉並DDコースのチームが発表し、それに和洋九段女子の2つのチームが続きました。三浦さんもそうですが、各学校のPBLの学びが反映していて、学校教育の必要性が裏付けられているなあとしみじみ感じました。

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★聖学院のPBLは、タイ研修や海外起業家研修MoG、キャリア甲子園、パラリンピック支援活動など多くの実際的なプロジェクトがベースです。これらの研修は外部のネットワークと結びつくもので、彼らファシリテーターは、U理論とEQ、そして心理学系の見識を社会実装しています。そんな中で、タイ研修のスーパーファシリテーターは、同校の教頭伊藤豊先生です。おそらくもっともハードで、心揺さぶられ、あらゆる学術的理論の無力さを思い知り、そこからどうやって立ち上がるか、自己の狭い視野をぶち壊していくかという米国のWASPというプロテスタンティズム階層構造をぶっ壊すディサイプルズ派の面目躍如というマインドが底流にあります。

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★キング・オブ・ファシリテーターといっても過言ではない伊藤先生。お会いすると、その控えめだけれど互いの存在の重さをシェアできるオーラがあります。三浦さんが共感するはずです。伊藤先生のような存在が学内にあって、外部とつながるので、バックヤードでは、その意味をしっかり話し合っています。そういう分厚い、外からでは見えないマインドの広がりが豊かなわけです。これなくして、外部とつながると、たんなる観光旅行になってしまいますね。

★文化学園大学杉並のDDコースもすさまじい授業が展開しています。もちろんPBLなのですが、カナダのブリティッシュコロンビア大学の学問的な連携がなされているプログラムです。カナダのブリティッシュコロンビア州では、それがあたり前で、すべての公立学校がその恩恵に浴しています。

★DDコースの先生は、すべてBC州が認定した教師が派遣されています。ネイティブスピーカーの教師ですが、BC州公認というところが他を圧倒するクオリティの高さです。ですから常に大学で学びながら授業も行うので、研究者であり高校の教師でもあるわけです。学問の最前線の成果をダイレクトにDDコースにつなげているわけです。

★だから、スタンフォードやブリティッシュコロンビアやトロント大学で活用されるデザイン思考も当然取り扱われています。またカナダの教育はグローバル市民育成をベースにしていますから、地球環境問題は当然射程に入っています。デザイン思考ですから、3Rからアップサイクルへという新しい環境問題を解消する活動も採用します。

★基本は、モダンアートの古典的戦略のレディメードです。ですから、文杉のPBLはアート思考満載です。あまりアートとデザインの区別はしていないところが柔軟です。日本だとアートとデザインはどう違うのかから入ってしまいます。コンセプトの名称と商標の区別がついていないところがあります。それはアート思考もデザイン思考もパッケージとして輸入している日本の教育産業界の悲しい定めですね。最初から自分たちで生み出していないので、そこから出発すると誤謬確信に導かれていくというピーター・センゲのシステム思考の指摘はその通りです。

★そうそう、文杉の生徒が提案するハピネスサイクルはシステム思考そのものです。それぞれの格子をステップに分けていて、それぞれの格子の幸せ感の違いがプレゼンされていました。シンプルなサイクル図なのですが、実際にはそれぞれの格子からループする輪がたくさんついている複雑系になっています。しかし、それをあえて描かず、シンプルなサイクル図とフローチャートに分けてデザインし、あとは聴き手にイメージしてもらおうという戦略でした。

★フランスのマカロン大統領のダブルメッセージである「プランネットBはない」というプラカードでプレゼンを終わったのも心憎いですね。これは日本の教育でもやる掛詞の戦略です。古典や詩で学ぶ表現技法を、こういうところに反映させる遊び=学びが日本にはまだまだないのが残念です。教科の知識を軽視し、知識なき探究をやろうとしていますから、そういうことになります。両方を遊びというゲームでつないでしまえばよいのに。

★身近な体験から気づきに気づき、探究を深めていくことが好きな割には、身近な教科学習を探究につなげないというシステム思考のなさが現状のようです。そんな矛盾から思い切って飛び出しているのが文化学園大学杉並のチームのプレゼンでした。

★つづく和洋九段女子の2つのチームのプレゼンもすばらしかったですね。徹底的に体験の中でリサーチをするのだけれど、そのリサーチはインタビューという対話によるものも多いのです。もちろん文献リサーチもたくさんしているし、データも活用しています。しかしながら、基本対話の中から仮説を立てて、それを体験の中でリフレクションしつつ軌道修正したり検証したりしていくスタイルです。

★仮説のきっかけをマズローの5段階欲求説に依拠していましたが、最終的にはそこから離れていきます。学術理論を超える新しい発想を生み出す息吹が溢れていました。

★同校のPBLのデザインのリーダーの一人である新井教頭は、シリコンバレーで注目されているマインドフルネスも学び、実はマズローの5段階欲求説を超える幻の6段階目の目を持っています。また新井先生の仲間である水野先生や本多先生は、文化人類学的な発想の社会理論をベースにPBL授業をデザインしています。通時的・共時的な視座で社会を多角的に分析する目を生徒と一緒に学んでいるのが日常です。

★それから、数学科の石原先生は、社会を分析する時に、データをどう創るのか、社会現象や社会の中で人々がどう反応するか心理的反応を関数関係に変換するアイデアを大事にしています。

★そういう和洋九段女子の日ごろのPBLのプラクティスでよく学んでいるなあというのが手に取るようにわかったのが今回のプレゼンでした。私はたまたま3校の先生方の取り組みを知っていたので、見える部分も多かったと思います。問題は、日本の教育産業界は、平気でビジネスマン養成目線(勝ち組負け組という欲望の資本主義目線)で生徒を見るので、本質がみえませんね。

★そういう矛盾の嵐の中で、見えない部分をどのように表現しようかとチャレンジしている3校の中高生の皆さんの姿にこそ、世界を変える突破口が広がるのだと確信しました。

★それにしても、三校とも、思考コードやルーブリックが日常化しています。PBLをやるのに、そういうメタ基準があるのは当然なのですが、実はないところもまだまだいっぱいあります。また、ICTを普段使いもしています。文杉のDDコースのリヨ校長先生は、ICTのないPBLは考えられないということです。それが、カナダではニューノーマルではなく、すでにノーマルなわけです。

★そういう意味で、文杉の生徒さんのプレゼンは、世界標準ですから、3校とも甲乙つけがたいプレゼンをしているということは、それだけでもすごいことですね。みな世界標準だということです。

★来春ダボス会議で、資本主義から才能主義へというテーマで、国際会議が開催されますが、21世紀型教育機構はそれを先駆けてやっています。最近あの落合陽一さんも、21世紀型教育機構の規約の前文で掲げている「クリエイティブクラス」へのシフトを提唱していますね。

★今回の生徒のみなさんはクリエイティブクラスへの道を着実に歩んでいます。ワクワクしながら、緊張しながら、情熱をメラメラ燃やしながら、世の痛みを引き受けながら。

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2020年8月23日 (日)

中高生の活躍(03)聖学院の三浦さん。

★本日、21世紀型教育機構で、中高生のプレゼンテーションコンクールが開催されました。聖学院の児浦先生からウチの三浦くんがプレゼンするからどうですかと。私が同機構の事務局をしていた時期(今は同機構を引退しています)に、毎回のようにセミナーに参加してくれて、盛り上がてくれていた三浦さん。もう高3生になっていたのですね。

★私がセミナーのジェネレーター的ナビゲーターを行っていたときのことです。ちと飛びすぎた自己満足的トークだったかなと内心おちこんでいたとき、さっと近づいてきてくれて、「おもしろかったですよ!」と言って爽やかに帰っていった姿は今も鮮明に記憶にのこっています。そんな落ち込んでいる私の気持ちを気遣うセンサーの持ち主に応えるのは当然です。二つ返事でウェビナー参加しますよとなったわけです。

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★セミナーのテーマは「幸福度が高まる世界のデザイン」でした。Well-beingへの関心度が高いいまここでの旬なテーマです。ちょうど「自由か規制か」から「自由か幸福か」へとシフトしている今日的テーマについて、他校の高3生と対話しているところだったので、ますます時代の欲求するものの高まりを感じました。

★そして、いよいよ三浦さん。「失敗が幸せを生む?」というテーマでした。実に文学的なパラドクスを選んだものだなと感動しつつ、そういえば、あのとき私の落ち込みという失敗感をポジティブな捉え方にサッと転換するエールを贈ってくれた三浦さんならではの視点だなと思いました。

★失敗と成功の二項対立の背景にあるネガティブな固定観念をどうぶち破るか、ぶち破るというより、試行錯誤の飽くなき連続によって固定観念を持っている人々が認めざるを得ない状況に持ち込んでいくすさまじい信念の重厚感に、小手先のプレゼン技術や探究技術など吹っ飛ぶ感じがズシっときました。

★またチームのもう一人の生徒は当日参加できないということで、動画で参加。パラリンピックを契機に、心のバリアフリーを創っていくのにどうしたらよいかという提案を超えて実際に行った体験を語りました。

★おもしろかったのは、二人の別々のプレゼンではなく、劇中劇みたいな入れ子の構造になったプレゼンで、二人の着想は、失敗と成功を対立構造に持ち込む社会集合意識と障害者と健常者の対立観念をつくってしまうこれまた社会集合意識を重ね合わせ、それを解消するという点で協働・共創していることが伝わってくる力強いプレゼンでした。

★固定観念に負けずに不平不満を言わずに、むしろそういう固定観念を引き受けて共に歩んでいくうちに向こうの方が観念して負けたよというような感じです。固定観念を観念させるという物凄い戦略です。

★おそらくこの社会集合意識は、みなトラウマをどう乗り越えてきたかを物語る紋切り型のお涙頂戴プレゼンに慣れきっているから、三浦さんのように別の物語を紡いでいる新しい人間の場合は、苦労しますね。しかし、その苦労こそ、ピーター・センゲのいう誤謬確信に導かれる罠にはまることをはねのける土台を必ずや形成するのです。

★就職の時もそんなトラウマヒーロー物語を語る練習をする啓発セミナーや啓発本が多いです。AO入試対策なんかもそうですよね。

★でも本当は、いっしょに未来を創っていけるかどうかの出会いを待ち望んでいる人々が多いのではないでしょうか。出会いに過去は問題でしょうか。いまここから未来をいっしょにやっていこうと意気投合し共感し心の竜巻が起こる仲間に出会えたら最高ではないでしょうか。エンパワーメントとはそういうことです。

★そんな仲間と出会えたら、失敗もトラウマも、だから何だよとなり、一瞬にして固定観念は吹っ飛びます。

★その仲間が友人の場合もあるでしょう。三浦さんが写真を提示してまで紹介した児浦先生や伊藤豊先生のような教師の場合もあるでしょう。これから出会う大学の教授という場合もあるでしょう。それにいずれ未来の伴侶となる恋人も三浦さんを待ち望んでいることでしょう。

★プレゼン、出会い、マインドフルネス、響き合い、分かち合い、協働、そして友情と共創・・・なんてったて存在のインパクトこそ重要です。もちろん、魅せるプレゼンテーションのスキルも必要です。がっちりリーサーチすることも必要です。でも、それは、完成されたものでなくてもよいのです。大学に入ってから、就職してから細部に至るまで学んで修得していくものです。

★飛びたいと思って、1人の力ですぐに空を飛ぶことなんてできないでしょう。長い間、多くの人が挑戦し、協力して、失敗をものともせず繰り返し、ようやく飛行機を完成するのです。学問とはそういうものだし、人生ってそういうものでしょう。

★これから三浦さんが専門知識を学んでいくにしても、学際知を身につけていくにしても、その時にリサーチしたりプレゼンしたりするでしょうが、そのリサーチやプレゼンの力が今からそのレベルになっている必要はまったくないのです。

★ただ、出来るようになるなあという予感は大事です。あなたは未来にそうなるという予感がするよ。だからいっしょにやりたいねと共鳴し合えるかどうかが肝要です。そのためには、自分の努力はここまででよいということはないのです。試行錯誤の重奏低音を響かせながら歩んでいく存在の豊かさこそ三浦さんの才能であり魅力です。

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2020年8月 8日 (土)

中高生の活躍(02)聖学院「中高生社会起業家トークセッション開催!」

★本日8月8日(土)、聖学院協力のもと「 中高生社会起業家トークセッション〜次世代から学ぶアフターコロナの社会のつくり方〜」開催。司会はもちろん児浦先生(聖学院21教育企画部長・国際部長・広報部長)。

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★コロナ禍の中でも様々な取り組みを進め、活躍している山口由人さん(Sustainable Game代表・聖学院高1年)と佐藤夢奏さん(株式会社まなそびてらこ代表・千代田区立麹町中2年)によるトークセッションでした。小学生から私のようなお爺ちゃんまで多くの方が参加していました。

★山口さんは中学生の時、佐藤さんは小学生の時に起業し、現在社会起業家として活躍しています。2時間、児浦先生の名司会のもと、お二人は対話しっぱなしでした。

★最初は自分たちの想いを語っていました。もちろん想いといっても近況報告ではなく、起業の理念や精神、起業哲学です。社会を変える一つの場として教育もあって、学校も変えたいと。なぜなら、学校は客観的なものを重視し主観を大事にしない。でも好奇心や興味関心、本質的なMotivationこそ大事で、そこを大切にするには教室という箱では収まり切れないのだと。とくに、客観的でなければという強制はすべてをぶちこわすと。ここは佐藤さんが強調していました。

★だから、もっと主観や好奇心を大事にして、みんなでそこでつながりながらワクワクする活動をしたいと。それがいろいろなワークショップだったりプログラムだったりするのだと。仲間がどんどんふえていくと、その延長上に未来社会があるのだと。

★ここは実におもしろいですね。実は戦後日本の教育は、主観は蓋をしなくてはならなかったわけです。特にGHQはそこは蓋をして、日本人を生かさず殺さずにしたかったのでしょう。1957年のスプートニクショックでそれはピークになりました。

★徹底した客観主義と科学主義で、テレビでは鉄腕アトムや鉄人28号、ウルトラマンとそれは拍車をかけたわけですが、主観は恣意的になってあの第二次世界大戦の悪夢を生み出す温床だとみなされてきたわけです。もちろん、それを証明する手立てはないのですが、国語の教科書が主観と客観の二元論どまりで、相互に依存し合う主観が客観を生み出しているという思想界や科学界のパラダイム転換はずっとスルーしてきたのです。

★ところが、主観が大切であることと仲間が大事だというお二人の思想は、intersubjectを前提にしています。とにかく分断をなくすことをしたいのだと。その根源は実は主観と客観の二項対立図式だったんだというのでしょう。ファシズムに封じ込まれたフッサールが、この危機の警鐘を鳴らしながら死を迎えるのですが、今フッサールのintersubjectの松明がようやく中高生起業家によってふたたび輝きを取り戻したのです。

★私はもうお爺ちゃんなので、彼らのつくる未来社会では生きていませんから、静かに耳を傾けていようと思っていたのですが、日本人は自分の立場をはっきりさせない。ちゃんと立場をはっきりさせて対話をしたほうがよいという話を聞いたり、ところで具体的にどんな仕事をしているのですかという質問に、多くの企業や団体とコラボレーションし、SDGsのように格差をなくし、誰一人おいていかない社会をつくるために、そのような企業をサポートしていますと。

★これはおもしろい。ここまで明快に意思を表明し、起業をしたというのはすごいことだなと思い、もう少し起業のフィロソフィーを聞いてみたいとつい思ってしまいました。それで「もし応援している企業が表向き社会貢献活動をしていても、実は利益第一主義だったとしたら、応援し続けますか?」と。コロナ禍ですから自粛か経済かともつながり、立場がはっきりすると思ったのです。

★すると、明快に、革命ではなくトランスフォーメンションだから、たしかにそういう企業もあるけれど、対話によって少しでも変わってくれるとよい。バランスではなく、やはり対話によって気づいてくれればよいと。そこからなんだと。

★世界を見ているなと感動しました。さすがは経営者だとも感心しました。そして、山口由人さんが「社員をサーフィンに行かせよう」という本を紹介してくれました。イヴォン・シュイナード(米パタゴニア社創業者)が書いた本です。山口さんも彼の哲学と共振するから、詳しくはこの本を読んでくださいと。

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★アウトドア関連製品をつくっている会社ですね。優秀なアスリートを社員として迎え入れているようです。そして、サーフィンは比喩で、自分のスポーツをいついかなるときでもやりにいってよいよと。その代わり、自分の仕事を肩代わりする仲間をみつけなくてはなりません。それはお互いにですから、今度は自分がどうぞいってらっしゃいと言う番になるかもしれません。

★登山もサーフィンも人間の予定に合わせてくれません。登り時や波の状態に合わせて人間は動かなくてはいけません。予定は常に未定です。ですから、いつでもどうぞと。これは効率が良いし、でもエゴイズムではなく、ちゃんと協力する。

★あれっ、こんな社会を夢見て実際にテキスタイルのアート工房を経営していた作家がいたな、そうそうウイリアム・モリスだ。なんとお二人もアートコミュニケーションをワークショップにと入れているから、なるほどなるほどつながったなあと。

★そして、何よりこの本の巻頭推薦文はあのナオミ・クラインが書いているのです。ミルトン・フリードマンのリバタリアン主義や20世紀末から驀進している日本の新自由主義をはじめグローバリズムに対する批判者です。だから、山口さんも佐藤さんも、リバタリアンでもコンサバでもないわけです。それを明快に主張できるフィロソフィーを表明しながら資本主義の活動をしている。

★まさにrevolutionaryではなくregeneratorです。格差を増幅させる資本主義から格差を解消する新しい資本主義に変容させる活動。社会的インパクト投資のねらいはここにあったわけです。

★このようなことを今の教育で行うことは無理でしょう。やはりregeneratorの活躍に期待するしかなさそうです。私のようなお爺ちゃんは、せめてregeneratorが生まれる環境をつくる挑戦をするのが精いっぱいかもしれません。孫がお二人のような中高生になるには、12年以上かかります。

★そこまで生きていたいですが、こればかりは神のみぞ知るですから。遠い未来ではなく、この近未来をどう生きるかですね。もちろん、それは遠くにつながっていると信じて。今回のテーマである「次世代から学ぶ」を思い切り堪能できたトークセッションでした。すばらしい機会をありがとうございました。

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2020年7月29日 (水)

中高生の活躍(01)和洋九段女子の中高生 外部ネットワークを広げる 社会に影響を与える学びへ

和洋九段女子の高校生がつくるTeam Amiの活動がラジオ新聞で取り上げられています。SDGsについて、日本でも世界でもまだまだ知られていません。まずはその意義について知ってもらおうと、SGDsを達成する活動をしている様々な団体のインタビューにとどまらず、連携しながら深く学び結果的にSDGsの活動を促進するプロジェクト「SDGsすごろく」ワークショップを次々と行っています。

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(写真は同校サイトから)

★「すごろく」というボードゲームを通して、経済を優先するか環境を持続可能にすることを優先するのか、ジレンマを乗り越えるクリティカルシンキングやクリエイティブシンキングを養う場にもなっています。教育的な意義と社会を改善していくインパクトを参加者とシェアできる画期的なソソーシャルゲームでもあります。

★また、Team Amiのメンバー以外にも、他の中高生とディスカッションするPBLイベントにも参加しています。同校が加盟している21世紀型教育機構の加盟校の知のシナジー効果を生み出すワークショップです。

1つは、英語で行う哲学的対話で、もう1つは教師といっしょに「世界の幸せ」について議論するワークショップでした。

★同校のサイトには、参加した時の生徒の感想が掲載されていますが、多くの気づきや知的刺激があったようです。何より、自分のアイデアが共感されたときの驚愕と歓喜と自信があふれ出ている様子が伝わってきます。

★21世紀型教育機構の加盟校は、C1英語×PBL×ICTを基本的な学びのツールとして確立してきました。ここ数年STEAMやリベラルアーツの現代化にもチャレンジしてきました。その要が哲学対話です。

★今回のパンデミックによる一斉休暇も滞ることなくオンライン授業を行えました。もちろん、和洋九段女子も同様です。

★そして、オンラインによって、ディスカッションの重要性と有効性を身に染みたし、オンラインのブレイクアウトルームがかなり優れたディスカッション時空だということがわかったということで、このようなイベントが行われたのだと思います。

★おそらく、今後どんどん加盟校が協力し合ってオンラインPBLワークショップを行っていくでしょう。互いに刺激を受け与え、様々なアイデアが創発されることでしょう。

★また、このことは各加盟校が、自分たちの生徒の地球市民としての言語能力、発想、思考力が世界に通じる自信や誇りがもてたということを示唆します。

★今後、加盟校の枠を超えてさらに拡大していくでしょうから、新しいネットワークの中で和洋九段女子の中高生も自己を磨き、社会に貢献できる活動を探究していくことになるでしょう。

★このよう活動は、生徒1人ひとりが自己変容するというコトも意味します。

★和洋九段女子の中高生をはじめ、加盟校やその他の学校の生徒が、こうして自己変容することこそが、世界が変わる第一歩です。

★PBLとは、まずは自分が変わるというマイプロジェクトでもあったのです。私が変われば、世界も変わるのです。あらゆるモノやコトが変容=トランスフォームする時代です。その起点がTeamAmiのような中高生という時代が到来したといえましょう。

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2019年12月22日 (日)

12月15日21世紀型教育カンファレンスを終えて(08)工学院 グローバル教育4.0<地球を救う教育>へ

★工学院の高2の修学旅行は、今年グローバルプロジェクトにチェンジ。沖縄や東南アジアの国々、米国などをフィールドにSDGsに関連する探究活動を実行。最終的には問題解決の提案や起業のプロトタイプまでつくるということです。平方校長がスピーチしているその日も、ちょうど生徒たちは世界の舞台で探究活動に励んでいたわけです。

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★平方校長はプログラムを新たに加えていくだけではなく、既存のプログラムもアップデートしていく。進化を止めないことが21世紀型教育の特徴でもあると語ります。

★したがって、グローバル教育3.0があと一歩で完成間近である今、平方先生はグローバル教育4.0を開こうというのです。

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★平方先生は、ここまで、≪Z世代≫の生徒がG-STEAMをベースにSGDsに取り組んでいるということは、自然と社会と精神が分断されてきた20世紀社会を自然と社会と精神を循環させる21世紀社会を創造することになるだろうと予想しています。

★20世紀型教育は、この自然と社会と精神が分断されてきた20世紀社会を支える知識・技能を育成してきた。だから、この分断を循環に転換させる21世紀社会が必要なのが、それを作り出すのは、21世紀型教育なのだと考えています。

★20世紀型教育は、20世紀社会が組み立ててきました。社会の構築より遅れて整えられてきたのです。しかし、21世紀社会はまだありません。今度は21世紀型教育が先行しています。したがって、社会を支える教育から、社会を創る教育に転換します。だから、20世紀は経済の世紀で、21世紀は教育の世紀と呼ばれているのです。

★自然と社会と精神の分断は、自然破壊をもたらし、格差社会を造りだし、心の闇を深くしました。今度は自然破壊をなくし、格差社会をなくし、心の光を取り戻す循環社会へシフトするのです。この分断をもたらした根本的な問題は、化石燃料の覇権をめぐる争いです。循環に転換するには、化石燃料にかわるエネルギー革命を創出することです。

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★平方先生は、循環社会にするということは、地球を救うエネルギー革命を生み出すことなのだと考えています。≪Z世代≫の生徒たちはここに向かって探究を活動をしていると予想しているのです。

★バイオテクノロジーとアートの融合するような直観ですが、考えてみれば、平方先生は、彫刻家であり、技術の教師であり、生物の教師でもあります。哲学を有した21世紀型教育の強烈なリーダーであるその背景にはそういう素養が広がっていたのですね。

★高次コミュニケーションはすでに田中歩先生が共感的コミュニケーションとカップリングして体現しています。意外とこの予想は加速度的に現実化するかもしれません。

★たしかに、この循環社会というユートピアは、工学院の生徒たちが取り組んでいる平和への探究がいきつく未来かもしれません。

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12月15日21世紀型教育カンファレンスを終えて(07)工学院と共にグローバル教育3.0実現にあと一歩

★工学院大学附属中学高等学校の平方校長は、グローバル教育3.0をあと一歩で完成するというところまできたことを表明し、いよいよグローバル教育4.0へブレイクスルーが生まれると宣言しました。

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★6年前に工学院の校長に就任した平方先生は、普段の授業を一方通行的な講義形式から双方向で創造的思考まで翼を広げるPBL型授業にシフトすることから着手しました。次の年には、思考コードを教務主任田中歩先生方がつくり、PBLで扱う問いのコンパスを共有する開発・研修が開始されました。2015年秋に今ではかなり知られるようになったSDGsの取り組みも開始し始めました。

★生徒1人1台のタブレットもこのころ中学で完成し、そこから高校にまで及びます。今では中学ではタブレット、高校ではBYODでラップトップを生徒は活用しています。ハイブリッドインター開設によってグローバル教育3.0を牽引し、ハイブリッドサイエンスコースもでき、一気呵成にSTEAM教育も広がりました。

★「思考コード×5Cのコンピテンシーが育つPBL×SDGs×G-STEAM」が循環する学びの生態系という<新しい学びの経験>が出来上がっていきました。これは21世紀型教育機構の理念ともシンクロしています。

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★そして、今の高3が高1になったときに、新宿キャンパスでハイブリッドインターコースの破格のPBL授業が展開し始めます。英語で哲学授業を行うことになったのです。STEAMと哲学が結びつき、リベラルアーツの現代化がスタートしたのです。

★そして、探究活動の一環として、探究論文の編集やMoGという東南アジアで起業家精神を実践するグローバルプロジェクトが花開きます。もともと中3は夏季中に3週間のオーストラリア研修がありましたから、グローバルな世界に進むのは、抵抗がありませんでした。高1では3か月留学も実施されるようになりました。

★図書館が3Dプリンターを設置するなどFabラボにアップデートし、デザイン思考のプログラムの拠点にもなりました。生徒たちは放課後ここで様々なSTEAM活動も開始し始めました。

★平方校長は、この具体的な実践的な展開を大量の写真を示して説明していきました。生徒たちは、英語を流ちょうに使い、ICTの技術も使い、シンガポールの国際コンクールで優勝してきたり、国連に招かれて世界平和の提言をプレゼンしてくるまでになったのです。一方で、大学生と対等にFabコンテストで賞も取ってくるようになりました。

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★こうして着々とグローバル教育3.0完成への道を歩んだのです。この間、ふだんの授業もブラッシュアップしました。ケンブリッジイングリッシュスクールに日本で初めて認定されるなど、ハイブリッドインターコースのみならず、学内全体の英語教育のレベルがあがったのです。

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★そして、これらの多様なG-STEAM教育の大車輪的な展開が、八雲学園から紹介されたラウンドスクエアの加盟への準備につながったのです。加盟するには認定作業がなされます。ラウンドスクエアの運営組織からリサーチがはいります。教師や生徒とインタビューしながら授業や教育活動を視察するのですが、認定委員は生徒の英語力に驚き、哲学的素養が育っていることに感動して帰っていったということです。

★世界のエスタブリッシュな教育が認めた工学院の教育の質。日本にいると気づかれないのは、世界を知らない教育関係者が多いので、当然なのかもしれません。

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★今年のラウンドスクエアの国際会議は、インドで行われましたが、工学院の生徒のデビューは、世界の生徒の目を覚ますようなインパクトがあったようです。

★こうして、着々とグローバル教育3.0は完成間近です。海外大学への進学者がたくさん出る予定の2020年度には、到達するでしょう。すでに現在分かっているだけでも、今年の高3生の中から次のような海外大学に合格者がでています。

〇University of Exeter ‹エクセター大学›

1855年創立(英・国立)世界ランキング130位(タイムス・ハイヤー・エデュケイション)・卒業生:J.K.ローリング(ハリーポッターの著者)

〇University of East Anglia<イーストアングリア大学〉

1963年創立(英・国立)・世界ランキング188位(タイムス・ハイヤー・エデュケイション)・卒業生:イシグロ カズオ(ノーベル文学賞)

〇University of Alabama at Birmingham‹アラバマ大学バーミンガム校›

・1869年創立(米・州立)世界ランキング168位(タイムス・ハイヤー・エデュケイション)・医学・看護学では全米突トップレベル。アメリカ南部のビジネス拠点に立地

★もちろん、国内の大学合格実績も伸びています。これからの一般入試の成果に期待がかかります。

★もうすぐ、受験業界でも、大いに注目される教育力を爆発させることでしょう。

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12月15日21世紀型教育カンファレンスを終えて(06)工学院 21世紀型教育機構の理論的支柱として実践モデル構築

★工学院大学附属中学校・高等学校の平方校長は、21世紀型教育機構の副理事長であり、一般財団法人東京私立中学高等学校協会副会長であり、文科省の高大接続改革の分科会メンバーです。したがって、工学院と私立学校と日本の教育全体を俯瞰して、日本の国力を復活できる人材育成教育を構築しています。もちろん、国家のためが一義ではなく、高邁な精神をもちイノベーティブな勇敢な人間力の育成が結果的に国や社会や世界に貢献するはずだという信念です。

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★この6年間の工学院の21世紀型教育の推進は、実は21世紀型教育機構の理論的支柱の形成とその実践モデルの構築と言っても過言でない程対応しています。6年前の思考コードを作成する研究開発から始まり、今ではグローバル教育3.0の完成にあと一歩のところまで来ています。

★そして、この思考コードのたたき台を作成した1人教務主任の田中歩先生が平方校長と壮絶な高次コミュニケーションをとりながら、一方で、先生方を巻き込む共感的コミュニケーションをとりながら、平方先生の描くコンセプトやビジョンを実践してきたのですが、その中から理論が生まれ、それが21世紀型教育機構の理論的支柱ともシンクロしていきます。

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★今回、田中歩先生は、臼井先生と共に、カンファレンスの会場であった工学院大学新宿キャンパスのアーバンテックホールの運営から参加者の案内、片付けまですべてサポートしていました。田中歩先生との付き合いは長いですが、こういうときにこそ、理論と実践と高次&共感的コミュニケーション行為という得難い才能をフルに発揮できる教師であることが、改めて実感できたわけです。

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★平方校長が登壇される直前、司会者である私は、この一見小さき9つの領域の思考コードが、6年間の間に多様なグローバルプログラムを開かせたという紹介をしました。小さく創って大きく育てるPBLの基礎的な発想の実現をしているのです。

★その背景には、田中歩先生をはじめ、当日参加されていた同校の先生方の涙ぐましくも挑戦的に<新しい学びの経験>を創り世界に拡大していく前のめりの行動力があったわけです。その一つのエビデンスがアクレディテーションのスコアです。

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★田中歩先生が教務主任に就任して2年目の今年、アクレディテーションのスコアは見事に復活し、しかもその飛躍のカーブは、学内の勢いを反映していると予想できます。

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2019年12月21日 (土)

12月15日21世紀型教育カンファレンスを終えて(05)世界から学び、世界も八雲学園に学ぶ。

★八雲学園の英語科主任で海外・英語特別委員長の近藤隆平先生のトークは、自身が八雲学園の生徒といっしょに世界に飛び、世界から生徒といっしょに未来を考えるポジショニングを確保したことを謙虚な姿勢ではありましたが、しっかり宣言していました。

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★最初、7分間の八雲学園のグローバル教育の動画を披露しました。八雲学園の英語教育はアップデートし続けてきました。その歴史はいまでは、6年間のプログラムとして循環していきます。まるで、個体発生は系統発生を繰り返すという進化論的なデザインがなされているわけです。

★スピーチコンテスト、レシテーションコンテスト、英語祭、イングリッシュファンフェア、イエール大学の国際音楽交流、グリーというミュージカルクラブの活動、サンタバーバラを拠点とする英語研修、短期留学、3ヵ月留学など1つ1つ心血を注いで積み上げてきた教育活動は、今ではすべて、八雲学園のプログラムとして定着し螺旋状のウネリを生んでいます。

★そして、その積み上げの究極の到達点であり、新たな出発点がラウンドスクエア加盟であると近藤隆平先生は語りました。

★ラウンドスクエアとは、近藤隆平先生によると、「6大陸、50ヵ国200校の私立学校からなる世界私立学校連盟です。毎年行われる、国際会議、ラウンドスクエア加盟校同士の交流が活発に行われています。簡単に言えば、世界に200校の姉妹校があるということになります」ということです。

★さらりと言っていましたが、世界私立学校というのは、いずれもエスタブリッシュメントな私立学校です。偏差値という尺度がありませんから、世界標準の破格の教育の質を有しているという意味でエスタブリッシュなのです。要するにイートンカレッジのような私立学校ばかりということです。八雲学園はその仲間として認定されたわけです。

★それから、200校の姉妹校があるということはすさまじいことです。偉大な人は100以上の多様なプラットフォームのネットワークを大切にしているとよく言われますが、八雲学園の生徒は、中高時代にその基盤をつくる機会に恵まれています。

★近藤隆平先生は、毎年国際会議に生徒が参加して大いに刺激を受けてくるだけではなく、200の姉妹校と交換留学が頻繁にできる環境を紹介していました。世界に学びに行くだけではなく、世界から八雲学園に学びに来るのです。

★これが意味することは他の学校では経験できないことです。毎月世界のエスタブリッシュメントな私立学校から留学生が学びに来るのです。当然、学内は心地よい緊張が走ります。おもてなしは、気持ちの面だけではなく、文化的側面、そして学びの環境の側面も充実していかねばならないからです。

★ラウンドスクエアと交流することは、八雲学園の教育の質をその都度アップデートすることなのです。それは21世紀型教育機構に加盟しても同じことが言えます。学内の教育を見直し、新しくしてきましたからとリップサービスも忘れませんでした。さすが世界標準のウェルカムの精神の八雲学園です。

★それだけでも、胸がいっぱいになるほど、<新しい学びの経験>の話だったのですが、実は続きがありました。それは、破格のSTEAMを八雲学園は学んでいくというのです。

★ただし、今のところ八雲学園がそれを自前でつくることはしないと。どういうことかというと、近藤隆平先生が視察に行ってきた海外の先進的な私立学校の例を紹介しながら、車の自動運転のプログラミングに取り組んリるシーンやブロードウェイで活躍した卒業生がコーチに来ているダンスのシーンなどの写真を提示し、究極のSTEAM教育の在り方について説明しました。

★そして、八雲学園は世界の先進的STEAM教育を行っている私立学校にSTEAM留学の環境をどんどん作っていくというのです。八雲学園は生徒がこういう教育をうけたいと要望すると、教師が俄然動き出します。ですから、こんなSTEAM教育を推奨すると生徒が語りだすと、そうなっていっくのが八雲学園だというのです。生徒の興味と関心によってアップデートしていくというわけです。

★生徒の主体性の生まれる環境を創るのが八雲学園だし、それによって八雲学園もアップデートし続けるわけです。20世紀型教育は頑なに伝統を保守する教育です。21世紀型教育は伝統と革新の統合をアップデートし続ける教育です。21世紀型教育機構と八雲学園がシンクロする理由はここにあったと改めて感じさせられた近藤隆平先生のスピーチでした。

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2019年12月20日 (金)

12月15日21世紀型教育カンファレンスを終えて(04)日本における英語教育改革は命がけである。

★順天の学校長であり文科省の多面的評価に関する分科会メンバーでもある長塚篤夫校長の講演は痛快まるかじりでした。日本の初代森有礼は、日本語の英語化政策を唱えるなど急進的かつ自由主義的教育政策を提唱し、国粋主義者に刺殺され命を落としたといきなり始まりました。

★そして、今回の見送りで萩生田文部科学大臣は、命拾いしましたねえとアイロニー。もっと命をかけて改革しないと今の子供たちの未来の日本はどうしようもなくなるよと警鐘をならしました。

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★しかしながら、高大接続改革が座礁したわけではなく、着実に進んでいるのですと。それなのに、メディアはそこをきちんと伝えずに、混乱している混乱していると改革までとん挫しているかのように報道するものだから、世間は錯覚してしまいますと。

★とにかく、1点刻みの評価からコンピテンシーを評価する。どういう能力が備わっているかをみる評価に変えるというのが、今回の高大接続教育改革の根底にあり、大学入試改革が第一義ではないのですと。

★それにしても、現在東大の合否は、0.0001点刻みですよと自校の東大合格者の成績表を見せながら話してくれました。この評価に意味があると思う人はまずいないでしょうねと。

★以上のような前振りをしたあとで、多面的・総合的な評価について語りました。特に新学習指導要領では、指導要録が学力の三要素「知識・技能」「思考力・判断力・表現力など」「主体的に学びに向かう態度」の観点別で記載していくようになるわけですから、この評価へのチェンジは実に大切なのです。

★ただ、長塚校長は、もしかしたら、きっちりこれもできないかもしれない。適当に今までのものを振り分けて記載することになるかもしれないと。というのも、この多面的・総合的評価を自分の学校で取り組めるようになったのは、PBLという学びができるようになったからで、今までのような講義形式の授業では、この新しい評価はできない可能性があると。

★今の生徒の未来を創る教育は、PBLと多面的・総合的評価がカップリングされているということでしょう。もしこれができなければ、生徒の未来はたいへんなことになると、海外の評価方法と比べてエビデンスを示しながら、長塚校長は語りました。できるところと、できないところで差がつきながら、自然淘汰されていきますから、結果的に改革は進まざるを得ないということでしょうか。ここはコメントを避けていました。

★ともあれ、順天では中学入試において「多面的入試」を導入しているが、これもルーブリックを作成して評価できる体制ができているからだと。この多面的・総合的評価の取り組みこそが順天の21世紀型教育の成果であると長塚校長は明快に語ったのです。。

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2019年12月18日 (水)

12月15日21世紀型教育カンファレンスを終えて(03)桃源郷プラットフォームを増やすしかないのか?

★最初の登壇者は、富士見丘学園理事長・校長吉田晋先生(21世紀型教育機構理事長)。文科省の高大接続改革の分科会のメンバーでもあります。したがって、今回の政府・官僚のとん挫決定に対し失望し、結局私立学校が、世界の中で国力がどんどん衰退していく日本を救う教育を開発し実践し続けることでしか、日本の教育は変えられないという決意を表明しました。

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★19世紀は帝国の時代でした。20世紀初頭の第一次世界大戦までオーストリア帝国などというような体制があったくらいですから。つまり、ここでは、教育は、一部の上層階級のものでした。軍事力がなんといっても帝国のエンジンだったのです。

★20世紀は経済の世紀です。しばらく近代国家の調整とのかねあいで国際関係が形成されていました。いわゆるバランス・オブ・パワーの時代ですね。軍事力は背景にあるものの前面にはでないように(実際にはでていますが)、国際貿易のバランスを外交交渉によって調整するということが続いています。そして、1989年のベルリンの壁崩壊後、グローバル経済が広がり、経済優先の世紀が20世紀末の新たな世界を形成しました。

★グローバル経済は、市場がメインですから、この拡大した市場を支える教育が、広く世界に広まりました。つまり、教育の大衆化です。しかし、周知の事実ですが、この世界が環境破壊、格差社会、精神の崩壊を多様な領域で生んでいきました。それを支える20世紀型教育でよいのか?という反省が同時に生まれました。

★21世紀にはいると、インターネットやIT産業が拡大し、近代国家観を揺るがしはじめました。GAFAの登場です。あらゆる壁や規制を突破していくネット社会の登場です。現在では、国家と貨幣発行の権限を巡って水面下で闘争が起こっています。

★かくして、実際には世界は大混乱です。それゆえ、「予測不能」「脱正解主義」という重要な価値意識が生まれてきました。

★しかし、日本において、この動きに大学がついていけません。今回はその実態を証明したようなものです。

★一方、世界はどんどん進んでいます。それがいいかわるいか、議論は必要ですが、まずは議論をしてからでは、日本の国力はどんどん下降していきます。≪Z世代≫の目の前の生徒の未来を守る必要は、いや責任は、今の私たちにはないのでしょうか。

★そんなことはないのは、言うまでもないでしょう。

★結局国内の心ある大学を探し、そうでなければ海外の大学に進学できる能力を磨く<新しい学びの経験>ができるようにしなければならいと吉田先生は語ります。海外大学は学費が日本の3倍も4倍にもなるところが多いです。ですから、奨学金を利用できるように能力も高めなければなりません。

★昨今では海外の大学に合格はしたが、奨学金がとれなかったから、上智大学やICUに進むという生徒も増えています。それでも、彼らは大学から再び自分の情報収集力で海外大学にチャンレンジするケースも少なくありません。

★20世紀型教育では見たことのない景色が広がる<新しい学びの経験>。そこはまるで桃源郷のようです。21世紀型教育機構の成果は、そこにいきついていると直接こう語ったわけではありませんが、吉田先生は確信しています。当面、私立学校でこの桃源郷プラットフォームを増やしていくしかないのだと思っていることでしょう。

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