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2026年8月19日 (水)

本質ベース教育(4)リフレクションのコンパスとしてルーブリックを生成AIでつくってみる

★リフレクションは、自分の強みや弱みを見出すのに大切なことであるのは説明するまでもないのですが、他者と比較して自分の弱いところを弱みだと思い続けることは、多くの場合はポジティブに進めません。自分の軸というか自分の基準をつくることによって、自分と冷静に向き合うことができます。とはいえ、独りよがりでは困るので、生徒の場合、仲間や教師と共有し、広げ深めていくことも大切です。もちろん、そのような適切な対話が成り立つことが条件なのですが。とにもかくにも、その基準はルーブリックにするとわかりやすいわけです。

Wisdom

★ただ、実際にはルーブリックは、いきなりはできないので、すでによく使われている基準を活用して、仮のルーブリックを作ると、進めやすいですね。たとえば、「情報Ⅰ」では、DIKWピラミッドを使っていますね。

Data(データ):アンケート調査の数値や実験結果を集める。

Information(情報):集めた数値をグラフ化し、平均値や推移を整理する。

Knowledge(知識):「なぜこの結果になったのか」の背景や因果関係を、文献やインタビューをもとに考察する。

Wisdom(知恵):考察をもとに、地域や学校の課題を解決するための「具体的なアクションプラン(提言)」を導き出す。

★ある意味、これは様々な現象を知恵のレベルにまで到達する道のりです。これに従って今自分が調べたり、分析したり、まとめたりしているのは、どのステップなのかを知る手がかりになります。思考のプロセスに近いものかもしれません。

★また、探究では、バンチとベル(Heather Banchi, Randy Bell, 2008)が提唱した「探究の4つのレベル」は、よく使われます。学習者が問いや手順をどの程度自分で決めるかによって、探究学習を4段階に分類したモデルです。レベルが上がるにつれて生徒の主体性が求められます。

確認探究(Level 1: Confirmation Inquiry)事前に結果や原理が分かっている。生徒は指示された活動を通して、既知の原理を確認する。

構造的探究(Level 2: Structured Inquiry)教師が問い(課題)と手順を提示する。生徒は決められた手順に沿って活動を行い、結果を導く。

ガイド探究(Level 3: Guided Inquiry)教師が問い(課題)を提示する。手順や方法は生徒自身が設計・選択して活動を行う。

オープン探究(Level 4: Open Inquiry)問い(課題)の作成から、手順の設計・選択、検証まで生徒自身が行う。最も高い主体性と探究能力が必要とされる。

★どのレベルでも、DIKWのプロセスは考えられます。したがって、仮にDIKWピラミッドの視点と探究の4つのレベルをマトリクスにしたらルーブリックになるかもしれないと仮説を立てて、生成AIに二つの情報を読み込ませ、ルーブリックを創るようにプロンプトを書き込むと、上記の図のようなルーブリックをつくってきます。

★これを鵜呑みにすることはないのです。というよりも、これをベースに自分なりにつくればよいのです。

★実際、これまでご紹介してきた3人の先生は、すでに、思考コードやルーブリックを独自につくられています。そしてそれをベースにしてもよいし、自分で作ってもよいと生徒に共有しています。

★大事なことは、自分で作って終わりではなく、このようなよく使われているもので、新しくルーブリックを作りながら、自分の問いをルーブリックのどのマス目=領域に位置するか考え、生成AIにも分析させます。セカンドオピニオンのような役割として生成AIを使っています。

★ハルシネーションがあるかもしれないので、確認判断は自分でしなくてはなりません。ただ、意外と馬が合うケースが多いというのも否めません。

★実際、生成AIのClaudeに今年の東大の地理探究のある問題を上記のルーブリックで分析させてみました。すると、Word2ページのレポートを作成してきました。その結論部分だけを下記に載せてみます。

 本設問は「知識の想起」と「知恵的統合」の中間、すなわち構造化型(レベル2)の上位から案内型(レベル3)の入口に位置する良問と評価できる。真に問いたいのはK→Wの統合力であるが、I(情報抽出)をあらかじめ与えすぎている分、探究としての純度はやや下がっている。もしI(図1-3から読み取れる季節変化そのものを述べさせる設問)を別途設けていれば、D→I→K→Wの全階層を一貫して測れる、より完成度の高い問題になっていたと考えられる。

★もし、これが探究学習で行われたら、この指摘はなかなかのものですが、あくまで、これは一般入試ですから、この問題はこれでよいわけです。ただ、問いというものを生徒が認識するには、このような生成AIの使い方はありでしょう。自分の発想や問いをリフレクションする際のセカンドオピニオンとして活用できます。

★今までも、教師のよるフィードバックで行われてきたのですが、そのフィードバックは、これまでは、教師の基準に準拠していました。教師が達人であればあるほど、その基準の精度は高くなります。しかし、やはり生徒は自分の基準を持つことが大事です。自律分散協働系の学びをしていくには、この基準が必要なのです。自分の知のコンパスとしてのルーブリックを作る環境の一つとしての教師のフィードバックがなされるのが、生成AIにだけ偏って頼ってしまうことを回避することができるのですが、教師のその多角的視点が、ルーブリックとして可視化されていると生徒も自分の基準と照合しながらアップデートしていくことができるでしょう。

★生成AIが出現するまでは、このような一見当たり前のようなことが、実際にはできないでいました。物理的に時間がかかりすぎていたのです。余白が大事だといわれていますが、それには生成AIの出現までなかなかできなかったと思われます。

 

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