昭和女子大昭和 好奇心の個別最適化(3)生徒1人ひとりが自らの学び方をアップデートしていく教育環境デザイン
★2月14日(土)昭和女子大学昭和(以降「SHOWA」)で開催された「授業公開」に参加したときに、「教育研究紀要第1号(2025年6月)」を頂きました。11人の先生方が研究論文を寄稿していました。日頃感じている本質的で先進的な授業や探究活動の質の高さの秘密がここにはありました。
★おそらく説明会などに受験生の保護者が足を運んでも、まだまだ見えないSHOWAの深さと広さがあります。何かの機会があったら、ぜひ読んでいただきたいと思います。そのような機会はなかなか難しいかもしれませんが、説明会で可視化されているすばらしい教育は、先生方の知的努力の積み重ねによって出来上がっているということがわかります。
★そして、11人の先生方は「主体的・対話的で深い学び」というコンセプトをそれぞれのメソッドを生み出しながら検証していますから、相乗効果や化学反応が生まれていることも伝わってきます。
★たとえば、最初の論文は情報の先生が書いていますが、情報の授業のコンテンツの話ではなく、個別最適化と協働的学びの一体化がコンピュータを活用した空間をいかにデザインしたら効果的かという視点で設計されています。
★授業はすべてバーチャルで行うのではなく、付箋を使ったアナログの作業もできるように設計しているのは、今後生成AIを有効に使うには、アナログの発想とどう関係するかを考えていくのにも役立ちそうです。
★その教室を「CL教室」と名付けています。Collaborative Learningの略だそうです。しかし、対話やコミュニケーションもしやすいように稼働式の机と椅子を入れています。したがって、CreativeやCriticalなコミュニケーションが引き起こされることも計算されているのでしょう。
★SHOWAは、1人1台のノートパソコンの環境ですから、CL教室は他教科でも活用しているようです。例として歴史総合の授業で使われていることが挙げられていました。その歴史総合の授業の研究論文も別ページに掲載されていて、リフレクションをリフレクション・オン・アクションするばかりではなく、むしろ授業中に生徒が軌道修正しながら学べるようにリフレクション・イン・アクションも仕掛けています。
★そうするにには、ネット上のグループワークができる環境を使わざるを得ないわけです。普通教室でもできるでしょうが、広くて付箋紙を貼りながら対話ができるスペースもあるCL教室は使いやすいのかもしれません。
★それに、ブレインストーミングやKJ法などを付箋紙で行っていく手法は、データサイエンスのイメージをつくるのにも、役立ちます。いきなり主成分分析やクラスター分析をデータサイエンスで扱っても、なかなかピンときません。付箋紙で自由記述で出し合ったものをデータマイニングよろしくグルーピングしたりしながら対話することは、発想を生み出しやすいでしょう。
★それから、グループワークができる環境は、PI(ピアインすトラクション)の授業を行うときにも使いやすいのです。物理の研究論文でも、ハーバード大学の物理のマズール教授が開発したPIを授業で活用する研究が発表されていました。
★物理などの自然科学は素朴概念を払拭するのにPIは有効です。社会科学だと思い込みやアンコンシャスバイアスを崩す時に有効かもしれません。ある意味、これはリフレクション・イン・アクションも同時に行えてしまうかもしれません。
★主体的・対話的で深い学びをリフレクションしながら追究していくと、最終的にには生徒1人ひとりにとって最高の学び方が調整されていきます。そして、それぞれの学びか方はそれぞれの好奇心を大切にするところから始まります。その好奇心がそれぞれの最高の学び方を作っていくとするならば、SHOWAは、好奇心の個別最適化をしているといえるでしょう。感動が生まれる学校です。(つづく)
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