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2026年2月 6日 (金)

2026年中学入試(64)昭和女子大学附属昭和 中学入試終了 堅調な入試 新しい女子校のカタチのモデル

★真下校長先生から2026年の昭和女子大学附属の中学入試は無事終わりましたと一報がありました。新しい女子校のカタチを創りあげ、それを新しいキャリアデザインにつなげるべく、多くの高大連携や企業と連携して注目されている私立女子校です。

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(2025 年度 昭和女子大学附属昭和中学校高等学校授業公開研究会は注目です!)

★真下校長先生によると、実受験者総数は昨年と変わらずだが、合格ボーダーが驚くほど高くなっているということです。そして、実に興味深いそして心温まるエピソードを聴きました。

★「入試の時はいつも最初に国語の問題を改めて私自身が見直し解いてみて、教室の後ろの窓から受験生の取り組みの様子を確認して、そのあと保護者控室に挨拶に行きます。控室の保護者の皆さんに、志願してくださるお礼、受験生の国語への取り組み、など少しだけの情報提供をします」と真下校長は語ります。

★先生方の入試問題という学校の顔に3ポリシーが染みわたっているのを再確認をしたうえで、昭和女子大昭和の教育のすばらしさへの自信を受験生の保護者に伝えます。緊張していた保護者には、その校長の柔らかい言葉と教員との信頼関係を伝える眼差しに、緊張感が和らいだことでしょう。

★そして、その国語の問題ですが、真下校長先生は「今年の1日午前A日程の問題の第1問説明的文書、4日午後のC日程の第1問説明文的文書が実は面白いのです。国語の問作者のセンスが私は気に入っています。学校としてのメッセージが出せています」と。

★どんな文章が素材として使われたのでしょうか?真下校長先生は「第1日大問1は近内悠太さんの「世界は贈与でできているー資本主義の「すきま」を埋める倫理学」と福岡慎一さんの「生物と無生物のあいだ」の文章をスクランブルさせたものです」と。

★文化人類学や哲学的素養のある近内さんと生物学者の福岡さんの文章をつなぐ設定です。文理融合というか学際的な探究を行っている同校ならではアプローチですが、両者の文章をつなぐキーが「アンサング・ヒーロー」という言葉の深い意味です。

★贈与にしてもノーベル賞受賞者の前にその準備をした無償の貢献をした研究者の存在にしても、アンサング・ヒーローというわけです。近内さんは、ヴィトゲンシュタインの「言語ゲーム」についても研究しています。言葉の限界が世界の限界であるというのは初期のころのヴィトゲンシュタインの考え方だと思いますが、晩年ヴィトゲンシュタインはその限界は、語られないことがあるだけで、ないわけではないのだと。

★つまり、贈与とかアンサング・ヒーローは、目には見えない大事なものと置き換えてみるのもよいかもしれません。これはあのSDGsの出発点になっている「成長の限界」の中心的著作者ドネラ・メドウズ女史のシステム思考の話にもつながります。

★経済にしても科学にしても、実は循環がうまくいくループシステムを探索するわけです。昭和女子大昭和の探究は、生徒も使えるように、「さぐる・ねばる・つなぐ・ためす・つくる」というわかりやすい5つの動詞で思考や共感、プロトタイプのプログラムのデザインがされています。まさに、システム思考やデザイン思考が融合されているのですが、それがアドミッションポリシーにしっかりつながっているのです。

★たまたまその問題だけではないかと思いますか?真下校長はこうも続けます。「C日程の大問1は藤井一至「土と生命の46億年史 土と進化の謎に迫る」を扱いました。理科教員がふだん生徒たちの学力課題としている科学的文書と同質の文章に真っ向から向き合う読解問題になっています」と語ります。

★何十億年もかけて作り上げられ地球の壮大な土壌循環を、近代主義は壊してしまったのです。それを、なんとか人工土壌で回復しようとしている研究者が藤井さんです。サイエンスそのものの文章をがっちりと問いかけている問題です。理科の問題といってもいいかもしれません。しかし、国語の入試問題です。そして、土壌循環のシステムは、ふだん私たちは気遣いもしません。ここにもまたアンサング・ヒーローのテーマが通奏低音のように響いています。そして科学者ドネラの想いに通じるものがあるでしょう。

★贈与論の文化人類学者の文章問題は、東京大学の現代文でも出題される問題です。土壌循環の文章はそもそも京大の科学者の文章です。合格のボーダーが高くなっているというのですから、恐るべし昭和女子大昭和の受験生です。

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