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2026年2月

2026年2月28日 (土)

今年の東大の現代文の入試問題 オープンダイアローグの理解を問う おもしろい

★今年の東大の二次試験が各予備校で公開されています。どの教科もOnly One Earthにかかわる問いやAI時代に必要なDianoia(思いと考え)とは何かにかかわる問いが出題されていて、こういう一般入試だと中高時代の学び方も変わっていくなと感じました。

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★その象徴的な問いが、国語の現代文の入試問題でした。京都大学准教授の松本卓也さんの文章が出題されていました。斎藤環さんの著作「オープンダアローグとは何か(医学書院2015年)」の書評を書いたときの想いを発展させて書いた補講Ⅰの文章の途中から出題されています。

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★問いそのものは、松本卓也さんの文章を読んで解答する一般的な受験読解リテラシーでいけてしまうのですが、2015年から私立中高一貫校の中に生まれた21世紀型教育の学びのエンジンであるPBLにおける対話をめぐっては、いろいろ研究がなされました。

★そのときに斎藤環さんの上記の写真本も大いに参考にされたのです。PBLにおいて教師の役割はファシリテーターだという極論を避け、プロデユーサー的なロールも必要ではないか等々と。

★心理的安全というフラットなコンフォートゾーンをデザインするのは重要だけれど、そこから深堀したり昇華したりする垂直のベクトルも必要ではないかという議論がありました。「学習する組織」がよく読まれたのもその流れでしょう。

★そんな中で、垂直と水平の心理的空間の融合をうまくしているのが、オープンダイアローグでした。

★慶応大学教授の井庭崇さんが、このオープンダイアローグをパターンランゲージのカードにしたのをきっかけに、よく教師や生徒とカードを使ってWSを行ったのを思い出します。

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★昨今、探究活動や授業でもアクティブラーニングやPBL型の授業が行われていますが、その体験を自分の学び方として体得している生徒にとっては、この問題は解答しやすかったかもしれません。

★東大がコミュニケーションや組織マネジメントをこれからどのようにデザインしていこうとしているのか、そのヒントが今回出題された現代文から見え隠れしますね。

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2026年2月27日 (金)

女子学院が人気であることの意味 最高の学び方を生み出すシステム

★2026年の中学入試は、一方では、サンデーショックと言われるイベントがありました。そのイベントの主人公は女子学院(JG)です。プロテスタントのミッションを世のポピュリズム的風潮に右顧左眄せずに、貫き通すわけです。創設者矢島楫子その人が、そもそもそうでした。虐げられる女性の生活や命を守るべく、権力の圧力に屈することをしないで、150年以上の歴史を作ったのです米国にもわたり、支援者を募ってくるその活動力も凄いですが、その渡米のための資金調達力もすさまじいわけです。当時の内村鑑三や江原素六(麻布創設者)も一目も二目も置いていたほどです。その精神が女子学院の在校生や卒業生1人ひとりに染みわたっています。もちろん、普遍的なその精神が、1人ひとりの個性をきちんと生み出すアクロバティックな教育です。

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★このようなことは、私が言うまでもなく、JGのサイトをご覧いただければすぐにわかあります。他校のホームページとは全く違います。ほとんどがJGの在校生の言語化能力が溢れているのです。しかも、それはJGのあらゆる教育活動がブドウの木の樹液が循環しえいるように、すべてつながっているのです。

★つまり、世界で人々の痛みを引き受け解決に奔走している卒業生の講演を聞く機会が多く、そのワークショップに参加した生徒が、自分の想いを礼拝でスピーチし言語化します。それだけではなく、各教科の専門知識とその解決のための想いをつなげてレポートや論文を編集して言語化していく機会がJGの毎日の学びです。そして高2になると。それらのすべてが融合されてそれぞれの学際知を身につけます。矛盾を鋭く見抜く力とそれを解決するために考え行動するマインドとスキルが継承されています。

★JG出身の記者やライター、起業家にあったときに、その精神の共通性にいつも驚愕しています。恐るべしJG。感服。としか言いようがありません。

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2026年2月26日 (木)

本郷 生徒1人ひとりが自分の最高の学び方を体得できる

★本郷と言えば、今や東大と医学部に多くの生徒がチャレンジし、進学していく私立男子中高一貫校として中学入試市場で支持されています。しかし、これは進学実績という数字で同校を選んでいるわけではないのです。文武両道という一般には融合しにくい事柄を統合するマインドとスキルが6年間の間に養われます。この一見すると結び付きにくいものを結ぶ発想や考え方は、今や古くて最前線の考え方です。

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★サイトでトピクを見ると、そのような生徒の活動が目白押しです。

★そして、何より本郷独自の「本数検」というレベルがどんどん上がっていく数学の問題にチャレンジするマインドと優れた数学的思考力を生徒自身が体得する純粋思考力ができあがっていく学びのフレームワークがあるのです。

★その数学の問題を本郷の教師が楽しみながら創っているのです。自分たちの教師が自分たにストレートに知的メッセージを投げかけてくれる問題に取り組むことぐらい、モチベーションが燃えあがることはないでしょう。

★AI時代に世界制作の思考は、実は数学的思考の右に出るものはないのです。

★最近どこの学校でも行うワークショップ型の探究などで、ポストイットを使ってKJ法よろしくカテゴライズし、データや情報を分析し、課題を見出していく作業がありますが、これは数学的センスが背景にあるのです。集合論やクラスター分析、アナログ情報を数値化すれば、主成分分析までできてしまいます。

★そもそもAIは、確率論がベースです。集合論と確率論。これは単に数学の入試問題を解くためのテクニックなどではありません。分解と統合、そして変形という世界制作の奥義が隠れています。

★本郷の教育に毎日ディープにダイブしている生徒は、この世界制作の思考力を自分のものにします。

★本郷の生徒のみなさんがプレゼンするところに立ち会うときはしばしばありますが、賢いなあと感じるのは、定義や概念を再構築するスピーチをするからです。分解と統合とそして変形へなのです。

 

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生徒自身がつくる最高の学び方をアフォーダンスする教育環境

★生徒自身が自らの最高の学び方を見出し、生涯アップデートし続けていく実装力はどのようにできるのか?それは2つの方向性で教育環境がデザインされています。

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★一つは、外部機関との連携です。たとえば、海外の現地校や団体との連携、高大連携、スタートアップなど企業との連携、NPOや財団との連携、地域との連携など多様な連携が生徒1人ひとりの好奇心や探究心を生成します。

★もう一つは、生徒自身が最高の学びを内面に生成する知のフレームワークや学びの軸の仕掛けがデザインされています。その仕掛けがアフォーダンスの機能を果たし、生徒1人ひとりの最高の学びが生まれてきます。

★この2つの方向からの教育環境が融合したときに生徒1人ひとりの中にそれぞれの独自の最高の学び方が実装されるのです。

 

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現在人気のある学校から今後人気のでる学校を見つける

★2027年にグローバルな視野と対話スキルをもちイノベーティブなマインドと思考スキルを兼ね備えたコミュニケーション能力の高い受験生を明快に対象とする大学入試が今まで以上に増えていきます。

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★このような人間像を求める流れは大学入試に限らず、あらゆる領域・分野で起きます。いやすでに起きています。

★現在人気のある私立中高一貫校は、すでにこの流れに適合するというより、ますますけん引することになるでしょう。

★人気のある学校は、ざっくりわけて2タイプあります。一つは東大・医学部に進学する生徒が多い学校です。もう一つは、世界大学ランキング100位以内の海外大学に進学する生徒が多い学校です。

★しかし、この特徴的な進路先の違いもある共通点があります。教育環境デザインは、2タイプというよりどの学校も独自の環境をデザインしていますが、決定的に共通する点があるのです。

★それは、生徒一人ひとりが、自分にとって最高の学び方を試行錯誤しながらつくり、実装し、さらに生涯をかけてアップデートをし続けている力を生成する教育環境があるということです。

★したがって、目に見える実績が今はなくても、この最高の学び方を生徒が自らの内面に生み出すことができる教育環境を整え始めているところは、今後人気がでるということなのです。

 

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2026年2月23日 (月)

昭和女子大昭和 好奇心の個別最適化(3)生徒1人ひとりが自らの学び方をアップデートしていく教育環境デザイン

★2月14日(土)昭和女子大学昭和(以降「SHOWA」)で開催された「授業公開」に参加したときに、「教育研究紀要第1号(2025年6月)」を頂きました。11人の先生方が研究論文を寄稿していました。日頃感じている本質的で先進的な授業や探究活動の質の高さの秘密がここにはありました。

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★おそらく説明会などに受験生の保護者が足を運んでも、まだまだ見えないSHOWAの深さと広さがあります。何かの機会があったら、ぜひ読んでいただきたいと思います。そのような機会はなかなか難しいかもしれませんが、説明会で可視化されているすばらしい教育は、先生方の知的努力の積み重ねによって出来上がっているということがわかります。

★そして、11人の先生方は「主体的・対話的で深い学び」というコンセプトをそれぞれのメソッドを生み出しながら検証していますから、相乗効果や化学反応が生まれていることも伝わってきます。

★たとえば、最初の論文は情報の先生が書いていますが、情報の授業のコンテンツの話ではなく、個別最適化と協働的学びの一体化がコンピュータを活用した空間をいかにデザインしたら効果的かという視点で設計されています。

★授業はすべてバーチャルで行うのではなく、付箋を使ったアナログの作業もできるように設計しているのは、今後生成AIを有効に使うには、アナログの発想とどう関係するかを考えていくのにも役立ちそうです。

★その教室を「CL教室」と名付けています。Collaborative Learningの略だそうです。しかし、対話やコミュニケーションもしやすいように稼働式の机と椅子を入れています。したがって、CreativeやCriticalなコミュニケーションが引き起こされることも計算されているのでしょう。

★SHOWAは、1人1台のノートパソコンの環境ですから、CL教室は他教科でも活用しているようです。例として歴史総合の授業で使われていることが挙げられていました。その歴史総合の授業の研究論文も別ページに掲載されていて、リフレクションをリフレクション・オン・アクションするばかりではなく、むしろ授業中に生徒が軌道修正しながら学べるようにリフレクション・イン・アクションも仕掛けています。

★そうするにには、ネット上のグループワークができる環境を使わざるを得ないわけです。普通教室でもできるでしょうが、広くて付箋紙を貼りながら対話ができるスペースもあるCL教室は使いやすいのかもしれません。

★それに、ブレインストーミングやKJ法などを付箋紙で行っていく手法は、データサイエンスのイメージをつくるのにも、役立ちます。いきなり主成分分析やクラスター分析をデータサイエンスで扱っても、なかなかピンときません。付箋紙で自由記述で出し合ったものをデータマイニングよろしくグルーピングしたりしながら対話することは、発想を生み出しやすいでしょう。

★それから、グループワークができる環境は、PI(ピアインすトラクション)の授業を行うときにも使いやすいのです。物理の研究論文でも、ハーバード大学の物理のマズール教授が開発したPIを授業で活用する研究が発表されていました。

★物理などの自然科学は素朴概念を払拭するのにPIは有効です。社会科学だと思い込みやアンコンシャスバイアスを崩す時に有効かもしれません。ある意味、これはリフレクション・イン・アクションも同時に行えてしまうかもしれません。

★主体的・対話的で深い学びをリフレクションしながら追究していくと、最終的にには生徒1人ひとりにとって最高の学び方が調整されていきます。そして、それぞれの学びか方はそれぞれの好奇心を大切にするところから始まります。その好奇心がそれぞれの最高の学び方を作っていくとするならば、SHOWAは、好奇心の個別最適化をしているといえるでしょう。感動が生まれる学校です。(つづく)

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2026年2月21日 (土)

早稲田国際教養の入試問題に見る中学入試と大学入試の知の構造の親和性

★今年の早稲田大学の国際教養の一般入試のライティングの問題をGoogleNotebookLMで分析。どんな力とその背景にある教養が何か?をプロンプトしました。下記の図のように、構造化してくれたわけです。

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★小論文、グラフによるデータリテラシー、要約。判断力・論理的思考力・批判的思考力・情報圧縮力という知の構造は、まさに中学入試の思考力入試や準2級以上のレベルの英語試験を行う中学入試とほぼ同じです。

★知識というコンテンツは小学生と高校生では、もちろん違いますが、知の構造はほぼ同じということは、中学入試を経験することが重要であることの一つの理由であるかもしれません。

★教養についても、時事問題で、小学生でも高校生レベルは可能です。ただし、教養は経験から気づくリフレクションの連続がポイントですから、そこは小学生と高校生は大いに違います。ただし、このリフレクションシステムがないまま中高を過ごすと、知識というコンテンツは小学生よりも多いかもしれませんが、思考の構造が身につかないまま大人になるということはあるのです。

★中学受験という能力主義がまだ残存している市場を批判する人もいますが、それはそうですが、この知の構造については小学生段階で学べることを中学入試は示唆しています。ある意味知の構造を能力主義から解放すればよいのではないかと思います。つまり、公立の学校でこのような教育をしたほうがよいのです。

★学習指導要領の改訂は、項目というコンテンツの見直しも大事ですが、生徒自身の学び方がどのように育つかという教育メソッドを開発ることが大事です。

★人気校の特徴は、この生徒自身が自分の学び方を開発する教育環境がデザインされているということです。それが2026年中学入試の興味深いところでした。

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2026年2月19日 (木)

国語の入試問題に見る中学入試と大学入試の密接な関係

★今年の早稲田大学文化構想の国語の大問二番の文章は藤原辰史さんの文章からでした。コロナ以降、藤原さんの文章は入試問題でよく活用されています。それは中学入試でもそうです。かつては、栄光でも出題されていましたし、今年の中学入試では桜蔭でも出題されていました。

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(2026年早稲田大学文化構想の現代文をインフォグラフィック機能で描いてもらった)

★藤原さんは、特に小学生用とか中学生用とか文体を変えたりはしていません。大学教授らしい文章で、見た目は決してやさしくはありません。しかし、歴史の研究者として一つのものの見方のフレームがあり、それを知り、使えるようになると、思考が走りだします。

★もともと中学入試で出題される説明的文章は、高校の教科書に出てくる文章とレベルは変わりませんから、中学入試と大学入試は、国語(現代文)に関しては、断絶がないのです。

★だから、中学受験をする小学生は大学受験において有利だとか言いたいわけではありません。

★藤原さんのような思考作用の達人の文章に早いうちに取り組むことによって、つまり小学生にとって初見の知識を、藤原さんの歴史的概念スコープで見ることによって理解していくという、概念と知識の相互作用体験こそが、重要なのです。

★高校生になって、知っている知識をつないで理解していくプロセスでは、概念スコープは背景に退いて、そのスコープを通さなくても事実を知ることはできます。入試の読解問題はそれでなんとかなります。

★しかし、小論文は、この概念スコープを意識しないとなかなかうまくいきません。

★概念と知識の相互作用によって、新たな知識を創ったり、概念を別のスコープによって拡張したりしながら、自分の考えを編集していきます。

★中学入試は、小学生にとって、大人にとっては既知のものも未知のものばかりです。今や概念スコープを使わずに、知識を覚える学びは中学入試ではあまりありません。

★この概念と知識の相互作用について、メタ認知できる生徒がいわゆる出来る子なのですが、この体験を積んでいくと、高校になってから突然開眼するというケースが珍しくないのです。このことを了解している私立中高一貫校を選択することによって、晩成型の学びの物語を描くことができるでしょう。

★それにしても、上記の図のように、Google NotebookLMのインフォグラフィック機能は、概念化することが得意です。中学入試においても、大学入試においても、文章の内容を概念化する図を活用して講義が行われると思いますが、自分で書けるようになるのが最も重要です。この壁打ちを生成AIであるGoogle NotebookLMと行っていく新しい学びが生まれるかもしれませんね。

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2026年2月17日 (火)

昭和女子大昭和 好奇心の個別最適化(2)

★2月14日(土)昭和女子大学附属昭和中学校・高等学校で、授業公開研究会が行われました。そのことはすでに紹介していますが、ここでは見学させていただいた大野智久先生の「生物基礎」の授業についてコメントします。テーマは「免疫システム」です。授業は、まず振り返りあるいはすでに生徒が自宅で学んできている反転授業的な雰囲気で始まりました。免疫システムを図解で講義をしていきます。

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(この記事をGooglenotebookLMのインフォデザインで描いてもらった。私のカスタム指示がうまくいかなかったので、謎の漢字のような文字が散見されますが、そこはご容赦ください)

★この図解の説明がまずおもしろいのです。高1が対象ですから、免疫システムの専門用語だけで語っていくのではなく、すでにNHKや映画で「働く細胞」が放映されていますから、あの闘いの様子を彷彿させるレトリックも交えて説明していきます。しかし、図は専門的ですから専門用語はそこにはあります。客観的な知識とレトリックの言葉のイメージのズレが実におもしろいのです。

★さらに、電子黒板を使っているにもかかわらず、説明する場所を指すのは、指でその場所を直接示すのです。この気遣いがすばらしいのですが、実はこの一連の図・専門知識・レトリック・直接指で説明場所を示すという方法は、学力を向上させるVTSのいうアーティスティックな手法で、まさにSTEAM教育がさらりと挿入されているのです。

★そのことが明快に了解できたのは、講義の後に、4種類の映像によるそれぞれの免疫の食作用や攻撃の様子を流したときです。というのも、それぞれ2分から3分の映像をみたあと、3つの問いについて考察することになったからです。もちろん、映像で打ち出されている免疫の動きをよく観察しながら考えていきます。一つは、事実を確定する、二つ目は驚いたことなど意外性について書くこと、そして3つ目は気づいたことや発見したことをまとめるのです。

★映像は、クラスルームの中で共有できているので、画面を2分の1にして、片方は動画を流し、もう一方はまとめるシートに書き込んでいくというワークが行われたのです。そして、それは、チームで行われますから、生徒は対話をしながら進めていきます。

★<講義→観察→対話→問いを考察→編集→振り返り講義>という流れになっています。50分の授業ですから、最終的何か大きなものを「つくる」ということまでは、今回はしていませんが、問いの解答を編集するという意味では「つくる」というタスクがはいっています。

★同校の探究のコンセプト方程式は、「さぐる・ためす・ねばる・つながる・つくる/おもしろがる・ふしぎがる」なのですが、50分の授業の中にもきちんと収まっているというのが驚きでした。教科と探究をいかにつなげるかは、多くの学校でも頭を悩ませる問題です。

★たいていは、コンテンツやコンピテンシーで結びつけようとするのですが、中途半端になりがちです。ところが大野先生は、教科学習と探究を同じ学びの構造でつないでいくわけです。

★しかも、何より「おもしろがる・ふしぎがる」という好奇心をゆさぶる授業になっているわけです。MITメディアラボのプレイフルラーニングそのものなのです。

★ただ、この学びの環境デザインを創りあげるには、相当手間がかかっています。たとえば、免疫の食作用の様子を顕微鏡でみているだけでは、実は動画のように2分で動きがわかるわけではないのです。しかも、そもそもそのような撮影はマウスを使うにしても倫理の問題があります。これらの問題をクリアし、なおかつ長時間を2分に短縮しながらも早回しを感じさせない動画を創るには、プロに任せるしかないのです。ですから、大野先生は、外部リソースと連携し、このような動画ができればよいという企画・提案・アドバイスなどプロデュースすることによって、動画を作成してもらうわけです。

★ここに学校が外部と連携するとはどういうことかがはっきり了解できます。決して、外部リソースに丸投げせずに、コミュニケーションをとったり、アドバイスまでしながら連携していくことの醍醐味がここにはあるのです。

★50分授業にかけるここまでの準備とデザイン。感動を生み出す心揺さぶる授業は、並大抵の仕掛けではできないでしょう。

★この50分ではあるけれど、ダイナミックなプロセスの仕掛けは、どこかの地点で生徒は好奇心を抱きます。どこで好奇心を抱くのか、最初は関心がなかったとしても、図を見たときとか、映像を見たときとか、友人と対話した時とか、解答記述を編集しているときにとか、生徒によって世界が変わって見えるシーンが訪れる瞬間は違うでしょう。

★感情と知識と論理とイマジネーションと対話と。複眼視点が満載の授業。私たちは自然を前にし感動した時、人によって見ているところは違います。そして、それは偶然もあるでしょうが、人とは違う自分の好奇心とマッチするところが自然にhあるからでしょう。

★大野先生の授業が無数の視点からアプローチできるように仕掛けられているのは、もしその仕掛けが一つの視点からだけであるならば、それぞれの生徒の好奇心すべてがマッチングすることはなかったでしょう。

★好奇心の個別最適化が生徒の側から自然体で適合されるようにデザインされている最高の授業でした。

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2026年2月16日 (月)

スーパーティーチャー10人が未来をすでに創っている希望

★2月15日(日)、和洋九段女子フューチャールームに10人のスーパーティーチャーが集まりました。22世紀型教育研究センターのメンバーです。13時から17時まで大いに対話し、ワークショップを行い、今後の日本の教育をどうしていくのか語り合いました。夜は、場所を変えて食事をしながらソクラテスの饗宴さながらでした。

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★10人のメンバーは、この10年間21世紀型教育に取り組み、共感力、知識の編集力、批判的思考力、創造的思考力が、生徒一人ひとりの内面から湧き出てくる最高の学び方を追究してきました。

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★武器としては、C1英語、PBL、STEAMのスキルを巧みに活用し、生徒自身が最高の学び方を展開していけるような教育環境をデザインするファシリテーションの達人であり、学習する組織を恒常的に循環させるリーダーシップも発揮しています。

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★そのような力は、それぞれの学校を超えてフュージョンすることで、社会的インパクトを生み出すものです。
★それにしても、このような教師が確かにリアルに存在するとは、希望の光です。

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★彼らは、当然生成AIを生徒がサポーターとして活用して、成長の質を豊かにしていく授業を創意工夫しています。ですから、「AI2027(元OpenAI研究者のダニエル・ココタジロ氏らによるシナリオ)」などを読み合いながら、今まで予想していた2040年や2050年の変化が、いまここで展開するようになってきていることに気づいており、十分にそれを受け入れ、そのダイナミズムの渦のエネルギーを教育に注ぐ知恵を互いに豊かにしていく対話をしていきました。

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★具体的な話は、2030年までに見えてきます。10人のスーパーティーチャーにとってイノベーションは、最終的には新しい市場を創出することになるからです。

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2026年2月15日 (日)

文化学園大学杉並 新コース順調に発進 イノベーションリーダーズコース ネクストハイスクールコースの先を進む

★昨日、文大杉並の理事長補佐染谷先生から一報がありました。今年4月からスタートするイノベーションリーダーズコースの入試が終了し、無事定員を十分に充足しましたということです。この入試は高校入試では画期的なプロジェクト型入試で、イノベーティブでクリエティブなアイデアをプロトタイピングし、社会実装できるコンピテンシーの潜在的可能性を評価する入試です。今まで公立中学の勉強は英数国理社でしたから、このような入試に対応できる学びは塾などでは行っていません。ですから、募集定員を満たせるのか業界では心配されていました。しかし、その心配の霧を見事に払拭したのです。さすがです。

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★しかし、突然新コースを立ち上げたのではないのです。この成功ロードマップについて、いずれいろいろなところから要請があって、染谷先生が語るでしょうから、楽しみにしています。何せ、昨年11月に文科省が公開した「高校教育改革に関する基本方針(グランドデザイン)【概要】~2040年に向けた「N-E.X.T.(ネクスト)ハイスクール構想」~」をもう5年くらい前には、着手し、2040年を待たずして、2026年4月からスタートできるのですから。

★それは、DDコースなどグローバル教育をカナダの教師人とコラボしていますから、文科省よりもはやく時代の要請をキャッチできる環境があるからでしょう。そして、中学から染谷先生はSTEAMのクラブを生徒と共に運営し、未来からやってきた留学生にとって必要な資質・能力を実感していたからです。

★そして、その実感をPBLやデザイン思考の方法で、生徒と共に社会実装する探究サイクルを確立していたからでしょう。

★そのために、大前提として、BSICEという学校を超えた新しい探究や研究活動を生徒もいっしょにプロデュースできる組織を作りました。受験生がこのような画期的な活動に触れ、塾では教えてくれないプロジェクトベースの入試体験を通して、明確に自分のキャリアデザインの足場を見つけることができたのでしょう。

★そして、この足場がほかの学校にあるか見渡した時、文大杉並しかないということを知り驚愕したはずです。驚きこそ発見の母でしょう。

★4月以降が実に楽しみですね。また遊びに行きたいと思っています。もちろん、邪魔にならないようにです。

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昭和女子大昭和 好奇心の個別最適化(1)

★昨日14日(土)、昭和女子大学附属昭和で「授業公開研究会 探究と生成AI」が開催されました。当日のプログラムのデザインが傑出していました。すべて参加できなかったのが残念です。

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★プログラムのスケジュールは次の通りです。

実施日:2026年2月14日(土) 
10:00     外部参加者受付開始
10:30~11:20  授業公開①
11:30~12:20  授業公開②
12:20~13:20  昼食・休憩
13:20~14:15  対話の会① 教科分科会
14:25~15:40  基調講演
15:40~15:50  休憩
15:50~16:50  対話の会② 探究×AI意見交換会
16:50~17:00  Closing
17:30~    懇親会(希望者) 

★私は3つのコンポーネンツに参加しました。「授業公開②」「対話の会①」「基調講演」がそれです。

★公開された授業は13もありましたが、残念ながら、すべて見ることはできません。私は、大野智久先生の理科の授業を見学させていただきました。そのあとの休憩時間は、集中とリラックスができる図書館で、大野先生の授業を拝見しながら簡単にメモした文章をGooglenotebookLMに読み込ませながら、自分の感じたことをリフレクションしたりしていました。

★そして、理科の対話の会に参加しました。ここでなるほどと感銘を受けたことが2つありました。授業公開をした先生方と参加者だけではなく、同校の理科の先生方も参加するという設定がされていました。

❶授業を実施した先生の新しい考え方と参加者の自分の考え方の差異が明快になり、互いに刺激を受けていました。私は理科の教員ではなかったので、結果的にメタ視点で参加できました。ですから、教科の中のアンコンシャスバイアスがそれぞれあり、それを互いに突破する対話を見ることができ、感銘しました。それぞれの先生がご自身の好奇心を旺盛にされていました。これぞ好奇心の個別最適化だなと。

➋参加された同校の先生方も生成AIの取り組みを紹介していました。大野先生が、質問に対し、ご自身で回答されるだけではなく、同僚の先生でおもしろいチャレンジをされている先生にバトンをパスしていました。その先生の話が、チャッピーのソクラテスモードをGeminiで医者による診断モードに転移しているのに驚きました。特に生成AIが医者ではなく、クライアントで、医者はプロンプトを打ち込む側です。主体性はこちら側にあるということですね。生成AIに振り回されない工夫をロールプレイの創意工夫によっても行っていたのです。

★そのあと、緩利誠先生(昭和女子大准教授・現代教育研究所所長)の講演を聴きました。これまた感銘を受けました。

❶探究のコンセプト方程式「さぐる・ためす・ねばる・つながる・つくる/おもしろがる・ふしぎがる」は、中高の先生方と大学の先生がコラボして制作しているということを知って合点がいきました。

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➋「つくる」、つまりLearning by makingにこだわりがあったのは、MITメディアラボの系譜があったということも知りました。レズニック教授の話が緩利先生の講演に登場してきて、なるほどと思いました。MITメディアラボのシーモア・パパート教授の3Xという学びのプロセスやもともとパパート教授は、数学を研究したりピアジェの研究もしていて、そういう学習理論をICTやレゴと結びつけなプレイフルラーニングの土台を築いたのですが、それをレズニック教授がさらに発展させています。その根っこの部分と今回の昭和女子大学附属昭和の授業と探究がつながっているというのは感動でした。MITメディアラボの学びのコンセプトはコンストラクショニズムです。プレイフルに学ぶときの脳内プロセスと身体とその指先にある存在物が全部つながっていることを3Xで認知していく学びだと勝手に思っています。「つながる」が「つくる」の電子流動ですね。

★実に参加者のそれぞれの好奇心をあらゆる場面で刺激するプログラムデザインでした。そして、大野先生の授業ですが、50分間でクラスの生徒一人一人が、自分の好奇心を旺盛にする授業であったのです。しかも、それは授業の導入のときから好奇心を旺盛にする生徒もいるし、動画を見ているときに好奇心が生まれてきている生徒もいるし、ピアラーニングのときに好奇心を生み出している生徒もいるし、気づいたことを言語化するときに好奇心が降りてきている生徒もいたのです。

★好奇心がどこで生まれてくるのかわからないというギミックをデザインした授業でした。まさに好奇心の個別最適化授業です。そして、この好奇心の個別最適化は、広く昭和女子大昭和の先生方に浸透しています。それは理科の分科会のもう一人の発表者佐藤先生のお話からも伝わってきましたし、緩利先生の講演の時のピアダイアローグが何回かあったのですが、そのときに同校の2人の先生からお話を伺って、そう感じました。大野先生の授業については、またコメントします。(つづく)

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2026年2月13日 (金)

【速報】湘南白百合 東大推薦合格 理Ⅰ

★湘南白百合の教頭水尾先生から一報がありました。「11日に東大の学校推薦型選抜の発表でしたが、理Ⅰに合格しました」ということです。現段階でマンチェスター大学や東北大の総合型などにも合格しているそうです。国内外の多様な方式の大学入試に挑戦している湘南白百合の生徒の皆さんです。この多様な才能を入学段階から受け入れる入試システムを、神奈川女子校で真っ先に開発し、いわゆる新しい女子進学校のタイプを確立しました。そして、学際的で対話型の教育実践が展開しているのも神奈川エリアの女子校の中でもけん引的役割を果たしています。水尾教頭先生の手腕は、あの聖光学院の工藤校長も一目置いていると思われます。

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(中1帰国生のランチタイムの様子。同校サイトから)

★というのも、とにかく多様な高大連携を次々と結んでいるのです。しかも、出張授業だけとか探究丸投げの高大連携ではありません。大学の教授や大学院生と同校の教員と生徒がプロジェクトのメンバーのように双方向型の対話をしながら研究をしていくというスタイルです。おそらく湘南白百合の生徒の皆さんは、学部の学生と間違われるほど熱心だし高次思考とコミュニケーション能力を発揮しているのです。

★米国で実施されているAPは、端的に言えば、大学レベルの授業を高校に埋め込むシステムですが、湘南白百合版APが同校の高大連携といっても間違いないでしょう。

★生徒一人ひとりの才能が開花しながら難関大学に合格していく新しいタイプの女子進学校だと思います。

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【速報】工学院 中学入試 2026年も人気だった 生徒はみなプロシューマ―の環境

★昨夜、田中歩先生から一報がありました。11日が多くの学校で入学予定者の招集日として設定され、ほぼ入学者の数が見えてくるのですが、同校も11日に合格者が入学する意志決定をして集まりました。その結果、定員は十分すぎるほど充足し、手続き率は過去最高だったそうです。都内は高校入試も行われていますが、同校の高校も人気だということです。なぜでしょう。

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★それは私の独断と偏見の予想ですが(今度入試がひと段落したところでインタビューしてみようと思います)、ICT界の重鎮中野校長とケンブリッジインターナショナルスクールのマネジメントやIBLの達人の田中歩教頭とあまり表に出てこない国際推進部長の三位一体がうまく循環しているからかなと。もちろん、一番の理由は、工学院の教員全員がエネルギッシュでパッションをもって教育実践を行っているからですが、その現場で行われている教員全体の動きの意味付けを3人がうまく表現しているということをいいたいのです。

★というのもICTとグローバルという先進的な教育が生徒にとってどういう意味があるのか、価値があるのかを際立たせるのに3人の先生方が見事な連携を行っているからです。

★実は国際教育促進部長は英語の教員ではありますが、米国のパブリックアイビー系列の大学で社会学を研究してきました。ですから、「プロシューマ―」というアルビン・トフラーが1980年代に提唱していた概念が、今再び注目を浴びていることを知っています。どういうことか?

★プロシューマーとは、消費者が自ら企画・生産に関わり、生産者であり同時に消費者でもあるという存在を指します。かつては未来を示唆する概念でしたが、今では、SNSやネット販売の普及により、商品開発や情報発信、エネルギーの自給自足など、主体的な活動が広がっています。たとえば、企業の商品開発コミュニティに参加してアイディアを投稿したり、YouTubeやブログで情報を発信する行為は、まさにプロシューマー的な活動だと言われています。シェアリングエコノミーに参加することも、消費者が生産者としての役割を担う代表的な例です。

★この動向を田中歩先生といっしょに生徒中心主義という場づくりをしながら、これが工学院だとビジョンだと語っています。実際先生方は、八王子、鎌倉、京都、タイ、シンガポール、オーストラリアなど、学年を進む度に、グローカルな壮大な時空に飛び出し、生徒と都市づくりのプロジェクトを実践・発信しているのです。生徒たちは、自らのアイデアを社会に発信し、共感や協力を得ながら実現を目指しているのです。彼らは現代のプロシューマーといえるでしょう。

★この現代のプロシューマ―体験を6年間積み上げるとき、中野校長のイノベーション教育のアプローチと田中歩先生のグローバル教育のアプローチの化学変化が生まれているのです。フュージョンエネルギーさながらの人間力が生まれているのです。

★同校の中学入試は7通りのタイプがあり、多様な才能者が集まってくるので、このフュージョンエネルギーさながらの人間力が生まれる化学変化が日々起きています。このような学園生活はまさに日々感動が生まれています。そしてそれが生徒一人ひとりの未来を拓くキャリアデザインの実績につながっているのです。

★結局、これからの教育は、何をたくさんやっているかだけではなく、それらがどのように結びついて生徒たちの内面に化学変化を生み出し、感動と活動力を生成しているかにかかっています。現代のプロシューマ―は、最高の学び方の中で生まれ、困難な時代の最大のサバイバーになるでしょう。

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2026年2月 9日 (月)

2027年中学入試に向けて(01)能力主義≦才能主義の時代に本格的に進む 才能主義化現象

★2026年中学入試における学校選択は、これまで徐々に生まれてきた1人ひとりの才能を豊かにしていく最高の学び方の環境デザインをしている学校を探す才能主義的潮流が大きくなってきたと感じています。それは、2027年に向けて、カリフォルニア・コンセンサスとかAI2027という、これまでのワシントン・コンセンサスとは違く産業政策、産業フレームワークに米国を始めとする先進諸国が本格的に舵を切り始めたという時代の動きに呼応しているからでもあります。今回の衆院選における高市政権の大飛躍は、実はその潮流を日本も影響を受けている象徴的な出来事だと思います。チーム未来の躍進もそうでしょう。

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★それに先駆けて、東大や東北大学、都立大学、東京科学大学なども動き始めています。中学入試は、私立中高一貫校という強烈な建学の精神に基づいた3ポリシーを貫く基盤を持った学校の選択です。中学を選択するのですが、受験生が6年後以降の自分の物語を編集するキャリアデザインまでうっすらかもしれませんが意識する機会です。

★しかも建学の精神は、時代の要請をリサーチしながら革新と変わらぬものをどうチューニングしていくか常に情報収取し不易流行を維持する指針です。そのチューニングの仕方が各校違うので特色がでるのです。受験生の保護者もまたグローバルでイノベーティブな社会の変化に敏感です。未来に向かう政治経済産業社会の潮流の情報と直結している国内全体では珍しい教育システムです。

★明治開国以来、日本は能力主義で踏ん張ってきました。封建社会からいきなり近代社会に変えるには、すべての国民に国造りの資格がある教育システムにしなければならなかったわけです。刻苦勉励すれば、立身出世は決して夢ではないという能力主義によって優勝劣敗が決まるシステムです。この能力主義は、そうはいってもすぐには貫徹しなかったわけです。実は貫徹したのは戦後以降なのです。

★ところが、重化学工業社会からIT社会に変化する21世紀になって、あるいは1989年のベルリンの壁が崩壊してから、一つの能力(初等中等教育では教科学力)だけではなく、多様な能力のコラボレーションがコンヴィヴィアルに必要だという時代にシフトしました。ノートパソコンとインターネットとスマホとSNSと仮想通貨とどんどん多様な能力が生み出す才能主義というダイナミズムが生まれてきたわけです。

★その極地が今ところAIです。生成AIがそのAI社会を開いた大きなきっかけだったでしょう。

★中学入試も、教科入試のみの能力主義的価値観だけではなく、英語×思考力入試(多様な新タイプ入試の総称で使っています)×教科入試という才能主義を受け入れる体制に変わってきています。かつては、才能主義は能力主義の補完だったのですが、2020年から偏差値の高低にかかわらず、私立中高一貫校から世界大学ランキング200位以内の海外大学に一気に合格するようになりました。それが2025年になって、首都圏の私立中高一貫校だけで、1400人くらい海外大学に合格するようになったのです。

★世界大学ランキング200位以内に相当する海外大学がほとんどですから、今まで東大にたくさん入れていた能力主義の学校に追いつてきたわけです。東大の定員は3000人強です。日本全体の私立学校はその定員の60%は合格を占めているといわれていますが、海外大学はそのレベルのところあるいはそれ以上のところも多いのです。しかも日本の能力主義の力ではシステム上太刀打ちできません。その能力主義を1つの才能として包括する才能主義がシステム必要なのです。才能主義のインパクトは想像以上のものです。

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★しかも、グローバル教育として、その才能主義をサポートする教育環境デザインが広がるにつれて、グラデュエーションポリシーとしてのキャリアデザインの視野は世界に拡張しました。世界の大学の数は、諸説ありですが、約2200大学はあるそうです。世界大学ランキング200位内の大学は、その10%以下の優れたアカデミック環境が整っています。そのようなアカデミック環境の選択肢が増えてしまったのです。

★そして、2027年に東大は、この世界的視野を持っている受験生を確保するための大学入試改革を行うのです。能力主義と才能主義は対立構造ではありません。能力主義≦才能主義という包摂関係にあります。

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★ですから、バランスが違うだけでです。ただ、両方見えるのは、まだまだこれからです。ルビンの壺のように図と地のどちらかに意識が向いてしまいがちです。この両方の合力として、専門知×学際知×教養知という才能主義と能力主義を掛け合わせた学校が出現しています。2027年このことがもっと明快に現象として動き出すでしょう。才能主義化現象とでも呼んでおきましょうか。

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2026年2月 6日 (金)

2026年中学入試(64)昭和女子大学附属昭和 中学入試終了 堅調な入試 新しい女子校のカタチのモデル

★真下校長先生から2026年の昭和女子大学附属の中学入試は無事終わりましたと一報がありました。新しい女子校のカタチを創りあげ、それを新しいキャリアデザインにつなげるべく、多くの高大連携や企業と連携して注目されている私立女子校です。

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(2025 年度 昭和女子大学附属昭和中学校高等学校授業公開研究会は注目です!)

★真下校長先生によると、実受験者総数は昨年と変わらずだが、合格ボーダーが驚くほど高くなっているということです。そして、実に興味深いそして心温まるエピソードを聴きました。

★「入試の時はいつも最初に国語の問題を改めて私自身が見直し解いてみて、教室の後ろの窓から受験生の取り組みの様子を確認して、そのあと保護者控室に挨拶に行きます。控室の保護者の皆さんに、志願してくださるお礼、受験生の国語への取り組み、など少しだけの情報提供をします」と真下校長は語ります。

★先生方の入試問題という学校の顔に3ポリシーが染みわたっているのを再確認をしたうえで、昭和女子大昭和の教育のすばらしさへの自信を受験生の保護者に伝えます。緊張していた保護者には、その校長の柔らかい言葉と教員との信頼関係を伝える眼差しに、緊張感が和らいだことでしょう。

★そして、その国語の問題ですが、真下校長先生は「今年の1日午前A日程の問題の第1問説明的文書、4日午後のC日程の第1問説明文的文書が実は面白いのです。国語の問作者のセンスが私は気に入っています。学校としてのメッセージが出せています」と。

★どんな文章が素材として使われたのでしょうか?真下校長先生は「第1日大問1は近内悠太さんの「世界は贈与でできているー資本主義の「すきま」を埋める倫理学」と福岡慎一さんの「生物と無生物のあいだ」の文章をスクランブルさせたものです」と。

★文化人類学や哲学的素養のある近内さんと生物学者の福岡さんの文章をつなぐ設定です。文理融合というか学際的な探究を行っている同校ならではアプローチですが、両者の文章をつなぐキーが「アンサング・ヒーロー」という言葉の深い意味です。

★贈与にしてもノーベル賞受賞者の前にその準備をした無償の貢献をした研究者の存在にしても、アンサング・ヒーローというわけです。近内さんは、ヴィトゲンシュタインの「言語ゲーム」についても研究しています。言葉の限界が世界の限界であるというのは初期のころのヴィトゲンシュタインの考え方だと思いますが、晩年ヴィトゲンシュタインはその限界は、語られないことがあるだけで、ないわけではないのだと。

★つまり、贈与とかアンサング・ヒーローは、目には見えない大事なものと置き換えてみるのもよいかもしれません。これはあのSDGsの出発点になっている「成長の限界」の中心的著作者ドネラ・メドウズ女史のシステム思考の話にもつながります。

★経済にしても科学にしても、実は循環がうまくいくループシステムを探索するわけです。昭和女子大昭和の探究は、生徒も使えるように、「さぐる・ねばる・つなぐ・ためす・つくる」というわかりやすい5つの動詞で思考や共感、プロトタイプのプログラムのデザインがされています。まさに、システム思考やデザイン思考が融合されているのですが、それがアドミッションポリシーにしっかりつながっているのです。

★たまたまその問題だけではないかと思いますか?真下校長はこうも続けます。「C日程の大問1は藤井一至「土と生命の46億年史 土と進化の謎に迫る」を扱いました。理科教員がふだん生徒たちの学力課題としている科学的文書と同質の文章に真っ向から向き合う読解問題になっています」と語ります。

★何十億年もかけて作り上げられ地球の壮大な土壌循環を、近代主義は壊してしまったのです。それを、なんとか人工土壌で回復しようとしている研究者が藤井さんです。サイエンスそのものの文章をがっちりと問いかけている問題です。理科の問題といってもいいかもしれません。しかし、国語の入試問題です。そして、土壌循環のシステムは、ふだん私たちは気遣いもしません。ここにもまたアンサング・ヒーローのテーマが通奏低音のように響いています。そして科学者ドネラの想いに通じるものがあるでしょう。

★贈与論の文化人類学者の文章問題は、東京大学の現代文でも出題される問題です。土壌循環の文章はそもそも京大の科学者の文章です。合格のボーダーが高くなっているというのですから、恐るべし昭和女子大昭和の受験生です。

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2026年中学入試(63)文大杉並 中学入試終了 堅実な安定感だった DDとSTEAM

★文化学園大学杉並の今年の中学入試は無事終了。入試広報部長西田先生から、今年の出願数はなんとか堅実な安定感でしたと一報はいりました。実人数が過去2位の数だったようです。3年前から急激に注目され、昨年は過去最高の実受験者。当然今年は敬遠され、隔年現象になるのは想定内。それでも、人気急上昇の3年前よりも多かったというのですから、高め安定の入試だったということでしょう。西田先生は、謙虚にそう言っていますが、人気は健在ですね。

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★文大杉並は、教科入試と英語入試、適性検査、帰国生入試という基礎学力入試といわば才能適合入試と言えるような新タイプ入試の大きく2種類ありますが、おもしろいことに、英語入試や適性検査、帰国生入試という才能適合入試は、受験率がほぼ100%なのです。

★DDコースやSTEAM教育がありますから、受験生が自分の才能はそのコースや教育でもっと発展すると確信して臨みます。それに教科入試に比べ、受験回数は少ないですから、併願による受験率減少ということが起こりにくいのです。

★自分の才能をはやめに発見した生徒は才能適合入試に挑戦し、これから才能を発見しようと思う生徒はまずは基礎学力ということで教科入試を受けるのでしょう。

★このように、自分とは何者かに想いを馳せる意識の高い受験生が集まってきていると推察します。当然意識が高いと基礎学力や思考力も高くなります。文大杉並の教育の質をますます高める生徒が集まってくるのです。今後も人気がでるでしょう。

★STEAM教育の活動の特色の1つ、ロボット教育活動もあります。同校はSanEi Robotics(サンエイロボティクス)とVEXロボティクス(特にVEX V5)を用いたロボット教育活動の連携をしています。校内での大会開催や合同練習会まで実施しているようです。この取り組みにより、文大杉並のロボット教育は、実践的な国際大会(VEXロボティクス)へ向けて、より強化されていて、実際に成果もあげています。

★DDとSTEAM!高校になるとDDとイノベーションリーダーズコースと発展します。どちらにしても、卒業生はグローバルな舞台で活躍するようになるのは間違いありません。

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2026年2月 5日 (木)

2026年中学入試(62)2月1日 東京私立共学中学の出願状況(了)

★こうしてみていくと、出願数が少ないからと言って、人気がないとは必ずしも言えないのです。表7は、出願数50以上100未満、前年対比90%以上のリストです。ほとんどが定員がすくない入試の回数のため、出願数も少ないのですが、三田国際科学学園、順天堂大学理数、ドルトン東京学園、聖徳学園、共栄は人気のある学校です。そして何より八王子市で奮闘している工学院は、総定員105名で、複数回数でそれぞれ小さな定員で実施していますから、出願数は目立ちませんが、実際にはものすごいことになっているのです。明日の最終試験が終わって、そのすばらしさがわかるでしょう。

表7

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2026年中学入試(61)2月1日 東京私立共学中学の出願状況➂

★つづきです。

表5

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★表5は、出願数150以上200未満、前年対比90%以上のリスト。

表6

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★表6は、出願数100以上150未満、前年対比90%以上のリスト。

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2026年中学入試(60)2月1日 東京私立共学中学の出願状況②

★つづきです。

表3

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★表3は、出願数300名以上400名未満、前年対比90%以上のリスト。

表4

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★表4は、出願数200名以上300名未満、前年対比90%以上のリスト。

 

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2026年中学入試(59)2月1日 東京私立共学中学の出願状況①

★2026年2月1日の東京の私立共学中学の出願状況の振り返り。共学校の入試は多いし、出願数も小規模から大規模まで幅広いため、幾回かに分けて掲載します。出願数の規模の違いは、定員数の違いに対応しているので、出願数が少ないから人気があるなしとは必ずしもいえません。むしろ小規模だけれど前年対比が90%以上というのは一般的な学校選択志向とは違う魅力がある可能性があります。

表1

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★表1は、出願数500人以上、前年対比90%以上のリスト。

表2

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★表2は、出願数400以上500未満、前年対比90%以上のリスト。

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2026年2月 4日 (水)

2026年中学入試(58)八雲学園 総出願数前年対比168.8% 5日入試出願本日4日23:59までOK

★2026年の八雲の中学入試の総出願数は967名、前年対比は168.8%(首都圏模試センター出願倍率速報2月3日現在)。昨年の海外大学世界大学ランキング100位以内合格者21名というのはインパクトがありました。今年かなり注目されています。その八雲学園の最終入未来発見入試≫が2月5日にあります。

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(ドバイで開催されたラウンドスクエアの国際会議で)

★入試問題は、国・算・英から1科目選択および自己表現文(400~600字)。集合は8:50です。

★得意科目を受験し、自分の未来を思い切り表現する場です!

★入学後、自分の好きなことを思い切り深堀できるのが八雲学園ですから、最終試験は八雲学園の生活そのものです。

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2026年開成の国語の中学入試で文化人類学的眼差しを学ぶ

★2026年開成の国語の中学入試問題の課題文は、石井美保さん(京都大学人文科学研究所教授)の文章から出題されました。「みんなのミシマガジン」というサイトに投稿されたエッセイ「石畳の小径」(2025.01.20)という文章です。

★例年、説明的文章と物語の2題構成でしたが、久々の1題構成でした。3500字くらいの長文ですから、麻布や武蔵が出題する文章の半分くらいの分量です。

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★しかし、エッセイといっても文化人類学者のもの見方や思考法を理解しないと解けない記述式の問題が3問出題されていました。

★それ以外の問いは、文章の構成や何が書いてあるかの確認の問題です。漢字の問いもありました。合格点が60%くらいですから、この事実確認の問いが全部できたとしても届きません。記述式3問に取り組み部分点が取れれば合格という感じです。

★東大の現代文の入試に出題されたとしてもおかしくない文章でした。

★石井さんは、京都大学のサイトの研究者紹介の中で、文化人類学を学ぶ学生に対し、次のような言葉を贈っています。

<人類学的思考を通して世界をみることによって、リジッドな「日常」の論理をずらす――あるいは、それを複眼的にみる――技とセンスを身につけること。
そして、人類学的研究は、あくまで「ふつうの人々」を対象とするものでありながら、その射程は日常の生の偶有性、近代的主体像の限界、モノ/非人間のエイジェンシーといった広大な問題系とつながっていくことに気づいていってほしいと思います。>

★まさにこの文化人類学的思考法や眼差しで、今回のエッセイは書かれていました。中学受験生がその思考法と眼差しを入試のただ中でブリコラージュよろしく学ぶのですから恐るべし中学入試です。

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2026年2月 3日 (火)

2026年中学入試(57)和洋九段女子 能力主義から才能主義をけん引 総出願数前年対比127.3%

★2月3日現在、和洋九段女子の総出願数は662人、前年対比は127.3%、前々年対比137.6%です。授業から多様なグローカルな教育活動までPBLベースの学び方が浸透しています。コミュニケーションを通して学んでいくケンブリッジ大学が大切にしている学びです。能力主義ではなく才能主義です。ですから生徒1人ひとりの才能を引き出すいわばマッチング型入試システムを開発しているところも人気の理由の1つでしょう。

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★明日2月4日も入試があります。集合時間が8:30で、その1時間前までインターネットで出願が可能です。

★そして、中2日を置いて2月7日に最終試験を実施します。それに向けて2月5日対策勉強会を行うということです。小学校6年生の中には中学受験という体験を通して、学ぶことの新しい意味に気づく受験生もいます。

★悲喜こもごも受験生によっていろいろなのですが、人生でこのような壮絶な体験は初めてなのです。相当心揺さぶられれたのでしょうし、極度の緊張感などをマネジメントする仕方も体験したでしょう。そういうとき、閃くことがあるのです。

★もしかしたら、和洋九段女子に行けば自分の新しい物語を描くことになるかもしれないという直感が生まれてくることもあるでしょう。そういう受験生には2月5日最終試験のための対策勉強会はよき体験になるはずです。先生方や先輩方が支えてくれるからです。この時期、思いもよらぬ新たな自分と新たな出会いというのもあるものです。

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2026年中学入試(57)2月6日 工学院の最終入試の価値 出願締め切り2月6日11時59分 最高の学び方への道を開く時

★工学院の2月1日・2日・3日の入試が本日終わりました。いずれも昨年より多くの実受験者が挑戦しました。各塾のシンクタンクの倍率速報では同校の出願及び受験情報はなかなか読みにくいのは、完全に多様な才能に適合する多様な入試を行っているからです。23区だと小学生の40%以上が中学受験をするという地区もありますが、八王子市は約7%です。したがって工学院の生徒j獲得戦略は、一つの基準で生徒を募集していたのでは限られてしまいます。多様な才能に適合できるように他校にはない多彩な入試を行っています。そして多様な才能の芽がすくすく伸びていくこれまた多様な教育環境デザインが創意工夫されているのです。もちろん大学実績もきちんと出るわけです。ユートピア学校と言っても過言ではないのです。

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★上記の要項は一般入試のものです。国語と算数と社会と理科と英語の組み合わせが本当に多様です。この5教科の組み合わせは7種類あるのです。そして適性検査まで設定しています。定員は105名ですから、8タイプの入試を選択できます。

★それから、一般入試以外に、国際生入試、帰国生入試、海外入試まであります。この入試の出願状況の全貌は受験業界のシンクタンクは出願データですべてを把握しているわけではないのです。英語や面接が中心の試験ですから、国内の塾は4教科がベースですから、情報の必要性が高くないのです。

★ところが、工学院はケンブリッジインターナショナルスクールと連携していますからAーLevelの資格を取得するシステムを持っています。帰国生や国際生にとってめちゃくちゃ魅力です。日本の一条校(いわゆる普通学校)でこのシステムを持っているのは工学院だけなのです。

★実際AーLevelシステムで世界大学ランキング100位以内のシドニー大学に合格していますが、このシステムを使っているので、1年間のファンデーションを受けずに直接大学に入学できるのです。

★しかも、一般入試で、帰国生でも国内生でもない受験生が英語が得意な場合、英語だけで受験もできるのです。ケンブリッジの最高の学びは、一般生にも開かれています。IBの場合は、そのコースに入っていなければその恩恵に浴せませんが、工学院のケンブリッジのシステムは、挑戦する意欲があれば、すべての在校生が挑戦できます。

★英語だけでは、中高でほかの教科の基礎学力は心配だという方もいますが、すでにこの入試を行って10年以上経っているのです。なんら問題はありません。どうしてだろう?と思いますか?仮に英語だけで入学してきても、今や一般生でも英検3級では難しいかもしれないのです。国際生受験の場合だと、すでに準1級クラスの生徒が挑戦してきます。

★英検2級以上というのは、大学入試でアドバンテージの高いレベルです。読解力、リスニング力、ライティング力、スピーキング力が東大や早稲田の英語入試レベルの力を持っている小学校6年生なのです。英語というより言語能力として、ロジカルシンキング、クリティカルシンキング、クリエイティブシンキングの素養があるため、工学院に入学してからいくらでも基礎学力も体得できるのです。6年間もあれば、全く問題ないのです。

★2月6日、工学院は最終試験を設定しています。実は、中学受験という体験をした結果、合格はしたものの、新たな自分の才能に気づいてしまい、自分の才能を生かせる学校は本当はどこなのかとようやく迷う受験生もでてくるからなのです。ですから、最終的に挑戦したいと意思決定した場合、2月6日の11時59分まで出願できます。このギリギリの決断が思いもよらない感動的な物語を歩くことになるケースがあるものです。

★工学院は、能力主義の学校ではありません。教師は生徒が自分の才能を自分で見つけて伸ばしていくサポートをします。このサポートとは、コミュニケーションだけではないのです。むしろ多様なフィールドワークや体験のプログラムの環境をデザインすることによってファシリテートしていくのです。授業そのものもPBLやIBLという対話や生成AIをパートナーとして自ら考えていく、協働して考えていく環境をデザインすることによってサポートしていくのです。だからこそ、タイミングのよい教師との対面のコミュニケーションが感動を生むのです。

★教育環境デザインの中で最高の環境は生の言葉のやり取りです。しかし、四六時中話をしていたのでは、何が本質的に大切なのか了解できないものです。あらゆる環境をデザインし、それ以上のコミュニケーションの環境を創るのが工学院の教師です。

★このような環境のことを、ケンブリッジ大学では最高の学び方というのです。

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2026年中学入試(56)2月1日 東京私立女子中学の出願状況 全体としては微増か?

★東京の中学入試も3日目。毎日午前午後入試にチャレンジしている中学受験生。体調を管理して頑張ってほしいです。さて、2月1日の東京の私立女子中高一貫校の出願状況がだいたい見えてきました。2月1日の東京の女子校の出願総数の前年対比は、102.5%ですから、東京の女子校の受験生は微増かもしれません。もっともサンデーショックですから隣接県からも出願しているので、微妙です。ここでまとめの意味で2月1日の出願結果をみてみましょう。

表1

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★表1は、出願数300人以上、前年対比90%以上のリスト。

表2

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★表2は、出願数200人以上300人未満、前年対比90%以上のリスト。

表3

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★表3は、出願数100人以上200人未満、前年対比90%のリスト。

★能力主義の環境と才能を引き出す新しい学び方の環境のバランスの違いが、結構如実に反映しています。能力主義だけの女子校は基本ありません。しかし、そうではないというコンセプトを積極的にイノベーティブな教育プログラムで表現している才能を引き出す新しい学び方を実践している女子校と違いは明快にでてきているような気がします。

 

 

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2026年麻布の社会の入試問題 やはり圧巻

★2月1日の麻布の社会の中学入試は、森林の「利用」と「保護」の葛藤の歴史と未来についてでした。昨年アーバンベアなどの問題が日本各地で起こりました。すでに数年前から中学入試で扱われていますから、自然環境保護の問題と共に出題される題材です。

★しかし、麻布の森林に関しての問題は、アーバンベアを直接扱った問題ではありませんでした。受験生は当然予想してくるから、あえて外したというわけではないのです。

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★むしろアーバンベアのことを考えるには、その背景にある古代から現代にいたる政治・経済・生活のシステム及び価値観の変遷を多角的な視点から探究しておくことの重要性を真正面から投げかけた問題でした。

★そして、江戸の自然と社会の循環システムと森林の関係を考えつつも、封建社会の中で森林の産業や暮らしがどうであったかを考察する問いはクリティカルシンキングを求めています。

★さらに、近代社会の自己所有と市場の原理や効率性による森林と環境問題のクリティカルシンキングも絶妙です。

★つまり、次のようなコンセプトを求めているのです。(このコンセプトをGooglenotebookLMで図にしてもらったのが上記デザイン)

<森林の利用と保護の両立が難しいのは、森林が多様な価値を持ち、人々の立場が大きく異なるためです。その立場や価値の違いを、

① 経済的資源として利用したい考えと、生態系や景観を守りたい思いの対立
② 所有者の権利と社会全体の公共性の間との葛藤
③ 短期的な利用と長期的な環境悪化を招く危険の関係
④ 森林という生態系を壊すと元に戻らない不可逆性を軽視と生態系のかけがえのない重要性との対立

など多角的な視点からクリティカルに思考し、森林との向き合い方として社会全体で考えるべき重要な課題を明らかにする。>

★そして、それについて、最終的に140字の記述問題として出題しています。

★このコンセプトは「森林」を他のテーマに置き換えても実は成立します。麻布の教育は、コンテンツとコンピテンシーだけではなくコンセプトベースの学び方がベースなのでしょう。

★もはや麻布の社会の問題は、探究いや研究のフレームそのものを提示しています。圧巻です。

★そうそう明治政府によって国有化された沼津の愛鷹山の森を以前の共有地に戻すために麻布の創設者江原素六が尽力したことを課題文に添えているのは何とも粋な入試問題でもあります。上記のコンセプトを創設者江原素六自身が体現しているのです。それに、沼津は、毎年中1全員が学年行事として訪れる麻布の聖地ですから。

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2026年2月 2日 (月)

2026年中学入試(55)八雲学園 総出願数 前年対比150.3%(2月1日現在) ペン・ステート合格の朗報も

八雲学園のサイトを開くと、「ペンシルバニア州立大学合格」の文字が現れてきます。同校は中学3年から高校まで、UCサンタバーバラ大学で学ぶ機会があります。寮にも宿泊して学ぶので、UCサンタバーバラ大学生に溶け込みます。UCサンタバーバラは、UCバークレイやUCLA同様UC系列で、ハーバード大学やイエール大学などのアイビー・リーグに対し、パブリック・アイビーと呼ばれています。そして、このペンシルバニア州立大学もペン・ステートと呼ばれるほど有名で、やはりこのパブリック・アイビーの一員です。

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★イエール大学とも毎年国際音楽交流をしているぐらいです。まずはパブリック・アイビーに合格し、やがてはアイビー・リーグの大学にも合格するでしょう。

★すでに昨年世界大学ランキング100位以内の海外大学に21名合格しているので、八雲学園は受験市場で注目の的です。このタイミングでのペン・ステート合格の朗報は、2月3日と2月5日の八雲学園の中学入試の出願をさらに増やすことになるかもしれません。

★2月1日現在同校の出願数の報告をもとに、総出願数を算出すると861人(帰国生も含む)で、前年対比は150.3%です。能力主義ではなく、生徒一人ひとりの才能や強みを豊かにする最高の学びの環境が受験生・保護者に支持されているのです。

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2026年麻布の国語の入試問題 やはり傑作

★昨日麻布中学の入試がありました。中学入試の傑出した問題と言えば、麻布の問題が輝いているのはあまりにも有名な話です。私も毎年楽しみにしています。そして、やはり今年も傑作でした。国語の入試問題は、いつも超長文の物語が一つ出されます。30年以上前には、詩と物語、論説文と物語ということもありましたが、それ以外は物語一題です。だいたい新刊本が扱われます。今年もそうでした。

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★柊サナカさんの「天国からの宅配便 あの人からの贈り物 (双葉文庫) 2025/3/12」の中の「七十八年目の手紙」が取り扱われていました。途中から最後まで出題されています。省略した最初の部分は、簡単なあらすじが書かれていますから、物語の内容を理解するのに問題はありませんが、ある程度推理することも必要です。

★素材文の切り取り方で、受験生の読書の推理力も測れてしまいます。

★それに、なぜ柊サナカさんの物語を出題したのか?それは私のような素人にはわかりませんが、おそらく麻布の国語の教師の中に、文学を通して現代と普遍的な人間の葛藤の重なりを見抜いている方がいるのでしょう。

★柊サナカさんは、その意味でも注目されていて、「天国からの宅急便」は文庫でシリーズになって出版されています。今回のは第二弾ですね。物語というと、心情読解なのですが、今年の素材は、心情の変化だけではなく、時代を超えた人間関係と主人公の人間関係を重ね合わせる物語構造になっています。ですから、この重ね合わせを直観的につなげるにしろ、共感的な感情も読み取る必要があります。

★登場人物に読者が共感するというのも大事ですが、登場人物同士の共感性を共感する読み方。しかもその共感の難しさを超えて共感する対話のメカニズムを、ひいおばあちゃんが教師時代に言語ゲームを生徒とともに行ったというエピソードまで織り込まれていて、この言語ゲームが実は言葉とは何かという問いが物語の通奏低音として響き続けているわけです。葛藤解消のコードになっているのです。

★それゆえ登場人物の背景には歴史的で現代的な共通する葛藤があります。物語なのだけれど、社会課題を掘り下げる探究のきっかけになる物語でもあります。個人ではどうしようもないそれでも解決しなければならない嵐のような社会問題が吹き荒れている中でも友情はあるというリアリティ。それが78年前から目に見えない形でつながっているひいおばあちゃたちの友情といまここでの主人公の友情とがスクランブルするのです。

★しかも、そのスクランブル交差点には、ベトナムの友人、インドネシアの友人をはじめとして多くの多様な人々との共感的つながりも出てくるのです。

★グローバル教育はそりゃあ大事だよ。探究もそうだよ。しかし、このような物語の構造を論理的に読み取ったり、共感のメカニズムをメタ的に解明したりする言語能力や思考力、表現力を養うことがもっと大切だろうという麻布学園の根源的教育を追究するメッセージが聞こえてくるような素材選びと、素材を料理する問いの質。

★コミュニケーションや対話は確かに最高の学び方をつくります。ですが、それは物語を媒介に柊サナカさんのような作家と対話する問いを創れるかということでしょう。麻布に入学する生徒は、この門をくぐぐって入っていきます。

★それにしても、柊サナカさんの「天国からの宅急便」の第3弾は、今月2月10日に発売される予定です。出版業界の動きまでリサーチしている教師の存在。感服です。

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2026年2月 1日 (日)

2026年中学入試(54)2月1日 東京私立男子中学の出願状況 全体としては増加

★2月1日の東京の男子校の総出願数は14,843人で、前年対比は102.2%。男子校の人気は健在です。今や男子校は少なくなったとはいえ、東京と神奈川に集中していますから、首都圏全体から男子校で学びたいという受験生が集まっているというkとでしょう。

【表1】

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★表1は、出願数400人以上、前年対比80%以上の男子校。出願数が多い常連校がずらりと並んでいますが、城北の増加しているのは、男子校の中でイノベーション教育にも力を入れている特色が少し際立ってきているからかもしれません。武蔵も増加していますが、やはりグローバル教育にも力を入れている特色が少し際立っているのかもしれません。数学のICT活用授業も、いわゆる御三家の中で際立っています。

【表2】

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★表2は、出願数100人以上400人未満、前年対比80%以上のリストです。グローバル教育で、東京都市大、高輪、佼成学園、足立学園、聖学院は特徴的です。イノベーション教育で聖学院は特徴的です。サイエンスとアートで世田谷学園は特徴的です。

★男子校も能力主義プラス付加価値のバランスが各校によって違いがでてきています。男子校がどのように多様化していくのか2027年までウォッチングしていきたいと思います。

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2026年中学入試(53)聖学院 思考力入試・表現力入試の総出願数前年を超える

★今年の聖学院の新タイプ入試である3つの思考力入試と表現力入試の出願総数は135人で、前年対比139.2%。この思考力入試はほかにかえつ有明も実施していますが、多様な新タイプ入試の中で、本格的なPBL型で論理的思考力から創造的思考力まで問いかける入試は聖学院のみです。首都圏の男子校の中でも能力主義を支える学び方ではなく、一人ひとりの才能が開花する最高の学び方に挑戦している唯一無二の男子校です。

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★各男子校は、現実的には社会の構造上、能力主義にも対応せざるを得ず、この路線をしっかりベースに特色ある教育を実施しています。聖学院のようにOnly One for Othersを理念にした才能開発に振り切った学び方を実施している男子校は珍しいかもしれません。それゆえ熱烈なファンも多いわけです。

★能力主義と才能開発の合力を作り出している佼成学園も男子校の中では異彩を放っています。

★これら両校が男子校の新たな価値を生み出していることは間違いはないでしょう。

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2026年中学入試(52)富士見丘 2月1日英語特別コースの受験生シェア増える

★2月1日富士見丘の中学入試はWILL入試から始まりました。午前8時、集合時間は9時だというのに、多くの受験生が、緊張しながらも、出迎えの先生方と元気よく挨拶をし合って校門に入っていきました。WILL入試をはじめ他の入試の出願数も昨年を超える勢いです。2026年2月1日現在で、総出願数は1025名で前年対比は116.1%、前々年対比は145.4%。右肩上がりが続いています。

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★やはりコロンビア大学合格という情報は影響しているでしょう。アイビーリーグの大学に合格するというのは、世界大学ランキング100位以内の中でも特別です。しかもスカラーシップまで取得しているというのです。同校は今までも海外大学合格者を多数輩出していますが、その学びの方法や教育環境の信頼性と正当性と強さが明快に証明されたわけです。

★もちろん全体的に出願が伸びていることがそのことを示唆していますが、同校の入試は一般コースと英語特別コースの2種類に分かれています。

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★その英語特別コースで受験する生徒のシェアは、2月1日の富士見丘の入試の31.6%です。帰国生入試が別にありますから、英語が得意な生徒がすでに50%ぐらいが学年医いるわけです。

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★そして、何より一般コースで受験した生徒も英語を富士見丘で学びたいと明快な意志を持って挑戦してきます。今年はサンデーショックですが、富士見丘はその影響を受けないでしょう。「富士見丘で学ぶ」という意志決定をしている生徒が挑戦しているからです。自分にとって最高の学び方ができる学校選び。新しい学校選択の仕方が生まれてきました。

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2026年中学入試(51)工学院 感動を生む学校(4)2月1日出願数前年対比AM128%・PM102% 受験率100%・PM97%

★2月1日工学院の中学入試の出願の前年対比と受験率が凄い。やはりケンブリッジ大学系の「最高の学び方」に気づいた受験生・保護者が「見つけた!ここだ!」となっている格好のケースです。

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★午前入試の出願数前年対比は120%、午後は102%です。1月10日からの出願の出足が遅く、学校の先生方はハラハラしたでしょうが、これはweb出願の特色で、どこも同じような雰囲気でした。工学院の場合、1月26日から急激に出願が増え、直前に昨年を超えるという結果になりました。中学受験はどうしても23区が注目されます。

★しかし、12月に入って、この世界の動きに影響を受ける日本の政治や経済の様子を見て、それとAIの凄まじい動きを見て、これからは「本物の学び方」を身につけないとと強く思い、念のため探してみようと受験生・保護者が最終説明会に足を運びました。

★12月の工学院の最終説明会の参加者は大勢が駆けつけました。そして口々にこんな学校があったのですねと。「本物の学び方」とはケンブリッジインターナショナルスクールと連携している「最高の学び方」だったのです。能力主義ではなく才能主義、生徒中心の学び方主義、コミュニケーション中心主義の学びです。

★要するに生徒が生き生き活動的に日々学んでいるわけです。身近な世界から宇宙にまで目を向け、好奇心を探究心に深めていく。しかも英語で。しかもエンジニアリングの環境抜群で。

★何より、在校生全員がこの学びに挑戦できるのです。

★そして、午前の入試は受験率100%!これはもう珍しいです。欠席者がゼロの入試はweb出願時代には希少価値です。午後も受験率は97%です。午後はもっと少なくなるのが一般的な傾向ですが、初日の受験生は、「見つけた!ここだ!」と決めて挑戦しているのです。工学院の受験生の学校選択の意思決定の方法は、今年の受験生の学校選択の新しい潮流の象徴でしょう。

 

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2026年中学入試(50)2月1日 東京・神奈川の中学入試スタート

★本日2月1日(日)、東京・神奈川の中学入試がスタートしました。すでに埼玉、千葉、茨城と首都圏の入試が始まっていますが、首都圏中学入試の総定員の71.6%を東京・神奈川エリアがシェアしています。本格的に始まったという雰囲気があるわけです。特に今年は、本日が日曜日ですから、女子校はサンデーショックです。受験業界やメディアは注目しています。とはいえ、メディアも従来ほどは騒ぎ立てていないかもしれません。

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★しかも、2026年の年明け、高市総理が突然衆議院を解散しました。野党では立憲民主党と公明党が合体して「中道改革連合」ができ、日本維新の会は大阪で2つの選挙を同時に行うなど、大きな政局のウネリと中学入試の時期が重なっています。メディアも衆院選挙に目が行くこともあって、中学入試の記事が少なくなるかもしれません。

★しかし、このウネリが、つまり政治家の選択と中学入試における学校選択の変化は何か共振するところがあるかもしれません。「今までとは違う選び方」ということです。もちろん、政治家の選び方と学校の選び方の視点が同じということではありません。たんに、選び方の視点が大きく変わる転換点ということにすぎないのですが。

★ただ「自分にとってのニーズは何かをじっくり考える」という構えは同じです。選挙の場合は、「自分の生活の仕方に直結する政治家や政党はどこか?」でしょうし、学校の場合は「自分の学び方に直結する学校や教育は何か?」でしょう。

★もちろん、ポピュリズム的な動きもあります。世論調査の数字にそれは反映するでしょうし、偏差値という数字にそれは反映するでしょう。

★しかし、一方で自分にとってのニーズを掘り下げて選択するという潮流も明快にでてきています。それゆえ、中学受験人口は、まだ5万人前後ですが、出願数は1月31日の時点では、少し控えめです。web出願ということもあって、日々出願するというご家庭もあります。ですから、2月10日あたりまでには、結局前年と変わらない出願数になるのでしょう。

★そうはいっても埼玉の入試がそろそろ終わりに近づいているのに、出願の前年対比が91.1%とというのは、併願の仕方がシンプルになってきているということを示唆している可能性大です。

★首都圏模試センターの取締役入試情報センター長の北一成さんが、2015年ごろから「学校の学び方が多様になってきているために、学校の顔である入試のスタイルも変わってきています。それにともなって、学校を選択する場合も、どのような学び方を選ぶかという視点も生まれてきています」と語り続けています。それが今年明快に表れてきたのかもしれません。

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