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2025年12月

2025年12月30日 (火)

【今年を振り返って➋】グリコのおまけにヒントあり?旧友がお前の話は「おまけ」の比率が高すぎるぞと。

★毎年この年末あるいは年始の時期は30年以上の付き合いのある友人とじっくり対話します。もちろん、特にテーマもなにもないし、それぞれの仕事は利害関係もないので、とっちらかった話なのです。ただ、家族の話や自分たちの老人にありがちの病気自慢話には花が咲きます(微笑)。友人との出会いは、米国とノートパソコンでした。いっしょに仕事をしはじめて、教育業界で、米国の学習理論とノートパソコンを活用した情報収集やプレゼン資料を作りまくっていました。

★そして、話だけではおもしろくないので、ちょうどHISの海外の格安チケット販売がブームになってきたときだったので、20世紀末に、格安で米国に視察に行き、ノートパソコンでインターネットを活用する環境をつくりました。2007年までは、海外を共に経めぐりながら、ITの可能性を探りました。グローバル教育とイノベーション教育の発想はそのとき以来続いています。しかし、友人は社会学的発想をおもしろがっていたし、こちらは哲学的発想をおもしろがっていたので、そこからは別々の道に進みました。ソフトパワーの重要性は共通認識だったのですが、捉え方が違っていたからです。

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★それでも、へーゲリアンウェイやプラグマティズムについては捉え方はだいぶ違いますが、共通しているので、年に1,2度の対話は続いています。今年も相変わらずものの見方は違いますが、最終的には、新しい方向性のヒントをもらいます。もらうのはいつも私の方なのです(汗かつ微笑)。

★友人が言うには、おまえの話はいつもグリコの「おまけ」の部分の比率が高すぎる。もっとバランスは考えないのかと言うのです。そういわれて、たしかにいつも「おまけ」をどう新しくするかばかりを考えて、小さい動きですが実行しています。

★実際には、友人の方が「おまけ」大好きです(笑)。ただ、実生活においては「おまけ」と「実質」のバランスを計算していますね。ところが、私は計算はしていますが、「おまけ」ばかり見ているような気が確かにします。同僚からも、今は本間さんの話にかかわらないですよ。目の前の仕事やりますからねとよく言われます(笑)。

★しかし、友人の話はそれで終わりではなかったのです。「おまけ」と「実質」をつなぐミッシングリンクが何かだろうよと。友人はその回答は言いません。聞いてもわからんなあと言うでしょう。もし回答したら、それいいねやろうよとなるのは見えているからです。やるんならお前が自分で考えて勝手にやりなということです。

★で、頂きました(笑)。そのミッシングリンクが何か?それが2026年の探究ではなく探求・冒険のテーマとして降りてきました。もちろんグリコのおまけの話はメタファーです。その前にグリコのおまけの歴史もググってみました。壁打ちにして最終的にこんな回答に落ち着きました。

「グリコのおまけは、100年以上にわたり子どもたちの「わくわく」をつくり続けてきた存在です。最初の絵カードから始まり、時代ごとにフィギュアや組み立て玩具へと姿を変えながら、開ける瞬間のドキドキを大切にしてきました。そこには「おいしさと健康を届け、子どもの成長を応援する」というグリコの変わらない思いが込められています。現在のおまけは環境に配慮した木製素材を採用し、日用品と組み合わせて遊べる仕掛けが施されており、子どもたちが自由に発想を広げられるよう工夫されています。こうした遊び心あふれる進化は、グリコのおまけが単なる付属品ではなく、世代を超えて創造力を刺激する小さな冒険の入口であり続けていることを示しています。」 

★このグリコのおまけの歴史を知ったうえで、友人は語っていたのだと、改めて感服。

★そうそう、友人は英語が堪能でPBLも得意でICT(生成AIはもちろんんこと)の実装力もすさまじい。そこに「おまけ」をちょっと付け加えると、22世紀の世界を開いていく人間像に近い姿になります。今も世界を飛び回り、世界の同じような質感の教師たちと子供の才能の「おまけ」と「実質」を引き出す方法を交換し共有している教育的な知的好奇心の塊です。

★そして、友人の隣人には、この「おまけ」も兼ね備えた教師もいます。その教師とも10年以上の交流をさせていただいていてよく対話するのですが、不思議と3人で対話したことはないのです(笑)。

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2025年12月29日 (月)

【今年を振り返って】学校選択の決め手:対話をするとき3タイプの理解方法を柔軟に融合する教師がどれくらいいるか?

★学校の授業や多様な教育活動において、教師と生徒、生徒と生徒が対話をする環境をデザインすることが求められています。その象徴的な手法が「主体的・対話的で深い学び」です。これを実行しようとする、対話は欠かせないのですが、互いが主体的に対話する必要があります。もしどちらかが受け身だとそれは対話ではなくなりますから。また、対話は自分と他者の化学反応を引き起こします。それが深い学びになります。

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★ということはその前提に互いの違いというものがあります。ものの見方や考え方、感じ方などの相違点と共通点があるからこそ第三のアイデアが生まれ深い学びが加速します。

★このような違いや共通点はどこからうまれてくるのでしょうか?それは以外にも思考の方法の特徴が違うので、ものの見方に違いが生まれ、ものの見方の違いは、感じ方の違いにも影響します。もちろん、ものの違いが違うから、考え方の違いや感じ方の違いに影響を与えるという循環が起こっているわけです。

★とはいえ、ものの見方や感じ方は複雑です。ところが思考方法の違いはだいたい3つくらいです。したがって、その3つの思考方法のタイプを確認するところからはじめたらよいのではないかと。

★一般に、人が何かを知ろうとすると、まずは物事を理解します。それが一つの事実としての理解になります。その事実を他の事実と結びつけるときにロジカルに因果関係を積み上げていくタイプと幾つかのアナロジーでつなげていくタイプとメタファーでいきなり結びつけるタイプと3種類あります。

★この違いを互いにリスペクトしながら対話していくとおもしろいものや発想が生まれ、それを実装にもっていこうとすると因果関係を積み上げていくことが重要になります。いずれにしても、エビデンスを見つけたり検証したりするときは、因果関係や相関関係が必要です。ただ、その因果関係だけだと新しいものや発想が生まれにくいということもあります。因果関係を積み上げるロジカルタイプとアナロジータイプやメタファータイプのコラボレーションが重要だということです。

★そして、さらにコラボレーションできるには、3つをつなぐ判断基準が必要です。それは直観的にということもあるでしょう。論理的にということもあるでしょう。身体的にということもあるでしょう。この判断基準の精度をあげていくには、経験しかないのかもしれません。同時にそれを見える化する方法のあくなき追究も必要ですが、これはもしかしたら学問や研究の重要な意味なのかもしれません。中高教育ではシンプルなリフレクションルーブリックの作成ということになるかもしれません。

★実は、今年、このような話をして意気投合してしまう校長先生や教頭先生に複数出会いました。また、このような話には興味がないという表情をされる方とも会いました。意気投合する校長や教頭のいる学校は、この対話の間口の広さと奥行きの深さを組織として創り上げています。よって、人気があります。

★逆に興味がないという校長や教頭がいる学校も、別の基準で人気がある学校もあるし、その別の基準は競争の尺度なので、負け組になるところもあります。

★学校選択は私事の自己決定ですから、選択の自由です。ただ、未来にかけてサバイバルする学校は、対話のシステムが立体的にデザインされているところです。競争的価値観は相対的で移ろいゆくものだからです。ただ、対話のシステムのデザインがされているかどうかは、なかなか目に見えるものではありません。説明会でお話をする校長先生をはじめ、多くの先生方や生徒の皆さんの対話の雰囲気を感じる以外になさそうです。

★とはいえ、それをなんとか言語化したり図式化したりすることにチャレンジし始めている学校も増えています。そのような学校と出会えるとよいですね。

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2025年12月28日 (日)

2026年中学入試(17)昭和女子学附属 パワフルガールススクールとして新たらしい女子校のマインドとシステムをデザイン 受賞される

★今年の仕事納めは、昭和女子大学附属昭和の校長真下先生の画期的なかつ本質的なお話を伺う幸せな時間となりました。同校は、今年10月から実施していた米ボストンで3か月間過ごす留学「SHOWA Boston ターム留学」がちょうど先ごろ終了したのですが、真下校長はボストンの生徒の成長を讃えるために、そしてボストンの先生方と次年度のプログラムについて打ち合わせるために、つい先日ボストンに飛び、帰国したばかりでした。パワフルガールズスクールのリーダーは、本当にエネルギッシュです。

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(写真は同校サイトから)

★そして、この同校の先生方及び生徒が学んでいるプロジェクトやプログラムに、真下校長先生がタイミングのよいかかわり方(つまり担当者に丸投げしない)をしてパワフルな組織をプロデュースした功績が、公にも認められたのです。今年11月、真下校長は、一般社団法人技術同友会による「第11回女性技術者育成功労賞」において、「組織優秀賞」を受賞しました。この賞は、女性技術者の活躍を推進・支援するために、女性技術者の育成に顕著な成果を上げた個人及び組織を表彰するものです。

★同校は、生徒の皆さんが、一人ひとり自分の知的好奇心がどのような学問及び仕事に直結するのか実にパワフルでプラグマティックなキャリアデザインのシステムを開発しています。そのためには、想像を超える多様な大学や教授をはじめとする専門家と生徒を結び付ける環境をデザインしているのです。そして、それはある意味米国のAPコースのような作り方にもなっている制度作りにまで広げているのです。具体的にはぜひ動画をご覧ください。驚くと思います。

★そして、これだけ多様で多次元のプロジェクトやプログラムが開発され、相互に循環するパワフルな学びの環境を大回転させているのは、実にシンプルな学びの基準が教師と生徒に共有され、学びのプランを立てたり、リフレクションするときに活用されているのです。それが「つくる・さぐる・ねばる・つながる・ためす」というマインドとスキルを豊かにする原理です。

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★かつてノーベル賞受賞者の湯川秀樹博士が、社会や自然の現象は複雑だが、その根底にある原理は極めてシンプルだと語ったと聞いたことがあります。グローバルとサイエンスを新結合(=イノベーション)する真下校長の眼差しに通じる言葉だと改めて感じ入りました。

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2026年中学入試(16)国立音楽大学附属「KUNIONミライ探究」 学際的プログラムのエンジンに音楽の響き

★shuTOMO 第34号(2025年12月14日発行)に、国立音楽大学附属中学校・高等学校で行われている「KUNIONミライ探究」という画期的ゼミ活動の記事が載っています。副校長の滝澤秀先生によると、この探究は生徒が自ら考え行動する力を育てることを目的に始まり、現在は12のゼミに広がっているようです。

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(副校長の滝澤先生と二人の生徒さんの対話が感動的です。貴重な動画をご覧ください)

★芸術祭で、生徒たちが探究の成果を発表している様子も載っていました。自然農法を研究するAさんは、虫の減少への危機感から環境に優しい農業を学び始め、和紙を使った土壌改善など具体的な実践を紹介していました。英語圏児童文学を学ぶBさんは、作品を読み返す体験を通して、自分の気持ちを言葉にする力や対話の大切さを実感したと語っています。

★また、探究と音楽の関係について尋ねると、Aさんはジャズの即興演奏と探究のプロセスが似ていると話し、Bさんは文学と音楽を「形を変えた言葉」と捉え、互いに影響し合うと述べていました。

★生徒の興味から広がる学びが、音楽を軸に多様な分野へつながっていく「KUNIONミライ探究」。未来を自ら切り開く力を育む取り組みとして注目されます。

★そして、音楽のデザインの仕掛けが多様な探究領域の学びの仕掛けと共振することを証明している唯一無二の学校。それがKUNIONなのでしょう。

 

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2025年12月24日 (水)

2026年中学入試(15)富士見丘 慶応義塾大学とコラボする画期的デザイン思考ワークショップ

★shuTOMO 第34号(2025年12月14日発行)に、富士見丘高校1年生が参加するグローバルワークショップのプログラムデザインの取材記事が載っています。

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(同記事の内容のシーンの動画を観ることができます)


★同校では、慶應義塾大学メディアデザイン研究科のドナ・チェン准教授や大学院生と連携し、デザイン思考を基盤とした全8回のプロジェクト型学習を実施しています。授業は英語で行われ、単なるアイデア発想にとどまらず、社会に働きかける力を育む本格的な学びの場となっているということです。

★生徒は「共感」「問題提起」「アイデア創出」「プロトタイプ」「テスト」のプロセスを繰り返しながら、疑問や違和感を出発点に社会課題を発見し、チームでアイデアを形にして検証し、最終的に社会的インパクトのある成果を発表しています。

★授業ではレゴを用いた表現や対話を通じて思考を言語化し、インタビューやリアルタイムのアンケートでアイデアをリフレームする仕掛けが組み込まれていますが、このリアルタイムのリフレクションがデジタル化されているところは、実に斬新です。

★こうしたダイナミックで綿密なデザインがなされている学びにより、生徒は大学レベルの思考と行動を高校段階で経験し、グローバルな視点や多様な価値観に触れ、未来を創る力を養っているということです。

★この取り組みは富士見丘のグローバル探究の象徴であり、生徒が言葉だけでは共感を生み出せないシーンで新たなメディアを生み出す画期的な挑戦です。つまり、「メディア・イノベータ」としての第一歩を踏み出す決定的な機会になっています。

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2026年中学入試(14)市川中学 入試問題に色濃くあらわれう本質 3ポリシーの結合

★shuTOMO 第34号(2025年12月14日発行)に、「国語の入試問題を読み解く〜市川中学校からのメッセージ」という記事が掲載されています。中学受験サポーター渋田隆之(中学受験PREX代表・教育コンサルタント等マルチ才能者)さんが市川中学の国語科主任大澤和仁先生にインタビューした記事です。

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★入試問題は学校の顔とよく言われますが、まさに市川の国語の入試問題はカリキュラムポリシーをアドミッションポリシーに十分に反映させていることがわかります。

★よくカリキュラムポリシーとグラデュエーションポリシーは親密でなければならいが、アドミッションポリシーはそこまで固く結びついている必要はないと言われます。入試問題でそのポリシーをすべて表現することは難しいので、偏ったメッセージになる可能性があるからだというのでしょう。

★そりゃあ、3ポリシーを膨大な量の箇条書きにしているようなところはそうなるでしょう。3ポリシーのそれぞれを分解して精神としてまとめないのですから、当然そうなります。要素還元主義型の3ポリシーづくりだとそうなるのです。

★市川学園は、第三教育といって、家庭が教える第一教育、学校が教え導く第二教育、生徒が自分で自分を教える第三教育の有機的つながりをポリシーにしています。これをもちろん、カリキュラムの中で多様な学びの項目に分かれていくのですが、分かれたままにしておかずに、この三位一体の教育というコンセプトに抽象化しているのです。

★第三教育は、「人に学び、本い学び、旅に学ぶ」中で、内面に豊かに広がっていく自分が成長していきます。

★渋田さんのインタビューは、入試問題にしっかりつながる読書の環境や授業プログラムのデザイン、読書の旅などについて、大澤先生からよくみれば精神の真髄がにじみ出てくるカタチで本質的なことを引き出しています。

★2500人以上の受験生になるにもかかわらず、100字を超える記述問題を複数出します。ファクトとオピニオンを区別できるかどうかもわかる良問です。しかも、その問いの内容は、自分をつくるとはどういうことなのかを問う問題です。ファクトの問いは親や教師から学べるかを問いかけています。オピニオンの問いは自らを自らに学べるかを問いかけます。まさに3ポリシーがつながっていることを示唆しています。

★要するに市川中では入試問題にも授業にも進路選択にも本質的な学びや確固たる自分軸をつくっていく大事な本質が宿っているのです。同校の入試問題はたんなる選抜の道具ではないのです。自分に向かい合う機会でもあり、その自分が豊かになっていく未来があるかを見つける場でもあるのです。

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2026年中学入試(13)佼成学園 グローバル教育プログラムのデザイン力

★東京男子校の帰国生の応募者数の状況が少しずつ見えてきました。佼成学園が勢いよく、佼成学園と同じように、京華、高輪などグローバル教育のプログラムをしっかり実践しているところに帰国生が集まり始めています。これはある意味変わり目です。

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★今まで帰国生を多く集めていた学校は、ブランド校か東大を頂点とする大学進路指導が成功しているところが中心でした。

★ところが男子校は、大学進路指導はどこでも力を入れていて、それにプラスして生きた英語力と世界的視野を教室から出て学べるプログラムの実施に学校全体として取り組んでいるところが注目を浴びるようにもなってきたということでしょう。グローバル教育プログラムデザイン力が重視される時代。当然と言えば当然です。

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2025年12月23日 (火)

2026年中学入試(12)工学院 学びの桃源郷

★工学院大学附属中学の教頭田中歩先生に説明会の参加者数の状況など電話でお聞きしました。すると先週の土曜日の説明会は前年よりも多かったということです。そして本番に向け今年も手ごたえを感じているようでした。教頭に就任して2年目で、同校の教育の全貌をリフレクションし、それぞれの要素がつながるように教師と生徒と保護者とコミュニケーションを密にとってきた中で、工学院全体が活力あるメカニズムを作り上げているという自信とそこで教師と生徒が信頼関係を強くしていくたびに感動が生まれている核心・確信・革新をぶれない軸として抱いている感じが伝わってきて頼もしい教頭像が電話越しに見えました。

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★その時感じたことを書いてGooglenotebookLMでイメージにしてもらうと上記のような絵になりました。これはイメージ通りの絵だなと思います。

★歩先生が、うちのグローバル推進部長からも話を聞いてみてくださいと紹介されお話を伺うことにしました。気づくと4時間以上対話をしていました。それでも、続きはまたということになりました。

★歩先生と部長は10年以上共に英語科で活躍してきました。ケンブリッジやAレベル、PBL型授業(今ではIBLとして発展しています)開発、ラウンドスクエアにおける活動、帰国生入試や国際生入試の開発、数々の海外研修プログラム。そのお二人の歴史はとても4時間くらいでは語り尽くせないのは当然です。

★しかし、どのパーツの話にも必ず生徒がでてきます。海外研修に行っている生徒は、レポートを同校のブログに英語と日本語でアップしていますが、そういう主体性の実現を一つ一つつないでいくのです。もちろん、そこにはライティングやスピーキングなどのケンブリッジ流儀のフレームやメカニズムが背景に作用しています。

★学びの環境デザインに内包されたメカニズム。これが学校全体で共有されているのです。生徒中心主義の真骨頂です。しかし、これは目に見えるメカニズムではありません。また見える化しても部分的なものです。完全に教師と生徒の内包知として秘伝として継承されていくもののようです。

★カンボジアや多くの場でアントレプレナーが行われていますが、これはある企業と連携しているのですが、そのメンバーに卒業生がスタッフとして協力してくれています。ロンドンで帰国生のための説明会を開催すれば、イギリスの名門大学に進んだ部長の教え子がロンドンで教師として活躍しているのですが、その卒業生が駆けつけてサポートしてくれるわけです。

★内包的な秘伝が脈々と続いています。

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2025年12月22日 (月)

2026年中学入試(11)和洋九段女子 新しい女子校姿

★和洋九段女子の今年の帰国生入試の応募者数は4人。昨年1人でしたから、前年対比400%(日能研倍率速報)です。首都圏中学受験生に対する帰国生受験生数のシェアは3%弱ですから、件数は小さいですが、動きは大きいかもしれません。

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★和洋九段女子といえば、PBLの学びが学校全体に浸透しているというのは、周知の事実です。当然グローバルコースでも行われています。それはむしろ当たり前です。このことに帰国生がようやく気づき始めた可能性があります。

★新タイプ入試のPBL入試体験は、開催するといつもすぐに満席になります。しかし、参加者は国内生です。ですから、帰国生は自分たちもPBLの授業を受けるということに気づいていなかった可能性があります。

★それから、これは最も大事なことですが、和洋九段女子は、西洋と東洋の架け橋になる探究活動を行っているのです。このことは、意外と知られていません。欧米と日本の架け橋がダイバーシティーやグローバル教育だと思われていますが、実は日本文化は西洋と東洋の架け橋になるという新しい世界観が京都大学あたりで生まれています。

★和洋九段女子はその先駆けになっているのです。

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2026年中学入試(10)玉川聖学院 静かな帰国生人気 ICU・青山・立教・明治学院・東京女子への道が開かれている

★今年の玉川聖学院の帰国生入試の応募者数は5人。昨年1人だったから前年対比は500%(日能研倍率速報による)。首都圏中学受験生の3%が帰国生受験者のシェア。したがって、この増え方には何かがあると気にかけた方がよいでしょう。

★同校の教育は、いわばキリスト教的全人教育です。英語の教育環境は抜群です。ICT教育もやっています。何より探究の学びは20世紀末からロールモデル校として一世を風靡していて、その積み重ねが盤石です。

★月2回の礼拝は英語で行われるほどです。英語教育が行き届いているという象徴でもありますが、何よりキリスト教的全人教育というあらゆる教育がブドウの木のように有機的に循環している教育実践の象徴です。

★大学進学も生徒のそれぞれの人生への道を開いていますが、ICU・青山・立教・明治学院・東京女子などのミッション系大学への進学者数が半端ではないのです。

★この一貫した確固たる隣人愛をベースとした一人一人のかけがえのない価値を生み出す自分軸が育つ教育。社会に出たとき新しい人間力を発揮する女性が活躍しています。

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2025年12月21日 (日)

2026年中学入試(09)かえつ有明 帰国生に人気の理由が一味違う

★かえつ有明の帰国生入試1回と2回が実施され、総応募者数は250名で、前年対比106.8%。帰国生からの注目度は不動です。しかし、おもしろいのはその理由は、他の学校と少し違います。というのは、もちろん国際教育には力を注いでいるのですが、それが前面に出ているわけではないのです。

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★つまり、インターナショナルコースがあるからその学校に行きたいという欲求でかえつを選択するわけではないのです。学内に帰国生は30%もいるのに、インターコースのような特別なクラスを作っているわけではないのです。一般のクラスに帰国生は散らばります。そして帰国生の力に合わせた授業の時に分かれます。しかし、それは生徒それぞれの特徴に応じて指導があるのと同じ意味での学びの環境を整えているだけです。

★かえつ有明の中核的な教育は心理的安全×共感×対話にあります。入試問題は学校の顔です。つまりアドミッションポリシーにカリキュラムやグラデュエーションポリシーが反映しているわけですが、その象徴が3つの思考力入試です。対話と深い思考、協働性などを診る入試問題がデザインされています。

★かえつ有明の対話というのは、生徒同士、生徒と教師、教師同士、教師と保護者といういわば4つのコミュニティが有機的につながっています。そこで話されるのは、事務連絡のような話もあるでしょうが、中核的にはというか究極的には人間とは何かあるいは人間の心というものは何かという対話をしているのです。そして信頼関係を生み出しているのです。これがかえつ有明の人気の本当の理由でしょう。マインドフルネスなどもそれを象徴するイベントですね。

★最近の記事で、広報主任の内山先生のインタビュー記事(小学館)がありますから、そちらをご覧いただければ、かえつ有明の中核的な教育がなんであるかわかります。もっとも、多くの受験生は、実によくそのことについて知っているのですが。

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2025年12月20日 (土)

2026年中学入試(08)富士見丘の帰国生応募者数増加の理由

★昨夜、富士見丘中学高等学校の教頭佐藤一成先生と広報副部長・中2学年主任田中裕樹先生からお話をお聞きしました。今年も海外帰国生の応募者数は増加しているということです。海外からの注目度は本当に高いですね。また年内大学合格者数も昨年よりさらによいということでした。いずれこれらのデータはまとまり次第公開されるということですが、この上昇気流が湧き出ている理由はなんでしょうか?実は、同校の場合、それはまるで方程式のようにはっきりしています。お二人の先生の謙虚な姿勢と同時に自信があふれている言葉の力にそれは反映しています。

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★高2のグローバル演習はあまりにも有名ですね。台湾、マレーシア、グアムに分かれてフィールドワークをするのですが、このそれぞれ地球課題に取り組む探究というよりもはや研究は、高1の時から探究方法論であるデザイン思考のワークショップを行ったりして2年がかりの取り組みといっても過言ではないでしょう。このようなプログラムは、英語もふくめた高度な言語活動、データサイエンス、ICT、建学の精神を生徒一人一人が自分の生き方の判断の基準に転換させていく研修など実に複雑です。そして、年内合格者ばかりでなく一般入試や海外大学入試にも合格していくので基礎学力や教養の育成も緻密なカリキュラムが構築されています。

★これらが、シンプルに多次元方程式として教師や生徒の学びの言動を生み出しているのです。この多次元方程式ができるまでのある意味学校改革の努力の積み重ねは、お二人の自然体の自信となっているのでしょう。

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★もはやこれで安泰だろうと思っていたのですが、今年中2でガールズミートSTEMのプログラムをオイシックス、IBM、メルカリ、サイバーエージェントと連携して、企業が取り組んでいるテクノロジーを通して地球課題を解決しながら利益を生んでもいる経済システムを探究するプログラムを企画実施しました。いずれもグローバル企業ですから、英語も交えながらの連携だったようです。

★これは山田財団が女子校に理系教育のサポートとして始めたものようですが、財団がイメージしていた教育活動をはるかに超えたデザイン思考のプログラムを学年が主体的にデザインしていたことに驚きを与えたようです。中1のころから高校生のグローバル探究の活動を共有しています。毎年2月に集大成として全生徒に高2の生徒が研究成果とその苦労話をプレゼンします。

★中学時代は、5×2という自主探究の学びを続けていますから、このような共有は大いに役立つのですが、中2の段階で、高大連携ではなくグローバル企業との連携ですが、デザイン思考のプログラムの手法はそのまま活用できます。ルーブリックも生徒が活用しますから、中学高校と6年間一貫した基準をベースに有機的なデザイン思考やプロジェクト型の学びが展開しています。つまり富士見丘の学びの多次元方程式を富士見丘全体で共有しているのです。

★もちろん、もう一つの基準はCEFR基準です。こ基準をベースにC1英語(英検だと1級)を目指して4技能5領域のトータルな語学力を身に着けていきます。高3だとほぼ全員が2級以上は取得します。準1級以上の数も驚くほど多いのです。

★国内外の広い範囲でグローバルな教育環境が広がり、基礎学力と探究によるアカデミックな視点かつ教養という知恵が豊かに育っていく学校です。帰国生や国際生ばかりではなく国内生にも人気はあるのでは当然です。

★そして来年は、これらの教育活動に加え、各教科で生成AIを生徒も活用する授業を実施していくそうです。その準備を開始したと。これほど充実した教育活動であるのに、秒で変わる時代の変化にも対応する革新性!富士見丘の真骨頂です。

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2025年12月19日 (金)

2026年中学入試(07)文大杉並の帰国生応募者数高め安定の理由

★文大杉並の入試広報部長西田先生から、今年度の中学の帰国生入試の最終結果の連絡をいただきました。トータルで117名という大人数です。首都圏の中学受験生数の3%弱が帰国生人口ですから、この人数がいかに多いか、そして文大杉並が注目されているかがわかります。

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★2023年は109名、2024年は79名、2025年は141名(首都圏模試センター出願倍率速報による)ですから、多少昨年より減ったと言っても高め安定です。それはなぜでしょうか。

★それは言うまでもなく高校のDD(ダブルディグリー)コースに向けた全学的な文大杉並のグローバル環境が最高に魅力的だからです。帰国生にとって、海外の経験を日常の学園生活の中で継続できるのです。

★中学3年生になった時点で、準一級以上の生徒が20%弱、2級以上だと50%弱の生徒が取得しているのです。日本の大学入試では、英検2級あればかなりアドバンテージが高いというのは周知の事実ですが、それが中学の段階で約半分が到達できてしまうのです。

★しかもこれは年々右肩上がりになります。いずれ学校全体がほぼバイリンガル状態になるでしょう。

★したがって、帰国生入試の難度は当然爆上がりになるわけです。そうなると、当然、敬遠組もでてきますから、今回のように高め安定という状態が続くでしょう。

★そうそう、文大杉並の外国人教師の数は20人以上です。DDコースがあるので当然ですが、まさに海外の高校の環境があるわけです。ちなみに、東京の私立学校で20人以上の外国人教師がいる学校の割合はどのくらいかわかりますか?実はたったの2%です。

★帰国生に人気があるのは当然なのです!そして、その帰国生の活躍が、国内生のイノべーティブな活躍と相乗効果を生み出し、文大杉並の雰囲気はよくなる一方なのです。

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2026年中学入試(08)昭和女子大昭和・田園町学園・山脇の帰国生の選択志向性の共通点

★前回ご紹介した昭和女子大昭和の帰国生入試で帰国生が同校を選択する理由を探ってみました。実は同じような理由で、田園調布学園と山脇も帰国生入試の応募者数が増加している可能性があります。日能研の倍率速報によると、昭和女子大昭和は昨年対比147%、田園調布学園は130%、山脇は129%です。

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(図の写真は田園調布学園のサイトから)

★帰国生の新しい学校選択の志向性の5つの理由は、前回次のように述べました。

❶英語力を活かせるグローバルな学びの場
➋温かく受け入れてくれる人間関係
❸海外経験を誇りとして認めてもらえる文化
❹挑戦を支えてくれる教育環境
❺国内外のグローバル環境のデザインの浸透

★実はこの中の4番目が特に3校には共通しているのです。それは何かというと、「理系に向けての革新的な探究プログラムやプロジェクト」を構築しているということなのです。

★帰国生というとイメージ的には国際的な分野で活躍するキャリアとなりがちなのですが、サイエンスなどに教科書を超えたプログラムの企画運営を果たしているところが、3校の大きな特色なのです。

★しかも女子校として今までにないチャレンジです。

★このことの魅力に、帰国生が気づいた可能性があります。

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2026年中学入試(07)昭和女子大昭和 帰国生が選ぶ理由

★1月から埼玉、千葉と中学入試が始まる前に、すでに首都圏でも帰国生入試が始まっています。まだまだ全貌は見えませんが、日能研の倍率速報をみていて、帰国生の学校選びが変わってきたかもしれないと感じています。たとえば、昭和女子大学附属昭和の帰国生の応募者数は28名です。昨対比147%なのです。

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(写真は昭和女子大昭和のサイトから)

★帰国受験者数は、おそらく首都圏中学受験生の3%弱です。ですから、28名の数はとても貴重です。しかも昨年より爆上がりなわけです。同じようなことがほかの学校でも起きています。要するに、帰国生入試老舗の学校は微減という状況の中で、帰国生の中に新たな動きが生まれていると推察できます。テンプル大学やブリティッシュスクールもワンjキャンパス環境である昭和女子大昭和を選択する帰国生の求めることについて、同校はインタビューをしていますから、その動きが何であるか参考になります。

★具体的なことはサイトをご覧いただければと思います。ここでは、その帰国生の求めるものを次の5つにまとめてみました。

❶英語力を活かせるグローバルな学びの場

➋温かく受け入れてくれる人間関係

❸海外経験を誇りとして認めてもらえる文化

❹挑戦を支えてくれる教育環境

❺国内外のグローバル環境のデザインの浸透 

★この5つは帰国生自身の言葉をまとめたものですが、なるほど同校の教育を本当によく理解しているなあと感動しました。

★かつてのように、東大合格のために有利な学校をという帰国生は少なくなってきた可能性があります。というのも、日本の有名大学は英語が得意であれば、アドバンテージはそれだけで高いことは明らかですし、帰国生に限らず海外大学に合格できる環境は、上記のような5つの要素があれば、すでにあるからです。

★ですから、進路先を越えて、自分の才能や潜在的能力を開発して、未来の自分のキャリア形成ができる環境が整っている学校を賢く選択するという流れが生まれているのでしょう。

★そして、おそらくこの傾向は、2科4科入試や新タイプ入試を受験する一般中学受験生にも当てはまるのではないかと。3%弱の帰国生は、社会の変動に敏感です。そういう海外経験があるからです。国内だけにいると見えないものが見えます。

★帰国生の新たなトレンドを1月から本格化する中学受験が始まるまで、考えてみたいと思います。

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2025年12月18日 (木)

2026年中学入試(06)駒沢学園女子の中学生の応援メッセージ 元気と安心をもらえる

★東京・神奈川の中学入試が1か月と少し経つとやってきます。この時期中学受験生は緊張が走りますが、それを乗り越えるほど頑張っています。そして、各私立学校は、そんな受験生を元気づけ安心感をもってもらえるように、いろいろなメッセージを贈っています。駒沢学園女子の中学生の応援メッセージもその一つです。

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★心温まる微笑ましい生徒自身によるプロデュースです。このような主体的な活動ができるように先生方が陽だまりの眼差しで日々教育に取り組んでいることも伝わってきます。

★また、アウトプット型の教育が広がっていることも了解できます。

★埼玉、千葉と1月からは入試が始まります。インフルエンザも猛威を振るっていますが、体調を整えながら諦めずに立ち臨んでほしいと思います。がんばれ、中学受験生!

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2025年12月16日 (火)

縄文式土器と弥生式土器と生成AI

★昨日聖パウロ学園の情報と国語の教諭高橋先生と生成AIの効率性だけではなく、本質を回復する可能性について立ち話をしました。生成AIに限らず、道具の実用性と意味性は古典的な問題ですが、この背景には、機械などの道具が、近代社会の影の増幅装置という側面ばかりが強調されてきた経緯があります。生成AIもその延長上で語られることが多いのですが、高橋先生は生徒と美学的な使い方をしているので、このようなゴーレム的な発想は生徒と共有していません。

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★家路に向かう電車の中で、生成AIに問いかけながら、最終的に縄文式土器と弥生式土器の違いのアナロジーを生成AIに活用するとどうなるのか問うてみました。ちょこちょこ対話しながら、最終的には、生成AIは、次のような文章にまとめてきました。それをGooglenotebookLMに一枚の絵にしてもらったのが上記の図です。文章もそうですが、生成AIはどうしてもわかりやすい二項対立の構図にしてきます。

「縄文式土器と弥生式土器の違いは、日本文明の進歩を象徴しています。縄文式土器は厚手で装飾性が高く、狩猟採集社会の精神性や自然との交感を体現した「本質的存在」でした。一方、弥生式土器は薄手で高温焼成され、壺や甕など用途別に分化し、食料の保存や調理に適した「効率性」を追求しました。これにより農耕社会が成立し、人口増加や定住化、階層社会の形成が進み、文明の基盤が整えられました。つまり、縄文土器は文化の象徴としての存在意義を示し、弥生土器は効率的な生産と分配を可能にする道具として文明を前進させたのです。このアナロジーを現代に重ねると、生成AIは弥生土器のように効率性を高める技術であると同時に、縄文的な人間の本来性を回復する可能性を秘めています。具体的には、①失われた自然観や伝統知を再構築し人々に提示する、②人間と協働して詩や物語など共同創造を促す、③効率化だけでなく精神性や意味を問い直す場を提供する、といった方法です。したがって生成AIは、効率と本質を統合し、文化と文明を同時に進歩させる新しい「器」として位置づけられるのです。」 

★正ー反ー合というダイアローグ(弁証法)的な流れを作ってきますが、どのように融合するのかどうも言葉だけにおわりがちです。プロンプトをどのようにせっていすべきか?それとも、そこは人間が考えるということなのか?

★いずれにしても、今度また高橋先生と立ち話をしなくてはと。。。

★ああ、それから、縄文文化が本質的という設定はもう少し考えなくてはと思うのですが。。。

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社会的ラベリングを拡散するゴーレム効果を払拭する心理的安全な環境をデザインする教師はたくさんいる

★次の文章をGooglenotebookLMで一枚の絵にしてもらいました。漢字が若干変なところもありますが、イメージはこんな感じでかなと。

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★今日というか久しい間そうなのですが、教師の仕事や価値を貶める言説が横行しています。そんなことを広める評論家、学者、メディアなどが、あたかもすべての教師がそうであるかのような社会ラベリングをしているのに、そのことに気づかないで批判という名の非難をしているのによく出くわします。

★ありもしない学校改革を挑発しているのか、それとも自己のルサンチマンの責任転嫁でもしようというのでしょうか。そんなゴーレム効果の連鎖を拡大し、そこに子供を追い詰めようとでもいうのでしょうか。

★教師に限らず、そんな社会的ラベリングをする人は、多くの人を貶めます。なぜそんなゴーレム社会を捏造しようというのかわかりませんが、世の中、ピグマリオンよりゴーレムの方が好きなようです。

★したがって、むしろ教師の多くは、そのようなゴーレム社会の汚染を払拭するために心理的安全な環境をデザインしているのです。ある意味、ヒーローアカデミアなのです。

★このような教師の仕事や価値をリスペクトできるメディアが必要です。

★そう言うと、ネガティブな側面を見ないようにしているのはいかががなものかという方も結構いますよね。

★そうではないのです。人権を遵守するのは大前提なのです。だから心理的安全なのです。ゴーレム社会は、人権の侵害につながる場合多いかもしれませんよ。ハラスメントが生まれる寸前が社会的ラベリング行為なのですから。

★人権を守る毅然とした構えこそポジティブな側面にきちんと光をあてます。そこに希望があるのです。

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2025年12月15日 (月)

京華女子 本質から学ぶシステムを土台に「国際」と「教養」の教育

京華女子の教務主任二俣先生、進路指導部主任高岡先生から、同校の本質を土台にしている教育についてお話をお聞きしました。本質というと精神的な側面が強いと思われるかもしれませんが、そのコアの精神を実践に浸透していく緻密なシステムができているということです。このことは、一般的にはなかなか実現できないことですから、驚愕でした。マインドとシステムが循環しているというのは、日本の教育において稀有なことなのです。

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★そして、新校舎になってから、京華学園は、ワンキャンパスとして、男子校の京華も商業の京華も女子と同じく正門やグラウンドなどを共有しているということです。授業そのものは完全に女子と男子は別ですが、英検対策のときなど女子と男子が同じ講座に出ることもあるそうです。

★男女別学の新しい文化が生まれているということでしょう。

★女子校の特色は、「国際」と「教養」の教育が、本質を土台にしているということもあり、この新しいワンキャンパスや男女別学の新しい文化も「国際」教育を支えるものの見方・考え方として教養教育の環境になるようです。

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★京華女子の「国際」の意味は、その根っこに世界に通じる「教養」という異文化を理解する力や共感する力、何より批判的思考という自分の軸を世界に通用する確固たるものとして磨き上げながら、複雑な世界の情報を鵜吞みにせず、自分の眼と足で判断できる力を身につけることが土台にあるということです。

★では、その教養を磨き上げるにはどうしたらよいのか?それは「対話」を大切にするということです。ですから、同校の授業ではどの科目もどの教育活動でも「対話」が広がるデザインがされているということです。

★そして、その「対話」のシステムは、各教科単元などコンテンツは違っても、共通構造としての思考力・判断力・表現力を回転させるルーブリックが出来上がっています。

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★このルーブリックは教師のみならず、生徒自身も自分に向かい合い内省するときに活用しているということです。建学の精神とそれを実現する複眼的な視点が共有されているのです。

★このルーブリックをベースに自分の学びや進路を内省していくことで、自分が未来に向かっていまここで何をするるのか明らかにしていけるのです。

★京華女子が、年々人気も高まり、進路実績も右肩上がりなのは、このマインドとシステムが回転しているからですが、大切なことは、1学年の定員が60名という少人数教育だからこそ可能だということなのです。

★ルーブリックという発想は、そもそも一クラスの人数が30人以下の海外の教育システムの中で生まれています。そして少人数教育だからこそそれは効果的であることは実証されているのです。従来の5段階や偏差値という総括的評価は、大人数の評価をするのには効果的であったわけです。ただ、教養のような正解のない探索し続けるような力を診断すつことはもともと目的ではなかったのす。ところが、今後は、教養が重要になってきます。そこを見るには少人数教育できめ細かくルーブリックで教師と生徒が共に内省しながら資質能力を豊かにしていく環境デザインが必要になってきます。

★そのような豊かな教育は一朝一夕にはできません。それなのに京華女子は、すでにできているのです。ずいぶん前から積み上げてきた結果であり、それがゆえに、今や未来の新しい女子校の教育の先駆けとなっているのでしょう。

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2025年12月14日 (日)

問いとPBLをデザインしている学校を探そう

★GooglenotebookLMに次の文章を絵にしてもらいました。「問いは大切です。しかし問いは作ろうとしてもなかなかうまくいきません。問いは、私たちが壁にぶつかったときそれを破壊的に創造しようというとき多角的な問いが生まれてきます。しかし、同時にその多様な問いに答える複雑な事態が、その壁を生み出しているシステムを見えなくしています。もともとそこは見えない壁になっているから見える壁に問いを集中させるということも起きているのかもしれません。問いは大切です。目の前の壁とその壁を作りだしているシステムを見えなくしている見えない壁の両方を破壊的創造する多角的な問いが生まれてくるような学びこそPBLでしょう。」

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★シュンペーターのアイデアである「創造的破壊」は、今年のノーベル経済学賞によって現代化されたくらい、本質的な人間の行為なのかもしれません。PBLを通して、上記の図のような問いを生み出し創造的破壊を行っている学校があります。

★今後の大学進路指導も、この路線がマッチングしていく機会が増えていきますが、個人の人生を歩んでいく際の生き方の重要な指針を生み出し続けていく道でもあります。

★学校選択とは、目の前の壁は、大学受験かもしれませんが、この制度を生み出しているシステムのメリットとデメリットを問い返し、そのシステムに動揺せずに、自分の思いや考え、判断の基準をつくっていく学びが、結局ポイントです。このような学校は年々増えています。探しやすいと思います。

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2025年12月12日 (金)

梶谷真司先生の哲学対話(02)哲学対話が生み出すこと

★梶谷先生のお話は、柔剛一体のスピリットがあります。哲学対話を無理やり学校や社会に浸透させる行動はとりません。運動体という無理強いはしないけれど、ムーブメントに自然になっていくことは歓迎ということです。しかし、哲学対話が成立する諸条件を学校や社会が満たしているのではなく、むしろ真逆の条件がそろっているわけです。

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★その真逆の条件の文化の中で哲学対話をするのですから、嵐が起こります。この嵐が哲学対話を受け入れる条件をつくるきっかを創る人を組織の中に20%でも生み出せばかなりの可能性が開かれるということのようです。

★しかし、その状況を創る具体的な困難はちょっとリアルなので、ここでは控えましょう。いずれにしてもリアルな対話が原点なので、梶原先生と先生と一緒に仕事をしている研究員やお仲間と全国で対話の会を開いているというのです。

★それが新しい文化を生み、岩波の「思想」で特集が組まれるようにまでなっています。

★私は「哲学」というイメージが現状の学校ではネガティブなイメージがあるから、エッセンスをPBLなどのディスカッションに埋め込んでいく戦術だと語ったら、あえて哲学対話と表現することで、たんなんるおしゃべりには終わらない可能性があるから、むしろポジティブな意味での「哲学」というスピリットを共有する意味でも哲学対話を取り入れていることを表明した方がよいとアドバイスをうけました。

★PBL自体そのルーツがデューイだとしたら、プラグマティックな哲学から生まれているので、あえて哲学を表明しなくてもいいのではないかと思っていた私ですが、なるほどなと刺激を受けました。

★ただ、学校文化との不整合を引き起こし、学校文化が変わっていく方法論を私自身はおそらくとらないでしょう。ただ、強力な意志を哲学対話という哲学に感じました。

★不整合の中で自由に問いを生み出すのか?不整合なものを生み出す目に見えない壁を見つける問いを生み出すのか?どちらも同じ道なのか、どこかで交差するのか?それとも相いれないのか?

★仲間と今後対話しながら、道を選択するか作り直していくのか?次のステージに進むときがきたことだけは確かだと確信しました。

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梶谷真司先生の哲学対話(01)否定がつくる壁を壊していく

★今年の日本私学教育研究所主催の「イノベーション教育(グローバル・ICT活用)研究部会」2日目は、梶谷真司先生(東京大学)の講演とワークショップ。

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★まだ始まったばかりですが、世の中が作っている「目に見えない壁」をどんどんぶち破っていきます。

★たとえば、「問い」は大事なのですが、いい問いとかそうでない問いとか分けると、いい問いとはなにかということを気にして問いを話さなくなる、それが続くと結局自分は何を考えているかわからなくなるというのです。

★ここには、いい問いとかそうない問いとかを判断する実は相手を否定する目に見えない壁があるということを語っているように感じました。

★生まれると親に否定され、学校に行くと教師に否定され、社会に出るとやはり否定され、その「それは違うよ」という否定の連続が、考えることをしなくなると。たしかにそうですね。

★では、なんでも共感すればよいかというと、それも共感するしないという判断が加わる。だから、受けとめるとか人の話をよく聞くということのほうが大事なのだ。否定とは何か?結構難しい。

★それから哲学対話は、だれでもできるのだと。うちの生徒は偏差値が低いから哲学対話はうまくいかないと言われることも多いが、やってみるとうまくいく。むしろふだん自分の考えや気持ちを実はあまり受け止められていないから、哲学対話は盛り上がるのだと。

★知識は哲学対話をとめてしまう。その知識がわからないと対話の輪に入れない。一般に社会の周縁にいる人々の方が、今まで聞いてもらえなかった疑問がたくさんあるから、哲学対話はうまくいくのだと。

★さりげない日常用語で語りながら、いろいろな目に見えない壁を壊していく講義。おもしろい。まだまだ続きます。

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2025年12月11日 (木)

問いは見えない壁を見つけたとき生まれてくる そんな環境デザインしている学校があるのだけれど、何せ見えないのだ。。。。

★私たちはそれぞれ多様な壁に囲まれている。一つひとつ丁寧に立ち臨んでも、最初は見える壁ばかりで、きりがない。あるとき、友人と話していると自分が見えていない壁の目の前にいることに気づく。その壁はなかなか厄介。しかもその壁を破壊するのは結構難関だったりする。一瞬友人と途方に暮れる。本に、人に、旅に学ぶって、結局対話の視角を多方面からということなのだろう。対話を続けるとは、そういうことなのかなと。

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★DenotationとConnotationとの相互作用をGooglenotebookLMに描いてもらったけれど、Connotationは暗示的なものではるけれど、むしろ内的メカニズムという意味で使いたいなあと。

★それを見えるシステムにするといろいろ動き出すのだが、それが難しい。つまりそこに見えない壁があるのだ。Denotation的言説で語られる中で、その接点をもっていないConnotation的な言葉では、その見えない壁を破壊できない。

★対話を続けて、その接点。つまり壁にあいている穴を探すのだが、確率は高くない。

★途方に暮れて諦めようかと思うときは何度もあるが、振り返ると、その接点探し、接点づくりの協力者がいるのに気づく。再び探そうなけれ穴をあけようかと。果たして意味があるのか?果たしてどのようなアプローチで?果たして組み立てるデザインはどうすればよいのか?果たしてこれで世界は幸せになれるのか?

★見えない壁を発見する対話の連続と広がりと深さ。発見するまでの多様な問いと発見した壁を壊すための多様な問いと壊した後に創造する多様な問いと。どの問いが効果的か?問いは大切だとよく言われる。

★問いを持っていない人間なんているのだろうか?問いは大切だという場合、効果的な問いの作り方が大事だという含みがあって、怪しげだ。だって、問いの塊が人間の存在そのもので、その塊の中の一つを取り出して問いは大切だというのは、人間の存在を見えなくする見えない壁なのだから。この壁もまた破壊しなければならないとは。。。

★思考停止という言葉もよく語られる。問題は、生きている限り思考停止などしないのに、思考停止しているように見えるのはなぜか?ということ。おそらくDenotationとConnotationを往還できない見えない壁を意識していないとき、思考停止しているように見えるのだろう。Denotation側だけにいるとどこか思考が浅く見える。Connotation側だけにいると、何をやりたいのかわからないという意味で思考停止しているように見える。DとCをつなぐメカニズムは何か?

★このDとCをつなぐメカニズムをつなぐ学びの環境をデザインしている学校がある。すばらしい。だが、そこがどこだと言ったところで、謎?と思われるだけなので、多くの人が宝探しの旅にでてくれることを祈るだけだ。

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2025年12月 7日 (日)

善い<I as WE>を生み出す<私たち>がいる組織を

★学校改革や組織改革などは確かに必要だと思いますが、その大前提は「信頼」です。「私が~私が~」視点で語るのは、あくまで「信頼」が張り巡らされているときに限ります。「信頼」があるときの「私」は<I as WE>だからです。そのような「私が~」と語るとき、実は「私たちが~」と語っているように聞こえるのです。

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★ところが、「信頼」がないとき、「私が~」と語るとき「自分が~自分が~」と聞こえるのです。その声は実は子供たちに対してはマルトリートメントになっているケースもあります。同僚や大人に対してはグレーゾーンハラスメントになっている場合があります。そして、そのようなマルトリートメントやグレーゾーンハラスメントの言動は、「信頼」を徐々に砕いていきます。

★そして、そのようなマルトリートメントやグレーゾーンハラスメントが許されている組織は、悪いWEを作り出してしまいます。マルトリートメントやグレーゾーンハラスメントは、まだ法的対応ができない状況です。ですが度重なれば、事件につながっていきます。その一歩手前の組織の雰囲気の中で、仕事をしたり学びをするのは、辛いはずですが、まだ法的対応ができない状態になっているだけなのだという認識が組織の中で共有されていないのが本当のところなのです。誰かは小さな痛みを抱き続けているのですが、それはまるでかすり傷のように自然治癒がなされるものだぐらいにしか思われていないわけですね。

★実は、メディアの中には、ある一定の職業に対し、グレーゾーンハラスメントの発信を続けているものもあります。虚偽による風評被害を生み出すわけではないのですが、その仕事をしている人たちを鬱屈させる言葉が発信されます。結果的に風評被害に近い影響を与えているのですが、それに気づかない、いやむしろいいことを言っているとか彼らのために言っているのだと思い込んでいるの可能性があります。ちょっと恐ろしい社会現象にまでなっているかもしれません。

★その悪いWEを善いWEに転換させるには、私は信頼している私たちであるという善い<I as WE>を生み出す言動を共有していく必要があります。

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★その言動は自然と生まれるという雰囲気では最近ではなさそうです。そのような言動になっているかリフレクションしたりケアし合う必要が今なのかもしれません。善き<I as WE>を作るコトは、学びや組織マネジメントの最初に行われるだけではなく、常に問い続けられていくことなのでしょう。その学びの改善や組織の改善、学校改革が善き<I as WE>を生み出し、信頼を広げ、新しい価値を共創造しているのかと。。。

※<I as WE>という発想は京都大学の出口康夫教授の哲学にヒントを得ていますが、出口教授が考えているような深さはないので、同じものだとは思わないでください。

★いずれにしても、善き<I as WE>を生み出すPBLを共に創っていく先生方と悪い<I as WE>を生み出さないようにいっしょにがんばっていきたいと思います。その言動を展開していける組織や学校はとても柔剛一体のマインドとテクノロジーに満ちていると思います。

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2025年12月 6日 (土)

文大杉並の新コースの入試のための「プロジェクト審査練習会」が開催

★2026年4月、文大杉並は高等学校に新コースを開設します。「イノベーションリーダーズコース」がそれです。そのコースに入学するための入試は、「プロジェクトのアクション」を通して、思考力や協働力、ポートフォリオを通しての潜在的才能などを審査する全く新しい入試です。

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★12月6日(土)、その「プロジェクト審査練習会」が行われました。いくつかの外部団体の方々といっしょに見学できる機会を頂きました。公開できる範囲でですが、ここに書き留めたいと思います。あくまで、私の感じたことなので、事実は、同校の入試要項などで確かめてください。

★受験予定の生徒は2時間半にわたりプロジェクトに参加する会でした。入試ですから、一般には緊張するものですが、先生方は、プロジェクトの大前提として、心理的安全の雰囲気をうまくデザインしていました。そのデザインは、審査する先生と生徒のコミュニケーションの行為デザインです。

★入試なわけですから、距離が近づきすぎては困りますが、生徒には、入学したら、このような信頼関係を作りながら共にプロジェクトを展開していけるなあと予感させるようなコミュニケーションデザインでした。

★この審査会の日にくるまで、新コースの意味については共有する機会が設けられてきたようでしたから、アイスブレイクのときも、個人で考える行為に没入するときも、対話をするときも、自然体(のようにみえた、本当は緊張していたでしょうが)で傾聴したり表現したりしていました。

★一般の筆記試験では、こんなにハイパフォーマンスで思考に立ち臨み、ディスカッションに声を響かせ、共感に心を震わせ、新しい考えを作り出す3時間余りも集中する経験はできないでしょう。

★イノベーションを生み出すシミュレーションあるいはモデル体験がすでにこのプロジェクト審査練習会から始まっているとは!かなり驚きました。

★プロジェクトは大きく分けて2つの問いが出されました。どちらもトピクは同じですが、いうまでもなく、そのトピクについて身近な範囲で思いめぐらす具体的な問いから、そのトピクを社会の状態を変えるような抽象的なレベルでありながら、なおかつ具体的な構想をデザインする問いでした。

★イノベーションリーダーズコースのマインドと何を社会実装としてDE-SIGNするのか実感できるプロジェクト審査練習会だったと思います。

★文大杉並は、同コースを開設するにあたり、BSICE(文化杉並教育イノベーションセンター)を設置しています。教育現場に根差しながら、授業のプログラム、カリキュラムデザイン、キャンパスのデザインなどを外部の団体や専門家と協働しながら事業を行っていきます。この事業のモデルづくりの役割もイノベーションリーダーズコースはあります。

★ある意味、日本の教育を善い方向に変えていくイノベーションリーダーを生み出すロールモデル機関としてのミッションを担います。

★受験する生徒は、そのミッションに共感して入試に挑みますから、意識や士気が高い生徒が集結しています。そのような生徒がこんなにたくさんいるとは!この高校入試自体、イノベーションの成果でしょう。画期的です。

★とはいえ、授業ではなく、入試ですから、選抜の基準があります。審査する先生方は、ブレスト―ダイアログ―ディスカッション―プレゼンを見守りつつ審査をしていましたから、最後に講評を語りました。

★受験する生徒は。プレゼンを互いに見ることができたし、講評という形で、審査の基準を聴くことができました。したがって、生徒は内面でリフレクションがぐるぐる回っているようでした。

★この新入試やBSICEの仕掛け人である染谷先生(理事長補佐)は、最後に柔らかく同時に本番はもっと期待しているよとエールを送りました。入試本番まで、今回の練習を通して自分の思考方法や対話の方法、何より自分がというより他者の発想を引き出すコミュニケーションができるのかまで必要とされているということを聴き、磨きをかける日々を過ごすことを改めて決意しているようでした。

★イノベーションの力だけではなく、あくまでイノベーションリーダーズの資質能力まで期待されているのです。もちろん、その資質能力は、入学後さらに高めていくのですが、まずは潜在的な可能性をパフォーマンスする必要があるのです。

★心理的安全を楽しみながらも、コンフォートゾーンからチャレンジゾーン、さらにクリエイティブゾーンに自分と仲間がどうやって跳躍できるのか。柔剛一体のマインドと実装スキル。そこまで求められ、それに応える意欲のある生徒がこんなに集まってくるとは日本の未来に希望があるなと感じ入りました。

 

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2025年12月 2日 (火)

工学院の中1のIBL 種を蒔く時期

★昨日、工学院大学附属中学の1年生のIBL授業研究会がありました。同校教頭の田中歩先生の授業です。東京私立中高協会の私学教育研究所の研修委員の一つフュージョン教育研究会のプロジェクトリーダーである田中歩先生が、同研究会の先生方と次期学習指導要領の実施前に、生成AIをパートナーにして生徒が活用する授業の在り方を研究する研究会です。ちょうど、中1が1年間学んできたIBLの学びのまとめの授業ということでした。

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★まとめは何をするのかと思いましたら、リフレクション授業でした。しかも学年全体で学んできた教科や体験学習などを全部結び付ける授業だったのです。どんな「はてな?」を身近な生活と八王子という地域を結び付けた経験から見つけたのかを思いめぐらしていました。おもしろいのは、ICT環境が整っている工学院ですが、最初は今までのトピックの写真を見ながら何を思ったか今思うのか問答が続き、オープンマインドができた段階で、一枚のA4の白紙が配布され、そこに自分が発見したはてな?を書き込む個人で考える時間が設けられました。

★中1の段階では、身近な自分の生活と八王子プロジェクトが中心です。中2になると神戸や鎌倉など、他の自治体でも学びます。政治、経済、産業、医療ケアなど総合的に学ぶのは、八王子プロジェクトと同じです。中3になったら、オーストラリアなどに全員が行きます。文献を調べたり、地域の人や大学の先生などに学び、日常と違うフィールドにでかけるのは同じです。

★しかし、はてな?は経験が拡張されるとまた広がっていくのだから、まだ経験はしていないけれど。経験が広がっていくにしたがって、どんなはてな?が発見できるのか予想するという思考が行われていきました。本に学び、人に学び、旅に学ぶ。学びの基本です。

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★そして、チームに分かれ、ピアラーニングにシフトしました。それぞれどんな「はてな?」を見つけたのか共有する時間です。おもしろかったのは、チームは自分たちでつくりなさいということで、自然にチームができたことです。とにかく田中歩先生は、細かい指示はださないのです。問いもふわっとした問いで、条件は自分たちで考えるという習慣が1年間でできているようでした。

★対話は当たり前で、話し合いながら自分の思いや考えを豊かにしていく。自分の思いや考えなのだけれど、そこには仲間や外で出会った方々の思いや考えかたも融合されています。I as WEとして自分が豊かになっていく実感が大切にされています。

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★そして、最終的には、パソコンに自分の「はてな?」を打ち込んでいきます。Googleクラスルームを活用しているので、すべて田中歩先生は見守ることができます。場合によっては、生徒同士も共有できます。その最中に、田中先生は、自分の「はてな?」や行動の信頼性や効果はどうやって測るのか?問いを挿入しました。いわゆる定期テストのようなスコアではないよなあと生徒はふと立ち止まります。少し意見がでました。

★歩先生は、それを拾って、みんなの考え方はルーブリックという考え方に相当すると投げかけました。工学院はすでにそれを使っているけれど、中1の段階では、それを教え込むことはしないから、まずルーブリックとは何か調べてごらんと。生徒は、パソコンに打ち込みながらも、ちょっとGeminiで調べながら、ああでもないこうでもないと対話しながら、また作業に向かっていました。

★生成AIはプロンプトという実は問いを投げかける作業です。I as WEという自己が、常に問い続けている環境を仕掛けているのが田中歩先生のIBLでした。しかも学年全体の教育活動の体験を丸ごと「省察」する次元のリフレクションを行っていたのです。

★歩先生は、この段階では、とにかくたくさん種を蒔くことですと語りました。棚は小さいけれど、葉や花や果実を生み出す潜在力があるわけで、種が芽吹き、葉を広げ、開花し、実るのは、結局環境と種自身のエネルギーの相互関係性が最適化されるからだということでした。

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