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2025年11月

2025年11月30日 (日)

2026年中学入試(05)八雲学園 アイビー大学ロードマップシステム構築

★先日、八雲学園の副校長近藤隆平先生と毎年ラウンドスクエア国際会議に生徒と参加しているボッサム先生のお話を伺いました。八雲学園と言えば、昨年、海外大学30合格し、そのうち世界大学ランキング100位以内21人という実績が出て一躍注目されている学校です。そして、今年パブリックアイビー大学の一つペンシルバニア州立大学にはやくも合格しました。80周年に共学化し、C1英語を目指し海外大学にも合格できるグローバルリーダーを育成してきました。そして、アイビー大学ロードマップシステムが完成したのです。

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★今や帰国生からも注目されていますが、一般の中学受験生でもアイビー系列の大学に合格できるロ-マップシステムが上記のようにできているのです。

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★そして、このロードマップを進むにあたり、知性と感性とポジティブシンキングを培う教育の総合力であるリベラルアーツ教育の拡充にチャレンジしてきました。

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★さらに、このリベラルアーツとロードマップの道程で生徒が学ぶ脳内運動は、上記のようなダブル5Eの運動が起こるようにデザインされています。

★ここまでダイナミックでかつ緻密なグローバル教育のデザインが構築されてきたとは圧巻です。とても複雑ですから、私ではまとめきれません。じっくり動画をお聞きください。

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2025年11月29日 (土)

教育言説から抜け出る目で学校選択をすることもときには大切

★教育言説。学校や教育関係者が使う教育の中だけで通用する言葉があります。教育関係者や学校では、疑いもなく使われています。たとえば、絶対評価なんて言葉は、学校や教育領域の外で使われているとしたら、いろいろな問題が起こるでしょう。「絶対」という意味が学校と社会では少し違いますよね。相対評価にしろ絶対評価にしろ、生徒自身が自らを評価し、絶望を希望にかえる努力を抑えてしまう場合もあります。評価とはもちろん改善のためのモニタリングの基準ではありますが、それはそこで終わるのが目的ではないのです。

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★自己効用感とか自己肯定感とかも心理学の言説だったのでしょうが、今では教育言説です。疑いもなく、効用感や肯定感を上げようとします。もちろん大切なことです。しかし、その効用感や肯定感は、相対評価や絶対評価からはなかなか生まれてこないのです。学校評価は、基本客観的と言われています。この客観的という言葉も実は教育や学校で使われるとき、言説になっています。学校教育において、科学的客観性の高いものは意外と少ないのです。本来は質的評価しかできないのに、定量的に評価し、数字になるから客観的だとなりがちです。

★自分はいったい何者なのかを判断するのは、論理的合理的思考だけではないのです。善き雰囲気や審美観的感情や多くの人が国を越えて持っている倫理観みたいな言語化が難しいものもあります。

★それらを感じるには、自分一人だけではできないし、誰かが作った基準に従って自分を知ることもできないはずなのです。ですからできないのだから、それを謙虚に受け入れ、仲間と自然と歴史と本を通して先人と・・・・・対話をしながら自分知っていくのです。主体的というとき、主語は「私が」でしょう。でも本当は「私たちが」という感じかもしれません。

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★リフレクションをしながら、そこは教育言説を改めて問い返している先生方がいる学校があります。そこで学ぶことはもしかしたらハッピーかもしれません。リフレクションすら今や教育言説です。ですから、デカルトのようにあらゆることを懐疑し探究し続ける「省察(meditation)」をしている教師がいる学校を探してみる余裕も必要かもしれません。

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★国語、英語、探究も今や教育言説です。国語は教科書を学ぶことではないし、英語は英検の級を上げるためのものでもないでしょう。探究もスタートアップするためのものではないでしょう。

★もちろん。それはそれで問題ないのですが。言語の意味や探究の意味を生徒自身が自ら複雑な人間の心情や思考、自然のシステムと社会のシステムの複雑な絡み合いなどを紐解いていくスキルやツールを自分の身体に適合させていく環境もまた必要でしょう。未来はもっと複雑になるのです。しかし、一方でその本質を洞察するシンプルな自分の基準やスキル、判断の経験を積み上げていくことなく、外部のツールや情報、テクノロジー、システムに動かされていく疑似アクティブな主体性を行っても、そしてそれを相対評価や絶対評価をしても、その生徒の内側に身体に何が蓄積されるのでしょう。

★教育で使われる言葉が、生徒自身の魂を豊かにしていく糧であるか、生徒自身の魂を小さく押し込めてしまう教育言説になっているのか、見極めることはおそらく重要です。

★あらゆる問題は、教育言説に従う環境で起こっている可能性があるのです。

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AI時代の判断力

★AI時代は、AIにすべて任せるか、AIをサポートの道具として使うのか見極める判断が大切だと言われています。AIと人間が協働して取り組むと、実はAIだけでやるより成果などが劣ってしまうという場合もあるようです。まるで、大人が子供の学びに介入すると思わしくなくなるというのと似ていますね。

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★そこで、そのように見極める「判断」を人間がしていくことが重要になるというわけです。では、その判断はどうやってできるのか?

★基本は、大所高所から眺め、具体的な状況を見定め、近視眼的にならず展望を持ちながらも、いまここで、最優先に状況を改善する道を選択判断する。

★問題は、個人の判断は、主観とその主観が集めた限定的な情報を客観的に扱い、論理的合理的に考えながら、倫理的な価値や審美観的な価値という感情をどうマネジメントするのかも合わせて判断する必要があります。

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★しかし、一方で、社会という組織もまた論理的合理的思考をするし、社会で広がる感情にも対応していく。組織によって主観的な要素もあるし、個人以上に収集集積した客観情報もあります。SNS上では、それがかなかうまくいかないで炎上することがあるわけです。これは、個人の判断と社会の判断がつながることによって、平衡関係を生み出すことがなかなか難しいことを象徴しています。

★なんとか平衡関係をつくりたいのです。そのためには、個人と社会=主観と客観という図式を調整する必要がありそうです。つまり、この思考と感情、主観と客観の座標を個人も組織も持ち、両者が個人と社会という軸と思考と感情という軸で構成する座標系を作り出すと考えてみてはどうかというわけです。これは、京大の出口康夫教授の「WEターン」という発想から考えてみたことです。

★このI as WEという考え方は、アリストテレスが人間は社会的存在だといったときから、ずっとあったのですが、ポスト資本主義にあっては、WEがぬけおちたIというイメージが広がったかもしれません。それにWEのリアルな範囲や関係性が、ギリシア時代、中世、近世、近代、現代ではずいぶん変わりました。

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★立ち戻ってこの座標で考えてみる価値はあるかなと考えています。その座標系でどのような関数方程式を創造するのか。これが最終的な判断方程式になるのではと。判断はIという個人が行っているようでもその背景にはWE(人間だけではなく自然も含める)と相互に関係しあっている。WEとしてのIが判断するメカニズムを構築することが複雑で予測不能なAI時代には必要になりますが、どうやって方程式を生み出すのか?結局省察(デカルトいう意味でのmeditation)付き対話を続けることで。

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2025年11月28日 (金)

2026年中学入試(05)聖学院の教科授業が凄い!

★聖学院と言えば、グローバル×探究教育で有名です。思考力入試など受験生にとってはその象徴でしょう。しかし、聖学院の教育の土台は普段の教科授業です。この教科授業が凄まじいのです。基礎学力の定着のみならず才能が教科授業の中でも開花しているのです。教頭の玉木聖一先生(教育統括部長・理科教諭)によれば、聖学院の先生方はICEモデルを共有してそれぞれの持ち味を生かした授業を行っているというのです。

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★そして、一般的に多くの学校では、教科の授業というと知識と論理をがっちり行うにとどまるのですが、聖学院の場合は、価値を生み出す創造的思考に拡充するExtensionsも意識して行うということです。

★実際、先日1限目と2限目の授業を見学させていただき、どの教科でもどの学年でもそれが貫徹していました。このベースがあるからこそグローバルな視野を拡張できるし、探究的没入ができるのだと実感しました。

★そして驚いたのは、英語と国語の言語的メカニズムが共通しているということでした。ランゲージアーツとしての英語と国語なのだと。知識はまるでGoogleナレッジグラフのような一つの言葉の背景ネットワークを広げていくし、それを論理的に結合して文章として表現しているのです。

★英語の授業でスピーチというのはイメージしやすいですが、国語でも日本語できっちりスピーチを行っているのです。このスピーチのテキストは自分で作るのですが、その構造はトゥールミンモデルに符合していました。

★そしてExtensionsでは、哲学的思考が展開していました。一般に現代文だどは2項対立が整理されればそれでよいのですが、そこから先第三の発想を生み出すワクワクするような授業だったのです。

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★各教科の専門性は違っていますが、知識と論理と創造と三位一体の魂は共通しています。さすがはキリスト教のロゴスがベースの学校です。

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2026年中学入試(04)2030年にさらに輝かしくなる駒女

★2030年に社会はがらりと変わり、教育も大きくっ変わっています。予想ではなく、日々着実に変わっています。その積み重ねによって、2030年はがらりと変わってしまうのは国や自治体や大企業の計画通りという感じでしょう。教育の方はその変化についていけるのか?今までならそのような懸念がすぐに生まれてきたでしょう。しかし、実は少なくとも駒女をはじめとするいくつかの私学教育はその先を歩いていることでしょう。その時教師も生徒もふと振り返ると、国や自治体や大企業が自分たちの後ろを追っているのを見て、驚くかもしれません。

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★そのヒントの一つが、駒女のサイトのページにさりげなくあります。一般に学校のサイトの記事というのは、目に見えるファクトを記録します。そのファクトをつくる人間の思考メカニズムの内容までは書きません。そこは見えない部分なので、難しくなるし、SNSの世界はポピュリズムです。時短優先のお手軽いいね情報かみなが飛びつく話題性のある情報収集という時代です。

★ところが、生成AIの時代になって、調べたいことについて、生成AIにプロンプトを打ち込むと、実は生成AIは超膨大なインターネット内の文字情報を収集してくるのです。現状では動画よりも文字情報が有効です。ですから、そのとき、ファクトの情報しかないと生成AIから得られる情報の深みはないわけです。つまり、広く浅く読まれるために書くというより、本質的な情報を深く知りたいと思う人がプロンプトを入れた時に、その深さが伝わるように書くという行為が徐々に行われるようになってきているのです。

今回の駒女の「中学21WS【中2】「私 × 平和」がスタートしました。」という記事は、この本質的なことをあえて記しておこうという記事ですね。もちろん、難しいことをぶん回したのでは、さすがに誰も読まないので、そのようなことは背景に回して、前面にはわかりやすいように、生徒の皆さんがどういう活動を、どのように考えながら私たちなりの平和を考えていくのかわかりやすく描かれていきます。「ルビンの壺」のようなトリックアートのセンスです。

★探究の手順というプロセスについてもちろん描かれています。何を生み出していくのかコンテンツについても書かれています。そして、大事なことはどのように感じ、思考したのかそこのメカニズムについて書いてあるということです。

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★このメカニズムは、直接書いていませんが「DIKWピラミッド」を使っているということなのです。「データ(Data)」を広く集め、「情報(Information)」として整理し、それをオピニオンとエビデンスなどの根拠で支える「知識(Knowledge)」に転換する。そしてそれをどう広めていくのか「知恵(Wisdom)」を動かすということです。知恵ですから、心情と思考の両方ですね。だから駒女の生徒の表現は共感を生み出すのです。

★生徒の皆さんが生成AIを使って学んでいるということもあります。データサイエンスのこのピラミッドは将来文理融合の基盤となります。データと情報と知識のリテラシーと何より善き生活を全うするには知恵が大切になるからです。そして、この知恵は実は駒女ならではの茶道や弓道や坐禅などと結びつくとものすごいことになります。

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★そのものすごい境地は、IからWEへ人間の精神の大転換へと向かうのです。GAFAMなどの大企業がのどから欲しいほどの精神なのです。さて、このことについては京大の出口教授とあの世界の哲学の第一人者ガブリエル教授が対話しています。彼らの思い描く世界は2030年以降明らかになります。

 

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2025年11月25日 (火)

2026年中学入試(03)工学院大学附属 今年も風が吹く

★11月23日工学院大学附属中学校は、説明会と入試予想問題体験会を行いました。会終了後、田中歩教頭は言葉にメッセージを込めました。グッとくる言葉です。工学院の生徒中心主義の学びの環境がリアルに伝わってきます。このような力がこもった言葉の背景には、前日帰国生入試を行い、海外入試を合わせて、中学は昨年と変わらず、高校は増えたという実感があったからでしょう。

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★多摩エリアで、昨年と変わらぬ勢いがあるということだけでも奇跡的ですが、高校で帰国生入試が増えるということは、いよいよ海外に工学院の魅力が伝わってきたということでしょう。海外から見れば、海外大学にも通用する教育の質があるところは、エリアに関係なく志望校になるのです。物理的距離感が違うので、都心から遠いかどうかはさほどの問題ではないでしょう。魅力的な学校に通うために、住居を考えることができるからです。

★工学院に今年も風が吹いています。田中教頭は海外も国内も生徒のプロジェクトが行われているところを飛び回っています。また自分の学校だけではなく東京の私学のためのプロジェクトのリーダーも務めています。工学院の理念「挑戦・創造・貢献」をご自身が果たしています。

ぜひ田中教頭のメッセージをお読みください。

★田中教頭の話を聞いた受験生の保護者は、次のように感動して、不安な気持ちでいる自分に元気をもらえたと思ったでしょう。受験を結果だけでなく過程として捉え、子どもが課題に向き合いながら成長していく姿勢を大切にするという言葉に励まされ、模試を前向きに受け止める視点に安心を覚えたことでしょう。さらに、工学院での学びが日々の「なぜ?」を積み重ね、確かな力へと変わっていくという説明に、子どもの未来を信じて支えたいという思いが強まったと推察します。

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2025年11月23日 (日)

2026年中学入試(02)湘南白百合 新次元の教育 2030年にマジョリティーの先駆者になっている

★湘南白百合の水尾教頭の大事なお話を1時間余り深く傾聴しました(GLICC Weekly EDU 第233回「湘南白百合の今が未来を開く」)。同校の生徒が学校の空間をデザインしたり、受験生をもてなす企画を運営したりそのためのマーケティングを行ったり、体育祭や球技大会のプランニングもしたり、制服のデザインをしたりスタートアップ顔負けのプロデュースをしているというのです。ピアラーニングという信頼関係ベースの学びが学校に広く深く浸透しています。ここまでの話で、十分感動的なのですが、まだ話の半分程度だったのです。

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★残りの半分以上の話は、この信頼関係に基づいた学びが、聖光学院や本郷などの生徒と共に学ぶ学校間連携のチャレンジ、学校間連携に高大連携を結合するチャレンジ、そのうえで、自治体や企業やNPOなどとの連携のチャレンジと、きめ細かくネットワークを広げていく学びを行っているということでした。

★そして、それぞれの層で社会課題を見出し、協働して思考しプランニングし実践していくというデザインやプロデュースをしていくのです。多くの学校では、まだまだ学内で探究活動にいきなり社会課題の問いをぶつけていくというケースが多いでしょう。それでは、その社会課題がなかなか自分事ではなく、大学入試の小論文問題を考えるのと同じ次元になってしまいます。

★ところが湘南白百合は、生徒自身が徐々に学びの信頼関係を広げていきます。広がると社会の見え方が違う自分に直面します。そして、その自分は、もはや一人ではなく、常にWE(私たち)という相互主体性が起点となっているということに気づいています。最終的にはその広がりは、海を見て山を見て森を見て宇宙を見て、地球課題を私たちが共に相互主体性をもって取り組みましょうとなっているのです。

★今、総務省は、このような湘南白百合のWE主体性で社会を築き上げていくことを「分人型社会」というキーワードで議論をしています。AI時代、SNS社会、Society5.0などをプロデュースしていくときの学術的議論がされています。哲学、文学、社会学、文化人類学、心理学など学際的なテーマになっています。しかし、それはまだ始まっばかりで、社会の前面にでてくるには、SDGs達成年2030年以降の新しいものの見方・考え方として登場してくるでしょう。

★その意味で、湘南白百合は先駆けています。このような学術的議論は、社会現象をデータ&情報として読み取りながら構築していきますから、議論の前提として、このような流れが存在していなくてはなりません。いわば、時代の先駆けがあって学者は時代を読み始めるのです。

★この先駆け的な動きがあふれているのが湘南白百合です。

★ですから、このような流れを読み取りながら、学校選びをされることを受験生保護者にはお勧めします。まずはぜひ動画をご覧ください。

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2025年11月21日 (金)

2026年中学入試(01)帰国生入試始まる 文大杉並次元があがる 帰国生の新しい動き 希望の兆し

★文大杉並の入試広報部長西田先生から、第1回目の帰国生入試の受験状況の一報がありました。12月の第2回目の発表と合わせてまたコメントしたいと思いますが、第1回目の段階からたくさんの応募がありました。中学入試と高校入試共に帰国生に注目されている文大杉並。そして、次元がまたあがっただろうなあと推察できます。

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★というのも、帰国生入試の市場は、首都圏中学入試では、一般入試の市場の2%のニッチ市場です。高校入試になるともっと狭い市場でしょう。しかし、日本で学んでいる私たちには想像を超える英語力とグローバルな広い視野や文化理解度が高い知見を備えた生徒が大半を占めています。特に文大杉並を受ける帰国生は、そのような高い資質能力を潜在的に持っている生徒ばかりです。

★カナダのBC州のDDコースが高校からあり、中学段階でそこに希望する生徒のコースもあります。このコースは、海外大学の学部1年・2年で学べる実践的で教養豊かな教育がなされています。説明するまでもなく授業はすべて英語を使います。それに耐えられる英語力と洞察力が必要です。その高いレベルにチャレンジしようという帰国生が、文大杉並の帰国生入試にこんなに集結するというのは日本の未来は明るいですね。

★それに、2027年以降、東大、東京都立大学、東北大学など英語で講義をするコースを創っていきます。ますますDDコースの腕の見せ所です。一方ですでに一橋大学で話題になりましたが、各大学がデータサイエンス関連の学部学科を新設していきます。青山学院大学、津田塾大学なども新設していきます。データサイエンスコースでも英語を活用する機会が増えざるを得ません。

★中高段階でのグローバル教育とイノベーション教育の2つは、必須の時代がやってくるではなく、すでにそうなっているのです。しかし、文大杉並のようにその準備が高いレベルでできている中高は首都圏の私立中高一貫校のうち10%ぐらいでしょう。

★高いレベルのグローバル教育だけなら30%はあるかもしれませんが、両方そろっているとなると10%だと思います。

★学校教育は、今や社会や世界とつながっています。多くの学校の先生方が越境して学校も社会や世界に目を向けなくてはと認識しています。したがって、グローバル教育とイノベーション教育は急務なのです。しかし、思いと実践が一つになって進むには、学校の教職員が一丸となる必要があります。学校に限らず組織というのは、ここが難しいのです。

★ですから、「グローバル教育」と「イノベーション教育」と「エンパワーメント組織」の3つが揃っている学校が2030年次期学習指導要領が実施されるときに注目されています。次期学習指導要領は、日本社会が世界の中で生き残れる教育を果たせるかどうかという試金石になるからです。

★豊かな頃の日本においては、学校は偏差値競争していても世界の問題性は教育にまで襲いかかってきませんでしたが、状況はがらりと違う日本社会です。不透明で秒で変わるAI時代でもあります。絶望を希望に変えるのは教育だと各界の指導者が言っています。そのロールモデルの一つが文大杉並であることは間違いありません。

★そのことに気づいている慧眼の帰国生が文大杉並にチャレンジします。その証拠に、2026年新設の高校のイノベーションリーダーズコースに帰国生が受験しているのです。こんな帰国生入試史上初です!帰国生はグローバル教育のコースを受験するというのが今までの定番でした。それがイノベーションリーダーズコースを受験する帰国生が現れたのです。このコースを設定したことが、この潜在的な帰国生の新たな市場を掘り起こしたのでしょう。

★もちろん、最初はまだ小さな動きです。しかし、だからこそ大きな動きが生まれる兆しが文大杉並で起こっているのです。2026年中学入試始まりました。そして、また新しいページが開かれたのです。

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2025年11月20日 (木)

生徒が生成AIを介して善きリフレクションをする意味 世界を救うかも

★生成AIが倫理を守れるかどうか?いろいろ議論されています。道具はユーザー次第で良くも悪くもなりますが、生成AIは悪くなる方向に歯止めをかける仕掛けはアップデートされているようですが、それでもいろいろな事件が起きています。しかし、恐れていないで、だったら、生徒が善きリフレクションを生成AIを介して、自分のためでだけではなく、生成AIの倫理AIの機能をアップデートしていけるようにすればよいのではと浅知恵かもしれませんが、そんなことを思い、生成AIと対話して、次のような文章ができました。

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(文章をclaudeが図式化)

生成AIを介して善きリフレクションを行うことは、生徒にとってだけでなく生成AIにとっても有効です。生徒にとっては、公平性・自由・社会貢献・正当性・信頼性・妥当性といった観点から自らの言動を振り返る習慣が育まれ、倫理的判断力や主体性を高める教育的効果があります。生成AIがその過程を支援することで、生徒は自分の考えを言語化しやすくなり、自己省察を深めることができます。一方、生成AIにとっても、こうしたリフレクションのやり取りは学習の質を高める機会となります。人間の多様な価値観や省察のプロセスを取り込むことで、AIはより公平で妥当な応答を生成する能力を強化できます。つまり、善きリフレクションは双方向的に作用し、生徒の倫理的成長を促すと同時に、生成AI自身の信頼性や社会的有用性を高める循環を生み出すのです。 

★というわけで、善き倫理を生徒も生成AIも学ぶピアラーニングを試行錯誤してみたいと思います。フュージョン教育研究会のメンバーである工学院のた田中歩先生、駒女の山口先生、聖学院の本橋先生方と。

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2025年11月12日 (水)

聖学院のアントレ教育 読売新聞で

★読売新聞(2025/11/06)の記事<[18歳成人 成美、成彦のなるほど!]テーマ アントレ教育<上>今を知る AI時代 起業家精神養う>で、聖学院のケースが紹介されています。聖学院の哲学や文化などを扱うゼミの1つに「起業」ゼミというのがあるという話から、同校のGIC(グローバルイノベーションコース)の生徒の取り組みだと思います。

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(写真は同校サイトから)

★このコースのグローバルやイノベーション、そしてリベラルアーツの学びというか研究というか企画作成というかとにかくプロジェクト型の学びは基礎学力と探究と現実社会の問題を直結しているすさまじい思索と活動の場になっています。そして、結果的に総合型選抜などで目覚ましい進路実績をだしています。

★こういうと、そのクラスだけの特徴だろうと思う人もいるかもしれませんが、実は他のコースにもそのエッセンは浸透しています。というのも、そのコースは高校からで、中学の時にはそのコースのエッセンスをすでに共有しているからです。

★たとえば、GICを担当している山本周先生がかかわっている中学の記事が同校サイトに掲載されています。「【中学GIL】「SDGsをもっと身近に!」先輩の情熱から生まれたボードゲーム制作ワークショップ」がそれです。

★おもしろいのは、SDGsにおける社会課題に対する問題意識をボードゲームを作成することによって自分事にしようという高3生からの提案だったというところです。この高3生はもしかしたらGICの生徒かもしれません。先輩が後輩に魂を引き継ぐチャレンジみたいでかっこいいですね。

★それにしても、記事を読んでいくとこのプログラムはデザイン思考のプロセスでもあります。最後はボードゲームのプロトタイプまで作り上げてしまうのですから。この遊びと学びの往還が、好奇心駆動型のWSになっていて、聖学院の生徒のモチベーションが内燃する一つの理由でしょう。

★そして、このデザイン思考のWSは、即アントレプレナーシップを養うベースにもなっています。高校になってそれぞれのキャリアデザインを生徒は考えていくわけですが、このような中学時代の経験が、キャリアデザインにアントレプレナーシップを結合させることにもなるでしょう。

★同校が大学合格実績にこだわらないのは、自分がしたいことに向かってしかもそれでリアルに生きていける道も切りひていくキャリアをデザインし続けるマインドとイノベーションスキルを養うことが第一だからでしょう。結果的に大学合格実績は良好なのですが。

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哲学の視点 AERAで語る東浩紀さん

★哲学者であり小説家でもある東浩紀さん。時代の重要な局面でコメントします。今回もAERA2025年11月17日号「高市早苗新総理の社交への理不尽な罵倒は理解できない」でさすがと思うような哲学的視点を開いていました。

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★記事の中で、「ついに日本でも女性総理が誕生した。それなのにあの女は本質的には男だと理屈を立て、醜い言葉で罵倒し続ける。筆者は高市氏のイデオロギーを支持しない。しかし、こんな理不尽な批判を続けていたらリベラル派は本当に滅びると思う。」とコメントしている。

★このイデオロギーは支持しないけれど、公共圏のパーツでもある社交を罵倒するのはリベラル派の滅びに通じるという複眼思考というか哲学的視点は、AERAという公共圏をサポートする一雑誌かもしれないけれど、市民と共有していく意義があります。

★もちろん、私も東浩紀さんとも高市総理とも価値観は同じではありませんが、このような視点は大切にしたいと思います。

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2025年11月11日 (火)

関東学院六浦 新しいグローバルキャリアデザインのインパクト

★昨日、関東学院六浦は、公式サイトで日本の教育にとって重要な次の記事を掲載しました。「サウスイーストミズーリ州立大学へ、年間約7,500米ドルの奨学金付き入学枠を確保」という記事です。

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★同記事によると、

「このたび、関東学院六浦中学校・高等学校(所在地:神奈川県横浜市金沢区)は、アメリカ・ミズーリ州の州立大学「サウスイーストミズーリ州立大学(Southeast Missouri State University)」と、指定校推薦入学制度に関する協定を締結いたしました。

本協定は、同大学の日本代表部であるJAAC日米学術センター(Japan-America Academic Center)の協力のもと実現したもので、サウスイーストミズーリ州立大学が日本の高等学校と本制度の協定を締結するのは、本校が日本で初めてとなります。」

★ということです。このグローバルキャリアデザインには社会的インパクトがあります。

❶新しいグローバルキャリアデザインのフロントランナー:同校はもともと海外大学進学準備教育の先進校ですが、それだけに、現実問題、高い学費を支払えるか奨学金でいける一握りの生徒にしか海外大学の道が開かれていないという実態を知っています。ですから、今回その課題を突破する道を開いたということです。

➋同行初のチャレンジが広がる可能性大:同校のこのチャレンジは日本で初めての協定締結ですが、これはJAAC日本学術センター協力のもと行えたので、今後センターが多くの学校を巻き込んでいく可能性が大です。関東六浦はそのロールモデルになります。

❸リベラルアーツの重要性を示す:サウスイーストミズリー州立大学は総合大学で、多様な研究領域で研究ができますが、同時にリベラルアーツカレッジの役割も果たしています。科学とリベラルアーツの総合力は、AI時代にあって注目され始めています。この協定の前提には、関東六浦の教育が専門性を育成し同時にリベラルアーツも重視するグローバル教育を行っていることが重要だったのでしょう。

★この関東学院六浦のチャレンジは、日本の国内の閉じられた受験市場の学歴競争を大きく変えるウネリを生み出すレバレッジポイントになるはずです。

 

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2025年11月10日 (月)

生徒が生きる社会の枠組みの矛盾や葛藤をデータサイエンスという現代のリベラルアーツの知恵で解決へ~聖徳学園

★AI時代になって、中高大学で、データサイエンスという学びが注目されています。中高のコースや大学の学科などで開設されているのは周知の事実です。そして、このデータサイエンスを語るとき必ず登場してくるのがDIKWピラミッドですね。もともとは1990年代前後にRussell Ackoff(ラッセ・エイコフともラッセル・アコフとも訳されています)が提唱したらしいのですが、多くの人が同じようなことを語り、バリエーションもいっぱいありますが、シンプルにこのピラミッドが今も残っています。

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★そして、AI時代の今、再びDIKWピラミッドは注目されています。というのも、DIKまでは事実と技術のフェーズで、それをメタ的にマネジメントする知恵が重要だとするところが、AIをなんとかぎりぎり越えられる落合陽一さんに言わせれば「おまけ」の部分です。子供のころグリコのおまけはワクワクしました。知恵こそ好奇心駆動型の学びの活動でしょう。

★そして、この知恵があるからこそ、生徒が生きる多様多層の社会の枠組みの重なり合いや葛藤などを紐解いていけるわけです。

★この意味で、DIKWピラミッドの考え方に基づいた学びのデザインは、リベラルアーツの現代化の一つと言えましょう。

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(聖徳学園のサイトから)

★実際、ICTと言えばあの聖徳学園が、データサイエンスのコースをつくり、同学園のトータルな学びのチャートの図の中に、データサイエンスのみならず、グローバルとリベラルアーツを織り込んでいます。

★このような学びのメカニズムを体得した生徒は、前回ご紹介した多重構造になっている社会の構造や制度の葛藤や矛盾を自分の感性と知性を併せ持った知恵で解決していき、社会の制度の前提となる生活世界を広げていけるでしょう。

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生徒が生きる社会の枠組み 生徒が視野を豊かにする理由を共に学ぶ学校を探す

★生徒が生きる社会、もちろん私たちもそうですが、そこは複数の集団システムに囲まれています。その集団システムから抜け出ることは難しいのですが、単一の集団システムがすべてだと思い込むのは危険です。身の回りの生活、身近な社会、そしてそれらを包摂する様々な社会は、必ずしも合意形成を持続しているわけではありません。矛盾と葛藤も多様多層にあります。気候変動の問題や地政学的緊張感、そして何より精神的抑圧課題で満ちているのは、その矛盾や葛藤に起因していることはシンプルに明らかです。

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(個人が生活世界圏を自由に行き来できるかが重要。リアルにもバーチャルにも移動の自由と想像力を膨らませる精神的な自由を自分が獲得する学び=リベラルアーツがデザインされている学校や教育制度を探すあるいは創る)

★それなのに、そのことに気づかないのは、個人がどこかの組織だけに所属し、それが人生の生きる領域だと思い込んでいるからです。グローバルリーダーになって、国際機関やグローバル企業、国際的な研究者や芸術家になるのは大いに結構ですが、その場合、土台には、あらゆる集団システムの矛盾や葛藤の中で生き抜く生活世界を自ら創れる感性と知性という知恵を持っていることが前提なのです。

★そのような知恵を身に着ける学びのデザインが、リベラルアーツです。このリベラルアーツという言葉を前面に出しているかどうかは問題ではありません。

★この言葉を使わなくても、進路先進路指導ではなく、リベラルアーツ進路指導を行っている学校はたくさんあります。進路先指導は、一つの集団システムの正義をお教え込みがちです。リベラルアーツ進路指導は、生活世界をつくりウェルビーイングを生み出す知恵を生徒自身が体得していく学びのデザインです。

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2025年11月 7日 (金)

これからは葛藤や矛盾を丁寧に解決できる学校が求められる それを知る手がかり

★今メディアは、毎日のように、学校現場におけるいじめの問題やカスハラなどの問題を取り上げています。問題は複雑で多面的ですが、何らかのハラスメントが発端です。マルトリートメントという言葉が扱われるようにもなってきています。一見ハラスメントのように思えない程度の圧が加わるコミュニケーション文化がある場合のことをいうわけですが、これは外から見ているとなかなかわかりません。

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(リフレクションによって、個人の民主主義対する視野を広げていきます。そして、1にとどまらないように同時に5にならないようにするリスクマネジメントとしてのセルフリフレクションのメカニズムも大事ですね)

★しかし、その学校が、このようなハラスメントを撲滅しようとしているかどうかは、説明会や入試問題を見えればある程度わかります。もしかしたら、かなりわかるかもしれません。

★基本的に、学校は民主主義的な組織になっていますが、実際には、組織ごとに民主主義の作り方は違います。シンプルに、公平と自由と友愛を生み出す方法が違うと考えるとよいと思います。

★この民主主義の3条件を、理事会がつくっているのか、教職員が作っているのか、教職員と保護者、生徒が協力して作っているのかによって、だいぶ学校の民主主義の在り方は違ってきます。

★そして、学校組織の民主主義の在り方と、自治体などの社会が作っている民主主義もまた必ずしも同じではありません。教育行政とそれをさせる予算がかかわってきますから、その配分は、自治体によっても違います。

★さらに学校の民主主義の在り方と社会の民主主義の在り方と国家の民主主義の在り方も必ずしも同じではありません。国家の民主主義の在り方も政権が異なればまた変わります。

★どの組織も公平と自由と友愛を持続可能にするための基本的な国会を通じて決定される法律は同じです。しかし、それが具体的に適用されるときに、理念は同じでも具体的条件は違ってきます。

★そして、この違いは、解釈によってもさらに異なります。したがって、公平や自由や友愛を尊重しながらコミュニケーションをとっているにもかかわらず、行き違いが起こります。学校で起こるのは、この法律に違反した非民主主義的な活動は当然それは迷うことなく違反ですが、学校に限らず、組織によって自治体によって国によってその違いによっておこる葛藤や矛盾が解決されないまま放置されることによって法的な問題になる場合が実はハラスメントによるここ数年の学校の法化現象の傾向なのです。

★価値観や法律やルールの解釈の違いはあるのが当然です。それが民主主義社会です。そして同時に、その違いを越えていくあるいは解決していくのも民主主義社会です。どうやってか?それは対話によるしかないのです。

★ですから、この対話を行っていることがわかるのは、説明会や入試問題なのです。そしてその対話が、単に情報提供の場ではなく、事実と意見とデータサイエンス的な根拠が丁寧に共有されるものであるかどうかが大事です。

★説明会では、授業の中でそのような対話が行われているかどうかが意外とわかるものです。また、入試問題も意見を求める記述式問題や論述式問題が出題されているかどうかで、意外とわかるものです。

★そして、その対話に「リフレクション」メカニズムをアップデートし続けているかがとても重要です。リフレクションしていますだけではんかう、そのメカニズムを可視化している学校かどうかということですね。

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2025年11月 4日 (火)

教職員のリレーションシップを考えるWS in 芝国際

昨日11月3日、13時から17時まで、芝国際で、「教職員のリレーションシップとはー学校のチームづくりを考えるワークショップ:連続講座第2回」が開催されました。仕掛け人は、りょうゆう出版の代表安修平さんと同出版社で出版している「シリーズ学びとビーイング」の編集委員の先生方です。安さんとは児童文学がきっかけで久しい間の交流があり、特に目的もなく参加して楽しみました。会場校である芝国際の校長吉野先生とも少し対話ができ、心温まりました。

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★話題提供を次の4人の講師がされました。実に興味深いプログラムでした。
・法貴孝哲先生 清真学園高等学校・中学校(学びとビーイング 編集委員)
・岡田憲治先生 芝中学校・高等学校
・長谷川雅美先生 芝中学校・高等学校
・笹川悠希先生 埼玉県立総合教育センター

★というのも、4人の先生方の視点はそれぞれ違うのですが、その視点が構造的設定になっていたからです。さすがです。

★まず法貴先生は、教務部長としてそして研修担当として、学内のリレーションシップの質を豊かにするために、TP(ティーチング・ポートフォリオ)のWSを学校として実施していく紆余曲折の苦労と今後の希望の情報を共有。一般的な研修は、講師のスピーチを聴くか、講師のものの見方や考え方を分かち合うかが多いのですが、TPで活用するシートは参加した教師個々人の授業や教育活動のコンセプトや具体的方法、達成度、そして自己のメンタルモデルの内省(リフレクション)をするツールです。参加者どうしが言葉だけで直接対話というより、そのツールを媒介に対話ができるギミック(仕掛け)です。

★岡田先生と長谷川先生は、学校組織全体のリレーションシップ構築のアプローチとは逆に、身近な自分との出会いの個々人をゆるやかに巻き込んでいくギミック(仕掛け)について情報共有。岡田先生は教職員を岡田先生が体験している多様なコミュニティに誘い、外の知恵やスキルや視野を学校内部に浸透させていくという多様なコミュニティそのものをギミックとして活用。小さな動きがダイナミックに動き出す媒介ギミックです。長谷川先生は、学校内部でのゆるやかなリレーションシップをデザインしています。困りごとに気づいたらそれを解決するギミックの発想を哲学対話的に実践していく苦労と成功例を共有。

★笹川先生は、埼玉県立全体の学校組織に、法律で定められている研修制度そのものをギミックとしてリレーションシップづくりのメディアにしている詳細な研修制度の体系とその実情を情報共有。学校を越えて自治体の教師同士のリレーションシップのデザインについて話されました。

★自治体という社会からのアプローチ、学校という組織からのアプローチ、個人どうしの相互エンパワーメントからのアプローチ、マクロ、メゾ、ミクロの社会を考えるときの3つの構造からリレーションシップを俯瞰し、さらに具体的な状況に接近できるスピーチの連続でした。

★そのあと1時間のグループワーク。あっという間に過ぎました。ここで、改めて3つのことに気づきました。

❶TPを広めることの重要さ。個々人のリフレクションを共有することがダイナミズムを生み出す。

➋対話の基本はやはりリスペクトであり、それを前提にメンターがポイント。できれば相互メンターができる雰囲気をつくりたい。

❸リレーションシップを生み出すには、そうはいっても結局、4人の先生に象徴されるようなリーダーシップが必要。そして、そのリーダーシップを発揮するとき、「高い志のマインド(ミッション、ビジョン、パッション)」プラス「イノベーションというギミックという媒介項」のデザインがポイント。

★このギミックは多様にありますが、今回は、外的な道具というより、内的なモチベーションや好奇心を動かす道具というところが新鮮でした。ラフな感覚で参加したのですが、多くの気づきと今後仲間の先生方と進んでいく見通しのヒントを頂きました。本当にありがとうございました!

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2025年11月 3日 (月)

PBL(哲学対話,デザイン思考,システム思考,IBL,生成AI,量子コンピュータ,スタートアップ)の時代

★今再びPBLが各界で全面に出てきています。2027年以降の国公立大学の改革の一つに、プロジェクト=スタートアップ=グローバル×生成AI×量子コンピュータ×哲学の流れができてきています。この流れに向かって小中高の授業はPBLが見直されるし、ここから企業もプロジェクトベースで事業展開していきます。すでにそうなっています。もちろん、すべてがそうではないですが、この流れがダイナミックな動きの一つです。

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(Copilot作成)

★最近哲学対話が教育で話題になったり、大手テクノロジーの企業が哲学者をアドバイザーにしたりということが話題になります。しかし、これはPBLやプロジェクトを行うから当然出てくる話なのです。

★PBLは、もともとプラグマティズムの哲学を創発したジョン・デューイのLearning by Doingという考え方がルーツです。教育学的にいろいろ議論があるのでしょうが、もともとの根っこが哲学で、しかもカントやヘーゲルとは違う、あるいは乗り越えようとした哲学です。デューイ自身、シカゴ大学に実験学校をつくり運営しました。その資金調達には苦労もしました。

★哲学と生活を結び付けるには、経営も必要です。今のスタートアップと基本的な考えは共通しているでしょう。

★そういうわけですから、学者の方々がどう考えているかわかりませんが、PBLそれ自体に哲学的根っこがあると考えると、今動きだしている教育=研究=経営というのが、なんとなくワクワクしてくるのではと。

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文大杉並 再び新しい学びを創出 高校入試を大きく変えるレバレッジポイント

★今年4月、文化学園大学杉並の校長青井静男先生は、こう語っていました。「本校は常に社会の実情を見つめ、その先を見据えた新しい学びの創出を目指しています。2015年度にはダブルディプロマコースを立ち上げ、日本のグローバル教育のあり方について新しいビジョンを共有しました。その立ち上げから10年が経った今、本校はさらなる挑戦を始めます。これまで取り組んできた、STEAM教育やプロジェクト型学習、グローバル教育などの次世代教育ビジョンの集大成です。ぜひご注目ください。」と。

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★青井校長こそが、ダブルディプロマコース立ち上げのリーダーですから、この言葉の重みにグッときます。この集大成が2026年4月から新しく設定される「ILコース(イノベーションリーダーズコース)」です。「ぜひご注目ください」の言葉通り、学内外で注目を浴びました。

★同コースの立ち上げのリーダーは理事長補佐の染谷昌亮先生ですが、先日大学通信の取材で、すでに行われた学内の応募状況についてこう公開しています。「ILコースの入試では一般的な学力検査ではなく、プロジェクト審査を実施。事前に授業体験会も行う。定員は30人で、内部生と高入生が混在するクラスになる。すでに、39人の内部生が応募し、16人が合格。」と。

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★4月から7か月が経ち、早くも2026年の高校入試が間近んきなりました。青井校長が予言したように「注目を浴びて」いるのです。内部生だから進めるのではなく、チャレンジングなまさにイノベーターの選抜が成立しています。入試要項によると、外部の高校入試のILコースの募集人数は20名強ですから、これもまた激戦になるでしょう。

★ただ、いわゆる一般入試ではなく、3時間のプロジェクト型入試です。グループワークを行い、思考力・判断力・表現力、何より東大の2027年開設予定のCollege of Designが重視する「創造的思考」を診るのでしょう。それに協働はイノベーションの重要な足場ですから、チームワークも組み立てられるかも大事になるでしょう。何せイノベーションリーダーズですから。

★このような画期的な高校入試は、PBLをベースに行っているほかの学校でもなかなかチャレンジできません。すでにかえつ有明や聖学院は同じような高校入試をやってはいますが、両校とももともと高校入試はやっていなかったところなので、経営よりも新しい学びの確立に軸足を置いて創ったために、中学からの内部生がコースの実現の中心でした。そのため、高校入試では両校だからできると、高校入試市場に広まる契機にはなかなかなっていませんでした。

★ところが、文大杉並は、DDコースの成果が広く国内外の受験市場で支持され、中学も高校も応募者は右肩上がりの人気校です。しかも、DDコースは高校だけではなく、そこに接続する中学からのDDコースへのロードナップが明瞭になっていますから、DDコースの学びそのものの仕組みの有効性が受験市場に広まったのです。

★そして、このDDコースは、ある意味先進的カナダの教育そのものですから、たんに英語教育が充実しているというだけでないことは、もはや周知の事実です。そこには当然コンピュータサイエンスの学びがベースです。このベースは、DDコース以外にも共有されてきました。そこで満を持して、DDコース以外にもう一つコンピュータサイエンスベースのしかもスタートアップも視野に入れたILコースを作ったのでしょう。

★ですから、受験市場は文大杉並のILコースがどんな学びをやり効果的なチームを作りながら興味深い成果を出すか期待値大なわけです。

★このように教育の質だけではなく私学経営の戦略(理事会の大胆な戦略と緻密なプランニング力に脱帽なのです)が合力を生み出したとき、応募者を獲得できるだけではなく、その新しいILコースとその入試が受験市場に社会的インパクトを生み出します。世の中は、大学入試や中学入試が大きく変わっているときに、高校入試がなかなか変わらないので、半ばあきらめてきたのですが、もしかしたら、今回の文杉のILコース入試は、高校入試を変えるレバレッジポイントになるかもしれません。

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2025年11月 1日 (土)

制度と教育 高校無償化の三党合意の行方をウォッチしながら

★私たちは制度というと縛られるものとイメージしがちです。私も枠を超えるとかいうレトリックを平気で使ってきました。制度改革は時間がかかるから、制度に抵触しないように自由な精神的空間を作って、そのような呪縛から解放されようとつい考えがちです。でも、これはルソーの一面やニーチェの一部の思考に影響されているだけであって、制度に関してはもっと多くの知恵があふれています。自分の制度=呪縛的な発想は全くアンコンシャスバイアスになっているなあと、ここ数年内省しています。

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(Copilot作成)

★それは学校現場や私立中高協会に勤務するようになって、痛感しているのです。学校や教育現場では、ダイレクトに法制度がかかわってきます。一方で、寄付行為や就業規則などがあります。これらは、もちろん上位法である国の法律制度にのっとってなくてはなりませんが、これを動かすのに学校や協会の組織には内規があります。国の法律にのっとっているけれど、手順や重みづけなどは、その組織の独特のものです。しかも成文法的に言語化されているものばかりではなく、慣習法的な不文法のようなルールもたくさんあります。

★それに国の法律と組織の間には、省令や条例やガイドラインなど国会を通過しなくても制度として成り立つものがたくさんあります。たくさんというより、これがほとんどという感じです。

★ですから、今回の高校無償化が三党合意に至ったとしても、それが法制化されなくては、教育行政は動けないのです。税金を使うには法制度が必要なのは言うまでもありません。しかし、税金を使うには、財務省の予算編成の権限が極めて重要になります。財務省が反対したからといって、この三党合意を阻止する権限はもちろんありません。そんなことしたら三権分立を破壊してしまいます。

★しかし、財務大臣と財務省の関係によっては、財務省の影響が皆無ということは、むしろそんなことはないでしょう。それゆえ、閣僚の布陣は重要になってきます。今回はどうでしょう。

★近藤先生や吉田先生をはじめとして協会の役員、父母の会の役員の凄さは、政府や内閣、都議会、都知事に対し、きちんと要望する運動する組織を作っているところです。その制度が公正で信頼性があり妥当性があるかどうか議論をして、要望していきます。一つの学校単位ではそれはできません。

★今回の三党合意は、制度にしなくてはならないわけです。財務省が納得するように丁寧に説明していく必要があります。その行動を議員や閣僚がしてくれるように、要望するわけです。近藤先生方の働きの凄さというのは、そのタフな交渉術にあるわけです。そうすることが、公正さを持続可能にすることなわけです。ところが、そうでない法制化がなされ、それによって現場の信頼性や妥当性が危うくなるものがあったとしたら、それは制度を無視することはできません。無視すると必ず法化現象になってたいへんな法的手続きとコストが莫大にかかります。

★ですから、その時は制度の改善を丁寧にまた要望していかなくてはなりません。その姿を見ていて、私たち教育研究所ができることは、要望をサポートする良質の教育デザインと成果を先生方と協力して作っていく必要があります。そして、それを作る手続きはやはり研究所の内規として成文化されたものと良き慣習化したものを精査していく必要があります。

★真理と自由を持続可能にするには制度創造の思考力が必要なのです。市場の原理が実は制度上の自由であることを中高時代に学ぶ必要があります。

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秋田の聖霊学園高等学校 白鳥に変容するとき

秋田の聖霊学園高校の校長工藤保代先生にいざなわれ、先日見学させていただきました。ちょうど創立117周年の記念ミサが行われる日でした。ミサは、神言会の神父様がとりおこないました。ここ秋田は神言会のルーツです。南山学園も神言会の学校です。神父様は、聖霊高校は今年、創立117周年を迎え、創立以来、キリスト教の精神に基づく「人間教育」を大切にし、「聖霊」という名にふさわしい教育を続けてきたことを教職員と生徒と共に確認し、祝福しました。

★その後、工藤校長と少し対話をしました。校長は、「聖霊は人と人を結び、共に生きる喜びをもたらす存在ですから、急速に変化する社会の中で、教職員と生徒は共に本当に大切なものを見失うことなく探し求めていくつまりトランスフォーメーションしていくことも大事なのです。117周年を迎え、伝統を守りつつ、新しい価値を創造することを教職員とプロジェクトを動かしているところです」と語ります。そして、「生徒一人ひとりが柔軟で創造的に行動できる“光の子”として育つことを全うしたい」と。

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★その後、学校のリーダーメンバーと対話をしたのですが、先生方と事務長みな光輝いていました。秋田県で唯一のカトリック学校、市内唯一の女子校として、社会に新しい教育的価値を生み出そうとするミッションとビジョン、モチベーションが満ち溢れていました。そして、実にリアリズムでもありました。その新しい価値を生み出すには、イノベーションが必要なのだというのです。授業を見学してなるほど、生徒一人一台自分の好きなラップトップを活用し、フォームで教師とデジタルで情報や学びのプロセスと成果をやりとりしていました。

★しかし、聖霊学園でのイノベーションとは、テクノロジーだけの話ではないのです。ルーブリックがしっかりしていて、それを授業の中でしっかり根付かせ、それを生徒も共有し、振り返りができるシートもできています。つまり知のイノベーションを起こしているのです。学びの状況、学びのプロセス、学びの成果を可視化するわけですから、学校全体の取り組みとなっているのです。

★知のトランスフォーメンションですから、2027年以降の大学入試の変化に対応するべく、英語の教育もハイレベルでした。対話や小論文を編集するスキルも、授業はピアインストラクションやPBL型で対応できるようになっています。そして「情報」教科の充実。

★しかし、そのベースには「共感」を大切にする人間関係の心理的安全を生み出す環境がDE-SIGNされていました。音楽の時間やミサのときのコーラスは言葉では尽くせないほどすてきな響きでした。

★何より教え込むのではなく共に学ぶファシリテーターとしての教師の役割が充実していました。

★シンガポール大学の田村耕太郎教授が、日本の地方こそ白鳥になれる潜在的可能性があり、そのことは、外国の方々のほうがよくわかっていると言っています。そのためには、新たな価値を生み出す経済も大事ですが、新たな価値を生み出す人間力を養う教育力も極めて重要です。

★聖霊に光を浴び、同時に自分の内側から光を放つ教職員と生徒。ここに秋田の未来、日本の未来、そして世界の未来があると感じたし、工藤校長は宇宙まで含めて光が満たされるようにしたいと語ります。最後に先生方とミニWS型スピーチをさせていただきましたが、ミッション、ビジョン、イノベーション、そしてパッションを共感することができました。1時間目のミサから授業終了後の会議の時間まで、あっという間の光の体験でした。ありがとうございました。

★そうそう、聖霊ドミトリーがあります。キャンパス同様快適なホテル並みの空間だと聞き及びます。寮生活もまた素晴らしい体験になるでしょう。

★それから、聖霊学園にとって、光というのは、目に見えない大切なものを明るみにすることでもあります。実は授業の中で、学びのスタイルと学びのプロセスを支え動かす教師と生徒の内面の思考メカニズムとメタ・ルーブリック(カナダからの先生は、ドラフトルーブリックと呼んでいました。軌道修正しながら授業がデザインされます)が可視化されていました。これは、やはり先生方同士が普段から対話を行っているからこそ互いに深いところにまで光が届くようになっているのだなと感動しました。

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文大杉並 2026年開設のイノベーションリーダーズコースが新たな中学受験生層を掘り起こす

★文化学園大学杉並(以降「文大杉並」)の入試広報部長西田真志先生から、大学通信の記事「社会で求められる教育に取り組み、教育イノベーションを実現 進化を続ける文化学園大学杉並」を紹介されました。同記事によると「グローバル教育やSTEAM教育など、独自の教育プログラムに定評がある文化学園大学杉並中学・高等学校。2025年に学校併設の教育研究機関BSICE(Bunka Suginami Innovation Centre for Education)を設置。26年には高校にイノベーションリーダーズ(IL)コースを開設するなど、学校改革が進行中だ。BSICEとILコースの新設により、同校の教育がどう変わっていくのか。理事長補佐とBSICEセンター長を兼任する染谷昌亮先生と、ILコースに進学予定の中3の生徒11人に話を聞いた。」とあるのですから、必見です!

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★高校の話なのですが、同記事によると「ILコースの入試では一般的な学力検査ではなく、プロジェクト審査を実施。事前に授業体験会も行う。定員は30人で、内部生と高入生が混在するクラスになる。すでに、39人の内部生が応募し、16人が合格。」というのです。ということは、新設された情報を入手した中学受験生は、将来このコースに入りたいと意欲をますます燃やす新たな中学受験生層が出現する期待値が高まるわけです。同記事によると、「特例校認可申請中であるILコースは、従来の学習指導要領に沿った科目の単位数を絞り、そのすべてをプロジェクト型で実施する。その他の時間には、社会のリアルや最前線を学ぶ「学校設定科目」と、生徒たち自身の力で社会をフィールドとした活動を行う「プロジェクト科目」を整備した。特に、学校設定科目にはサステナビリティやデザイン思考、AIと情報リテラシー、アントレプレナーシップなど多彩な科目を用意。これらの授業には、BSICEの外部パートナーが講師として参画する。また、1学期中は外部団体訪問の機会を毎週設けるようだ。」とあります。

★次期学習指導要領のless is moreを先取りしたカリキュラムということです。PBLが中心ですから、記憶メカニズムに主眼を置く授業はぐっと縮めて、余白を作り、そこをイノベーティブなカリキュラムでワクワクする深い学びそして何より解決のためのツール実装をイノベーションしてしまうというコースですね。アントレプレナーシップそのものを生み出すコースといっても過言ではありません。米国の人気のHTH(ハイテックハイスクール)そのもののコースが文大杉並に出現するのです。

★同記事の中で、染谷先生はこう語っています。「様々な改革によって、本校が成長してきた実感があります。だからこそ、本校の歩みをより社会的に意味のある形で発信したいと考えるに至りました。自校の成長だけでなく、日本の学校教育の未来を見据えながら、新しい挑戦を続けてまいります」と。ものすごいミッションとビジョンのイノベーションです。

★学校のアップデートは、社会とつながることによって、社会のアップデートにつながるし、もしかしたら教育関連の制度そのものも変容させ社会に貢献することになるということです。制度を変えるということは、パソコインでいうならば、OSを変えちゃうということです。凄いことです!

★そして、何より私たち日本人に元気という付加価値を生み出そうということです。というのは次のグラフからもわかるように、私たちは、他国に比べ、クリエイティブはそれほど重要でないというアンコンシャスバイアスをもっています。ところが、別のデータでは、他国から見てどこの国がクリエイティブかとなると日本だとなるのです。このギャップは、謙虚な日本人とも言えますが、自虐的ともいえないこともないですね。

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★クリエイティブな日常だからあえてクリエイティブを重要だとあまり思わないというのでしょうが、そのクリエイティブな日常をさらに豊かにすることが、あるいは、その意識を見える化することがある意味、日本の社会や経済を本当の意味で豊かにすることなのかもしれません。文大杉並はそのリーダーシップを発揮するのです。

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★このことは、シンガポール大学で超人気講座を企画実施している田村耕太郎教授も語っています。日本は首都圏のみならず地方にもあひるから白鳥に変身できる可能性に満ちている。その証拠に外国人が地方に訪れると感銘をうけて帰ってくると。日本人にとって、人口減少で過疎化している問題山積のエリアですが、そこに宝の山が眠っているのだと。これを覚醒するにはイノベーティブリーダーズに期待がかかります。

★そして、いうまでもなく、外国の方々との連携が必要です。文大杉並のDDコースとして定着したグローバル教育とイノベーティブリーダーズコースの新たなコースがパワフルな相乗効果を生み出すのは火を見るより明らかです。

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