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2025年10月18日 (土)

駒女の国語の授業 2027年以降の大学入試改革に対応 作家という他者と読者としての自己との対話

★昨日午後から、駒沢学園女子中学高等学校(以降「駒女」)の国語科教諭の上山昴輝先生のミニ授業研究会がありました。生成AIをパートナーとして生徒は自分の思考のメカニズムをブラッシュアップしていく授業です。東大をはじめとする国公立の2027年以降の大学入試改革に対応する思考のメカニズムのコーチング型授業でした。ミニ授業研究というのは、東京私学教育研究所の研修委員会の1つ「プロジェクト部会」のメンバーである駒女の土屋校長が、その部会の研修でお招きする野中潤教授(都留文科大学 教職支援センター長 文学部 国文学 教授)と研修を行うにあたって現場の状況を一緒に見ながら打ち合わせをしようと急遽決まったからです。

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★というのも、野中教授は、その日の午前中は、駒女のキャンパス内にある駒沢女子大学で講義をしているため、終了後すぐに駒女を訪れることができるからです。そのプロジェクト部会のテーマは<「学校教育2.0のための生成AI実践講座」 ~10年後も「選ばれる私学」であり続けるために~」>です。したがって、生成AIをパートナーとして授業を行っている駒女の授業リサーチは野中教授にとっては、現場の実態—―生成AIがどのように使われているかを知るうえでちょうどよかったということもあったでしょう。

★駒女は、数学や英語でも生成AIを教師及び生徒のパートナーとして活用している先進的な授業を行っているということもあり、野中教授にとっては、教育にとって有効な使い方をしている事例だという認識を持ったようでした。そして、国語の教科教育法で先進的な授業方法を研究されていますから、上山先生の授業が進むにつれて、好奇心駆動型の探究的な学びに没入していく生徒の姿やギャラリーウォークで楽しく真剣に対話している姿に、授業はこうでなくてはと確信もされているようでした。

★野中教授はICTを駆使した授業づくりを全国の公立私立問わず多くの教員と共有共創しています。そして今生成AIの登場と加速度的に進化する生成AIを実験的に使いこなし、現場で使いやすいようにアレンジしています。ご自身でアプリを作り、それを使って、グループワークで対話をしている言語活動を一瞬にして収集し、対話分析ができるものまで作っています。対話は重要だと言われていますが、ここまで生徒のリアルな対話の分析をするのはのは従来は難しく、まして、日常の教室では、対話の重要性やその構成要素を確認する以上はなかなかできなかったのです。そこを開く、つまりあの憧れの最近接発達領域の場のプロセスを解明できるところまできています。

★今回も、上山先生の授業を録音したり動画を撮ったりしながら、授業終了後の振り返りで、生成AIがそのデータを瞬時に書き起こし、それを見ながら振り返りができました。11月の実践的な研修が楽しみです。

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★そして、この研修の見通しが立ったのは、上山先生の先駆的な生成AI活用授業があったからです。先駆的というのは、まずは生成AIをRIA(リフレクション イン アクション)ができる対話に使用していたことです。ROA(リフレクション オン アクション)というのは、すべてのイベントが終わってから振り返るというリフレクションですが、RIAは、思考や対話をしている過程でリフレクションが同時並行で行われる手法です。RIAとROAは両方あって相乗効果を生み出します。ですから、今回も授業終了後ROAを行っていました。

★これは数学科の山口先生の授業を見た時にも感じたことですが、データサイエンス的手法を使ったRIAを上山先生は行っていました。驚きやおもしろさおかしさそして好奇心などはズレから生まれてくると言われています。データをグラフ化したりデータマイニングでどの言葉がたくさん使われているか大きさの違いをみると、まずは驚くし、同時にいろいろなアイデアが生まれてきます。データサイエンスの手法は実はふだん好奇心がなかったものにも、目を向けてしまう好奇心駆動型のプログラムです。

★授業は国語でしたから、言語社会学者鈴木孝夫さんの文章を読解する時間でしたが、いきなり文章を精読するのではなく、鈴木孝夫さんが言語における人称の多様性をリサーチする手法の疑似体験を生成AIで生徒が体験できる仕掛けをデザインしていました。国によって人称の数や使われ方がデータサイエンス的に違いが明らかになったとき、当然生徒は驚き、そしてその理由を考えるアクションが生まれてきます。その自分の理由と生成AI(もし鈴木さんになったつもりでと条件付けをしたら、鈴木さんと対話ができるかもしれません)の考え方のズレを対話するというRIAを仕掛けることによって、鈴木さんの文章を読む前に、英語でよく行っている複数のキーワードからインファー(推理)する思考が働いていました。

★従来型の一般選抜では、精読から始め、その文章を正確に読むーー正確に読むというのはトウールミンモデルでいう作者の三角ロジックを分析し、要約するということでしょうが、この読解方法が有効でした。作家と対話するのではなく、作家の言いたいことや考え方や感じ方をまずは受容するということです。これは傾聴にもつながり大事ですよね。

★しかし、2027年以降は、他者の考えを正確にあるいは客観的に(客観的というのは教育の世界で使われている意味と哲学や文化人類学、自然科学で使われる場合は違い、社会にでたらあまり役に立たない見方です。それを学習指導要領内でデータサイエンスが崩すので、教育界の中でも混乱しています)受容するだけではなくなっていきます。データ(量的データと質的データの両方)をエビデンスとして、一般には気づかれないような社会課題を見抜き(だからこそ好奇心が広がります。自分が先に見つけたという。もちろん、調べていったらすでに気づかれていたということのほうが多いのですが。だからリジリアンスが重要です)、自分で考え、仲間と協働し、生成AIをパートナーとして思考し行動するメカニズムが重視されるようになります。すでに総合型選抜はそうなっています。

★しかし、2027年以降は、それが一般選抜でも導入されるようになっていきます。とはいえ、まだその割合は一般選抜では正確に他者の考えを受容するということのほうが多いでしょう。それでも他者と自分の考えの違いを把握したり、第三の考えを結果的に共創したりする思考のメカニズムが必要とされるのがAI時代です。

★上山先生は、その両方を授業で展開しているわけですが、そのビジョン、ミッション、パッションは、「教科書や大学入試の枠を超えて大学や社会に出た時に生徒が自らウェルビーイングな生き方ができる力を身に着けてほしい」ということのようです。

★限られた時間でこんな欲張りな授業を展開しているのが駒女です。それも生成AIを活用する先進的な授業開発に学校全体で取り組む舵を切っている土屋校長の戦略的マネジメントがあるからでしょう。ますます期待値が高まります。

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