2026年度中学入試(05) シンガポール国立大学から見る近未来の私立中高一貫校
★私立中高一貫校の併願戦略を固め始めている時期だと思います。もしも迷ったら、田村耕太郎さん(シンガポール国立大学リー・クアンユー公共政策大学院兼任教授)の新刊「君はなぜ学ばないのか?」を読んでみましょう。ご自身がNUSの公共政策大学院で企画デザインして実施している人気の「アジア地政学プログラム」のこととこのプログラムを有効に活用するのに哲学が必要だという趣旨の書籍なので、直接中学受験に関係ないのですが、この視野を持っている私立中高一貫校は、すでにあり、しかも未来はそれらの学校に期待が市場ではかけられているのは、受験市場だけの話ではなくもはやOnly One Earth として世界が政治・経済・教育が動いている観点からも納得がいくかもしれないからです。
★もちろん、田村さんの拠って立つところはビジネスですから、私立学校の教育システムにダイレクトにはつながらない部分も多々ありますからトポロジー変換(要するに読み手がチューニングして読む)をして、耳を傾ける多様性を大事にする寛容な構えは必要です。
★しばらく、田村さんのものの見方・考え方と私立中高一貫校の教育観を比較考慮しながら、これからの私立中高一貫校の選択について考えてみましょう。
★田村さんは、経済成長=人口×資本×イノベーションだと方程式をつくっています。日本は資本主義社会ですから、これは大前提です。ただ、私立学校は、教育組織ですから、田村さんのいう哲学は大事にしています。ですから、経営陣だけではなく探究で、教師も生徒も、哲学対話などの手法を使っていると表現していなくても、経済成長とはそもそも何か?人口は多い方が良いのか?格差なき資本を生み出すにはどうするのか?イノベーションとはそもそも何か?など問い返すわけです。このことは田村さんも否定はしないでしょう。
★しかし、田村さんは、事実として、日本は博士号を取得する率が低いことを挙げて、このことが意味することは何かを問いかけます。
★実は、学士号も他国と比較すると低いのです。これらのことは何を意味するのか、田村さんの本を読まなくても推測できる方もいるかもしれません。
★イノベーションは、人々の智慧とテクノロジーと世のため人のためという愛から生まれます。このことは田村さんご自身が述べています。そして、国際比較をすることはグローバルな視野を広げる(井の中の蛙にならない)ことだと考えれば、なぜ私立学校でグローバル教育が必要かということがわかるでしょう。グローバルな時代は終わったとか国際理解教育でよいのだとかまずは国語教育だ(国語教育は必要なのはあたりまえのことです)とかいうコメントは結構多いですが、グローバルな状況に目をやらなければ、それこそ日本丸やその乗組員である国民は、タイタニックさながらになるわけです。
★また、田村さんはご自身の「アジア地政学プログラム」が売れているのだと。つまりソフトパワーを日本人も作りなさいと。今、私立中高一貫校は、海外に学ぶだけではなく、海外から憧れられ、日本の私立中高一貫校に留学したいという価値を生みだそうとしています。
★このことについては、shuTOMO9月号の特集「私立中高一貫校 グローバル教育の大転換」で首都圏模試センター編集部がまとめています。
★この流れを見据えている学校が、50校近く何らかの形で紹介されています。紹介はされていませんが、共学化などで新たにコースなどが開設されて、グローバル教育の成果がこれからという学校も含めると首都圏私立中高一貫校の20%は、すでに動き始めているということでしょう。英語教育のフェーズを超えて、世界が憧れる学校という意味です。
★そして、イノベーションを生み出すソフトパワーですが、なぜ探究に力を入れている私学が多いのか?その回答がそこに行き着きます。学習指導要領で想定されている以上の取り組みを行っているのです。高大連携や大学の教授とその大学院生とコラボしてプログラムをDE-SIGNしているのです。
★しかも、生成AIは、事務機能として活用するだけではなく、パートナーとして授業でも活用され始めています。毎年、東京だけでなく、全国で私立学校向けの研修が目白押しですが、最近では、生成AIの話題や、ワークショップで当然生成AIを使いながらというプログラムが急激に増えています。
★テクノロジーやエンジニアリングの活用は必須の状況になっています。したがって、この環境で学んだ生徒は、将来博士号を取得する動機づけをここで生成しているといえましょう。もちろん、博士号を取得しなくてもジョブズやビルゲイツのように活躍できますが、一握りの人間だけが才能者になるのではなくと考えた時、博士号取得は今後重要になってくるでしょう。もちろん、その取得の仕方は、多様になっていきますから、その変化を私立中高もリサーチしていくことになるでしょう。
★ですから、大学合格実績は学校を選ぶ指標として大きくなります。しかし、それはどうやら偏差値が高い大学かどうかということではなさそうです。ソフトパワーを生み出せるかということですね。大学受験情報誌は、アプローチを変えてくれると嬉しいのですが、市場のプレイヤーの価値観しだいですね。
★いずれにしてもこれまでの話は、新しい価値の創出ということだし、問い返しということです。本質を見抜くということです。このことを田村さんは哲学だと言っています。
★哲学対話を実施している学校も多くなりました。大いに結構です。しかし、哲学対話という言葉を使っていなくても、田村さんの言う意味の哲学は、デザイン思考、システム思考、アート思考、IBLなどを行っている学校は哲学を実施しているといえるのです。
★哲学対話は、内省がメインです。デザイン思考やシステム思考、アート思考、IBlなどはベースがPBLです。PBLは実はプラグマティックな哲学と置き換えることができるのです。
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