★7月後半から8月いっぱいにかけて、日本私学教育研究所(全国私学対象)と東京私学教育研究所(東京私学対象)は、多様な研修を実施しています。両研究所の所長は平方邦行先生。したがって、所長は全国を飛び回って講演活動を一年中行っています。明日からは、東京私学教育研究所の初任者研修が2泊3日で行われます。東京の研究所も、すでに理事長校長部会と教頭部会の宿泊研修は終えています。ですからその都度研修の背景ビジョンの一貫性を確認するために、平方所長とは対話をするわけです。

★この理事長校長部会、教頭部会、初任者研修のうち初任者研修は、全国の初任者研修とも関連しています。前者2つは東京私学教育研究所独自で行うのですが、初任者研修は、日本私学教育研究所と東京私学教育研究所が東京の独自性を前提にしながら協働します。そのため、平方所長以外に東京の初任者研修担当の日本私学教育研究所の所員伊東さんとも対話をしていきます。
★その対話の中で、北海道地区研修会で行われた初任者研修の話がでました。伊東さんは札幌の研修会もサポートに行ったそうです。平方所長の札幌での講演と明日以降の東京で行う講演の内容の調整をするのが対話の目的だったのですが、お二人は、その研修会の分科会の1つで立命館慶翔中学校高等学校の講義も興味深かったというのです。聞いた限りでは、相当おもしろいなあと感じました。
★というのも、2027年以降少子化が激しくなり、今以上に私立学校の募集状況は厳しくなります。東京も急激に厳しくなると予想されています。しかし、北海道はすでに厳しい状況に置かれています。しかも、札幌は北嶺など勢いのよい私立学校もありますが、まだまだ札幌南や札幌北など公立高校が優位で、私立学校全体では決して順調とは言えないのです。
★その中で、立命館慶翔は、定員充足率は100%を超え、東大や京大にも合格者を出し、医学部医学科には65名も出しています。これだけ言うと、難関大学に合格するための教科別学力を集中している勉強をする体制のように思えるかもしれませんが、実は学際的な学びやグローバルな学びも充実していて、上記の座標でいえば、Ⅰ象限もⅡ象限もⅢ象限もⅣ象限も全部やっているのです。

★ですが、北海道の進路観は、まだまだ第Ⅲ象限です。ⅠからⅣ象限全体を見回す視座はあまりないわけですね。北海道の各自治体は、札幌南や北のような大学合格実績がよい公立高校が存在していて、北大か医学部というのが道内エリートのコースです。このエリートのイメージは、上記のマトリクスのように、ざっくりではありますが、日本的です。
★ところが、立命館慶翔は欧米のようなエリート観もあるのでしょう。明快にあるかどうか聞いた限りではわかりませんが、ⅠからⅣ象限すべて行っているということは、世界で通用するエリート像もあると言えます。ただ、エリートはいずれにしても支配層になるので、そこはジェントルマン教育が欠かせないとなります。渋谷教育学園幕張のいうノーブレスオブリージュですね。
★なぜ全部やるのか?受験生・保護者は先の座標のすべての象限にいるのですから、それぞれのニーズをリサーチして、入試制度を柔軟につくっていくわけです。

★東京では、2011年から生まれてきた21世紀型教育が2015年からパンデミックを経てその存在を受験市場で支持されるよういになりました。上記の座標でいえば、第Ⅲ象限を20世紀型教育とし、第Ⅰ象限を21世紀型教育とする認識が広まりました。2021年には21世紀型教育を行っているところの多くは世界大学ランキング100位内や200位以内の海外大学にたくさん合格するようになり、脱偏差値を標榜しました。
★ただし、これは東京の受験生がまだいるという事情だから、市場をそのように分ける戦略ができたわけです。ですが、日本全国では、そうはいきません。ですから立命館慶翔のようにすべての象限を行うというダイナミックなことが必要になります。
★東京も23区以外は、すでに北海道のような状況になりつつあります。特に西エリアである多摩地区ですね。そこで勢いを維持しているところは、やはり立命館慶翔のようにすべての象限を行うダイナミズムを起こしています。工学院や明星、駒沢学園女子などがそうです。
★ただ、東京のそのような学校は、2030年に向けて2ndStageに進んでいます。もはや20世紀vs21世紀という感覚はありません。おそらく立命館慶翔もそうなのでしょう。
★今目の前の中高生は、2050年には、40歳近くになっています。その時、21世紀後半、つまり22世紀に向けて新しい社会を構想し構築しているのは、今目の前の中高生なのです。ですから、上記の座標のどの象限を教育するかという選択戦術の話ではなく、すべてやる。インテグレートするという2ndStageに進み始めているのでしょう。
★そんな感じを平方所長と伊東さんと対話して感じましたが、インテグレートでは、上記の座標は固定化されたままです。そこで平方所長は東京で3rdStageを構想し始めました。ただ、研究所は思想として構想することはしないのです。東京の研究所は東京私立中学校高等学校協会に所属する部署なので、東京の私立学校全体の具体的状況をリサーチしながら、ユートピアではなくプロトピアを構想するというやり方です。インテグレートからフュージョンへとなると新しい化学変化が起こるであろうという予想を立てながら、どう融合していくか、目には見えない多様な教育活動要素をつないでいく作業が始まります。
★明日からの初任者研修は、その見通しとを立てる意味でも手ごたえを感じ取る意味でも大切な機会です。初任者の先生方と2ndStage、3rdStageを共創していくわけですから。
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