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2025年7月

2025年7月31日 (木)

7月の30位以内のアクセス数のリフレクション

★夏休み直前、私立中高に関連するどんな情報が注目されているのか、7月の本ブログのアクセス数多い順30位を調べてみました。

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★そして、情報の要素を5つに分け、それぞれの記事がどのような要素を有しているのか、その偏り分布を表したのが次のグラフです。教育内容が多いのは、本ブログの特色でしょうから、教育内容を意識してアクセスされたかどうかは判断できません。むしろ、これら5つの内容すべてををもう少し意識してこちらが発信していくことが重要だということでしょう。

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1:shuTOMO7月号「保存版」 私立中高一貫校における「あわい」の概念を...
2:中田大成先生 日本女子大学附属高等学校の校長に就任
3:2025年中学入試 広がる英語入試・英語資格利用入試 偏差値ランキングの...
4:工学院 世界にインパクトを与える教師&生徒!
5:変わる私立中高(04)芸術系大学に多数進学する中高一貫校 女子美1位、吉...
6:八雲学園 海外大学合格者数ベスト10入り in 首都圏
7:聖学院 見えない数学 虚数の存在を巡って探究数学
8:かえつ有明の副校長佐野先生のチーム作りの言葉
9:shuTOMO7月号 山下一代表率いる首都圏模試センター編集部の私立中学...
10:今更ながら私立中高一貫校のグローバル教育の意味
11:聖学院 リベラルアーツのあふれる教育
12:東京私学教育研究所 理事長校長部会(私学経営研究会)開催
13:私立中学校選択 氷山モデル(11)2026年度から大学入試の枠組が新しく...
14:水野修先生 新校長に就任 和洋九段女子
15:変わるカトリック学校 サレジアン国際学園世田谷の学園長大橋清貫先生 サレ...
16:私立中学校選択 氷山モデル(02)教育の質向上の5つのタイプ
17:2025東大合格者発表のシーズン(09)洗足学園 理Ⅲ 2名合格
18:和洋九段女子 NEXTの時代へ
19:3つの観点別学習状況の評価から「主体的学習態度」は外される?私学は独自に...
20:私立中学校選択 氷山モデル(05)教育の多様性革命 - 子供に合う学校選...
21:私立中学校選択 氷山モデル(12)5つのタイプそれぞれの学校の例として3...
22:富士見丘 グローバル教育としての組織力
23:グローバルリーダー育成とは実は2050年社会のリーダー育成(01)どんな...
24:私立中学校選択 氷山モデル(04)教科授業と探究のつながりが質を生み出し...
25:私立中学校選択 氷山モデル(03)新タイプ入試の新しい意味の出現 インタ...
26:私立学校のキャリア教育基盤 従来のエリート養成でもカウンターエリート養成...
27:文化学園大学杉並 サイトで人的資本力を公開 染谷先生理事長補佐に就任: ...
28:私立中学校選択 氷山モデル(09)城西大城西 Quantum leap(...
29:国立音楽大学附属中高 変わる未来のリベラルアーツ学校
30:私立中学校選択 氷山モデル(06)グローバル教育の意味 大妻中野モデル ...

 

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2025年7月29日 (火)

私立学校のキャリア教育基盤 従来のエリート養成でもカウンターエリート養成でもない アジャイル型リーダーの基盤

★世界的なトランプ現象をどうとらえるのか?参院選も敗退した自民党による日本の今後の民主主義の行方はどうなるのか?権威主義的な政治になっていくのか?など政治思想やAI時代の視点でとらえるレンズは、石田健さんの「カウンターエリート」という考え方がヒントになると思います。

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★石田さんは、最近メディアで活躍していますが、石田さんの会社「The HEADLINE」は、同社サイトで政治や社会の複雑性についてわかりやすく、しかし深く突っ込んで解説していて、その編集長を務めてもいます。

★現在の権威主義国家台頭時代をトランプをどう読むかというのではなく、トランプのような人間が生まれてきた歴史的政治的経済的人間的諸関係を「カウンターエリート」の台頭というキーワードで鷲づかみしています。

★石田さん自身は、カウンターエリートではなさそうですが、従来型の学歴社会を支える官僚的エリートとは全く違います。テクノロジー楽観主義的な破壊者の台頭が社会を変えることに期待をしている雰囲気があります。が、その社会がユートピアかディストピアかはいったん判断を停止しているようです。

★私立学校は、明治以来、教育行政や助成金の問題で、時の政権の影響を被ってきました。私学撲滅法と闘ってきた歴史も、助成金を勝ち得る活動もしてきた歴史もあり、政治権力とは距離を置きながら交渉をし続け、本当に重要な問題を見失わず、それを死守する教育を行ってきたのです。

★ですから、エリートに与することも反エリートに与することもなかったし、これからもないのですが、エリートVS反エリートという構図ではとらえられない昨今の政治経済の時代をどう読むかは重要だと仲間内で議論が続いていました。そんなとき、ちょうど石田健さんが「カウンターエリート」という概念を創出したわけです。

★わかりやしけれど、同時に政治の意味の所在の流動性を、新しい概念でとらえるところは、アカデミシャンではないからできるのかもしれませんが、論理的思考を超えて創造的思考を大いに発揮している「シン・現代思想家」の一人かもしれません。

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★そんな思いを生成AIにぶつけて、従来のエリートでもなくカウンターエリートでもない私立学校のキャリアデザインの基盤はどんなリーダーを生み出す可能性があるのか、問うてみたところ、上記のようなマトリクスを作成してきました。

★アジャイル型リーダーということです。権威に屈せず、協働的、共感的、共創的なキャラクターで、単なる破壊者ではなく、変化を好転させる創造的破壊の活力をもったリーダーということでしょう。生成AIおそるべしです。

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2025年7月26日 (土)

グローバルリーダー育成とは実は2050年社会のリーダー育成(01)どんな学校がモデルになるのか?

★グローバルリーダー育成とは、東京の私立学校なら、文言は違っても、どこの学校も使命感を抱いています。とはいえ、もしも東大をはじめとする超難関大学が2015年前の段階の組織づくりをしていた場合、その使命を必ずしも実現する場ではなくなるかもしれないという不安は膨らむ一方でしょう。ですから、2015年から私立学校の中には海外大学進学準備教育を大胆に進めてきた学校も多かったのです。海外の大学も射程に入れるキャリアデザインか、国内超難関大学だけを射程に入れるキャリアデザインか?

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★しかし、東大が2027年9月からCollege of Designという学部を新設することによって、この不安は払しょくされる道が急激に開けたのです。その理由は何であるのか?それは東大の総長藤井教授が多くで語っているので、私が説明するまでもないでしょう。

★東大のサイトで、この Collegeの目的を見てみると、次のようにあります。

 A new kind of college for our changing world

社会は、これまでの枠組みを超え、世界の人々とともに、未来を創造していくリーダーを求めています。UTokyo College of Designはデザインを、様々な学問分野から得られる知識を融合して社会貢献へとつなぐ効果的な手法と考えています。人や社会に接して共感すること、ビジョンを構想すること、プロトタイプを作って現実世界でテストすること、チームワークで多様な意見を生かすことなど。

デザインにはイノベーションを生むための多様な方法論が含まれます。 UTokyo College of Designは、深い知的好奇心と、実践的な行動力を備えた、次世代のイノベーターを育成します。UTokyo College of Designは、秋入学を採用し、授業をすべて英語で実施します。そうすることで、世界中から意欲ある多様な学生が集まる場所を目指します。

★多様な分野の知識を「融合」して世界を変える未来を創造していくリーダーを育成するというのです。これは東京私学教育研究所所長平方先生が3年前から、上記のような図を描きながら、私立学校の未来のビジョンを説いてきた考え方にほぼ一致します。

★平方所長は、2013年に工学院大学附属の校長に就任して2020年まで在職している間に、まだ日本の大学がこの域に達していないこと、つまり「論理的思考」だけではなく「創造的思考」も入試で問うアドミッションポリシーが前面にでてこないこと、英語の4技能を前面にうったえていないこと、PBLがまだ行われていないこと、ICTの重要性が見えていない点などを見抜き、これらを前面に中高の段階で打ち出す21世紀型教育を実施し、海外大学進学準備教育を押しすすめ、実績を出してきました。

★そして、東京私学教育研究所所長に就任してからは、このビジョンを東京の多くの私立学校の理事長校長と議論し、共有してきました。しかし、生成AIが登場し、内閣府主導のムーンショット計画が現れることによって、新しい22世紀型教育を模索するようになり上記のような図でビジョンを表現してきました。

★そして、東大のCollege of Designの登場です。今後この流れは日本の各大学に波及していきます。いやすでに、早稲田大学や慶應義塾大学は、先に進めているかもしれません。

★しかも、College of Designのアイデアは、日本の大学進路指導で、国内大学×海外大学準備教育の「融合」キャリアデザインを果たしてしまうという優れものです。世界レベルの研究機関が日本に広がり、しかも、AIによって、ムーンショット計画にあるように、すでに時間も場所も超えて活動できるようになるのですから、生成AIの社会実装以前と今では、グローバル教育やSTEAM教育、アントレプレナーシップ教育など、2015年から現れてきた教育の在り方がまるで変わります。

★英語と数学と生成AIを自在に使うことによって、専門的知識を学際的に「融合」する創造的知性=ワールド・メーキング・ウィズダムを育てることが、新しい2050年社会のイニシャチブをとる22世紀型社会リーダーを育成することになるでしょう。

★そんな遠くの話と思いますか?今目の前の中高生が2050年になると、その生徒はみな40歳前後に成長しています。つまり2050年社会のリーダーになっているはずなのです。「いまここで」このような22世紀型社会リーダーを育てる教育は、即「未来」につながっています。青年即未来とは、麻布の創設者江原素六の言葉です。私学人とは本当に凄いですね。

★さて、ではどんな学校がそのような教育を実施しているのでしょうか?グローバル教育に力を入れている学校は、言うまでもありません。しかし、実に興味深いのは、東京の男子校はすべてこの未来を切り開くリーダー育成の教育をすでに行っていたのです。足立学園や佼成学園、巣鴨、本郷が人気があるのは、受験生・保護者がそこに気づいているからですね。もっとも、本郷は、御三家や駒東、海城のように男子校ブランドという理由で選ばれている要素もありますが、足立学園や佼成学園、巣鴨のように、進歩主義的男子校というイメージも兼ね備えています。

★グローバル教育推進校は共学校が多いですね。女子校は、グローバル教育路線と男子校路線と伝統型路線の3つに分かれていますが、苦戦している女子校の中で人気のある女子校の共通点は、山脇、三輪田、湘南白百合のように3つとも「融合」した新しい教育を実現しています。

★グローバル教育と探究とSTEAM教育の三本柱は、確かに進歩主義的教育で人気を獲得していますが、2026年からは、それだけではない新しい教育の在り方が生まれてきます。いやすでに生まれています。夏の間は、ここら辺を思いめぐらし、メモしていこうと思います。

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2025年7月25日 (金)

大学入試≠学歴社会の起点 2050年にはすっかり変わっている

★昨日から教頭部会の宿泊研修が行われています。理事長校長部会に引き続き教頭部会は連続宿泊研修です。この両方に参加していて気づくことは、理事長校・教頭のパッション・ミッション・トランスフォーメーション・イノベーションの熱と視座の高さ広さです。そして、何より短期的実現と長期の眼差し。それは現状矛盾をはらみますが、そこを乗り越えようとするネガティブケイパビリティの精神に頭が下がります。

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★短期的実現とは、目の前の社会問題が学校にも押し寄せてきていますから、そこの対応です。理事長校長・教頭はマネジメントチームですから、それぞれのロールやツール、ルールの違いと共通点を確認しながら、先進的イノベーション問題や学校の法化現象にリーガルに対応できる技術を確認しています。

★そして、長期的戦略とは、パラダイムシフトの読みをめぐる問題です。教育の本質をゆがめるポピュリズムが横行し、それが実はパラダイム転換の姿を映し出し始めています。このポピュリズムは、やはり民主主義の国でありながら、権威主義的学歴社会が背景にあるというおんは否めません。

★ですから、ここは是正していくことによってパラダイムシフトを良き方向に導けます。

★その方法の一つとして、大学入試≠学歴社会の起点となってきた民主主義国家でありながらシャドー権威主義を温存してきたシステムを変えることです。

★これは、少子化とそれによる経済低迷という喫緊の課題にぶつかっている大学をはじめとする教育界全体でシステムの脱構築が始まっています。

★世界では権威主義国家が多い中、日本は民主主義国家の道を明治以来歩んでいます。しかし、内部には見えない権威主義は残っていますから、民主主義を続ける限り、この内部の見えない権威主義を払しょくしていく必要があります。ハラスメントの問題も実はこの動きの1つでしょう。

★実際、大学は必死です。海外の大学と肩を並べ、いやそれ以上にイニシャチブをとるにはどうするか考えています。そんなときに古い既成概念を持っている有識者がFランというようなキーワードを使い、足を引っ張りますが、それぞれの大学は生き残りをかけています。それは国内の学歴ピラミッド構造の打破です。それには世界を収める広い射程が大事ですね。

★かつて学歴社会の起点となる大学入試時代は、私立学校は大学入試のために教育はないと語ってきました。しかし、学歴社会を脱する大学の入試向けて教育が行われるのはむしろウェルカムであるという時代のウネリが生まれてきました。

★したがって、私立学校は、このような変わろうとしている大学、サバイバルしようとしている大学をキャリアデザインの一環としてリサーチしているのです。

★もちろん、学歴社会は一方では続いています。しかし、変わろうとしてもいます。大学当局ではない私立学校は、それゆえ、海外大学進学準備教育を行い、多くの私立学校から海外進学の卒業生を輩出しています。これは一つのゆさぶりになっているはずです。

★また、中学入試では、多様な大学入試の改革を先取りして、多様な新タイプ入試を開発実施しています。その結果、2科4科入試で進学してきた生徒以外にも、学びの成果を生み出す才能時に巡り合っている実績を積みあげています。

★このような流れは、すでに早稲田大学の入試の多様化と連動しているはずです。

★そして来年度の高3生は、東大のCollege of Designを受験することができるようになります。あの一般選抜試験を受けない受験生が新たなに100人生まれます。小さな話だと思いますか?東大が動けば、よしあしはともかく、多くの大学が影響されます。今までもそうでした。

★この入試では、英語力とイノベーション力と思考力が問われます。論理的思考力だけではなく創造的思考力まで問われます。学歴社会や偏差値というのは、創造的思考を軽視してきた社会システムです。

★論理的思考力は、創造的思考力に比べ、普遍的の側面を持っていますから、当然習得の時間と出力の競争になります。基準が一つですから。ところが創造的思考力は、生徒一人一人によって違います。競争から共創とはよくいったものです。

★もちろん、2025年と2050年では様相はかなり違います。まだ見ぬ2050年の話をするかどうかは、それぞれの学校によって違うでしょう。

★ただ、一つ言えるのは、今目の前の中高生は2050年になったときは、40歳代前後になっています。今の教頭先生方と同年代です。つまり、社会をリードしているわけです。その社会を今の社会問題をそのまま残す必要など全くないことは火を見るより明らかです。

★教師中心から生徒中心の教育へといまここで変えることは、その瞬間その瞬間が未来に直結する時代になってしまいました。

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2025年7月23日 (水)

東京私学教育研究所 理事長校長部会(私学経営研究会)開催

昨日から東京私学教育研究所は東京私学の理事長校長部会を開催しています。その理事長校長、私立中高協会の役員、私学部、私学財団の方々がおよそ60人参加。昨日の午前中は、教育行政やその根拠になっている法律と私学経営はどのような立ち位置にあるのかの勉強会。公立と私立は違いがあるため、公立学校を前提とした教育行政や法律が私学に与える影響を巡って確認をしました。

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(リーダーの進化5つのレベル)

★私立学校は、建学の精神に基づいて教育を行っています。建学の精神は、実定法を包括しながらさらに大きな社会理想に向かうリーダーを育成する原理なのですが、国の法律は法実証主義ですから、そのような法は法であってそれ以上でも以下でもないという考え方ではないのです。法そのものが正当であるのか信頼性はあるのかなどをメタ認知したうえで、法実証主義的な現場の状況を均一化して法律を決めることを必ずしもよしとはしないのです。

★もともと私学の系譜は、啓蒙思想やキリスト教、仏教などの宗教観などから生まれてきているので、長い歴史の中で、近代国家日本とはせめぎ合ってきました。私学撲滅法のような法律もあったし、一方では現代の私学助成法のような私学を支援する法律もあり、その時代その時代の国のあり方によって私立学校は、法律の解釈や法律制定過程で議論してきました。

★私立学校は、日本という国を守ると同時に、世界の国々との関係性をよりよくしていく地球社会を生み出すリーダーを育成する教育をしている学校が多いのです。それを実現する教育を行う自由は、自分たちが守っていく必要があるわけですね。それゆえ、このような合宿研修が行われています。月に2回協会の常任理事会や理事会でも共有していますが、より広く深く理事長校長どうしが対面で話し合う貴重な時間です。

★昨日の午後は、9人の弁護士の先生方とそれぞれのテーマごとに理事長校長が集まり、最新の教育の法化現象の情報を共有しました。ここは、分科会ですから、それぞれの学校が現場で起こる問題解決方法の情報共有の場です。ただ、理事長校長の場合は、経営的側面からアプローチしますから法的側面や法的根拠を確認しながら共有していきます。そして、法実証主義的な判断と建学の精神という自然法論的法律観の違いをどのように調整するのか、夕食後も対話は続きました。ネガティブケイパビリティの熱が凄かったです。

★理事長校長のリーダーの資質レベルは、やはり高いと実感。自分の学校さえよければよいという自己中心的リーダーはもちろん1人もいません。様々な難局をともに乗り越えようと共感し共創していくリーダーシップを発揮しています。

★そして、それができるのは、実は未来の社会をどうするのか社会づくりのビジョンと教育においてそれを実現しようというパッションとミッションを有しているからですね。そして、それを実現するためにイノベーションも視野に収めています。

★本日は、上記の図で言えば、第4段階から第5段階までのリーダーの眼差しを研ぎ澄ます研修になります。最後講義は大学の教授から生成AIの最新情報を実際に生成AIを活用しながら理事長校長自身が学びます。リーダー進化論の肝は、リーダーも学び続けるということなのでしょう。

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2025年7月21日 (月)

shuTOMO7月号 山下一代表率いる首都圏模試センター編集部の私立中学の教育の新しいものの見方・考え方「IBを超える教育環境をデザインする私立中高一貫校」

★ShuTOMO7月号には、山下一代表が率いる首都圏模試センター編集部が、私立中学の教育の新しいものの見方・考え方で論稿する「Only One Earth Project」が立ち上がっています。今回も「IBを超える教育環境をデザインする私立中高一貫校」というテーマで、IBやAレベル、APなど高度な世界の教育を学ぶ一方の私立中高一貫校だったのが、今やそれ以上の教育を創意工夫している私立中高一貫校が現れたという趣旨の論稿を載せています。

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★海外の高度な教育にあって、日本の学習指導要領にない教育を丁寧に論考し、それに気づいている私立中高一貫校が、そこを独自に補うことで、海外の高度な教育を行っている学校が、リスペクトして、互いに学ぶ交流が行われている学校の例を挙げています。詳しくは手に取ってお読みください。

★例として挙げられているのは、

・駒沢学園女子

・桜美林

・聖学院

・桜丘

・文化学園大学杉並

・八雲学園

・工学院大学附属

★同記事の最後は、「山下一のAwareness」というコーナーがあります。そこで、同センターの代表取締役である山下一さんは、次のように中学受験生にエールを贈っています。引用させていただきます。

受験生の皆さんは、ニュースで世界の戦争や災害について学び、「どうしたらよいのだろう?」と考えていると思います。また、AIの進化や宇宙への夢が広がる中で、希望と危機が入りまじる世界をどうよりよくするか、深く考えていることでしょう。

入試の問題は学校の「顔」です。こうした問いを出す私立学校は、入学後も広い視野を持ち、深く考える力を育てる学びの場を作っています。
このような教育は、世界的に優れた「IB(国際バカロレア)」と似ています。IBは質の高い教育ですが、受けられる生徒は限られています。一方、今回紹介した私立学校もIBと同じくらいレベルの高い教育を行い、在校生は全員その学びを受けられます。どちらもすばらしい教育です。ぜひ、学校説明会に行って、自分の目で確かめてみてください!

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【保存版】my TYPE! 第13号 中学入試と大学入試をつなぐ見えない糸を可視化

★my TYPE! 第13号(2025年7月13日発行)の【特集】「保護者の時代とこんなに違う!変わる大学入試と日本の教育~2030年以降の社会に生きる子どもたちの力を育てるには?」を執筆しているのは首都圏模試センター 取締役教育研究所長北一成氏。同中学受験情報誌は保存版です。

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★北氏は、説明するまでもなく、私立中学の学校情報と学校に与える行政政策のプラスマイナスの両面からの影響との関係を収集分析し、明治に遡る近代教育の歴史に学びつつ、未来の教育をデザインしてきました。氷山モデルでいう目に見える情報を整理し、その水面下にあって目に見えない教育の本質や歴史的価値を言語化する稀有な情報研究所の重鎮です。

★多くの私立中高一貫校が、北氏のビジョンに共鳴し、そして励まされ、入試改革を押し進めてきたのも歴史的事実です。「新タイプ入試」のこれだけの発展は、一貫して北氏の影響力は絶大であり(他の情報シンクタンクは、最初は新しい入試をネガティブに見ていて、首都圏私学の50%が実施すると手の平を返したのです)、その私立学校の動きが大学入試改革にまで影響を与えているといっても言い過ぎではないでしょう。

★その北氏が、このような未来をデザインする時、実は、公立中高一貫校の動きを丁寧にリサーチもしているのです。というのも、公立中高一貫校や日比谷のようなスーパーモデル都立高校は、文科省や経産省の教育行政の新機軸を丁寧に現場に浸透させる自治体の教育委員会の動きがストレートに反映しているため、それらの動きをリサーチしていくと、国の教育政策が手に取るようにわかるからです。

★そして、一方で私立中校一貫校は、その動きを取集しながら独自色を出す創意工夫をしているため、ある意味、未来を先駆けるわけですから、公立と私立の両方の動きを分析することによって、未来が見えてくるのです。

★公立も私立もどちらも未来を見据えながら、妥当な現実的な路線を見出しながら進んでいます。全国の中高の教員はざっくり50万人います。その多様な叡智が公立と私立の中高に集まって、学校は運営されています。

★ですから、それぞれの学校で今ここでどんな教育実践をし、未来を見据えているのか、北氏が言語化することで、先生方のいまここでどんな未来を描いているのかリアルな志向性が見えてくるのです。

★今回の北氏の論稿は、丁寧に教育行政の歴史を分析しながら、そこから未来に向かう新しい教育の在り方を見出しています。2040年から2050年に向けて内閣府が総力を挙げて新しい社会を生み出すムーンショット計画まで射程を広げ、今求められている新タイプ入試や適性検査型入試の意義を理解しながら、新しい中学受験勉強の意味を説いています。

★どんな論稿か?それはぜひ手に取ってお読みください。目からウロコです。

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2025年7月18日 (金)

shuTOMO7月号「保存版」 私立中高一貫校における「あわい」の概念を活かした教育の探究 

★shuTOMO7月号の特集は保存版です。教育ジャーナリスト市川理香さんは、「あわい」というコンセプトレンズを通して私立中高一貫校の教育の新しい見方を映し出しています。

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★総合地球環境学研究所(地球研)のような研究機関や京都大学前総長山極寿一先生のような研究者が、日本の従来の環境思想を軸に地球規模の議論を展開することで、現代の環境危機に対する新たなアプローチを可能にしようとしています。地球研で開催された国際シンポジウム「DANCE WITH ALL」は、このような取り組みの重要な一環として、日本の伝統的な思想である「あわい」の概念を再評価する機会となっています。

★この「間=あわい」というコンセプトと私立中高一貫教育を結びつけているのが、市川さんなのです。現代社会は二分法的思考に支配されており、「白黒をはっきりさせる」ことが重視されています。しかし、壊れかかった地球と生物圏を救うためには、この硬直した思考から脱却し、「あわい」という日本の伝統的な概念を再評価するダイナミズムが起きているのです。

★そして、その動きは、私立中高一貫校の教育実践でも起きているというのです。つまり、「あわい」の概念を活かした教育の可能性ということです。日本の私立中高一貫校には、「あわい」の概念に相当する豊かな教育実践を行っている学校が数多く存在します。これらの学校を探究することで、現代教育の新たな可能性を発見できるでしょう。

★たとえば、「あわい」の概念は、教科の境界を越えた学びを促進します。理系と文系、知識と体験、個人と集団の学習を自然に結び付ける教育プログラムを実践している学校では、生徒たちが多面的な視点を持って問題に取り組む力を育んでいます。

★また、6年間という時間軸を活かし、生徒同士や教師と生徒が深い信頼関係を築く教育環境を提供している学校があります。この関係性の中で、相互に影響し合いながら成長する「あわい」の精神が実践されています。

★さらに、論理的思考と直感的創造的思考、分析力と統合力を同時に育む教育カリキュラムを持つ学校では、生徒たちが複雑な現代社会の課題に対して柔軟で創造的なアプローチを取る能力を身につけています。

★それになんといっても、環境教育や社会貢献活動を通じて、人間と自然、個人と社会、現在と未来の間にある複雑な関係性を理解させる教育を実践している学校があります。これらの取り組みは、「あわい」の概念そのものといえるでしょう。

★このような私立中高一貫校で「あわい」の概念を活かした教育を実践している学校は次のような価値を生み出しています。

➊新しい教育モデルの発見:従来の枠組みを超えた革新的な教育実践から、未来の教育の方向性を見出すことができます。
➋多様な才能の開花:一人ひとりの個性を尊重しながら、他者との協調性も育む教育の具体的な方法論を学ぶことができます。
❸グローバル社会への対応:日本の伝統的な思想を基盤としながら、国際的な視野を持った人材育成のあり方を探ることができます。
➍持続可能な未来への貢献:変化の激しい現代社会において、柔軟性と創造性を兼ね備えた次世代の育成に向けた教育のヒントを得ることができます。

★このような私立中高一貫校の教育が、壊れかかった地球と生物圏を救うためには、「あわい」という日本の伝統的な概念を再評価するダイナミズムに直結していることは間違いないでしょう。

★そして、市川さんは、このような私立中高一貫校の事例として、次の学校を取材し詳しく論考しています。

・桐朋女子

・昭和女子大昭和

・田園調布学園

・十文字

・巣鴨

★ぜひご覧ください!

 

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College of Design 新しい倫理を生み出す可能性 倫理は自由と葛藤を生むのではなく、自由を生み出す物理的精神的時空場システム

★2027年に東大がCollege of Designの入試を実施することによって、今までの道徳や倫理の考え方から生徒ばかりか学歴社会に困惑させられてきた人々はようやく解放される可能性がみえてきました。えっ!?何をと思うかもしれません。従来の一般選抜は知識中心で、少し論理的思考が必要でした。これが妥当だとみな思っていたということですから、客観的知識に従い、論理的な筋道以外は認められないという道徳や倫理が正しいと思われてきたのです。

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★ですから、どんなんに創造的思考がポイントだとか、批判的思考がなければ自由は獲得できないでしょうと語ったとしても、それは道徳や倫理の秩序を揺るがす出る杭でしかなかったのです。そんなあ大げさなあと。本当ですか?

★専門知識と論理が組織の枠組みをつくり、そこを外れると秩序を乱すという感覚は、意外とあるあるです。

★だから、チェンジメーカーだとかイノベーターだとかは、特殊な成功者の話であって、多くは専門知識と論理的思考をトレーニングされ、それが社会正義だという感覚に囚われてきたでしょう。それを培ってきたのが、大学入試です。まさか?そう思いますか。

★幼少中高のキャリア路線は、最終的には大学や専門学校もふくむざっくり90%の世界に回収されます。10%は就職しますが、大学生などと違い就職活動は極めて限られていて、大学や専門学校に進む生徒と同じカリキュラムをこなして卒業し、就職するのです。

★この彼らが学習指導要領で学ぶことが道徳であり倫理であり権利でありとなるわけですから、この延長線上の専門知識と論理的思考をしっかり身につけることは倫理=責任と無意識のうちに思ってしまうのは当然です。

★これは、もう倫理=責任=義務=法律となるのです。法実証主義において、法律と倫理は実は同じことです。法実証主義は実定法≦自然法という考え方はありませんから、倫理も法律の中に包摂されます。

★もちろん、頭の中では学者や法律家は、法律と倫理の違いは明快です。しかし、実際には法律が優先しますから、倫理は結局目に見える法律に制約されてしまっているのです。これが日常感覚でしょう。

★ところが、今回大学入試の在り方が、創造的思考力や社会正義、貢献というキーワードを含むようになるわけです。創造的思考力は、自由がなければ生まれてきません。論理的思考は自由がなくても成り立つわけです。ですから、創造的思考力を社会実装すると社会正義や貢献というあり方も変わります。当然新しい倫理も生まれます。

★法律=倫理だと錯覚してきた世界では、倫理と自由はぶつかり合い、バランスをどうとるのかが問いでした。しかし、新しい倫理ではこの問いはそもそも成り立たない。倫理は、創造的思考をインスパイアーする自由の物理的精神的時空場として存在するのですから。

★すると、今までの問いの立て方や問いの立て方の方法論はすべて変わらざるを得なくなります。専門知識と論理的思考を絶対だと錯覚してきた世界で生み出される問いはすべてモニタリングのチェック項目にすぎません。

★世界観や宇宙観を生み出す問いは、自由を生み出す「倫理場」でこそ生まれます。そして、この「倫理場」を成立させるために法律はサポートします。この倫理場を成立させる条件として法律は機能しますが、倫理場の中に法律は直接は入り込んでこないのです。ただ、倫理場を崩そうとする動きに対して、リーガルマインドは発動することはあります。

★とはいえ、結局は法実証主義であるに変わりはありません。しかし、法律=倫理=責任というショートはしなくなります。その意味で新しい倫理が生まれる契機としてCollege of Designは役割を果たすかもしれません。結局東大が動かなければ、日本の教育界は動かないのかと思うと多少は残念ですが、自由を根っこ持っている麻布のOBである藤井さんが東大総長であるからなせる業だと思うことにすると、まあいいかとなります。。。

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2025年7月17日 (木)

私立中学校選択 氷山モデル(12)5つのタイプそれぞれの学校の例として36校

★ときどき、「首都圏の成功している先進的教育の事例と今後のトレンド」について講演する機会を頂いています。私自身は今はWSを中心に活動しているので、あまり講演は得意ではないのですが、ズラズラと具体例を情報提供するだけならとスピーチをする時があります。端的にV字回復と持続可能性についての事例の話です。今回のシリーズでご紹介してきた5つのタイプにわけてスピーチしてます。今回東大のCollege of Designのコースの入試要項が公表されたので、それに合わせて次のような座標ができます。どこかで使うかもしれません。

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★今まで、PBL型授業の話をしても、論理的思考で十分と思われる先生方も多かったので、この座標はピンとこなかったようですが、これからはこの座標が標準になる時代がいよいよやってきたわけです。事例として、スピーチの中で私が話す私立中高一貫校は、五十音で並べると次のような学校です。それぞれがどのタイプかはすぐにわかると思うので、ここではそこまでは述べません。少なくとも質停滞の△には次の学校は位置していないことだけでは確かです。

麻布
足立
鴎友学園女子
大妻中野
開成
かえつ有明
共栄
工学院大学附属
国士舘
駒沢学園女子
サレジアン国際グループ
桜丘
芝浦工大
渋谷教育学園グループ
城西大城西
湘南白百合
昭和女子大昭和
女子学院
巣鴨
聖学院
聖光学院
聖ドミニコ
洗足学園
田園調布学園
豊島岡女子
中村
広尾学園
富士見丘
文化学園大学杉並
三田国際科学学園
武蔵
明星
八雲学園
和洋九段女子

★新設校で、今後期待される学校は、羽田国際です。新設3年目の芝国際もこれから期待できます。今後ウォッチしていきたいと思いますが、いずれにしても、受験生の保護者の方が気になる学校は、説明会に行ってみてください。本間が言っていることと違うぞというのも大いにありだと思います。クリティカルシンキングが重要ですから。

★それにもちろん、上記の36校以外にもまだまだたくさん質の豊かな学校があります。ここでご紹介した学校は、スピーチの時に私がわりと知っているというだけです。今後私ももっとリサーチしていきたいと思います。

 

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私立中学校選択 氷山モデル(11)2026年度から大学入試の枠組が新しくなる転換点

学校の教育の質を高める5つのタイプのうちDEタイプ(DEconsutoructionとかDEsignという「脱」の意味を込めている)の学校は、すでに破格のグローバル教育を行っていて、大学入試タイプや大学進学の要素をつくるキャリアデザインは、すでに包括的普遍的です。そしてこのことが、2026年以降の主流になる時代がやってきました。

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★従来、国内の生徒の大学入試の指導をする時、一般選抜か学校推薦型か、年内入試かそうでないかという個別具体的な分類で戦略を立ててきたと思います。帰国生や留学生などの入試は、国内生には関係ないので、世界標準の資格を学ぶ生徒は海外大学進学準備教育だと思われてきました。

★したがって、国内大学を中心にキャリア教育を実施しているところは、当然海外大学進学準備教育は射程に入ってこなかったのです。ところが、突出したグローバル教育を行ってきたところは、両方すでに射程に入れてきました。

★それが東大の2027年9月入学の<College of Design>のコースの入学試験が実施されることになって、いよいよこの突出型グローバル教育を実施してきたキャリア教育がモデルになる時代がやってきました。

★上記のように、国内生か帰国生かという分け方ではなく、学習指導要領で高校卒業式をとる生徒か、学習指導要領も勉強しているが、世界標準の卒業資格を得る学びをしてきた生徒かに大きくわかれるわけです。

★そして、基礎学力、小論文、志望理由書、面接という4つが大学入試の基本要素となります。この要素のアレンジが、一般選抜や総合型選抜、海外大学アプリケーションなどで違いが出てくるだけです。

★また基礎学力のところは、学習指導要領ベースの生徒と世界標準資格ベースの生徒では違いもあります。共通テストを受験するかしないかの違いです。

★一般選抜は、基礎学力の共通テストの部分がさらにその応用発展ペーパーテストになるだけです。他の小論文や面接などの要素はない場合が多いですね。これからのAI時代は、ここだけに偏った学びだけでよいのかは、すでにみな疑問を持っています。ですから、東大でさえも、多様な入試を実施しているわけです。そして今回の2027年9月入学の入試は、今後の大学入試の基本要素を包括的普遍的な次元へシフトさせる影響があるでしょう。

★最近トレンドの、念内入試も、共通テストは1月に実施されますから、それに代わって、その大学が独自に基礎学力テストを実施します。それだけでは、一般選抜の期日としてフライングになり文科省から指摘を受けますから、小論文や面接など学校によってアレンジしてくるわけです。

★そして、特筆すべきは、今回の東大の見識は、入試要項に「創造的思考」というキーワードを埋め込んだことです。一般選抜では、論理的思考さえ身につけてくればよいのだというかつてある大学教員が言っていたとおりの試験だったのですが、東大も外国学校卒業者対象試験(帰国生や留学生対象)を実施していて、そこではIBのTOKを意識していると大学当局が言っているぐらいなのです。

★ただ、それを学習指導要領ベースの生徒には示してこなかったのです。もちろん推薦入試では示してきましたが、それも一握りでした。しかも英語ベースではありません。

★いずれにしても、外国学校卒業者対象の試験と推薦入試とCollege of Designの入試で、10%弱の生徒は創造的思考を意識して東大に入学するわけです。このインパクトは大きいですね。東大の10%は、他大学では30%以上のシェアになる影響力があるからです。

★すでに早稲田大学や慶応義塾大学では、新しい大学入試の要素のアレンジで入試を改革してきています。

★2040年には、この10%が東大でも増えることになるでしょう。東大が20%にシェアを増やしたら、他大学では60%シェアになるでしょう。学習指導要領ベースの生徒ももはや世界標準資格と同等の質をもった学びをするようになる転換点が2026年です。

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2025年7月16日 (水)

私立中学校選択 氷山モデル(10)心理的安全を大事することは大切だが、弱さを受け入れられる関係性に偏るのは危険 そこをマネジメントするスーパーモデルに学ぶ

★学校の教育の質が豊かになっていくには、何と言っても対話型組織であることが肝心なのです。そのとき心理的安全性をベースにする学校が多いですね。それはとてもよいことなのですが、何でも使い方を間違えると意図しない方向にいきます。工学院大学附属中学校の教頭田中歩先生は、英語の教師でもありますが、ベースに心理学の素養を持っています。だから、心理的安全性のデザインには大いに気にかけます。

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★心理的安全がある意味人気があるのは、「弱さを受けいれられる」環境をデザインするからですが、弱さとかその逆の強さとは、誰かに比べてで、あまりよい表現ではありません。自分が弱いと思っているのだけれど、そこに配慮の視点があるというのはその人にとって価値観が横たわっています。それを受け入れられる環境をデザインすることのほうがポイントです。

★田中歩先生は、2027年から東京大学がCollege of Designという新しいコースをつくるときの入試問題を、おそらく東大の今までの帰国生や留学生の入試の小論文のような内容が出題されるだろうと考えています。

★同校ではAレベルを取得できるシステムがありますが、これに挑戦している生徒は真摯に思考に没入し、必死に表現をするそうです。この環境をデザインずるとき、弱さや強さを受け入れるというのではなく、その生徒の燃えるような情熱や没入挑戦の行動プロセスにエールを贈り、受け入れる物理的空間や対話の空間のデザインマネジメントこそ大切なのだと語るのです。

★世の中は、そのような前向きの人間に対しルサンチマンを発動し、そうでない自分を弱い(弱いのではなくそのように感じるセンサーや視点という重要な感覚を持っているのにそれをリフレクトせずにるだけ)と感じ、その弱さを受け入れるところを探しがちです。もちろん、ルサンチマンは人間の本性みたいなものですから、それを受け入れる環境はとても大事です。

★しかし、ルサンチマンという精神の構造=メンタルモデルにマスクをかけて受け入れるというのは心理的安全ではなく、むしろじわじわとメンタルを崩していきますから、危険なのです。

★心理的安全性を対話によって担保できると語る方もいます。私もそう語っています。しかし、その対話がクリティカルシンキングや自由に発言することを規制する安全担保を行っては元の木阿弥です。わかりやすさ、心地よさのパラドクスですね。

★あらゆるものには、次元やレイアーがあります。異次元や一つのレイヤーの中で安心安全でいるのは、むしろ閉塞状況を生み出します。

★心理的安全のマネジメント力の高さこそ教育の質を豊かにする力の1つです。心理的安全基盤装置をマネジメントする静かな情熱。田中歩教頭がスーパーモデルです。

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私立中学校選択 氷山モデル(09)城西大城西 Quantum leap(飛躍的進歩)

GLICC Weekly EDU 第221回「城西大学附属城西中学高等学校ー地域社会とつながる探究から世界とつながる国際交流まで」において、城西大学附属中学高等学校の校長の神杉旨宣先生、国際交流課長の高橋嵩先生、入試広報部長の坂本純一先生からお話をお聞きしました。ここ3年間で、飛躍的に生徒募集を伸ばした学校です。そして、その理由は、まさに探究とグローバル教育の学校全体での取り組みにありました。教育の質のビッグバンが学校で起きていたわけです。そのビッグバンがどうして起きたのか?城西プロジェクトXのストーリーが展開されました。ぜひご覧ください。

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★具体的な話は、動画をご覧いただければ、なるほど!目からウロコ!やはりチームワーク!などなどと感じるはずです。私は、神杉校長のリーダーシップの進化に注目しました。教育の質の高め方には、5つのタイプがあるという話をしてきたわけですが、A、B、Cタイプは、マイナーチェンジでもともと生徒を集めていた状況を持続可能にするというやりかたです。しかし、この方法は、新しい世界を創発し続ける学校というより、難関の国内大学に進学する実力の維持という質の高め方の場合が多いのです。

★ところが、Dタイプ、EタイプあわせてDEタイプの場合は、まずQuantum Leap(飛躍的進化)というブレークスルーが爆発します。城西大城西は、その典型的な例だと感じました。そこで、生成AIと対話しながら、神杉校長のリーダーシップを整理してみました。claude aiは、上記のような図を描いてきました。

★まずは強烈な決断と実行力で、チームを引っ張っていきますが、そのプロセスでデザインダイナミクスという設計力学をチームメンバーと対話をしながらシェアしていきます。そして、タイミングを見て、その力学スキルをメンバーに委譲します。自律したチームのダイナミクスが生まれます。

★創発エネルギーが常に湧き上がっているチームの出来上がりです。そこから新しいアイデアが生まれ、それを教師も生徒も楽しいながら深く探究の洞窟を冒険し続けるわけです。ワクワクドキドキですね。そんな雰囲気があふれている同校の教師チームと生徒の雰囲気を感じたら、受験生がひきつけられるのは明らかです。論より証拠、動画をご覧ください。

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2025年7月14日 (月)

私立中学校選択 氷山モデル(08)心理的安全基盤装置を構築している学校

★日本経済新聞(2025年7月14日)に「ショーン・ペンさんが問う市民の覚悟 民主主義の劣化、我々にも責任」という記事が掲載されています。この中で、民主主義の劣化が世界的に深刻であることが語られています。「民主主義の劣化は世界的に深刻だ。スウェーデンのV-Dem研究所によると、24年の世界の自由民主主義指数は約40年ぶりの低水準に沈んだ。国・地域の数でも人口の割合でも、民主主義陣営は権威主義陣営に劣後する」というのです。

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★具体的には、民主主義陣営は88ヵ国、権威主義陣営は91ヵ国。人口シェアでは、前者は28%、後者は72%です。しくは、V-Dem研究所のレポートはPdfで閲覧できます。

★日本は民主主義陣営ですが、最近権威主義陣営を思わせるような言動があふれはじめています。非寛容、排他主義的、差別的な言動は、もし政治の世界だけではなく、日常の世界にも広まったりすると、ハラスメントが起こりますから、大変なことになるのは、火を見るより明らかです。

★学校は、政治組織ではないので、政治で言うところの民主主義的組織とは違います。もちろん、民主主義的精神や人権、法の支配が尊重されそれが実現される場です。しかし、学校の意思決定は、会社と同じように、経営陣が決めます。

★ですから、経営陣による権威主義的な組織になりやすいのです。私立学校は、現場を顧みない経営陣によって運営されるとこれまた悲劇が起こりますから、そうならない創意工夫をしているのです。

★つまり、意思決定プロセスやコミュニケーション環境が、フラットでフリーでフレンドシップ、そしてファンというようなFの精神があふれる組織マネジメントを経営陣は心がける必要があります。

★しかし、世界の7割強の人口が権威主義的な国家組織に属しているわけで、この精神は、人間の精神性の1つです。よほど意識をしない限り、この精神は鎌首をもたげてきます。ですから、経営陣と教師の関係、教師の同僚の関係、教師と生徒の関係、生徒と生徒の関係、学校と保護者の関係を相互信頼を生み出す心理的安全基盤装置をつくっている学校が、教育の質の向上を持続可能にするのです。

★この心理的安全基盤装置は、実はPBLだったり、グローバル教育だったり、ICT教育だったり、メタモニタリングが相互にできる学びの構造のブラッシュアップシステムを指します。そのために、学内研修や学外研修があり、経営陣も教師も生徒も保護者も学び続ける機会も作るのです。
★ベテランの教師をリスペクトし、進歩主義的教師が、それを形式知化システムとして組み立て、それを常に教師同士が改善し続ける対話の時間設定が年間通じてほぼ毎週組み込まれていることが大切です。

★というわけで、その理論化・言語化・見える化・空間化・アート化したものを生み出し続けている学校組織を選択することが安心安全につながります。

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私立中学校選択 氷山モデル(07)進路指導の前提やあり方が変わる 2026年高3生から東大のCollege of Designのインパクト

い★前から発表されていた2027年9月入学の東大の新コースというか学部というかクラスというか、要するに<College of Design>の入試要項の概略が発表されました。50人は日本の学習指導要領を学んだ生徒、もう50人はIBやAレベルなど世界標準のカリキュラムを学んだ生徒を受験対象とします。

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★両者の細かい違いはあるのですが、高校の成績表、書類、論文、英語での面接、英語検定資格のスコアはほぼ同じです。違いは前者は共通テストを受験、後者はIBやAレベルなどの成績結果をだします。

★要項の概要を読んだだけでは、後者は留学生だけなのか、日本の1条校でも、IBやAレベルなどを取得することができる学校もあるので、そこの生徒でもよいのかはまだ判然としませんが、そこはいずれ明確になるでしょう。

★いずれにしても、あの東大の一般選抜の試験を受けない新たな方式が生まれたということです。東大も多様な生徒の才能を受けいれる入試の幅を広げたわけです。

★今までは、海外大学と国内大学の入試のあり方が全く違うという感じでしたが、2026年の高3からは、徐々にその違いが縮まり、共通点が多くなってくるということです。

★この動きは、東大が始めれば、他の国公立大学も動く(この姿勢がよいかどうかはともかく)ので、加速するでしょう。早稲田、慶応はすでに別の方法でそのような方向に動いていて、国公立大学の補完として私立大学の中で一番難しいという段階から、国公立、私立大学が互角のイメージをつくりあげています。

★私立大学も早稲田、慶応に続くところは当然出てくるでしょう。

★AI時代は、牧歌的な知性獲得の時代は、残念ながら去ってしまいます。AIをメタコントロールできる高度な知性や専門性を研究する時代です。一部の権威主義的大学がその研究を握っている場合ではないのです。

★少子高齢化と言えども、小中高生1200万人まだいるのです。この1200万人がみなそのような高度な知性と専門性を、自分の好きな領域で発見し、身につけることができる時代がAI時代だと自分たちの意思でするしかないというのが、今の教育の現状です。

ここにいちはやく気づいているのが、突出したグローバル教育を行っている学校です。外国人教師が5人以上教鞭をとっている学校がほぼそのような覚悟を持っているでしょう。この動きはどんどん広がっていくはずです。

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2025年7月12日 (土)

私立中学校選択 氷山モデル(06)グローバル教育の意味 大妻中野モデル グローバルヒューマンパワーの拠点

私立中高一貫校の教育の質を高める要素10個のうち、グローバル教育と外国人教師の数と高大連携はどれも関連しているのが、質のシナジーをあげている一つのあり方です。たとえば、大妻中野モデル。同校のグローバル・リーダーズ・コース(GLC)と法政大学グローバル教養学部GISとの連携プロジェクトが典型的な例です。

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(詳しくは→「法政大学グローバル教養学部GISとの連携 – リーダーシップを考える授業!」) 

★グローバル教育というと高度な英語教育というイメージがあると思います。たしかにそれは、教育の質を高める5つのタイプのうちAタイプ、Bタイプはそれでよいのですが、大妻中野、富士見丘、工学院大学附属、三田国際科学学園、文大杉並、八雲学園、和洋九段女子、聖学院などのようにDタイプ、Eタイプは、グローバルコミュニティや大学との連携を英語で行っています。

★ですから、大妻中野のように、アントレプレナーシップやグローバルリーダーシップなどのようなかけがえのない地球を守るグローバルヒューマンパワーを生み出すグローバル教育は、英語教育のみならずグローバルコミュニティや大学と連携する戦略がポイントです。

★そして、グローバルヒューマンパワーは、ソフトパワーを必要とします。これは既成のコンセプトを新しく組み立て直す資質能力です。これを教養とか哲学というのですが、これは外国人教師が得意とするところです。文化として身につけている外国人教師が多いのです。

★先述した学校は、いずれも5人から40人の外国人教師が教鞭をとっています。当然、日本人教師とシナジー効果を生みます。

★これからのグローバルヒューマンパワーは、東洋と西洋の架け橋になる日本の発想が注目されている時代がやってきています。上記の学校は、いずれも茶室を基盤に東洋と西洋の哲学や文化を融合するコンセプトを生み出す場を持っています。これは欧米のエスタブリッシュスクールにはない場であり発想なのです。

★今GAFAMやスタートアップ企業で、CPO(Chief Philosophy Officer)が必要だと言われているし、実際哲学コンサルティングが活用されている時代です。日本の私立中高一貫校のD、Eタイプの質向上学校は、この先端を行くことになる可能性があります。

★大妻中野の生徒の皆さんが法政大学と連携で気づいた発想を読むと、まさにグローバルヒューマンパワーを生み出していると驚愕しました

★質向上のDタイプ、Eタイプの学校は、いずれもこのようなグローバルヒューマンパワーを生み出しています。希望の国が日本からという可能性。ワクワクしますね。

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2025年7月11日 (金)

私立中学校選択 氷山モデル(05)教育の多様性革命 - 子供に合う学校選択の時代~『どこが良い学校か』から『どの学校も価値がある』へ

★私立中学校選択を今書いているわけですが、書きながら、私の立場を明らかにしておく必要があると気づきました。そこで、その点について書いてみます。

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(図はclaude)

★今までの私立学校選択は「優劣の競争モデル」が中心でした。学校同士が序列を作り、より上位の学校を目指すという発想です。しかし、2015年から徐々にシフトしてきています。私立学校選択は「多様性の適合モデル」に変わってきているということです。

★つまり、従来の競争モデルでは、「どの学校が一番良いか」という単一の評価軸で学校を序列化していました。これは画一的な価値観に基づいた選択です。それが、首都圏模試センターが思考コードを開発してから、新しい適合モデルとして、「どの学校が、この子にとって最適か」という個別の適合性を重視するようになってきています。子供一人ひとりの個性、学習スタイル、興味関心、将来の目標が異なるため、それぞれに最適な学校も異なるという考え方です。

★このモデルが機能するためには、多様な特色を持つ私立学校が豊富に存在することが不可欠です。芸術に特化した学校、科学技術に強い学校、国際教育に力を入れる学校、少人数制の学校など、様々な選択肢があってこそ、子供たちは自分に合った環境を見つけることができます。

★結果として、「どこが良い学校か」という序列ではなく、「どの学校も、誰かにとっては価値のある学校」という多元的な価値観が生まれます。これは教育の多様性を豊かにし、子供たちの可能性を最大限に引き出す仕組みです。

★このビジョンは、もしかしたら新しいものではないかもしれませんが、私立学校が少なければ、やはり競争になり元の木阿弥です。しかし、首都圏には、私立学校がたくさんありますから、かなり多くの子供たちにとって、自分の価値創出の居場所としての多元的な価値学校が存在できるのかもしれません。この首都圏に私学が多いという世界でも珍しい多元的価値学校というユートピアスペースが、この転換を生み出すことになる時代なのかもしれません。

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私立中学校選択 氷山モデル(04)教科授業と探究のつながりが質を生み出している

★私立中高一貫校の教育の質を高める要素10個のうち、授業と探究の2つはカップリングして話すのがよいでしょう。東大にたくさん入っている学校の授業は、基本問答型講義です。問答型というのは、ここでは、教師と生徒ですね。生徒同士となると、PBL型にシフトしていきます。海外大学に合格するには、PBL型の授業が必要となってきます。

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(写真は、駒沢学園女子の数学科の山口先生の授業シーン。同校サイトから。グローバル探究と教科の授業がリンクするPBL型授業)

→駒沢学園女子は、グローバル探究(当然PBL型)を推進しています。一方で、生成AIを活用しながら授業もPBL型を単元のどこかで生徒のブレイクスルーを生み出すタイミングに合わせて行います。数学だけではなく、英語など他教科でもこの生成AI活用PBLは展開し始めています。

★ですから、探究を本格的に行っている学校は、教科授業もPBLタイプが多くなるのは必然です。

★どちらかだけとなると、質は分断されますから、それなら、初めからPBLはやらずに、効率よく一般選抜で東大を頂点とする難関大学を受験すればよいのです。

★ですから、学校選択は、効率よく国内の難関大学にいくための教育の質を選ぶか、自分の才能開花をベースに海外大学やそれに相当する国内大学を総合型選抜で受けられる教育の質を選ぶか、どちらかです。前者なら、Aタイプの教育の質のタイプの学校を選ぶと良いでしょう。後者なら、DやEタイプの質の学校を選べばよいのです。

★ただし、2027年以降は、東大をはじめ多くの国内難関大学も、後者の進路を考えている生徒がアプローチできる入試方式を考えています。生成AIの進化は、どのみち生徒一人ひとりのオリジナリティは何かに行きつきます。

★授業と探究が結びつき学びのシナジー効果を生み出す質が求められるようになるでしょう。

★すでに、2015年くらいまでは、問答型講義の学校がほとんどだったのです。それなのに今はPBL型も増えているのです。6年後どうなっていくのかは火を見るより明らかな気がします。

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私立中学校選択 氷山モデル(03)新タイプ入試の新しい意味の出現 インターナショナルスクールかパブリックスクールかグローバル教育推進私立学校か 選択の幅が拡大のティッピングポイントに

★2015年以降、首都圏の私立中高一貫校は、2科4科という教科入試以外に、思考力入試、PBL型入試、適性検査型入試、自己PR型入試、プログラミング入試、総合論理型入試、得意教科型入試など新タイプ入試が増加。今では首都圏私立中学300校弱あるうち、150校が何らかの新タイプ入試を独自開発実施しています。さらに英語入試に関しても140校が実施しています。

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(図は、首都圏模試センターサイトから)

★これは、受験生の多様な才能を、2科4科に限定していたものを開いた形で、時代の流れも後押しをしました。しかし、2021年以降、これらの新しい入試を実施している学校から、海外大学合格者がたくさん出て、その勢いは今も止まりません。

★それは、この新しい入試を受験して入学した生徒が、学校の想定外の才能を発揮し、学内のカリキュラムをアプデートさせ、おまけにグローバル教育も英語教育型から教育全体を東洋文化と西洋文化を融合する独自の世界標準の教育を生み出すブレイクスルーのきっかけになったからです。

★これによって、2科4科が不得意でも、他の才能で受験するという学校にとって新たな受験生の獲得から自分たちの教育の世界の教育の中における新しいポジショニングをつくり始めたというシフトが起きているのです。

★インターナショナルスクールや日本にやってきたパブリックスクールと日本のグローバル教育を推進している私立学校を比較して選択する時代になったのです。

★海外のエスタブリッシュ私立学校の中学段階での入試は、それぞれ違いますが、まずは言語と数学と音楽やスポーツ、ボランティアなどのパフォーマンス、面接が共通しています。つまり、これらの学校と入試の考え方の基盤が日本の新タイプ入試を実施しているグローバル教育推進私立学校と共通するようになってきたのです。

★つまり、偏差値の枠組の中の私立学校の選択幅が、一気に広がったのです。日本国内の序列を重視するのか世界のエスタブリッシュスクールの仲間入りをするのか。その新しいビジョンをプラグマティックに生み出すティッピングポイントに新タイプ入試がなったのです。この新タイプ入試の新しい意味が氷山モデルでいう今のところまだ目に見えない重要な出来事なのです。

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2025年7月10日 (木)

私立中学校選択 氷山モデル(02)教育の質向上の5つのタイプ

★各私立中高一貫校は、毎年教育の質の向上を果たしています。質の向上はいろいろあるのですが、まず重要な点は10の要素です。そして、どの要素に重点をおくかによって、ざっくり5つのタイプに分けられます。どのタイプがよいのか?というのではなく、学校によって質の向上のタイプは異なります。

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★たとえば、開成の場合、特に何もしなくても生徒は集まってくるわけですから、何もしなくてもよいのですが、世の中そうはいかないのは、誰もがわかっています。開成も同じです。ただ開成の場合、中学入試の科目の変更をする必要もないし、進歩主義の教師であるかどうかは、あまり問題ではなく、現勢力で十分でしょう。

★しかし、2013年からアイビーリーグの大学に進学する体制をつくっています。とはいえ、海外大学進学準備システムを作る必要はあまりなく、英語の力をCEFRでC1(英検1級レベル)にすれば、たいていの海外大学は門戸を開いてくれます。要するに開成のグローバル教育は、英語重視型なのです。

★高大連携は、もともと先輩たちがやってきて学びの共同体を作っています。やってくる先輩たちの多くは東大卒ですから、実質高大連携はできているわけです。探究も際立ってやる必要もないでしょう。生徒が興味と関心のあることを学力以外にもすでに勝手にやっています。このような環境に入るために猛勉強するのは、5万人の受験生の中の900人です。

★一般のメディアでは、開成に入るための秘伝を取り挙げていますが、現実問題それが中学受験のすべてでないことはこれで明らかでしょう。

★開成と偏差値を比較すれば、それは違いもありますが、そんなことに関係なく、Eタイプの教育の質を向上させ続けている工学院大学附属や文化学園大学杉並に入った生徒は、望んで努力すれば、世界大学ランキング100位以内の海外大学にたくさん進学しています。

★いわゆる偏差値の伸び率で行けば、開成よりはるかに高いでしょう。教育環境デザインという意味では傑出しているのです。

★だから、自分が将来どうなりたいか、そして今はどうなのかを冷静に振り返り、自分に合った中学を選べばよいのです。東大出たほうが、将来は安泰の確率が高いかもしれませんが、東大でなければ、それはかないませんか?そんなことはないのは、あまりに明らかです。

★中学選択は、自分の生きる道を豊かにしていくために戦略的にかつ愛を持って選ぶということが肝心だと思います。つまり、見えるものをどう戦略的に読み取り、眼に見えない大事なものを愛を持って受け入れるのか。次回からこの氷山モデルレンズで、一つひとつ要素をみていきましょう。

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私立中学校選択 氷山モデル(01)はじめに

★「探究」という教育活動が、大学入試の総合型選抜と相関するようになってからというもの、注目度は高くなり、中学受験生やその保護者も興味と関心を持ち始めています。そして、この探究活動は、システム思考も用いられるようになり、その思考のわかりやすいメタファーである氷山モデルもまたよく使われています。したがって、私立中学選択といういわば受験生や保護者の「探究」をこの氷山モデルを手がかりに考えることは、今までの考え方とはまた違う見方をするのに役立つでしょう。

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見える領域(水面上)

中学入試科目
カリキュラム時間割
国内外研修場所
高大連携提携大学名
大学合格実績

見えない領域(水面下)

探究の学校の理論
グローバル教育の本質的意味
外国人教師の数の多い意味
教科授業の思考の広がりと深さの仕掛け
挑戦する進歩主義的教師の割合
教師のメンタルモデル 

★私立中学校選択において氷山モデルを活用することは、子どもの将来に大きな影響を与える重要な判断を行う上で不可欠となると言ってもよいかもしれません。というのも、従来の学校選択では、多くの保護者が「見える領域」の情報に依存しがちで、中学入試科目、カリキュラム時間割、国内外研修場所、高大連携提携大学名、大学合格実績といった「カタチになった情報」は確かに判断しやすく、学校案内やウェブサイトで簡単に比較検討できるからです。しかし、これらが氷山の一角に過ぎないことはいうまでもないでしょう。

★ですから、「見えない領域」にある本質的な要素をみることも大切なのです。探究の学校の理論は、子どもの主体的な学びを育む教育哲学を示します。グローバル教育の本質的意味は、単なる語学力向上を超えた国際感覚や多様性への理解を深める姿勢を反映します。外国人教師の数の多い意味は、真の国際教育環境の構築への学校の本気度を表します。

★さらに、教科授業の思考の広がりと深さの仕掛けは、暗記中心ではなく批判的思考力を育成する授業設計を意味します。挑戦する進歩主義的教師の割合は、教育改革への取り組み姿勢を示し、教師のメンタルモデルは、生徒一人ひとりの成長を真剣に考える教育者としての資質を表現します。

★これらの見えない要素が、子どもの人格形成、学習意欲、将来の可能性を決定する根本的な要因となるシステムなのです。氷山モデルを意識することで、数値や実績を見るだけではなく、その結果がでるその学校が持つ真の教育力を見極めようとする駆動力が生まれます。深い理解と調査を通じて、子どもに最適な教育環境を選択することが可能になります。

★このように見える領域と見えない領域の両方の関係性についていっしょに複眼的に見ていきましょう。

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2025年7月 8日 (火)

工学院 世界にインパクトを与える教師&生徒!

<GLICC Weekly EDU 第220回「工学院大学附属中高ー探究ベースの学びを支える『情報&グローバル教育』」>で、工学院大学附属中学校・高等学校の校長中野由章先生と中学校教頭の田中歩先生からお話をお聞きしました。他の追随を許さないインパクトのある中野校長と田中教頭の相互信頼関係。生徒1人ひとりが成長し高い志をさらりと実装する大人になっていく成長物語が生まれてくるはずです。

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★しかも、その成長の条件が、他校にはない贅沢なそして未来に必須な教育環境なのです。というのも、私立中高一貫校を高度な「情報教育」と世界のエスタブリッシュ私立学校に匹敵する「グローバル教育」の両方を融合している学校は、日本にはないのです。どちらか一方が秀でている学校はありますが、両方とも生徒たちは、意識などせずに自由に柔軟にできてしまうのですが、実は、大学レベルの学びを行っているのです。当たり前のレベルが違うというのは、動画をご視聴していただければ目からウロコとなるでしょう。

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★お二人の対話からでてきたいくつかのキーワードをプロンプトに入れて、工学院の生徒の成長物語を生成AIに書いてもらいました。次のようになりました。

はじめは「楽しい」がすべてだった。仲間と協力してロボットを作る、アイデアを発表する、笑い合う。遊びの延長にあった学びの時間が、生徒を惹きつけていた。しかし、やがて小さな「なぜ?」が芽を出す。「どうしてそうなるのか?」「他に解き方はないのか?」と問い始めた時、学びは「interesting(興味深い)」へと姿を変えた。失敗さえも挑戦として受け止め、「自分の力で答えを見つけたい」という思いが強くなる。

そうした学びの土台には、教師との心理的安全と信頼関係がある。どんな挑戦にも本気で向き合ってくれる先生たち。生徒はその背中から、挑戦する姿勢を学んだ。

AIや数理探究といった高度な領域にも挑み、世界大学ランキング100位以内の海外大学という高い壁を、自らの力で乗り越えていく。生徒は“点”の知識を“線”につなぎ、やがて“面”として世界に広がる視野を持つ。

6年間で育まれるのは、知識以上に、自ら問い、考え、行動する力。そしてチーム工学院として、共に学び、共に未来を創る仲間の存在。卒業式の日、生徒の瞳に宿るのは、確かな自信と「世界にインパクトを与えたい」という静かな野心だった。

★驚きました!工学院は生成AIともシンクロしてしまう学校なのですから!

画期的でインパクトある教育!必見です!!

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2025年7月 7日 (月)

3つの観点別学習状況の評価から「主体的学習態度」は外される?私学は独自に進むだけ。

★毎日新聞 7/4(金) 19:47配信の記事<「学ぶ態度」は評定の対象外に 次期学習指導要領、文科省が方針転換>には、こうあります。

「文部科学省は4日、中央教育審議会(文科相の諮問機関)の特別部会で、従来の成績評価の方法を見直し、評定を付ける際に「主体的に学習に取り組む態度」(主体的な態度)を考慮しないとする案を示した。この評価方法は2020年度以降に導入されたが、適切な評価が困難で教員の負担にもつながっているとの指摘があり、方針を転換することになった。」

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(東京私学教育研究所編「Discover」から)

★これによって、推薦入試が多くなるとか、結局基礎学力重視の総合型選抜になるとか、各メディアで多様な意見がでているようです。そもそも「主体的な態度」を評価できるのかとか、「客観的」なんてものの見方はweb3.0時代にその概念の変更をしなくてもよいのか?歴史的には、すでに「客観―主観」の二項図式は反省されてきているのではないか?などなどみんなで考える良い機会だとかも言われています。

★どれもその通りですが、東京私立中学高等学校協会は、毎年5月の東京私立中学合同相談会で配布する中学入試ガイドブック「Discovery」で、現行学習指導要領の「資質・能力の3本柱と3つの観点別学習情況の評価のズレ」を指摘しています。主観的なことは評価できないからといいながら主体性を大切にする。個別最適化を大事にしながら主観性を評価できないとする考え方は、そもそも現場では無理があります。

★たしかに、「評価」というものをどう考えるのかによって、そのズレは何とでもなるのですが、いわゆる教育業界では、評価において「客観―主観」の図式を変えようとしません。

★そんなわけで、東京私学教育研究所では、学習指導要領は方向性を示すけれど、具体的な解釈は現場に任されているので、独自に行っていこうと、思考コードや研修コードを足場に各私学と協力して研修をデザインしてきているのです。

★それに、3つの観点別学習状況の評価が制度化される以前から、いわゆる総合的な全人教育を行っている私学は、成績表の様式など創意工夫して行ってきています。

★ただ、制度が変わると、指導要録などの制度上の書式が変わります。それを変えるコストや労力は、現場ではたいへんなのです。私立学校は各校がそれぞれシステムを持っているので、それを変えるのは一苦労です。教育委員会のように一元管理ではないからです。

★もっとも、一元管理は勘弁してほしいので、建学の精神に基づいて独自に先進的先見性のある教育を行っているのですが、そこに没入させてくれるすてきな次期学習指導要領改訂を望みます。

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今更ながら私立中高一貫校のグローバル教育の意味

★私立中高一貫校は、学習指導要領の教育内容を丁寧に生徒と共有しながら、さらに発展させています。こんなことは、何を今更なのですが、総合型選抜が増えてきたことによって、見えなくなっているという状態が起きているので、確認までということでここにメモしておこうと思ったのです。

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(claude作成)

★一般選抜の場合は、学習指導要領内の教育内容の難度の違いが、志望校の大学進学準備の時の戦略データになります。ですから、この学びがグローバル教育に直接寄与するかどうかは、そもそもあまり意識されないわけです。

★ところが、総合型選抜は、探究の時間などで、自然と社会と精神の循環がうまくいかないことによって起こる多様な問いから出発するため、あたかもグローバル教育を行っているかのような錯覚に陥るのです。

★もちろん、グローバル教育の一端を担うのですが、あくまでグローバル教育>探究活動なのです。ですから、この錯覚を避けるために、「グローバル探究」という言葉が生まれています。グローバル探究は、グローバル教育の活動全般をカバーします。

★グローバル教育は、英語教育や国際理解教育をもちろん含めますが、やはりグローバル教育>英語教育、グローバル教育>国際理解教育なのです。

★そうなっているのは、日本の学習指導要領はあくまで日本の国民のための教育が前提だからです。グローバルな時代に、そこで活躍できる資質能力を身につける学びまでは学習指導要領内の話ですが、日本国民としてかつ地球市民として宇宙船地球号の中で起こっている問題を解決するリーダーシップをとれるようになる教育を積極的に行う仕組みにはなっていません。法制度上当然です。

★もちろん、意欲的にチャレンジするのは何ら構わないのですが、それをダイレクトにサポートする教育は学習指導要領には仕掛けられていないのです。ですから「グローバル教育」という言葉は、学習指導要領にはないはずです。

★グローバル教育は、私立学校の創育工夫によって組み立てられた独自の教育です。ですから、私立学校によっては、グローバル教育を行っていないところもたくさんあります。

★高度な英語教育を行い、海外研修も有志の生徒がいける環境まではほとんどの学校は揃えています。そこから先、地球市民としてグローバルリーダーになるかどうかは、生徒の意志によるというケースですね。

★しかし、グローバル教育を掲げている学校は、生徒全員が多様な領域でグローバルリーダーとして活躍するための総合的な教育が行われています。

★ですから、探究を行うときも英語をはじめとする多言語も活用するのが前提です。探究も教科が授業もPBLが前提です。探究だけでPBLを行い、授業はワンウェイ講義という学校は、グローバル教育を行っていないだけです。

★まして、探究だけで、教科学習は不要だみたいな極端な教育は、あってよいのですが、グローバル教育ではないのです。というのは、それは教科と探究が結びつかないという境界線を突破する発想をあきらめているので、その段階で知の分断が起こりグローバル教育ではないのです。

★哲学を大事する教育も大いに結構ですが、カントやデューイ、社会構成主義がどうのこうのという教育はあっても当然良いのですが、それはグローバル教育ではなく、哲学学問教育です。グローバル教育は、いろいろな方法論の前提に多様な哲学的背景があることを見抜きながら、形骸化した方法のマニュアル的活用ではなく、その哲学的エッセンスを現場にチューニングして最適化した思考の環境づくりをします。

★このチューニングというトランスフォーミングな学びを生徒自身が最終的にできるよういにならなければ、環境が異なるグローバルな時空に直面した時に応用が利きません。哲学は主義を通すのではなく、考え方や感じ方を共に変容し、新しいコンセプトを共創する思考のシステムです。

★学習指導要領がどう変わろうが、大学入試がどう変わろうが、学習指導要領内の教育の在り方の問題で、グローバル教育を行っている私立学校にとっては、その独自の教育につながるようにマイナーチェンジをしながら進むだけです。

★この学習指導要領の教育とグローバル教育のギャップは、体験格差とか経済格差の表れだという見方もあるでしょう。しかし、そのような現実のギャップがあるから、そのギャップを解消すべくグローバル教育が2011年以降現れたと考えるのが妥当でしょう。それまではあくまで国際理解教育だったのです。

★C1英語を学ぶのに、PBLの環境をつくるのに、STEAM教育を運営するのに、今では、体験格差も経済格差も不要の状態に日本の教育は進化しています。このことは凄いことです。そうであるのに、学べない壁をつくっているのが現状でしょう。その壁をぶち破っているのが私立学校のグローバル教育なのだと考えてみるアプローチがそろそろでてきてもいいなあと思います。

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2025年7月 4日 (金)

和洋九段女子 NEXTの時代へ

★本日、和洋九段女子の水野校長先生、本多教頭先生、佐藤教頭先生にお会いしました。和洋九段女子といえば、PBL授業だし、SDGsをベースに地域、NPO、大学、企業、大使館、国連広報センターなど外部と連携して探究を広げ深めているプロジェクトが豊富なことを知らない受験業界人はいないでしょう。

★しかし、3人の先生方は、それで満足するつもりはなく、このような教育の質をさらに向上させるために、次の3つを考えているということです。

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① 2030年以降SDGsに代わるグローバルゴールズやアイデアは何かを生徒と共に考案していくということ。
② 多様な外部とコネクテッドしているプロジェクトどうしをつなげて学内の学びの密度を濃くしていくこと。
③ PBL授業の中でつちかっているクリエイティブシンキングやクリティカルシンキング、コンセプトシンキングによって、生徒たちは実はIBのディプロマレベルの小論文を書ける力がついているということを可視化すること。

★9月から具体的なプログラムやプロジェクトを動かしていきたいということでした。お話をお聞きした後、ちょうど高1のサイエンスコースで小仲井先生がサイエンスの授業を行っていました。そこで少し見学させていただきました。

★「回転」について、実際に回転効率のよい仕掛けをどうつくるのか頭も手も使い、話し合いながら、個人ブレストとグループブレストを進めるPBL授業が展開していました。

★回転という物理現象やその理論は、実は多くの社会課題と深く関わっています。SDGsもそうです。したがって、風力発電の回転運動を電気エネルギーに変換する技術で、再生可能エネルギーを生み出す検証を行っていました。

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★もちろん、風力発電のコストの問題や景観や鳥の生態系などへの影響についてのクリティカルシンキングもしながら、適地を限定したうえで、回転効率をいかによくするかというクリティカルシンキングとクリエイティブシンキングがすでに授業の中で稼働していました。

★また、回転技術について他の技術とつながるかどうか応用がきくかどうかまで、発展させていました。これはいわゆる転移学習で、トランスファーするためにはコンセプトにまで具体を抽象化するコンセプトシンキングがポイントになります。

★やはり、ふだんからこのような思考様式が編み出されているわけです。和洋九段女子の生徒は、プロジェクトを運営するチームワークや多くの団体とつながるコミュにケーション能力という非認知能力とこのような高次思考力を兼ね備えているというわけです。

★このような学びの環境の質をさらに高めていくというのですから、生徒にとっては希望です。

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2025年7月 3日 (木)

八雲学園 海外大学合格者数ベスト10入り in 首都圏

八雲学園の2025年現在の海外大学合格者数は30人。そのうち21人は、世界大学ランキング100位以内。これは、首都圏私立中高一貫校では、ベスト10入りの実力です。この結果は、全人的な総合的なグローバル教育の成果でありますが、特にサンタバーバラでの3カ月留学は、生徒の皆さんの成長のティッピングポイントになっています。

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★今もまさにこの3カ月留学にチャレンジしている生徒がたくさんいます。実は、この3カ月留学は、事前に3カ月の準備学習、帰国後に3カ月さらなる向上学習があり、9カ月プログラムになっています。

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★そして、この9か月間、生徒の学びのコアには、上記の図にあるようにダブル5Eのプロセスがあり、それが知のトルネードを生み出す循環になっているのです。もちろん、これは、国内大学進学準備教育にも浸透しています。2025年の国内合格実績の飛躍は、この知のコアシステムにあると、副校長の近藤隆平先生は語ります。このダブル5Eこそ、米国の大学でも学ぶ研究のプロセスに通じているのだと。

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富士見丘 グローバル教育としての組織力

★先週の金曜日、<GLICC Weekly EDU 第219回「富士見丘学園ーグローバル教育で拓かれる難関大学進学」>で、同校の教頭佐藤一成先生と広報副部長、学年主任の田中裕樹先生から、同校のグローバル教育が組織的にますますパワフルになっている話をお聞きしました。いわゆる英語教育ではなく、将来生徒がグローバルな世界で活躍する準備として突出したグローバル教育であることを、卒業生の活躍を通してわかりやすく語ってくれました。

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★同校は、帰国生に大人気の学校ですが、一般生もこの突出したグローバル教育カリキュラムで学びます。その結果、帰国生に限らず海外大学に進む生徒もいます。また、早稲田や慶応大学、上智大学、東京理科大に進み、そこで一年間の留学をしたり、卒業後に留学したりしている卒業生がいます。そしてそんなOGが、ジャーナリストや外資系で活躍したり、世界大学ランキング100位内の海外大学を幾つか卒業したりして、自分の研究の幅を広げ深めているのです。今回は、富士見丘に入学して初めて本格的に英語を学んだ3人のOGのグローバルな活躍について紹介されました。

★このようなOGがたくさん輩出されているのは、富士見丘のグローバル教育が学校全体で持続可能な組織力を確立したということを示唆しています。多くの学校では、英語の先生や国際部の担当の先生が回していき、その継続力に苦労をします。富士見丘も突出したグローバル教育の運営は大変でしょうが、それを組織的に運営しているところに優位性があります。

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★そして、帰国生は、もっともっと優れた教育をと望みます。というのは海外大学進学準備は、日本の学習指導要領のレベルを超えています。専門性がある程度必要です。日本の学習指導要領では文学批評まで行わないし、経済学原論や哲学教養、コンピュータサイエンスまでの内容もありません。そこを富士見丘は、やってのける講座も開発しています。

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★しかも、さらにぐっとくるのは、帰国生は日本語が得意でない場合が多いので、そのサポートシステムも構築されているところです。この帰国生学習サポート室は、海外大学進学準備カウンセリングも行いますから、一般生にも開かれています。

★同校のように、海外大学進学準備教育も射程に入れた全人的なグローバル教育の運営組織が充実している学校は、極めて少ないのです。

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2025年7月 2日 (水)

聖学院 リベラルアーツのあふれる教育

★本橋先生の哲学的な数学の授業を見学させて頂いたあと、同じフロア―で伊藤豊先生と土屋遥一朗先生がGICの高2のリベラルアーツの授業をされているというので、少し見学させて頂きました。そして、ここでもまた哲学的な生徒の対話空間が広がっているのに驚きました。

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★生徒のみなさんが取り組んでいたのは、「国家と言葉の関係性について」でした。聖学院は、タイ研修をはじめ多様な海外研修のプロジェクトが実施されています。英語のイマージョン授業も行われています。イノベーションの授業も探究も行われています。そして、そのすべてが社会をよりよくするアイデアを創出するデザイン思考やシステム思考なども活用したPBLになっています。

★本橋先生の普段の数学授業においても哲学的な思考を展開する機会も設けられています。ですから、言語や数学、STEAMなどリベラルアーツベースの学びにあふれているのです。

★にもかかわらず、さらに「リベラルアーツ」を学校設定科目として実施しているのです。先述したタイ研修では、文化の違いと社会課題はある意味関連していて、その文化の違いが生まれる社会構造の違いにまで視野が広がり視座が深まっていき、タイと日本の両方にそれぞれの社会課題があることに気づくプログラムになっています。

★おそらく、その一つに言語の背景にある文化や歴史、そして国家などの構造的な社会課題があることに気づくのでしょう。聖学院の高2の生徒のみなさんが、このような問題について議論して編集しているのをみて、テーマ自身は、私が高校時代にも考えていたなあと想い出していました。当時、鈴木孝夫先生の「ことばと文化」が課題図書になっていて、まだ見ぬ日本以外の国々の事例に、想像をふくらますしかなかったのを思いだします。

 

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★聖学院の高2のみなさんは、読書で終わることなく、実際に海外でリアルな体験もしているでしょう。それもあって、リアリティのあるディスカッションが行われていたのは、私の時代とは全く違う景色が広がっていて、すごいなあと。

★しかも、私の高校時代にあの「成長の限界」が出版されたばかりで、その背景にある「システム思考」について聖学院の皆さんのようにツールとして自在に使うということなど想像もつかなかったでしょう。

★議論したことを因果ループで複雑な課題の構造を可視化していました。システム思考の肝は、そのような構造にした人間のメンタルモデルに気づくことです。ですから、生徒のみなさんは、現象の関係図から、そのような現象が生まれる人間の認知過程システムや心的システムを思い描く議論に発展していました。

★ファクトのポジティブとネガティブの両義性を明らかにし、変化を生み出すクリティカルシンキングの躍動感が伝わってきました。私の高校時代は、岩波新書を読んで、仲間と対話をしたけれど、どちらかというと、文献の内容の理解を目的とするものでした。しかし、聖学院のリベラルアーツでは、現象の背景をさぐり、問題の根っこをクリティカルに発見し、リアリティのある解決策を協働編集していくという学びです。

★確実に時代は変わったと実感しました。

★GICのリベラルアーツについて、土屋先生が丁寧に書かれているレポートが、同校のサイトに掲載されています。ぜひご覧ください!

参照)【高2国語】デザインは人々にどう影響するか? 〜学校の「あたらしい公共空間」を設計する〜

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