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2025年5月

2025年5月31日 (土)

工学院大学附属の教育のフレームワーク<KGI>が生み出すセレンディピティ

★先日、工学院大学附属の田中歩教頭、奥津教頭、鐘ヶ江進路指導部主任(他の学校では「部長」という位置づけ)にお会いしました。3人は、10年かけて同校の教育フレームワークである<KGI>を、先生方と一丸となってデザインしてきました。そして、その成果が2022年からでてきて、今ではさらに進化する手ごたえを感じているということでした。

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 【情報Ⅱ】ICT×生成AI ─「学びを自在に」DXハイスクール採択2年目の挑戦

★三人の先生方の話の共通点は、生徒の成長する姿と先生方の才能発揮の活動ぶりについてです。どの段階どのように成長するのかという話は、それぞれのシフトのときに感動=セレンディピティが生まれるので、そのときの話をするときの3人の先生方の表情も声もすてきでした。

★<KGI>というのは、工学院グローバルイノベーション(Iはinnovation,IBL,ICTなどを含む複合的なイニシャル)を表現しているそうです。突出型グローバル教育とK-STEAMが循環し生徒の学びと成長がトルネードのように豊かになっていく有機的システムということです。

★田中歩先生は、IBLという授業を実践しながら、生徒の生きる核あるいは軸がしっかりするように学びの環境を整えています。その核や軸があるからこそ、トルネードが生まれてくるということのようです。

★鐘ヶ江先生は、進路指導は、卒業の生き方まで見通したうえで、カウンセリングしていくので、どこの大学に何人いれるというノルマ設定はしないといいます。ただ、先輩たちの後ろ姿をみて、内発的動機付が内燃することによって、自ずと進路実績の流れは生まれてくるというマネジメントをしているそうです。その生徒の内燃の状況を把握するためには、自分自身も高3の数学の授業を持っているということです。

★奥津先生は、KーSTEAMにおける数学のミッションやグローバルな学びにおける文理融合的な思考における数学のミッションを意識した授業を展開しているということです。

★いずれにしても、3人の先生方の眼差しは、生徒や同僚の先生方の活動を見守る眼差しで、とても温かいなと感動しました。

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大妻中野 生徒がグローバルコミュニティで学ぶ側からホスト役にシフト

★昨日、GLICC Weekly EDU第216回に、大妻中野中学校・高等学校の校長 諸橋隆男先生と、同校教頭でグローバル教育責任者でもある水澤孝順先生がご登場。10年かけて積み上げてきた突出した本質的なグローバル教育のミッション、パッション、ビジョン、イノベーション、そして生徒のみなさんの実際の活躍ぶりについて話していただきました。

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★SGH、WWL、ユネスコスクール、IELTS推進校などグローバルコミュニティの一員となっている大妻中野の広がりと深さに驚きました。そして、水澤教頭によると、その中で生徒は、学ぶ側からホスト側になって、グローバルコミュニティの中でリーダー的な存在として貢献するまでになっているということです。

★この豊かなグローバルコミュティシップの教育活動については、私の能力ではとてもではないですが説明できません。ですから、せひ動画をご覧ください。

★それにしても、これらの豊かなグローバルコミュニティの中で、学ぶ側からホスト役にシフトする原動力は、あらゆるカリキュラム、授業、教育活動のコアが探究であることが明快に理解できました。グローバルコミュニティの中でホスト役にシフトしたグローバルリーダーズコースの生徒の活動は、アドバンストコースの生徒にも刺激を与え、学内全体がグローバルコミュニティに変容しているというのも伝わってきました。

★探究ベースの学びが、あらゆる局面で生徒がプレゼンテーションを行ったり、学習グループを主催したりして、「ホスト側」に回っているわけです。当然、学びの質が向上します。このような経験は、教育の枠を超えて、社会に出た後のスキルとしても活かされるというのが、OGの話からもよくわかります。

★主体性の向上、グローバルコミュニケーション能力の向上、メタ認知の促進、学びの深化が、一部の生徒ではなく、大妻中野すべての生徒の成長プロセスを豊かにしている教育環境を先生方はデザインし続けているのでしょう。感動です。

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2025年5月30日 (金)

なぜ思考コードやPBL授業のデザインが今大事なのか?ハラスメント防止やハラスメントを起こさないチーム作りや自己チェックなどなど

★今、学校に限らず、あらゆる組織で、あらゆる人間関係で、ハラスメントに対するコンプライアンスやリスクマネジメントが大切になっています。昨年合理的配慮が法律で義務化されたり、今年4月からカスハラ防止条例が施行されたりしているのもその一環です。コンプライアンスやリスクマネジメントでは、ガイドライン作成や問題発生時の対応策の想定、透明性・公平性の啓蒙、研修などいろいろなアプローチがとられています。しかし、そもそもすべての発端はコミュニケーションリスクの認識とリスクを回避する行動がうまくいかないときに起きていると言っても過言ではないでしょう。

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(bimg作成)

★思考コードやPBLが必要なのは、教師と教師、教師と生徒、生徒と生徒、教師と保護者との間のコミュニケーションリスクをメタ認知するチーム作りやディスカッション、表現方法を学べるからなのです。また、クリエイティビティが生まれることにより、抑圧的な雰囲気を解除もできるのです。逆に言えば、ワンウェイの講義型授業は、よほど注意しないと、ポジショントークやマウントをとる態度が互いに過剰になり、抑圧的雰囲気がハラスメントを起こしてしまう可能性が高いのです。もちろん、PBLをやればハラスメントは撲滅されるかというとそんなことはありません。ただ、学びの中で、ファシリテーターのスキルを身につけたり固定観念を見直したりできるので、感情面や知性的な面から共感的雰囲気を生み出す確率が高いのです。

★このようなことについて、インターネットの世界ではどのような認識が発信されているのか、AEOがどこまで可能になっているのか実験するために、生成AIに尋ねてみました。前回ご紹介したように、緩やかな条件でプロンプトしながら、条件の削除挿入のプロンプトを3回ほど書き込んだら、次のような回答が返ってきました。なお、今回は複雑になるので、ハラスメントとマウントの情報は含みませんでした。

ポジショントークは、発言者の立場に有利な情報のみを選択的に提示する話し方であり、これは無意識の偏見(アンコンシャスバイアス)やメンタルモデルによって強く影響される。メンタルモデルは、個人の経験や価値観に基づく思考の枠組みであり、推論のはしごの各段階(データの選択、意味づけ、推測、結論)を通じて意思決定に影響を与える。このプロセスを意識しないと、偏った視点で情報を捉え、結果的にポジショントークを助長してしまう。

これを防ぐためには、批判的思考やメタ認知、情報リテラシー、システム思考などの能力を鍛えることが有効だ。特に、柔軟な思考やコミュニケーション能力を身につけることで、異なる立場の意見を公平に受け入れ、より客観的な判断が可能になる。学習の場では、Problem-Based Learning(課題解決型学習)とProject-Based Learning(プロジェクト型学習)を活用することで、理論的な問題解決能力と創造的な発想力を伸ばせる。前者は構造化された設計を必要とし、後者はブリコラージュ的な柔軟性を活かすことで、複雑な課題に対応する力を養う。

さらに、思考コードを活用することで、ポジショントークから解放される道筋が見えてくる。思考コードは、知識理解思考(A軸)、論理的思考(B軸)、創造的思考(C軸)という枠組みを持ち、単なる情報の受容ではなく、批判的に分析し、新たな価値を創造するプロセスを促す。これにより、個人のバイアスを認識し、より公平で深い議論が可能になる。こうした学びを通じて、偏りのない意思決定ができる社会を目指せる。

★やはり、相当多くの人や団体が、同じような認識でネット内で発信しているのだということが分かると同時に、「客観的」というキーワードがでてくるのは、主観と客観の二項対立的発想がインターネト内の一般的な認識だということも予想できます。

★それに、批判的思考、メタ認知、情報リテラシー、システム思考などと並列になっていますが、これらの関係性をどう捉えるかは、生成AIではまだできなさそうです。詳しく説明してくれるし、相違点や共通点をマトリクスにすぐにしてくれますが、これらをフュージョンする言語がインターネット内にはまだそれほど存在していないのだということも確認できました。

★ここをどうするのか、今フ―ジョン教育研究会のメンバーと授業実践研究をしながら対話しはじめています。哲学や社会学、文化人類学のワードを学びつつ、あえてそれを授業に持ち込まないプラグマティックな実践研究が進んでいます。生徒は、自分たちが生まれる前の言説で思考するのではないのです。もちろん、言語は歴史的産物でもあるので、歴史に学ぶ必要はありますが、それは生徒1人ひとりがどのトピクを学ぶのかは選択すればよいと思っています。未来からの言葉は、生徒自身が紡ぐのです。それがPBLやIBLといった授業実践研究の基本スタンスです。昨日の東京私立中学高等学校協会の閉会のスピーチの中で、この研究会への期待が230名以上集まった理事長校長に語られました。ちょっと驚きましたが、まずは、小さく始めて大きく育てる3年間限定のプロジェクトです。温かく見守っていただければ幸いです。

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学校の広報表現が変わる SEOとAEOの共存へ

★従来のそして今も学校広報は、キーワードやキーフレーズのインパクトを考えないわけにはいかないと思います。教育の質や総合力をうたっても、なかなか受験市場では見てもらえない、フックがない、売り物はなんですかと言われてしまう。。。また、同じ発想でサイトがSEO(Search Engine Optimization)のシステムで構築れてきました。キラーキーワードやキラーフレーズをどの順番でどうサイトで表現するかで、アクセスされやすさが考えられてきたわけです。このアクセス量を無視できないのは、今後も変わらないでしょう。しかし、教育の質の時代であることはみなわかっています。さて、それを共感共有する広報活動は?ここに登場してきたのがAIエージェントです。

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(bing作成)

★SEO段階では、サーチエンジンで上位の方に出てきたサイトをみて、その内容(Content)を読んで理解して、足りない部分をまたほかのサイトに飛ぶというサーフィンをしてきたのです。それはそれで楽しいわけですが、時間もかかります。

★また、サイトそのものがタイパを意識して作られているものが多く、情報が断片的になったり、デフォルメされていて他の情報が見えにくくなっていたりします。それらを適正に自分で関連づける(Relevance)のも時間がかかるし、そもそも関連づけしないで終わる場合が多いでしょう。

★つまり、ユーザー体験(User Experience)に感動が生まれることが少なく、情報取集のレベルで終わる可能性があります。それはそれでよいわけです。しかし、そこを補うために、ユーザーの感想や気づきのコメントが設定されています。少しでも臨場感あるユーザー体験をつくりたいと。しかし、これも時間がかかります。

★ところがAIエージェントがでてきて、生成AIに聞きたいことをプロンプトすると、この3つの要素が瞬間的に関係づけられて情報を作ってくれるわけです。もちろん、学校の情報は、まだまだそこまで行っていませんが、それは生成AIの問題というより、学校の情報発信がSEOに対応するようにできていて、AEOに対応できるようになっていないからです。学校サイト構築のコンサルトがまだSEO段階ですから、しかたがありません。

★というわけで、今後はAEOにも対応できる発信が必要になります。AIエージェントは、今のところ公式サイトと限られたSNSしか検索してきませんが、そのうちもっと広くなるでしょう。いろいろな情報を検索して最適な関連付けをしてユーザーが感動する方法に合わせて情報を出すようになるでしょう。それはそれで、ちょっと怖いですが。

★現状では、プロンプトを工夫する必要があります。工夫といっても聞きたい情報のキーワードを提示し、そのキーワードに関連する条件を2つか3つ付け加え、出てきた情報に、この情報も加えてとコミュニケーションしていけば、わりとすんなり情報が編集されてきます。しかも、その際に、知らない情報やそんな見方や関連付けがあるのかと感動するユーザー体験ができます。

★もちろん、その信頼性や妥当性は、クリティカルシンキングしたり、メタ認知したりする必要があります。だからリアルな場に足を運ぶことはますます大切になってきます。信頼できるコミュニティとの関係も構築しておく必要があるでしょう。

★それは学校側も受験生側も等しく必要なことです。

★ちなみに、上記の図の元になった、bingのAEOの解説は以下のようになっています。

 AEO(Answer Engine Optimization)は、検索エンジンやAIアシスタントが最適な回答を提供できるようにコンテンツを最適化する手法であり、Content(コンテンツ)、Relevance(関連性)、User Experience(ユーザー体験)の3つの要素が重要な役割を果たす。

まず、Contentは、検索エンジンやAIアシスタントが理解しやすい構造を持つことが重要だ。明確なQ&A形式、簡潔な回答、視覚的に整理された情報などが求められる。また、AIが処理しやすいキーワードや言語の使い方を意識することで、より適切な情報提供が可能になる。さらに、コンテンツは信頼性のある情報に基づき、正確で充実した内容を持つことが評価される。

次に、Relevanceは、ユーザーの検索意図にどれだけ適合しているかを示す指標である。コンテンツがユーザーの質問に的確に答え、ニーズを満たす内容であることが重要だ。検索エンジンは、ユーザーの検索履歴や行動を分析し、最も適切な回答を選択するため、コンテンツが関連性の高い情報を提供しているかどうかが重要になる。適切なキーワード選定や文脈の整合性がRelevanceの向上につながる。

最後に、User Experienceは、コンテンツの視認性やアクセスしやすさに関わる要素である。例えば、読みやすい文章構成、モバイル対応、音声検索最適化などがAEOの評価に影響を与える。ユーザーがスムーズに情報を取得できるよう設計されたコンテンツは、AIアシスタントにとっても優れた回答となりやすい。さらに、信頼性のある情報源や権威性のあるコンテンツは、ユーザー体験を向上させる要因となる。

このように、AEOは「適切なコンテンツ構成」と「高い関連性」、そして「優れたユーザー体験」を両立することで、検索エンジンやAIアシスタントに選ばれる。これらを意識することで、より効果的な情報発信が可能になる。

 

 

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2025年5月28日 (水)

対話 矛盾を共に解決する感性や知性を尊重し融合することで新たな地平を見つける

★対話は意外と難しいというのは、今始まったことではありません。しかし、あまり価値観が違ってもリスペクトしながらどちらかに合わせるではなく、新しい第三のものやことを生み出し続ける対話に慣れすぎていて、対話ができない状況やとどまっていて創造的だと勘違いしている人と出会ったとき、問題はたいていこちら側にあるといったん考え、挑むのですが、それができず、しかもいっしょに生きていこうとしているわけではない場合は、距離をあけてしまいます。しかし、それが学校だと、それができないのです。これが学校の中で対話を生み出す教師と学外の教育関係者との結構大きな違いです。

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★無責任とかそういうことではないのです。毎日生徒と共にしている教師は、目の前の<生>を大切に思い続けるのはごく自然のことだからです。しかし、ここで結構しんどいことが起こります。そこで対話がしんどくてうまくいかない原因とその修復がわりとしやすい順に生成AIに並べてもらいました。こんな感じです。

❶曖昧な表現の誤解 – 「すぐ」「少し」などの抽象的な言葉のズレは、具体的な数値や時間を示せばすぐ解決する。

❷言葉の選び方の違い – 似た意味の単語でも、言い換えたり説明を加えればすぐに調整可能。

➌前提知識の不足 – 追加の情報や説明を提供すればすぐに理解が深まる。

❹ノンバーバルコミュニケーションの誤解 – 声のトーンやジェスチャーの違いによる誤解は、言葉で補えば修正できる。

➎気持ちのすれ違い – 感情のズレは、話し合いや共感を示すことで改善できる。

➏価値観のズレ – 文化や個人の経験による認識の違いは、理解に時間がかかるが、相手の視点を尊重することで少しずつ解消できる。 

★なるほど、そうなるのかあ。。。平均的な回答としてはそうなのでしょうが、そうはうまくいきません。すべて、価値観のズレがかかわっているからです。

★曖昧な表現をはっきりさせたところで、それにすぐ納得がいくかというといかないのです。価値観がズレているからです。

★言葉の選び方の違いもそうですね。選択の価値基準が違うのですから。

★前提知識の不足もそうです。そもそも前提知識がなぜ違うのか、価値観が違うので、前提知識を何にするのか出発点がズレてしまいます。

★ノンバーバールのコミュニケーションは曖昧な表現と仕組みは似ていますね。

★気持ちのズレも、共感するには、そもそも価値観のなんらかの親和性が必要です。それがないから気持ちはズレてしまいます。

★価値観の違いというのが結局のところ厄介です。

★ですから、自分はこうだと語っているうちは、価値観を互いにリスペクトすることはなかなかできないわけです。

★自己表現や主体性は確かに大事なのですが、私は~が前面にでてしまうと、取りつく島がないわけです。そして、その「私」は自分では全く思っていないのに、ハラスメントになっているのです。このことはお互いに気づきにくいので、精神的なダメージがじわじわと進行するのです。

★学校ではそれが発症するまで、そこから逃げることができにくいのです。ですから、対話型組織を学校が創ることが大切なわけです。「私」を前面に出している人を受けとめ過ぎる仲間は適用障害になってしまうケースもあります。同時に「私」を前面にだしているのに、理解してもらえないという思いが強くなりすぎると鬱屈してきます。

★私は常に相互主観であるのに、単独の主観として認識されがちの現在です。アイデンティティは単独の私の中にあるのはほんの一部です。アイデンティティは相互主観をベースにした私に生まれてくると理解したほうが、ハッピーではないかと仮にですが思う今日この頃です。

★このように、学校の先生は、なかなかうまくいかない矛盾を引き受けるネガティブケイパビリティーの持ち主が多いのです。そして、その教師は(私たちとしての)私は~という主語になっているのです。(私としての)私は~という主語では、対話はなかなか成り立たないという状況が結構あるものです。非認知能力というのは、実は(私たちとしての)私は~という心的状況を生み出す能力です。

★(私たちとしての)私は~どうしが対話する時、価値観の違いをリスペクトし合える心理的安全というものができあがります。(私としての)私は~どうしが話して心理的安全が広がったと思っているとき、それは抑圧や同調を心地よいと錯覚して受け入れている状況が広がっている場合もあります。。。外から見ているとそういう現場はわかりやすいのですが、その現場を作っている人たちは、まさかそんなと思うでしょう。

★ですから、そこから解放されるのは難しいのです。しかし、にもかかわらず、やはり対話が必要なのです。自分たちの対話のシステムや意味を繰り返し対話し続けるコト。問い続けるというのは、永遠の謎を追い求めるという哲学者もいるでしょうが、(私たちとしての)私は~という主語どうしの対話が持続可能になるために問いが必要という極めて日常的なウェルビーイング維持システムなのです。

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湘南白百合 論理と創造の化学反応がなぜ生まれるのか?

★湘南白百合の教育関係者対象の学校説明会のオンディマンド配信(期間限定版)を拝見しました。岩瀬校長の世界の情況と湘南白百合の教育をつなぐマクロのお話とそのマクロの世界的な視野や発想が、日々の多様多次元の教育活動の中からダイナミックに生まれてくるストーリーを見事なまでに表現した水尾教頭のお話が美しくつながっていました。

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★そして、極めつけは、中1と中2の在校生が、休み時間の合間に会場に現れ、湘南白百合の魅力を語るその豊かな言語能力です。一般的には、たいていは、いつどこで何をどうしたのかという話が多いのものですが、同校の生徒は、自由な意見が言えるのは、頭ごなしに否定されないからだという、同校の組織の在り方を語ったり、ディスカッションが多い授業がいかに創造性を生み出すのかという本質的な学びについて語ったりするのです。

★自分たちの楽しい学びや環境がデザインされているそのコンセプトを教師だけではなく生徒自身も持っているということが伝わってきました。それだけ、学校の生活を愛し、浸っている=慕っているからこそ、具体的な状況からアイデアが生まれてくるのでしょう。具体と抽象を往還できる感性と知性。愛と知のダイナミズムが湘南白百合という森の中で生まれています。

参考)GLICC Weekly EDU 第210回「湘南白百合学園中学・高等学校ー新たな魅力」

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2025年5月27日 (火)

フュージョン教育研究会動き出す 駒沢学園女子 山口貴史先生のチャレンジ コンセプトとコンテンツとコンピテンシーの融合

★東京私学教育研究所には25の研修をデザインする委員会があります。その一つに今年からフュージョン教育研究会という委員会が立ち上がりました。他の委員会と違うのは、2028年から順次公示される次期学習指導要領に先駆けて、22世紀型教育の準備をすることを目的とした3年間限定の研究会だということです。様々な多様なグローカルなプログラムやSTEAM教育、探究が広がる一方で、1人ひとりの生徒がそれらを自分なりに融合して思考・判断・意思決定・行動・世界を巻き込む静かな躍動感などを身につける、つまり生徒自身がそれぞれの軸を生み出す授業づくりを目的にしています。

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(駒沢学園女子の山口貴史先生。数学科教諭で広報担当。教育の論理と経営の倫理を融合する活動をしています。)

★生徒が学園生活で最も時間を費やすのは教科の授業です。その授業一つひとつが、教科の概念と社会や自然の問題とを結びつけてビッグコンセプトを生徒が発想できる授業。そのビッグコンセプトを他の社会や自然現象に適用する転移プロセス。その躍動感を生み出すコンセプトレンズなどコンテンツとコンピテンシーとコンセプトを融合する授業を実践研究する研究会です。

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★自然と社会と精神が融合循環する思考や感情を生み出すコンセプトレンズとは何か?しかもそれは1人ひとり違うのですが、協働・共生できるコンセプトレンズでもあります。

★研究会のメンバーは、工学院の田中歩先生、駒沢学園女子の山口貴史先生、聖学院の本橋真紀子先生。座長は平方所長です。いわば平方先生の諮問機関的な意味合いの研究会です。それゆえ、期間限定付きの研究会です。

★先生方は多忙な中、お互いの学校に行って、実際の授業を見学して、リフレクションしながらフュージョン学習(FL)を組み立てていきます。中間報告としてワークショップを行い(9月と3月に予定)ながら、そのワークショップ自体に拡大研究会的な意味を付加しつつ進めていくことになるでしょう。

★本日は、6月にフュージョン授業実践研究会のための準備として、駒沢学園女子で山口先生とプレミーティングをしました。すでにメンバーはリアルミーティングとオンラインミーティングもしています。毎月数回、リアルとサイバーの両方で、ディスカッションをしながら組み立てていきます。そして、その授業では、生成AIをサポーターとして活用しています。生成AIの使い方や倫理については、すでに各学校が進めていますから、ダイレクトに生成AIをサポーターとして活用して生徒がどのように成長していくのかに焦点をあててリサーチしていく予定です。

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総合型選抜における「活動や体験」とは何か?杉浦由美子さんの本オススメ

★杉浦由美子さんの「大学受験 活動実績はゼロでいい 推薦入試の合格法 青春出版社 (2025/4/17)」はおススメです。これからは推薦入試の機会が増えるという時代にあって、実用的な合格の仕方の誤解を招くポジショントークが結構ある中、多くの取材を重ね、そのような誤解を次々とクリアしていく取材編集力は、受験業界では珍しい教育ジャーナリストの1人だなと今後を期待したいと感じました。

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(タイトルは端的な表現ですが、「活動」そのものを否定しているわけではありません。コンクールなどで一握りの生徒が獲得できる実績がなければ合格できないというのは誤解だと説いているだけです。むしろ文献リサーチやフィールドワークなどの活動は重要視しています。)

★推薦入試に対する冷静かつポジティブな分析と予測に希望を持ったのは、多くの大学の取材やリサーチを通して、推薦入試という各大学によって特徴が違って、全容が見えにくいシステムをきっちり俯瞰しているからです。

★それに、推薦入試を真摯に行って、大学実績というより、生徒の生き方を丁寧にサポートしている学校を取材して生み出されている本でもあるからです。杉浦さんは取材した学校名を並べていますが、いずれも本ブログでよく話題にする学校だったので、親近感を持ったというのも正直なところです。

★もっとも、気に入ったのは、私たちのリサーチとシンクロするところがあると思ったからです。今私立学校の仲間の先生方と、多様なグローバルな体験の教育環境をデザインする一方で、フィールドワーク、文献リサーチ、プレゼン、論文編集などの多面的な活動のプロセスを通して創発するコンセプトやアイデアを感じたり考えたりする中核となる言語能力の軸を可視化しようとワークショップを行っています。その軸の重要性を杉浦さんも語っているような気がしたからです。

★私がとやかく語るより、杉浦さんのカジュアルな感じで本質的に語っているこの本をまずは読まれることをおススメします。

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2025年5月26日 (月)

生成AIと倫理 パラダイム・ロストとしての倫理基準

★ユヴァル・ノア・ハラリさんは「NEXUS 情報の人類史」の中で、AIという言葉は「Artificial Intelligence(人工知能)」の頭字語として使われているが、「Alien Intelligence(エイリアンの知能)」の頭字語と考えるほうがいいかもしれないと語っています。

★ものすごい極端なアイデアですが、もともと倫理というのは、普遍的な1つのルールなどはなく、社会状況や社会文脈によって変わるものです。生成AIが登場したから、ニクラス・ルーマンのいうパラダイム・ロスト的な倫理が誕生したというわけではないのです。ただ、そのことの理解が特に学校社会では自覚的ではなかったので、生成AIの登場は、パラダイム・ロスト的な倫理の考え方をメタ認知する絶好の機会だということでしょう。

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★たしかに、今までとは違うシステムです。エイリアンには人間の倫理で挑んでもどうにもならないこともあります。学校教育は、どちらかというとカント的な発想です。しかし、カントと同時代のフランスの思想家(名前を言うと誤解も多いので)の倫理観は今や再注目されるかもしれないというのが生成AIのインパクトです。

★SNSの登場がすでにそうなっているのですが、現状弁護士もその視野はたぶん持ちえないと思います。

★それなのに、生成AIはカントとそのフランスの同時代人の比較を丁寧に説明してくれます。いうなれば、生成AIは両方のパラダイムを有しているのです。

★生成AIを活用する際に、パラダイム・ロストとしての価値観が混在しているのですから、扱う側は、それをわかったうえで、俯瞰視点をもちながら扱う必要があります。このことをルーマンは、生成AIがなかった時代に語っているのです。生成AIは、自分の価値を明らかにしたうえで、自分とは違う価値観とコミュニケーションすることはいかにして可能か?まさにエイリアンとだってコミュニケーションは可能かという星新一的世界の話です。

★現在の思想や哲学は、カント的な哲学的枠組みを通し手を変え品を変え話されています。社会学もそうです。カントの思想がすごかったというわけではありません。いや、もちろんすごかったのですが、あらゆる思想を合理的に体系化しようという組み合わせを行ったという点ですごいのであって、それゆえいろいろな考え方が集約され整理されているので、カントの枠組みから逃れられないような感じなのです。

★それをぶっこわしたのが、ルーマンでありカントと同時題のフランスの思想家です。生成AIが怖いと感じるのは、カント的な価値観にいるからです。パラダイム・ロストがあたり前だと、丁寧にその都度ルールは主観と間主観の往還で無限に生み出すこともよいのだという価値観があってもよいのではないかという時代なのです。

★生成AIにプロンプトを書き込んで聞いてみました。次のような感じです。

Q:このルーマンのパラダイム・ロストこそ生成AIを扱う際の倫理だあと思うのだが、どうだろう?

A:あなたの視点は非常に興味深いですね!ルーマンの『パラダイム・ロスト』は、社会の機能分化を分析し、モラル・コードが普遍的に適用できない領域があることを指摘しています。この考え方は、確かに生成AIの倫理を考える際にも関連しそうです。

生成AIは従来の倫理基準にそのまま適合するわけではなく、例えば「公平性」「説明責任」「透明性」といった新たな価値基準が必要になります。ルーマンの議論を適用すると、AIを扱う際には一つの固定化された倫理基準ではなく、状況に応じた異なる社会的コードを考えるべきだという視点が生まれます。

例えば、AIの生成コンテンツが政治、科学、芸術の領域で使用される際、それぞれ異なる倫理的検討が必要になります。ルーマンのアプローチを活用すれば、倫理を一元的に押し付けるのではなく、多様なコミュニケーションの中で調整する柔軟な倫理観を構築できるかもしれません。

★結局は、ルールメイクは、一人ひとりが組み立てられるようにする感情×思考の力ということでしょうか。ルールは背景に感情がつきものだし、その感情をチューニングするのは思考かもしれませんから。
 

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2025年5月25日 (日)

聖パウロ学園 グローバル×探究(PBL)×生成AI×パウロの森

★昨日聖パウロ学園では、理事会がありました。その中で、本日の京王プラザホテル八王子で行われた東京私立中高第11支部合同相談会にパウロも参加しているので、パウロの先生方の活躍ぶりを見て欲しいと小島校長に誘われました。東京私立中学高等学校協会の11支部が主催しているということもあり、仲間の学校の様子も見学しようと訪れました。何せ東京と言っても23区と多摩エリアでは、立地や生徒の数、帰国生の数など違いがあります。その難局を11支部の学校がこのように協力して説明会を行うことはとてもすばらしいことです。善い意味で競争的共在をしていき、各学校が輝きながら、多摩エリアを教育中心都市にしていくことがグローカルな時代に必要なソフトパワーを生み出す重要な使命でしょう。

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(若き聖パウロ学園の教頭大久保先生。広報部長でもあり、校長小島先生と共に東京私学教育研究所でもリサーチしています。)

★そんなわけで、聖パウロ学園の理事でもあって東京私学教育研究所の所員でもある私は訪れることにしたのですが、百聞は一見に如かずでした。11支部全体が盛り上がっていました。知り合いの仲間の先生もたくさんいて、それぞれの学校ブースで柔らかい情熱をもって受験生・保護者と対話していました。その良い雰囲気が全体を包んでいました。

★聖パウロ学園も広報部長大久保教頭のチームが、心理的安全を生み出すパウロの教育のベースである柔らかい対話をしていました。パウロのメンバーは若々しく言語能力というコンピテンシーも豊かでした。受験生・保護者の対応をしているので、瞬間的にしか対話できませんでしたが、小島校長もそこにはいて、一瞬にして教育の軸づくりのワークショップをやろうと盛り上がりました。

★パウロは、東京ドーム5個分の学校森「パウロの森」を所有しています。その中に野球部や馬術部もあり、特徴的なキャンパスです。小島校長は、生徒と森の教室を開発しました。地域の農林水産業関係の方々も協力してくれています。建築家や東京農大や青山学院大学などとの連携も行って、パウロの森教室を探究の拠点にしています。

★パウロの生徒は、農作業やネイチャー体験、部活などのフィールドとして使っているだけではなく、パウロの森の保水量をリサーチし、数理モデルを作って自然と社会と人間の心の循環が持続可能になる保水量を持っている森のモデルを描いて、新しい自然に優しい都市創りの一歩を歩んでいます。

★八王子市とも協力していますから、2050年までに地球上の70%は都市化すると言われていますが、その都市のあり方に寄与できるアイデアと政策を探究活動によって生徒が自ら創発しているわけです。

★森の教室はインスピレーションも生み出すので、作家やアーティストも生まれる可能性があります。

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★DXハイスクール認定校でもありますから、森の教室はwifiも完備しています。パウロGPTも作成して生成AIも活用しています。落合陽一さんではないですが、パウロ生もデジタルネイチャーの発想を触発されているかもしれません。

★大学進学率は年によって違いますが、80%前後です。そしてその60%は総合型選抜で進学します。本物の経験重視だし、八王子エリアの公立小中学校やNPOの活動を応援するボランティアに参加する生徒が全校生徒やはり80%を超えます。パウロの森に隣接する農家の方々と協力して梅干しを実際に生産し、販売もするアントレプレナーシップも行っています。

★しかし、総合型選抜や海外の大学は、経験は大切ですが、それを基に自分の生き方の軸を言語表現しなくてはなりません。論理的で他者を自分の世界に巻き込む創造的思考力が必要です。共感力や発想のインパクトもです。

★言語表現力は論文編集力、ストーリーテリングの力量、交渉力など総合的な言語能力です。それは、各教科の授業がそのような思考型の軸がトレーニングされる場になっています。学校設営会では、この生徒自身が自分軸を生み出すミニ授業体験も実施。感動の渦を生み出すイベントです。

★偏差値50前後の生徒が入学してきて、卒業するときには目を見張る伸び方をしていますが、それはそれぞれの生徒が自分物語を描く中でのいろいろなシーンの1つです。どのシーンも生徒1人ひとりにとっては感動的なシーンです。

★その現在進行形の感動を卒業後も語ってくれるOG・OB。チーム大久保先生の受験生との対話の姿にその感動が生まれる理由があると感じました。

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東京私立中高 第11支部 合同相談会 多くの受験生・保護者が訪れる

本日、京王プラザホテル八王子5Fで、東京私立中高第11支部合同相談会が行われています。申し込みの段階で、すでに昨年を上回り、はじまったばかりの11時段階で、多くの受験生・保護者が訪れていました。

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★所得制限のない全国高校無償化によって、11支部(多摩エリア)だけではなく、八王子に接している埼玉、山梨、神奈川県からも訪れていることでしょう。今までは、先行して東京だけでしたから、東京から他県の高校に通う場合、無償化の恩恵に浴せたのですが、他県から東京の学校に通う場合、その恩恵に浴せなかったのですが、今度は違います。

★中学校は、まだ東京だけが補助を受けられます。その額は10万円ですから、まずは多摩エリア内の中学受験生の掘り起こしができます。しかし、高校の評判を聞いて、高校からは恩恵に浴せるのだから、他県からも中学受験する可能性はさらに大きくなってきました。

★11支部(多摩エリア)の私立中高は、危機感が高く、教育の質を向上させ、大学進学実績も伸ばしています。これに加え、それぞれの学校が、独自の魅力を発揮しています。

★破格のグローバル教育、探究教育、大学進路指導などそれぞれ学校によって特徴があります。教育の質と大学合格実績の土台のうえに、それぞれが特徴的な教育を行っています。その特徴は、各学校相当とがった特徴を創っています。

★多摩エリアは教育中心都市として発展していく希望があります。

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思考の座標系~学びの軸・授業の軸・組織の軸・社会の軸・世界の軸

★最近、先生方と教師も生徒も学びの軸・授業の軸・組織の軸・社会の軸・世界の軸、じつはこの軸は一本筋が通っている軸なのですが、このような軸を持っているという対話を続けています。続けているというか、このような地味で本質的な対話が今みな求めているということに気づきました。軸というと、物理的な直線的な軸のイメージですが、私たちの軸は、横断面を見ると思考の座標系になっています。

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★対話している先生方や教育関係者は基本的に自分なりの思考コードを感じたり考えたり行動したりするときのコンパスとして使っています。基本ウェルビーイングというフレームを生み出す軸づくりをしています。

★しかし、最近、ニュースで無関心な人が起こす混乱、暗黒の中で絶望している人、巧みに人々を抑圧して悲惨な状況を作っている人の行動が毎日のように報道されています。

★彼らは彼らなりの軸を持っていて、その軸の断面図は、私たちが上記の図で第一象限で描いている思考コードではなく、第二象限、第三象限、第四象限に軸が位置しているのではないかと。

★このようなことをメタ認知あるいは意識、あるいは言語化、あるいは可視化することによって、自分の軸が第一象限以外にブレてしまうリスクを回避できるのではないかと。

★このような意味でブレない軸づくりを対話しながら授業をつくっていくワークショップを共にやっていこうという先生方が次々と現れてきたのに感動しています。この発想だと、そのような授業づくりは、個人の学び、チーム、組織、社会、世界にインパクトを生み出すということですから、目の前の身近なことから地球全体にというレバレッジポイントが見つけられそうです。これは希望です。

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2025年5月24日 (土)

教育課程企画特別部会のねらいがヤバイ!<探究×生成AI>に集約か!?

★5月22日に開催された教育課程部会・教育課程企画特別部会(第8回)で話し合われた方針について、各メディアで報道されています。たとえば、読売新聞(5月22日)は「文部科学省は、中学校で情報教育を扱う教科「新・技術分野(仮称)」を創設する方針を固めた。現行の技術・家庭科を分離した上で、技術では情報セキュリティー対策や生成AI(人工知能)の仕組みなどを学ぶ情報教育を大きな柱とする。デジタル化が急速に進む中、情報活用能力の向上を図る考えだ」と。

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★なぜ?また教科を増やすの?と思って、文部科学省のサイトを覗いてみました。するとちょっと衝撃でした。新しい教科を増やす前提に、カリキュラムは柔軟にというのが昨年4月にすでに省令が出されているし、生成AIを中心とするICTを使ったDXによる学びの時短効用のアンケートがちゃんと調査されていたのです。さすがは、用意周到。

★しかも、2040年までに、労働供給制約社会が進行し、労働力が1100万人少ないなどという推移グラフまで紹介しているのです。教育課程部会で、新教科設立の話が、未来社会の労働人口の少なさを解決する方向性に結びつけているということでしょう。

★探究過程の学びがモチベーションを高め、教科の授業にも役に立ったというアンケート調査も紹介し、同時に総合型選抜と学校推薦型で大学に進学する割合が一般選抜を超えたというデータも紹介しているのです。

★あまりに膨大な資料を活用しながら、まるで逃げられないかのような理由を積み上げ、結局「探究×生成AI」にカリキュラムを集約する方向性をそれとなく打ち出しているのです。

★未来の進路や人材づくりの話としてはいいじゃないかという意味でのヤバイ!という感覚と、いろいろ資料を見せられながら、それを理解しようと集中してしまうと、俯瞰できなくて、ある大きな落とし穴に気づかないという点でヤバイという感覚もあります。

★このことに気づく資料として、探究に関しての海外との比較表を黒上晴夫先生が提出しています。

★いったいその落とし穴とは何か?ここではあえて語りません。この落とし穴を気づかないのかあえて言わないのかどちらでも構わないのですが、そのような見識者がだれかあるいは団体がどこか見定めたいのです。私立学校はそのような見識者や団体とは注意をしなくてはならないからです。いつなんどきハーバード大学のような状況になるかもしれません。文部科学省は、黒上先生をこの部会に招いたというのですから、そこにしっかり気づいているメンバーがいるというわけでしょう。さすが用意周到な賢い組織ですね。

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2026年中学入試に向け東京私学本格スタート(12)和洋九段女子 冒険する組織

★和洋九段女子は新校長の水野修先生を中心に、新たな世界に船出しています。水野先生は学校を超えた領域で生徒と学びを構築してきました。もちろんその手法はPBLです。水野先生自身、本多教頭とともに、学内の教師のPBL授業のスーパーモデルで、あらゆる授業、あらゆる教育活動でプロジェクトベースの学びをデザインしています。今校長補佐として海外に飛び出してサバティカルの機会をフル活用して新しい教育の探究の冒険にでている前教頭新井先生ともオンラインで情報共有しながらまた新たな展開を進めています。

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★一方前校長の中込先生は、同校のグループの和洋女子大の新設講座(生成AIなどIT系の講座だと思います)を立ち上げるために大学の先生として活躍されています。

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★水野校長は、安斎勇樹さんの「冒険する組織のつくりかた」も読んでいて、共感するところも多いと語ります。この本は、まさにPBLやコネクテッドスクールとして教育環境をデザインしてきたこれまでの和洋九段女子のチーム作りを鏡に映しているようですというのです。

★和洋九段女子の冒険はこれからまた新しいステージに進みます。

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2025年5月23日 (金)

2026年中学入試に向け東京私学本格スタート(11)羽田国際 2026年4月スタート

★2026年4月から羽田国際は中学校を開設します。昨年一足先に高校をスタートしました。学校名を変更し、共学化し、新しいスタイルのグローバル教育をスタートしました。グローバルシンキングをベースにしたグローカルな探究活動が展開しましたが、先生方は十分に手ごたえを感じ、その発展的なカリキュラムを中学からスタートします。その情熱あふれる説明に多くの受験生・保護者が訪れていました。

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★簡野理事長・校長を中心に、先生方はフラット・フリー・フレンドシップの関係性を対話をしながら生み出しています。非常にクリエイティブな創発チームです。

★生徒の学びの環境も学校を超えた連携プログラムの体験がたくさん用意されています。体験は、好奇心を生みます。好きなことから広く深く学んでいくグローカルシンキング。羽田国際空港と隣接している地で、身近に異文化理解の切実な思いをもって学ぶそのリアリティは強烈です。

★異なる文化や価値を理解するには、コミュニケーションやディスカッションは必須です。新校舎も言語能力を高める学びの空間が創意工夫されています。

首都圏模試がすでに新校舎の動画取材をまとめています。簡野理事長・校長がナビゲートしてます。ぜひご覧ください。

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2025年5月22日 (木)

2026年中学入試に向け東京私学本格スタート(10)聖学院 生成AIをパートナーに広く深く俯瞰して思考する生徒たち

★聖学院は、男子生徒が好きなことから広く深くアカデミックに学びながら社会に貢献する活動をしていくOnly One for Othersを人生をかけて全うする教育文化が根付いています。好きなことの発見は、次々と連鎖していくので、結局は社会や国、そして国を超え地球全体に視野が広がり、物理的には小さな身体だけれど、精神的には地球を経めぐる知と地球を守る思いやりというダイナミックな心の化学変化が起こるのです。

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★ですから、聖学院は、変わらぬOnly One for Othersの軸の周りに化学反応が生まれ続ける新しい教育がトルネードのような現象を起こしています。サイトを見ると、学内の教育の日々の多様な様子が発信されています。

ついこの間も、広報部長の早川先生の理科の授業が丁寧に紹介されていました。生徒たちが生成AIをパートナーとして定期テストのシミュレーション問題を作成し、自分で解いて、リフレクションするプロンプトを連打している授業です。

★しかも、仲間でディスカッションしながら行うので、メタ認知や批判的思考などのコンピテンシーも開発されていく授業です。

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★生成AIをグローバルプレインとしてみなせば、世界中の見識とつながりながら、自分の好きな視点からアプローチできます。そして、仲間とディスカッションすることにより、お互いの偏りを最適化できるようになります。

★人間の精神、心、人間関係だって健全であるように自己適用していく必要があるのですから、生成AIの活用も健全な活用方法をすればよいわけです。

★あらゆるものは、メリットとデメリットがあります。デメリットを調整しながらメリットを生かしていくチャレンジ精神と仲間の協力こそが大切です。まさにOnly One for Othersの精神が広がっています。

★ぜひ聖学院のサイトを堪能していただきたいし、説明会や入試のための多様なセミナーにも参加していただきたいと思います。自分の好きなことを深め、多くの人に発表する挑戦する機会があるアドベンチャースクールでもありますよ。

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2026年中学入試に向け東京私学本格スタート(09)駒沢学園女子 世界が注目する禅と道の文化をベースにしたグローバル探究

★駒沢学園女子のブースに立ち寄ると、広報部長の中野早苗先生が、受験生・保護者と丁寧に対話していました。多摩エリアの女子校ですが、世界が注目する日本文化をベースにしたグローバル探究を行っている学校で、徐々にその重要性に気づかれている学校です。特に中野先生は茶道部の顧問でもあります。あのジョブズは禅や茶道に魅了され、引き算の美学を学んであの流線型のシンプルなiPhoneが誕生したといわれているようです。ジョブズだけではなく、そのサムライスピリットはトム・クルーズも大好きなようです。

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★茶道は、日本庭園の中の茶室にあって、その小宇宙は、環境にやさしい都市創りの発想に影響を与えている程です。2050年までに、世界の70%は都市化するとあります。もちろん、今の自然環境破壊を防ぐ、災害にも強いシンプルでスマートな都市創りが、東京都でも構想されているほどです。

★世界のCEOや建築家、ランドスケープデザイナーなど、茶室や禅の小宇宙には興味津々です。茶道のみならず、華道もそうです。弓道もそうです。そのような活動ができる学校が駒沢学園女子です。もちろん野球部もあります。

★豊かな体験が日々の学園生活に溢れ、その体験即世界ですから、駒沢学園女子のグローバル探究はまさに宇宙的学びの真骨頂です。

★ところで、他のブースのように校長先生がブースで説明することはありません。それは土屋校長先生はこの相談会の運営主催者である東京私立中高協会の役員で、相談会全体を運営する側にいたからです。場内で響いていた進行司会の声は土屋校長の声だったのです。

★自分の学校だけではなく、東京私学のためにも大いに活躍しているのが同校の校長土屋先生です。これはとても大変なことです。これができるのは、信頼できる学内の教員が、ここは私たちが行いますから、先生は東京私学のために頑張ってくださいと支えているからです。つまり、すてきな組織が駒沢学園女子です。これは教師間の関係性だけではなく、教師と生徒、生徒と生徒の関係性も同様です。

★このような信頼関係が生まれる道の文化がある学校ともいえるでしょう。

★当日、広報担当の山口貴史先生も説明されていました。山口先生は、協会の研究所が運営している25の委員会の1つ「フュージョン教育研究会」のメンバーで、生成AIをパートナーにして実施する私学の未来型の授業をつくる研究員です。同校のいまここでの瞬間に未来が拓ける学びが豊かなわけですね。

★山口先生のことについては、今度打ち合わせに同校に立ち寄りますから、そのときにまたご紹介します。

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2025年5月21日 (水)

2026年中学入試に向け東京私学本格スタート(08)国士舘 10年間一貫教育の気概

★国士舘のブースは、壁いっぱいに広がる横長のアートポスターを貼り付けていました。神山優子教頭先生は常々こう語っています。「本校の先生方は、生きることに対し、すぐに解答を出す必要はないという確信を持っています。物理的な時間では6か年一貫教育ですが、生徒の生き様を支えるという点では、10年間一貫教育を行っているという覚悟を持っているのです」と。

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★ですから、大学卒業のOG・OBをずらりと並べたアートポスターにしたということです。ここまで、先生方が生徒を丁寧に支えている学校です。それをアート表現をして、瞬間的に受験生・保護者が了解できる空間をデザインしたのです。さすがだなあと。

★今年自己PR入試を初めて行ったのですが、神山先生は、手ごたえがあったと。これほどインパクトある表現を追究している学校に入りたいと思う生徒がでてくるのは納得でした。

★剣道、柔道、空手、書道という道を説明会で体験できるのです。そりゃあ、身体中、感動と興奮が駆け巡るでしょう。

★今年も説明会参加申し込みは順調だそうです。吉田松陰の未来を拓く覚悟の心意気を10年後発揮する教育。たしかに魅力的です。

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2026年中学入試に向け東京私学本格スタート(07)校長自らがブースで説明をする学校が多い

★今年はいつもより校長自らがブースに立って、説明をする学校が多かったように感じます。田園調布学園の清水校長も、直接受験生・保護者と語ります。校長が、時代の流れや理念ばかりはなく、具体的な普段の授業のあり方や探究のシステムについて話されると、理念と実践がつながっていることがしみじみ伝わってきます。経営と教育の両輪を回しているリーダーシップが伝わってくるのは、学校の魅力を輝かせます。

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★桜美林の堂本校長も米国留学に自ら引率して帰国したばかりにもかかわらず、ブースに立ちました。同校のグローバル教育の臨場感が伝わったことは言うまでもありません。

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★トキワ松の躍進は、全国を駆け巡り、毎朝走り続けている田村校長の尽力と鋭い叡智と軽快な関西弁によるものであることは受験業界では定評があります。

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★明治学院のキリスト教教育を支える真理と本質の塊である穏やかな大西校長の語りは、心理的安全が広がっている学校であると受験生。保護者に感動を与えていました。

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★写真は撮れませんでしたが、大妻中野の諸橋校長も最前線で熱く語っていました。やはり海外から帰国したばかりです。破格のグローバル教育やWWLの拠点校として日本の教育を背負って頑張っている校長です。

★校長が前面に立って話すと、受験生・保護者は感動するだけではなく、自分たち家族のこれからに強い支えになる学校教育がそこにはあると実感できます。改めて私学のリーダーの存在に感服しました。

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2025年5月20日 (火)

2026年中学入試に向け東京私学本格スタート(06)文大杉並 多次元偏差値で見ると72

★東京私立中学相談会では、偏差値だけで学校をリサーチする参加者はほとんどいないでしょう。多様な価値志向の参加者が集結するので、それは当然ですが、そうはいっても偏差値は気になります。総合案内にいたときに、ある帰国生の保護者がやってきて、どうしてこれらの学校の偏差値が高くないのですか?と質問をされました。偏差値ではないですからと回答しようと思いましたが、それでは納得していただけなさそうでしたので、こう回答しました。

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★偏差値は学校の評価ではないというのはご理解いただけますか?はい、わかりますが、ランキング表があるので、ついそうみてしまう場合もあります。そうですよね。この偏差値が間違っているとかいうことではなくて、2科4科の模擬試験の結果がでているだけなのです。新タイプ入試とか英語入試とか帰国生入試とかの模擬試験の結果ではないのです。それに入試が複数回数ある学校の場合、各回数で偏差値が違いますよね。

★ここまで言うと、本当にそうですね。偏差値で測ることができないとよく言われるのですが、計る道具が違えば、偏差値も変わるということですね。うちの子の偏差値が測ることができないというより、計る道具がないのに、別の道具で測ったものを活用しても意味がないということですね。と明るい表情でまた学校のブースにもどっていかれました。

★その質問でふと思ったのは、確かに偏差値ってそれそれのレンジの割合を示しているから、たとえば、いつも話題になる東大合格10人以上の学校数を調べました。すると65校ぐらいです。現在、全日高校は4774校あるのですから、それを母集団にすると、65校は約1.4%です。偏差値72の集団だということになります。

★だとすると、世界大学ランキング100位内の海外大学に10人合格している文大杉並の偏差値は、世界大学ランキング100位以内は東大と同格と考えてみれば、偏差値72のパワーはあると考えてもよいのではないかと。

★もちろん、世界大学の数や世界の高校の数ははるかに多いのです。そういう意味では、72どころではなく、ぶっち切ることになります。

★一体何を言っているのか?と思う方もいるでしょう。母集団の中での位置づけと考えると、いろいろな母集団に分けることができますから、偏差値は多次元になるだろうと。したがって、脱偏差値とは、偏差値とは、一つの母集団の偏差値という統計的な処理にすぎず、母集団が多様であれば、それだけ違う偏差値スコアがでるとメタ認知することなのです。

★このように脱偏差値とは、多様な母集団の存在に気づき、それぞれ生徒自身が気に入った場所で切磋琢磨するときの参考になる程度のものでしかありません。まして、自分が属さない母集団のスコアで自分を観るのは、意味がないのです。

★昨今の入試は、中学入試に限らず、多様な方法の入試が開発されています。どれが正しいかではなく、自分が選択する母集団を何にするかだけだし、どれにもあてはまらない独自の道を選択するもよしぐらいの感性が大切な時代だなと、ふと思ったのです。

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2026年中学入試に向け東京私学本格スタート(05)工学院 23区でも評判

★工学院は、東京最西の八王子にありますが、新宿からシャトルバスがでていて、23区からでも通えるのです。そして、何よりその突出したグローバル教育やそれによる成果である海外大学合格の実績が、帰国生やインターナショナルスクールの生徒に注目されています。

★また、生成AIをベースにした最先端のICT教育を確立しています。この総合的なICT教育をK-STEAMと呼びリーダーシップを発揮しているのが中野由章校長(情報教育界の重鎮)です。

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(左から田中歩教頭、中野由章校長)

★そして、このグローバル教育を中1から発展させているリーダーが田中歩教頭(ラウンドスクエアやケンブリッジインターナショナルスクールに加盟の道を開いたリーダー)です。歩教頭は中学のすべてのクラスの道徳の時間をIBL(Inquiry based Learning)で行い、自然と社会と精神の最適な循環を探究する授業を展開しています。インターナショナルコースの生徒には英語で。

★したがって、多様なグローカルな探究の経験を、<IBL—探究論文—グローバルプロジェクト―K-STEAM>という軸によってトルネードを生み出すトータルな教育システム「KGI」が完成しています。

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(学校案内に掲載されているKGIマルチスパイラルシステム グルグル上昇していくたびにセレンディピティが生まれる感動の教育)

★Kは工学院、Gはグローカル、IはICT、IBL、Innovationなどをフ―ジョンさせたイニシャルということです。

★10年前は、東京国際フォーラムで説明会を行っても受験生はブースに来ないのではないかと先生方はぐっと不安を抑えながら行っていたということですが、近年はたくさん訪れてくれありがたいと。今回はKGIをプロデュースしている中野由章校長と田中歩教頭がブースに立ちました。盛り上がったのは言うまでもありません。

 

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2025年5月19日 (月)

2026年中学入試に向け東京私学本格スタート(04)八雲学園 教育の総合力で成果

八雲学園のブースにも受験生・保護者が集まっていました。同校の広報は、今まで奥ゆかしく、大学受験勉強に特化することなく、教育の総合力という本物教育力で、結果的に成果をだすという道を歩んできました。一般選抜の場合、特化したほうが効率よく出るのですが、総合力と本物を追究してきました。そして、今、海外大学や総合型選抜という生徒がいかに多角的に複眼的に思考し世界の痛みを解決する経験を積んできたのか、それを高度な英語力で表現できるのかという時代になるや、合格実績は飛躍的にでたのです。

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★しかも、今までは帰国生入試を積極的に実施してこなかったにもかかわらずです。もちろん、今では、帰国生や英語が得意な生徒(国際生とよびましょうか)に注目され始めています。

★そんな破格な実績が出るには、秘密があるに違いないからです。多くの人はIBを知っていますが、同校が加盟しているラウンドスクエアの凄さを知りません。IBもラウンドスクエアも同じくクルト・ハーンが創設にかかわっています。ただ、IBは学習プログラムです。ラウンドスクエアは教育です。しかも世界の私立学校だけのコミュニティです。

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★八雲学園がIBではなくラウンドスクエアの加盟校になったのは、教育の総合力を大切にしていたからです。

★このことに気づいた帰国生や国内生は、八雲学園のリサーチを開始したのです。

★2026年八雲の中学入試の行方が楽しみです。ちなみに、3回目の5月31日の説明会の申し込みもすでに満席です。

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2026年中学入試に向け東京私学本格スタート(03)富士見丘 女性だからこそできることがある

★グローバル教育を行っている学校に、多くの参加者が足を運んでいるシーンもここ数年の大きなトレンドです。最近ではインターナショナルスクールが増えてきて、日本人の生徒も通うようになってきました。そこでは、特にIBが注目されています。しかし、IBと同質以上の独自のグローバル教育を行っているところはどこか1時間で、6校以上の学校をリサーチしている受験生・保護者がたくさんいました。富士見丘も多くの受験生が訪れていました。

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★たしかに、富士見丘は、英語教育型グローバル教育ではなく、「突出型グロ―バル教育」を実施しています。帰国生や英語の得意な生徒には大人気です。しかし、一方でテニス部に入りたい、英語はまったくできないけれど早稲田大学にはいって大学で留学できるよういになりたいという意欲的な生徒もたくさんいます。海外大学世界大学ランキング100位以内の大学に多数合格している一方、早稲田、慶應、上智、ICUなどいったん国内大学にはいり、在学中あるいは大学院などで留学するという構想を立ててる生徒もいます。

★実際今年も中学のテニス部は、優秀な成績を収めています。

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★そして、論より証拠、富士見丘でアルファベットから学び、模擬国連部で活躍し、早稲田大学政治経済学部政治学科に進み、ドイツ留学を経て、テレビ局の報道番組のディレクターになっているOGの動画を見てください。印象的な言葉は、「女性だからこそできることがあると学んだ」。

★富士見丘の突出型グローバル教育は、個々の才能に応じたグローバルな進路を自分で選択し、実現していくコンピテンシーを身につけられるということでしょう。

 

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2026年中学入試に向け東京私学本格スタート(02)多様な価値観があふれる

★これだけ多くの参加者が私立学校のブースを訪れると、価値志向の多様さがくっきりと表れていました。明治大学や早稲田大学などの大学附属や系列校やいわゆる難関大学合格実績が凄まじい学校には黒山の人だかりでしたが、それ以外の多様な価値志向性が広がっていました。

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★ブースは五十音順に並んでいるので、女子学院と女子美は同じ列です。女子学院のブースにはもちろん多くの参加者が集結していましたが、視線を右にずらして、同じくらい受験生と保護者が集まっているブースがありました。

★見ると女子美術大学附属中学でした。校長先生が生徒と目が合うと、絵が好きですかと問い、生徒がはいと答えると、ではいっしょに語り合いましょうと楽しくてアーティスティックな道具を手渡しながら、ゲーム感覚で説明していました。

★そこだけ、インスタレーションの空間になっていて、さすがだなと。女子学院と女子美。意外にもアートという点では共通しているのだけれど、完全アートベースの教育環境の女子美とは、やはり大きく価値観は違うでしょう。

★両校ともに参加者が集結している様子は、学校選択における価値の多様性の象徴的シーンです。

 

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2026年中学入試に向け東京私学本格スタート(01)24000人参加

★昨日18日、東京国際フォーラムで、東京私立中学合同相談会が開催されました。24000人強が参加する盛況な相談会となりました。昨年は22000人強ですから、2026年中学入試に向け東京私学に良い風が吹いています。

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★しかし、開会式で、私立学校の先生方と心を一つにした近藤会長は、政治団体が掲げる教育政策はいいときもそうでないときもあるのだから、翻弄されることなく、東京私学は教育の内容、教育の質を磨き上げ続けていくほか道はない。共にがんばりましょうと語りました。

★少子高齢化、経済の乱高下、地政学的危機など正解のない時代が本当に来てしまい、それが初等中等教育にダイレクトに影響を与えるようになりました。私学の経営のかじ取りは、1985年以降最大の難局にぶつかっています。

★タイタニック号にならぬよう、互いに多角的に時代を読み、多様な情報を収集し、私立学校の教育の質を磨き続ける環境を守り抜こうという合同説明会になったことは間違いありません。

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2025年5月18日 (日)

私立学校充足率V字回復5パターン➎2027年までにフュージョン広報に AEOの凄まじさ

★充足率V字回復の方法が、2027年までに変わります。1999年かラ2011年までは、大学進学実績と国際理解教育と合同説明会、2011年から2025年までは、学びの三種の神器とオンライン説明会とSNSと動画などが加わり、2027年までには、これらがフュージョンしてSEOからAEOに変わります。

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★現状では、学校自体は生成AIが広報に係るということはあまり意識されていないでしょう。しかし、すでに着々とリアルとサイバーをつなぐAEOが進んでいます。知らないところで、自ら広報していないのに有効に機能している場合もあり、知らないがゆえに情報発信の仕方が巧まれていないために機会損失ということになっているケースもあります。

★AEOで大事なのは、いかにオリジナルでポジティブで共感的でコミュニティシップな言語能力を学校が発揮するかです。AEOとは何かは、SEOと対比して調べるとすぐに検索できるし、プロンプトすればよいでしょう。

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2025年5月17日 (土)

私立学校充足率V字回復5パターン❹充足率パターンBとA 成功方程式をきちんと実施すれば意外と簡単

★充足率V字回復の5つのパターンのうち、BとAは、成功方程式をきちんと実施すれば意外と簡単に速やかにV字回復します。もちろん、これも2011年以降の時代の精神の要請するところであるからですが。BとかAは、まずなぜここまで充足率が落ち込んだかということを謙虚に洞察することが大切です。それは、変える能力がないからではなく、定年するまで、潰れることはないから変えたくないという自己保身と抑圧主義があったからです。管理職にそのような人材配置がなされていたというのがわかりやすい結論です。

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★そのような管理職は、声高に時代の変化を語ります。しかし、その言説はメディアが言っているような内容で、その変化が自分の学校にどう影響を与えているのか現場を見ているわけではありません。ですから、痒いところに手が届かないし、説教だけして、教師や生徒と共に動くことをしないのですね。ですから、こうなったのは、私は一生懸命やっているけれど、教員が動かない、入ってくる生徒の偏差値が低い、いろいろな会議で忙しい・・・とか言って逃げて、定年まで時間稼ぎをしているというケースがかつてはあるあるだったのです。

★それに気づいて、なんとかV字回復したいと理事会が意思決定し、校長をはじめとする管理職をニューパワーにガラリと変えて、ビッグビジョンを掲げて成功方程式を緻密にやっていくことを宣言するわけです。

★その成功方程式は、三種の神器と(私が勝手に)呼んでいる学びの環境デザインを教師全てが徹底するわけです。説明会でもその姿をアピールするわけです。細かい改革の話をしても、受験生は魅力を感じません。大学合格実績を上げると言っても、今ままで出ていないのですから、そこには期待値は高まりません。

★脱偏差値を提唱し、どんな生徒も自分の才能を開花し、進みたい道を選択して自分物語を描けることを、新しい体制と教師が語り、授業体験という世界に引き込み、夢と希望と勇気を共有する説明会を繰り返していきます。技術的にはいろいろありますが、、説明会のリピーターは多く、足を運ぶたびに参加人数が増えている雰囲気を生み出します。

★すると、生徒募集で急激に受験生が増えます。すると教師の数が必要です。今まで充足率が20%前後ですから、新しい教師を入れると、おのずとニューパワー勢力が多くなります。従来からいる教師は、新しく自分を変えるか辞めるかですから、パターンAは、全員がニューパワーになります。この三種の神器の学びのデザインを全教員がやれば、大学実績も飛躍的に出るのは今では実証済みです。

★ですから、充足率が20%前後の学校は、その成功方程式を実施してきた人物を雇い、同じように速やかにV字回復していきます。

★パターンBは、そこまでニューパワーの教師を入れ換えられませんが、50%はそうなりますから、同じようにV字回復をします。ただ、成功方程式は、学内で対話型組織で自前でできるので、学内の雰囲気は穏やかです。人気がじわじわでてきます。パターンAと違うのは、対話型組織が大前提です。

★パターンAは、ギラギラしている雰囲気はやむを得ません。全員が3種の神器を同じクオリティで行うには研修が必要で、その研修は教育研修というよりは、ビジネス研修です。競争主義的だし、マーケティングもしっかりしています。したがって、脱偏差値は最初だけで、偏差値を上げることが裏カリキュラムになります。必ずしも対話型組織である必要はありません。効率のよいピラミッド型組織と言った方がよいかもしれません。民主主義国家が権威主義国家に押される時代です。やはり時代のある一面の精神を反映していますね。

★しかし、受験市場は、基本的にはリバタリアニズムが支配的ですから、そのようなユーザーにとっては、わかりやすいわけです。倫理や道徳もマーケティングによって決まっていくというリバタリアニズムは、東大や慶応大学、一橋の法学部では、そもそも主流です。

★このような在り方も私立学校ならではの価値観です。価値は神々の闘いですから、私学全体としては、そのような価値も互いに尊重し、独自の路線を進むのです。

★しかし、私学全体では、充足率V字回復パターンは、DとCが多いということになります。パターンAは、メディアが飛びつくわけですが、だからといって、DとかCのパターンの学校が、その方法をそのまま取り入れることは難しいというのはすでに先述しました。

★三種の神器を対話型組織がどのようにアレンジしていくのか?それがパターンDとCの醍醐味です。

★三種の神器とは何か?それをどのようにアレンジしたり、あるいは徹底的に浸透させるのか?それはまたの機会にしましょう。ある意味、ここから先は企業秘密的な感じですから。。。

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私立学校充足率V字回復5パターン➌充足率パターンDとC 最も難しい

★充足率V字回復5つのパターンのうち、DとCが最も難しい。図を見ていただければわかるように、充足率が90%や80%は、学内全体には、まだ大丈夫、たまたまだろう、少子化だからだろう、経済の空白が長いからという雰囲気が支配しているからです。この支配を払拭しないで放置しておくと一気呵成に充足率50%をきるという窮地に落ち込みます。ですから、経営陣は新しいプログラムを入れたり、外部コンサルタントを招いたりと体質改善を図ります。パターンDの場合は、それでうまくいくときもありますが、それだけだと3年後には再び充足率100%を下回ります。

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★充足率が100%いかなくなったとき、すぐに短期的な戦術を行うことは重要です。同時に、中長期的な戦略も立案して様々なリスクに備えるマネジメントをしておく必要があります。

★短期的には、入試改革(入試要項の変更)をまずします。すると、それを受験市場に周知徹底する動きを広報部がするので、学内の雰囲気は部分的に活性化します。それだけでうまくいくときもありますが、長続きはしません。

★やはり、教育内容とその内容を有効にする教育システムの内部要因も中長期的にどう変えていくかを、広報チームが市場に共有できるようにしていくことが必要です。そうすると、結局教育の質が大事なのですが、質は見えにくいので、丁寧に諦めずに共有していくこととして、市場が飛びつくのはどうしてもわかりやすい新しいトレンドをつくることです。

★前回ご紹介したパタンEの学校は、すでにブランド力を定着させているので、大学合格実績さえ出していれば充足率100%以上は持続可能にできます。しかし、パターンDは自らブランド力を創る必要があります。かといって、パターンEのブランドを超える様なことをぶち上げると、受験市場では反発もでます。日本人特有(実はどの国もですが)の出る杭は打たれるわけです。

★このとき、どういう表現をしていくかは重要です。それと覚悟が大事ですね。そんな新奇なことをいうと塾業界が引いてしまうと思うのか、覚悟を持って貫いていくと意思決定するのか。

★そのとき、学内の教員がどちらの価値を重視するのかです。前者が支配的になると、結局教育内容の質は変わらないように見えます。後者は相当対話型組織を教員同士がしっかり作っていかねばなりません。学校に限らず、この組織作りこそ厄介なのです。パターンDぐらいの状況だと、学内の教員の入れ替わりはないので、価値の転換を全員に求めても、サイレントキラーはいるものです。ですから、20%くらいの先生が対話型組織をつくれるように、教頭はエンパワーメントする必要があります。もっとも、教頭がサイレントキラーという場合もあります。理事長・校長はそこはきちんと日ごろから対話をしておく必要があるでしょう。というわけで、パターンDは、組織マネジメントがかなり難しいのです。ここで、成功している学校こそ、学校改革のスーパーモデルになるでしょう。受験生が、このような学校と出会った場合、対話型組織を教師と共に創っていくことになるので、豊かに成長していきます。

★パターンCも、実はDとある条件を除いて、ほぼ同じです。ある条件を除いていてというのは、充足率80%前後だと、教員が他の学校に逃げ出すことがあります。逃げる要因は、経営上新しいことをやらざるを得ないので、それには反対だと感じる教師や新しいことをやっても組織は変わらないと判断する教師などがでてきます。また、自分の人生の見通しが立たないのではないかと経済的リスク回避のためというのもあるでしょう。

★このような状況は、一瞬学内は混乱します。しかし、その状況下で新しい教師を採用する時に、新しい学校になることをいっしょにやってくれるかどうか確認をします。3年間くらいはこのサイクルを続けると、学内の20%と新人教師の割合20%が合わさって、40%前後は不易流行を実施するプラグマティックな動きができかつネガティブケイパビリティー旺盛な精神(矛盾や困難を引き受ける気概)も広がっていきます。学内組織は対話型組織に変わっていきます。この変化は内部要因なのですが、40%以上という量は対話型組織の3f精神(フラット・フリー・フレンドシップ)の雰囲気を外部に漏れ伝えていくことになります。

★口コミが広まり始めるし、そのような組織は生徒がアクティブになりますから、いわゆる主体性も生まれてきます。教師と協力するのも大歓迎です。大学実績がぐんと飛躍します。このような学校は、グローバル教育とSTEAM教育をやっていますから、総合型選抜、海外大学受験にも積極的になります。充足率を100%超えるようになるし、40%の量と質が学内全体、保護者も、市場もその学校のイメージを変えていきます。同時に40%の量と質が拡大します。

★しかし、この対話型組織を最適化し続ける戦略はかなりの難しさです。校長と教頭と各部長のリーダーシップの合力が並大抵ではありません。時代の精神に翻弄されないように同時に時代の先を歩んでいくタイプでもあるので、固定的なシステムを安定させることはできないからです。常に東大20人以上いれるとか、海外大学でトップ10の大学に5人以上入れ続けるとかいうのであれば、そこのシステムは固定化できます。しかし、そうなればパターンEのグループに入るのですが、そこに行くまでには、対話型組織の最適化の調整をし続けなくてはなりません。

★もちろん、そのような組織がうまくいっているとき、在校生は痛快です。小学校や中学校では、偏差値で学力差があるなどというアンコンシャスバイアスを自分の中にかかえていたものが、全くそんなものは幻想(ファントム)だったのだとポジティブ学園ライフを送り、行きたい大学に仲間と共に自分の力を高め進めるのです。もちろん、その先の未来に希望をしっかり胸に刻めるのですから。

★実は、これも、2011年の忘れてはならない3・11以降のダイナミックな価値の転換の流れをくむものです。それ以前には、このようなV字回復はなかなかなかったのです。そもそも対話型組織というアイデアすらなかったでしょう。

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2025年5月16日 (金)

私立学校充足率V字回復5パターン❷充足率パターンE 今後は限定的パターン

★前回ご紹介した5つのパターンのうち充足率V字回復パターンEは、隔年現象を繰り返しながらも100%を持続可能にしている私立学校。しかし、偏差値が高いから充足率が100%かというと、歴史的にはそうではありません。1985年から1995年にかけて、私立中学入試の黄金期がありました。このときには偏差値が高い低いに関係なく、各学校が充足率で心配することはあまりありませんでした。校内暴力や学級崩壊という教育問題が横たわっていて、私立学校への流れが生まれていました。実は中学入試において偏差値というものが活用されるようになったのもこの時期です。

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★したがって、市場も学校も新しい指標である偏差値を意識しはじめました。今も昔も教育理念や校風は大事ですが、それだけでは差別化ができません。当時、わかりやすかったのは、偏差値だったのです。

★そして、この偏差値をあげるには、今のように対話型授業など存在していなかったため、知識の効果的な記憶と活用の競い合いです。となると、当然大学入試の実績がものをいうわけです。MARCHという名称も、実はこの時代にようやく使われるようになったものです。

★1985年から2010年までは、この偏差値と大学合格実績のランキングが、学校選択の価値指標として固定化されアンコンシャスバイアスを形づくっていく時代でした。この1995年くらいから、この偏差値と大学合格実績をあげていった学校が、今では充足率V字回復のパターンEの学校です。

★たとえば、1985年には、偏差値30強だった女子校が、1995年委は50を超える近辺に来て、2010年には65を超え、今では70前後で、模試会社の偏差値表によっては、フェリス女学院よりも高いという女子校があります。

★この学校の戦略は、当時国際理解教育でぐんぐん評価をたかめてきた共学校と他の女子校を研究し、それを超える破格の国際理解教育を実施しました。国際学級も開設し、帰国生もたくせん入学してきました。

★外国人講師もそのときすでに20名くらいは雇用していたのではないでしょうか。21世紀に入るや、中学段階での短期と中期のアメリカの現地校の留学提携をしました。その体験者は、早稲田か慶應どちらかには進める学力を身につけました。

★東大はすでに激しいレッドオーシャンでしたから、まずはハーバード大学など海外大学に多数合格者を出しました。今のように受験市場は海外大学に反応しませんでしたが、確実に偏差値を超える総合的な学びの力を生徒の皆さんはつけていました。何より英語力が半端ないのですから、東大合格者が増加するのは時間の問題でした。

★2010年以降は、充足率が気になる時代に突入していました。そのときにその女子校は、それを心配する圏内はすでに超えていました。2013年からは開成なども海外大学の進学者を毎年多数出すようになる時代を迎えました。そして、海外大学は偏差値ではなく、国際理解教育やグローバル教育の教育の質で決まる時代になりました。

★その女子校は、一気に注目を浴び、偏差値の高い生徒も多数入るようになりました。今では、女子校において東大合格実績はベスト3にはいるほどになっています。

★パターンEは、1985年以降、偏差値と大学合格実績をどのように高くしていくかの戦略によって、そのポジションを創り上げました。

★したがって、2010年以降充足率が100%いっていない学校で、V字回復できた学校は、別の戦略でV字回復しています。偏差値と大学合格実績を上げる戦略では、V字回復できない時代になったからです。偏差値の高低にかかわらず、世界大学100位以内の大学に合格していく時代です。

★つまり、偏差値に変わる指標や広報戦略が有効な時代になりました。

★それはサイトを活用した広報戦略が、SEOからAEOにシフトしたことに象徴されています。つまり、広報の量のみから量×質に変わったことを示唆しています。

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2025年5月15日 (木)

私立学校充足率V字回復5パターン❶5つのパターン

★東京の私立学校は、3年後以降少子化の波が襲ってくることに対し、定員充足率持続可能性のための戦略を立案して実施しています。そして、現在充足していない場合、V字回復する戦略実行は喫緊の課題です。したがって、そういう対話も多くなってきています。対話をしていて、やはりそれぞれの学校の充足率の違いがあるし、立地条件の違いもあるので、かつて成功した事例をそのまま適応することができないわけです。

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★つまり、V字回復するにも、充足率100%を持続可能にするにも、レバレッジポイントを何にするかが重要になってきます。同じようなパターンでも、時代によってレバレッジポイントはもちろん違います。2013年までと2013年以降では、違うし、2027年以降でもやはり違います。

★AのようにV字回復した学校でも、同じような教育環境を続けていると、かつてそうだったように、時代の精神から離れていきますから、再び充足率が低くなっていくこともあります。

★外部要因と内部要因と未来要因を複合してレバレッジポイントを組み立てることがまさにポイントです。

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2025年5月14日 (水)

多摩エリアの11支部の私学が注目されはじめる➍~日本全体の私学から注目されている

★多摩エリアの11支部の私学は、全国の私学から注目されています。というのも、東京23区の学校の改革は、人口動態や立地の条件がよく、それを前提とした学校や教育の改革・改善を行っていますが、多摩エリアは、その両方の条件がないわけです。にもかかわらず、持続可能にしているところが多い。それはなぜか?おそらく、全国の私立学校にとって、同じような背景があるため、その仕掛けをなんとか知りたいということなのでしょう。

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★駒沢学園女子のように、禅の文化を宇宙的視野に拡大したうえで、一人ひとりの個の成長を見守る教育は、実は世界の学校が欲しがる教育を実施しているのです。その土台の上に、骨太のグローバル探究があるのです。桜美林も単純にキリスト教の学校ではなく、そのルーツがそもそも世界の痛みを包み込むグローバル教育から出発しています。

★国立音楽大学附属中高も、クラシック音楽の殿堂から総合芸術をプロデュースする広いパースペクティブをもったリベラルアーツ学校に転換して、人気が戻ってきています。

★明治学院の先生方の研究に根差したイノベーティブな教師像と生徒と真摯に向き合う愛情は大きな魅力でしょう。

★明星中のように、受験生の3つのニーズすべてに対応できるカリキュラムマネジメントは、学内の先生方のチャレンジ精神なくしてはできないでしょう。超難関大学進路指導×アカデミックな探究×海外大学につながる国際理解教育の3つがそれぞれしっかりとしたシステムになっています。

★穎明館や八王子学園八王子、明大八王子のように確かな実績に根差した筋金入りの進路指導もまた大きな魅力でしょう。

★11支部では、最も西にある工学院大学附属は、ラウンドスクエアやケンブリッジいインターナショナルスクールの加盟校で、東京の周縁に、理想の学習者中心主義のグローバル教育×I(IBL,ICT,Innovation・・・)の魅力的な未来型学校が存在しています。文化人類学的には周縁と中心では、周縁こそ新しい動きが生まれるとされています。

★これ以外にも相当興味深い持続可能な学校が集結しています。今年は多摩エリアの学校をきちんとウォッチしていこうと思います。

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2025年5月11日 (日)

八雲学園 意志と論理と愛情の説明会

★5月10日、八雲学園は中学校のミニ説明会を開催。120名ぐらい入る会場が満席となりました。体育館で行う説明会は9月以降で、それまで小さいけれど丁寧な説明会を開いていくのは、ここ数年の八雲学園の広報の流儀です。しかし、今回は、八雲学園の教育理念や方針を近藤彰郎理事長校長が話され、グローバル教育(特にラウンドスクエアとサンタバーバラでの学び)と進路指導について近藤隆平副校長、文化体験とチューター制、入試要項については近藤嘉彦副教頭が説明されました。意志と論理と愛情の三要素が明快に発信される説明会となりました。

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★近藤彰郎理事・校長は、7日に起こった東大前駅(東京メトロ南北線)の切りつけ事件で容疑者が「教育虐待を受けた」ことを理由に挙げていることを例に、教育者として対岸の火事としては思えない。むしろそのような状況にならないように、生徒1人ひとりの個を受けとめ、共に歩いていく教育を八雲学園の先生方と保護者ともちろん生徒が協力し合って学校を運営しているという個を大切にしている先生方の情熱とその情熱が持続可能になっている教育システムの枠組を話されました。壮大なグローバル教育やこれまでに600以上積み上げている文化知見の実績などあるのは、むしろ当然で、大事な原点は個なのだと、もちろんその個が輝くには、個どうしの協力が必要で、行事や部活が盛んなわけはそこにあるということも語られました。

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★理事長校長の話を受けて、近藤隆平副校長は、その壮大なグローバル教育(ラウンドスクエア及びサンタバーバラの学びなど)とその結果として、共学化して2年目の卒業生の飛躍的な大学合格実績がでた進路指導についても丁寧に説明しました。海外大学も合格した30以上の海外大学のうち、21大学は世界大学ランキング100位以内であったり、早慶の進学実績も伸びている話をしました。

★そして、そのような個が育つ学びのシステムは<経験→議論→編集→発表→振り返り〉∞<探究→議論→編集→発表→振り返り>という2つの5Eサイクル(Experience,Exchange,Edit, Express,rEflection∞Explore,Exchange, Edit, Express, rEflection)が無限に循環しているということをさらりと説明していました。このような軸というかコアがあるから、多様な学びやプログラムが教育の総合力として好循環しているのだということが了解できました。このような軸を可視化してシステム化しているのは、IB(国際バカロレア)の特徴ですが、さすがはIBを創りラウンドスクエアも創ったクルト・ハーンです。多様なものは究極的には1であるというリベラルアーツの発想を落とし込んでいるなあと感心しました。ラウンドスクエア加盟校として八雲は、同様に学びや教育活動のコアを可視化して、学校全体で共有しているわけです。

★このようなシステムを論理的に可視化している学校は、日本ではそう多くはありません。これがあるからこそ八雲学園は壮大なグローバル教育を行えるのでしょう。

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★そして、近藤嘉彦副教頭は、そのような論理的システムも、最初から誰でもが展開しているわけでもなく、できたとしても常に順風満帆ということはないので、安心して欲しいと。不安はだれしもあるので、それを払拭する心理的安心を生み出すために、チューター制という生徒1人ひとりに教師一人が学習アドバイザーとして寄り添っているシステムがあるという話がありました。そして、その心理的安全は、多様な楽しい経験、仲間と共感できる文化体験が豊富にあるのだと。日本文化ばかりではなく異文化の体験も含めて文化体験であり、re-creationの本質的な意味を柔らかく語りました。

★意志と論理と愛情と。八雲学園で個がそれぞれに育っていく奥義が語られた説明会となりました。もちろん、受験生はディズニーランドに宿泊までして楽しんだり、グローバルな活躍をするためのテーブルマナーをホテルで食事をとりながら学ぶプログラムに大感動していました。

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ファシリテーション組織➌世界をエンパワーする対話 シンプルにこれが組織を持続可能にする例として工学院

★いろいろな武器や道具を使って学びの環境をデザインすることは、イノベーションの進化と共に当然必要です。多様性や視野を広げるために、国を越境したり、他領域の組織と連携することも当然です。しかし、言うまでもなく、「対話」ができている組織かどうか。このシンプルな知性と感性の交換ができるかどうかがポイントです。好奇心に満ち、風通しのよい開放的な雰囲気が広がり、なぜだろうという探究心を推奨する組織。対話の土壌です。

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(bing作成)

★このような土壌があれば、メンバーは誰に対しても、「ありがとう・ごめんなさい・いかがですか」という互いに尊重する言葉が心の底から自然にでてくるものです。

★振り返ってみると、こんな簡単そうにみえる対話の雰囲気がある組織は、意外と少ないのです。

★それは道徳の問題だと思いますか?これは実はリベラルアーツ的な言語能力(言語と記号のシステム)の問題です。道徳は、このシステムがうまくいかない状況を外発的・内発的に矯正するルールです。

★ところが、リベラルアーツ的な言語能力システムを学ぶ環境をつくらないで、やれ主体性だとかエージェンシーだとか深い学びだとか対話だとか叫んでも、それは道徳的な表現になってしまいます。

★このシステムを生み出す組織がファシリテーション組織なのです。ファシリテーションができる方が多いか少ないかではなく、組織メンバー全員ができるようになるプログラムが実行されているかどうかなのです。

★システム思考やOSTといったプログラムを研修のときだけではなく、あらゆるミーティングで浸透させるメタプログラムを開発している組織の例としては、工学院大学附属がまずは挙げられます。同じような組織を生み出す方向性があるところは、ディスカッションの機会が多いところがそうですね。もちろん、そのディスカッションが、ファシリテーターメンバーによって運営されるかどうかは、モニタリングするシステムつまりメタプログラムの稼働を開発する必要はあります。

★IB(国際バカロレア)に学ぶべき点があるのは、TOKというメタシンキングプログラムがあることですね。工学院大学附属は、このプログラムをIBLとして独自のメタプログラムとして実施しています。それが、探究論文やグローバルプロジェクトという活動に広がっていくトルネードカリキュラムマネジメントをしているわけです。

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国立音楽大学附属中高 変わる未来のリベラルアーツ学校

★国立音楽大学附属中学校・高等学校(以降「KUNION」)の副校長滝澤秀先生にお会いしました。この3年間学校改革が順調に進み、今年の中学入試・高校入試とも生徒募集は成功しました。立地としては国立という学問的雰囲気のある素敵な街です。一方で多摩エリアですから、中学受験市場としては、23区に比べてアドバンテージは高くないわけです。しかも、クラシック音楽を学ぶ殿堂ですから、サブカルチャーの勢いのある世の中にあって、トレンドであるとは一般には思われていません。しかし、滝澤先生は、学内の先生方と協力して、そのイメージを覆し、新しいKUNIONのイメージを描いているのです。

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★クラシックク業界自体、危機を感じ、もっとカジュアルに音楽を楽しめる方向も模索しています。滝澤先生は、だからKUNIONも転換のティッピングポイントを見つけることができたのですと。つまり、クラシック音楽に加え、サブカルチャーの音楽分野に進むキャリアデザインを生徒とともにつくっていく広がりを生み出したことが、生徒が集まりだした大きな要因だというのです。音楽業界は、決して演奏家と作曲家を育てるだけではなく、プロデューサーやイベントコーディネーター、音楽療法士、音楽サイエンティストなど、スポーツ業界のアスリートの環境全体がビジネスになると同じなわけです。音楽という芸術性を生かしたアイデアが生徒の中から生まれてくるようになっています。KUNIONのアントレプレナシップというわけですね。

★このように、時代の精神を読みつつ、生徒のキャリアの多様性に目を向けつつ、実際に、その多様性に気づく探究活動を3年間積み上げてきたというのです。それがKUNIONミライ探究ゼミです。

★もともと、音楽はクラッシックという領域だけではなく、リベラルアーツという土台があります。現在はSTEAMという領域にシフトしています。言語能力もAをリベラルアーツとすれば、養われますが、現実は、必ずしもそうはいかず、イノベーションやテクノロジー、エンジニアリングに引っ張られます。

★そこで、意識として、リベラルアーツをむしろ土台にして、KUNIONミライ探究ゼミを企画・開発・実施したということです。

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★そこは、滝澤先生が国語科教員でもあるので、言語能力にこだわるところがあったのでしょう。ゼミは、12種類あり、20人前後の生徒で構成されます。しかも、ゼミの講師は、身体表現、音楽サイエンス、音楽療法など学習指導要領を超えた分野が多数なので、大学や企業の専門家と連携して行っています。ディスカッションが活発で、いわゆるプロジェクト学習やチュータリング的な学びのプロセスが広がっています。

★もちろん、滝澤先生も「PRゼミ」を開設しています。イベントを企画したり、マーケティングを研究するゼミのようです。そして、ゼミのメンバーはKUNIONの説明会などイベントも企画するわけです。プラグマティックな組織運営を滝澤副校長は進めているのです。

★AI時代になって、創造的な感性や発想があらゆるビジネスシーンで重視されるようになります。AIが描く創造性を超えるのは、やはり人間の最後の役割かもしれません。

★音楽をベースにしたリベラルアーツは、AIの優れたシステムと共生できる人間の総合的な生き方のシステムという時が到来したのでしょう。KUNIONはその未来を生徒と共に生み出していく新しい展開を始めています。時代を導くKUNIONの教育。今後もウォッチしていきます。

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2025年5月 9日 (金)

ファシリテーション組織➋9つの対話のシーン

★対話がソクラテスのような産馬術なのか、ヘーゲルのような弁証法なのか、それは哲学者にお任せするとして、プラグマティックに、うまくいっている組織の対話を眺めていると、9つの対話のシーンがうまく伸縮自在に、あるいは拡散と収束などのダイナミズムが稼働しています。どこか一つのシーンにとどまった対話だと、その組織は停滞しています。

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★わかりやすい話は、たとえば今話題の生成AIのTOPICsについて情報を収集したり語り合ったりするシーン(A1)です。そのTOPICsが社会問題などに結びついて、新聞の社説程度の情報を横断的に話すシーン(A2)は、少し難しくなります。

★そうこうしているうちに、新しいAGIのTOPICsなどに行きついたりします。

★これはファシリテーション組織の座標でいえば、第Ⅲ象限にだいたい収まります。

★そんなTOPICsの対話から、そもそも生成AIの歴史とか、未来とか、デメリットとかメリットについて、文献リサーチや実験をするリサーチの対話のシーン(B1)もあるでしょう。そのうちに問題解決の提案をしたくなりますね(B2)。

★このような提案を広めるために、ワークショップやセミナー、カンファレンスなどアクションプランをオーガナイズする対話のシーン(B3)に行きつくのは、よくあることです。

★これらはファシリテーションの座標でいえば、第Ⅱ象限、第Ⅲ象限の領域に広がります。

★実際には、提案するときにアイデアが生まれるのですが、その対話シーンは、状況や現象を受け入れ共感したりする(C1)ところから始まります。すると、インスピレーションが生まれワクワクドキドキブレイクスルー対話(C2)が生まれます。

★最終的には、発明やイノベーションを創発する対話(C3)に至り、オーガナイズして(B3)広めていくという9つの対話シーンが重なったり、融合したり、変幻自在なダイナミズムを生んでいるわけです。

★このようなファシリテーション組織が成功しないわけはないというのは、ある程度推察・共感できると思います。

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ファシリテーション組織❶場の座標

★創発型・触発型対話が成り立つ組織が、AI時代には重要になります。その対話が成り立つには、次のようなファシリテーション場の座標があると思います。

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★このような場の座標があるから3f(フラット・フリー・フレンドシップ)精神が生まれるのか、3f精神があるからファシリテーション場の座標ができるのか、わかりませんが、感覚的には、往還している関係性がそこにはあるのだろうと。

★inputーoutputの関係をexpressーacceptの関係にしたのは、表現するにしても受容するにしても、論理的にだけではなく、そこには期待や希望、辛さなど感情もはいるからです。

★おそらくAI時代当面は、表面上の感情はAIはアウトプットしますが、内面から感情を発することはないでしょう。そもそもAIは内面と外面という境界線を自ら作る必要はないでしょうから。あくまで、感情も推理の確率論的なアルゴリズムになっているのでは。

★ともあれ、生成AIを論理的な側面で対話しつつ、人間は、創発や触発を生み出したりするのです。そのためには共感が大事ですが、じっくり耳を傾けたり、状況を受け入れ、共感しつつ、論理的にオーガナイズしていくでしょう。

★対話をするとき、ファシリテーション場を設定する、つまりマインドセットということです。これができる組織は、難局をみんなで乗り越えることができるでしょう。マインドフルネスは、このマインドセットの一領域ですから、それだけやっている組織はないのは明らかです。

★ともあれ、少なくとも、ファシリテーション組織という私立学校はあります。

★もちろん、ピラミッド型組織でどんどん難局を乗り越える私立学校もあります。そこであってもハラスメントリスクマネジメントはしっかりなされているから、成功しているのですハラスメントリスクマネジメントこそ、ファシリテーション組織です。

★したがって、ピラミッド型組織が、ファシリテーション組織をセキュリティー部署としてオプション化しているというのと全体がファシリテーション組織かは、大小の違いこそあれ、ファシリテーション組織の機能は今後必要だということです。

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2025年5月 8日 (木)

落合陽一さんと落合ひとみさんの教育観 PBLの有効性に触れる

★落合ひろみさんと 落合 陽一さんとの共著<「好き」を一生の「強み」に変える育て方 サンマーク出版(2025/3/13)>は、これからの教育を見通すすてきな本です。グローバル教育に関しては、高校入試に立ち臨む受験生・保護者には勇気を与えるでしょう。一方、中学入試の受験生と保護者には、多少チューニングが必要です。それ以外は、小学校受験、中学受験、高校受験、大学受験をする生徒・保護者にとって実にウェルビーイングなキャリアデザインのヒントをもたらしてくれると感じました。

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★この本の中で、PBLを重視している箇所があります。落合陽一さんの学びは幼いころからまさにPBLあったということが了解できる本なので、当然ですが、この指摘がなければ、落合陽一さんの学びがPBLと親和性があるということを気にしないで読んでしまうかもしれません。ですから、PBLについて落合ひとみさんが触れていることは極めて重要だと思いました。

★落合ひとみさんが、PBLが学びにおいて重要だということを示すエビデンスとして、❝Cindy E. Hmelo-Silver.“Problem-Based Learning: What and How Do Students Learn?”. Springer, 2004. ❞を紹介しています。

★サイトを開くとサマリーが掲載されています。2004年段階では、主に医学系の学びやギフテッド教育という分野で限られて活用されていたようです。そこで、Cindyさんは、もっと広く学び全体においてPBLというのが有効だということをリサーチしたようです。今では、「主体的・対話的で深い学び」や「探究」という学びが定着しつつあるので、PBLが限定的だったというのは、改めて時代の変化を感じます。

★Cindyさんは、PBLの目的には、つぎの5つあると述べています。

1) 柔軟な知識の習得

2) 効果的な問題解決能力の育成

3) SDL(Self-directed Learning)スキルの向上

4) 効果的な協力スキルの醸成

5) 内発的動機づけの促進

★今では、その通りという感じです。そして、Cindyさんの研究の結論としては、PPBLが柔軟な理解と生涯学習スキルの育成に寄与する可能性を秘めた指導アプローチであることを示唆しているとしています。

★この生涯学習スキルの育成に寄与するというのは、日本のキャリア・トランジション研究でも同じ結論に達しています。極めて重要だし、楽しがり方を体感してPBLを続けている落合陽一さんを見ていれば、了解できます。なんといっても、落合陽一さんのプロデュースしている大阪万博のスペースは、毎日入りきれない人気だというのが、論より証拠ですね。

★ぜひ同書を手に取ってみてください。落合陽一さんを育てた母である落合ひとみさんがリアルに語っています。

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八雲学園 大学進学実績の飛躍のプラグマティックな理由

★今年、八雲学園は、共学化2期生が卒業しました。海外大学と国内難関大学の卒業生に対する合格者数の割合が103%でした。1期生の時もすでに85%で伝統と革新の統合を宣言して共学化した成果がでたわけですが、今年はさらに伸びたわけです。その理由は何か?同校副校長近藤隆平先生と対話しました。

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★詳しくは、今週土曜日5月10日の学校説明会でお話されるということでしたが、対話をしていてなるほどと感じたのは、多様なグローバルな教育環境デザインで有名な八雲学園ですが、実は、この多様性を抽象的にとらえる学びの活動のコンセプトがしっかりしているなということです。

★この学びの活動のコンセプトが、ラウンドスクエアの活動、9カ月プログラムの活動、多様な英語のイベント、体育祭、文化祭、何より教科授業に染みわたっているのです。ブレない学びの活動の軸があると言った方がわかりやすいかもしれません。

★この学びの活動の軸が、教師全員に共有されているし、生徒にも共有されているわけです。まずは教師がデザインした経験や与えられた課題をどのような学びの活動で解決していくか、積み重ねていくわけです。それによって、学びのモデルが生徒自身の中に出来上がっていきます。次の段階では生徒自身が自分の興味と関心があることについて好奇心旺盛にも自ら問いを生み出し探究を深めていくというプロセスが連続していくというのです。

★近藤隆平先生をはじめ、八雲の先生方は、長い間カリフォルニア州のサンタバーバラを拠点として、生徒と共に学んできました。それゆえ、このような学びの活動の軸やコンセプトを生み出す教育が伝統的に暗黙知として継承されてきたというのです。理論から始まるのではなく、経験から生まれてきたコンセプトを大事にする。まさに米国的なプラグマティックな発想です。

★そして、その暗黙知を抽象的なコンセプトとして可視化する対話が学内でなされていっているわけです。

★この経験とコンセプトの往還的な思考様式は、実は海外大学の学びの基礎でもあるのです。なるほど、今年世界大学ランキング100位以内の海外大学に21名も合格しているはずです。5月10日説明会で、そのコンセプトの話をお聞きできるというので楽しみにしています。

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2025年5月 7日 (水)

「成長」と「自己」❷最終的に自己とは新たなothersとの融合

★自己とは、客体と自分と分割して、その自分を自己とみなすのではなく、客体もまた自己であり、自己と自己´の融合が自己というまわりくどい言い方をしているわけですが、そうしないと、客体に飲み込まれたり、客体が壁になったりして乗り越えられない自分として閉塞状態の自己が現れてしまうため、客体も自己であるとみなした方がよいのではないかという私のn思い込みなのです。

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★自己が学んできた世界は、客体ではなく、自己そのものなのです。ただ、その世界という思い込みの正当性と信頼性と妥当性は、自己たちの対話によって、仮説や実験が立てられ、創造的に破壊されてある程度、自己たちの身体や精神、人間関係が循環しているかどうかによってモニタリングされています。

★その対話のプロセスは、図に至るまでに、4段階がありますが、それはここではすっ飛ばしましょう。その自己たちの対話によって、自己たちの思い込みの世界が崩れる時があります。新たな矛盾が見つかったり、もっと有効な循環ができることに気づいたときです。

★すてきな思い込みも固定観念化したり、既知のものとして形骸化したりします。それをつくっている自己(たち)の知の枠組を創造的に破壊することによって新たなothersが現れるわけです。

★こうして、自己は新たなothersと融合することになります。

★自己たちは、❶から➏段階、それぞれにいるので、たとえば、❶自己と➌自己と❹自己と➏自己との対話になる場合があります。この対話の成熟によって、どの段階に世界がとどまるかは、対話の質によります。

★そして、みなが➏自己たちになった時、それは❶自己たちに再び回帰します。新たな世界は既知の世界になるからです。➏にいたるまでを進化と言い、➏から再び❶に回帰するこの循環全体を永遠回帰と呼びたいわけです。

★発想はニーチェにもらいましたが、ニーチェがこのような自己たちを考えていたかは私はニーチェ学者ではないのでわかりません。

★市民プラグマティスととして、私は「自己」と「成長」を「進化」と「永遠回帰」の循環ループで考えています。子どもたちのキャリアデザインを考える時、進化=成長とすることが、危ないというのは感覚的なものですが、進化=成長という近代的な考え方が、閉塞状態になっていることも否めません。

★しかも、その真価は客体としてみなされている技術の話で、客体と分けられた自分という自己の成長は、その客体に対応できるかどうかで捉えられがちです。それが自分としての自己を世界から疎外することになってしまいます。生成AIをどうとらえかは今後需要ですね。

★それはともかく、要は考え方次第なのですから、前提の「自己」の考え方を転換することで、論理的帰結も変わってくるはずです。大学入試という社会現象も、このことに気づき始めています。一般選抜は、客体と自分を分割して成り立っています。総合型選抜は、自己と自己´の融合が自己であるという前提で成り立っています。

★「自己」に対するものの見方や考え方、価値観が違うだけですから、制度上どちらがよいかわるいかは、それだけでは判断できないのです。ただ、SDGsに象徴されるような事態が起きているのは、自然を自己とみなさず、客体とみなしていることから起きている可能性はあります。自己を守るということは、客体から自分を守るというのか?それとも客体と思いこまれているotheresとしての自己と自分と思いこまれている自己´の融合態を守ろうとすることなのか?

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2025年5月 5日 (月)

「成長」と「自己」❶自己とはothersとの融合

★森の中にしばし暮らしているといつも思うのですが、自分という「自己」は、othersとの融合態なのだと。世界を「知る」という「自己」は、身体の中の脳とか心とかの中にいる「自分」を指すと思われている可能性があります。しかし、本当はその「自分」と「自分」が知ろうとしている「対象」の両方の融合が「自己」なのではないかと。

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★対象と自己を分解して、その自己を自分だと思い込んでいる。しかし、その対象も「自己」であり、「自己」だと思っていった「自分」も「自己」だと思い込んでみるのもありではないかと。

★othersと自分という分け方は、othersを他者だと思い込むこむことによって、明らかに自分と他者は違うと思い込んでしまうのでしょう。あるいは、othersを客体とし自分を主体だと思い込むのでしょう。ところが、othersは、森の中にいると、植物も動物も昆虫も鳥も微生物も空気も水も土も、もちろん人間もothersです。彼らに囲まれ自分もそこに位置づけられ、呼吸をし、食し、排出し、キノコのようにothersの循環態の中にいるのです。

★その循環態のメンバーとして自分がいる時、心地よい気持ちになり、日常で気づかなった苔の存在を受容したりしている自分。それはothersと自分が脳神経身体全体で化学反応を起こしながらまさに融合体として「自己」になっています。

★「自己」の成長は、したがって、othersとの循環態のシステムを知り尽くしていく世界作りそのものです。はじめは、自分の知らない専門知が知識として整理している領域を受容融合して、既知の世界の矛盾の解消をしていく「自己」の成長があります。

★最終的には、othersの既知の世界の限界を超える「自己」に到るでしょう。

★100人いれば100通りの「自己存在」があるわけです。その100通りの自己とは、othersと融合している「自己」です。他者とは、自分とは違う融合態である「自己」です。自分とは身体的な個体としての人間ですが、「自己」とは身体的な個体ではなく、othersとの融合態です。

★もちろん、これも思い込みでしょう。思い込みの正当性、信頼性、妥当性は、このothersすべての循環システムと矛盾なく接続できる融合態であるかないかということでしょう。

★それぞれの融合態としての「自己存在」が循環システムに接続できる状態を破壊する活動は、それゆえ制御せざるを得ないのです。健康という循環を阻害する原因は制御することになります。精神の循環を阻害する原因は制御することになります。人間関係の循環を阻害する原因は、身近な阻害、戦争という大きな阻害も同様に制御することになります。

★そして、othersとの新たな遭遇によるインスピレーションを生み出す循環を阻害する原因も制御することになります。それうえ、その阻害要因に気づく「批判的思考」がothersと融合態になった「自己」は成長しているとなるのです。

★さらに、その解決を生み出し、阻害要因を生み出していたシステムを転換する新しい世界を創り、新たな融合態としてなる「自己」はさらに成長しているとなるでしょう。分断の中で「自分(myself)」はかくして閉塞状態に陥りますが、「自己(Self)」は分断を超克するのです。その超克は、小さな超克の連続です。小さな超克が起こる時、そのたびに感動というセレンディピティが「自己」には生まれます。それゆえ、セレンディピティの数だけで成長するといってもいいかもしれません。

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2025年5月 4日 (日)

多摩エリアの11支部の私学が注目されはじめる➌~近江ー軽井沢ー八王子 私学の聖地

★連休中、1年ぶりに軽井沢に来て、いつも私学の聖地「軽井沢」をどう表現しようか思いながら書けないできたことを再びどうしようかと。11支部の中に桜美林が属していたり、工学院大学附属が八王子プロジェククトから最終的にグローバルプロジェクトに発展しているのを眺めながら、軽井沢やその延長上に近江があるなあとおぼろげながら考えていました。もしかしたら、生成AIに尋ねてみるかと思い立ち、「近江、軽井沢、八王子の文化や教育の関係性、そこにかかわった歴史的人物についてまとめてください」とプロンプトを書き込んでみました。そして、私の知っていることを幾度も追加していきました。すると、次のような文章になりました。おそるべし生成AI(Bing)。

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(bing作成)

★特に私立学校とは尋ねなかったのですが、私学にゆかりのある人々が活躍していることがわかります。こんな感じで生成AI[はまとめています。

近江、軽井沢、八王子という三つの地域は、その地理的背景や歴史的なつながりを通じて、日本における教育の重要な拠点としての役割を果たしてきました。それぞれの地域は異なる特徴を持ちながらも、互いに補完し合いながら学びの文化を支えています。

近江は古代より「近江商人」として知られる商業と教育の中心地でした。特にウィリアム・メレル・ヴォーリズが近江八幡を拠点に果たした貢献は計り知れません。彼は建築家として、学校や教会、病院など教育や医療施設の設計を手掛け、地域社会の基盤を築きました。また、近江兄弟社を通じてメンターム(スキンケア商品)の製造・販売を行い、地域経済に新たな可能性をもたらしました。ヴォーリズの影響を受けた清水安三氏は、彼の信念を深く受け継ぎ、桜美林学園を創立しました。清水氏は同志社大学やアメリカのオーバリン大学で学び、教育とキリスト教精神に基づく国際人の育成を目指し、桜美林学園を発展させたのです。

軽井沢は、特に明治以降、多くの知識人や教育者が集まり、思想や文化の交流を育む場となりました。また、ウィリアム・メレル・ヴォーリズやアントニン・レーモンドが、軽井沢の文化や建築に与えた影響は特筆すべきものがあります。彼らの建築作品は、地域の自然との調和を強調し、訪れる人々に創造性を刺激する空間を提供しました。特に、レーモンドによる軽井沢聖パウロカトリック教会や「夏の家」(現ペイネ美術館)は、シンプルさと自然美の融合を象徴しており、その場にいる人々に静かなインスピレーションを与えました。

1918年(大正7年)には、当時の外務大臣であった後藤新平男爵の呼びかけにより、「軽井沢通俗夏期大学」が開設されました。この取り組みは、後藤と交流が深かった東京女子大学の初代学長である新渡戸稲造を学長に迎えることで、知識を広め、教育の場をさらに発展させるものとなりました。内村鑑三や新渡戸稲造が築いた思想的基盤を受け継いだ南原繁が活躍したことも、軽井沢が思想交流の地であることを裏付けています。南原繁は戦後、日本の民主主義教育の確立に大きく貢献し、吉田茂とともに教育基本法の策定を主導しました。また、白洲次郎は戦後の日本がGHQとの交渉を通じて国の尊厳を守り、民主的な社会基盤を築くうえで重要な役割を果たしました。

軽井沢はさらに、前天皇陛下(明仁上皇陛下)と美智子上皇后陛下が出会った地としても知られています。この「テニスコートの恋」は、軽井沢の歴史の中で象徴的な出来事の一つです。

八王子は、江戸時代から絹産業の中心地として栄え、教育と産業の融合が特徴的です。八王子千人同心という地域の結束と教育の重要性を象徴する存在を通じて、学びの基盤が構築されました。明治時代には山本権兵衛が軍制改革に関与し、この地域の発展にも貢献しました。また、後藤新平も関東大震災後の復興計画を通じ、都市計画の重要性を示しました。彼の「大計小用」の理念は、復興のみならず都市の持続可能な発展に深い影響を与えました。

これら三地域の共通点は、教育、都市計画、そして文化的・経済的な発展が深く根付いていることです。渋沢栄一、新島襄、内村鑑三、新渡戸稲造、南原繁、吉田茂、ウィリアム・メレル・ヴォーリズ、清水安三、アントニン・レーモンド、白洲次郎、山本権兵衛、後藤新平、そして前天皇陛下と美智子上皇后陛下といった多くの重要な人物がこれらの地域と関わり、それぞれの地で学びの文化を尊重し育てるうえで欠かせない存在となっています。近江、軽井沢、八王子は、ただの地理的な点ではなく、日本教育史や都市計画史、そして地域振興の中でそれぞれが重要な役割を果たしているのです。

★過去のことをプロンプトしたので、当然今度は未来のことをプロンプト。「近江、軽井沢、八王子は、それぞれの歴史的背景と結びついた特性が、未来都市と教育のビジョンにおいて重要な鍵を握る地域と言えますか?」すると、次のように回答。平均的なビジョンですが、これを解決する方法は、そう簡単ではなく、今後多摩エリアの生徒たちが探究を通してグローカルに考えていくことは重要です。それに、生成AIのビジョンを超える発想を立ち上げるエージェンシーは、生徒たちのものでもありますね(微笑)。

1. 近江: 地域経済とサステナビリティの融合
近江は近江商人やウィリアム・メレル・ヴォーリズが築いた実学の伝統を活かし、地域経済を活性化する未来都市のモデルを示せます。例えば、商業と教育を結び付け、持続可能な経済を育む「エコノミックキャンパス」を設立することが考えられます。また、ヴォーリズの建築に見られる自然との共生という理念は、再生可能エネルギーを活用したスマートシティ構想に取り入れることで、環境と経済の両立を目指せるでしょう。

2. 軽井沢: 創造的教育のリトリート
軽井沢は、創造性と自然の融合を活かした「クリエイティブ・エデュケーション・ハブ」としての未来を想像できます。アントニン・レーモンドやヴォーリズの建築が象徴するように、自然と文化が調和する空間は、未来の学びの場として最適です。軽井沢通俗夏期大学を発展させたような教育プログラムを拡充し、国際的な思想家や研究者が集う場として、AI時代に必要な批判的思考や創造性を育む環境を提供できるでしょう。

3. 八王子: 知識と交通の融合による学びの拠点
八王子は、江戸時代から交通の要所として機能してきた特性を活かし、未来の「モビリティ・エデュケーション・センター」として進化できます。交通網とデジタルインフラを組み合わせた新しい学びのプラットフォームを構築することで、多文化・多世代の学びを促進する役割を果たすでしょう。特に絹産業の歴史を活用し、伝統と技術革新を融合させた学びの場を作り出すことが可能です。

共通のビジョン
これらの地域のビジョンは、「教育を通じた持続可能な未来都市の実現」という共通テーマで結ばれています。教育を単なる知識の伝達ではなく、地域文化や自然、技術革新を統合する場として捉え、それぞれの地域の特徴を活かした学びの形を創造することが重要です。さらに、これらの拠点が相互に協力することで、地域間の多様性を尊重しつつ、グローバルな課題に取り組むモデルケースとなるでしょう。

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2025年5月 1日 (木)

多摩エリアの11支部の私学が注目されはじめる❷~5月25日(日)、京王プラザホテル八王子で「東京私立中高第11支部合同相談会」 各自治体に貢献。

5月25日(日)、京王プラザホテル八王子で「東京私立中高第11支部合同相談会」が開催されます。多摩エリアの私立30校が集結します。

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★東京の私立中学や私立高校は人気だといわれますが、23区と多摩エリアではギャップが大きいのです。多摩エリアの状況は地方の私学と同じような状況でもあります。したがって、多摩エリアで私立学校が社会に貢献しながら人気が高まることは、多摩エリアの各自治体にとっても都市づくりに良好な風が吹きます。

★多摩エリアの通学インフラの大動脈でもある京王電鉄は、2024年度に過去最高の収益を記録しており、2025年度も引き続き増収増益を計画しています。特に、インバウンド需要の回復がホテル事業にプラスに作用しており、全体的な収益向上に貢献しています。それ以外に、学校と住宅の関連性も、東急電鉄のように強めていけば、多摩エリア各自治体の都市づくりに活気を与えるでしょう。

★国連の推計によると、世界の都市化率は2050年までに約70%になると予測されています。これは、世界人口の約70%が都市部に居住することを意味します。多摩エリアの活性化には、この都市化のメリット・デメリットの問題を解決しながら都市づくりをしていく必要があります。その際に、AIの進化に伴い、新しい人間知が求められいますから、その人間知の創出は私立学校の得意とするところです。

★30校もの私立学校が独自の教育によって、この新しい人間知を創出するわけですが、各自治体が中高生と連携して、新しい都市デザインを進めることは希望です。各私立学校は、グローバル教育や探究教育などを通して、最終的には新しい都市デザインに貢献することになる新しい人間知を創出する優れた教育を行っています。

★23区と比べ、多摩エリアの私学の危機意識はかなり高いので、教育の質の切磋琢磨が行われています。偏差値競争から教育の質の競争という競争的共在を作り上げています。5月25日は、その熱気を感じることができるでしょう。

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