私立学校の校長のリーダーシップとマネジメントと変革と 成功する気概は?
★昨日、ある私立学校の女性校長と1時間ほど対話をしました。その校長が目覚ましい活躍で、その高校は地域からの応援ももらえ、ランドスケープベースの建築家や生命科学の大学の先生方も支援しています。その結果かなり専門的な探究活動をする生徒もでてきて、外部のコンテストでも優勝し、タウン誌で話題になっている程です。大学実績も順調に右肩上がりです。いやあすばらしいと思って話していたら、校長先生は、実は私はビジョンを示しているのですが、ビジョンがわからないと言われてちょっとどうしようか思案しているところなのですと。
★そこで、私は最近安斎勇樹さんの新刊本『冒険する組織のつくりかた──「軍事的世界観」を抜け出す5つの思考法』を読んで、研修のアイデアを喚起されていたので、その一つの視点を使って、対話をしてみました。安斎さんのこの本は、いろいろな経営学者の理論やコーチングの手法を「軍事的世界観」と「冒険する組織観」にきちんと整理して、見事なまでに、5つの思考法というか組織の5つのレイヤーと重ね合わせているので、読みやすいのですが、この5つのレイヤーにいろいろな既存の手法を巧みにつなげる「新結合」こそイノベーションだと感じています。
★さて、安斎さんは、ジョン・コッターの変革の8段階プロセスを①から⑧まで階段上にデザインした図を描いています。この段階で、暗にこの変革の8段階を階段状に示すことが必ずしも冒険する組織観ではないことを示唆しています。ここは読み手の自由です。そんなことを感じながら、そこを議論できるWSのステップを創ってもいいなと感じていたところだったのです。
★コッターの変革の8段階プロセスは、そもそも変革を阻害する8つの要因とのギャップを明らかにして、変革へのモチベーションを高めます。
変革を阻害する8つの要因
❶「変革は緊急課題である」ことが全社に徹底されていない
➋変革推進チームのリーダーシップが不十分である
➌ビジョンが見えない
❹社内コミュニケーションが絶対的に不足している
➎ビジョンの障害を放置してしまう
➏計画的な短期的成果の欠如
➐早すぎる勝利宣言
➑変革の成果が浸透不足である
変革の8段階プロセス
①危機意識を高める
②変革推進チームを結成する
③ビジョンの策定
④ビジョンの伝達
➄社員のビジョン実現へのサポート
⑥短期的成果を上げるための計画策定・実行
⑦改善成果の定着と更なる変革の実現
⑧新しいアプローチを根付かせる
★本来、教頭や各部長が、この阻害要因を払拭するマネジメントをし、校長が変革の8段階プロセスのリーダシップを発揮すれば効率が良いのですが、企業と違って、私立学校の場合は、このマネジメントとリーダーシップの両方をハイブリッドさせる必要があります。このマネジメントは、教頭と部長ができている学校は、本当にいい雰囲気です。払拭するとそれだけで、変革の8段階プロセスは私立学校の場合は生まれてくるのです。
★企業の場合は、変革の8段階プロセスに経営利益が最終的に目標になるので、どうしてもマネジメントとリーダーシップの両方を的確に役割分担して行く必要があります。もちろん、私立学校でそれを行っているところはあります。非常に安定的に生徒を獲得できているところは、ある意味、教頭と部長は❶から➑を自働化(トヨタのカイゼン的)しています。ですから、校長を教頭から格上げすると、❶から➑の自働化が崩れる恐れがあります。
★したがって、そこを守るために、理事会は外から校長を持ってくるのが通例です。しかし、この考え方は軍事的世界観に近いですね。
★そういうこともあり、昨日の私立学校は、長年教頭を務めてきた人材を校長に昇格させる人事をとったのです。見事に変革の8段階プロセスは進んだかのようでしたが、ここにきて新しいアプローチを根づかせるところで、壁にぶち当たったわけです。
★しかし、阻害要因のビジョンが見えないという教員との対話によって解決するだろうなあと感じました。見えないのではなく見ようとしていないというのが本当のところだろうなあと。もちろん無意識のうちです。何かアンコンシャスバイアスがあったり、防衛機制が働いているのでしょう。対話によって突破できると思います。なぜなら、これから新しいことをやろうとするのではなく、すでにそれは出来上がているのですから。それを、あれは校長の企画だからといっているだけですから。もっともルサンチマンは根深いですが。
★それと、ビッグビジョンばかりではなく、そこにつながるマイルストーンビジョン(マイルストーンだとビジョンから遠い時がある)を1人ひとりといっしょに創ることが大切ですね。ここ大事です。
★聴くと、探究に励んでいる先生方がたくさんいるのですが、外から見ていて校長のビジョンを大きなベクトルにするテーマが選ばれていない可能性があります。昨日の校長はボトムアップ型ですから、当然そうなりますね。
★ここはまずマネジメントを新任の教頭といっしょにやって、マネジメント手法を伝授しつつ、マイルストーンビジョンがビッグビジョンにつながる共感を広げるリーダーシップをとるというアクロバティックなことをやる必要があります。
★アクロバティック!?まさに冒険的な組織作りです。いずれ昨日の女性校長奮戦記を書けると嬉しいですね。
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