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2025年3月

2025年3月30日 (日)

これからの教育(18)やはり子供時代の存在ベースの学びにカギがある

★中学受験が必要か、高校受験が必要かなどについて結構議論をしている方々がいます。しかし、大事なことはどのような経験も✚(座標系)の広がりで学べるかということだと思っています。この学びは幼児期には、自然となされていることが多いですが、受験の捉え方を間違えると、小学校受験から人間や人間とかかわる包括的な存在の経験を大事にする学びが、捨て去られる場合があります。だからといって、小学校受験を否定しているのではないのです。

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★ただそうしても合格することだけが目的になった時、合格すべき内容に限定して学んでしまうということが起こります。ですから、人間や人間とかかわる包括的な存在の経験をベースにする学びのメカニズムを持っている幼稚園やおけいこ塾に通うことは、むしろ大切です。

★両親が、それができると、たしかに塾などに行く必要はないでしょう。しかし、意外と保護者が自分で行っていると、限られた時間で子供の学びをみるので、どうしても合格するための近道の学びという対症療法になりがちなのです。

★これは、中学受験や高校受験、大学受験にも同様のことがいえます。

★とくに、これらの受験は、小学校受験と違って、入試問題が幅広く見えるし、難しそうに見えるので、どうしても的を絞った効率の良い学びとなりますが、効率的学び=対症療法になっているケースが多いのです。これで、育つと未来はいつも他者から与えられたものになってしまうのです。これは受験の弊害ではなく、受験の準備段階の学びの方法の違いです。

★ですから、中学受験や高校受験、大学受験で、包括的な存在の経験をベースにした学びのメカニズムを要求する入試問題を開発している学校を選べば、そのような対症療法的学びに陥ることから救われます。

★系統的学びか経験的学びかと単純化された素朴学習理論が対立しますが、大事なことは、どちらであっても広く深く高く学ぶ✚(座標軸)ことを広げられるものの見方や考え方ができるようになることです。✚視点をもつと、そのクロスを未知の経験にも転移できます。そして自己修正しながら適合していけるし、新たな発見がズレから生まれてきます。

★そして、それはやはり包括的な存在の経験をベースにした学びの環境から生まれてきます。情報は経験の一部ですから、どんなに部分集合を集めたところで、全体を表現することは難しいのです。全体とは経験です。ですから経験は汲めどむ尽きないのです。

★ところが、この✚(座標系)のものの見方・考え方のメカニズムの解明は、なかなかその重要性に気づかれないできました。ところが、勢いがなくなってきた日本社会を何とかしようと思っている方々が、今それを行おうとしています。その意味で真の効率性というのが求められています。IBではTOKがあるし欧米では哲学という授業がそれを補っています。

★日本でもようやくそれが大事だと思われてきたわけですね。その環境が探究なのですが、まだメカニズムの解明の重要性に気づいている人は少なかったのです。しかし、ようやく動き始めました。2025年は、ここが発展していくことでしょう。

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これからの教育(17)それぞれの私立学校の教育改革は経営と相乗効果を生み出す 創発性の連続

★教育改革とは、教育の質の向上を追究するものであるけれど、それは生徒の創発的な成長が生まれる環境のアップデートという意味。そして、そのような教育環境を市場が支持する創発的広報をこれまた行うということ。教育市場は、国や政府、受験業界、保護者、生徒など必ずしもベクトルが同じでないため、八方美人的広報活動を行うか、すべての市場参加者が、納得する教育環境を創発するかどちらかです。

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★2015年以降、教育改革を進め、そのビジョンやミッション、そして教師のパッションが市場で支持されて定員充足を果たしている学校と、キャズムという溝にいったんははまりながらも起死回生している学校と、起死回生できていない学校とがあります。

★この3つのパターンは、いつの時代もほぼあてはまります。

★この3つのパターンは、学校の先生方はがんばっているが大前提です。がんばっていないところの話はここではしていません。そのがんばり方のマネージメントがうまくいかないとき、がんばっているのに市場に支持されないということが起こるのです。

★私立学校の場合、教育委員会によって配分されて生徒が集まるわけではないので、自力で集める、つまり経営をするわけです。したがって、定員充足している学校の共通点は、勢いが感じられるし、雰囲気がよいのです。

★頑張っているけれど、管理職も含めて、正当な理由かもしれないけれど、不平不満がたまっている場合、理事会がそれを抑えるか、抑えきれないかどちらかですから、いずれにしても抑圧的雰囲気は、勢いを停滞させるし、雰囲気はどんよりします。

★説明会に来た時に不思議なことにそれは察知されてしまいます。Ⓑというのは、八方美人型広報です。これはこれでコストをかけますから、それなりに効果はあります。この演出はたしかに大事です。ただし、演出だけで実質がない場合、かりに定員充足しても、2,3年でキャズムが待っています。

★ところが、勢いがあるところや雰囲気がよいところは、説明会に来た受験生や保護者は感動するのです。

★ですが、ちょっと油断すると、感動は瞬間的なものですから、それが持続的に生まれる環境でなくなると、キャズムがやはり訪れます。それを建て直せば、すぐに起死回生になりますが、同じやり方をやっていても市場も慣れてしまいますから、感動はうまれてきません。

★まして、ⒷからⒶになって、ただがんばっているだけでは、不平不満は消失しませんから、ボトムが続きます。

★結局組織をどうするかなんですね。うまくいっている学校のカリキュラムや行事を真似しても、組織がダメならやはりボトムは続いてしまいます。

★ところが、組織が、1人ひとり仲間の創発性を永続的に生み出すマネジメントをしたとき、一人ひとりの関係性は、総和をはるかに超えるエネルギーを生み出すので。化学変化というやつですね。上記のグリフで言えば、それはⒸの領域です。

★そういう1人ひとりが創発性を有していけば、カリキュラムも創発型になるし、行事や多様な教育活動も創発的になります。

★というような話を私がしたとします。実際するのですが、目を輝かすか、理想論だというか、俺の言うことが正しいに決まっていると耳をふさぐか、ちゃんといろいろな反応が起こります。当然私は目が輝く人と意気投合します。何も支配ー被支配関係にないので、いっしょにやりましょうという人とそうでない人に分かれるのは当然です。そして、いっしょに創発することを行っているメンバーは当然創発の泉を内側に生み出します。そしてそのメンバーがいる学校は定員充足への道に向かうわけです。

★とはいえ、一方で協会のメンバーでもありますから、直接的にはできませんが、東京の私立学校がすべて定員充足するにはどうしたらよいのかは間接的ではありますが考案するし、協会の仲間と話し合い事業を進めています。あきらめはしません。

★東京の私立学校は、不思議ですが、一つの都市にこれだけ私立学校があるというのは、奇跡的なのです。この奇跡をエンドレスにすることはとても大事だと信じているのです。

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2025年3月29日 (土)

これからの教育(16)石井真英先生の間主観的なコンピテンシーベースの学びと評価

★石井真英先生(京都大学)の学習理論や教育観は、私立中高の先生方と対話しているときにしばしば登場してきます。石井先生はペースの速い著作家であり、講演や実践も数多くこなしています。動画にもたびたび登場しています。ですから私も石井先生の考え方を知る機会があります。いろいろな考え方の中で、なぜかあまり話題にならない用語を石井先生は使っています。それは「間主観」。

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★学力の3要素は、コンピテンシーベースの学びと評価がセットだと考えているのだと思います。

★しかし、思考力とか判断力とか表現力とかは、具体的には学習指導要領では規定されていません。

★文科省は規定していないものは、思考力・判断力・表現力の枠内であれば創意工夫しなさいということでしょう。石井先生はそこを間主観的な基準と言っているのだと思います。

★教師は自分なりに評価基準を持っています。それが生徒をエンパワーするものであるかどうか、自己修正するだけではなく、学校の考え方とすり合わせて学校として合意していく過程が大事だと。学校という基準は、学内では客観的だけれど、学校というコミュニティの主観の束が練り上げたもので、他のコミュニティと比べると必ずしも客観的とは言えない。だから間主観(インターサブジェクト)だというのでしょう。

★そして石井先生が、学校を超えて授業実践報告を共有するイベントを実施するのは、その間主観を広く共有していきたいということでしょう。コミュニティーが学校を超えて拡張しますね。

★3観点のうち知識・技能は総括評価で行けるけれど、それ以外の2つは、形成的評価も使えるといバランスを考えたらよいのではないかと語っているのですが、そのバランスもそれぞれのコミュニティによって決まる間主観的なものだと。

★それがないと確かに個別最適化の学びの環境をつくれません。このような学びや評価を可能にするにはコンテンツベースだけではなくコンピテンシーベースな学習観が必要だということでしょう。最近は探究はコンピテンシーベースと先生方も捉えているようです。

★ただ、石井先生はコンテンツフリーではないと言っているような気がします。ここもバランスですね。

★この間主観とかバランスとかの考え方を共有できるとこれからの教育がイメージしやすくなります。

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2025年3月28日 (金)

これからの教育(15)伊藤穣一さんとユヴァル・ノア・ハラリさんのコアコンセプト

伊藤穣一さんの動画やユヴァル・ノア・ハラリさんの新刊邦訳本はコアコンセプトに呼び戻されます。新しいことを言っているかというとコアコンセプトですから不易流行なのですが、テクノロジーの背景にそれを見出しているので、ハッとしますね。

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★伊藤穰一さんの生成AIの使い方は、AIに創らせるのではなく、自分の視点や考えを、ハラリさんのいう自己修正メカニズムとして使っています。

★まさに、情報の素朴認識論やポピュリズムの偏狭的正義論に陥らずに、批判的思考というコンピテンシーを獲得しようという意味で「探究」は大事だというコアコンセプトがそこにはあります。

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これからの教育(14)中高も大学も 序列型ピラミッド組織から3Fコミュニティへ変わる

★すでに発想的には、序列型ピラミッド組織から3Fコミュニティへ変わっています。ただ、発想と現実にはズレがありますから、相変わらず序列型ピラミッド組織市場で利益をあげている人はいます。しかし、市場は3Fコミュニティにどんどん変化しています。もともと市場は3Fなのです。そこに市場の覇権を握ろうとする序列型ピラミッド組織をつくるのが大好きな人がまだまだたくさんいるのです。

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★それは、おじさんだからピラミッドで、Z世代だから3F型でなんていうことはありません。ただ、Z世代はピラミッド型は耐え難いという価値観は持っているかもしれません。おじさんは耐え忍んできましたから。

★そこは社会学者やマーケーッターに分析して頂くことにして、ざっくり結論から合いうと、肌感覚にすぎませんが、時代の流れは△印から〇印へシフトしているというのは事実ではないかと。事例はあとから紹介します。

★△印は、頂点の一部の人に権力が集中するのです。たとえば、東大生や東大教授。彼ら自身の中には3Fの精神をもっている人がたくさんいるのですが、権力は自ら創らなくても社会や文化、そして組織がつくります。知らず知らずのうちに頂点のポジションは権力を集中させてしまいます。

★そこを社会学者は批判します。一方△印を利用して市場を創っている受験業界は、それを煽ります。ところが、そんな受験業界に〇印価値観を持っている業界人が生まれ始めたのです。

★私立中高一貫校で新タイプ入試が生まれたのは、その〇印業界人がまるで明治時代の私学人のように、教育を変える協力をしているのです。

★そこに、偏差値を超えた3F型コミュニティが現れているのです。

★大学入試が変われば中高の教育が変わるとよく言われます。あるいは中高の教育が変われば社会が変わるとよく言われます。しかし、それは嘘ではありませんが、そのようなことを大きな声で語る人は△印組織人の場合が多いですね。そこから思い切って飛び出して、自ら〇印コミュニティを創るかどうかだけが、社会や世界を変えて新しく創っていくのです。

★個人に何ができるのだ、組織が悪いんだと言っていてもそう簡単に変わりません。SNS上ではそのような人のところに承認欲求値が増大しますから、多少は影響力はあるかもしれませんが。

★〇印コミュニティでは、1人ひとり個人の才能が尊重されています。だから序列が生まれません。尊重するシステムは、リフレくティブモティベーションが稼働しますから、序列が生まれようとするとそれを防御する作用があるのです。

★大学の序列や中高の序列は、たしかに崩れ始めています。その音が聞こえる人と聞こえない人との分断は、過渡期において生まれるかもしれませんが。

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2025年3月27日 (木)

これからの教育(13)生成AIを授業で使う方向性

★2025年3月24日、東京都教育委員会は、2024年度「児童・生徒のインターネット利用状況調査」の報告書を公開。生成AIについて、高校生の約3割が使用したという結果になりました。都教委は、この4月から都立高校で「生成AI教科」という学校設定科目を実施する予定ですから、生成AIを活用した教育活動は増えていくでしょう。

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(bing作成)

★問題になるのは、その使い方です。もちろん、セキュリティやコンプライアンスには配慮しますが、何にどのように活用するとどんな効果が期待されるかということを都は考えているのでしょう。

★授業においては、限られた時間を超える「効率性」と「発想」を生み出し「イオンベーション」へつなげたいという狙いがあるのだと思います。

★効率性と発想は、別々のものではなく、効率を上げると発想が生まれたり、効率から距離を置いたときまた発想が生まれたり、固定的ではありません。

★その相乗効果として「イノベーション」へつながる道がみえてくるのでしょう。

★イノベーションは、かならずしもテクノロジーの分野だけではありません。リーダーシップの作り方やチームビルディングの在り方とか、関係性や構造にかかわることすべてにあてはまります。

★ですから知識の「体系」「関連付け」の方法も変わる可能性があります。効率性と発想の掛け算で。あるいは、両方のベクトルの合力で。

★でその効果は?いろいろなものが脱構築されていきます。学習観も進路指導観も評価の在り方もそして学校の在り方も。

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2025年3月26日 (水)

これからの教育(12)探究や教科横断が重要であるのはわかるが、なかなか体得できない。どう克服するのか?

★探究や教科横断が必要なのは、総合型選抜に役立つというそれだけでの理由ではもちろんないのは言うまでもありません。世の中が複雑なわけでで、多角的に複眼思考で観て考えて協力して解決していくというのはもはやあたり前のことです。それは学問の世界でも経済社会でも同様です。

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★そのために、私立学校の先生方は、多様な教育環境をデザインしたりカリキュラムをブラッシュアップしたりたいへんな創意工夫と努力をしています。しかし、すべての生徒が批判的思考力や創造的思考力、世界を巻き込む力などの資質能力を発揮するようになるかどうかは不確かです。

★新しい知識を知るレベル(A)で終わる生徒もいるし、与えられた問いに論理的に考察することができるレベル(B)まで視野を広げる生徒もいます。しかし、批判的で創造的な思考のレベル(C)までは、多くの経験を積んだからといって、多くの生徒がそこまで視野を広げ、自分なりの視点を内蔵化するかは不確かです。これを自律的と言おうが主体的と言おうがどちらでもよいのです。私は内蔵化という言葉を使うだけのことです。

★ともあれ、それゆえ、先生方もいろいろな環境やプログラムを創ってきた実績をチューニングしながらできるだけ多くの生徒に視野を広げ自分なりの視点を内蔵化して欲しいと祈る気持ちで生徒と共に学びの世界を創っています。

★このA→B→C→のちの循環はいかにしたら可能か?

★2025年の私立学校の多くは、多様な環境デザインやカリキュラムアップデートをしながら、この生徒の知の核である領域に迫っていくでしょう。すでに工学院、駒沢学園女子、聖学院、和洋九段女子、足立学園、共栄学園、佼成学園などがそこにチャレンジしていることは本ブログでも紹介しています。

★他の学校もそうなっていきます。4月からはここをリサーチしていきたいと思います。もちろん、多様な教育環境デザインやカリキュラムアップデートは大前提です。

★従来は、ここがメインで、生徒の知の内蔵化のシステム構築は注目されてきませんでした。ある意味、ここは教育の本丸でありブラックボックスでもありました。しかし、生成AIの登場で、ここが言語化・可視化される時代がようやくやってきました。知の循環の内蔵化が多くの生徒に共有されるようになります。一部の人間が暗黙知として到達していて、学歴の壁などでそれを共有することをしてこなかったのですが、その壁は生成AIによって崩されていきます(微笑)。

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これからの教育(11)シンプルな知の循環体験によって自分のものの見方考え方を内蔵化する

★工学院の田中歩教頭や駒沢学園女子の山口先生、聖学院の本橋先生、日私教研の伊東さん(元パウロの同僚)と生徒がアハ体験しながら成長していく様子について対話していると、ある共通した知の循環の図式が降りてきます。それは先日聖学院のGICの生徒と話したときにもシンクロします。いろいろな図が降りてきているのですが、今朝は次の図式が浮かんできました。

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★歩先生とは、学習者中心主義をベースに対話するので、それぞれの教師が実践する多様な経験や教科のデザインを、生徒1人ひとりがシンプルに自分の中でそれらすべてを結び付けてセレンディピティがいかに生まれてくるかという話をよくしています。そのような知の循環が自分の中で起こり、それが外部の様々なものと結びつくことを知の内蔵化と私は呼んでいます。

★山口先生とは、ハーディンの救命ボートを倫理的に解決する時に数学的思考をどのように生徒1人ひとりが駆使するか、そしてそれこそが個別最適化の学びの環境なのではないかと対話しています。

★本橋先生とは、中学入試の思考力セミナーに参加する生徒がアハ体験をする仕掛けをどうデザインするか10年以上前から対話してきています。このアハ体験をして入学してくると知の内蔵化がデフォルトになっているので、伸びていく生徒が多いというような対話も。

★伊東さんとは、パウロ時代から、そして今も福島の協会の研修などで行うWSをいっしょに行いながら、コンセプトレンズー教科ー探究を結び付ける問いを参加した先生方と共有しています。

★聖学院の山本周先生は、GICの生徒のダイナミックな活動そのものが生徒1人ひとり知の循環をその場で広げている授業やアートシーンを見せてくれます。

★そして、この間も、多くの私学の先生方と対話して、リフレクティブモティベーションを内燃させていただいています。

★教師側から表現する教育環境デザインは、十人十色ですから複雑です。しかし、生徒1人ひとりが自分の中にそれをシンプルに取り込む知の循環を創ることができれば、飛躍的に成長します。しかし、その生徒1人ひとり自分の中の知の循環は、すべての生徒が内蔵化しているわけではないのです。多くの生徒が自分の中に知の内蔵化ができたなら、いろいろな教育問題も消失するかもしれない。そんな仮説を立てながら、4月から新たに取り組んでいきます。先生方よろしくお願いします。

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2025年3月25日 (火)

これからの教育(10)東京私学 数学の先生方の挑戦

昨日から小田原で、東京私学教育研究所の理数系教育研究会の数学の委員会が宿泊研修を開催しています。この委員会は、東京の私学の先生方が集結してつくっている会で、研修にも東京私学の先生方が多数参加されます。同委員会の研修の一つの大きなテーマは、数理モデルという数学的なものの見方考え方を数学の問題からも社会事象を解決する過程からも取り出したり、あるいは逆にそれを入試問題や社会課題解決のために活用してみる授業づくりをするということです。

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(2016年文部科学省による)

★新学習指導要領でも、社会事象と数学の問題をつなげる構想を打ち出しています。文部科学省も、実際探究などでそれを行っている事例研究も進めています。

★しかし、この研修に参加している東京の私学の数学の先生方は、もう少し先を見ています。というのは、この社会事象を他の教科に置換えたらどうなるかということに挑戦しているのです。同じことができるわけですから、教科と数学の横断ができるわけだし、教科だけではなく社会事象にも数学的発想が共訳可能性になるというわけです。

★もちろん、数学の入試問題の解き方がそのまま社会事象に転移できるわけではありません。数学の入試問題の解き方の背景にある数学的ものの見方や考え方が転移できるのです。dえは、それは一体何か?

★それが問題ですね!そこに挑戦している数学の先生方の対話はすてきです。

★かつてピタゴラスは、世界は数でできていると語って以来、ガリレオやニュートン、アインシュタイン、ラッセルをはじめとする数学者はその文化を受け継いでいます(と私は考えています)。

★数学の先生方の対話は、まさに彼らとシンクロしているのです。

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これからの教育(09)共栄学園 創造的思考と数学的思考の絶妙な対話型組織

★葛飾区お花茶屋の共栄学園と言えば、春高バレーでたびたび優勝し、東大も合格できる文武両立の人気校です。ここ数年の業界内での注目度は年々高まっています。21世紀になって共学化して新校舎をたて、人気がでて、その後高校のコースを生徒それぞれの才能を生かしながら進路も実現する創造的であり現実を見据えた発想をカップリングさせて、ますます人気があがっています。

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(写真は同校サイトから)

★教務部長の矢野先生によれば、コースをつくったときに、グローバル教育やICT教育、探究教育のすべてを揃えたということです。ただ、それをきちんと整理し、効果的なプログラムにするときに、数学的思考と創造的思考の両方が相乗効果がでるような雰囲気になったのが非常に良かったということです。

★矢野先生が数学科の教諭であるということもありますが、数学的思考をベースにした会議を行えたのがうまくいった一つの要因ではないかと。会議が実に生産的なのは、帰納的議論と演繹的議論が往還できたことだといいます。

★そして、環境が整い、文武両立をささえる同校の伝統的な創造的思考があふれでたということでしょう。

★今後はどうするのかとお聞きしたところ、車のボディーのデザインはやはり新しく輝いていなければなりませんが、同時に動力源のアップデートも重要です。3年間くらい売れればよいというのであれな、車の外側だけ新調しておけばよいのですが、それでは、停滞してくるのは世の常だし、かつて共栄学園も同じような体験をしているというのです。

★では、その動力源は何か?令和8年にかけてそれを言語化し可視化しますからご期待くださいと言うことです。矢野先生の活躍ぶりを見ていると、それはおよそ予想は尽きますが、それはまた4月以降もう少しリサーチしてからご報告します。

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2025年3月24日 (月)

これからの教育(08)私立中高における主体的というコト 前提が「建学の精神ー寄附行為」という基準

★前回紹介した主体的というコトに関しての前提となる「学校」は私立公立問わず一般的な学校イメージで語りました。しかし、私立は公立と違って、学校ガバナンスは、「寄附行為」によって定められそれを遵守しながら組織運営をします。今回の私立学校法の改正によって、文科省が無意識なのか意識してなのかはわからないのですが、結果的に規制強化につながる点に関しては、私立学校がきちんと要望し続け、簡単に言うと交渉して、なんとかバランスが取れたのですが、この事実は意外と中学受験生や高校受験生は知らないし、塾関係者もあまり気にしないと思います。それが結構悲劇を生んでいるのですね。なぜ私立学校が脱偏差値を掲げるのかというと建学の精神を運営する基準である寄附行為があるのに、それを偏差値の基準に置換えられることは、文科省が無意識のうちに規制をかけてくるのと同じだからです。

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★そして、残念ながら私立学校の先生方の中にもあまり気にしないというケースがあります。それはなぜかというと大学の教育学部や教員免許を取る際に、個々の私立学校の寄附行為について学ぶということはありません。つまり、これらの機関はほとんどが公立学校の知識の伝授なのです。ですから、私立学校の先生の能力の問題ではなく、日本の教育学上、私立学校を専門に研究する人はほとんどいないのです。

★ですから、東京私学教育研究所とか日本私学教育研究所というのがあるわけです。私立学校研究家という存在は、日本のこの現状を補完するおせっかいということかもしれません。

★寄附行為というのは、企業で言えば定款のようなものですが、企業は出資者や株主が主体です。私立学校は、創設者が私財をなげうってつくるためにその寄附行為をそのまま名前にしている可能性があります。そして、理事会や評議委員は株主ではなく、理事長や校長のみならず、いろいろな見識者や同窓生、保護者からも成り立ちますから、実は受験生や保護者も広くその寄附行為の協力者だと考えてよいのです。

★もちろん、作ることにすべての受験生や保護者がかかわることはできませんが、協力するよという意思表明が、寄附行為の象徴である建学の精神を尊重するということなのです。

★学費は、法律上は、たしかにサービスと交換する代金と変わりませんが、文化人類学的には寄附とか贈与という商品交換以外に存在する経済のやりとりの行為が背景にあります。ですから、偏差値基準ではなく、「建学の精神ー寄付行為」の基準で学校を選ぶというのが本意なのです。

★というわけで、私立学校は、互いに学び舎を未来に永続するように作っていこうというお金だけではなく建学の精神を守っていこうという寄附行為によって成り立ち、この学び舎を守るためにリスクマネジメントとして国の定める教育関連法規と共に、独自の学校のルールがあるのです。

★ですが、その学校のルールは命令ルールではなく、教職員、生徒、保護者が互いに学び舎を守るリスクマネジメントする相互承認及び共有するルールなのです。そこが、世の中が批判する理不尽な校則とすり替わって議論されると私立学校現場は、圧力を受けることになるのです。

★今、私立学校でリーガルマインドやリベラルアーツとして法的思考が研修で学ばれているかというと、世の中がなかなか気づかなくても、この法的成り立ちの私立と公立の違いを自己認識しなくてはならないからです。

★ですから、このような私立学校における生徒の主体性の考え方は公立学校とは相違点と共通点を認識しながら議論をしていく必要があります。

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2025年3月23日 (日)

これからの教育(07)主体的というコト

★主体的ということについて、学校現場だけではなく、企業などの組織でも話題になります。ウェルビーイングという言葉の背景の一つにOECDのエージェンシーという概念があって、それが新学習指導要領にも影響を与えているし、企業においてもそれは同様でしょう。OECDはそもそも経済に影響を与える機関ですから。

★そして探究という学びと総合型選抜がカップリングされて論じられるようになってきて、それを推進する場合、学校現場では主体的な学びが必要だとなり、一方で、塾などでは、別に主体性は必要ないとする立場もあるし(入ればよいわけですから)、研究的な立場を考える塾長などは、そんなのは主体的でも何でもないと論陣を張る場合もあります。

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★学校現場では、命令ルールで勉強させるということに対しては、今では割とそれは違うなと考える教師は多くなってきました。しかし、学校が前提にしている命令ルールの是非を問う前に、その直接的「べき論」を緩和する環境設定をして、その環境内でフリー、フラット、フレンドシップという心理的安全をつくって、生徒が自由に自分の好きなことを探究していくモチベーションを生み出すということが重要だというのが主流です。しかし、社会課題と言いながら、その環境内だと疑似的な主体性=para-agencyということで終る場合がほとんどです。

★これに違和感を感じ悩む教師と、学校現場の限界としてpara-がむしろいいのだと考える教師もいますね。悩もうが然りと思おうが、環境設定をして主体的な発想や活動を生み出すことに変わりはありませんから、その点ではよいのだと思います。

Creative-agency

★しかし、そもそもそんなのはシミュレーションにすぎず、本物ではないと論陣をはる教師というより塾関係者に実は多くいると思います。意識していないかもしれませんが、それは学校という命令ルールは、その塾には直接関係のないことですから、そこに抵抗するリアリティはありません。したがって、環境設定というより、現実の問題を乗り越えて新しいルール(正しいかどうかのモニタリングは当然する)を創る側に立つような指導をしていくところもあります。

★魅力的ですが、社会の命令ルールはまだ存在するので、そこに対するモニタリングはどうなのかというと、塾ですから、そこをメタ認知すると経営はできなくなってしまいます。

★したがって、上記の図のように、疑似主体性から世界を創る主体性に完全移行することは、たぶん不可能です。玉ねぎの皮をむくように何重にも命令ルールは存在します。それに、人によって他者命令ルールなのか自己承認ルールなのかは認識がズますから、そこはますます厄介です。

★さて、どうしたらよいのでしょうか?こんな議論をし続け、身近なところで、新ルールメイキングの体験を皆が積んでいく機会や環境をやはりつくる以外にないのでしょう。いまここでは遅々として進まなくても、不思議なもので、10年経って、振り返ると大きな変化が生まれているものです。結局私たちにできることは、理想のルールを創るというよりは、小さなところで疑似主体性の殻を破り、世界を創る主体性を生み出す挑戦をすることだけです。その挑戦は、終わったと思ったら、またしても別の命令ルールの中に包摂されていますから、疑似的主体性になっています。

★しかし、そこで立ち留まらず、再び次元をあげるために挑戦するしかないのです。もしその挑戦をやめたときどうなるのか?思考停止ということになります。そうなっていよいのかどうか?それは自分の意志決定です。。。

 

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2025年3月22日 (土)

これからの教育(06)八雲学園 グローバルリーダー着々

★先日、八雲学園の近藤彰郎理事長・校長、近藤隆平副校長、近藤嘉彦副教頭にお会いしました。ラウンドスクエア、ケイトスクールとのグローバルリーダー育成コミュニティで交流を積み上げてきて、近藤校長は、「教養があって自分の頭で考え、他者を思いやり、多様な人々を巻き込み協働してよりよい社会を創るグローバルリーダー育成教育の理想は、共学2期生の卒業式を終え、また一歩近いづきました」と語ります。

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★近藤校長は、ウェルカムの精神を大切にしていますから寛容な笑顔が印象的です。同時に教育においては、ともすると消極的な利己主義におちいりがちな人間です。そこを人から与えられたものを卒なくこなす受動的主体性ではなく、変化や困難の局面に自らに使命を課して、立ち臨み、変化を良い方向に、困難は解決すべく、さらには変化それ自体を自ら先頭に立って創っていくグローバルリーダーの思考力と行動力を育てる環境をダイナミックにかつ細心の注意をはらって構築しています。

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★近藤隆平副校長は、「共学2期生は、1期生同様奮闘し、さらに海外大学に羽ばたきます。QSランキングでは、世界大学ランキング100位以内の大学は東大、京大、東京科学大、大阪大学の4つの大学です。いずれもすばらしいですが、それらの大学自身がグローバルな環境になんとか転身しようとしています。その点今回八雲生が世界大学ランキング100位以内の大学に合格した海外大学はすでにグローバルな環境で研究ができます。早稲田大学や慶応大学は世界大学ランキング200位以内に入っていて、もちろん2期生は両大学にも複数人合格しています。海外大学だけで、100位以内の大学には20人合格す予定です。200位内になると30人くらいの予定です。早稲田、慶應を入れればもっとということになります」ときっちり分析していました。静かな笑顔の背景に大きな手ごたえを感じているようでした。

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★近藤嘉彦副教頭は、近藤隆平先生が国際教育関係の仕事で海外に出ることが多いため、しっかり現場の教育環境を持続可能にするために努力をされていると同時に、デジタル世代の生徒のニーズを洞察し、新しい教育に備える未来志向も兼ね備えています。

★今回慶応大学の経済学部の一般選抜で合格した生徒は、小論文試験も受けています。その課題が実に根源的な問いだったので、それを入試問題として扱うというより、社会課題全体を捉えるコンセプトの問いと捉えて、いろいろな局面で活用しようとしています。生成AIをうまく使えば、生成AIの中に埋もれている専門知と嘉彦副教頭と生徒の間でディスカッションができるということのようです。生成AIに回答をつくらせるという方法ではなく、生成AIの中に埋もれている多くの専門知を引き出しながらディスカッションをしていこうというのでしょう。さすが、PBLの達人です。

★近藤隆平副校長も、その使い方は英語エッセイライティングでも適用できると、あるアイデアが浮かんだようです。実験してみてまたご報告しますということです。実にワクワクしますね。八雲学園は破格のグローバル教育環境と新しい学びの開発にチャレンジする先生方というラボ型の学校です。

★近藤彰郎校長は、「八雲学園には、いろいろな生徒が入学してきます。海外に目を向けているご家庭も選んでくれ始めました。ウェルカムの精神で多様性をどんどん受け入れる学校になっていきます。期待していてください」と軽やかに、しかしそれは日本の教育が変わらなければならない大きなミッションでもあるということを目を細めながら語っていました。そして静かな情熱がたしかにそこにはあったのです。

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2025年3月21日 (金)

共愛学園前橋国際大学の児浦良裕准教授 未来のラボ都市づくりへ奔走

★先日、共愛学園前橋国際大学の児浦良裕准教授にZoomミーティングの機会をいただきました。児浦先生は、いつものように超多忙。その日もある役所でミーティングをし、その空きスペースでZoom。まさに時間と空間を超越して研究。いろいろな役所や企業、商店街、大学、中高などと縦横無尽に対話し研究をしています。

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★児浦先生の活動は、大学研究の延長拡大です。ゼミの学生を中心に、地域支援の多様な仕事を、地域住民をはじめ行政や企業も巻き込んで行うなど地域の活性化を企画実施する研究を行っています。

★まさに、大学から飛び出て、研究活動拠点をたくさんつくり、そこで住民の方々の経済や文化を生み出す学際的研究をしているのです。たんなる生活コミュニティではなく、そこに研究や学びが紐づいています。

★児浦先生ゆくところはラボになっています。それと生活と経済と文化と行政が融合しているのです。

★国連は2050年までに70%は都市化すると想定しています。

★未来の都市は、効率が良いだけではないのです。自然環境の持続可能性もあり、公衆衛生も万全、経済は住民一人ひとりが無限の価値を生んでいくようになると児浦先生は考案し、実践しています。学歴社会をはじめ、あらゆるところにある階層構造や分断を知の力と協働の活力で打破していこうという冒険を研究者として実行しています。

★ラボとしての未来都市は、大学の先生の支援を受けながら、市民研究者として、住民は、歴史的にも経済的にも政治的にもグローバルな領域でも多様な価値を生み出す知恵を養っていくのでしょう。

★かつては、教会や寺社、大企業、役所が都市の中心地にあり、その周りをサークル上に囲んで都市ができていくイメージでしたが、今は多様なラボコミュニティがそれぞれ自律しながら、互いに連携して宇宙船地球号の全体像を夜空の宇宙スクリーンに映し出していくのでしょう。

★まるでスイミーのように、それぞれ小さいながら独立しつつ協力していく。自律分散協働系を生み出すラボコミュニティー。AI社会だからこそ可能なのかもしれません。

★児浦先生の時空を超えて奔走する軌跡の上にラボコミュニティが次々出現していきます。対話と研究が生み出すラボコミュニティ。新しい地平が見えた瞬間です。児浦先生!貴重なお時間を共有していただき心から感謝申し上げます。

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2025東大合格者発表のシーズン(12)足立学園 4年連続東大合格者輩出

★今年足立学園から2名東大合格者が出た。井上校長によると、「4年連続で、教師も生徒もカリキュラムに自信を持ってきています。探究活動を通して、生徒一人ひとりが効果的で深い学びのマネジメントができるようになったと思います。かつては、東大に合格させるための受験指導も行ってきたのですが、やはり生徒自身が自己調整学習を試行錯誤しながら行っていける探究やアクティブラーニングが効果的です」と。

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★そして、ますます先生方は最適な指導方法をつくり、軌道修正して改善していくことをマスターすべく、同校の研修委員を中心に教員研修を企画実施しているということである。その様子の一端が、東京私学教育研究所のブログに掲載されている。なにゆえに?どうやら、同研究所で行っている研修を学校現場でも展開した事例として紹介されているようだ。

★その中で、次の井上校長の言葉が胸を打つ。

「うちの探究という教育活動は自然とこのような循環を生み出してきたのだと思いますが、この循環をさらに好循環にしていき、それを支えるために改善し続ける志の組織を、きちんと見える化しておくことが次世代に引き継ぐ組織のありかたなのです。栗田先生の教育活動改善の可視化研修は、足立学園にとって重要な機会です」

★詳しくは、次の東京私学教育研究所のブログをご覧ください。

【研究所ブログ第55回】足立学園 教務運営部会の研修で行ったTPを学内でも実施①

【研究所ブログ第55回】足立学園 教務運営部会の研修で行ったTPを学内でも実施② 

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これからの教育(05)聖学院 創発型教育活動②

★先日、聖学院で高1のGICの3D空間デザイン展がありました。ミカン箱くらいの空間に、各チームのものの見方・考え方・感じ方がデザインされていて、鑑賞する側に様々な思いや考えを喚起するアッフォーダンス型の設計になっています。それだけではなく、各チームのプレゼンテーションは、たんなる説明ではなく、鑑賞者と対話しながら自分たちの想いを共有すると同時に鑑賞者の想いも融合しながら新たな価値観を生んでいく作品でした。コンテンポラリーアートのインスタレーション型の空間モデルです。それぞれの空間を小さなギャラリーに拡張して展示すればすぐにコンセプチュアルアートとして成り立つものばかりでした。ギャラリストの方々は、ぜひ顧問の山本周先生にご連絡してみてはいかがですか?新しいアートの世界を開くと思います。

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★とにかく、10チームぐらいが制作していたので、すべてをご案内できないのが残念ですが、いくつかご紹介します。この展示会のコンセプトを理解するには、いくつかの事例が必要だからです。

★暗闇の部屋に映し出される白い手の下にネットでつながっている人々がいます。一人ひとりネットがまかれている回数は違います。手から遠のくにつれて、ネットの巻き付き回数は少なくなります。そして監視カメラ。

★要するにジェレミー・ベンサムが考案した一望監視装置というパノプティコンが、ICTなどのテクノロジーによって、見ていないのにパノプティコンが機能しているシノプティコンになったというノルウェーの社会学者トマス・マシーセンの発想に通じるコンセプトを3D空間にしてしまったわけです。

★鑑賞者にそんな発想を喚起する空間です。そして、生徒の皆さんは、あなたはどのへんにいると思いますかと。だいたいは、バランスのよいポジションを回答するのですが、果たして本当にそうですかとさらに問いかけるのですと。アンコンシャス・バイアスをゆさぶるコンセプチュアルアート全開でした。

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★GICの生徒のみなさんは、みなコンピュータや生成AIを使いこなしています。今回の3D空間デザインも、多くはデジタル社会が背景にあるのが了解できるものだったのですが、この黒板のある教室は、なんともアナログです。そのことを問うと、五感に関する学びがGICのカリキュラムにあるので、五感を研ぎ澄ます空間にしましたというのです。

★テーマは「ギリ16歳」という心理的空間ということのようです。中高時代の教室といえば、ホワイトボードではなく、黒板なのだというわけです。きれいに消されているのではないところあたりが実に細かいですね。教室の隅にはなぜか白百合の花束があり、カーテンにはヒノキのアロマがしみこまされています。窓の外からドライヤで風を送ると、その香りが教室中に広がります。木造の教室ということでしょうか。

★そして風鈴がなぜか教室の中心から垂れていて、風に揺られて風鈴の音が聞こえてきます。これは、青春の心の動きだそうです。そこは「青春」なんだそうです。それから、個人的に二番目に気に入ったのは、ノートです。風で、どんどんページがめくられていくのです。青春はあっという間に過ぎ去るという時間を可視化したものだというのです。

★そして、一番気に入ったのは、天井に敷き詰められたわたのような繊維ですね。非常に柔らかい手触りなんですが、底まで手を鎮めると、手のひらに異物感が伝わってきてハッとします。青春って美しく甘いもののようですが、実は痛みもあるということです。葛藤あって青春ということでしょう。五感を通して、あまりに人間的なアンビバレンツな心理を表現する3D空間デザインです。

★ほかにもデュシャンの便器に相当するような作品もあって、ご紹介したいのですが、私の紹介が、所詮は私の想いでしかなく、GICの皆さんのはるかに豊かで大胆で繊細な世界の痛みを感じながらそれを乗り越えようとする冒険心を矮小化するのはもったいないので、このへんにしておきます。

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これからの教育(05)落合陽一さんの「第3のてこ」ヒントにアービトラージ学習

★パンデミック以前に出版された落合陽一さんの「デジタルネイチャー 生態系を為す汎神化した計算機による侘と寂 」( PLANETS/第二次惑星開発委員会:2018/6/15)は、やはり傑出しているなあと。前職の勤務校で、この発想で、森とデジタルをベースにした教育をと思っていたのですが、そのときはパンデミックの時期で、いまここでに集中しなくてはならなかったので、未来を語るだけで終わってしまいました。環境だけは整えたので、あとは新校長(エネルギッシュで、着々と森とAIの教育を実践しつつあります)に任せて、再度別の領域で挑戦しようと。それでも、その挑戦の準備に、校長を辞めてから2年かかりました。3年目で、ようやく出発できそうです。何せパーティーを創るというのが一番の準備でした。新プロジェクトメンバーは正式に決まり、将来のメンバーとのネットワークもできつつあります。

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★教育におけるレバレッジポイントとは何か?これが私たちのコンセプトで、ずっとこれをあらゆるところで対話してきました。もちろん、再重要なのは、生徒一人ひとりのレバレッジポイントです。

★従来は、偏差値をあげるための知識集積型のレバレッジポイントでした。これはこれで、よいのですが、このレバレッジポイントは偏差値階層構造から抜け出すことができず、多くの創造的才能者が自己肯定感を勝手に低くし、もったいないことに、うもれてきたわけです。

★ですが、新プロジェクトのメンバーのA.T.先生(4月にならないとまだ実名は公表できません。理事会とのお約束がありますから)といっしょに、目の前の生徒一人ひとりには才能があって、それを尊重できる組織や授業をつくろうとしてきたわけです。

★グローバル教育は、目の前の生徒の中に、自信と価値を無限に豊かにしていくトリガーになっていました。しかし、そうでない生徒もいます。探究論文がトリガーになる生徒もいました。しかし、みんがそうなるわけではありません。グローバルプロジェクトのアントレがトリガーになる生徒もいました。しかし、みんながそうなるわけではありません。ICTの活用がトリガーになる生徒もいました。デザイン思考がトリガーになる生徒がいました。PBLの授業がトリガーになる生徒もいました。しかし、まだ全員ではありません。ただし、偏差値をあげるためのレバレッジポイントで、埋もれていた生徒が、才能を開花し、多くの生徒が、自分の価値を無限にするトリガーを見つけたことも事実です。

★それでも、さらにほかに何かないのか?新たなレバレッジポイントを見つけたり、開発したりする旅は続いているのです。

★A.T.先生をはじめとする先生方とは、その果てしない旅をしていくわけです。

★グローバル教育は、目の前の生徒がそのままの状態で空間を広げることによって新たな価値が生まれてくる教育です。

★プロジェクトは、目の前の生徒がそのままの状態で時間の密度を高めることによって新たな価値が生まれてくる教育です。

★もちろん、新たな価値が生まれてくることで、生徒は自己変容を果たします。

★この二つの空間と時間のレバレッジポイントは、落合さんがいう2つのてこの原理です。

★落合さんは3つ目のレバレッジポイントを見出しています。それを学習に転移させるとアービトラージ学習となるでしょう。アービトラージとは現状では金融業界のワードかもしれませんが、いまここに過去と未来の価値を融合することで、今のままの価値が豊かな価値にトランスフォームするてこの原理です。落合さんのいう第3のてこの原理ですが、当然落合さんが語っているのですから、そこにAIがかかわってくるのです。

★生徒の才能を尊重し無限の価値を生徒が生み出すような授業を創る旅にでようというのが4月からです。生成AIと英語という道具を活用しながら才能や価値を無限に生み出す教室づくり。いずれ、多くの方々といっしょに旅をしたいです。が、今は少人数の仲間から始めようと思います。トリムタブ作りからと言い換えてもいいと思います。

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2025東大合格者発表のシーズン(11)筑駒117名合格、116名進学 公表される 聖学院の意義が光りだす

★筑波大学附属駒場中・高等学校は、今年の東大合格者117名、進学者116名であることを同校サイトで公表している。1名はどこに進学したかは気になるが、そのうちメディアが明らかにするだろう。医学部か海外大学かというところか。

★それにしても、117名合格は、いいかわるいかは別にして、凄まじい。でもどうしてこうなるかは、学歴社会時代の最後の砦の象徴が東大であり、それを推進している強烈な塾が偏差値輪切りで東大に向けてその拠点市場を独占しているからなのは、おおたとしまささんが著書「塾歴社会」で語っている。確かにそうだろう。

★一方で、筑駒の国語の問題をみて、このような文学的で論理的な思考を小学校時代に養って筑駒に進むのなら、どこか安心する。

★実は、東京の開成、麻布は、中学入試から考える姿勢を養う問題となっている。日比谷も高校入試では、論理的思考を養っておく必要がある。

★ただ、東大が最後の砦といったのは、この文学的想像力や論理的思考力は、かつてそのような学校が独占するかのように教育していたのだが、今では、多くの学校が偏差値にかかわりなく文学的想像力と論理的思考力を出題する新テストを開発し実施している。

★その成果が、すでに現れていて、偏差値に関係なく、東大レベル以上の海外大学に進学する生徒があちこちに出現するようになった。

★男子校で言えば、聖学院などはその筆頭だろう。聖学院の思考力入試は、麻布の生徒が受ければ、大喜びだろう。つまり、偏差値関係なく、文学的想像力と論理的思考力は、子供たちすべてに開かれているのだ。

★学歴社会の功罪はいろいろあるだろう。メディアも見識者もいろいろいっている。どれもうなづける。しかし、東大出身者の見識者はなかなか切り込めない。それはそうだろう。もちろん、社会学者は違う。

★しかし、大事なことは、学歴社会を批判して終わっているだけではダメなのだ。それを崩し、新しいフラットでフリーでフラタニティ―な社会をつくるべく教育出動することが大事なのだ。それを日々行っているのが男子校聖学院なのだ。2027年以降、東大もそのことに手を次々とうっていくはずだ。聖学院はそれをもちろん後押しするだろう。

★聖学院の初代校長石川角次郎は、開成、東大出身だが、ときの富国強兵・殖産興業を目的とする教育を標榜している時の東大総長とぶつかり、渡米して帰国して、新しい教育と社会を目指した。聖学院は、その文化遺伝子を今も引き継いでいる。その文化遺伝子を引き継ぐ限り応援したい。

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2025年3月19日 (水)

これからの教育(04)聖学院 創発型教育活動①

★先日、聖学院の広報部長早川太脩先生(理科教諭/学校法人聖学院教育デザイン開発センター長/教育開発センターGX/SXユニット副ユニット長)とお会いしました。超多忙な先生でしたが、密度の高い対話となり、さすがは冒険する組織のリーダーの一人だなと感じ入りました。

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★今年の中学入試の応募も成功だったし、大学実績も大変良好だったいうことです。具体的な数字はいずれ公開されると思います。話の中心は、聖学院での多様な経験やプロジェクト、ゼミを通して、生徒は自分の好きなことや関心のあることを探究してきた軌跡をポートフォリオ化し、それを活かして総合型選抜で、受験業界が想定するような難関大学に続々入っているという学びのプロセスと成果が結びつくお話でした。

★一般選抜でも結果をだしているのですが、その一般選抜向けの英語の授業が認知心理学や言語学、脳科学、デザイン思考などの成果を活用した多角的なアプローチの授業で、実は受験勉強も創発型であることが了解できました。

★そして、早川先生は、4月から、またさらにその授業を先生方とアップデートしていくというのです。毎年同じことはしたくないし、外から取り込んだパッケージ教材や学習理論では満足しないのが私たちですからと、柔らかいそれでいて自信に満ちた表情で語られました。

★なぜこんなに創発型の授業が聖学院では展開しているのか?途中からGICのコース授業をコーディネートしている山本周先生(情報と数学科の教諭)が、GIC高校1年生による3D空間デザインの発表会にいざなってくださり、生徒たちのアーティスティックな作品のプレゼンテーションを聴いて腑に落ちました。(つづく)

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2025年3月17日 (月)

これからの教育(03)法的思考力を学ぶ必要性

★今学校現場では多様な法化現象が渦巻いている。SNSの登場で、それがいろいろな違法な行為につながる可能性がでてきたのです。道徳的には認められても、法律ではアウトということがあります。学校の場合、校則は道徳に近い意味合いを持っています。学校の歴史の中で創られてきた慣習法のような存在です。しかし、日本という法治国家では、法律は立法府で決定されたものでなければ、法的機能を果たせません。校則や道徳で法的機能を果たすことはできません。ですから、その限界を超えて行使するとトラブルが発生します。

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★もちろん、法律が道徳に比べてすべて正しいかというとそうでないときもあります。だからといって、その法律が改正されていない時に、道徳的判断で行うとアウトはアウトです。

真下麻里子弁護士の「法的思考力」という書籍は、もちろん法律知識をわかりやすく説いていますが、道徳感情と法律の葛藤をどうやって解決するか考えるヒントになっています。

★学校の初任者の先生方は、まず手に取って読まれるとよいと思います。自分の道徳感情で良かれと思って生徒とコミュニケーションしたことが、トラブルになる場合があります。なぜいけないんだ?自分は生徒のことを思っているのに!何がいけないんだ?と感じたら、まず冷静になって自分の道徳感情と現行の法律とどう違うのかリフレクションする必要があります。

★知らなかっただけのことなのかそれともやはり理不尽なのか。

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★そして、できることなら、生徒も読むとよいと思います。法学部にいかないから関係ないではなく、国民としてグローバル市民として、行政と経済と法律に関しては基本的なことを知っておくことはむしろ権利です。経営学部に進んでも、法律の枠内に従って、商行為を行う必要はあるし、理系にいけば、特許などの権利を保護する必要性はすぐにでてくるはずです。

★何より、どこに進もうとデジタル社会です。常にトラブルのリスクがあります。

★リスクを回避し、それから、法律で禁止されていると思っていたというバイアスも回避してチャレンジするためにも基本的な法律知識と困ったときにどうするかを考える法的思考の感覚を持っていることは重要です。

★本来公共などでは、こういう実生活の法律から様々な問題を考える法的思考を学べるとよいのですが。

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2025東大合格者発表のシーズン(11)洗足学園の国語の中学入試問題に驚き

★今年の洗足学園の東大合格実績の飛躍についてメディアは大いに盛り上がっている。この秘密について、取材が殺到していることだろう。そして、その秘密の1つに洗足学園の国語の中学入試問題のデザインにもあることについて解き明かして欲しい。

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★洗足学園の国内生向け中学入試は3回ある。第1回目の説明的文章は、中高生対象の哲学対話から出題。第2回目は、哲学者西谷修さんの文章から出題。そして、第3回目は社会学者というか現代思想家の大澤真幸さんの文章から出題。

★大澤真幸さんの現象それ自体が存在という考え方がベースにある文章。資本主義という現象もそうで、トランプやイギリスのEU離脱という現象はあまりに衝撃だったが、それは私たちの想像力が豊かでないために、映し出されていない部分がある。それゆえ、資本主義の現象それ自体の存在が豊かでない想像力に突き付けた結果なのだと。

★そして、ただ見えていないだけではなく、見えていないということが壮絶・凄惨な事態を引き起こしていることに気づかないでいる私たち。

★ここでは、ポリティカル・コレクトネスが生み出すパラドキシカルな現象を事例に語っているのだが、この発想というか逆説的コンセプトが、生徒2人の米国映画の感想文に共通して語られていることを説明する記述式問題も出題されている。コンセプトの転移学習の視点がものをいう問題だが、さすがに受験生の5%も解けていない。

★しかも、一般的な中学入試の記述式問題は、字数指定の条件が付いているものだが、同校の問題では、たとえば3行以内で書きなさいという条件があるだけだ。この条件はどこかで見たことがあると思う。そう東大の国語や社会の記述式問題の形式だ。

★中学入試の段階から、東大の現代文のレベルの問題を出しているのが洗足学園なのだ。転移やパラフレーズの視点適用の問いは、実は、200字の論述を出すよりも複眼思考があるかどうかがわかる。

★多分東大は、30年くらい前にそれに気づいて、200字の論述を出題しないようになったのだろう。それで、今のスタイルが定着している。

★ある一定の学校の中学入試問題は、作成者が東大の問題も研究しているから、そこからブレイクダウンしてきて、それにつながるように作成している可能性がある。中学受験塾の教材やテストを作成する部署のスタッフもそこは当たり前のようにリサーチしている。

★だから、洗足学園がこれだけの東大合格者を出しているのだから、中学入試問題もそうなるはずだと了解ができるわけである。

★全国学力調査テストでは、そんなのは難しすぎるし、教科書を逸脱していると大変なことになるだろうが、トランスファーラーニングができる生徒に来てもらいたいという私たちの想像力を超えたアドミッションポリシーを洗足学園は構築したのであろう。

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2025年3月16日 (日)

これからの教育(02)駒沢学園女子 山口貴史先生の慧眼の研究

★昨日、一般財団法人日本私学教育研究所(以降「日私教研」)が主催する「委託研究員 研究成果報告会」がありました。2週続けて土曜日午前から午後まで行う報告会で、全国の先生が、1年間研究した成果を発表する会です。レジュメもしっかりとした論文レベルで、修士論文くらいの出来です。発表後、参加した先生方からも活発に質問があります。日私教研の専門委員である大学教授なども質問というより口頭試問のような感じのなかなか鋭く深い問いの投げかけもあります。これは確かに日本の私学の先生方の教師力質向上に役立つ報告会の1つだと感じました。

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★多くの先生方は、ご自身の授業研究の成果を発表されていました。一般的な授業実践報告ではなく、仮説設定された生徒の成長の状況をアンケートやルーブリックで検証し、新しいモデル化や数理モデルに発展できるような見通しを立てたものです。

★その中で、駒沢学園女子の山口貴史先生の個別最適化が学校の組織のどの部分に親和性があるのか、教育社会学的に研究していたので、興味を抱きました。そこで聴講しに出かけました。

★山口先生は、数学の先生ですが、教科横断的な探究やグローバル探究のプロジェクトなども企画運営しています。英語もなかなかのもので、バイオリンも弾きこなします。いわゆる学際的で教養人です。しかも若い。そして、広報部でも活躍しているので、マーケティングな視点も今回の研究に織り込んでいました。

★基本数学の先生だなあと思ったのは、仮説を立てて、カテゴライズした学校属性ごとにその仮説を検証するためのアンケートの集計を数値化していたからです。そして、その手法が数学的ですから、社会学だとか哲学、文化人類学、教育学の教授の方々がつくった先行モデルに依拠する必要がなかったので、かなりオリジナリティが高かったのです。ここが重要だと私は感じ入りました。

★東大をはじめ多くの大学がスタートアップを増やすプロジェクトを立ち上げていますが、これは従来の大学入試がパターン学習や固定化されたモデル学習で合否が決まるシステムになっていた反省があります。50年前に私が受験したときと主力参考書が変わっていないという事実からもそれが了解できるはずです。固定化されたモデル学習は、解法システムが与えられているので、その中での効率性の改善はあっても、その枠を超えようとしないので、イノベーションが起こりにくいのです。それゆえ、東大をはじめ多くの大学では、効率型学習ではなく、イノベーション生成型学習を見通した総合型選抜や新しい多様な入試を導入しつつあります。もちろん、効率型学習も必要ですから、そのバランスの均衡点をどうするかは、企画とアイデア次第ですね。

★で、話がそれましたが、数学的オリジナリティのある山口先生の研究が、なぜ教育社会学的かというと、この研究を突き詰めていくと、学習指導要領の改善の方法が、モデル学習型改善なのか、イノベーション生成型改善なのかを問うテーマにつながるからです。

★新学習指導要領は、いくつかの新しい学びを導入しています。最も人口に膾炙されているのは「主体的・対話的で深い学び」です。これを推進するために「個別最適化」という言説を使っています。

★山口先生は、この「個別最適化」に着目し、この「個別最適化」は学校のどの領域で役に立っているのか(親和性があるのか)という現状という事実をまずはっきりさせようという試みだったのです。学校の属性(共学かそうでないか、公立か私立か、宗教ミッションスクールかそうでないかなど)と組織のステークホルダーとの関りの違いの領域別(その分け方は結果的に外部環境領域、内部環境領域、教師と生徒の内蔵領域になっていたと思います)に集計していました。

★サンプル数の問題で、アンケート結果が一般化できないという指摘もありましたが、実は米国のこの手のリサーチは大規模投資をするのです。ある開発がいったい何に役立つのか、幾つかのカテゴリーに分けて検証して、その開発を進めるかどうか見極めるわけです。イノベーションは単に商品開発の発想だけではないのです。むしろ問題設計のオリジナリティこそが大事で、そこに大規模投資をするわけです。

★アメリカのイベントやテレビ番組の作り方は、本番までの準備とリハーサルにものすごい多角的チェックがなされます。そのうえで、アドリブというライブ感が功を奏すのですが、日本の教育は、ある意味その準備段階のはずなのです。

★であれば、個別最適化もどれほど検証されたのかということです。しかし、もともと、(生成AIが世に出る前の)AIを活用して、モデル学習を効率化すれば、深い学びや探究活動の時間がとれるよねという、塾業界の都合のよい(長年の教育データリソースで新商売ができる)を開発から始まったのは、意外と知られていません。したがって、この個別最適化は、モデル学習の効率化を図るものだったのでしょう。これで役に立つかどうかの検証はあまりされず、過去の学習観を前提にあるいは経験的な理由から採択されたというのが本当のところではないかとこれも憶測ですが。

★ところが、私立学校は自由度が相対的に高いので、個別最適化をイノベーション生成型学習に適用しようという動きが、そのとき同時に出てきたのです。それが2011年ころから授業を一方通行型講義スタイルからPILやPBLにしようという動きだったのです。

★モデル学習型は、効率重視ですから、生徒の内臓は客観的なものだけ扱えといういことです。実際3観点別評価では、そのような注意書きが目立たないように刻まれています。イノベーション生成型は、主観的な思いを重視していますから、1人ひとりの才能を尊重します。生徒の内蔵のうち客観的なものだけではなく、主観的なものを大事にしようと。生徒中心主義とはそういうことなのです。客観的なものを重視すると、偏差値が力を持ち始めます。

★ですから、AIによって個別最適化をというのは、偏差値別に輪切りにして、その生徒が解けそうな最近接正答率の問題を生徒に与えて、解けるようにしていけば、やがて難しい問題も解けるという発想だったと思います。

★文科省は、そこらへんにベールをかけて、産業界と連携しながら学習指導要領を改訂していきますから、現場では混乱します。

★そこを整理するのが今回の山口先生の研究だったのです。そして、生成AIの登場で、実は主観的な発想をインター主観に育てていく協働学習との接続を可能にする道が開かれていて、AIの使い方によって個別最適化の概念も変わり得る期待を生んだ研究でもあったのです。

★それゆえ、日私教研の専門委員の大学教授が、これから可能性のある研究だとフィードバックしていたのが印象的でした。

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2025年3月14日 (金)

これからの教育(01)東京科学大学シンポジウム

★一般財団法人東京私立中学高等学校協会の東京教育研究所は平方所長のもとで、4月から新しいプロジェクトを立ち上げます。それに先立って、ここ2年くらいプロジェクト部会をはじめ研究所のサポートする25ある研修委員会でも多角的にリサーチして研修をしてきました。その活動を通して見えてきた観点から2030年~2050年の教育の変化を見据えた新しい教育をリサーチしていきます。道具には、生成AIも活用していくので、本日14日、東京科学大学のシンポジウムに参加することにしました。

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★シンポジウムのトピックは「データサイエンス・AI全学教育機構 シンポジウム2025 ~生成AI時代における教育が導く未来~」です。

★ここで語られる「教育」とは、大学における研究と教育という文脈での教育のことを指しているのでしょうが、生成AIは転移学習可能なので、中高でも適用できる可能性があります。

★何かヒントに気づいたら、またご紹介します。プロジェクトが始まるのは、4月からなので、それ以降になるとは思います。また、すでに生成AIを活用している先生方もいますので、プロジェクトメンバーの先生だけではなく、それ以外の先生のところにも取材に行きたいと思っています。よろしくお願いいたします。

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2026中学入試準備(28)工学院と聖学院 成長するときの響きを聴く教師

★工学院と聖学院というのは不思議な響きです。工学院は聖学院とは違い宗教ミッションはもちろんありませんが、なぜかエントランスホールには、ギリシア語で真理は自由にするという聖書のフレーズがそっとではなく、バーンと掲げられています。聖学院はもちろん正門から坂を上っていくとチャペルがバーンとそびえています。歴史的には両校はなんの関係もないのでしょうが、実に不思議です。というのも、両校とも生徒が成長するときの響きを聴き取る教師が揃っているのですから。

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(Genspark作成)

★真理に気づいて卵の殻にこもっていたことに気づいた生徒が、パカッと殻を破って解放されていきます。そんな生徒がたくさんいます。そして、そのときの卵の殻が破れる響きをしっかり聴き取って感動している先生方もいっぱいいます。

★というのも、先生方は生徒と対話をしているし、生徒中心主義だし、生徒といっしょになって経験を楽しみます。難しく言うと、PBLだったり、アイスモデルだったり、思考コードだったり、グローバル探究だったり、STEAMだったり。。。

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(Genspark作成)

★しかし、要はブラックボックスだったものが急に開けて解放されたときのあの心地よい生徒が成長するときの響きを、いっしょにいるから先生方は受けとめられるのです。

★日ごろ相当難しい理論も自己研鑽している先生方です。国内外のネットワークを持っている先生方です。でも、要は生徒一人ひとりが自らの限界をどうやて超えるのか、寝ても覚めてもそれを考え仕掛け見守っている先生方がいっぱいいる両校なのです。

★両校とも人気がある理由は、実にわかりやすいでしょう!

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2026中学入試準備(27)佼成学園 上野裕之先生の眼差し

★佼成学園の人気は今年も右肩上がりでした。そして東大合格者も出ている学校です。このアドミッションとディプロマ領域の間にカリキュラムがありますが、そのカリキュラム、端的に言うと授業がいいわけです。アントレプレナーシップや探究活動も旺盛で、外部団体のコンクールでも受賞しています。そして、何よりこれらのプロジェクト活動と授業が結びついているところが、佼成学園の魅力です。

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★たとえば、同校の理科教諭上野裕之先生。探究のリーダーでもあるようです。「学びとビーイング」という本の執筆者の一人でもあり、執筆者が集まってワークショップを行っていた会になぜか私も参加しました。同書の出版社の代表と知り合いだったので、ちょっと挨拶がてらと思って参加しました。そのWSで、上野先生とバッタリであいました。

★そのあと、私自身は自分のかかわるセミナーで手いっぱいなので、なかなか他団体のイベントにはいく機会がないのですが、たまたまピンポイントで、そこの時間だけそのWSにと思って参加すると、そこには上野先生も参加しているのです。

★そして、新しいプロジェクトで生成AIを使いながら授業の本質を生徒と共に創り上げていくプランニングをしていたところ、上野先生が対話型AIを活用して生徒が自ら成長を促すために、アブダクション型の推理をクリティカルシンキングをしながら探究していく実践を発表するというので、これはと思いピンポイントでその時間だけ参加させていただきました。

★対話型AIや生成AIに何かをつくらせるというのではなく、生徒自身、教師自身が考えたり創ったりしたものをメタ認知したりリフレクションしたりするときのパートナーとしてAIを活用しているのを拝見し、やはりこのような活用をするのだと共感しました。

★おそらく世間では生成AIパートナーあるいは一歩進めてAIエージェントという使い合い方は今後ますます増えていくでしょう。学校はどうするのか?都立高校は4月から「生成AI授業」を学校設定科目で実施していくそうです。

★私は別に生成AI推進派ではありません。パソコンの延長上でしか考えていませんが、思考のデフォルトができるので、その先に進むことが多くの生徒に開かれているところは活用したいと考えています。

★上野先生の実践報告に刺激を受けました。

★佼成学園には、このようなチャレンジングな先生方が冒険できる組織なのでしょう。そのような冒険する組織を校長・教頭が生み出しているのでしょう。企業なら人的資本経営ということですね。今後も大いに学びたいと思います。

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私学の現場の先生方と対話して 「青年即未来」 ネガティブケイパビリティを有している先生方と

★3月というのは、卒業式や入学式の準備など多忙な中で、不思議なことに余白を見つけ合って、次年度のプランについて対話する機会が多くなりますが、今年もそれは変わりません。メディアやSNSでは高校の無償化の話題が多くなっていますが、私学の現場では、政権が変われば、政策も変わるので、翻弄されることなく、着々と進んでいくというのが基本姿勢です。

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(Bing作成)

★ここでいう現場の先生というのは、若い先生方、ミドルリーダー、教頭先生、校長先生など全部含めてです。私と対話してくださるこれらの先生方は一つの特徴があり、肩書き関係なくそれは共通しています。

★それはネガティブ・ケイパビリティの精神を有している先生方です。多くは逆境に直面しています。逆境というのは、小さなものから大きなものまでありますが、いずれにしてもすぐには解決しないし、正解がなかなか見えない矛盾やパラドクスに満ちています。世界の痛みに通じるものです。

★この具体的状況が、今いわゆる偏差値の高低に関係なく、どこの学校現場でも存在しています。おそらく社会のゆがみがストレートに学校現場にも映し出されているのかもしれません。

★そのある意味ケイオスやパニックになりそうな状況を引き受けて、粘り強く解決に向けて関係者や外部の支援者とコミュニケーションをとり続けるのは、なみの神経の持ち主ではないと感銘を受けます。

★メディアで論じられている問題は重要ですが、かりにその問題解決の施策が講じられようとも、現場では解決は遠いという問題が存在しているというのは世の常です。ですから、これは学校だけではなく、あらゆる組織でも同じです。

★その問題は、しかも複合的で、複雑なのは言うまでもありません。だから、初めから合理的に論理的に切り込めないものがあります。遠くに希望を求めるだけではなく、いまここでが問題ですから、いまここで希望を生み出し、それを未来につなげるためにバックキャストの想像力を発揮するというアクロバティックな発想をネガティブケイパビリティの精神を有しながら、いや有しているからこそ生み出せるのでしょう。

★このような先生方は、肩書きに関係なく、ボトムアップから未来を鷲づかみするコンセプトを生み出すネガティブケイパビリティリーダーシップを発揮しています。

★そのような先生方と意図せずに対話をずっとしてきたのですが、その先生方は今多くが教頭や校長になり、あるいは大学の先生になっています。ですから、今は肩書きのない若い先生であっても、10年後20年後は、現在のナチュラルリーダーシップに肩書きも付加されるようになるでしょう。実際、次年度からそうなる予定の先生方もいます。

★4月から、新しいプロジェクトも始まります。いまここで2050年を彷彿とさせるシーンを生み出すにはどうするのか?学校の授業は生徒にとっては未来の時空そのものです。麻布の創設者江原素六は、そのことを青年即未来と語りました。これは私学教育の共通の精神です。江原素六が麻布学園の創設だけではなく、≪私学の系譜≫のルーツの1人であるというのはそういうことなのでしょう。江原素六自身も、ネガティブケイパビリティの精神性を柔らかく強く有していたはずです。明治維新の動乱期を突っ走ったのですから。

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2025年3月13日 (木)

2025東大合格者発表のシーズン(10)麻布82名、日比谷81名、灘77名、桜蔭51名など情報が更新

★インターエデュ・ドットコムによると、麻布の東大合格者は82名に更新されている。サンデー毎日の情報と違うのは、インターエデュの方は、学校から連絡があるたびにデータ更新が反映されるからだ。

★ほかに、日比谷が81名、灘が77名、桜蔭が51名、筑波大附属が27名と更新されていた。ほかにもたぶんあると思う。最終的にはまとめようとは思う。

★高校3年生はまだざっくり100万人いる。東大に合格する割合は、0.3%。これを昔は狭き門と称していた。しかし、このように肯定的な認識は果たして適切なのだろうかというのが、今後のハラスメント関連の論点になっていくだろう。だから、東大合格の状況はリサーチしておく必要がある。

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2025東大合格者発表のシーズン(09)洗足学園 理Ⅲ 2名合格

★今年の洗足学園の合格者28名は、業界ではかなり話題を呼んでいるらしい。2023年の22名合格、24年の15名も話題を呼び、神奈川エリアにおける女子校の中で、洗足学園はグローバル教育と大学進学準備教育の確固たる基盤を築いた。神奈川エリアの女子校と言えば、フェリス、横浜雙葉、横浜共立というのがかつての定番だったのだが、それを崩したのが洗足学園と湘南白百合だったが、今年の28名合格は、さらにその地盤を強固にしただろう。しかも28名という数字だけではない。理Ⅲにも2名合格している。いったいこの強い教育システムはどうなっているのだろう。各ジャーナリストが取材に行くだろうから、それを楽しみにしていよう。

「今年の理Ⅲ合格者数高校別2名以上」

灘 9
桜蔭 6
開成 5
聖光学院 5
ラ・サール 4
東大寺学園 3
洗足学園 2
立命館慶祥 2
渋谷教育幕張 2
筑波大附属 2
海城 2
栄光 2
久留米大附設 2 

(サンデー毎日3月23日号から)

★サンデー毎日3月23日号によると、東大理Ⅲの合格者総数は98人ということらしい。その中の2名だということだけでも洗足学園の進学準備教育力は凄まじいということはわかるが、女子校だけで観ると、上記にあるように、桜蔭6名、洗足学園2名という順番になる。

★どうやら、渋谷教育学園幕張と同様に、洗足学園は、グローバル教育でも、進学準備教育でも、医学部進学準備教育でも、いわゆる東京の御三家を脅かすポジショニングを獲得したと受験業界のジャーナリストは注目するだろう。

★一方で公立も黙っていはいない。翠嵐も74名で話題沸騰だろうが、理Ⅲも1名合格している。

★そして、渋谷教育学園を追う勢いになるのが広尾学園だろう。また洗足学園を追う勢いは、広尾学園とは全く別路線の勢いだが、湘南白百合が控えている。

★この傾向は、大いに結構で、湘南白百合の存在が、実は大事になってくる。東大合格競争はフラットな状況になっていく、そしてその意味を明確にし今までのピラミッド階層構造を無意味化して、新しい教育に移行しようよと白百合の旗を掲げるのが湘南白百合ということなのだろう。そんな競争をしなくても大学合格実績もちゃんと出るのだからと。そこに参戦するのが、実は聖光学院なのだ。

★こんだけ東大に合格する教育力とは、かつての受験勉強によってではないのだと。

★教育の無償化という政治の思惑は、悪いが私学が何かコントロールできるわけではない。私学は潰されそうになってきた時代もいっぱいある。私学撲滅法という法律も制定されたことがある。教育基本法改正の時にもそんな動きがあった。私立学校は一丸となってそれを阻止する運動を行ったぐらいだ。

★政治の思惑は私学にとっていい時も悪い時もある。大事なことはどんな状況に直面しようとも、生徒即未来という人間力を、時代の変化を見通して先手を打つその不易の精神とそれを実現する教育革新力という流行の力を融合する不易流行を保守することなのだ。私学は誠の道を進むのみである。それが万人を救う道とやがてシンクロするだろう。

 

 

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2025年3月12日 (水)

2025東大合格者発表のシーズン(08)公立と私立の進学準備の違い

★今年の日比谷と翠嵐の東大合格者数は、公立と私立の進学準備教育の違いを象徴するものとして衝撃的だった。ついにこうなったか。それは、公立の高校は、教育委員会が、一定の高校に、進学重点だとか学力向上だとかいう明確な目的で支援をし、ある高校は東大に、ある高校は医学部になどという目標を集中させて、かつ東大やターゲットの医学部の大学入試問題集であるいわゆる赤本をスラスラ解ける教師を揃えることができる。

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★ところが、私立学校は2013年ころから東大を志望すれば、その私立学校は応援するが、東大に集中させて受験させる目標をたてる学校はほとんどない。あくまでも探究心や多くの経験と教養を身につけたうえで、東大で研究したり学びたければ応援するよという雰囲気。開成や聖光学院はどうなんだといわれるかもしれないが、東大に行くのは、みんなが行くから当たり前という雰囲気だろう。東大に行きたいからというより、もっとほかの学びや知に触れたいという欲求。

★だから、上記の図のように、国立・公立中学校に比べ圧倒的に数の割合が少ない私立中学入学生から、東大というより、世界大学ランキング100位以内の大学や自分の将来やりたいことが実現できると考えている大学に進むというキャリアデザイン。

★国立・公立は、高校に行くにしたがって、偏差値序列がきつくなり、東大に行くには、偏差値の高い高校にという競争社会だ。

★私立は、一見偏差値があるから、競争社会のように見えるが、東大レベルの海外大学にいくのに、偏差値で私立学校を選ばない。私立学校は、実は2013年ころから、非常に選択肢の多い進学準備教育を行っているのである。

★彼らは、東大ではなく、海外大学を好む生徒もいる。受験科目というのが東大程ないからだといわれることもあるが、なぜ少ない方がよいと彼らは考えるのだろう。それは2013年ころまでの進学準備教育以外の海外のキャリアデザインをリサーチしたことがない人には、楽だからだというハラスメント的言説を表してしまう場合もある。

★海外のシステムを知ってしまった生徒は、コンテンツベースの学びにそれほど意味を感じていない。コンテツベースではなく、コンピテンシーベースなのが、総合型選抜だが、海外の進学準備は、無限のコンテンツを鷲づかみにするコンセプトベースの学びだ。決して楽ではない。ただ、哲学的発想や文化人類学的発想が根っこにある。無限のコンテンツを鷲づかみにするコンセプトベースの学びは、転移学習をフル回転する。少ない道具で大きなイノベーションを生み出す力だ。

★東大の一般選抜に向けての準備教育は、彼らにとっては、鷲づかみにするには細かすぎるのだ。

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★2013年ごろまでは、国立も公立も私立も、みなコンテンツ重視の学びだった。コンテンツをよく理解している度合いを競争した。それに意味を見出せない生徒の能力は偏差値が高くないとみなされ自己肯定感を削がれていった。このように生徒の選択の意志を削いでいくのが、従来の進学準備教育だった。私立学校は、自由な発想をベースにしているから、そのような狭い領域に導かれる(追い詰める)競争は、選択しないという意志もあるのだ。

★ピラミッドの頂上に行きつけない若い才能者たちをどれだけ突き落としてきたか。それが今日の日本の経済産業の状況を生み出す大きな要因になっている可能性は大だ。

★そのことに気づいているのが、実は東大の藤井総長だ。おそらく戦後教育基本法成立のために奔走したその当時の東大総長南原繁に相当する転換を目論んでいるだろう。

★何の根拠もないエビデンスもない妄想だと思われるかもしれない。未来を保証するエビデンスがあるということは実は不確かなのではないか。信念と仮説にすぎない。しかし、教育現場でネガティブケイパビリティを発して奮闘している教師や生徒。なぜそんな力を発揮しているのか?それを理解する共感力で十分ではないのか。

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2026中学入試準備(26)湘南白百合 東京農業大学と高大連携

★湘南白百合学園中学・高等学校は、東京農業大学との間で高大連携協定を締結しました。

https://chukou.shonan-shirayuri.ac.jp/news/detail/2472

★教頭の水尾先生によると、同校が掲げる「グランドデザイン」の7項目のうちの「充実した理数系の学び」や「進路実現のための支援」と深く結びつく連携のようです。すでに同大学と様々な探究的なプログラムを実施してきています。その中でも、オホーツク学などは相当大がかりです。

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(写真は同校サイトから)

★生物産業学部との協定においては、湘南白百合は「関東圏の関係する高等教育機関の中核に据え」ることが位置づけられているそうです。したがって、25年度の東京農業大学オホーツクキャンパスをフィールドとした探究プログラムでは、他の関東の学校と大学を繋ぐ中核校として連携を担っていくということです。予定では、25年度は本校に加え、関東からは逗子開成・カリタスを加えた3校で「オホーツク学」を実施するということです。

★今まで実施してきた東京農業大学と協働した探究プログラムは、次の同校サイトから閲覧できます。


24年7月 「木材からのアロマ」https://chukou.shonan-shirayuri.ac.jp/news/detail/2108
24年8月 「微生物が土壌や水を浄化する」https://chukou.shonan-shirayuri.ac.jp/news/detail/2171
24年8月 「学園の森から学ぼう」https://chukou.shonan-shirayuri.ac.jp/news/detail/2147
24年8月 「オホーツク学(前編)」 https://chukou.shonan-shirayuri.ac.jp/news/detail/2143
     「オホーツク学(後編)」https://chukou.shonan-shirayuri.ac.jp/news/detail/2144
25年3月 「藤沢市役所と連携した地域探究」 https://chukou.shonan-shirayuri.ac.jp/news/detail/2471

★微生物から地球規模の生物の生命科学や生態について探究してきたのが、わかります。今後はさらに深堀していくことになるのでしょう。その過程で新たな好奇心が生徒一人ひとりの中に湧き出てくるでしょう。

★湘南白百合からは、今年も東大合格者がでましたが、東大に向けての受験勉強というより、このような豊かな科学に対する知見を土台に東大に進みます。世の中では、女子の理系進学が少ないといわれていますが、同校ではそれはあてはまりません。それは同校の魅力でありましょう。

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2025年3月11日 (火)

2025東大合格者発表のシーズン(07)上位59校で合格者の57.4%シェア(中間集計)

★まだ中間集計段階だが、10人以上東大合格者が出ている上位59校で、57.4%シェア。

 

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★10人以上合格者がでている59校の学校は、日本全国の全日高校の1.3%。ざっくりいうと、1%の高校が東大合格者の60%シェア。この比率他の領域でも見たような気がする。

★さて、このことの意味は何でしょう?

★古典的な経済の考え方である、ハーディーの救命ボートのレトリックを使って考えるとおもしろい。あるいはコモンズの悲劇という考え方でもおもしろいかもしれない。

★いずれにしても、このようなことを考えて東大藤井総長は、新たな入試枠を設けようとしているのだなと。でもこの流れ止められるだろうか。

★高校無償化によって、拍車がかかる。そして、公立が10位以内に2校食い込んできたから、公立の格差を生み出すサバイバル競争はもっと過激になる。一方で、私学の魅力というより、それを避けるために私学に避難するという流れもできるかもしれない。これがまた何を意味するのか。。。

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2025年3月10日 (月)

2025東大合格者発表のシーズン(06)広尾学園18名

★広尾学園は18名合格。昨年に比べると倍増。規格外のグローバル教育で、海外大学合格者を大量に輩出している学校で有名だが、その教育は東大にも通用することを証明。それは前回紹介した洗足学園も同様だ。

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2025東大合格者発表のシーズン(05)洗足学園28名

★洗足学園は28名。グローバル教育の先駆け校。ハーバード大学など海外大学に先に進学する生徒がでて、今や東大もたくさん合格する。東大は女子学生に期待している。洗足学園のOGが、東大でも活躍するニュースが報道されるときも近い。

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2025東大合格者発表のシーズン(04)足立学園2名 佼成学園1名

★インターエデュ・ドットコムによると、足立学園は2名、佼成学園は1名東大合格者がでた。グローバル教育、探究に力を入れ、両者とも教員は研修や自己マスタリーで教師力を豊かにする努力をしている。

★東大トップ10が、私立、国立、公立のバランスがとれ、そのあとは、多くの学校が、新しいキャリアデザインで、東大にも入るけれど、そこにたくさん入れる受験指導はしていないという生徒一人ひとりの才能をあくまで尊重する教育が広がっているかもしれない。両校は実にそのような学校なのだ。

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2025東大合格者発表のシーズン(03)横浜翠嵐高校 74名

★インターエデュ・ドットコムによると、今年の横浜翠嵐高校の東大合格者数は74名。東大トップ10を私立学校と国立学校が占めていた時代は完全に覆った。2013年から同校の高校入試では特色検査が導入され、思考力・判断力・表現力が問われることになった。内申:学力検査:特色検査=3:7:3。

★まるで、私立中学の2科4科入試と新タイプ入試の融合版。

★3ポリシーがはっきりしているから、入学時の学びの特色と東大の合格には、何か相関があるかもしれない。このあたりも受験ジャーナリストは取材するだろう。いろいろなことが明らかになる2025東大合格の様相。

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2025東大合格者発表のシーズン(02)日比谷高校 80名

★インターエデュ・ドットコムによると、日比谷高校の今年の東大合格者数は80名。私立だけではないという都教委の威信をかけての多角的サポートが実ったということか。

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★文武両道という「不易」と進学指導重点校、SSH、Global Education Network20(GE-NET20)、海外学校間交流推進校などのサポートという「流行」の不易流行が揃ったということなのだろう。

★もちろん、環境が整っただけではなく、担任団の対話型組織がとても重要だったのだと思う。

★日比谷の東大合格の多さは、高校の学びの組織の在り方、時代の精神を受け入れる開放的組織など、一つの公立学校のモデルになるだろう。もちろん、同じようなことをしたからといって、みな東大80名入るということはない。定員は3000人前後なのだから。

★ただ、何が大切なのだろうか?受験ジャーナリストはいろいろ考える2025年となるだろう。

★もちろん、格差の問題も含めて。

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2025東大合格者発表のシーズン(01)変える東大のイメージ

★本日東大の2次試験の合格発表。インターエデュ・ドットコムによると、相変わらず開成149名。そして昨年100名合格した聖光学院は、今年も95名、さすが。そして昨年55名と激減した麻布が79名の合格。なぜかホッとした。

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★なぜかというと、東大にたくさん入ればよいという意味ではまったくなく、開成や聖光学院や麻布からの合格は、ある意味東大のイメージを変えるからだ。

★最近の開成はピアニストの角野隼斗さんの活躍や都知事選に立候補して注目を浴び、AIの教育普及においてもダイナミックに活動している安野たかひろさんの動向など、開成のイメージを変えている。落合陽一さんの存在もある。そしてそのような外から見ていてまだまだブラックボックスだが、海外大学にも進学者が増えている開成の教育の魅力は、東大の合格の仕方まで変えているのではないかと、メディアが必ず取材するだろう。東大のイメージを変えるのに一役買うはずだ。

★聖光学院の95名も、工藤誠一校長の新刊の売れ行きがきっと右肩上がりになり、東大の合格の仕方がグローバル教育やリベラルアーツにあることがわかり、やはり東大のイメージを変えるのに貢献するだろう。

★それに、麻布の79名は、結局は麻布の歴史が培ってきた文化が生み出しているに違いなく、ある塾が偏差値で振り分けているために、麻布に入学する生徒の雰囲気が変わったと受験市場では懸念されていたが、そんな雰囲気を払しょくしたのではないか。

★なんでこんなことを気にするかというと、東大総長の藤井教授や藤垣副学長の発言にでてくる東大の大学入試を変えていきたいという意向がなかなかおもしろいからだ。

★東大が変われば、いいかわるいかはわからないが、多くの大学も変わる。グローバル、スタートアップ、イノベーションなどを藤井さんはよく語っているし、SHIBUYA QWSにもよく顔を出して、新しい躍動を生み出す発言をしているらしい。

★世界があまりに激しく変わるとき、比較的治安がよくて住みやすく円安で、外国からやってくる留学生が増えている。受け入れ態勢は、単なる少子化の対応だけではなく、アカデミズムの在り方そのものを変えざるを得ない。

★東大が考える2027年以降のさらなる大学入試改革が求めている知の多様性。これに対応できる学校はどこなのか?東大合格者の多い学校の教育の質が問われる時代がやってきた。

★グローバルな時代に、日本の大学や研究機関はどう変わるのか、よいわるいは別にして、東大の動向はその行き先を予想する一つのモデルになる。

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フュージョン広報(02)富士見丘のホームページ

★富士見丘のホームページは、同校の教育の質の良さを示す普段の状況が満載です。そしてこの時期になると、大学合格実績も中間報告を公開します。2013年ころまで、大学合格実績を出すことが教育の目的ではないと言われてきましたが、総合型選抜と海外大学進学準備教育の時代になって、学校の教育の質とその環境で自分の才能を開花した物語を表現して大学に合格できる時代になり、その成果を公開することは教育の質の証明の1つになる時代がやってきました。同校の今年の卒業生の合格実績は、いわゆる早慶上智ICU・GMARCHは卒業生の数に対して82.9%の実績です。海外大学はこれから増えますが、現段階で7.7%です。

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★教育の本質を生徒共に徹底的に追究してきた結果です。同校のホームページを堪能していただければ、そのデジタル広報が本質と広報を融合させていることに驚くと思います。

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2025年3月 9日 (日)

私立学校の教育の質の展開(01)成城学園の生徒の視点

成城学園のホームページに、NHK(2025年2月26日)でも取り上げられている「除染によって取り除かれた土を2045年までに福島県外で最終処分することについて、自分たちの世代の問題と感じ、同じ若い世代に広く伝えようと取り組んで(NHK)」福島学カレッジで最優秀賞を2年連続受賞した高校2年生の記事が掲載されています。

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(言葉の世界で溢れている成城学園)

NHKの記事を読む限りでしか、その研究内容はわからないですが、3・11に対する情報や知識を自分たち世代はどのくらい知っているのか理解しているのか事実を丁寧にリサーチするアンケートやインタビューを重ねています。たとえば、自分たちが将来解決しなければならない大きな課題「除染で出た土などを2045年までに福島県外で最終処分すること」についてなど1000人以上の声を集め分析しています。

★アンケートやインタビューの過程で、福島の復興は進んでいると思っていたが、そうでないことを知って調べてみたいという反応などもあったようです。

★復興の光と影を見出し、私たちやマスメディアが見落としている盲点がまずどこにあるのか、社会学的想像力を働かせながら、リサーチし、その盲点をまず多くの人と共有していく活動は凄いことだと感じました。

★福島学カレッジの知のリーダーは、東京大学大学院情報学環の開沼博准教授です。社会学者で、参与観察をするアクティブでもある研究者ですから、福島学カレッジにかかわる多方面から参加しているスタッフとそこに応募してきた生徒と多くの時間対話をしていることでしょう。

★中道・知識・外部に対するものの見方・考え方が劣化している今日、ポピュリズムの刹那的な価値観にどこまで対抗できるかどうかわからないけれど、真摯に情熱的にミッションを果たすべく、中道・知識・外部への眼差しを次世代に共有していこうとしているのでしょう。

★内部に閉じこもって固定された価値観や考え方、感じ方から開かれるための知は次世代にとっては大変重要な資質・能力です。その出発点の1つに社会学的想像力があるのでしょう。福島学カレッジに参加した高校生がその視点を学び、実践研究をしたり、広めるパフォーマンス企画をしたりして、次世代に拡張しようとしているのでしょう。

★成城学園の高2生もそのミッションとパッションとイノベーションを自ら多くの人と協働して生みだし、そこからクエスチョンを立ち上げ続けていくのでしょう。そのような生徒がたまたま成城学園から生まれたのでしょうか。そうともいえるし、やはり経験をベースに対話やディスカッションを大事にし、常に問い続けるコンセプトを共有している言葉の世界がある成城学園の教育の影響もあるのではないでしょうか。

★もちろん、数少ない情報では、それは憶測にすぎませんが、そういう期待を抱けることは私自身にとってはありがたいことです。

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2025年3月 8日 (土)

フュージョン広報(01)工学院、駒女 本日学校説明会

★本日3月8日、本質的な教育を実践している工学院大学附属(以降「工学院」)と駒沢学園女子(以降「駒女」)が、中学の学校説明会を開始しました。

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★東京の中学受験過熱というフレーズがいまだにメディアで報道されていますが、それは23区の話で、東京の多摩地区は地方と同じ状況で、中学受験は苦戦エリアです。しかし、工学院は、その地理的不利な条件を跳ね飛ばすために、眼に見えないから気づかない本質教育をなんとかアピールしようと先生方一丸となって奮戦してきました。その成果が今年きちんとでて、定員充足率は100%を超えています。

★この本質は目に見えないからしかたがないとあきらめずに、本質と広報を融合するフュージョン広報を3月8日というはやさで入試報告会というカタチで開くわけです。そして、上記のように、新宿からのシャトルバスで40分通学をはっきりとデザインで表現しています。さすがデザイン思考を実施している工学院です。世界の情勢が身の回りにまで迫っているデジタル社会です。サバイバルするためにはあてがわれたテクノロジーだけでは難局を超えられません。自ら新しい発想・テクノロジー・サイエンス・価値を生みだす本質的教育が必要です。それをどれだけの学校が行っているでしょうか。そこにチャレンジし続けているのが工学院です。

★同じく本日、駒女も学校説明会を実施します。駒女も、苦戦エリアでありながら、昨年よりも出願数と入学者数を増やしています。

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★あの落合陽一さんも東洋思想と未来科学技術をフュージョンする発想を展開していますが、駒女はそれを曹洞宗の精神とグローバル探究×生成AIでチャレンジしています。本質が生み出す未来型技術や発想。でも本質は目に見えません。でも諦めず、本質とデジタル広報のパワーでフュージョン広報を実施しています。

★今後、このような本質と広報を融合させるフ―ジョン広報を行っている学校を紹介していきます!

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大学入試の役割が変わる 2027年から 東大藤井総長の発言の意味

★今年の私立中学新中1が大学受験をするときには、2030年が過ぎています。その時に、今年のような大学入試が行われているはずがありません。実際2027年からかは、東大、早稲田、慶應をはじめとする大学は入試改革を進めます。先日3月7日の毎日新聞にはこうあります。<東京大の藤井輝夫学長が6日、毎日新聞の単独インタビューに応じ、筆記試験のみの一般選抜(一般入試)ではない形式の入試枠の拡充を検討していることを明らかにした。面接などで多角的に志願者を評価する仕組みが想定され、2028年度入試(27年度実施)以降の導入に向け学内で議論している。狙いについて、藤井学長は東大で学生の多様化が進んでいないことを挙げ「入試を多様化したい」と述べた。>

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★これは、大学入試の役割が変わることを想定しているのでしょう。従来の一般選抜の試験内容をみればわかるように、知識の体系と200字程度の論理的思考を測るものでした。現状もそうです。これまで大学側は、基礎学力さえ身につけてきてくれれば、あとは大学で専門の研究をしていくからいいのだと考えていたようです。

★しかし、それは20世紀の入試の内容とずっと変わっていないのです。今20世紀社会の限界が目の前で悲惨な状況を繰り返している中、今までのように、その入試を通過してきた中から研究者の道に進んだ一部の専門家だけでそれを解決できるかというとそれは難しいことはすでにパンデミックで明らかになっています。

★20世紀社会の限界をなんとか修正しながら持続可能にしようというキャリアデザインが主流だったわけですが、そのキャリアデザインも崩れかけています。生成AIが誕生して、その基礎学力はデフォルトにして、限界を超えた戦争や気象変動や格差を生むハラスメントを何とか解決する大学研究者と市民起業家研究者が必要になってきました。それを実現するためには、大学に入ってからではそれは間に合わないわけです。ですから興味と関心を深堀してきた即戦力の資質・能力を期待しているわけです。もちろん、大学側は少子化対応もしているわけですが、メディアは、そこを揶揄するのではなく、ちゃんとこの総合型選抜や学校推薦の入試の役割を取材したほうがよいでしょう。何も20世紀社会の限界を修正してそこに立ち止まる社会を擁護するばかりがジャーナリストの役割だとは思えません。

★そして、東大の藤井総長は、すでにそれを東大も推薦入試で行っているし、2027年のカレッジ・オブ・デザインというグローバルなコースを設定することによっても手を打っているが、2050年に向けてはさらに一歩も二歩も進めたいのだというのでしょう。

★ケンブリッジやオックスフォードのような口頭試問を取り入れようとしているのかもしれません。

★どのような入試になるかは今後発表されていくでしょうが、そのねらいは、藤井総長がいろいろな機会で、中高でグローバル教育をやってきて欲しい、STEAM教育をやってきて欲しい、スタートアップにつながるような学びをやってきてほしいと言っているように、2050年以降のAI社会において、社会状況、自然現象、身体脳神経全体の領域でテクノロジーが急速に進化する事態に対応できる資質・能力を求めるのだと推察します。決して語っていませんが、おそらく資本主義のあり方も変わることを想定しています。この資本主義の変容は、政治経済体制をも巻き込んで変えます。特に官僚制度ですね。

★これは夢物語などではなく、東大教授も出演しているNHKの番組ですでに予想されていることです。ムーンショット計画が動いているのもその一つです。

★さて、それでは従来の基礎学力と言われるものがある程度デフォルトになったら、生徒はどんな資質能力を身につけたらよいのでしょう。これは議論しながらいっしょに創っていくのが2027年までです。いくつかプロジェクトが立ち上がっています。私の仲間ともいくつかプロジェクトを進めます。

★2050年以降出現するAIスマートシティは、果たしてユートピア社会かディストピア社会か?こういうフレーズもNHKで発信されるようになっています。大学入試の役割の変化を促進するかしないのか。ギリギリまで限界内で覇権を握ろうとするのか、限界を突破しようとするのか、世界の分断の根底には、この価値観の違いがあるでしょう。しばらくこの価値観の葛藤は世界を巻き込む嵐になっているでしょうが、その嵐に巻き込まれないように回避しながら先に進む仲間が集まっていることに希望を見出しています。

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2025年3月 7日 (金)

2026中学入試準備(25)インターナショナルスクールか私立学校かの時代の意味③鎌田浩毅京大名誉教授の新刊本にヒント

★鎌田浩毅京大教授が2月18日に新刊本を出版していました。真っ赤な溶岩色のジャンパーを羽織ってよくテレビにも登場していた先生で、皆さんもご存じでしょう。その本は<「地震」と「火山」の国に暮らすあなたに贈る 大人のための地学の教室>(ダイヤモンド社)です。鎌田先生のような知を生み出す学校が、超難関校ばかりではなく、日本の私立学校には増えているのです。でも、目立たたないかなあ。

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★やはり、鎌田先生のように真っ赤なジャンパーを羽織って、講義を軽やかに情熱的に行わなければだめかなと。いや、真っ赤なジャンパーを羽織るかどうかはともかく、鎌田先生のようなアイデアは必要です。というのも、鎌田先生は、日本沈没というあの映画が今も人気なぐらい私たちは地震大国に住んでいるのに、大学入試で地学が選択できる大学が少なくなったために、地学は中学で終了という生徒が多いことに危機感を抱いたわけです。だから、地学の知を広める広報活動も含めてそのような目立つ姿で講義をしたのでしょう。

★本質的なことは大事ですが、それをどう際立たせるかも大事です。本質的なことは目に見えないので、一般にはなかなか気づかれないからです。

★だからといって、本質を極めようとしていないのに、際立つ広報をしてもそれは本筋ではないわけで、鎌田先生のように地学は人間の存在基盤だというビッグコンセプトを掲げ、その理由として地学のシステムをわかりやすくも学問的に共有するアクションが必要です。

★そして、この学びのビッグコンセプトを生徒1人ひとりが自分の身体脳神経系全体に広げられるようになる学校が、真に魅力のある学校です。ここまでくれば、インターナショナルスクールだって必ずしも到達していないところもあります。日本の私立学校で到達している学校もあります。

★日本の学校は私立公立に関わらず、ビッグコンセプトを見出す教育はなかなかできていないのですね。ヨーロッパやIBではそれができるのはなぜかというと、別に意識しているわけではないのですが、哲学の教科があるからでしょう。もちろん、どちらの経験にしろ、気づくか気づかないかは生徒自身にもよります。環境がなくても気づく生徒もいます。環境があっても気づかない生徒もいます。

★そこで諦めないのが教育というおせっかいな学びのデザインシステムなのです。だから、そのビッグコンセプトを生徒1人ひとりが生み出せる教育を追求しているのでしょう。ビッグコンセプトは生徒によって違います。その違いは聖てぃとり一人の志納によって違います。生徒の才能を尊重する心理的安全性はこのビッグコンセプトに結びつくものであるかどうか、そこがカギなのです。

★それはともかく、地学はカントのような哲学者にとっては宇宙論ですし、存在論ですから実は地学を通して哲学を学ぶことができるわけです。人間の存在基盤を見出す科学です。

★私は、このヒントを中学生のころ地球物理学者竹内均先生がテレビで寺田寅彦の茶碗の湯の話を引用して、目の前の小さなモデルが、地球規模のシステムを解明するのに役立つというような話をされたのを聞いて、ワクワクしました。

★鎌田先生も本書の中で、竹内先生のことを話題にしていました。知はやはり普遍的な何かですね。

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2025年3月 6日 (木)

2026中学入試準備(24)インターナショナルスクールか私立学校かの時代の意味②私立学校が選ばれるには

★「才能を尊重する心理的安全性」が足場となって、子供たちは自分の才能を自信をもって広げていきます。失敗を恐れないでとか、チャレンジしようとか、そういう言葉は今やどこの学校でも語ります。それはとても大事なことですが、才能を尊重する心理的安全性が確保されていないとそのような行動はうまれてきません。

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★主体的にとか自立してとか声をかけられても、そもそも才能が尊重されていないとしたら、どうやって主体的になれるのか自立できるのか。自分の軸を尊重されないのですからなかなか難しいですよね。もちろん、出る杭は打たれるという状況を変えることができる生徒もいます。しかし、それは今のところ一握りです。できれば、みながそうなってもらいたいと思っています。そんなのは理想論だと思いますか?そうは思いません。

★それでは、才能を尊重する心理的安全性はどうやてできるのでしょうか。それは社会的選択肢の豊かさと、組織内選択肢の豊かさです。インターナショナルスクールか私立学校かは、社会的選択肢です。

★これが認められている社会はわるくないですね。わるくないというのは、制度上本当は議論しなくてはならない点があるということなのですが、ここではそれは語らないことにしましょう。あまりにも複雑なので。ブログで語るようなことはできないからです。

★この問題は、ハーディーの救命ボートの考え方でいくかアファーマティブ・アクションの考え方でいくか、それともほかの考え方でいくか、議論は複雑なのです。

★さて、組織内選択肢というのは、それぞれのインターナショナルスクール内あるいは私立学校内で生徒がいろいろな局面で選択肢があるのかということです。選択肢が多い方が魅力的です。

★とはいえ、このような組織は、入学試験、カリキュラム、キャリアデザイン、クラブ活動、文化祭などのイベントなどいろいろな局面での選択肢ですから、インターナショナルスクールと私立学校を比較するとき、一局面だけで比較することはできません。

★そうなると、まずは土台となる「才能を尊重する心理的安全性」があるかないかはチェックするということになります。これがあるということが確認できて、組織の様々な機能の柔軟さを比較できます。

★ですから、私立中学が選ばれるには、まずこの才能を尊重する心理的安全性を構築していることが大前提になります。

★国内外のインターナショナルスクールが私立学校と教育の質で競争になってきていることは日本の教育全体にとってよいことです。では、才能を尊重する心理的安全性はどうやってできるのでしょうか。傾聴と互いの考えや価値観を尊重し合うとできるのでしょうか?もちろん、それは大事なのです。自己内省をし、それを仲間と共有できるということも、もちろん大事です。

★そのくらいのことは、日本の私立中学だってやっているよということですよね。しかし、それが世界に開かれているかなのです。えっ!それだってグローバル教育をやっているし、国内外の人と連携しているからできているよといわれるかもしれません。たしかに、そうですね。そこまで環境を作っている学校もあります。じゃあ、インターナショナルコースやグローバルコースをつくることかと。それはわかりやすいので、ありですね。しかし、本当はそこではないのです。

★ただ、そうしないと安心しないのが保護者や受験生ですね。才能を尊重する心理的安全性は、そのようなコースがあればあるはずという期待値は高まります。

★しかし、本当のところは、それだけでもないのです。ですが、そのことを今ここで語ったところで、なかなか理解されないので、どうしたものかと感じる今日この頃です。実にシンプルな話なのですが、シンプルがゆえに、はあっ~となってスルーされるのです。。。

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2025年3月 5日 (水)

2026中学入試準備(23)インターナショナルスクールか私立学校かの時代の意味①

★ASEAN諸国のインターナショナルスクールや日本にやってきたインターナショナルスクールと私立中学のどちらにするか考える家庭が増えているといいます。シンガポールのインターは高いので、もう少し安いところと見て回っている家庭もあります。インドネシアならどうだろうとリサーチしたら、シンガポール並みのところと日本の私立学校の学費と変わらないところもあるけれど、その違いはあるということです。この違いについては、私は行ってみてきたわけないので、ここでは言及できませんが、そうなると、やはり日本の私立中学かといろいろ考えているようです。

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(イラストはBingが作成)

★このような選択を考えている家庭は、帰国生を抱えているとは限りません。帰国生の中でも70%は、いわゆる超難関私立中学を目指しますから、インターナショナルスクールという視野はあまりはいってきません。もう30%は確かに選択を考えるのですが、このとき私立中学もインターナショナルコースやグローバルコースという帰国生の受け入れ態勢があるかどうかはリサーチします。

★さらに、帰国生の規定からは外れるけれど、海外の現地校で学んでいたとか、外国人と日本人の両親の子どもで、バイリンガルな生活をしている生徒とか、日本で英語を学んでかなり堪能になっているという生徒もいます。このような生徒は、インターナショナルスクールかそれに匹敵する私立中学か選択を考える傾向がだんだん強くなってきたようです。

★この流れを後押ししているのが中学入試の英語と思考力の両方を融合している新タイプ入試なのかもしれませんし、このダイナミズムに合わせて新タイプ入試が活性化したのかは、不明ですが、相乗効果はあるのだと思います。

★そして、これは、中学入試だけの問題ではなく、大学入試にもあてはまるどころか大学入試改革を押し進める重要な問題になっているわけです。

★高校入試でも同じようなことが起きていますが、中学入試と大学入試でほぼ選択の解決はつくので、都立国際やICU、SFCなど高校から帰国生を受け入れる学校は限定的です。

★東京のいわゆる超難関私立学校は、高校入試は行わないので、帰国生でそのような学校に行こうとすると中学入試で行くしかないということです。したがって、私立学校でインター並みの環境を整えている私立高校は彼らにとって救いの場でもあります。しかも、中学で英語が得意になり、キャリアプランとしてグローバルな世界にという発想をもった生徒で、中学の総合的な内申点が取れなかった場合、そのような私立高校に進まざるを得ないということもあります。

★それにインターナショナルスクールか私立中学かを選択する家庭層は、実は経済的に裕福とは限らなくなっています。情報を得て、インター並みの私立中学に進もうと考えている層もあるのです。

★この層は、自分の子どもの才能を信じています。才能といっても人によって考え方や感じ方は違うのですが、彼らにとって2科4科だけでのテストでは、それが認められないということにも気づいています。ですから、その才能を尊重してくれる学校を選ぼうとします。インターナショナルスクールの多くは、お金の面ではたいへんですが、子どもの才能を尊重する心理的安全があるところがあります。そのイメージで、私立中学を探します。そして、その才能を尊重してくれる新タイプ入試があるところを探します。

★これは何を意味するかというと、今は多くの庶民は気づかないかもしれませんが、入試の選択肢の少ないところは、この才能の尊厳を限定するということなのです。そのことがどういうことなのか、考える時代になってしまったということです。

★私は、今ままでは、選択肢の少ない学校と多い学校のどちらを選ぶのかは私事の自己決定だと言ってきました。今のところ法制度上はそれでよいのでしょう。しかし、これからの未来社会は、それをよしとするかどうかは不確かです。

トマ・ピケティとマイケル・サンデルのシンプルな対話を読んで、法制度上よいからよいのだという、法実証主義的ポピュリズム倫理観に絡めとられているかもしれない自分自身のリフレクションが必要だと感じました。

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2025年3月 2日 (日)

FBL(01)フュージョンベースな学びが進む

★現行学習指導要領になって、教科と探究、教科と教科など連携が進んでいる。企業などの連携、高大連携、海外校連携などもどんどん広がっている。しかし、教科と探究、教科と教科の連携など内部環境はまだまだ発展途上だが、一方で企業や各団体との連携である外部環境はどんどん進んでいる。おそらく、協力体制が外部との方が組みやすい(リスクも高い)ということもある。このような異なるもの連携をフュージョンという言葉でとらえかえすと、これはFBL(Fusion based Learning)と呼ぶことができるだろう。アプリやデバイスのフュージョンや核融合エネルギーなど、時代のキーワードの一つは「フュージョン」。教育にも時代は要請していると捉えてみたい。

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★FBLの概略図をこんな感じで描いてみたが、こうみてくると、現状の教育界は、1stageを循環させているのではないか。これが、2stageと結びついて循環するところまではまだまだ発展途上である。

★であるからして、外部環境は見えるけれど、内部環境は見えないから、ここを言語化しようとしている。

★まずはそれでよいけれど、実はそこまでは外蔵システムで目に見える範囲。実際には内蔵システムを言語化・記号化することで、すべての生徒に自らの無限の価値を生み出せるエネルギーを自分の内側から生み出すことができるようになる。

★この内蔵環境をデザインし、外部環境×内部環境×内蔵環境の循環を生み出すことがFBLのビッグコンセプトである。

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