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2025年2月 3日 (月)

2025中学入試動向(58) 筑駒の中学入試の国語の問題に脱帽 身近な生活の中で社会の根源的な問いに触れる自分の感性

★2025年2月3日、筑波大学附属駒場中学の入試が実施された。国語の入試問題をみて、さすがだなと深く感じ入った。随筆が2つと詩が1つ出題されていて、どれも考えるメタ視点の稼働が共通している。テーマは「自由」「美」「嘘」なのだが、その意味は社会的な意味と個々人の意味の違いがあって、そこの小さな葛藤をどのように捉えるかもちろん論理的になのだが、その繊細な違いに気づく柔らかくも鋭い感性とか主観とかをメタ認知する、別の言葉で置換えると、リフレクションする視点を記述していく。

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(今回筑駒の国語の入試問題で扱われた文章は、この3冊の本から)

★作家も湯浅誠さん、矢萩多聞さん、東田直樹さん。多様性が求められながらもそこから遠のくかのような事件が世界中で起きている。大きな社会問題を他人ごとのように見ているかもしれない私たちに、身近な生活の中に同じようなことが起きていることに気づかせてくれる3人の作者。作者自身それぞれに社会の葛藤と日々向き合っている。

★いわゆる国語の読解と記述の問題なのだが、さりげなく国語の範囲を超えて十分に総合型問題になっている。発想の融合がさすがだ。

★探究とは、たとえば、この3人の作者のような体験に自分なりにどうアプローチし、そこでコミュニケーションをとり、対話を重ね、根源的な問いを見出し、その問いが生まれてくる背景をリサーチする方法を考え実施し、それを世界に共有するところから始めればよいのだということがしみじみわかる。

★すぐに問題解決の答えを急がなくてもよいし、必ずしもツールを創り出す必要はないということがしみじみわかる。問題解決策やモノ作りまでしなければ総合型選抜はうまくいかないというのであれば、それはそのようなところまで要求する大学を受験するにはそうせざるを得ないが、根源的な問いを見出し、公に表現するところまでで十分大事な学びを行っていると評価したほうがよい。

★このような根源的な問いを発見していれば、一般選抜でたとえそのような問題が出題されなかったとしても、決して無駄ではない。むしろ、総合型選抜であれ一般選抜であれ、根源的な問いを探究する経験が重要であり、それが受験勉強に直接結びつくかどうかは、あまり問題ではない。

★もし根源的な問いを探究する経験をしないまま、大学に合格したら、大学に入ってからそうすればよいが、数学や英語の受験勉強の範囲を先取りするより、根源的な問いを探究する経験が中高時代にある方が大事なような気がする。

★このような国語の入試問題を出題する筑駒の6年間は、この体験をするよという予告編なのだろう。

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