2025中学入試動向(65) 東京私立中学入試 第3ステージに 才能発掘入試始まる
★東大文系の出願数が、共通一次導入以降最小の数だと各紙が報道している。共通テストの足切りラインを引き上げたため、ボーダーラインの受験生が敬遠したためだという。共通テスト神話。教育改革だと言っていながら、共通テストでうまくいかなかった生徒の中にいる隠れた才能者を切り捨ててしまう。というのは言い過ぎかな。生徒はみな才能者だから、東大に行っても行かなくても、勝手に才能を開花していくだろうから。
(AI時代の才能者たちをBingに描いてもらった)
★ところがだ、なかなかそうはいかないのが現実だ。植物の種と同じで、育つには環境の条件が必要なのだ。才能者の生まれる環境とは何か?それが分かったら苦労はしないが、その研究を多くの国では長い歴史の中で行ってきた。日本はやってこなかった。形式的平等でヨーイドンでスタートして勝ち組が注目を浴びる。才能者は一握りでよいのだという国力を決して成長させない発想がベースにある。人口が多い時はよかった。しかし、少子化時代は、日本の1学年70万人全員が才能を開花する環境を研究しなくては。中高で、ざっくり420万人はしばらくいる。
★フィンランドの教育はすばらしい、シンガポールもすさまじい。しかし、それぞれ全人口は600万人いかない。日本の中高生がみな才能を開花したら、それこそ凄まじいことになる。本質的平等を求めたいところだ。機会が与えられているだけでは形式的すぎる。全員がなのだ。
★しかし、これが、制度的に行ってもおかしなことになってしまう。才能者は人類や宇宙の宝であり、一握りの権力者のための道具になっては困るからだ。制度というのは、常に痒いところに手が届かない。形式的システムなのだからしかたがない。
★その足りないところを発想でつないでいく役割が私立学校にあった。それぞれ独自の教育を行う。公立は、それをリサーチし、制度を改善してきた。エッ~!と思うでしょうね。公立中高一貫校ができたのだって、進学指導重点校ができたのだって、先行していたロールモデルは私立学校だったんです。
★明治維新以降、初めから私立学校は独自路線だった。まだ官学の制度ができていない時代だから、あとからできた制度に合わない私立学校は斬り捨てられようとした。しかし、生き抜いて今日を迎えた私立学校も多い。
★話が長ーい!と思っている方お許しを。この前提があって、本日2月6日以降、東京の私立中学の入試は第三ステージが始まっているのだ。
★そして、その真の狙いは「才能発掘入試」なのだ。もちろん、生徒獲得のための戦略でもあるが、私立学校は、数を集めればよいとは思っていない。どのような生徒といっしょに6年間学ぼうかという価値が加わっている。
★第2ステージまでで決まらなかった生徒もまだいる。受かったもののマッチングがうまくいっていないという生徒もいる。公立中高一貫校しかうけず、合格しかなかったら公立にいこうと考えていた受検生が、友人たちの話を聞いて、私立に行ってみたいと考えが変わる受験生が現れる場合もある。全く中学受験を考えていなかったが、昨今の世界情勢の中の日本を眺めて、グローバル教育に真剣に取り組んでいる学校を探そうと思ったら、それは私立学校にしかなかったと思い立ち駆け込みたいという受験生もいる。東大の2027年のグローバル入試の話題がここのところ広がって来た。ということは他の大学もグローバル入試を始めるなと思いはじめ、調べてみると、同じシステムではないが、似たような入試がすでに始まっていることに気づき受験しようと。
★人生は塞翁が馬である。それは受験生にとっても、私立学校にとってもだ。このことに気づくことが、実は大きな転機になるというのが、6年後今を思い出し語ることになるだ。この第3ステージこそ、私立学校の諦めることのない見えない才能発掘戦略なのだ。
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