2026中学入試準備(04)すべてが才能創出型入試へ
★2025年の中学入試市場の価値意識が大きく2つに分かれました。対立ではなく、私立中学の教育の質を上げる二項相乗効果の雰囲気になってきました。それは2013年ころから始まった10年強の中学入試の歴史が積み上てきた多様な入試が、時熟したという感じです。中学受験生は、2科4科だけではなく、多様な入試の中から選択して準備を進めることができるようになったのです。まず受検生のタイプと多様な入試の関係を見てみましょう。
★英語環境にどのくらいあるかで受験生のタイプを3つに分けてみました。1つ目は、英語は公立小学校の教科で学んできたという国内生。2つ目は帰国としての条件を満たしていないけれど、海外経験があるとか、インターナショナルスクールで学んできたとか、ご家族の生活がバイリンガルであるとかなどの国際生。3つ目は、現在日本に在住し、原則として海外在学期間1年以上、帰国後3年以内の生徒または現在海外に在住し、帰国が決定しており、帰国までの在学期間が1年以上の生徒などの条件を満たしている帰国生。
★帰国生は、従来から2科4科受験が主流だったのですが、最近は英語型入試だけという学校もあります。もちろん、その入試はレベルの高い英語力を求めています。国際生についても英語型入試だけでチャレンジできますが、英語のレベルは学校によって違います。また、2科4科というよりも、国算のどちらか一つと英語のコンビネーションという学校が多いですね。それから国算を受験するにしても、英語資格利用ができるところも多くなってきました。
★国内生ですが、実はこのタイプの生徒にとっては、本当に多様な選択肢があります。従来のように2科4科だけの受験校は、首都圏(東京・神奈川・埼玉・千葉)ではもはや50%です。残りの50%は、2科4科受験もできるし、新タイプ入試もできるという状況です。
★多様な入試を活用することで、国語と算数は、比較的基本的な学びをしながら、自分の興味と関心のある分野の探究や習い事も続けながら中学入試にチャレンジできます。かつては、この新タイプ入試の数が少なかったので、リスクが高かったですが、新タイプ入試で併願校を組めるほどになりました。何せ50%の学校が設定しているのですから。
★この中学入試の多様化が意味することは、すべての中学入試の準備が才能を発掘する作業になったということです。ですから今や中学入試はすべて「才能創出型入試」になったということではないでしょうか。
★2科4科入試しかない頃は、中学に入ってから数学や英語で力を発揮し、STEAMやグローバルな領域で、あるいはその両方を横断する学際領域で才能を発揮する生徒が、挑戦できない場合があったのです。そして、そのまま自分の才能に気づかずに大人になっていくということが多かったでしょう。これが日本にとって大きな機会損失の原因の一つであった可能性があります。
★しかし、今は2科4科も含めて多様な入試があり、2科4科に向けて準備し、学問的な才能に目覚める生徒もいるでしょう。彼らににとってやりがいのある思考型を埋め込む2科4科入試も開発されてきたのです。そして、ストレートに思考力や表現力、非認知能力などを準備していけばよい入試も開発されました。英語の入試は4技能と英語で学際的思考力をみる問いも開発されています。
★開成や聖光学院、麻布、武蔵などのように4科目入試の準備をして、なおかつピアノや学問、政治、スタートアップの世界で才能を開花する生徒もいますが、聖学院の思考力入試にチャレンジする準備で、中学入試段階から自分の才能を無限に広げて大人になっていく生徒もいます。
★現状は2科4科目の準備をしていった生徒の活躍が目立ちます。というのも新入試の歴史はまだ10年強ですから、これからです。現状では新入試にチャレンジした生徒が将来活躍するだろうと予測する指標は、この新入試を実施している学校から大量に海外大学合格者が出ているということです。
★東大や早稲田、慶應などで学んだ生徒の中には活躍する生徒が多いわけで、それは海外大学だと同様かそれ以上のことになる予想は誰もができるでしょう。もちろん、そのような大学に出なければダメなのかというとそんなことは全くありません。制度的な確率の話と個人のマインドのすばらしさの話を混同してはなりません。ただ、学校は制度やシステムです。才能開花や才能発掘の確率が高くなるように仕組みを作るかどうかはとても重要です。
★個人としては、どんな状況下にあろうと自分の無限の価値を生みだす力を発揮すればよいのです。ただ、そのために自分はどの環境や条件を見つけあるいは創るのかは必要です。人類の歴史は、道具を携えるところから始まり、道具を発展させることによって人類も進化してきました。この点に関してはおそらく不易でしょう。もちろん、生きる意味をしっかり内燃させていくことが根源的価値であることに変わりはありません。
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