2025中学入試動向(55) 自由学園・新渡戸文化・かえつ有明
★2025年中学入試は、価値観の変化が起きている。自由学園は2月1日と10日しか中学入試を設定していないという徹底ぶり。自由学園を選んで、他を受けるのは自由だけれど、いろいろな学校を受け続けるのは、小学校6年生にとってどうなのだろう。判断は自由だけれど、自由学園は、1回チャレンジするので十分なのではないか。いろいろ受けて、何か疑問に思ったり、疲れたりしたら、10日に戻っておいでよと中学受験体験から何か大切なことを見失っていたことに気づいた生徒に門戸を開くというメッセージ。私立学校はさまざまな価値志向があるので、こういう自由学園があってよいのだ。そして2月1日の出願者は110人で、前年対比115.8%。自由学園の精神を求める受験生が増え始めている。
★広大な自然のキャンパスの中で、自分の夢を夢だと思っていたけれど、夢じゃなかったと実現していく探究活動をしている。最近、心のアナーキズムが見直されている。商品交換経済で高ストレスでメンタルを追い込まれる社会に対し、贈与という贈り物以上に愛情を贈られる絆を豊かにする経済社会との資本主義の融和を唱える考え方が多くなってきた。東大の現代国語の入試問題でも出題されるようになってきている。ある意味Web3.0の社会はそれを先取りしているともいわれている。徹底した共感と共生の人間性と社会デザインを探究のテーマにしている自由学園は、まだ多忙なのに経済状況が思わしくなくて、目の前のことでいっぱいいっぱいになっている状況の中で、知る人ぞ知る新しい【道】を開く学校なのだ。
★自由学園の学園長更科幸一先生は、東京私学教育研究所の初任者研修の委員長としても活躍していて、委員の先生方とOSTという対話型で心のアナーキズムを融合した研修を実施。組織の中でルールを遵守しつつも、誰に囚われるのでもなく自由(それを心のアナーキズムとここでは呼んでいる)でいられる人間作りを果たしている。参加者は大変多い。同研究所のメンバーもOSTをいろいろな研修に取り入れている。
★当然、自由学園でも教職員とOSTスタイルで対話しているし、生徒も同じだ。このOSTは、ラウンドスクエアの国際会議や国連の会議で活用される<バラザ>と親和性があるようだ。この雰囲気にピンとくる受験生・保護者がいるということが、中学入試市場がポピュリズムではないことの証であろう。
★このブログでもすでに新渡戸文化も受験生が増えていることについて述べたが、自由学園とは一見違うが学校だが、何者にも偏見や先入観にも囚われの身にならずに自分の道を歩む学びが展開していて、やはり共感と共生がベースになっている学校だ。
★かえつ有明は、今年は受験生が多少減ったが、総受験者数は定員の10倍はあるだろうから、生徒募集においては何ら問題ないのだが、おそらく減った理由は、大学進学実績などのいわゆる塾が気にする路線と生徒の心理的安心をベースとした共感的コミュニケーション場づくりの二刀流をやめて、後者の路線に徐々に一本化するカリキュラムマネジメントに受験生が気づきはじめたからだろう。この路線を遂行する強烈な教員集団が形成されている。
★この3つの学校の受験市場のサイズは、これから拡大していく可能性が大ではないか。2025年の中学入試は、それぞれの<価値圏>が着々と確立しているように思えてならない。
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