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2025年1月13日 (月)

2025中学入試動向(12)これからの学校選択のコアはグローバル教育とSTEAMと決定的な要素の融合 海城の大迫校長や日比谷の石坂元校長が示す

★何かワクワクしている。というのも海城の校長大迫先生が、海城学園は哲学の学校だよと生徒がいってくれるとよいなあと3学期の始業式で「哲学のすすめ」という大迫先生自作の詩を朗読したという。大迫先生は、IB教育の一人者であると同時に詩人でもある。銀の鈴社からあの谷川俊太郎さんも出している詩集シリーズから出版している。同社は児童文学関連図書を久しい間出版していて銀座から拠点を鎌倉に移している。シェークスピアの翻訳で有名な評論家福田恒存も創設当時関係していたようだ。

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★大迫先生は、脳科学とAI研究者で一橋大学の講師でもあり起業家でもある松田雄馬さんと共著で書籍を出版している。AI時代にあって「生命知」を人間は学んでいくのが未来だと。未来教育設計図のマニュアルではなく、1人ひとりが創発するプロセスを提案している。

★AIや脳科学を研究していくと、人間とは何かについて自ずと哲学できるという本だ。大迫先生はIBを極めているからTOKという「西洋知」を学び東洋的な発想が抜け落ちていることを知って、それを生命知として捉え返そうという試みだ。

★松田さんは、AIが人間の感情や経験を取り込めないことに気づき、それがゆえに、試行錯誤ができない。失敗という概念がないのだというコンピュータやAIの限界を知る。それゆえ「生命知」が必要なのではないかと。

★大迫先生はIBをリスペクトしながら、IBで見えないコトを、松田さんはコンピュータやAIをリスペクトしながら限界を知ることによって、「生命知」とは何かという哲学に到っている。もちろん、両者とも哲学や文化人類学など広い視野と深い視座を前提に話されている。

★ムーンショットプロジェックトの1つでもある「記号創発システム」プロジェクトを推進している京都大学の谷口忠大教授の論文など読んでいたら、ここでも文化人類学や言語学、フッサール哲学などの記号システムとAIのシステムを対照させながら論じているのに驚/踊ろいた。

★そんなとき、日比谷の元校長石坂康倫先生から、コメントを頂いた。学校に哲学は必要なのだと。そういえば、石坂先生は東洋大京北を右肩上がりにした教育改革者でもあり、カントの研究をしつつも東洋大学の東洋哲学も東洋大京北で浸透させていったのを想いだした。大迫先生や松田さんのいう「生命知」と親和性のある発想だと推察する。

★それに石坂先生は、日本アスペン研究所主催の哲学ジュニアセミナーでモデレーターの役割も果たしている。今は独立して石坂教育研究オフィスで教師の研修や相談にものっている。大迫先生も事務所を開いていたし、松田さんも大学で研究しながら起業している。石坂先生も日比谷や東洋大京北など数々学校の校長を歴任し、現在事務所を開設している。そして、3者とも「哲学」を愛している。

★AI社会だからこそ「哲学」「文化人類学」「心理学」「社会学」「アート」などなどが再び新しいアプローチで時代が要請している。

★STEAMのAは「アート」だけではなく「哲学」「文化人類学」「心理学」「社会学」など学際的な知が必要だということが、校長からもAI研究者からも語られる時代になった。しかもかなり哲学がAI実装し、それが社会課題にダイレクトに接地しているのがすてきだ。フュージョンの時代。

 

 

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