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2025年1月 5日 (日)

2025年再び転換の起点(2)論語と算盤ー倫理資本主義がベース

★2025年の正月は、久々にゆっくりした。元旦に、NHKの「欲望の資本主義2025」をみて、欲望の資本主義から倫理資本主義という路線は私学関連領域では私学創設の明治期から当然であり、不易流行としてこの領域から再び転換の契機が生まれる2025年になりそうだと直感した。人間存在の欲望の平衡感覚でもある倫理。欲望の社会的現象の典型は経済だ。日本の近代資本主義の父渋沢栄一が唱えた「論語と算盤」つまり道徳経済合一説は脈々と生きているなあと。

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(渋沢カリー)

★ネットで、オードリー・タンさんや隠岐さや香教授の論稿を読んだりして、トリムタブやフュ―ジョンの着想を自分の中で明快になってきたなあと思いつつ、ほぼ寝正月。正月休みも終わるので、さすがに外に出ようと、妻にナビゲートされながら東京三菱一号館美術館の中を観賞しながら歩いた。

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★ロートレックなどおもしろかったが、私はここにくるたびに赤レンガを見て、丸の内のエリアがかつてこの赤レンガで満たされていたことを想像してしまう。今も少し歩くと丸の内の東京駅の赤レンガがある。この地で、官と民の攻防戦があり、この民に渋沢栄一と岩崎家がある。

★明治からもう100年以上経ち今は21世紀だというのに、未だに渋沢家と岩崎家の掌の上で生活している。一号館隣接のカフェに入ろうかと思ったけれど、長蛇の列。さすがは1月4日だ。

★そこで、渋沢栄一ゆかりの帝国ホテルで私でも手が届くレストランに入った。そこで前から食したかった渋沢カリーを頼んだ。帝国ホテルは、私立学校の卒後式や周年記念でも活用される。初代会長が渋沢栄一だからここでも≪私学の系譜≫が脈々と。

★それにしても赤レンガ。岩崎家の偉業の1つはジョサイア・コンドルを庇護したことだ。それがこの一号館であり、丸の内の赤レンガの東京駅に象徴されている。この系譜は工学院。新宿キャンパスと八王子キャンパスにあるから、すっかりコンドルとの関係は見えなくなっている。しかし、権威を嫌って政府から解雇されたそのアート魂は工学院に今も生きている。工学院中高では教師と生徒は学習者中心主義で、フラットでフリーでフレンドシップの3f精神で満ちている。

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★帝国ホテルの初代会長は渋沢栄一だが、二代目は大倉喜八郎だ。公職追放や財閥解体で、大倉家は帝国ホテルを去らなくてはならなかったが、ホテルオオクラを創業した。東京私学教育研究所や日本私学教育研究所が宿泊研修でホテルオオクラ系列を利用することが多いが、ここにも渋沢栄一大倉喜八郎という「論語と算盤」を理念とする≪私学の系譜≫が脈々と生きている。

★これらのホテルは、最高のおもてなしをする。これは私学の建学の精神とも実は共鳴するものだ。私学というのは、教育と経営の両輪で動いているが、まさに論語と算盤、倫理資本主義の理念で動いていると言っても過言ではない。

★そんなことを思いながら帰宅して夜を過ごしていると、テレ東で「出没アド街ック天国」で二子玉川を特集していた。もう35年以上住んでいる街がゆえに見てしまった。高島屋は江戸から続く老舗の進化した姿だし、ライズは、五島慶太翁の創業した東急電鉄の系列。そもそも田園都市線そのものが東急だ。そして、五島慶太にこの道を進めたのが渋沢栄一だ。東京都市大等々力など五島慶太翁が創設者でもある。

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★ホテルや電鉄、銀行、デパートは現実にはいろいろあるが、ベースは論語と算盤という倫理資本主義。その象徴が今アントレプレナーシップで起業している人や生徒や学生が集うSHIBUYAQWS。いたるところに実は≪私学の系譜≫は実装されている。

★私たちはそのことを忘れているかもしれない。≪私学の系譜≫には教育者・学者系、宗教家系、実業家系がほとんど。それにこれらは複合的になっているというのが本当のところかもしれない。五島慶太はもとと英語の教師になろうとしていた。

★福沢諭吉は、教育者・学者系。儒教とイギリスの思想をベースにしている。これもまた論語と算盤だ。

★新島襄はプロテスタントという宗教系。倫理的資本主義を推進するキリスト教。カトリックは?その資本主義の萌芽だったとシュンペーターは言うし、ヴェーバーもプロトタイプは修道院の生活の中で生まれ、それを世に広めたのがプロテスタントだと語る。

★実業家系は、いろいろな考えがあるが基本は渋沢栄一に影響されているし、実は三方よしの近江商人の流れもある。もしかしたら渋沢栄一もその影響を受けていたのかもしれない。ここは妄想に過ぎないが。深谷ー群馬ー近江というのは線で結ばれそうな気がするのだ。

★ホテル、電鉄、銀行、デパートとくれば、建築。もともと丸の内エリアは都市政策の一環の開発地帯。ジョサイア・コンドルの腕の見せ所だった。AI時代、これらの業態はどうなるのだろうか。すべてがスマホ化していくし、やがては量子化していく。統合・融合は必至。論語と算盤、倫理資本主義がベースになることはとても大切なわけだ。欲望は平衡感覚でマネジメントされる必要があるから。その新しい仕組みを巧むのは私立学校の使命ということにならざるを得ない。それが≪私学の系譜≫の道筋ということだろう。

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