2025中学入試動向(17)順天 2026年を見据え教育の質の充実 戦略的手堅さ
★先日、順天の副校長片倉先生にお会いした。同校は中学生の1学年の定員を30名増やし120名にした。その分高校は減らした。2026年4月1日から同校は学校法人北里研究所と合併するニュースは2023年末以来受験市場に飛ぶように広まった。片倉先生によると、そこを見据えつつ、いまここの教育の質を充実させているということだ。
★合併後どうなるか詳しい話は、これからだが、同校の生徒にとって医療・生命科学への道がぐんと開けたことは確かだ。それゆえ中学の3年間の授業は、経験を大事にするPBL型授業をベースにし、高校3年間は、大学の専門的な研究にスムーズに接続できる重厚な知識の体系を学んでいるようだ。
★とはいえ、高校からは一方通行的なレクチャー型かというとそうではない。中高の先生方は全員電子黒板を活用して授業をする(場合におよってはもちろん使わない時もある)。一般的なイメージだと、どんどん電子黒板に情報を流し、生徒がそれを必死にノートし覚えていくという感じかもしれない。
★しかし、順手の場合は違う。問答は当然あるが、教師はiPadにペンで書きこみながら、それが電子黒板に同時に映り、思考のプロセスをリアルタイムに共有できる。そして、生徒一人一台のノートPCも、当然wifiでつながっているから、ダイレクトに電子黒板に自分の考えを映し出してプレゼンできる。
★教師によって、使い方はいろいろだが、デバイスを媒介に協働的な学びができてしまっている。見た目は一斉授業の場合でもサイバー上で対話型になっている。
★片倉副校長は、ICTの活用進化は目覚ましいと。それから、英語の力の入れ具合が破格だ。同校は総合型選抜は1学年20%くらいで、一般選抜の方が多いのだが、総合型選抜にチャレンジする生徒は準1級レベル以上を目指している。英検2級はみな取得する。一般選抜ではこのレベルもまだまだ有効ということもあるが、北里と合併した時、今や医療・生命科学の分野では、英語ができなくては話にならないという。
★文系であれ、理系であれグローバルな活動は必須だという。
★それにしても、この合併が契機なのかどうかわからないが、高校から専門的な学びにシフトしているのは、その影響がないとはいえない。専門的な学びに必要なのは、好奇心・オープンマインド・問いの生成が基本だが、それは中学時代にPBL型授業や多様な経験を通してその土台ができているようだ。
★今年は、順天の中学入試は間口が広がるが、その分高校は狭き門となり偏差値があがる。すると来年度は中学もまたそれに連動する。2026年4月までに、戦略的手堅さで、順天の教育力は、またもパワフルになっている。
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