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2025年1月

2025年1月31日 (金)

2025中学入試動向(45) 明日から東京・神奈川の中学入試 聖学院からのメッセージ

★明日2月1日から東京・神奈川の中学入試が始まる。受験生はゆっくり穏やかにでも少し緊張していることだろう。聖学院の学校説明会の入試問題について説明がなされたときに、配布された「2025年入試傾向と対策」という14ページもある冊子の中に、心温まるメッセージがあるので、ご紹介する。

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★各試験各教科ごとにメッセージが込められているが、ここでは、どの教科にもあてはまるものを選んでみた。

❶本校の過去問題を中心にたくさんの問題を解くことが合格へのカギとなります。しかし、問題を解くことばかりに気が行くと、焦りが募ってきます。1題を解いたら、本文を音読してみましょう。音読は一語一句を丁寧に読む練習になります。また、本文全体をとらえることもできます。根気のいる作業ですが、努力に勝るものはありません。続けていれば、自分の中に変化が現れてきます。

→試験本番で、音読はできないけれど、本日自分が解いた文章の中で好きな文章を音読してみよう。心穏やかになるし、自信がわいてくる。それもまた自分の中の変化。

➋問題文をきちんと読解し、現象をしっかり分析できることも必要です。

→理科に限らず、問題文の中に既にヒントがある。どんな現象なのか、なぜそんな現象が起きたのか、これからどうなっていくのか、自分は何を考え、発想するのか。現象の中にそのヒントがあるはず。

➌教科書になく、知らない話も出ることがありますが、必ず説明があります。落ち着いて文章を読み、最後まであきらめずに解き切ってください。

→自分が知らないことは、ほとんどの受験生にとっても未知。あきらめず、未知の話の中にヒントを見つけよう。

❹皆さんの積極的なチャレンジをとても楽しみにしています。

→そう聖学院はチャレンジの学校。入試問題を自分の成長を刺激する問いだと思い、ダンジョン攻略よろしく挑んでほしい。その気概にあなた自身が自分を誇りに思えるようになるはず。挑むことに君の価値は無限にある。これは聖学院の受験生だけではなくすべての受験生にあてはまる。

★明日から、「眼張って」ください。 

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2025中学入試動向(44) 総出願者数前年を上回る学校の分類 価値志向性が見える

★1月29日現在(首都圏模試センター調べ)で、前年度の総出願数を上回る学校を探してみた。まだあるかもしれないが、まずは次の15校を挙げておく。最終的にはもっと増えるだろうが、この段階は、まだ希望の学校に出願している時期なので、価値志向性がみえやすい。50音順で列挙する。

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栄光
海城
神奈川学園
慶応普通部
国士舘
駒沢学園女子
桜丘
品川翔英
芝国際
千代田
藤嶺藤沢
日本大学藤沢
富士見丘
文化学園大学杉並
立教女学院

★これらを、エリートスクール、ブランドスクール、ニューパワースクール、ザ・ウェイ・スクールに分けてみた。

★エリートスクールは、今では高偏差値スクールとイメージされるかもしれないが、それは受験業界やメディアの見方。私学としては、東大を中心とする難関大学で、日本を救うための文理それぞれの専門性を活かした人材を育成する学校だ。

★そのような人材を育成することは同じだが、ブランドを確立している慶応普通部や立教女学院は、別に東大を目指すことは目的にしていない。

★文大杉並のようにグローバル教育×STEAM×探究に力を入れている学校をニューパワースクールとしてみた。もちろん、富士見丘のように、グローバル×STEAM×探究で人気の高い学校でありながら、忠恕という道を大切にする教育をしっかり実施している学校もある。どちらが前面に出ているかというのがポイント。

★駒沢学園女子のようにZENの道を大切にしている学校をザ・ウェイ・スクールとしてみた。もちろん、同校は、グローバル×STEAM×探究の教育デザインで人気なのであるが、これはルビンの壺と同じで、一般の受験生・保護者がどちらを見ている確率が高いかがポイント。駒沢学園女子に出願した受験生には、両方が見えている。

★そうそう青山学院を挙げておかねばならない。同校はブランドスクール=ニューパワースクール=ザ・ウェイ・スクールであるので、そのことを追記しておく。

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2025年1月29日 (水)

2025中学入試動向(43) 聖学院 第一志望者増加の手ごたえ

★1月29日現在、聖学院の2月1日午後のアドバンスト入試の出願状況が勢いがよい。これは第一志望者が多くなっているという手ごたえを入試広報部では感じているということのようだ。

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★聖学院といえば、思考力入試で有名で、今年も定員が少ないにもかかわらず、相変わらずの人気である。しかし、一般入試も、思考型問題が出題され、アドバンスト入試は、ある意味思考力入試のペーパー版のような感じなのだ。

★聖学院のカリキュラムは思考する教室が生まれるようにマネジメントされているし、CADをつかって3Dプリンターを稼働させるSTEAM教育も充実している。

★大学入試が総合型選抜だけではなく、一般入試も総合型問題など聖学院の中学入試さながら思考型の問題を出題するようになっている。そして今年から共通テストでは情報Ⅰが教科として実施されるようになった。

★聖学院では、大学入試のために「思考する教室」や「STEAM教室」を行っているわけではない。生徒一人一人の可能性が広がるカリキュラムデザインをしている。それが結果的に大学進学実績で成果を出している。

★生徒一人ひとりの好奇心・興味・関心から始まる「思考する教室」「発想する教室」「創り出す教室」というワクワクするようなカリキュラムデザインがアップデートされている。第一志望者が増えるのは当然であろう。

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2025中学入試動向(42) 和洋九段女子 PBLと英語インタビュー入試に注目集まる 2027年の衝撃に耐えられる私立女子中高一貫校

★2027年全国的に15歳人口は激減する。それは東京も例外ではない。2030年に高校も2033年に大学に押し寄せる危機。危機を煽っているわけではない。すでに少子化は始まって、あらゆる受験で学校や大学はその対策を打っている。大学入試の激変もその大きな兆し。受験だけではない、企業の就職戦線も、人手不足は止まらない。危機を煽るのではなく、この事実をどのように認識しているかが肝心なのだ。

★その点和洋九段女子の経営陣チームは慧眼だ。➊少人数でしっかりした質の高い教育と➋安心安全な豊かな人間関係をつくるマインドとスキルの育成と❸シナジー効果が半端ない多様で豊かなグローカルなつながりの中での学びを準備している。PBL入試や英語インタビュー入試にチャレンジしてくる受験生は、まさにこの3つの教育環境を享受すべくやってくるのである。

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(和洋九段女子の外国人教師チーム)

★和洋九段女子には、7人の外国人教師が存在している。東京の私立学校で7人以上の外国人教師がいる学校のシェアは20%ないだろう。実にたくさんいる。しかも、スモールサイズのかわいらしい学校だから、生徒一人当たりの外国人教師の割合は、もしかしたらナンバー1かもしれない。

★中込校長によると、インターナショナルスクールから学校説明会に参加した保護者が、このサイズでこんなに外国人の先生方が多いなんてと驚くそうだ。インターの保護者は、グローバル教育を行っている学校を徹底比較するから、もしあの学校のサイズなら、外国人の先生方が30人以上いなくてはならないことを考えれば、和洋九段女子の日常のグローバル教育の環境は抜群にいいと。さすが、受験生の保護者はよく比較考慮すると、その話を聞いて感心した。

★しかし、どこの学校も2027年以降サバイバルするには、少人数で豊かな経営ができ、グローバル教育の環境を当たり前のように備えなければならないと思っているが、外国人教師を集めることはなかなか難しい。

★なぜか?それは学内の授業がPBL型でなければ、外国人教師の対話型チーム作りの学びに適合しないから、学内で軋轢が生まれて崩壊してしまうのである。

★そこにいくと和洋九段女子は、PBL型授業を日本人の先生方は皆実装しているし、生徒もそのような授業だから、可能性を開くことができると自信を持っている。それは外国人教師にとっても同じ気持ちなのだ。

★外国人教師が多いということは、日本人の教師がいかにオープンマインドであるかということだ。

★個別最適化と協働的学びの一体化といわれているが、それはスモールサイズの学校でなければ実際にはできない。今後世界は70%が都市化するといわれている。10万人サイズの都市が自立しながら互いに結びついてシナジー効果を豊かにしていく時代だ。それは学校も同じだ。

★1学年100人前後の学校がサバイバルできるだろう。それ以上の学校組織は、どうしても対話型組織になれない。対話型組織でなければ、これからは人間関係の時代でもあるから、それを維持できない。維持できないで、軋轢がトラブルを起こして揺らいでいる大組織のニュースを毎日見ている。それはたまたまその組織だからという問題なのではない。

★豊かでウェルビーイングな学校組織の適正人数というのが明快になるのが2027年からなのである。同校を選択した受験生が入学後幸せな学校生活をおくり大きく成長していくことからもそれは明らかだろう。

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2025中学入試動向(41)駒場東邦の国語の入試問題 転移学習の視点 入試段階からカリキュラムが始まる

★今朝田園都市線に乗って仕事場に向かってると、例によって「日能研のシカクいアタマをマルクする」が目にとまった。「らしさを疑え!」と日能研ラシイセンスだなと。すると駒場東邦の昨年の国語の入試問題からだ。この版型スペースに国語の問題を載せるのは難しいはずだ。だからたいていは漢字やことわざなどの問題になりがち。ところが、入試問題の課題文章を載せずに、「問いそのもの」を掲載しているではないか。「問い」の時代と言われ、思考を喚起する問いだとか、高次思考を震わせる問いだとか、本質的問いだとか、良い問いは何か毎日のように私立学校の現場では問われている。その現場のカリキュラムの本質的議論を、そのまま入試問題に反映させる駒東は言うまでもなくさすがだが、それを掬い取る日能研の教務陣のセンスは相変わらずステキだ。

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★駒東の課題文の選択もすばらしい。子供どうしの何気ないコミュニケーションの中に、アンコンシャスバイアスや偏見、先入見、ジェラシーなど微妙にある会話の配列が見事な物語。村上雅郁 さんの「きみの話を聞かせてくれよ(フレーベル館文学の森)」から出題。長文だが、巧みに、文脈を切断しないように中略しながら出題している。

★そういう手法もさすがなのだが、最後の問いが感動的。日能研は、その問いをリリースしたわけだ。

★その問いというのは、黒野先輩というこれまたちょっと世の中俯瞰する視点をもった、それでいていやそれだからこそ設定はちょっと枠からはみ出ている感じの登場人物が、枠から外れることの不安から人間はあるあるの言動をはくという趣旨のことを語っているところについて語り合っている生徒同士の対話文を載せて、そのようなあるあるの言動の事例を挙げてみよという推理型記述(転移学習の視点)の問題。

★麻布の先生だと、児童文学の成長物語としては定番の物語と言うかもしれない。でもこの定番さ加減は、筋金入りだ。ヘルマン・ヘッセのアプラクサスになぞらえた殻を破る自己成長の物語に通じる、あるいはユング的な象徴的ストーリーだ。日本のアニメにもこの発想は意識してかどうかはわからないが、通じる話。最近の異世界転生ものにも通じる。もっとも、中学入試が広がり始めた1986年から連載がはじまった「ぼくタマ」という漫画と中学入試で出題される物語は、テーマがシンクロしているから、この定番は中学入試の重要なシンボルだろう。

★なぜヘルマン・ヘッセ?ヘッセの「荒野の狼」は、あのGAFAMのルーツの子どもたちのバイブルだったという話がある。出る杭になれ!クレージーになれ!と叫んだGAFAMのCEOたち。中学入試を推進する日能研は、その精神を私立学校に期待した。私立学校は、それをどう受けとめたか?受けとめたかどうかはわからない。でもシンクロしているのは了解できるのではないか。駒東の問いはそれを物語っているような気がする。

★中学受験は、このような企業と学校のゆるやかな連携によって善き中学入試市場がひろがることで、受験生の成長を豊かにする場となるだろう。

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2025年1月28日 (火)

2025中学入試動向(40)日本工業大学駒場 出願総数 前年を上回る!

★1月26日現在、日本工業大学駒場の総出願数は、2382人で、前年対比108.9%(首都圏模試センター調べ)。読書と論文とアートに真摯に力を入れている学校だから、生徒の成長力と粘り強さが育つ。学力のコアをダイレクトに学べるので頼もしい限りである。

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2025年1月27日 (月)

2025中学入試動向(39)富士見丘の出願総数 前年を上回る!

富士見丘は、中学の出願状況をサイトで公表。1月27日現在で出願総数は755人、前年比107.1%(昨年の出願総数は首都圏模試センターのデータによる)。昨年をこの段階で上回った。2023年が487人で2024年が705人(同センター調べ)だから、指数関数的に増加。その理由は言うまでもないが、とにもかくにも破格のグローバル教育であることは大きな要因だ。

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(写真は同校サイトから)

★しかし、帰国生はすでに気づいており、一般生もようやく気づき始めたことがある。それは理数教育がグローバルだというコトなのだ。

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(写真は同校サイトから)

★どういうことかというと、米国の大学の進学準備をするためにSATの学びの環境も整えているからなのだ。SATの理数科目を指導する同校の先生方は英語も堪能なのだ。

★教師不足の時代にもかかかわらず、教科に関係なく英語が堪能であることが教師採用の条件の1つなのである。要するに、学内は日本語と英語の両方が公用語なのである。そもそも、校長と副校長のお二人の英語力が卓越している。

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2025中学入試動向(38)文大杉並の出願総数 過去最高だった前年を上回る!

★1月27日現在、文化学園大学杉並の中学入試の出願総数は、1612人で、前年比113.8%(首都圏模試センター調べ)。同校の中学の出願総数は前年度が過去最高だった。多くの学校が横ばいになれば今年はまずまずという出願状況。出願総数は昨年に届かないが、実受験者数は横ばいというところが多いだろうと予想するが、その中で文大杉並は出願総数そのものの勢いがよい。当然実受験者数も増えるだろう。

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(写真は同校サイトから)

★その理由はもはや説明するまでもないが、最終的に総数が高どまったところで、コメントしたい。今はただただ驚きである。ああ一つだけ。心理的安全は静かなのとダイナミックなのがある。今年の心理的安全を好む受験生はダイナミックな方を選んでいる可能性が高い。文大杉並はダイナミックな心理的安全。

★この心理的安全は、実はこの時代どこの学校も対応しなくてはならないが、ダイナミックで元気な心理的安全が好まれているような気がする。

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2025中学入試動向(37)女子美の出願数 前年を上回る

★1月27日、女子美術大学付属中学は、初日出願から1週間で、前年を上回る。2023年から右肩上がり。アートの知性と感性の時代。

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2025中学入試動向(36)新渡戸文化が中学入試市場で支持されることの意味

★1月24日現在で、新渡戸文化の中学入試の出願総数の前年対比126.1%(首都圏模試センター調べ)。同校は、ピラミッド型組織づくりではなく、教師も生徒も共に学びの場、未来の自分のイメージを創る対話型組織づくりをしている。

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★このような対話型組織づくりをしている学校が中学受験市場で支持されるようになると、リベラルで平和を求めた新渡戸稲造はきっと喜んでいることだろう。

★新渡戸稲造が関係している学校に、恵泉、普連土などもある。普連土のようにクエーカーの学校でなくても、その精神的継承をこれらの学校は今も続けている。

★新渡戸稲造のこの精神を引き受けた弟子たちが、戦後の教育刷新を導いた。その精神が今再び中学入試市場で生き生きしてきたとしたら、倫理資本主義はなんとかなるかもしれない。

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2025年1月26日 (日)

2025中学入試動向(35)工学院の中学1年生が送るエール ホッとする瞬間

★いよいよ今週の土曜日から、東京・神奈川の中学入試が始まる。出願の動きがラストスパートにはいる週だ。工学院の田中歩教頭によると1月23日現在で、出願実数は昨年比、97.4%になったそうだ。同校は例年追い上げ型の出願の動きをするが、今年もそれは変わらないようだ。昨日1月25日(土)に行ったオンライン説明会も、半数以上が新しい参加者だったということだ。昨年の出願実数を超えるのは見えてきたのではないだろうか。

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★それにしても、感動的なのは、その説明会で流された同校の中学1年生の受験生に向けた応援メッセージ動画。田中教頭によると、中学のIBLの授業は全部担当しているので、全員のことを把握している。そのため、限られた時間だったが、中1生に受験生にエールを贈ろうと呼びかけると、すぐに集まって、協力してくれたということだ。

★全部で、2分満たない一瞬のエールだが、元気がもらえるし、この時期不安に思っている受験生に安心感を抱かせるのに十分だ。それに1年後の自分の姿の見通しを先輩たちをロールモデルに感じ取れ、モチベーションも燃えてくるだろう。それに生徒1人ひとりの普段着の笑顔がいい。

★瞬間の動画表現なのだが、短時間で全員がフリップボードにメッセージを書きこみ、何気なく語っている姿に、ふだんから授業で活用しているのが伝わってくる。PBL型の授業やイベント、プロジェクトがたくさん躍動している工学院だから、パソコンも、フリップボードも使うのは日常のことだ。つまりサイバースペースとリアルスペースのハイブリッドな学園生活を送っていることがわかる。

★動画の中で、英語でエールを贈っている生徒もいるが、これはラウンドスクエア加盟校からの留学生だろう。25日という入試直前の説明会がオンラインで行われたことは、受験生・保護者への配慮や気遣いが感じられる。インフルエンザも流行しているし、直前の入試への仕上げには、大切な土曜日の時間になるからだ。そして学内も中学入試、高校入試、大学入試で多忙な中で、このような動画を創ってしまうエンゲージメントの心(学校組織と教職員・生徒1人ひとりが成長の化学変化を起こしている状態。セレンディピティが日々生まれている状態ということもできる)が広がっているのに感動しないわけにはいかない。

2分に満たない動画に結晶化するまでの普段の豊かな学園生活とすぐにもアーティスティックな表現を描き切るICT技術。工学院の特徴が高密度に詰まっている。さすがである。

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2025中学入試動向(34)駒沢学園女子 中学入試の健全性のバロメーター

★子供たちの未来への道を開く学校。そうその駒沢学園女子の中学入試の出願総数が、1月24日時点で昨年比98.8%まできた(首都圏模試センター調べ)。後1週間で入試日を迎えるから、超えることは間違いない。今年は、どこの学校も出願はまだまだこれからという状況の中、同校の勢いがよい。自分の子どもの未来の道を開く学校はどこかという軸で学校選択をする傾向があてはまるのが同校だ。同校の出願が増えるということは、中学入試市場が偏差値競争にあけくれなくなった、つまり浄化されつつあることのバロメーターである。

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(写真は同校公式のサイトとインスタから)

★<Open the way to the Future. >というすてきな写真が、サイトで広がっているが、2つの<the>から先生方と在校生の覚悟があふれてくるように感じる。

★そのあふれでる命の泉は柔らかく温かい。インスタで、毎日のようにこの柔らかさや温かさが伝わってくる在校生による応援メッセージ動画が流れている。1分間前後の短い動画だが、普段からグローバル探究をベースにプレゼンテーションが行われているから、実に自然だ。それに1分間スピーチというのは、短いようで、魂の言葉を一瞬に伝える力がある。

★駒女に対する自分の思いと待っているよという心から迎える準備を先輩たちが呼びかけている。

★知性と感性のバランスが未来の道を開く。その自然体の姿がなんとも心地よい。

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2025年1月25日 (土)

2025中学入試動向(33)冒険する組織×対話型組織の学校はいくつもある

★安斎勇樹さんの新刊「冒険する組織のつくりかた」を読んだ。例によって瞬発読みで、著者には申し訳ないのだが。ただ、魅力的だと思った。21世紀型教育を促進している学校には2つの流れがあるが、冒険する組織×対話型組織づくりをしている学校がいくつもある。生徒と教師がそれぞれの価値を生みだし、学校も社会と協働して新しい価値を生みだすウェルビーイングな学校があるのである。どこか?

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★それは、本ブログで紹介している学校の中にある。安斎さんの発想は、そのような学校組織のダイナミックで普遍的マインドは何かを問い続けている学校のあり方と親和性があると感じた。

★図式化されていて読者主観読みができる好調。学校選びに迷ったら是非読んでいただきたい。もちろん、学校経営者や若き教員にも。

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2025中学入試動向(32)三田国際科学学園について 超中高一貫教育

★昨日、新年度が始まる4月から三田国際は「三田国際科学学園」と校名を変更する。同学園の学園長大橋清貫先生のお話を傾聴した。なぜ校名を変更したかについて語られたが、実はその背景に、日本の教育を転換させる仕組みを具体的に同学園の組織マネジメントと教育改革で示唆している。三田国際科学学園委ついて、学園長自らが詳しく語る場面は意外と少ないので、ご覧いただくと、知っているつもりだったが、こんなに凄い学校だったのだと目からウロコ状態になるだろう。

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★6年間で、好きな研究をはじめ、スポーツなどで身体も鍛え、自分が溌溂と生きることが結果的に社会に貢献することになる自信をがもてるそんな成長を描きながら学園生活をおくれる。

★したがって、もはやいわゆる中高一貫教育を超絶している学校になり、他校と比較のしようがない優れたそして豊かな学び=研究に没入できる知の空間が広がっている。実際いわゆる御三家級の学校に入れる成績の受験生が、教育と研究の違いにピンときて同学園にチャレンジする生徒も増えている。

★科学関連の施設も新しくできる。日本の教育の転換を美智ぶく期待が大きい。

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2025年1月24日 (金)

2025中学入試動向(31)幾つかのカトリック学校の理事長・校長

★今月になって、聖光学院、カリタス女子、聖ドミニコ学園、サレジオ学院、聖パウロ学園の理事長あるいは校長、理事とお会いする機会があった。ミッション×パッション×クエスチョン×イノベーション×コンパッションの塊のような方々だった。

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★聖光学院の工藤理事長校長とは瞬間的に対話しただけだったが、なぜか2月のあれですよね、そうそうそれ頼むねえ!とガハガハ笑いながら。年に1回お会いするかどうかだが、情報の流れをつかんでいる先生だ。さすが。

★カトリック学校全ての理事長・校長とこのように一瞬にしてコミュニケーションができるわけではないが、今月お会いした先生方は、全く違う話をしながら、根底で世界の痛みを共有して対話ができるのは、不思議な感じだ。

★私はどちらかというと直球で話してしまうので、考えてみれば迷惑な話だ。理想と現実の間を実践している方々だから、静かな情熱が私とは違う。反省しなくては。

 

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2025中学入試動向(30)青山学院 昨年の出願数を上回る

★2025年2月2日は日曜日、そのためプロテスタントの学校である青山学院は、入試日を2月3日にシフト。1月23日現在ではやくも昨年の出願数を上回る。2月3日だから増えたのか?いやその影響は多少あるかもしれないが、2月3日校のほとんどはまだこれからという状況。2月3日適性検査実施の東京の公立中高一貫校は、軒並み出願数は減っている。駅伝で有名な青山学院だが、実は新しい学問や大学入試にチャレンジして大学そのものが勢いがある。国公立、早慶上理・・・などという固定的なイメージを払拭して、大学の価値を良い方向に導く期待が高まっているのかもしれない。

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2025中学入試動向(29)女子美 もうすぐ昨年の出願数を上回る

★1月20日に出願を開始した女子美術大学付属中学校は、23日現在で、昨年を上回る勢い。美学とアート思考とアート技術は、AI時代にこそ必要になる。そして女子校の重要や役割としてのジェンダーバイアスを乗り越え払拭するイノベーターの育成。受験市場がこの価値を支持しているということに希望がある。

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2025年1月23日 (木)

2025中学入試動向(28)たしかに学校選びは変わりつつあるようだ

★すでに中学受験業界の多くのシンクタンクが、必ずしも御三家だから受験するという時代ではなくなった。自分の子どもの成長に適合する学校を選ぶようになったのだと。厳しさとかプレッシャーとかオプレッションとか楽しさとか心理的安全とか、これらは子ども1人ひとりの捉え方や感じ方によって違う。とても主観的なものだ。従来だと、主観的なことは我慢して、客観的な指標で学校を選ぶというのが一般的だったかもしれない。しかし、そうではなくなったのかもしれない。

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★たしかに、いわゆる御三家とかそれに準ずるが校は昨年と比べてみると減っている。とはいえ、学校当局にとっては、定員は確保できるのだから問題はない。ただ、上記のように、2月1日だけ入試日を設定している男子校は、受験生は分身の術を使えないから、ほぼ実数計算ができる。

★すると、上記の表の学校の出願数の昨年比は、ー138人で、96.4%。微減とはいえ、138人がこれらの学校を選ばなかったということなのだ。いや慶應普通部は選ばれたが、プラスマイナスゼロではないから、すくなくとも138人は、他の学校を選択したのだ。首都圏の中学受験生はざっくり5万人だし、定員100人前後の学校も少なくない。

★したがって、この138人の行方は、学校選択の傾向を考える際に、無視できない。

★では、栄光や聖光にその分回っているのかというと、現段階で、両校の出願数は昨年を上回っていはいない。

★では、すべての学校が増えていないのかというと、そんなことはない。

★中学受験生は、最終的には、自分の学びで通用する学校で、自分の成長物語を豊かに描ける学校を選ぶということになっているのではないか。

★いくらでも大学の選択肢はある。キャリアデザインもライフシフトの時代である。

★それに、6年後大学入試はさらに大きく変化している。大学にそもそも行く必要があるのか。いったん社会に出て、また大学にチャレンジするということも可能な時代になっている。

★ただ、そのような価値の多様化に対応できる柔軟な自分になっている必要はある。自分の内面に自分以上の自分が生成されるような能力を身につけておく必要はある。互いに励まし合う仲間を作るコミュニケーション能力も大事だ。個別最適化と協働的学びの一体化という表現には、どことなく外から作られる雰囲気が漂ってならないと感じているのはわたしだけかもしれないが、自分で自分以上の自分にチャレンジする仲間を自ら掴みとることができるかどうかが根本的な人間力で、それはAIにはできないだろう。それをもできるようになると嘯く人もいるが、もうその時は人間は人間として存在していないだろう。今更ながら人間とは何者か?議論する時代がやってきた。

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2025中学入試動向(27)国士舘が人気の意味は何か?

★国士舘の人気は今年も続く。1月22日現在で出願総数の昨年比は、102.7%(首都圏模試センター調べ)。御三家をはじめ、難関校が昨年比微減という今年の動向。ほとんどの学校が出願期間をたっぷりとっているので、1月31日まで、出願数はじわじわと増えるという傾向。現段階で昨年を上回るところは多いとは言えない。そんな中で、同校は上回る。2023年の出願総数131人→2024年が510→2025年が524。しかも今年はまだ22日現在だから、これからまだまだ増える。この人気の理由は?時代の胎動と関連するとみることができる。時代の流れを、生活世界の中では無意識層で起動している場合が多い。学問的裏付けは、学者に任せ、市民感覚で考えてみよう。

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★パンデミック後、医療関係や救急救命、警察など公衆衛生、公共的場でリーダーシップを発揮するエッセンシャルワーカーの重要性は、遠くの出来事ではなく、生活世界の中で私たちは実感できた。パンデミック後も、世界は地政学リスク、気候変動リスクなど、都市生活に被害を与える危機感は高まるばかり。そこに生成AIの登場だ。この領域における対応や問題解決は、生成AIロボティクスを活用して、そのエッセンシャルワーカーの仕事の精度を挙げていく期待がますます高まっている。

★そして、この仕事は、テクノロジーの駆使だけではなく、人間の「道」というマインドが欠かせない。

国士舘の教育と生徒の未来のキャリアデザインは、この時代感覚とシンクロしている。入学して吉田松陰の精神が、近代日本を生み出す原動力の1つであったことを学び、日々、剣道、柔道、茶道、書道という「道」の中で、自分以上の自分を自分の内面い見出していく。

★授業などの学びもこの「道」を自分軸として深めていくコーチング体制がしっかりしている。

★そして、このような教育環境デザインだけではなく、1人ひとりの学びの状況メンタルモデルの状況を丁寧に観て、指導するフィードバックとトレーニングする教師のパッションがある。教師も「道」の人なのだ。

★環境が生徒を主体的にし、さらに1人ひとりの道をサポートするコーチングやメンター制度。

★主体性が生まれる環境を整えるだけでは、すべての生徒が自分の道を適えることはできない。教え込む環境でもそれは同じだ。

1人ひとり痒いところに手が届くコーチングやメンターの体制が必要だ。

★多くの学校は、主体性が生まれる環境デザインをして、自立学習者がたくさん生まれる確率をあげようとするだけで終わる。確率を上げるためには、高い成績の生徒を入学時から囲い込むことによって行ってきたのが従来の選抜試験だ。

★しかし、国士舘は、どんな生徒も主体的になることは重要だから、その環境を整えるが、さらに1人ひとり丁寧に面倒を観る。

★だから、生徒は人間力も学力も伸びていく。そして「道」を歩んでいく。AI社会において、「道」が重要なのは、たとえば、GAFAMがZENや哲学コンサルタントを活用しているところからもすでにわかっていることだ。

★このような時代のウネリは、しかしながら、今や生活世界の中でも実感できる。時代の深層構造を学問的に掘り当てることは重要であるが、一市民でも生活世界の中で感じ取ることができるようになった。国士舘の人気の重要な意味は、そこにあるのではないだろうか。

【参考】

国士舘中学校 夢なき者に成功なし 精神的柔軟さと確固たる土台(1)

国士舘中学校 夢なき者に成功なし 精神的柔軟さと確固たる土台(2)

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2025年1月22日 (水)

2025中学入試動向(26)私立中学が教育の価値を共に創る東京私学教育研究所

★中学受験生のみなさんは、中学受験市場の中で日々努力をしています。そこは偏差値という競争の場で、あたかも学校が偏差値によってランクづけされ、学校同志偏差値競争をしているかのように見えているかもしれません。しかし、それは違います。競争しているのは、民間の塾同士です。それは資本主義社会ですからそのような競争市場があってもちろん構いません。しかし、東京の私立中学高等学校協会は、一丸となって教育の質を高め、価値を豊かにしています。その根拠があってこそ、助成金を獲得したり、所得制限撤廃による学費軽減が確立しています。

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★中学で10万円、高校で48万4千円の授業料支援が東京都からなされているのは、協会が都と対話をし、子供たちの未来に希望を生み出す価値ある教育を行っていることを丁寧に説明し、要望し続けているからです。

★もし、学校同志が偏差値競争をして、協力しなければ、そのようなことは起きないどころか、中学受験市場そのものが縮小していくのです。今、学校選択で迷っている方がいたら、学校選びの基準を東京私立中学高等学校協会で共に励まし合っている学校の姿を振り返ってみてください。今まで気が付かなかった大切なものがそこにはあるはずです。

★この私学の教育の価値を高め合うために、毎月のように多様な研修が、東京私学教育研究所で企画されています。企画するのは、各学校から集まった先生方で構成する委員会です。

★たとえば、若き教員と委員の先生方が一堂に会して、OSTという対話型のイベントを行い、互いに情報交換し、励まし合い、新しい価値ある教育を創出する研修を行ったりします。

★メディアが流す、教育のネガティブファンタジーを払しょくするために、学校を超えて先生方が集結して絶望を希望に変えるミッション×パッション×クエスチョン×イノベーション×コミュニケーションのある意味ワークショップを行います。

★そのほかどのような教育研研修が行われているのか、ぜひ東京私学教育研究所のサイトをご覧ください。選択肢の幅や視野が広くなると思います。

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2025中学入試動向(25)新たな私立中学の動き まだ気づかれていないというか興味を持たれていない動き 教育産業にも新たなチャンス

★今年の中学入試は、脱偏差値だとか、併願校の考え方が自分の子どもの成長に適合する学校を積極的に探す傾向になってきたとか、話題になっている。その背景には、まだ気づかれていないというか関心がもたれていない動きがある。もちろんムーンショット目標や東京2050年代構想とかAI教科が都立高校に選択教科として設置されるとかいろいろ言われているのだが、それがまだ点で線や面としてつながって教育界に広がっていない。

[Spaceship Earth Intelligences]

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★すでに古い表現になってしまったけれど、今一度宇宙船地球号に関するタレント・テクノロジー・トレランスという3Tイノベーションが重要になってきた。イメージ図がこれでよいのかどうかわからないけれど、電車の中で降りてきたので、描いてみた。

★これに気づいているのは、幾つかの私立中学と首都圏模試センターの山下さんと北さんなど。21世紀型教育を創り出したメンバーだし、新タイプ入試を広めたメンバーだし、大学入試に適性検査型と思考力型の入試を2027年に向けて影響を与えたメンバーだ。

★意外と気づかれていない。やがて、また大きなウネリとなるが、学校だけではなく、教育産業全体のシーンも変わる。そのイメージがついている人とそうでない人のギャップを今後埋めていく必要があるが、埋める必要があるのかという問題もでてくる。気づかない人は気づいている人の言動を非難するのが世の常で、にもかかわらず、そのギャップをどちらが埋めるというのだろう。双方が協力すればよいが、そうでない場合、どうするのか。それはともかく、2030年、今年の中学受験生が高校を卒業する直前に、日本が変わらざるを得ない状況になっている。さて、どうするのか。

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2025年1月21日 (火)

2025中学入試動向(24)女子美の出願はじまる

★昨日1月20日、女子美術大学付属中学校の出願初日。多くの東京私立中学の出願初日が1月10日であったのに、同校は余裕の出願日程。それもそのはず、初日ですでに。出願総数の倍率は4.1倍。すぐにも昨年を上回る勢い。

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(女子美術大学大学院出身のアーティストの作品)

★勢いがよいから出願日が20日からでよいというわけでもない。他の学校と違い、知の美、心の美、芸の美の三位一体教育を行っている独自の学校は他にないから、10日に出願日を設定しようが20日に設定しようが、女子美を受験する生徒はほとんど女子美が第一志望なのだ。

★しかも、将来絵画、工芸、デザインと別れていくことをすでに小学校6年の段階で見通しを立てているのだ。もちろん、途中で思い悩むけれど。特に中学生の女子の憧れの職業は、イラストレーターだったりするから、受験者数は実に多い。

★それに海外に目を向ければ、たとえば、ロンドン、ニューヨーク、シンガポール、台湾などは日本と決定的に違いアート市場が確立されていて、女子美の大学卒業後、海外大学で学んで、世界で活躍するアーティストが輩出されてもいる。

★また最近では、STEAMとよばれ、工学部もアートを必要としている。MITやバンドン工科大学など、工学系の大学の中にアート関連の学部がある。最近では生命科学とアートがコラボするというウネリもある。

★日本では、まだまだアートでは生計を立てるのは一苦労だ。しかし、世界は違う。世界の富裕層がスポンサーなのであるから。それがよいかどうかは、アート資本主義と呼ばれているからアーティストたちも矛盾をかかえながらアート活動を行っている。そしてパラドキシカルにも、その難問こそがアート作品のテーマになったりしている。

★いずれにしても、世界でアート市場が金融市場のように活性化していることは、日本の教育環境ではなかなか気づけない。しかもグローバルアート英語は、やはり美大出身者でなければ理解できないこともあり、多様性のアートコラボレーションを伝えるのは、英語の堪能な美大出身者の場合が多い。

★もちろん、テクノロジーやエンジニアリングもアートの世界ではフュージョンしている。知らないのは、日本の教育界。にもかかわらず、アートベースのHTHやグリーンスクールには憧れる日本人。やはり日本は不思議の国なのだろうか。いずれにしても女子美は、かなり先進的な世界制作知の拠点である。

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2025中学入試動向(24)駒沢学園女子生の応援メッセージ 柔らかく温かい

★中学入試直前、受験生は身体とメンタルのコンディションを整えることが重要だが、不安を払しょくすることが身体もメンタルをも良好にするコツ。不安を払しょくする方法は様々あるし、塾の先生方が、豊富な経験から効果的な方法を編み出し、コミュニケーションをとってくれるだろう。そう心理的安心安全を生み出すコミュニケーションという声が響く場は、なんといっても心が穏やかになる。そして、塾の先生だけではなく、それが私立中学の先生や在校生からの祈りの声ならなおさら不安は収まり、希望に向かうでしょう。どうやってそのような声を聴いたらよいのか?そう思ったら、駒沢学園女子の生徒による応援メッセージをぜひご覧ください。

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★まず1つはYoutubeで見ることができます。

★もう1つは、インスタグラムで、毎日生徒の皆さんが応援のメッセージを語ってくれています

★1月20日現在、同校の出願総数は、昨年をもうすぐ上回る勢いです。

★応援メッセージを贈っている生徒の皆さんの柔らかく温かい心根がウェルビーイングな学園生活そのものだなと感じます。AI時代にあって、何より大事なのは心のふれあいでしょう。

★実際GAFAMのような日々AIテクノロジーの開発競争をしている中では、ZENが大事にされています。また、同校が行っているグローバル探究をはじめ様々なプロジェクト、ある意味坐禅や永平寺研修などもプロジェクトさながらですが、このような探究型学習の肝は対話やディスカッションです。そしてコラボレーション。柔らかく温かい心の触れ合いが心理的安心安全の場をつくり、そこからイノベーションやクリエイティブな発想が生まれます。

★今GAFAMのような企業が大きく変わろうとしているのは、この心根をいかに受け入れることができるかです。AIによるロボティクスの暴走を抑えるには、この心根が重要だといわれています。

★パラドクシカルですが、AI社会だからこそ、本来の人間の在り方が希求されています。つまりKOMAJO-MINDが求められれているのです。

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2025中学入試動向(23)生徒が成長し続ける私立中学の仕掛け 今だからこそ「PBL×X」

★学校選択に関して、すでに志望校は決まっている時期であるが、まだ迷っているということもあるかもしれない。学校選択において、いろいろな視点があるが、その中でも自分の子どもが中高で成長し続け、卒業もそれを続けられるような学校で、自分の子どもに適いそうだという視点は重要だ。入学後、マッチングがうまくいかなかったかもしれないと思う場合もあるかもしれないが、それは他者と比べて色々判断する習慣がついているとそうなりがちだ。選択する時に、「自分の子どもの成長に適合するか」と「子どもの内面のその子ども以上の子どもの姿を見つめること」が大切なのかもしれない。もちろん、すべては出会いだから、これこそだという選択視点はない。だから多角的にみることが必要になる。

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★ここでは、その中の成長という視点で考えてみたい。というのも、認知能力だけではなく非認知能力が大事だと最近よく言われているが、これは成長にとても大事な視点である。

★では、どうやって非認知能力や認知能力が豊かになっていくのか。それは達人としての教師との出会いがあることが重要であるが、それは全ての教師がそうであることは現実難しい。ベテランもいれば新卒の教師もいる。だからといってベテランが達人かといえばそうとも限らないし、新卒の教師が達人ではないとは限らないのだ。いっしょに走りながら生徒が成長していく姿を見守る新卒の教師だって実際いる。そして、その過程で急速に成長する生徒と教師。

★世代にかかわらず、そのような教師を採用するシステムという仕掛けを持っている学校かどうかは「成長」の学校選択視点にとって重要だ。

★それともう一つは、日々の学園生活の中に生徒が成長し続ける仕掛けとか仕組みが巧まれているかだ。それが「PBL型授業×X」なのである。PBL型授業だけでは、仕掛けとしては少し不足していることがある。とはいえ、PBL型授業を行っていると自然とXなるものが生徒の内面から生まれてくるのだが、そのPBL型授業という体験を通してでてくるものだから、気づく生徒とそうでない生徒に分かれてしまう。気づかなければ、一方通行型の授業の方がためになると思ってしまう生徒も出てしまう。

★したがって、PBL型授業を通してどの生徒も成長していく仕掛けとして、いくつかの言葉がある。「メタ認知」「心理的安全」「学習者中心主義」「マインドフルネス」「礼拝」「坐禅」「フィードバックループ」「リフレクションループ」「メタ対話」「瞑想」「茶道」「道」「チャレンジ」「共感」「チームワーク」「メンタルモデル」「自己マスタリー」「ミッション×パッション×クエスチョン×イノベーション」などなど。

★これらは、言葉や意味は違うが、幾つか組み合わせて、PBL型授業のプロセスの中に埋め込まれている学校がある。たとえば、文大杉並はDDコースで有名で、これはわかりやすいから実に人気の高い学校だ。すでに昨年を超える勢いの出願数。そして、このDDコースやそのエッセンスを学内に広めているのはPBL活動だ。「ミッション×パッション×イノベーション×感動」を埋め込んでいる。

★工学院も今年の入試で、出願数は日に日に多くなっている。学習者中心主義のPBL型授業と探究論文、グローバルプロジェクトという世界各地でアントレプレナーシップを発揮する活動は有名だが、学習者中心主義、心理的安全、対話、そして、ミッション×パッション×クエスチョン×イノベーション×コミュニティシップなどが埋め込まれている。

★和洋九段女子も今年の入試で、出願数は日に日に多くなている。PBL体験授業は毎回好評で、同校のすべての授業はこのPBL型授業。心理的安全、対話、そして、ミッション×パッション×クエスチョン×イノベーション×マインドフルネスなどが埋め込まれている。

★聖学院もやはり出願数は日に日に多くなっている。「礼拝」「聖書」という自らの内面を宇宙から観る視座が養われるのが背景にあり、そのうえでICEモデルPBL型授業を確立。「ミッション×パッション×クエスチョン×イノベーション×コンパッション」などが埋め込まれている。

★そして、このPBL型授業を通して、この4つの学校の教師も生徒も成長し続ける魂が生まれてくるファシリテーターやメンターやプロデューサーとしても育っていく。特に、フラット、フリー、フレンドシップという3f精神を内面からこんこんと生み出し、世界の痛みをクエスチョンとして鷲づかみにし、解決への道を世界を巻き込んで歩んでいく。肩書きリーダーではなくナチュラルリーダーして羽ばたいていく。

★この3f精神をリフレクションループによって内面に燃やし、世界の痛みをクエスチョンとして鷲づかみにする「ミッション×パッション×クエスチョン×イノベーション×n」を「世界制作知」と呼んだり「生命知」と呼んだりする。それが図の個人と宇宙をも含む全体を観る視座。この視座が、常に人間の周りを囲むそれぞれの世界層を一つ一つ乗り越えて、宇宙から自分を眺める世界を創出する智慧を生み出していく。

★ちょっと壮大だが、そのくらいイメージをワクワクとして膨らませるようになるとウェルビーイングは訪れる。入試直前の不安な気持ちをポジティブな気持ちに変換することを祈っている。

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2025年1月20日 (月)

2025中学入試動向(22)千葉エリア私立中学入試始まる

★本日1月20日から、千葉エリアの私立中学入試が始まる。入試日1月20日から23日までの学校で、出願数が200人を超える学校を抽出し、出願数順、昨年比順で並べてみた。データは1月18日現在の日能研倍率速報から。

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★千葉エリアの私立中高一貫校の人気校は常連が並んでいてある意味安定している。その中で、日出学園、昭和学院グループ、和洋国府台、流通経済大附属柏、千葉明徳、麗澤、東邦大東邦、芝浦工大柏などが昨年対比100%を超えている。おそらく隔年現象だろうと思うが、大きく分けて新しい学びにかなり前のめりのグループと新しい学びも試みながら確固たる大学進学に重点をおいているグループと二つに分かれている可能性が高い。

★どちらのグループも、新しい学びの環境と大学合格実績両方に関心が高いが、価値志向として、重みづけがどちらに傾くかという違いだとは思う。従来は後者の価値志向が市場では高かったが、今は両者の均衡が保たれているのが千葉エリアの特徴なのかもしれない。

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2025中学入試動向(21)八雲学園 安心して大きく成長できる破格のグローバルな世界の教育環境

★先週の金曜日、GLICC Weekly EDU 第200回「八雲学園ー破格のグローバル教育」で、八雲学園の副校長菅原先生、副校長近藤隆平先生、英語科教諭のボッサム先生の阿吽の呼吸の対話をお聞きした。いつもの同校の教師同士の対話の雰囲気そのままで、聴いていた受験生・保護者は入試直前の緊張を少し和らげることができたと思う。そして、今回の番組のために作成した本邦初の1人の在校生のグローバルな世界に挑戦しながら成長していく軌跡を追った動画は、受験生にとって自分も先輩のように自分の成長物語を描くことができるという安心感と希望をもてたことと思う。

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★リリースしてから2日も経たないうちに100人以上が視聴している。2時間あまりの長時間の対話となったのに、これだけ視聴されるというのは、入試直前に同校の魅力をもう一度感じたいと受験生・保護者が思ったからだろう。入試直前は受験生と保護者は不安になるものだ。不安を払しょくするには、自分の強みを確認し自信を持続することと弱みを最後までトレーニングする努力の体感と私立学校の先生方の心理的安全を生み出すコミュニケーションの状況を体感し、そこから成長している実際の在校生に出会うことで、希望を胸に灯すことだ。

★今回のGWEの動画は、その役割を十分に果たしている。八雲生のグローバルな世界に挑む成長物語については、ぜひその軌跡をわが子のことのようにいっしょにたどれる動画を見ながら3人の先生方の愛情ある対話をご視聴していただきたい。

★先生方の対話を通して、最後に今年の中学入試のトレンドの5つの項目について、いかに八雲学園がそれらすべてを満たしているかをまとめる話をしたので、その5つのを列挙しておきたいと思う。

➊併願の考え方が変わる 積極的に自分の子供の成長が適う学校
 →八雲は非認知能力と認知能力の両方が育つ環境

➋英語入試・英語資格利用入試・新タイプ入試など多様なチャンスを設けている学校
 →八雲の入試は生徒の才能を引き出す多様なチャンスを設定

❸グローバル教育×STEAM×Aをベースにする探究(PBL)の教育環境デザインをしている学校
 →八雲のグローバル教育は破格・質量ともに文化体験は充実・アウトプット型授業チャンス多い

➍生徒の才能を開花する良質の高大連携を実施している学校
→八雲のUCサンタバーバラとの高大連携は濃密・UCサンタバーバラは理数系の学部が有名

❺ハラスメントレスの学校
→チューター制度・各種委員会のチームビルディング・多くの外国人とのコミュニケーションのチャンスあり 

★破格のグローバル教育については、首都圏模試センター編集部が受験情報誌shuTOMO1月号「大予測2025年~2027年中学入試」でまとめている「進化するグローバル教育の現在」の章で扱われている第1ステージから第5ステージまでの進化の図を使わせていただいた。多くの私立中高一貫校がグローバル教育を行っているが、八雲学園のように第5ステージまで到達している学校は数えるほどしかない。

★そして、そのステージは、生徒の成長の軌跡にも対応している。つまり、生徒の成長は自分事であると同時に世界とどの段階まで対応しているのかというDNAのように二重らせんになっている。それを見事に果たしているのが八雲学園である。教師と生徒が共にパッションを抱くことによってそれが果たされるということも了解できる今回の対話だった。

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2025年1月19日 (日)

2025中学入試動向(20)文大杉並 人気がとまらない 18日現在で昨年を上回る出願状況 

★文化学園大学杉並(以降「文大杉並」)の入試広報部長西田先生から、メールを頂いた。1月18日現在で、すでに昨年を上回る出願の勢いということである。昨年も高人気で、過去最高の出願数だったけれど、今年はさらにそれを上回る状況だといことだ。特に2科目の出願数の勢いが凄いという。これは中学入試における転機の象徴になると思う。

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(2024年6月12日、同校で行われた「キャリア探究オープニングイベント」の様子)

★というのは、文大杉並に関しては、破格のグローバル×STEAM×PBL授業というAI社会が必要とする学びを早くも確立し、来年さらに先を行こうとしている(このことについてはまだそんなに発表はされていない。2025年4月以降のサプライズとなるだろう)し、それによってこれまた国内外の超難関大学合格実績の飛躍が凄まじい。

★つまり、入学してきた生徒の成長力とその成果が凄まじいというコト。それが4科目に長い時間を注いで努力をするタイプの受験生だけではなく、自分の才能を生かす習い事やスポーツクラブ活動をつづけながら、2科目や英語を学ぶタイプの受験生にもチャレンジできる学校なのであるから、人気がでるのはあたりまえである。受験勉強の多様なスタイルでチャレンジして、6年後大きな翼を広げて世界に飛び立っていける学校は、理想的である。

★西田先生によると、2科目受験生が増えた一つの要因に次のようなエピソードが口コミで広がっているからではないかということだ。

 ある中学生が小学校6年生から習い事と並行して塾に通い、文大杉並に合格。その後、英検5級から始め、中学2年生で準2級を取得、さらにその年の冬には英検2級にチャレンジする。同中学生はある部活の部長も務めながら、塾に通わず学校の授業で英語を勉強し、成果を上げているという。

★そして、このエピソードは、その1人の中学生の例だけではなく、多くの文大杉並生のあるある姿なのだと。

★偏差値という他人との比較の中での受験勉強生活ではなく、自分の中にある自分以上の自分に成長する努力をすることが文大杉並を受験するときから始まっている。このような生活は日々感動体験ができる。その感動体験こそかけがえのない自分の価値を豊かにしていく泉である。入学後はもっと多様な感動体験が続く。

★これから出願数は増えるだろうから、詳しくは入試が終了したところでまた分析してみるが、西田先生からの情報で、2月1日の午前午後の出願数をみただけでも、その勢いのウネリがわかる。昨年は2月1日の出願総数は299、今年は364。18日現在で、昨年対比は121.7%である。

★文大杉並は、中1の段階では、いわゆるコース別にはなっていない。中2からDDコースへ向けてコースがはっきりするが、努力次第でコースの変更はできる。生徒の状況に応じて柔軟に環境を設定できるというのも魅力だ。

★文大杉並の魅力の風が、転機の中学入試をもたらすだろう。

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2025中学入試動向(19)公共・倫理の共通テストから理系に力を入れている学校のカリキュラムの重要性が見えるような気がした 

★本日2日目の大学入学共通テストが行われている。冷え込みも激しいし、インフルエンザなども猛威を振るっている中だが、集中して自分の想いを成し遂げることを祈っている。そういう思いを抱きながら、昨日の公共・倫理の問題を眺めて、ふとこれはいい傾向ではないかと思った。

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(制作はbing)

★というのも、たしかに公共・倫理は、文系を受験す時も、理系を受験する時も共通テストのときしか選択できないケースが多い。しかし、理系の場合は、東大や東京科学大学のように個別入試では社会はないわけだ。だとすれば、理系の場合、公共・倫理の選択が意外と多いのは腑に落ちる。

★みたところ、歴史系の科目より覚える量は少ないし、考えると言っても教科書を読んで基礎知識を学んでいたら、あとは推理するだけで結構得点がとれる。だからちょっと対策をすれば意外と高得点がとれる。

★しかし、そのことより、正義や愛、平和、美などの重要なテーマを学ぶことはAI社会においては極めて重要で、テクノロジーやエンジニアリングの領域で、新たなAIモデルを創発する時、言語学や人類学、哲学、社会学、生命科学などの知見も当然の如く取り入れる超学際系の学問が動き出している。中高時代に公共・倫理のセンスを身に付けておくことはある意味リベラルアーツの学びのような感じではないかなと思った。

★データサイエンスやクリティカルシンキング、帰納法、演繹法、仮説推理法、フーコの思想などに関しても巧みに出題されていて、知識というより推理しながら思考する問題も多々あり、理系の生徒にとっては学びやすい。

★今後理系に力を入れている学校の公共や倫理のカリキュラムがどうなっているか調べてみたいなあとふと思った。

★そして、工学院大学附属中学の教頭田中歩先生が、自ら道徳の時間を担当し、英語と日本語のハイブリッドでIBL(Inquiry based Learning)型授業をデザインし実施していることの意味が、なるほどとピンときた。これが、歩先生が最近よく使っていることば「セレンディピティ」の意味だなと実感。

 

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2025年1月18日 (土)

2025中学入試動向(18)今日から始まった共通テストから中学入試を思う 

★一斉にメディアが、今日から始まった大学入学共通テストのニュースを放送。合格祈願への工夫がなされた番組もあるそうだ。昨年12月に独立行政法人大学入試センターが発表した資料によると、今年の共通テストの受験者数は、49,517人で、前年より3,257人増えたようだ。新学習指導要領になってからはじめての共通テストで「情報」が科目になったという共通テストの変化もあったが、この教科受験を必須にしているところも多い国公立大学入試における評価比率は少な目で、あまり影響がないということで、受験を控えるという影響はなかったようだ。

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★国公立だけではなく、昔からであるが、共通テスト利用入試を私立大学も実施しているところが多数。2024年度の文部科学省の基本調査で、大学進学率の私立と公立の卒業生に対する比率を出してみたが、私立が圧倒しているとはいえ、公立も大学進学率の方が専門学校や就職に進む率よりも多い。

★この傾向は、続くだろうから、共通テストの受検者も多くなるだろう。たんに進学率の推移からだけではなく、AI社会になって、高度なテクノロジーとエンジニアリングが必要になるのは、すでに明らかだし、最近の人工知能は、人間の生命知もインプットされるようになっているから、エンジニアが言語学や文化人類学、哲学、心理学、スポーツ科学、生命科学など経験と理論の両方を必要とするようになっている。

★これらのインターディスプリンは、高校までの教科ではまだ学ばない未知の領域がゆえに、大学に進まざるを得ない。

★しかも、コンピュータサイエンスの世界は英語が必要だ。最近人気の医療・生命科学ももはや英語が必要だ。国内法がベースの法学部でさえも、英語が必要なのだ。したがって、グローバルセンスとSTEAMセンスは中高時代に身につけられることが望ましい。

★実は新学習指導要領はここまで射程に入れているのだが、現場ではなかなか進まない。やはりそこで先行的に進むのは私立学校。特に中高一貫校なのだ。

★上記のグラフで、私立学校の大学進学率は高いが、中高一貫校に絞れば、90%は超えるだろう。

★かつては東大一直線だとか医学部進学が最高だというような「受験戦争」みたいな表現があったが、今は使わないだろう。AI時代にあっては、少数の人間の知の優位性は崩壊する。どこにいようと、知は連合知になっている。大学に入ってから、キャリアシフト自在な時代が日本にもやってくる。特に大学院となれば、学歴は論外だ。研究歴がものをいう。

★とはいえ、まだ学歴主義的な発想は現実にはある。そこを脱しているのが、私立学校の場合が多い。特に今の私立中高一貫校はそうだ。それゆえ、中学入試は、少子化の中にあっても学ぶ環境として志望する生徒が多い。

★さて、しかし、大学進学率が、私立公立合わせると60%前後である日本はこれでよいのかとふと疑問に思う。今やAIをマネジメントできる生命知や世界制作知が必要な時代。一部の人間だけがそれを有しているだけでは、とてもAIの暴走を抑えられない。

★大学は、いろいろな分野でAIを活用する。AIは活用されれば活用される程賢くなる。人間に近くなる。人間は善悪両方持っていて、それをセルフマネジメントしながら生きている。AIもそうならなくてはSFではないが恐ろしいことになる。にもかかわらずAIを使わざるを得ない人間。

★すべての中高生がそれぞれの分野でAIをマネジメントする生命知や世界制作知が必要になる。

★共通テストも、知識だけではなく、推理思考とアナロジー思考を駆使しながら、未知の問いを転移学習しながら解いていくようになってきた。それはそれで大きな進歩だが、思い切って、自分の好きな分野を研究する機会を生徒全員につくる政策をさっさとやったほうがよい。

★そのためには、イノベーション資本主義で経済を豊かにし、贈与資本主義で教育と研究に財力を注ぐという両者を融合した倫理資本主義にシフトするのがよいのだろう。この発想は、私のものではない。すでに渋沢栄一の発想だし、最近ではマルクス・ガブリエルなど。実は養老孟子先生も似たようなことを語っている。脱偏差値の時代は脱GDPの時代。脱GDPとはOne Earth経済の発想。宇宙船地球号の発想。

★そんな未来を作る世界制作知のセンスが生成される環境を私立中高一貫校はデザインしている。無意識かもしれないが、時代を認識するルーティンを確立しているのが私学だから。

★それは、ともかく、中学受験生も、高校受験生も、大学受験生も、頑張って欲しい。

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2025年1月17日 (金)

2025中学入試動向(17)順天 2026年を見据え教育の質の充実 戦略的手堅さ

★先日、順天の副校長片倉先生にお会いした。同校は中学生の1学年の定員を30名増やし120名にした。その分高校は減らした。2026年4月1日から同校は学校法人北里研究所と合併するニュースは2023年末以来受験市場に飛ぶように広まった。片倉先生によると、そこを見据えつつ、いまここの教育の質を充実させているということだ。

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★合併後どうなるか詳しい話は、これからだが、同校の生徒にとって医療・生命科学への道がぐんと開けたことは確かだ。それゆえ中学の3年間の授業は、経験を大事にするPBL型授業をベースにし、高校3年間は、大学の専門的な研究にスムーズに接続できる重厚な知識の体系を学んでいるようだ。

★とはいえ、高校からは一方通行的なレクチャー型かというとそうではない。中高の先生方は全員電子黒板を活用して授業をする(場合におよってはもちろん使わない時もある)。一般的なイメージだと、どんどん電子黒板に情報を流し、生徒がそれを必死にノートし覚えていくという感じかもしれない。

★しかし、順手の場合は違う。問答は当然あるが、教師はiPadにペンで書きこみながら、それが電子黒板に同時に映り、思考のプロセスをリアルタイムに共有できる。そして、生徒一人一台のノートPCも、当然wifiでつながっているから、ダイレクトに電子黒板に自分の考えを映し出してプレゼンできる。

★教師によって、使い方はいろいろだが、デバイスを媒介に協働的な学びができてしまっている。見た目は一斉授業の場合でもサイバー上で対話型になっている。

★片倉副校長は、ICTの活用進化は目覚ましいと。それから、英語の力の入れ具合が破格だ。同校は総合型選抜は1学年20%くらいで、一般選抜の方が多いのだが、総合型選抜にチャレンジする生徒は準1級レベル以上を目指している。英検2級はみな取得する。一般選抜ではこのレベルもまだまだ有効ということもあるが、北里と合併した時、今や医療・生命科学の分野では、英語ができなくては話にならないという。

★文系であれ、理系であれグローバルな活動は必須だという。

★それにしても、この合併が契機なのかどうかわからないが、高校から専門的な学びにシフトしているのは、その影響がないとはいえない。専門的な学びに必要なのは、好奇心・オープンマインド・問いの生成が基本だが、それは中学時代にPBL型授業や多様な経験を通してその土台ができているようだ。

★今年は、順天の中学入試は間口が広がるが、その分高校は狭き門となり偏差値があがる。すると来年度は中学もまたそれに連動する。2026年4月までに、戦略的手堅さで、順天の教育力は、またもパワフルになっている。

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2025年1月16日 (木)

2025中学入試動向(16)富士見丘 今年も人気 帰国生入試昨年対比120.0% 大学年内入試の合格も勢い

★富士見丘の1月15日現在の帰国生入試の出願数は36人で、昨年対比は120.0%(首都圏模試センター調べ)。帰国生の憧れの女子校がゆえにますます人気だ。同校を選択する帰国生の価値志向は、従来型の日本の受験勉強志向ではなく、将来多くの分野かつグローバルな世界で活躍する見通しを立てたキャリアデザイン価値志向である。海外のエスタブリッシュスクールレベルの教育や学びの環境がデザインされているところに魅力を感じている。

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★そして、吉田晋校長は日本私立中学高等学校協会の会長で、中教審など様々な教育行政のワーキンググループで、自らの学校をモデルに日本の善き教育作りに影響を与えている。また、何と言っても、全私学にとって経常費の助成金は大事であるが、国と都に対して交渉や要望をする活躍ぶりは右に出るものがいない。つまり、私学の経営と教育の独自性を維持する守護神である。

★副校長の吉田成利先生も、海外の超名門大学や大学院で学び、Ph.Dも取得し、大学の教授として活躍しながら、富士見丘の破格のグローバル教育のデザインを先生方と行っている。名リーダーである。もちろん、お二人は英語は堪能であるから、現場の教師も生徒も学内公用語は日本語と英語という状態になっている。

★一般受験生の出願総数もすでに倍率10倍を超えているし、英語入試や英語資格利用入試も倍率3倍を超えている。

★そして受験生も気ならないわけではない大学合格実績も、総合型選抜・学校推薦型入試の中間発表がなされているが、慶應や早稲田、上智、国際基督教大学などをはじめ生徒にとって憧れの大学に多数合格している。一般選抜ではないので、合格人数というより進学人数と考えた方がよい。

★今年は、総合型選抜では、英検2級をとっていてもなかなか難しくなったと言われている。しかし、富士見丘はCEFRでB2(準1級以上相当)を目指す生徒がほとんどだからアドバンテージは高い。最終的な結果が楽しみだ。

★富士見丘の教育の大きな役割は、あのバックミンスター・フラーがしばしば語ったトリムタブの役割だ。小さな舵トリムタブで、大きな船の行方を動かしていく重要な役割を果たすことになるだろう。

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2025年1月15日 (水)

2025中学入試動向(15)はやくも昨年比113.6%の立教女学院、はやくも出願を締め切る女子学院

★2月1日に実施される立教女学院の入試の出願数は昨年を上回り、1月15日現在段階で113.6%(首都圏模試センター調べ)。この段階では他校はまだまだここまで追いついていない。一方、女子学院の出願は早くも締切り、昨年比99.7%。2名減少しただけ。他校のように出願締め切りを1月25日以降に設定していれば、昨年を超えるはずだが、そこはあっさり。実は立教女学院の帰国生入試も2月1日だから、他校のようにそれほど多くはない。かつてのように2月1日以前に実施していたらたくさん出願しただろうに。そこはやはりあっさり。要は両校とも複数試験はせず1回しか設けていないので、第一志望者を待っているよというメッセージが込められているのだろう。

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(bing作成。両校とは無関係のチャペルのイメージ)

★それにしても、両校とも超然とした人気。立教女学院は米国聖公会にルーツがあり、女子学院は米国長老派にルーツがある。キリスト教学校の合同説明会などを行ているのだから、それぞれの派の色は前面にはでていない。

★プロテスタントの派を分類するのは、複雑で無理だし、日本にいるとクリスチャンスクールとしてまとめて区別はあまりしない。しかし、これがアメリカとなるとなかなか政治的にも複雑だ。そして、日本ではあまり区別はしないものの、学校文化としては同じプロテスタントでも違いはある。

★立教女学院は米国聖公会。米国の多くの大統領は聖公会に所属。長老派はカルヴァン派だから、改革派である。女子学院では宗教改革に想いをを馳せる礼拝があるぐらいだ。

★そういう意味では、世界の痛みの引き受け方が絶妙に違う。社会貢献に対する考え方が、それぞれの生徒によって違うのだが、グルーピングすると大きな違いがあり、その中で生徒ぞれぞれの個性が生かされている。

★両校とも独自の根源的な学びのベースが確固としてある。それに基づいてキャリア教育が行われている。立教女学院は60%強が立教大亜g区に進み、30%強が他大学に進学する。この30%は、女子学院の生徒に引けをとらない大学に合格していく。

★だから、教育とその成果をみるだけでは、本当はあまり違いはわからない。

★やはり両校の濃厚な建学の精神の違いが創り出している学校の雰囲気の違いが重要なのであるが、客観的に測りようがない。最も重要なところはやはり語り得ない。ただ、この重要なところを持続可能にしているということはとても重要である。

★特にこの2校については、この教育理念の部分を話すことができるから重要なのだ。受験市場は、経済合理性が働くから、虚郁の質の競争を生み出す力もあるが、一方で理念の価値をニュートラルにしてしまう危うさもある。説明会では宗教の話はしない方がよいとか、教育理念の話ではなくパーパスを話して欲しいと受験市場から暗黙の要望があるのも否めない。

★その様な中で、教育理念の話を前面にだしても、両校の高人気は続いている。とても重要な役割を果たしている学校だ。

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2025中学入試動向(14)工学院のハイクオリティで学習者中心主義の教育の成果が今年もはやくもでている

★昨日、工学院大学附属中高の中学教頭田中歩先生、高校教頭奥津先生、進路指導部長鐘ヶ江先生にお会いした。グローバル教育×STEAM×探究(PBL)が循環し、教師あり学習と教師なし学習を統合した学習者中心主義の愛あるそして叡智に満ちたハイクオリティの教育をさらにアップデートさせている学校。しかし、ハイクオリティは目に見えないし、破格のグローバル教育と普通のグローバル教育の差異に気づく眼差しが受験市場でまだ成熟していないので、中学入試は、爆増というわけにはまだいたっていない。しかし、それに気づいた生徒はハッピーである。実際年内入試や海外大学入試で、この段階ですでに成果がでていると聞いた。

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★高校の方は、所得制限がなくなった授業料支援があるので、ますます出願者は増える予想のようだ。AI時代に突入して、理数系の進路が伝統的にしっかりしているし、医療関係の仕事が今後重要になってくることもあって、医学部に進む生徒もでてきた。また国公立大学も合格するようになった。さらに海外大学も安定的に10人以上出るようなった。

★具体的な大学名や人数は、まもなく公開されるというから、それを待つことにして、教育の成果の一つの指標としての大学の実績はでるようになった。

★鐘ヶ江先生と奥津先生は、どういう学習歴を持つ生徒がどういう大学に入るかは既に方程式ができあがっているが、年内入試のパラメータは調整しなくてはならないのが、今後だという。さらに伸びるということだろう。

★田中歩先生も、年内入試の英語の力は、もはや英検2級程度ではなかなか難しくなっているし、理系どいえども英語はポイント。工学院にとっては準1級以上にむけて学ぶ生徒が多いのでアドバンテージが高いと。

★新宿からダイレクトに同校にアクセスするバスがでているぐらいだから、工学院を知らない受験生は、ぜひリサーチしてみてはどうだろう。

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2025年1月14日 (火)

2025中学入試動向(13)これからの私立学校の経営は転機を迎える 親や企業が寄付したくなるような教育の質を磨く経営

★私立学校は学費と助成金で経営の基盤が成り立っている。定員は決まっているから、産業界のように会員商売を行うわけにはいかない。よって利潤はでないようにできている。それなのに儲かって仕方がないと言っている教育者がいるとしたら、それは怪しいということになる。受験生は、実は商品を購入して代金を払っているのではない。資本主義は二つの経済システムが循環している。それは利潤追求のイノベーション産業とそのイノベーションを生みだす才能を開花するシステム。才能開花システムの経済は、その利潤を得た産業界が、自分たちの持続可能性のために、才能開花システムに投資するのではなく、寄付をするのだ。だから、学費は、商品の対価ではなく、寄付をしたくなるような素晴らしい教育であるというのが大前提なのである。

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(Bingによる制作)

★まさか?!と思うでしょう。しかし、AIエンジニア起業家と話をしていて、そして東大の国語の入試問題にでた学者の仲間の文章を読んで、田内学さんの金融教育に耳を傾け、AI関連の論文を読んで、いきついたところは、産業界は、教育の極めて重要な生徒1人ひとりの才能を開花するプログラム開発は、一般化できないがゆえに市場形成ができないから投資をしないということだ。投資をされないから価値がないのではなく、だからこそ価値があるのだという価値の逆転を起こすのが教育なのだと。

★資本主義の商品交換と贈与の相互依存関係が、文化人類学や社会学、歴史学などで語られてきたが、その商品交換と贈与の循環関係を積極的に創ることが倫理資本主義になる。論語と算盤のコンセプトの実現となる。

★資本主義が悪なのではない。贈与が善なのではない。両方の循環というか融合がウェルビーイングなのだ。この循環が起きない時、資本主義も贈与経済も悲劇を生む。

★なんて夢みたいなことを言っているけれど、実際寄付したくなる学校が選ばれるということはあたらずと言えども・・・ではないだろうか。

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2025年1月13日 (月)

2025中学入試動向(12)これからの学校選択のコアはグローバル教育とSTEAMと決定的な要素の融合 海城の大迫校長や日比谷の石坂元校長が示す

★何かワクワクしている。というのも海城の校長大迫先生が、海城学園は哲学の学校だよと生徒がいってくれるとよいなあと3学期の始業式で「哲学のすすめ」という大迫先生自作の詩を朗読したという。大迫先生は、IB教育の一人者であると同時に詩人でもある。銀の鈴社からあの谷川俊太郎さんも出している詩集シリーズから出版している。同社は児童文学関連図書を久しい間出版していて銀座から拠点を鎌倉に移している。シェークスピアの翻訳で有名な評論家福田恒存も創設当時関係していたようだ。

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★大迫先生は、脳科学とAI研究者で一橋大学の講師でもあり起業家でもある松田雄馬さんと共著で書籍を出版している。AI時代にあって「生命知」を人間は学んでいくのが未来だと。未来教育設計図のマニュアルではなく、1人ひとりが創発するプロセスを提案している。

★AIや脳科学を研究していくと、人間とは何かについて自ずと哲学できるという本だ。大迫先生はIBを極めているからTOKという「西洋知」を学び東洋的な発想が抜け落ちていることを知って、それを生命知として捉え返そうという試みだ。

★松田さんは、AIが人間の感情や経験を取り込めないことに気づき、それがゆえに、試行錯誤ができない。失敗という概念がないのだというコンピュータやAIの限界を知る。それゆえ「生命知」が必要なのではないかと。

★大迫先生はIBをリスペクトしながら、IBで見えないコトを、松田さんはコンピュータやAIをリスペクトしながら限界を知ることによって、「生命知」とは何かという哲学に到っている。もちろん、両者とも哲学や文化人類学など広い視野と深い視座を前提に話されている。

★ムーンショットプロジェックトの1つでもある「記号創発システム」プロジェクトを推進している京都大学の谷口忠大教授の論文など読んでいたら、ここでも文化人類学や言語学、フッサール哲学などの記号システムとAIのシステムを対照させながら論じているのに驚/踊ろいた。

★そんなとき、日比谷の元校長石坂康倫先生から、コメントを頂いた。学校に哲学は必要なのだと。そういえば、石坂先生は東洋大京北を右肩上がりにした教育改革者でもあり、カントの研究をしつつも東洋大学の東洋哲学も東洋大京北で浸透させていったのを想いだした。大迫先生や松田さんのいう「生命知」と親和性のある発想だと推察する。

★それに石坂先生は、日本アスペン研究所主催の哲学ジュニアセミナーでモデレーターの役割も果たしている。今は独立して石坂教育研究オフィスで教師の研修や相談にものっている。大迫先生も事務所を開いていたし、松田さんも大学で研究しながら起業している。石坂先生も日比谷や東洋大京北など数々学校の校長を歴任し、現在事務所を開設している。そして、3者とも「哲学」を愛している。

★AI社会だからこそ「哲学」「文化人類学」「心理学」「社会学」「アート」などなどが再び新しいアプローチで時代が要請している。

★STEAMのAは「アート」だけではなく「哲学」「文化人類学」「心理学」「社会学」など学際的な知が必要だということが、校長からもAI研究者からも語られる時代になった。しかもかなり哲学がAI実装し、それが社会課題にダイレクトに接地しているのがすてきだ。フュージョンの時代。

 

 

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2025中学入試動向(11)首都圏模試センター取締役・教育研究所長北一成氏の2025年首都圏中学受験生数の予想

★本日4年生・5年生対象の合判模試(首都圏模試センター主催)が実施されている。前回の合判模試模試から少しずつ、2025年首都圏中学受験者数の予想がされているが、今回の合判模試模試の各試験会場の保護者会で2025年中学入試動向について詳しくトークされているはずだ。同時に同センター発行の受験情報誌「shuTOMO」も模試受験生の保護者には行き渡るはずだ。もちろん、合判模試模試を受験されていない保護者も購入することができる

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★同センターのサイトによると、以下のような目次になっている。

【特集】
これから数年の首都圏中学入試はどうなる?
2025~2027年 中学入試大予測
首都圏模試センター 取締役教育研究所長 北一成
依然 “中学受験ブーム”の続く2024年入試の記録

〈目次〉
2025~2027年の受験者数・受験率はどうなる?
2025~2027年の人気トレンドはどうなる?
男子校・女子校・共学校の人気はどうなる?
公立中高一貫校との併願と新タイプ入試はどうなる?

【特集2】
2025~2027年入試・4教科出題トレンド
時代を反映した長文問題を解くカギがここに!
首都圏模試センター教務部

【私学の魂】
未来を創る探究心を育む「十文字探究 DAY」の挑戦者たち
十文字中学・高等学校
「人を創る」背景に、個性を尊重する校風あり!
成蹊中学・高等学校

【中学受験 お悩み相談室5】
Qギリギリ入れるチャレンジ校と、余裕を持って入れる実力相応の学校。
どちらが子どもにとっていい環境でしょうか?
Q.宿題が終わらず寝るのが深夜になってしまうことも。
どうしたらいいでしょう?
教育ジャーナリスト/マザークエスト代表 中曽根陽子

【進化するグローバル教育の現在】
首都圏模試センター編集部

【STEAM教育の夜明け】
首都圏模試センター編集部

【日々の学びを深め、進路選択の視野を広げる高大連携】
市川理香

【持続可能な22世紀社会への変革 One Earth Project】
2026年新開校の羽田国際中学校
世界に誇る国際教育を実装
私立学校研究家 本間勇人
コーディネーター 山下一

【知れば知るほどいい学校】
安田学園中学校高等学校

【「親子で勝ち取る最高の合格」】
実践セミナー 開催報告
教育ジャーナリスト 中曽根陽子

【中学入試最新情報】

【福原将之の科学カフェ】
教員向け、保護者向け
2026年
中学入試で注目されるAI教育
~生成 AIを活用した授業の必要性~

【大人ってズルい!21】
やる気を出す
株式会社声の教育社 営業部 三谷潤一

【2025年中学入試「予想偏差値」一覧】 

★【特集】は首都圏模試センター取締役・教育研究所長北一成氏が執筆。首都圏の中学受験生の少なくとも30%(市場のシェア率はものすごい)は同センターの多様な模試を活用しているので、北氏は大胆かつ細心の注意を払っていつも予想をしている。どんな予想が書かれているか?その予告編が、AERA with Kids Plus 2024年12月27日の記事<【中学受験2025】女子学院は志願者増の予測も、最難関校はほぼ横ばいか 「中堅層の受験者」が増えているのはなぜ?>で公開されている。

★記事にはこうある。

「首都圏模試センター教育研究所所長の北一成さんによると、首都圏の2025年度の中学受験者数は5万2300人で、24年度より100人ほど減少する見込み。受験率は18.10%になり、昨年度の18.12%からわずかに下がるものの、依然として「18%台」を維持すると予想している。」

★北氏は、「shuTOMO」で2025年から2027年の大予測をしている。そこまでは、少子化の影響もあるが、まだ微弱でも受験者数は横ばいで、受験率はさらに伸びるだろうということだ。ただし、2028年からは全国的に少子化傾向が激しくなるから、そこからはまた来年以降、北氏は予想していくだろう。この少子化にもかかわらず、2025年の中学受験の人気について、記事では北さんの言葉を次のように引用している。

「北さんによると、最近の人気校のトレンドはグローバル教育とSTEAM教育だ。」

★なるほど、それで「shuTOMO」の目次にもグローバル教育とSTEAMのトピクが立てられている。しかも、これは、北氏によると次のような2025年中学入試動向を生んでいるということになる。

「間違いなく中堅のボリュームゾーンが増えています。最難関グループは増加が見込まれるのが女子学院ぐらいで、あとはほぼ横ばいです。低学年から塾に通わなくても、3年ないしは2年間の通塾で入れる学校を選択する家庭が増えています。無理をして難関校を狙うのではなく、わが子にあった学校という視点で中学受験を捉える親が増えてきました」

★この点に関して、同記事では、栄光ゼミナール入試情報センターの藤田利通氏の次のような言葉も引用している。

「最難関だけでなく、2番手3番手校も視野に入れて志望校を選択している印象です。消極的な安全志向ではなく、積極的に子どもにあった学校を選ぶようになってきたと感じます」

★激しい受験競争に絞るのではなく、積極的にわが子にあった学校選びもする。ウェルビーイングな受験スタイルの登場ということだろう。いろいろな選択視点や軸があってよい。偏差値もその一つぐらいに認識するといよい。その多様性が、従来型の受験生によっては不安を払しょくできないキツイ受験になるのを防ぐ。ハラスメントリスクの一環でもある。

★そして、それを可能にしたのが、グローバル教育とSTEAM教育の充実だ。これによって、自分の好きな道を追求できるキャリアを描く確率を高めたのだ。

★そりゃあ、東大にいければ、それはそいれでいいけれど、3,100人くらいの定員に全員合格することはできないのはすぐにわかるはず。もし東大でなければダメなのだという人ばかりだと、エライ競争/狂争になってしまう。それではメンタルはダメージを受けるのはあまりに当然だ。

★だから東大に進まなくても海外大学もあり、国内大学から留学もあり、大学院から東大に進むもあり、いろいろな道を拓く環境のある学校を探せばよいという時代になった。その環境の基本が今やグローバル教育とSTEAM教育の質の向上ともうひとつ決定的な学びがある。

★この決定的な学びについて、海城の大迫先生はズバリ見抜き3学期の始業式で朗々と生徒に説いたということだ。

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2025年1月12日 (日)

2025中学入試動向(10)千葉の私立中学出願状況 価値志向の多様化

★千葉エリアの私立中学入試は1月20日から本格化。20日から23日までの同エリアの出願状況を観る。出願者200名以上で出願数の多い順に並べてみた(日能研倍率速報2025年1月11日現在)。まだまだこれからだが、概ね傾向が分かる。

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★もはや従来と違って、東大合格実績だけの軸で選択されている学校はほとんどない。グローバルと理数教育に力を入れていることが前提になっている学校選択が大勢を占めている。

★そのうえで、大学進学実績か授業スタイルが対話型や新しい学びのスタイルになっっているか。

★芝浦工大柏、専修大学松戸、麗澤の3者が人気も高くなっているのは、大学進学実績と新しい学びのスタイルの授業の統合を図っている教育のあり方に価値を置く受験生が増えてきたことを示唆している可能性が高い。

★統合というのは言うは易く行うは難しなのだが、それに挑戦している。

★わかりやすいのは、統合せずに、3つくらいの柱をそれぞれ充実しパワフルにするというやり方。これは見える化しやすいので、マーケティング的にはうまくいきやすい。

★統合は、質的な付加価値を生み出すが、それは見えにくい。にもかかわらず挑戦する気概と情熱。

★合理的計算か付加価値への気概か。経営判断の違いがわかりやすいのが千葉エリアの私立中学入試の状況かもしれない。どちらがいいのか?それは私事の自己決定だし、価値自由。ただ今からそのような違があることを考察しておくことは、今後の激減する少子化局面における私学のマネジメントの方法及び受験者側の学校の選び方にヒントになるだろう。2027年までは、そこまで深堀する必要はないが、準備のために必要というコト。

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2025中学入試動向(09)サレジアン国際 グローバル、STEAM、PBLの一体化 多くの帰国生にも支持される

★首都圏模試センターの出願倍率速報によると、サレジアン国際の11月から12月に実施された帰国生入試の出願合計数は、99名。昨年比124%。2023年は73名、2024年は80名、2025年99名と右肩上がり。2つのインターナショナルコースと本科コースに分かれているが、本科コースもグローバル教育には注力されているから、学内環境は英語がある意味公用語的に活用されている。対話やディスカッションをベースとしたPBL型授業も行われているから、帰国生にとっては海外と同様世界標準の学びの環境に浸れる。国内生も、留学せずに同校でインターナショナルスクール以上の環境で学べる。帰国生からも支持を得られるはずである。

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実際10月10日(金)に、同校の先生方のお話をオンラインでお聞きした。実際の生徒の活動が多くの動画で観ることができ、21世紀型教育の進化と充実ぶりが伝わってくる。

★グローバル教育、STEAM、PBL、ゼミなどが有機的に循環して一体となっている学びのシステムが、共学化して3年目で確立し、今後は新校舎でも学べるようになる。ぜひ動画をご覧いただき、理想と現実を統合する先生方の情熱を感じて頂きたい。

★2028年から順次小学校から次期学習指導要領が公示されるが、そのような緩やかな改革では、この地政学的リスク、気候変動リスク、ハラスメントリスクなどの複合的世界リスクを乗り越える知性とリーダーシップへの情熱はなかなか育たないことは、学習指導要領の過去の改訂歴史を見ても明らかである。サレジアン国際のように、ダイレクトに世界の課題に結びつき、解決する研究やビジネスを生み出す資質能力というタラントを育てるリーダースクールを時代は望んでいる。

★その期待が受験生が同校を挑戦するモチベーション。ぜひ頑張って欲しい!

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2025年1月11日 (土)

2025中学入試動向(08)1月10日東京私立中学出願始まる 共学校の状況

★男子校と同じ要領で、初日、定員を上回っている共学校を五十音で挙げる。共学の場合、青山学院、工学院、国学院久我山、サレジアン国際、三田国際学園、八雲学園などはまだ公開していないところが多い。

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(文大杉並といえばDDコース。そしてSTEAMプロジェクト)

穎明館・桜美林・国士舘・桜丘・サレジアン世田谷・実践学園・芝国際・渋谷教育学園渋谷・淑徳巣鴨・順天・順天堂大学理数・城西大城西・聖徳学園・成蹊・成城学園・成立・青稜・多摩大聖ヶ丘・中央大学附属・東海大菅生・東海大学高輪・東洋大学京北・日本工業大学駒場・日本大学第三・日本大学第二・八王子学園八王子・広尾学園小石川・広尾学園・文化学園大学杉並・法政大学・明大八王子・目黒日大・目白研心・安田学園

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2025中学入試動向(07)1月10日東京私立中学出願始まる 女子校の状況

★男子校と同じ要領で、初日、定員を上回っている女子校を五十音で挙げる。

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(スクールミッション「忠恕」を内面にもったグローバルリーダーが巣立つ富士見丘の茶室)

桜蔭・鴎友学園女子・大妻・大妻中野・学習院女子・神田女学園・吉祥女子・共立女子・京華女子・恵泉女学園・光塩女子・晃華学園・麹町学園女子・佼成学園女子・香蘭女学校・品川女子学院・頌栄女子・女子学院・女子聖学院・白梅学園清修・白百合学園・玉川聖学院・東京家政学院・東京女学館・東洋英和女学院・トキワ松・豊島岡女子・中村・日本大学豊山女子・富士見丘・富士見・雙葉・普連土・文京学院大学女子・三輪田・山脇・立教女学院・和洋九段女子

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2025中学入試動向(06)1月10日東京私立中学出願始まる 男子校の状況

★昨日10日、東京私立中学出願が始まる。始まったばかりだから、受験者数とか昨対比でデータを作ることはできないが、初日出願で定員を超えている男子校はどこか見ておくことはちょっと重要かもしれない。公表していないところもあるし、締め切りが1月31日までのところまであるので、追い込み型の学校もある。いろいろなのだが、まず初日で定員を超えるということは、その年の勢いを示すものでもある。ただし、歩留まりというのはなかなか読めないもので、競争が激しいところ、ファン層がしっかり集まっているところでは、出願数だけ見ると前者の方が膨大になるが、結果的に定員を確保できればそれでよいわけである。ただ、競争が激しいということとファン層がしっかり集まるということは、受験者の価値志向性が違うはず。この時期、私立学校研究家として倍率速報を見ているのは、私の独断と偏見にすぎないのだが、価値志向性の違いを調べるためでもある。価値志向性は、時代を動かす理由の一つだからで、時代の変化の機微に気づける。

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(聖学院のチャペル。受験生を見守る希望の光を放っている)

★複数入試を実施しているところも多いので、入試回数の3分の2以上の出願数が定員を上回っているところを五十音順で列挙する。1月10日の出願数判明分(日能研倍率速報2025年1月10日現在)から。

麻布・足立学園・海城・開成・暁星・攻玉社・佼成学園・芝・城北・聖学院・東京都市大付属・日本学園・日本大学豊山・本郷・武蔵

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2025中学入試動向(05)埼玉私立中学入試2日目 大手メディアの表現にちょっと驚く

★本日11日、埼玉エリアの私立中学入試2日目。インフルエンザだけではなくいろいろな病気が流行っているので、コンディションを整えて中学受験生はがんばってほしい。今回も日能研倍率速報(2025年1月11日現在)のデータで、200名以上出願されている学校の出願数の多い順に並べてみた。順位は表の通りだが、なぜ今回昨年比ではなく出願数にしたのかというと、ある大手新聞社の記事が、埼玉県の発表によるデータにようるとして、開智所沢が「日本一」生徒を集め、今まで首位だった栄東が「陥落」したというのだ。「日本一」とか「陥落」という表現を、大手新聞社の記事で使うのは、ちょっと驚いてしまった。すでに本ブログでも指摘しているけれど、開智所沢と開智は、合同出願システムをとっているから、同日試験日に一人の受験生が両方に出願できるのだから、爆増するのも当たり前で、数字上、NHK首都圏ナビの記事ように「上回った」というのはまあそうだろうなあぐらいの感覚で、「日本一」とか「陥落」とか、条件の違う数字に対して端的にいうのは、ちょっと不思議な気がした。表現の自由だから感想しか語れないが、そういうのもあって、入試日別にみると栄東も従来の出願方式で「上回っている」。

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★それに細田学園が小規模な学校だが、昨日の入試に続き2日目も昨年比をしっかり上回っている。このような事態が埼玉エリアで起こっているのは、なぜか?NHK首都圏ナビは直接具体的な学校名はあげていないが、首都圏模試センター取締役・教育研究所長北一成氏の言葉を引用して「グローバル教育や理数教育に力を入れている学校が、志望者数を増やしているということです」と記述している。つまり、北氏がいつも語っている通り、新しい学びの教育を実施しているところが注目されているということだろう。細田学園もその流れなのかもしれない。

★中学受験市場を盛り上げる役割も果たしている受験情報誌も、この条件が違う数字を比較して先ほどの端的な表現はしないはず。倫理的資本主義を「論語と算盤」で説いた私学人渋沢栄一の出身県である埼玉。受験業界がそれを保守している。それなのに。。。時代は本当に変わったなあ。これも2025年の転機の一端かもしれない。

※なお、「2025中学入試動向」シリーズで使う倍率速報データは、日能研が公開しているものと首都圏模試センターが公開しているものを活用させていただいている。両者の発信は中学受験市場をカタチ作る重要な営み。本当にありがたい。埼玉のように県が中学入試志望者数を調査するというのは、一般にはないと思う。私学の独自性との兼ね合いで、判断は控えめというのが多くの自治体の姿勢だろう。それゆえ、民間セクターがこのような手間もコストもかかるデータ集計をしているのは重要。

前者の倍率速報は、全体を眺めるのに有効。後者の出願速報は、個別に詳細に見る時に有効。中学入試の動向を鳥の目と虫の目の両方で観ることができる。

さらに、各学校が個別に公開しているところもあり、こちらも活用させていただく。日ごとの軌跡がわかるものがあり、受験生の動きの流れを実感するのに有効。水の流れをつかむ魚の目が使える。

もう一つ、首都圏模試センターがネット上でも公開している首都圏の受験者数の推移グラフも使わせていただく。過去の出来事から今を観ることができる。歴史に学ぶ逆からみるコウモリの目が使える。

あとは私の独断と偏見の心の目を使ってみていきたい。

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2025年1月10日 (金)

2025中学入試動向(04)埼玉私立中学入試始まる

★本日10日から埼玉エリアの中学入試が本格的に始まる。日能研倍率速報(2025年1月9日現在)の公開情報から、10日埼玉中学入試実施校のうち出願数200名以上で昨年比順で並べてみた。開智グループが爆増していることはメディアも報じているが、それだけではない。

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★細田学園、武南、浦和実業などの出願数も増えている。このような学校は、キャリア教育にもちろん力を入れていて、実績も出ている。このキャリア教育は、基礎学力をきちんとトレーニングすることは大前提だが、グローバルやICT、探究の教育環境もデザインしている。

★埼玉エリアの中学入試は、東京からの中学受験生も多い。東京の中学受験生の3分の2は、そのような基礎学力と新しい学びのバランスをとっている私立中学を志向するようになっている。このバランスが、基礎学力に軸足をおくのか、新しい学びに軸足を置くのかの両極のどのあたりのバランスなのかは、学校によってだいぶ違う。しかし、東京大学は魅力的だけれど、あの受験勉強の意味は世界的視座に立てば、無理矢理挑戦するものでもなさそうだということに気づき始めている。

★御三家に通う生徒も、彼らにとって王道のとある塾通いをせず、4技能の英語に力を入れ、創造的思考力を楽しみながら、東大に入ればそれでよいし、そうでなければ早稲田の国際にいって、大学院で海外や東大にいくというコースを考えている生徒もいる。

★まして、生成AIがでてきたら、本来的良き問いを生み出す力と多言語と数理モデル思考をトレーニングできる中学に初めから入学して、学部の東大の受験はあえて回避し、卒業後東大や海外の大学にいけばよいと考える価値志向性が生まれてきているはず。

★今の受験生が40歳前後になるのは、2050年。東京のみならず日本、世界は相当変わっている。変わらねばならないとかがんばらなくても変わる。善い方向にもっていくのか悪い方向にもっていくのか、少なくとも善い方向に持っていきたければ、今までの学びでは、難しいというのは、歴史に学べばすぐにわかる。

★そういうわけで、実際に通うかどうかはわからないが、東京からの受験生の基礎学力派と新しい学び派と中間派の志向性に合わせた多様な入試を開発する学校に受験生が集まるという傾向が、10日の埼玉エリアの私立中学の出願傾向から推察できるかもしれない。私の独断と偏見に過ぎないが。

★この基礎学力派と新しい学び派と中間派のすべてを融合するフュージョン教育が実はこれから重要になる。このフュージョン教育を生み出している学校は、まだないが、生み出そうとしている学校は7校ぐらいある。いずれ紹介できたらよいが、まだ機は熟していない。2027年にようやくその真価が認識されるようになるだろう。

★日本の経済が瞑想期/迷走期にはいるから、中学入試市場がもてばよいが。

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2025年1月 8日 (水)

2025中学入試動向(03)神奈川私立中学の帰国生入試の結果から見えるコト

★帰国生入試は、東京と神奈川とでは事情が違う。首都圏で中学入試の帰国生の数は600人程度だとすると、この600人が、首都圏中の帰国生入試を併願する。だから、合格者数はでるが、多くは東京の私立中学に入学してしまう。そのため、東京の私立中学では、インターコースとか国際学級とかが1~2クラスできる学校も誕生している。この学級編成は神奈川では洗足学園以外ではなかなか維持は難しい。洗足のその学級編成こそ首都圏でさきがけの取り組みだから成り立っている。だから、ますます、東京の私立中学に帰国生が集結する。

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(神奈川県の「神奈川ビジョン」の資料から)

★したがって、神奈川の少子化の影響を帰国生入試は一般入試と比べるとそれほど影響を受けていないはずだ。神奈川の私立中学の帰国生入試の判明分を見てみると(10人以上出願している学校)、すべて締切がきているわけではないが、聖光学院や洗足学園のような老舗の帰国生入試の出願が20%前後減っている。

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★最強の人気を誇る両校の人気がなくなってきたとは考えにくい。ではなせか。それは帰国生の価値志向がやはり変わりつつあるということである。神奈川大学附属とか鎌倉学園、清泉女子、カリタス女子、湘南白百合がなどが持続可能な出願件数を維持しているのは、価値志向が国際的な学校の環境を保ちつつ国内外の有名大学に入れる仕組みを創っているからだろう。

★一方で、従来の帰国生は、帰国生入試も受験しつつ、一般入試も受験する。聖光学院の帰国生入試の合格を担保に開成とか受験するんだろう。いわゆる帰国生入試を行っていない高偏差値の学校には、帰国生資格をもつ生徒がたくさんいるというのも事実だろう。

★だから新しい価値志向の帰国生ははじめからそこを受験しない。その分が20%前後損じするということ?か。

★帰国生600人の行方がわかると、価値意識の志向性の変容ぶりがわかるはずだが、独断と偏見であるが、このような推理もあたらずと言えども何とかであろう。最終的に結果がはっきりしたら、再度考察したい。

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2025中学入試動向(02)東京私立中学の帰国生入試の結果から見えるコト

★東京の私立中学入試の出願はこれからだが、すでに帰国生入試が終了し、出願数が判明している学校がある。首都圏の帰国生としての受験生は、600人くらいいるかどうか(文部科学省基本調査から推定)。首都圏中学入試人口の約1.2%だから、本来1人でも出願があることは重要な意味があるが、ここでは10人以上出願数がある東京の私立中学で、昨年比100%以上の学校を観てみたい。従来の帰国生の選択志向に少し変化が起きているようだ。

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★三輪田学園は一般入試でも人気があるが、帰国生入試でも人気。英語教育だけではなく、海外大学進学準備の「仕組み」も整えているので、そこに明快に帰国生は反応している。

★大妻グループはある意味、帰国生入試としては老舗感があるが、グループとして帰国生が注目しているということは、グループ内の何らかの協働的な意志が働いていると推察できる。

★文大杉並の帰国生人気は昨対比だけではなく人数も多い。首都圏帰国生の数が600人だとするとその重要性がわかる。

★中央大学附属が帰国生に注目していること自体、時代の変化を感じないわけにいかない。本来、経営上、1.2%に対し、力を注ぐ必要はない学校だ。一般受験生の数は盤石のはず。にもかかわらず、帰国生にというのは、中央大学自身が変わろうとしている影響を受けていると考えるのが自然だろう。

★同様に東大をはじめ国内超難関校に進学させている海城が帰国生入試を定着させたどころが、今でも人気を誇っているというのも、時代は明快に変わったことを意味している。ただ、首都圏の帰国生受験生が600人くらいしかいないとすると、海城受験の帰国生は、一般入試で開成や麻布、武蔵なども受験するだろう。しかし、定員30名は維持するわけだから、帰国生の中に確実に海城ファンがいるわけである。

★広尾学園グループは帰国生にとって魅力を定着させた。グループとして動けるのは、大妻グループと同じ強みだろう。

★聖学院は、帰国生の出願数は目立たないが、毎年安定している。他の学校を併願するというより、聖学院の他の学校にはない強烈なグローバル×STEAM×探究(あるいは哲学)×タイ研修という教育を通じて、つまり好奇心にあふれ、オープンな感じでしかも深く学ぶ環境を通して、それでいて国内外の有名大学に進むオンリーワンの教育に共感するのだろう。

★私立学校は、ブランディング戦略をとるが、そのコンセプトは多様である。ポピュリズムの流れを強烈に生かすブランディング戦略と本質主義とブランディングを融合させる戦略と。

★本質とブランディングの間はグラデーション。どのあたりで戦略を立てるかは、どのような生徒に来て欲しいかと生徒の志向性との兼ね合い。手っ取り早く集める戦略もあるし、ジワジワと集める戦略もあるし。どの戦略をとるかは、倫理的私学経営権の自由である。帰国生入試はそのせめぎ合いが一般入試よりもわかりやすい。

★まだ公開されていない帰国生に人気の学校があるので、最終的に判明したところで、再度考えてみたいが、いずれにしても帰国生入試の老舗以外に新しい学校が出現してきたことの意味は、世界の中で日本の置かれているグローバル経済の影響を無視できない。

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2025年1月 7日 (火)

2025中学入試動向(01)入試直前出願状況が示すコト~教育の分断明確化か?

★1月10日から埼玉の中学入試が本格的に始まる。その直前の埼玉の出願状況をみると、はやくも共学校は昨年の応募者数を超えている。男子校、女子校はまだ。これは埼玉の共学校が人気というコトの1つの側面であるが、実際には、開智と開智所沢の合同出願システムが影響していると推測するのが自然だろう。結論先取りで言うと、いよいよ教育の分断が露骨に始まったということだろう。

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★これは中学入試だけではなく、大学入試でも起きている。とにかく急激な少子化対応として新手の生徒獲得戦略がすでに始まったいる。中学入試は、規模が小さい定員の満たし合いだから目立たなかったが、この少子化時代に埼玉の共学の出願数が特異点ともいうべき現象を引き起こしていることによって、それが明快になったといえよう。

★「ウェルビーイング教育」vs[ポピュリズム教育」。背に腹はかえられない、仁義なき戦い・・・。

★中学入試もサバイバル時代に突入。生き残るのは厳しい。今までの偏差値枠組で椅子取りゲームを行うか、新たな才能開花クライテリアを創造するか。今年の中学入試は、今まで以上に社会の希望と欲望の葛藤になるだろう。

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2025年1月 6日 (月)

2025年再び転換の起点(4)ウェルビーイングな中学受験をプロデュースする首都圏模試の価値創出

★受験なのにその準備がウェルビーイングになることを追求している教育関連企業が唯一ある。それは首都圏模試である。思考コードを開発し、複眼的に生徒1人ひとりの才能開花のために模擬試験のみならず私立学校及び日本のウェルビーイング教育をサポートすべく多くの見識者と協力し縁の下の力持ちの役割を果たしている。

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★同社が思考コードに込める深い意味は、生徒のみならず私たち人類は、社会が本来ないはずの<Self as/for Me>を作ってしまったために、偏差値競争や富の競争に陥ってしまっていることを脱しようという挑戦だ。

★だから、思考コードをコンパスにして膨大な宇宙(Space)に宇宙船地球号の舵をとろうとしているのが同社だ。そのコンパスを活用しながら、<Self as/for Me>を脱し、<Self as/for Us>を見出し、そして<Self as/for Society >として成長/進化していく。さらに< Self as/for Earth in Space>へと視野を広げ複眼的に「考動」していけるようになる。すべての人や自然が宇宙の中のかけがえのない価値だということに気づきながら学び生きていけるようになる。

★このような気づきが中学受験を通して生まれて欲しいという希望を同社は持っている。

★ポピュリズムや新自由主義が、市場=悪玉というイメージを作ってしまったが、善玉市場というのがちゃんとあって、それがフラット、フリー、フレンドシップという3f精神を生み出す。市場なきコントロールは、3f精神を消滅させるし、悪玉市場は一部の人間にとって3Fを付与する。

★私立学校が創ろうとしている入試市場は、善玉市場である。そのための公私協議会での取り決めを行っている。

★市場は制度によって守らなければ、コモンズの悲劇に向かってしまう。

★脱<Self as/for Me>。首都圏模試と協力する教育関連企業が増えていく時代。今年2025年同社は35周年を迎えたのだから。

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2025年1月 5日 (日)

2025年再び転換の起点(3)残念ながら受験読解力の限界を認識する必要がある

★高校以降読書量が減少するとか、書籍を読まなくなってきているとか、読解力がついたとかつかないとかそういう話題は久しく言われ続けているが、なかなか改善しない。しかし、改善しないというより、従来の読解力とかいうものの考え方が時代と共に変わって来たと再認識したほうがよいかもしれない。読解力をつけるとか読書感想文の書き方だとかは、国語という教科の専売特許のようになっているが、その考え方をリフレクションする時代が来たとみなした方がよいのではないだろうか。

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★現状の受験の読解ステムは、文章が社会現象や自然現象のどの範囲まで語っているかはあまり考えない。あくまで文章というテクストに書いてある文字ベースの構造を解釈する程度でほとんどが終わっている。生徒が書いていないことについてまで言及するとそれは個人的な主観的な解釈だから、文章中のことばに根拠を求めよという指導がほとんど。それ自体は全く間違いはないが、それだけではその文章が立ち臨んでいる現象のほんの一部しか理解できない。というか、そもそも現象に行き着いていない可能性が高い。それでも合格点というのはとれるのだ。

★基本的な文章のことばの構造を読み解くという意味では、それでよいけれど、この受験読解システムが学校の国語の授業で行われている。中学受験であろうが、高校受験であろうが、大学受験であろうが、この読解システムでいく。そして大学に行っても文献リサーチも基本的にはこのレベルである。だからビブリオや引用が学問的に体系づけれている。たださすがに大学では、社会現象や自然現象、精神現象に関して、多角的な角度から見ることが配慮されるが、必ずしも諸現象を包括的に解釈するものではなく、あくまで部分的解釈で事足りることが今までは多かった。

★ところが、現行の学習指導要領から、社会課題と結びつけるようにとなってきた。こうなってくると、この受験読解システムでは収まりきれなくなってきた。にもかかわらず、国語だ、社会だ、理科だ、数学だと、それぞれの文章の文字ベースの解釈が行われ続けている。探究を行っても、文献の読み方が受験読解システムのままだと深まらない。諸現象はいわばブラックボックス。いろいろな角度からアプローチする必要がある。文章テクストは実はその重要なアプローチであるが、多くのアプローチの中の一つに過ぎない。

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★したがって、受験読解システムの単眼的解釈ではなく、上記の図のように複眼的解釈システムによって諸現象そのものにアプローチすることがポイント。

★だから中学受験では新タイプ試験が増えているし、教育においては探究が社会課題と結びつけて行われるようになってきたし、大学受験では総合型選抜が行われるようになってきた。

★知識がなければ思考ができないと相変わらず言われているが、単眼的解釈に基づいた知識の扱い方は、推論の梯子のように、行き着いた先がフェイクの場合だってある。複眼的解釈を支える知識の活用方法が大事な時代になってきているのであって、知識がいらなくなっている時代ではない。逆に複雑系の大量の知識が必要。

★ただし、もはやこの莫大な量の扱いは人智を超えている。AIをパートナーにしようということは、すでにコンピュータをパートナーに学びも仕事も行われていることと同様なのだ。

★そろそろ教科の構成そのものを再考する時代。ここを再構成しないまま学習指導要領をいくら改訂しても、良い方向は見えてこない。

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2025年再び転換の起点(2)論語と算盤ー倫理資本主義がベース

★2025年の正月は、久々にゆっくりした。元旦に、NHKの「欲望の資本主義2025」をみて、欲望の資本主義から倫理資本主義という路線は私学関連領域では私学創設の明治期から当然であり、不易流行としてこの領域から再び転換の契機が生まれる2025年になりそうだと直感した。人間存在の欲望の平衡感覚でもある倫理。欲望の社会的現象の典型は経済だ。日本の近代資本主義の父渋沢栄一が唱えた「論語と算盤」つまり道徳経済合一説は脈々と生きているなあと。

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(渋沢カリー)

★ネットで、オードリー・タンさんや隠岐さや香教授の論稿を読んだりして、トリムタブやフュ―ジョンの着想を自分の中で明快になってきたなあと思いつつ、ほぼ寝正月。正月休みも終わるので、さすがに外に出ようと、妻にナビゲートされながら東京三菱一号館美術館の中を観賞しながら歩いた。

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★ロートレックなどおもしろかったが、私はここにくるたびに赤レンガを見て、丸の内のエリアがかつてこの赤レンガで満たされていたことを想像してしまう。今も少し歩くと丸の内の東京駅の赤レンガがある。この地で、官と民の攻防戦があり、この民に渋沢栄一と岩崎家がある。

★明治からもう100年以上経ち今は21世紀だというのに、未だに渋沢家と岩崎家の掌の上で生活している。一号館隣接のカフェに入ろうかと思ったけれど、長蛇の列。さすがは1月4日だ。

★そこで、渋沢栄一ゆかりの帝国ホテルで私でも手が届くレストランに入った。そこで前から食したかった渋沢カリーを頼んだ。帝国ホテルは、私立学校の卒後式や周年記念でも活用される。初代会長が渋沢栄一だからここでも≪私学の系譜≫が脈々と。

★それにしても赤レンガ。岩崎家の偉業の1つはジョサイア・コンドルを庇護したことだ。それがこの一号館であり、丸の内の赤レンガの東京駅に象徴されている。この系譜は工学院。新宿キャンパスと八王子キャンパスにあるから、すっかりコンドルとの関係は見えなくなっている。しかし、権威を嫌って政府から解雇されたそのアート魂は工学院に今も生きている。工学院中高では教師と生徒は学習者中心主義で、フラットでフリーでフレンドシップの3f精神で満ちている。

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★帝国ホテルの初代会長は渋沢栄一だが、二代目は大倉喜八郎だ。公職追放や財閥解体で、大倉家は帝国ホテルを去らなくてはならなかったが、ホテルオオクラを創業した。東京私学教育研究所や日本私学教育研究所が宿泊研修でホテルオオクラ系列を利用することが多いが、ここにも渋沢栄一大倉喜八郎という「論語と算盤」を理念とする≪私学の系譜≫が脈々と生きている。

★これらのホテルは、最高のおもてなしをする。これは私学の建学の精神とも実は共鳴するものだ。私学というのは、教育と経営の両輪で動いているが、まさに論語と算盤、倫理資本主義の理念で動いていると言っても過言ではない。

★そんなことを思いながら帰宅して夜を過ごしていると、テレ東で「出没アド街ック天国」で二子玉川を特集していた。もう35年以上住んでいる街がゆえに見てしまった。高島屋は江戸から続く老舗の進化した姿だし、ライズは、五島慶太翁の創業した東急電鉄の系列。そもそも田園都市線そのものが東急だ。そして、五島慶太にこの道を進めたのが渋沢栄一だ。東京都市大等々力など五島慶太翁が創設者でもある。

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★ホテルや電鉄、銀行、デパートは現実にはいろいろあるが、ベースは論語と算盤という倫理資本主義。その象徴が今アントレプレナーシップで起業している人や生徒や学生が集うSHIBUYAQWS。いたるところに実は≪私学の系譜≫は実装されている。

★私たちはそのことを忘れているかもしれない。≪私学の系譜≫には教育者・学者系、宗教家系、実業家系がほとんど。それにこれらは複合的になっているというのが本当のところかもしれない。五島慶太はもとと英語の教師になろうとしていた。

★福沢諭吉は、教育者・学者系。儒教とイギリスの思想をベースにしている。これもまた論語と算盤だ。

★新島襄はプロテスタントという宗教系。倫理的資本主義を推進するキリスト教。カトリックは?その資本主義の萌芽だったとシュンペーターは言うし、ヴェーバーもプロトタイプは修道院の生活の中で生まれ、それを世に広めたのがプロテスタントだと語る。

★実業家系は、いろいろな考えがあるが基本は渋沢栄一に影響されているし、実は三方よしの近江商人の流れもある。もしかしたら渋沢栄一もその影響を受けていたのかもしれない。ここは妄想に過ぎないが。深谷ー群馬ー近江というのは線で結ばれそうな気がするのだ。

★ホテル、電鉄、銀行、デパートとくれば、建築。もともと丸の内エリアは都市政策の一環の開発地帯。ジョサイア・コンドルの腕の見せ所だった。AI時代、これらの業態はどうなるのだろうか。すべてがスマホ化していくし、やがては量子化していく。統合・融合は必至。論語と算盤、倫理資本主義がベースになることはとても大切なわけだ。欲望は平衡感覚でマネジメントされる必要があるから。その新しい仕組みを巧むのは私立学校の使命ということにならざるを得ない。それが≪私学の系譜≫の道筋ということだろう。

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2025年1月 4日 (土)

2025年再び転換の起点(1)3fの時代へ転換するHRP トリムタブ再考/最高

★世界の紛争の数が止むことなくむしろ増え続けている社会、気候変動はますます拡大している社会、ハランスメントレスにならない途方に暮れる日々の社会、それでもなんとかしようと私たちは思っている。しかし、これらの原因は、シンプルに格差があり抑圧があり愛がふみにじられる人間関係がもたらしていることは明らかだ。

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★しかし、公共という名で制約の多い現代社会の枠組は、データエビデンスや学問的根拠がないとこのことを認めることは単純すぎると一蹴する。善きサマリア法がまだまだ世界に広がっていない。しかし、だからといって、手をこまねくのではなく、このようなシンプルな原因がバタフライ効果でディストピアさながらの社会を拡張するのであれば、一方でオードリー・タンさんが引用するバックミンスター・フラーの語る「トリムタブ」という効果もあるはず。トリムタブとは、小さな部分が、巨大な全体をわずかな力で動かす働きのことを指す。本来のトリムタブとは、船舶において舵自体につける更に小さな舵のことを示す。フラーはか弱い個人でも最大限の決意を持って正しいことを行えば、人類という巨大な船をも動かすという意味で、「トリムタブ」というレトリックを好んだということだ。

★バタフライ効果vsトリムタブ効果。どちらも小さい3%くらいの人々による行動から起こる。できるならば、バタフライ効果からトリムタブ効果を生み出す力を備えたい。

★この考え方だと、自分が立っているところから「考動」できる。このように、ネガティブ社会(あるいは精神)からポジティブ社会(あるいは精神)へ動かす力をHRP(Hope Renewal Power:希望再生力)と呼ぶことにする。このHRPは、いまここで発動するので、置かれた地点が上記の図にある最悪領域だといきなり理想領域にいくのは難しいかもしれない。まずは、善きも悪しきも混在する現実にたどりつくことが大事かもしれない。

★しかしこの現実領域は、他人の芝生はなんとかで比較競争の組織や社会である。比較組織や社会は、格差あり抑圧あり愛を踏みにじることありの世界。これをフラットでフリーでフレンドシップの3f精神が広がるウェルビーイングな最善領域にシフトするにはいかにしたら可能か?ということになる。

★それは個々人がそれぞれの能力を「巧み磨き」していくことによってなされるが、すべてがそううまくいくわけではないし、巧みが悪用される場合もあるのは歴史を振り返ればわかる。HRPがDRP(Despair Recovery Power)に反転するアンコンシャスバイアスが結界としてはられることもあるのだから。

★そのため、理想領域へ向かうHRPを発動し続ける不易流行のマインドセットが必要ということになる。「巧み錬磨力」と「仕組み構想力」の融合。そんな簡単なものではないよと最悪領域や現実領域から聞こえてくる。DRPの声が。それを払拭するHRPのトリムタブの役割を果たせればと2025年を出発する前に刻んで置く。

★実際、すでに産官学やそのほかの団体、起業チームなどそれぞれの場で、トリムタブ才能を開花している人々はいる。それがフュージョンする流れがダイナミックになるのが2025年だろう。私自身は私立学校関連領域の中でそれをやりたい。身近な場で「考動」。そして、突き抜けるトリムタブミッション。このミッションを抱いている人々も、それぞれの領域から越境してくる。それはやがて一つの動きになるだろう。

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