八雲学園をカリフォルニアから考える(4)ケイトスクールとの類似点いくつも
★サッチャースクール、チャドウィックスクールなどカリフォルニア州のいくつかのエスタブリッシュなプレップスクールを見学したことがありますが、念願かなってケイトスクールを見学することができました。そして、驚きました。そのあまりの破格さに。何より姉妹校とは知っていましたが、八雲学園とあまりに類似点が多いことに感動しました。
★その類似点は八雲学園の東京の八雲の地とサンタバーバラの八雲レジデンスの両方の学び舎を合わせて、ケイトスクールを見ていくと、それが見えてきます。ケイトスクールの図書室を見て、八雲学園のおしゃれなそして没入できるようになっている光の空間デザインは、ケイトスクールの図書館を見て、なるほど共振していると感動しました。
★それから、何気なくケイトスクールを歩いていると、目の前に広がる山また山。ケイトスクールの敷地だというので驚きです。がしかし、八雲学園のレジデンスも同じ山々(キャニオンが南北に走っていて、お互いに延長線上にあるので当たり前なのです)にあるのは全く同じです。
(向こうに見える山もケイトスクールの敷地です)
★八雲学園の中3生は全員八雲レジデンスを中心に2週間訪れますが、そのスケジュールの中で、姉妹校ケイトスクールとの交流があります。両校ともラウンドスクエアの加盟校でもあります。その理念IDEALSの中の1つアドベンチャーも重要なプログラムです。あの山の中のハイキングを八雲生はケイトスクールの生徒と行います。
★ハイキングといっても、ピクニックではありません。この山は険しいし、キャニオン地形ですから、スカンクは当たり前のようにでてくるし、たくさん動物とも出会います。ただ、ケイトスクールの敷地ですから関係者以外は厳重なセキュリティが機能していて入ってこれないので、安心です(動物の中で人間が一番怪しい?)。アメリカのこのようなアドベンチャーは、日本でも有名なプロジェクト・アドベンチャー(PA)に代表されるように、自然の中での生活にチャレンジするものです。
★ワクワクもしますがドキドキもします。自然の表情の違いを見抜く5つの眼を研ぎ澄ます必要があります。鳥の目、虫の目、魚の目、コウモリの目、心の目などですね。その目は1人では実現できません。協働作業です。勇気もいります。しかし、1人では不安です。互いに勇気を持つようにエールを贈ります。
★生徒が将来困難な局面に出会う度に、勇気と協力という非認知能力とメタ認知能力を駆使して<考動>できる体力が必要です。それを鍛えるエスタブリッシュスクールならではのプログラムです。
★そして、授業の教室が、ケイトスクールは15人がラウンドテーブルを囲んで学ぶ大きさというスモールサイズです。1クラスが15人までの小規模校なのです。ダイナミックな広い空間で寮生活しながら、授業の時には、小さなスペースで学ぶ。ケイトスクールが日本文化を好む発想です。そうですね。茶室発想なのです。あるいは坐禅堂かもしれません。
(ほとんどのクラスに、このラウンドテーブルが設置。大きなスクエアテーブルも時にありますが)
★アメリカと日本の教育の違いは、クラスサイズですが、八雲学園はバラザミーティングなど、スモールサイズで対話型の学びを多く展開しています。バラザミーティングはケイトスクールもラウンドスクエア同士校として共有しています。
★このように、見た感じ似ているところもあるし、外見上は違うけれど、内面的発想は似ているというというところが随所にあります。
★ケイトスクールは、スペイン語クラス、中国語クラスなどの他に日本語クラスもあります。日本語クラスは人気で、15名満席です。そのクラスのメンバーが八雲学園を訪れて交流もしています。全寮制の学校なので、夜生徒たちだけで学ぶクラスがありますが、それは先輩たちがチュータリングします。チューターは誰もができるわけではありません。教師が認定した生徒のみです。このチュータ経験は、大学のアプリケーションで必要な経験を記載する上で有効です。リーダーシップのポイントになるのでしょう。その選抜にみな意欲を燃やすそうです。
★八雲学園にも、いろいろなシーンで、リーダーになる機会がありますが、同じようにオーディション機能があります。最近では総合型選抜などありますから、たしかに有効です。もっとも八雲学園は、大学のためという理由でリーダーシップを鍛えているわけではありません。大学入試や進路指導の違いは、教育行政の在り方の違いが反映するので、それはしかたがないですね。
★日本の場合、大学に行くために教育があるということはあからさまにはないのですが、欧米では大学に行くための教育と言って何ら問題ないのです。というのは、日本の入試のあり方は、教科の力をみるものですが、欧米の大学は、全人教育そのものを評価するシステムですから。
★もし、八雲学園が東大に入れることを目的にしたら、このような全人教育のような総合力を養う教育はしなかったでしょう。しかし、八雲学園の設立当初からカリフォルニア州と縁がずっと続いているのですから、その建学の精神が基礎学力だけを大事にする教育ではなかったのですね。
★それにしても、八雲学園の学費は、ケイトスクールの10分の1なのです。ラウンドスクエアの加盟校ですから、ケイトスクールのような学校の生徒と国を超え、グローバルな交流ができているのです。海外のエスタブリッシュスクールの学費は、みなケイトスクール並みです。
★それに、ケイトスクールに入学する確率は15%です。
★損得の問題をいうと品がないかもしれませんが、八雲学園は本質的な意味でお得なのではないでしょうか。本質というのは、教育行政の枠組のなかで、国を超えるエスタブリッシュな教育にチャレンジしている学校という意味で人間存在の本来的在り方が生徒の未来に映し出されるのですから。
★この気概と勇気こそ、私立学校のスーパーモデルたるゆえんです。
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