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2024年12月 1日 (日)

リスクマネジメントしての中学選択(03)2030年には総合型選抜は、グローバルSTEAM探究入試になっている

★大学入試や中学入試は、すでに少子化の波を大いに受けているから、生徒獲得を偏差値競争から離脱しています。大学入試の受験生は日本全体の60%弱ですから、高校卒業生が全員が受けるわけではありません。定員割れの大学が増えています。偏差値競争が成立するのは10%です。中学入試も日本全体の10%しか受験しません。そのうちの10%は偏差値競争がありますが、全体にしてみれば1%の話です。そうでない生徒が、自分の道を見出す方法は、もはや多様で多次元なのです。

Oberin

(桜美林のチャペル)

★ところが、高校入試はほぼ全入です。高校入試は、実質偏差値輪切りになっています。したがって、受験というのが偏差値競争だというアンコンシャスバイアスは、高校入試改革がなされない限り、世間は幻想に陥ったままです。しかも高校入試のボリュームゾーンである偏差値50前後の生徒は、自分が創造的才能ゾーンにあることに気づいていないことが多いのです。だから、そのゾーンの生徒が入学する高校で、大学入試のときに総合型選抜で、偏差値で考えればそんな大学に自分が合格できるなんていう奇跡がいっぱい起こるようになっています。

★しかし、それにもかかわらず、高校卒業生は世の中受験は偏差値だと幻想に支配されています。偏差値ゴーレム効果によって自己肯定感が低い生徒が生まれるのは、高校入試の実質偏差値というパニック状態を引き起こすハラスメント状況が改善されないからですね。大学受験を重点とする公立高校が本来公平性を生み出すはすの自治体によって推進されたりしているのは、その証拠なのです。

★とはいえ、今後は大学入試は総合型選抜がトレンドになっているし、中身も進化していきます。

★桜美林などは、高校時代の「探究」活動がそのまま総合型選抜に直結する入試を早いうちから実施しています。英語の資格活用入試のように、外部探究コンクールで優秀賞を受賞したり、桜美林の高校生向けのセミナーで単位のような認定証をとった場合、高校時代の探究活動を証明する書類審査は免除されてしまいます。もちろん、その両方がなくても高校時代の学内外の探究活動のポートフォリオの書類を出せばよいわけです。

★最終的には、小論文と口頭試問やプレゼンで合否が決まっていきます。

★この桜美林モデルは、実は多くの大学で導入され始めています。APUはもっと多元的になっています。

★昨年までは、探究は大学入試のために行うものではないのだと語ってきた識者もたくさんいましたし、今でもそんなのは青田買いではないかと批判する識者もたくさんいるでしょう。

★しかし、大学は経営しなくてはならないし、現状の社会人も仕事と教養は一石二鳥を狙う時代です。オンラインで時空を超えられるし、電子書籍も浸透してきています。「時空」を超えて、一石多鳥の時代です。

★高校時代の勉強が、大学受験に直結し、しかも将来の見通しにも役立つというのは、何ら問題ないのです。大学は学問するところだからそんな受験と直結するなんてというのはと言っているうちは、中世以来の大学システムの名残を改善しようとしない思考停止状態ですね。

★大学は就職のためのものであっても何ら構わないのです。学問は大学院で博士論文までいかないとその道でプロフェッショナルにはなれないのです。それに、企業はこれからはリベラルアーツや人文科学的・社会科学的教養実装は必要な時代です。理系企業だから学問はいらないという時代でもないのです。

★専門的な文献リサーチやデータリサーチ、実験や研究室での学問は、そりゃ学者しかできないのですが、そうでなくても学者の功績を活用して企業経営するのが今後です。学際的だけではなく、多様な団体がコラボする時代はとっくにきています。

★だから、「探究」は有効なのです。プロジェックトとはそもそも協働研究なのですから、イノベーションの共同研究を行うベースを高校時代から作っておくこと、つまりシミュレーションしておくことはむしろ望ましいのです。

★アントレプレナーシップのベースはプロジェクトを推進できるコミュニケーション能力や交渉力こそ大前提です。

★中高時代に「友情」を育むことは大切ですが、フラット・フリー・フレンドシップという3F精神は、多様な友情を広く深く育んでいけます。限られた友情だけが親友を作ることになるのではないのです。

★愛されるより愛する友情。みながこういう友情を育むには、協働プロジェクトを運営する経験値を高めていくことによって育まれます。

★「探究」はそのような経験値を高めてくれます。大学側が、知的な能力だけではなく、そのような経験値が高い生徒を迎え入れるのは当然です。

★もはや限られた能力の競争に勝ち抜いた偏向的優秀生はプロジェクト運営の経験値を高められない場合、どんなことになるかは、すでにそういう悲惨なシーンが今増えているのは、みなさんご承知でしょう。

★そうそう、総合型選抜ですが、多言語主義になります。協働する時多様な言語圏の生徒が集結してくるのが少子化の影響です。英語と日本語だけではコラボできないのです。しかも生成AIなど活用するSTEAMスキルも当然必要になります。したがって、グローバルSTEAM探究教育が直結するのが総合型選抜になります。2027年ごろにそれが急に注目され、2030年にはそれが当たり前になります。

★2025年中学受験生が高校卒業するときにそういうグローバルSTEAM探究入試=総合型選抜になっているでしょう。

★だから中学選択は、リスクマネジメントという側面から観ることは重要なのですよ。

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