八雲学園をカリフォルニアから考える(2)インターナショナル≦グローバル
★カリフォルニア州は、日本がすっぽり入る面積で、平地が多く、人口も4000万人弱。それでいて、経済規模はドイツや日本に迫る勢いです。米国に属しながら州というグローバル市民社会として相対的に独立しています。連邦制度に属しながらも州としての自治権がかなり強いわけです。これは、日本と東京の関係も同様なのですが、日本国民は市民社会的発想はあまりないかもしれません。あくまで日本≧東京というイメージが濃厚です。この点における法制度的あるいは権利関係的な事実はきちんと比較研究しなければなんともいえないのですが、イメージとしては、下のような図の集合関係になると思っています。
★ですから、八雲学園の<破格な>グローバル教育の<破格な>の意味するところは、インターナショナルとしての国家に従属する海外の自治体というイメージでグローバル教育ではないのです。これは日本の各自治体の国際理解教育に相当するイメージなのです。
★しかし、八雲の場合は、インターナショナルとしての国家に属すると同時に、自治体として独自の自治権を有している市民社会においてグローバル教育を行ているという点において<破格>なのです。
★この違いが何を意味するのか、国際教育では、国において「主体的」な人間力は確立できますが、グローバル市民社会の1市民として、国を相対化し、自由に独立して国を超えてリーダーシップを発揮するマインドとスキルは育たないでしょう。
★国際理解教育においてのグローバルリーダーは、政府高官あるいは国の代理人として活躍する企業人などのように特別な権威と権限を有しなければならないのですが、グローバル市民社会におけるグローバルリーダーとは、そのような権威や権限を持つリーダーになることもできますが、その前に1人のグローバル市民社会のメンバーとして、判断して、意思決定して<考動>(思考と行動はDNAのようにらせん状に連結しています)できる独立した自由な人間力のことをいうのです。
★八雲の近藤理事長校長自身は、このような確固たるグローバルリーダーたる私学人です。ですから、東京都や政府とも正しい法と権利は共有しつつも、私学というグローバル市民社会に貢献する人間力が生まれる拠点として、私学の自治権や経営権は保守するのです。
★このような私学人の精神が、グローバル教育にも浸透しているのが、<破格>ということでしょう。
★受験生は中学入試直前を迎えています。受験生の未来がどのスタンドポイントに立って人生を送るのか、未来社会を描くとき、どこから描いていくのか、実は大事なことです。偏差値競争社会は、日本の国内社会でしか通用しない指標です。グローバル社会だって競争はありますが、自分はこの地球上において何ができるのか、そもそも何者なのか、独立した自由人としてのクオリティの競争社会です。偏差値という世界では認定されていない団体の創り出した指標に依存して生きているとどうなるかは、火を見るよりも明らかです。
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