八雲学園をカリフォルニアから考える(6)中学選びの考え方・価値観を変える
★医学博士成田奈緒子さんが、中学受験準備や学校選びの考え方を変えることを提案しています。最終章で、教育ジャーナリストの中曽根陽子さんと対談もしていますし、ご自身大学で教鞭をとるだけではなく、小児科医として子育ての相談にのる団体も立ち上げていますから、塾業界とも距離を置ける立場から、中学受験現場を鳥の目と虫の目の複眼視点で論考しています。特に身体の健康、メンタルの健康、人間関係の健康、生きる意味の豊かさを幼児期から大人になるまでにウェルビーイングな生き方にしていく自分の総合的な力をいかにつくるかということについて、脳科学的なグローバルな視野で考えているのが参考になります。
★編集部による上記の新書のタイトルの付け方が、私にとってはちょっと共感的でなくて購入するのを躊躇しましたが、ネット記事で一部抜粋が紹介されていて、極めて本質的で受験生や保護者に寄り添ったアイデアが書かれていると直感し読んでみました。
★1つのことを除いて、ほぼ納得のいく話でした。この1つのことも、受験生・保護者の方に対しては十分に思いやりのある文脈ですから、同書の目的としては全く問題ありません。ただ、私立学校側としては、そうとらえては、教育の質もあげられないし、新たな経営もできないし、何よりウェルビーイングな社会を形成する気概や<考動>にブレーキをかけるなと思った次第です。
★その一つのこととは、完全なユートピアの学校はないから、自分の期待とギャップはあったとしても、それはどこの学校でもそうで、自分がどのように捉えるかが大事だというような趣旨です。
★たしかに、期待のし過ぎはよろしくないのですが、私立学校側としては、建学の精神やパーパスを共に創っていこうという意欲をもって入学する生徒の期待を裏切らないように全力を尽くしたいという気概があるものです。もちろん、神様ではないので、何でもできるわけではありません。しかし、お互いを理解して共鳴共感共振して人生をつくっていこうとする点で一致しているならば、その都度アップデートしていけるのが私立学校のユートピア的なマインドなのです。
★その決定的な例が、完全なユートピアは存在しないという境界線を懸命に乗り越えて進化してきた八雲学園の近藤理事長校長と共に教育を積み重ねてきた先生方です。
★八雲学園の中3の担任の先生方は、中3全員がカリフォルニア州のサンタバーバラの八雲レジデンスでの研修に当然同行します。その他多様なサンタバーバラを拠点にしたプログラムにも同行します。生徒ばかりか先生方も、全員が6年間に少なくとも一度はカリフォルニア経験をするのです。
★「八雲レジデンスーケイトスクールーUCサンタバーバラーサンタバーバラの中心地」のスクウェアをぐるぐるラウンド経験するのです。日本のすばらしさと限界、米国のすばらしさと限界の両方が見えると同時に、ケイトスクールの生徒やUCサンタバーバラの教授陣や学生が、そのすばらしさと限界を分析・認識し、問いを生み出し、限界を超えようとしている姿に驚愕するのです。それは生徒ばかりではありません。先生方もそうです。何気ないキャニオンと海岸の間におしゃれでフラットな雰囲気の街並みがありますが、そこで生徒とショッピングしたり食事をして驚くのです。日本では特別なところに行かなければ経験できない生活の豊かさを。もっともサンタバーバラに来ている時点ですでに特別なところに来ているわけですが。
★サンタバーバラのキャニオンから街並みとその向こうの海を眺めながら、同時に星々を眺めながら、Only One Earthの息吹を素直にストレートに受容します。
★完全なユートピアはないと思った瞬間、そこはデストピアです。ユートピアとデストピアは表裏一体だと私立学校は思っています。ユートピアを不完全なままでよいのだと思うことは、デストピアのままでよいと思うのと同じなのです。
★シアトル時代からカリフォルニアの友人ネットワークを豊かにしてきた八雲学園のグローバル教育の歴史は、近藤理事長校長にこう語らしめます。「これでいいと思うことはないのですよ。常に進化し続けようと思っています」と。不易流行の心意気のオーラを近藤先生は常にまとっています。私学人のスーパーモデルであるゆえんです。
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