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2024年12月

2024年12月31日 (火)

今年最終日、中学入試直前の12月のアクセスを振り返る。今年もご覧いただきありがとうございました。

★12月31日を迎えてしまいました。2024年は、静かなる次のステージがやってくる気配を感じていました。それがついこの間26日に、降りてきた感じで、なぜか一日中対面とオンライン、電話でいっぺんに多くの仲間と対話していました。改めて教育イノベーション経営の時代を実感しました。

★私の人生を振り返れば、1990年代は10年間勤務した中学受験塾でカリキュラムイノベーションを創発したし、その後2000年代は教育研究所で、大手自動車会社や先生方とコラボして、PBLを開発したし、2010年代は独立して先生方と21世紀型教育を創出し、思考コードも首都圏模試とコラボして開発する機会を頂きました。そして2020年代は私立学校に勤務する機会と今私学の協会に勤務する機会を頂きました。生成AIとも出会い、ようやくOnly One Earthの教育イノベーションをまた仲間と一緒に起こそうとしています。

★私にとって、これらのイノベーションのベースは「思考力×PC」です。ホストコンピュータ→ラップトップPC→タブレット・スマホ→生成AIというデバイスたちとの出会いでした。彼らを鏡に思考力を分析して統合してきたという感じです。何より、それぞれの時期に常に仲間がいました。今も各時期に出会った仲間とは対話が続いています。感謝してもし尽せない仲間です。そして、なぜか東京の中学入試市場がベースにあります。おそらく教育の世界でイノベーションが起こるのが、この場だったのだと改めて思います。それゆえ、今年も来年も中学入試情報を発信していきたいと思っています。その入試直前の今月の本ブログのアクセス数ベスト20を挙げて、本年最後の振り返りとしたいと思います。

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1:2025年中学入試 広がる英語入試・英語資格利用入試 偏差値ランキングの...
2:変わる私立中高(04)芸術系大学に多数進学する中高一貫校 女子美1位、吉...
3:2025年中学入試動向(34)普連土、JG、かえつ有明、麻布、工学院、聖学院、鴎友学園女子、明大明治、八雲などの司書・司書教諭の豊かな人的資本力
4:新しい学びを推進する学校の選択者の志向性 新しい学びを推進して出願数が多...
5:2024年12月首都模試合判の志望登録者数から(3)登録者数増加の女子校...
6:2025年中学入試動向(39)駒沢学園女子 禅と数学とアートを極める教師...
7:工学院(1) 田中教頭インタビュー第2弾 学習する希望の組織着々: ホン...
8:2025年中学入試動向(36)偏差値ではなくグローバル教育の5つのタイプ...
9:2024年12月首都模試合判の志望登録者数から(4)登録者数増加の女子が...
10:2024年12月首都模試合判の志望登録者数から(2)登録者数増加の男子受...
11:八雲学園をカリフォルニアから考える(1)
12:2025年中学入試動向(41)生徒が無限の価値を自ら生み出す力のシステム...
13:工学院(2) 田中教頭インタビュー第2弾 オープンマインドの世界に通じる...
14:2025年中学受験動向 北一成氏が語る 最も良識ある中学受験情報 保存版...
15:ホンマノオト21のアクセス数で今年度をひとまず振り返る 教育イノベーショ...
16:2025年中学入試動向(42)1月・2月に親子で気をつけたいこと 石田先...
17:筑駒の2022年の国語入試問題で出題された詩の意味。18歳の時に書いた谷...
18:2025年中学入試動向(28)富士見丘 11月合判模試の志望者数増: ホ...
19:2025年中学入試動向(35)富士見丘 学習指導要領をそのままグローバル...
20:2025年中学入試動向(38)本音。併願の画竜点睛を欠かないために、優れ...

★前回は1年通してのアクセスを眺めましたが、そのときも1位と2位は、12月と同じでした。英語資格利用入試と美学に相当関心が高い1年だったようです。

★そして12月ですから、やはり併願校や学校選択についての記事がずらりと並んでいます。

★その中で、個別の学校の記事も注目されています。ここに挙がっている学校に興味と関心が集まっているということでしょう。いずれもすでに教育イノベーション経営を開始しています。1月10日以降、出願数が順次公開されていくでしょうから、そこでこれらの学校の教育イノベーション経営についてみていきましょう。

★それでは、みなさま、大事なお時間を頂いて、独断と偏見の本ブログを1年間ご覧頂きまして、本当にありがとうございました。心から感謝致します。また来年もよろしくお願いいたします。1月4日から新たな気持ちを書初めして参ります。では、よいお年を。

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2024年12月30日 (月)

ホンマノオト21のアクセス数で今年度をひとまず振り返る 教育イノベーション経営の時代に入るか?

★今年4月からのホンマノオト21のアクセス数ベスト15を公開します。今年度は、まだ来年の3月まで続きますが、年末ですからひとまず振り返ってみましょう。

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1:2025年中学入試 広がる英語入試・英語資格利用入試 偏差値ランキングの...
2:変わる私立中高(04)芸術系大学に多数進学する中高一貫校 女子美1位、吉...
3:工学院大学附属中学校 教頭に田中歩先生が就任
4:New Powerの学校×教師(23) IB布教の第一人者大迫先生「教育...
5:2025年中学受験動向 北一成氏が語る 最も良識ある中学受験情報 保存版...
6:2024年中学入試(39)開智所沢が明らかにする私立中高一貫校の4つのタ...
7:2024年中学入試(44)首都圏中学入試本番モードに~湘南白百合と横浜雙...
8:2030年の次期学習指導要領は、HTHのコンセプトを学校に埋め込む?グロ...
9:文化学園大学杉並 サイトで人的資本力を公開 染谷先生理事長補佐に就任: ...
10:大妻中野 諸橋隆男先生、新校長就任 世界を創る市民が生まれる教育加速: ...
11:2024年度海外大学合格実績がたくさんでている学校
12:富士見丘学園 副校長に明海大学教授吉田成利先生が就任 学問とグローバル探...
13:豊島岡女子 新タイプ入試「算数・英語資格入試」の中学入試における影響大:...
14:2027年から移行措置が始まる新学習指導要領がヤバイ!?
15:2024年中学入試(04)サレジアン国際学園世田谷 画期的な「国際学園」... 

★やはり受験市場において「英語資格入試」には興味と関心が高かったということですね。2027年に東京大学がグローバル入試を行うし、東大の官僚からスタートアップシフトの流れもできていますから、グローバルアントレプレナーシップの流れは認めざるを得ないということでしょう。海外大学合格者が、多くの学校から輩出されているという記事にも関心が高いというのも何か相関があるかもしれません。

★しかし、一方でアートにも興味関心が高い。技術だけではないよ美学もポイントだと。

★そして、このアートや技術を統合する感性やSTEAM教育に力を入れ注目されている、工学院の田中歩教頭、海城の大迫校長、文大杉並の理事長補佐の染谷先生、大妻中野の諸橋校長、富士見丘の副校長吉田成利先生への関心度も高いわけです。

★もちろん、中学入試情報市場をゼロから創り上げてきた首都圏模試センター取締役・教育研究所長北一成氏の発信は大人気です。

★それから、次期学習指導要領について書いた2023年11月と2024年7月の記事も多く読まれています。予想しているわけではありませんが、今年12月25日に議論が始まった方向性とそんなにズレていないので、ホッとしています。

★開智グループとサレジアン国際学園グループの記事にも関心が集まっています。この流れは、教育というよりも経営という意味で私立中高一貫校に新たな流れを持ち込みました。現在の多くの私立中高一貫校は真正保守で中庸の精神を大事にしています。つまり、建学の精神に基づき不易流行を追究してきました。この流れは基本変わりませんし、私もこちらの立場に立っています。脱偏差値をベースにしてきたのは、偏差値階層構造は、この真正保守を崩しかねないからです。そして、そこと常に教育の質で対峙することで、真正保守の私立中高一貫校の教育は豊かにもなってきたはずです。

★しかし、この両グループの流れは、今社会のトレンドのアナーキズムという新たな受験市場を模索するものです。東大の現代国語の入試問題でも出題された論者やオードリ・タンさんのような保守的アナーキズムなのか、リバタリアニズムのハイエク的な経済主義なのか、それはまだわかりませんが、web3,0に突入し始めた世界で、真正保守はこれらの新しい社会の胎動にどう向き合うのか踏ん張りどころです。2025年度は、私立学校の経営の時代がやってきたということでしょう。もちろん、教育の質が豊かであることは大前提ですから、経営と言っても教育イノベーションに軸をおいたものになるでしょう。

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かえつ有明の多様性 いよいよOnly One Earthへ

先週金曜日、今年最後のGWEでかえつ有明の山田先生(国際部部長)、内山先生(広報部主任)にお話を聞くことができました。さすが人気校です。まだ公開2日しか経っていない段階で、多くの受験生が視聴しています。そしてさらに感動したことでしょう。説明会では話されないような内容がいくつもあったのですから。しかもそれは、他校にはないというか追いつけないようなかえつ有明の独自のものです。

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(2024年ERIAの資料から)

★内山先生が、登壇されるその日に、3人のかえつ生に、インタビューした動画から始まったのですが、その様子が、海外のエスタブリッシュスクールの雰囲気さながらでした。フラットでフリー、フレンドシップという3f精神で満ちていました。かえつ有明は、多様性に満ちている学校であることは有名ですが、その3人の生徒は、帰国生やネイティブスピーカーの教師が多いとか、異文化理解教育が行われているとか、宗教性の違いを学ぶプログラムがあるとか、それももちろん大事だが、根本は、互いに尊重して、理解し合えるコミュニケーション能力を自分たちが学べる環境であるかどうかが決め手なのだと。

★さすがは、クリティカルシンキングとエンパシーというスキルとマインドの両面を先生方が思い描いている教育が染みわたっているなあと。お二人の先生方からも、ESLだとかコンパッションだとか、重要なキーワードが次々と現れてきます。

★かえつ有明は、基本は共感・共生をベースにする具体的な状況を受け入れながらそこから生まれる気づきを大事にする研修をしたり先生方と対話をしています。そこが心理的安全を生み出していて、大きな魅力の一つです。そのうえで、ピーターセンゲなどの仏教哲学とシステム思考、ESLを融合した独自の理論を先生方は共有しています。

★しかし、その一方で、山田先生のような実際に米国で教鞭をとって暮らしていた経験がある方がいて、ヘーゲリアン・ウェイのPBLのスキルとプラグマティックなマインドを実践し、理論と実践を統合しようという先生方も重要な存在価値があるとして受け入れられています。

★また、イギリスやオーストラリアなどオックスフォード・ケンブリッジの哲学的思考も帰国生の哲学授業では行われています。哲学と言っても英・米・欧三者では違いがあります。思想や思考の多様性まであるのがかえつ有明です。まさにグローバル・コミュニティです。

★さらに山田先生は、アジアの時代がきているのに、英・米・欧の教育だけを参照しているのではなく、アジアにも学ばなくてはと、GWEの翌日、カンボジアに旅立つというのです。すてきな目的と年末の旅ですね。

★アジアの哲学は、多様な宗教が背景にあって、英米欧のいう「哲学」でくくれないので、たしかに、この時代になっても、いやこの時代だからこそ見出さんくてはならない未知の世界でしょう。

基本的には、仏教哲学とシステム思考とESLの多様な発想がインテグレイトされたOnly One Earthという、世界はかけがえのない一つの地球であり、私たちの命であるという高邁な精神に立ち臨む先生方がいて、生徒がそれを超えようと学ぶ場があるのがかえつ有明ですね。

★本当にウェルビーイングな学校です。

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2024年12月29日 (日)

次期学習指導要領議論始まる(2)スマート教育にならざるを得ない X-skills(変容スキル)の必要性

★前回掲載した文科省の資料を見て頂ければわかるように、要は車や船がスマホ化しているように教育もスマホ化、つまりスマート教育にならざるを得ない。エネルギーをはじめとする物質的なリソースばかりか、人的資本力が不足しているのだから、当然だ。しかし、時間や空間、DX装備、インフラ整備などハード面だけの整理整頓では、スマートになるにも限界がある。もっとソフト面が必要である。

Xskills

★スマホのハード面は、プロセッサーや記憶装置、バッテリー、カメラなどだろう。ソフト面は、なんといってもOSであり、外部からインストールするアプリなどが代表的。

★時期学習指導要領に限らず、学習指導要領の改訂は、いつも教科書という記憶装置、ハード面としてプロジェクターやデバイス、時間割という画面の配置などが中心。OSをどうするのか、授業というアプリをどうするのかという話は教師が現場でつくってねと。

★それでいて、教員の資質能力は大切だと。しかし、その資質能力の実装アプリや、それを不具合なく動かすOS機能はあまり組み立てられない。

★記憶装置の使い方は教科書ガイドなど膨大に多いが、ガイドが無くては動かないというのでは、ソフト面が形成されていないというコト。

★IBならTOKのような知のソフトがある。日本だって道徳があるじゃないかと言うかもしれないが、その道徳が教科教育や探究などに転移学習機能を持っているかどうかは人による。

★ところが、TOKや欧米の哲学という授業は、各教科の授業など他の教育活動に転移学習機能を持っている。

★この転移学習機能を生み出す力こそ教員の資質能力だが、そこは目に見えないままなのが日本の教育。だから日本の教育で精神というと根性になっていまいがち。

★これでは、どんなに学習指導要領を改訂しようと、OSができない。それは現場に任せたよということなのかもしれないが、だったらそうはっきり明言したほうがよい。そのための自由な時間と空間という余白をつくるとよいのだが。

★そんなことをいっていもそこは変わらないので、自分たちで創っていくしかない。そのような転移学数機能をもったOSを生み出すスキルをX-skills(変容スキル)と呼んで、このスキルをデザインしていく動きを来年から3年間していこうと仲間の先生方と動き始めた。

★知のOSと知のアプリなどなどを生み出すスキルをX-skillsとして動きたいということになった。

★言語化はもちろんしていくが、生成AIの活用は必須である。言語化は知のOSで、生成AIを使うことは知のアプリというレトリックになるかも。

★これによって、混合型カリキュラムマネジメントから化合型カリキュラムマネジメントになりスマート教育に移行することができるだろう。学数指導要領を逸脱することなく。

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2024年12月27日 (金)

次期学習指導要領議論始まる(1)質の充実化へ

★12月25日、文部科学省は、中央教育審議会に「初等中等教育における教育課程の基準等の在り方について」諮問。審議項目を見ると、新しい学びの方法論は、現状の新学習指導要領以上のものは一見ないですが、生成AIはたんに「情報」の中に納まりきれる感じではなさそうです。

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★また。教科、探究、そのほかの教育活動の結びつきをなんとかしたいという方向性は今まで以上にありそうです。

★全・定・通の制度的見直しや教育課程の時間の伸縮自在な柔軟性もこれまで論じられてきたことを踏まえています。

★社会に開かれたとありまますが、それがグローバル化の時代の国内に限られているのかどうかはわかりません。もちろん国際教育というのはこれまで同様あるのですが、外国から見た国際教育なのか日本国内からみた国際教育なのかは、暗黙の了解があるようです。というか憲法にのっとっているので、当たり前ななおかもしれません。

★私立学校がグローバル教育というとき、もちろん複眼的なので、学習指導要領の想定するミニマムの範囲を突破することになります。

★ダイバーシティの考え方も私立学校と公立学校とは現実問題の次元では違いがでてきます。

★教師の資質能力の向上についても、物理的時短が前提になっていますから、私立と公立ではやはり違いがあります。

★私立学校の場合は、同一時間でも各教科間や探究などとの生徒の思考や感情のつながりが構造化され内的連関が循環するので、密度があがります。物理的時短だけではなく、学びの内的連関についても目を向けています。

★この連関に生成AIも結びつくので、その密度はどんどん高くなります。

★生産年齢人口が少なくなっていくわけですから、学びは多様な項目の「混合」ではなく「化合」というプロセスを重視していく必要があります。少ない時間や人材で、大きな成果を上げる学びや仕事のやり方を考えるという学びのイノベーション時代が次期学習指導要領が求めていることでしょう。

★そうでなければ、現状のの膨大な学習指導要領の学習項目はこなせません。

★学習指導要領は、最小限これは学んでほしいということらしいですが、最小限がこんなに多くてどうするのだろうと途方に暮れている現場もあります。

★もし、審議事項にあるように、子供たちの興味と関心を喚起したいのならば、もっと選択意思決定が作動するような学びの項目の作り方が必要でしょう。DX化は、こういうところで本来有効なはずです。

★これも試練ということで、今まで10時間かっかていたことを3時間ぐらいでできるような学びの内的連関の構造を組み立てるしかないようです。

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2024年12月25日 (水)

新しい学びを推進する学校の選択者の志向性 新しい学びを推進して出願数が多い学校とそいうでない学校

★今や私立学校も新しい学びを取りれていない学校はない。しかし、グローバル×STEAM×探究を強烈に推進している学校はといえば、25%くらいでしょう。ですから、そのうような強烈な新しい学びを推進する学校の選択者は、新しい学びを重視する価値観を有している。そしてそれ以外は、なんだかんだといって学歴を重視する価値観を有している。もちろん、その間にはグラデーションがあって、選択者である保護者にとっては迷うところではある。

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★そのような迷っている保護者は、新しい学びを推進している学校のうちかなり強烈に大学合格実績の成果を出している学校は選択するが、実績が向上している最中の学校は、まだまだ眼中にない。

★学歴重視の価値思考の保護者は、新しい学びを推進ているかどうかが見えない場合、大学合格実績向上中だとほぼ選択肢の中に入らない。

★一方、新しい学びの価値観の選択者は、新しい学びの教育の質が明快に見える化され、大学合格実績は向上中の段階で、その学校を選ぶ傾向にあるはずだ。

★そして、その新しい学びの価値観の持ち主は、このような新しい学校は、その教育の質をまだまだ見える化していないということも心得ていて、自分で探そうとする保護者もいる。

★もしそのような教育の質を見える化していないが、質は高く、大学合格実績も向上中であるという場合、その学校を、選んでくれ在校生とその保護者とともに見える化するにはどうしたらよいのか協力し合うと、見える化が可能になり、口コミ評判づくりが可能になる。

★たとえば、今では教育の質が高く、大学合格実績も毎年向上している文化学園大学杉並のようなグローバル×STEAM×探究教育をばく進しているような学校は、A領域のポジショニングを確保している象徴的な存在だ。

★A領域とD領域の学校は合わせると全体の25%くらい。このすべてがA領域になったとき、中学入試市場の価値観は加速度的にシフトする。

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2024年12月首都模試合判の志望登録者数から(4)登録者数増加の女子が受験する共学校

★12月首都模試合判の志望登録者数で2科4科とも志望登録者数が増加している女子が受験する共学校を列挙します。地域別・五十音順。

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(桜美林の堂本校長と駒沢学園女子の土屋校長の対話。AI時代における大切なマインドとスキルについて2つの世界知の切り口で語られています。)

[東京・共学校]

青山・郁文館・桜美林・国士舘・駒込・桜丘・実践学園・品川翔英・芝国際・淑徳巣鴨・順天・城西大城西・創価・玉川学園・多摩大目黒・千代田・帝京大学・帝京八王子・東京成徳・東京農業大学第一・新渡戸文化・日本工業大学駒場・日本大学第三・八王子学園八王子・文化学園大学杉並・文教大学付属・明治学院・明男治大学付属八王子・明治大学付属明治・名星・目白研心・八雲学園・安田学園・立正大学付属立正・

[神奈川・共学校]

関東学院六浦・公文国際学園・聖ヨゼフ学園・相洋・鶴見大学附属・桐蔭学園中等教育学校・東海大学付属相模・日本大学・日本大学藤沢・法政大学第二

[千葉・共学校]

市川・暁星国際・芝浦工業大学柏・昭和学院秀英・東邦大学付属東邦・成田高等学校付属・日出学園

[埼玉・共学校]

浦和実業学園・開智所沢・狭山ヶ丘高等学校付属・自由の森学園・西武学園文理・武南

[茨城・共学校]

江戸川学園取手

★共学校は、基本的にはチャレンジングな教育を創発しながら進化していく傾向があります。大学付属であっても、その大学がやはりチャレンジングな研究をすると中高にも影響します。

★高大連携や大学附属に対する見方を新しくする必要があるかもしれません。

★そういう意味でも、このリストは興味深い結果になっています。1月以降の出願の様子をみていろいろ考察したいと思います。

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2024年12月首都模試合判の志望登録者数から(3)登録者数増加の女子校

★12月首都模試合判の志望登録者数で2科4科とも志望登録者数が増加している女子校を列挙します。地域別・五十音順。

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(駒沢学園女子が受験生応援動画を次々とアップしています。生徒広報部が作成しています。1分間で簡明・明快・感動的な情報発信。すばらしいですね。)

[東京女子校]
英明フロンティア・鴎友学園女子・神田女学園・北豊島・国本女子・小石川淑徳巣鴨・光塩女子学院・佼成学園女子・駒沢学園女子・十文字・女子学院・女子聖学院・瀧野川女子学園・東京家政学院・東京家政大附属女子・トキワ松学園・富士見丘・文京学院大学女子

[神奈川女子校]
神奈川学園・鎌倉女学院・鎌倉女子大・函嶺白百合・北鎌倉女子・捜真女学校・横浜共立学園

[千葉女子校]
国府台女子学院・和洋国府台女子

★首都圏模試の志望者数ではその勢いが反映されていない女子校もまだまだあります。4模試データ全体を見れば、それは明らかになりますが、その中で一般公開しているのは首都圏模試センターだけです。

★出願数を見なければ、本当のところはわかりませんが、この中には、たしかにとまらない勢いを感じる学校も幾つもあります。

★今女子校は、どこも教育の質の競争状態に入っています。教育の質と入学者獲得が相関する理由を出願数が明らかになって以降リサーチしていきたいと思います。

 

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2024年12月24日 (火)

2024年12月首都模試合判の志望登録者数から(2)登録者数増加の男子受験校

★12月首都模試合判の志望登録者数で2科4科とも志望登録者数が増加している男子が受験する男子校、共学校を列挙します。地域別・五十音順。

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[東京・男子校]

足立学園・開成・桐朋・日本学園・早稲田大学高等学院

[神奈川・男子校]
浅野・栄光学園・聖光学院

[東京・共学校]
青山学院・上野学園・桜美林・国士舘・駒込・桜丘・実践学園・品川翔英・芝国際・自由学園・淑徳・淑徳巣鴨・順天・城西大城西・多摩大目黒・千代田・貞静学園・東海大学菅生・東京成徳・東京立正・東星学園・東洋大学京北・新渡戸文化・日本工業大学駒場・八王子学園八王子・文化学園大学杉並・文教大学付属・武蔵野大学・武蔵野東・目黒学院・目白研心・八雲学園・安田学園

[神奈川・共学校]
湘南学園・日本大学藤沢・横浜富士見丘

[千葉・共学校]
暁星国際・渋谷教育学園幕張・千葉明徳・日出学園・八千代松陰

[埼玉・共学校]
浦和実業・開智・開智所沢・開智未来・狭山ヶ丘高等学校付属・武南・星野学園

★なんらかのチャレンジとそれに伴う何らかの成果が見える化されているからということだと思いますが、4模試の合算データではないので、偏りはあります。

★ただ、なんらかのその理由を今後リサーチするためのリストとして備忘録的にメモしておきます。

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2024年12月首都模試合判の志望登録者数から(1)足立学園

★足立学園の12月首都模試合判の志望登録者数をみると、昨対比2科目受験者114%、4科目は112%と大幅に伸びています。その理由の一つは、破格のグローバル教育ですが、一方で大学合格実績の飛躍もあり、外から見ていてシンプルでわかりやすいですね。

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★ただ、このようなシンプルでわかりやすい教育というのは、校長のマネジメント能力がパワフルで戦略的でなければなりません。

★井上校長は、ボトムアップリーダーシップを育てながら、トップダウンも明快・感銘・簡明なのです。研修チームが、学内全体に東大の栗田佳代子教授を招いて、ティーチングポートフォリオ(TP)の研修を実施するモチベーションをサポートしています。

★グローバル教育を行うにしても、大学合格実績を出すにしても、授業のスキルやマインドを向上させることが重要だという実にわかりやすい気概があるのです。

★しかし、一般に、教員というのは一国一城の主ですから、共通の授業方法や理論を学ぶというのは、意外や意外、難しいのです。新しい授業や誰がみてもそうやれば効果があると思われる授業方法論であっても、自分流儀を頑なに保守するケースが多いのです。

★そんな中、共通ベースを創り、なおかつ教師一人一人の特徴を際立たせるには、トップダウンとボトムアップの絶妙のマネジメント力が必要です。足立学園の人気の秘密の1つがここにあると思っています。

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2024年12月23日 (月)

2025年中学入試動向(42)1月・2月に親子で気をつけたいこと 石田先生のメッセージ

shuTOMO12月号の特集記事の中に、石田温則先生(石田教育情報研究所)の記事<12月からの追い込み時期に「親子で気をつけたいこと」>が掲載されています。中学受験は、親子でいっしょに体験する初めての受検体験という場合も多く、はじめようと決めたときから不安をどうマネジメントするかの日々だったと思います。ですから様々な教育カウンセラーや教育ジャーナリストの書かれた本を手に取ってきたことでしょう。

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★中学受験の試練は、学力だけではなく、このような精神的な不安定さを安定に転換させる大事なメンタルヘルスのセルフマネジメントの準備でもあるわけですから、見識を広めておくことは必要です。ただ、多くの場合、教育ジャーナリズムでは、アンケートやヒアリングというデータの集積から解決策を導いています。ですから痒いところに手が届かないというのは仕方がないことです。

★ところが、石田先生は、長年実際に受験生と学び、進路対策を共に考え、保護者と数え切れないほどの面談を重ねてきた結果、同記事のようなシンプルで明快なグッとくるメッセージを生まれてきているのです。

★12月から気をつけることとあるので、もう12月はほぼすぎているから、読んでもしかたがないと思わずに、ぜひ手に取って頂きたいのです。1月、2月にどうするかとうことも、丁寧に書かれていますから、むしろこれから活きるメッセージが刻まれています。

★石田先生のメッセージの中に、12月段階で、「開き直り」が大事だというのがあります。いやあまさにそうです。顔を上げて前に進む境地ですが、成績がよくても不安のままでいるより、開き直りです。志望校に対し、成績がいまいちの場合も不安がっていてもしかたがないでしょう。開き直りです。

★もちろん、何もしないで、開き直るのは空元気で終わります。やることはやるのは当然ですが、ではどんなことをやるのか。それについてもきちんと説明しているのが石田先生です。最終的には中学受験業界のベテランのメッセージに耳を傾けるのは、安心しますね。

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2024年12月21日 (土)

2025年中学入試動向(41)生徒が無限の価値を自ら生み出す力のシステムを組織全体でデザインする学校を参考までに

★もともと生徒が無限に価値を生みだす段階になっている層を集めている学校があります。しかし、入学後その生徒の内的動きが先生によって拡大したり逆だったりするところもあります。基本的に難関大学にたくさん入るので、そうであることが気づかれないということもあります。教師によって合うあわないがあるわけです。教師によっては、大学合格学力以上にその生徒の才能開花にかかわるし、教師によっては、それは大学に行ってから自分で主体的にやればよいと考えるケースもあるでしょう。

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★上記の図のような要素が生徒の内面にほとばしり、自分の内面も世の中とう世界両方を変える活動を始める生徒が輩出されることを組織全体でシステム化している学校もあります。ここでいうシステムというのはマシーンモデルではありません。多様な経験とその経験を通して智慧をロゴス化できる包括的なシステムデザインの話です。

★このシステムデザインは、学校によって違うので、その特徴に受験生が合うかどうか、それが学校選択の肝です。

★大学に入る前に、そこをダイレクトにやる必要があるのかどうか、まずは大学だよという考えも一つの価値志向ですからまったくいいのですが、他の子の結果や他の子と比べる偏差値などで、学校選択するのではなく、自分の子どもの才能を中高六カ年で開花させるケアとそのための仕掛けをする学校を選ぶというのもありです。

★そのような包括的なケアとシステムの両方を組織全体でデザインしている学校を思いつくまま列挙してみます。

大妻中野

鴎友学園女子

桜美林

工学院

佼成学園

かえつ有明

共立女子

駒沢学園女子

順天

順天堂大学系属理数インター 

女子学院

湘南白百合

昭和女子大

聖学院

田園調布学園

文化学園大学杉並

海城学園

武蔵

カリタス女子

恵泉

国士舘

国学院久我山

広尾グループ

三田国際

サレジアン国際グループ

逗子開成

富士見丘

八雲学園

和洋九段女子

羽田国際(2026年中学開設)

など

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2025年中学入試動向(40)和洋九段女子の教師 グローバルコミュニティを教育環境デザインするプロデューサー

★昨夜、<GLICC Weekly EDU 第197回「和洋九段女子のグローバルなPBLの魅力」>で、3人の先生から目を見張る話をお聞きしました。それはいかに和洋九段女子が、グローバルコミュニティを生徒と共にプロデュースしているかというリアリティのあるお話でした。その豊かな具体的な状況について、ここでは言うまでもなく記述すること等できません。ですから、ぜひご覧ください!

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★和洋九段女子と言えば、グローバル×PBL×STEAMですが、この日々の学びが、クエスチョン×パッション×ミッション×イノベーションという生徒のハートに光をともすエネルギーになって、グローバルコミュニティーを生み出しています。この生成というのは、新しい価値が立ち上がることでもあります。

★このような体験を通して、アートプロデュースやアントレプレナーシップを発揮できるプロジェクトリーダーとしてのコンピテンシーは、国内大学でも海外大学でも大学側が待ち望んでいることは間違いありません。

★国内外の悲惨なデストピアともいうべき世界各地の社会的状況を知り、一方で、それを防衛している平和を維持するダイバーシティの世界各地の都市を研究し、絶望の社会を希望に変えるグローバルコミュニティ(それは同校では授業の中でユートピアを考えるにまでいたっています)をプロデュースするリーダーシップを身につける和洋九段女子の生徒。

★偏差値という指標では、この和洋九段女子の先生方の教育環境デザイン力はまったく測れません。受験生の皆さん、和洋九段女子のように、6年後のウェルビーイングな進路を果たせる学校を諦めず探してください。

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2024年12月20日 (金)

2025年中学入試動向(39)駒沢学園女子 禅と数学とアートを極める教師の存在

日経ビジネス(2023.6.12)小川 仁志さん(哲学者・山口大学国際総合科学部教授)の記事「禅・数学・アートを「記号」で捉えるビジネス効果とは」は目からウロコです。そして、駒沢学園女子の数学の教師をすぐに思い浮かべました。小川さんは、<論理の行き詰まりを記号で表現する「禅」、捉えきれないものを記号で表現する「数学」、多様な解釈のために記号で表現する「アート」、これらをどうビジネスに応用できるか考えていきたいと思います>という趣旨で書かれているのですが、この「ビジネス」を「グローバル探究」と置き換えると、まさに駒沢学園女子の数学のその教師のことではかと思い立ったのです。

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★今年、同校では、12月2日から7日まで早朝坐禅会(摂心会)が行われました。同校のサイトによると、2500年前、インドのお釈迦さまは、苦楽の矛盾を超えた幸福を発見され(中道)、仏陀(智慧と慈悲を備えた最高の人格者)となり、このことを記念して、駒沢学園では、地域の方、学生、中高生、教職員皆共に坐禅をするということです。

★なんとユークリッド幾何学という数学が誕生したときと同時代に仏教は生まれたのかとここでも感動。

★小川さんは、見事に坐禅と数学とアートを結び付けていますが、歴史的にも結びついているのだと思うとくらくらしてしまいます。

★それにしても小川さんは、あの鈴木大拙の言葉を次のように引用しています。

 「□△○」の意味には諸説ありますが、大拙の禅の哲学を踏まえて解釈すると、□が「物事にとらわれた状態」で、△が「座禅」を意味し、○が「悟りを得た」状態となります。基本的に禅は、分別を超えたところにある真理を捉えようとするものです。とりわけ大拙が唱える「無分別の分別」といった概念が、まさにそうです。禅では、論理がもたらす行き詰まりを超えるために、心を落ち着かせて考える「座禅」という身体的行為が重視されています。「□△○」は、「悟りのプロセスを示している」と捉えると、納得がいきますね。

★駒沢学園女子の摂心会の坐禅の経験を通して、生徒は、達成感や、自己肯定感、周りに支えられていることへの感謝や、自分を客観視する機会に気づくといいます。まさにこの坐禅の経験からMLI(Meta-Lesson Induction)を学ぶわけです。□△○のプロセスですね。

★そして、同校で活躍しているある数学の先生は、数学と禅とバイオリンを結び付け「グローバル探究」のプログラムをシンガポールで生徒と共に経験しています。

★もちろん、その先生と協力し合う先生方が駒沢学園女子の教育を支えています。とにもかくにも、小川さんの文章が、その数学の先生を私に思い出させ、同校の禅が多様な教育活動に結びついて、生徒の生き方のプロセスを生き生きと映し出してくれたので、ここにコメントしたくなったのです。

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2025年中学入試動向(38)本音。併願の画竜点睛を欠かないために、優れた数学の教師と他教科が協力してMLIを生み出している学校を探せ!

★今年もあとわずか、1月に入ると本格的に茨城、埼玉、千葉と中学入試が始まります。しかし、第1志望校は決まっていると思いますが、併願校はまだ迷っているという場合もあるでしょう。本番まで迷うのは常ですから、そのこと自体は心配する必要はないと思います。ただ、おっせかいながら、併願の画竜点睛を欠かないようにするためには、優れた数学の教師がいるかということと他教科の先生とも協力してMLI(Meta-lesson induction)という学びを通して包括的智慧を生み出す推理力を身につけられる教育環境をデザインしているかどうかをチェックするとよいでしょう。

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★教科の教師が協働で授業を創っていたりするところは、先生方が意識しているかどうかはわかりませんが、生徒自身はMLIの能力を身につけています。そしてもう一歩大事なことは、そのMLIを自分で身につけられるように転移学習方法を確立しているかです。

★それ以外には、こまめにアドバイスノートのやりとりを教師と生徒がしているところも、このMLIが身に付いている可能性があります。

★恵泉や普連土、JGのように礼拝で、グローカルな社会課題や世界の痛みについて自分の考えをキリスト教精神に対照しながら自らロゴス化しているところもMLIを身につけている可能性大です。

★よく一方通行型の授業ではなく対話型あるいはPBL型の授業をしていますと表明している学校も可能性大です。

★これらは、リフレクションをきちんとしている可能性大だからですね。リフレクションは、自分のなんらかの改善点を見つけるという役割もありますが、実は問題解決のパターンやパターンのトランスフォームの仕方や思考方法、コンセプトレンズなどを見出す重要な役割も果たします。

★入試問題においても初見の問題に直面した時、このMLIが作動するかどうかが合否の別れめです。議論で行き詰まったとき、突破できるかどうかは、このMLIが作動するかです。

★彼は頭が固いというとき、それはMLIの能力がないということを言っているにすぎません。

★経験は大事ですが、そのプログラムの後に、MIIが生成されるリフレクションをきちんとしているかです。

★芸術鑑賞したあと、講演を聞いたあと、授業がおわったあと、気づきをロゴス化する学校があるはずです。そこもMLIが身に付く可能性大なのです。

★しかし、ダイレクトには、優れた数学の教師が他教科を巻き込んでいる学校や、他教科の先生方がその先生に学ぶ態度がある学校は、極端な話、探究も研修旅行もやらなくても、優れた人間力(MILというクリエイティブクラスの最高の能力)は育ちます。

★なお優れた数学の教師とは、東大の数学問題のエッセンスを、生徒の偏差値に関係なく、どんな生徒にも共有できる先生です。IBの数学を研究していたり、SATmathなども研究している先生もいいですね。それはたとえばニュートンの微積でも同じですね。生徒が三角関数とスマホが結びつくことをすぐにもい浮かべるとかもいい感じです。

★どうしたら、そなことがわかるのか、今述べたような例は、各学校のホームページの新着情報を1年分遡ってみればわかります。

★この話、実は、ある若い数学の先生方と対話している時にようやく結実したのです。そういう先生がいる学校は、ただし、その先生が生き生きと羽を伸ばせるマネジメントをやっているかどうかは大事ですが、ともあれ、それができれば今後ぐんと伸びます。

★実際勢いのよい学校の数学の教師を調べてみればわかります。

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2024年12月17日 (火)

2025年中学入試動向(37)自分の中学入試における国語と算数の学びの領域の違いを振り返り、入試本番までに整える

★受験生が自分の中学入試における国語と算数の学びの領域を少しだけ振り返ってみましょう。国語は、読解や記述を学んでいますよね。すると自然に図のように、<言語的思考→言語構造→基礎・応用・発展問題>の循環が学びの領域になっています。ですが、言語構造や言語的思考については暗黙知のままというのが一般的でしょう。それで、得点がとれているのならば、何ら問題ないのです。しかし、基礎から応用に飛べないとか、応用から発展問題に飛べないという場合は。一度、熟語、文、段落、文章のそれぞれの構造を意識してみてください。

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★すると、それぞれの構造のあり方がみえてくるでしょう。これだけでも、読み方や書き方が違ってきます。さらに、それらの構造の共通性について一般化してみると言語的思考に行きつきます。この一般化ができると、あとは語彙の問題や社会的文化的経験の問題がありますが、基本的には大学入試までいや社会に出てからも国語であまり悩むことはなくなるでしょう。

★一方算数は、応用問題がどこの学校でも合否のカギを握るので、大量に問題演習をします。算数の場合は、国語と違って、問題を解いているだけでは、数学的思考にいきつかないのです。

★算数の難しい問題が得意な生徒は、どこかのタイミングで数学的思考が身に付いています。ですから<数学的思考→発展問題>というショートカットができてしまいます。

★なぜかはその生徒の過去の学びの環境をみてみないとわかりません。持って生まれたものなのかもしれません。

★しかし、そのような生徒は一握りです。数学的思考に行き着かない場合は、「基本問題→解放パターン→公式→?」と一度たどってみてください。何度かそのプラクシスをやっているうちに?の部分である数学的思考がコツとして身体化する可能性が大です。するとあるとき、途端に基礎も応用も発展も算数の場合は境界線がないことに気づくでしょう。

★とはいえ、小6生は時間がないので、応用問題の演習を諦めずにしつつ、基本問題の取り扱いを前述のように丁寧にすることです。

★小5生で、算数の得点がうまく取れないという場合、このような基本問題から数学的思考にまでたどっていくプラクシスを重ねてください。

★この学びは、実は大学に行ってから、エンジニアや科学者になるときに役立つでしょう。

★このような算数の基礎探究みたいな学びを行っている生徒が、もし国語や英語において言語的思考にまで行き着いていたら、言語的思考と数学的思考は相互転移しますから、6年生になったときに景色が変わります。

★慶応義塾大学経済学部が、2026年から入試を変えます。同大経済学部は、大学入試の段階では、日本語も英語も言語構造や言語的思考で転移し合っている生徒を対象にするようになります。それゆえ、国語の試験はありません。

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2024年12月16日 (月)

2025年中学入試動向(36)偏差値ではなくグローバル教育の5つのタイプから考えてみるのも有りか 潜在的才能ポイント別で

★中学入試において、英語入試や英語資格活用入試などグローバル入試を実施する私学が増えてきました。どの私立学校も「グローバル教育」を行うようになったためでしょう。それでも武蔵や開成のようにグローバル教育を導入しながらも英語入試を行わない学校もありますね。逆に英語資格活用入試を前面に押し出す八雲や湘南白百合などの学校もあります。グローバル教育と一口にいっても、多種多様なタイプがあるということでしょう。

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(イラストはbing作成)

★ただ一つ言えることは、どのようなタイプであれグローバル教育を促進する私立学校が増えれば増えるほど、フラット・フリー・フレンドシップという3Fマインドが拡大します。すると、偏差値の高低があっても、大学合格実績において、東大を除いて、差がなくなってしまうということです。大学入試がグローバル入試化していくので、グローバル教育を実施している中高からは入りやすくなるのです。

★東大は募集定員が3100人くらいですから、そこだけの競争が残りますが、東大の価値が高い場合は、競争は激しくなりますが、その価値観が世の中変わりっつあり、だんだんと東大一直線のような昔ながらのイメージはむしろバイアスになってしまうでしょう。東大自身が変わってきていますから。

★ですから、受験生の現在のメンタル・非認知能力・認知能力・人間関係力・身体能力・価値観などの潜在的才能ポイントを考慮してマッチングできるグローバル教育を行っている学校を選択するというのも一つの方法かもしれません。小6の時点で英語がそれほど得意でなくても、卒業時に自分でも信じられないと驚くほどの英語力がつくグローバル教育を行う富士見丘のような注目校もあります。

★とりあえず、直観的にタイプ別にしてみました。それぞれどういう特徴があるのかは今後書いていきますが、まずは順不同で挙げておきます。

武蔵型:開成、海城、聖光、成立、城西大城西、成城学園、桜美林、共立女子、湘南白百合、順天、佼成学園など

渋谷教育学園型:頌栄女子、かえつ有明など

洗足学園型:広尾学園、攻玉社、和洋九段女子、聖ドミニコ学園、駒沢学園女子、大妻中野、佼成学園女子、神田女学園など

三田国際型:サレジアン国際学園グループなど

富士見丘型:唯一

八雲学園型:唯一

文大杉並型:唯一

工学院型:唯一

聖学院型:唯一

羽田国際型(中学は2026年開校予定):唯一

★といったところでしょうか。唯一というのを、「唯一型」とすると、グローバル教育のタイプは5つぐらいということでしょうか。どのタイプがよいとかそうでないとかいうことではありません。受験生の「潜在的才能ポイント」にマッチングするかどうかのタイプではないかと今のところ考えています。あくまで、仮説ですから、今後インタビューしながら変わっていくでしょう。受験生のみなさんは、参考程度に考えてください。

★もしも偏差値で学校を選んでいて、少し困っている場合、このような別の角度から学校を考えてみるのもよいかもしれないですよ。

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2024年12月15日 (日)

2025年中学入試動向(35)富士見丘 学習指導要領をそのままグローバル教育化としてトランスフォーメーションに成功

GLICC Weekly EDU 第196回「富士見丘中学高等学校ーグローバルスタディから世界に羽ばたく」を拝見。いつもは、コメンテーターとして参加しているのですが、米国渡航のため飛行機の中にいたりしてそれがかなわなかったのですが、それがかえって客観的に見ることができ、改めて驚いたのです!というのは、グローバル教育を推進していくと、たいていの場合、学習指導要領にプラスアルファーしていく傾向があるし、グローバルクラスとそうでないクラスがセパレートされる傾向もあるのですが、富士見丘は、学習指導要領そのものをグローバル教育化しているのです。ですから、帰国生ばかりか、国内の一般生全員が同校の6カ年一貫教育、もしくは高校3年の教育の中で、グローバルコンピテンシーを身につけていけるのです。

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★中学のクラスや高校のコース分けは、4種類です。英語4技能のコンピテンシーをCEFR基準で分けているだけです。便宜上わかりやすいので、英検のスコアでわけていますが、学習指導要領の教科のコンテンツはどのクラス/コースも変わらないのです。

★このCEFR基準で分けるということは、4技能のコンピテンシーで分けますから、英語の技能面で分けているのではないのです。CEFR基準というのは、多言語の共通コンピテンシーの基準ですから、英語であれ、日本語であれ、スペイン語であれ、フランス語であれ、何語であれ、コンテンツを分析したり、統合したり、批判したり、創造したりする思考力・判断力・表現力の非認知能力・認知能力の発達段階は同じなのです。

★ですから、学習指導要領のコンテンツへの学びのアプローチを4つの段階に分けて学んでいけるのです。この包括的思考力を日本語と英語の両面で学んでいくというのです。富士見丘生全員がそうなのです。日本語>英語→日本語≥英語→日本語≒英語→日本語=英語というバイリンガルのコンピテンシーのバランスが最終的にC1日本語=C1英語以上になっていくという感じなのです。

★ですから、日本語≥英語の言語能力で入学してきても、日本語≦英語の言語能力で入学してきても最終的にC1日本語=C1英語以上のバイリンガルになって卒業するのです。

★そのために日本の優れた体系化された学習指導要領のコンテンツをそのまま、このグローバルコンピテンシーのグラデーションに合わせて個別最適化したグローバル教育化へのトランスフォーメンションに成功しているのです。

★4つにクラスやコースの編成上分けますが、実際には、先生が個別最適化したコーチングさながらの指導をしていきます。

★「経験→探究→ハイブリッドフィードバックシステム」というPBL型プロセス循環が、すべての教科の授業に埋め込まれています。それがコースに応じて英語活用量が増えていくのです。

★探究のプロセスでは、多様な高大連携のロールモデルも使われています。ハイブリッドフィードバックは、オンラインやアプリを使ったり対面のチュータリング方式を使ったり、両方が巧みなコンビネーションで使われています。そして、このフィードバックの特色は、エンパワーメントエバリュエーション型なので、自信をもって自ら改善して進める評価システムです。包括的評価のみならず形成的評価の両方が活用されています。

★英語教育ではなく、バイリンガルな包括的な教育を行っていると言っても過言ではありません。

★ですから、数学もSATーMATHなど英語で数学も行われています。

★生徒1人ひとりのキャリアデザインをいっしょに創っていくチュータリングやコーチングが基本です。

★こんなふうに、私の独断と偏見で一般化してみました。このような富士見丘の教育方法のディスプリンは独特ですが、あくまで学習指導要領をベースにしているところが、インターナショナルスクールやIBスクールとは大きく違うところです。特別な語学力を持っている生徒のための学校ではないのです。日本のグローバル教育のスーパーロールモデルですが、おそらく他校では真似ができないでしょう。

★それをいかにして実現したのか?その具体的な教育実践は、ぜひ動画をご覧ください。

★とにかく、ほかのグローバル教育は、かなり外部団体の助けを借りながら行うのですが、富士見丘は日本人の教師であれ外国人の教師であれ、富士見丘の内製型・内生型教師なのです。このような教師陣を揃えるのは、現状の日本の教師の育成環境上ほぼ無理だからです。この富士見丘の教員養成、つまり人的資本形成のシステムについては、いつかお聞きしてみたいと思います。

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2025年中学入試動向(34)普連土、JG、かえつ有明、麻布、工学院、聖学院、鴎友学園女子、明大明治、八雲などの司書・司書教諭の豊かな人的資本力

首都圏模試センターのサイト記事「LOVELY LIBRARY 第20回·普連土学園の図書館《特別編》」を読んで、私立学校において、司書・司書教諭がいかに豊かな人的資本力を有しているか思い出しました。

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(写真は、同記事から)

★この記事は、普連土の図書館のすてきな思索の空間をデザインしている二人の司書教諭の知性について焦点をあてたインタビューです。昨今は読書離れがますます進んでいると言われています。これは統計からではなく、現場での実感にすぎませんが。しかし、普連土学園の司書教諭の先生方の本を愛する情熱に内なる光をともす同校の理念とぴったり重なると感じ、このような光こそ、読書のモチベーションであると改めて気づきました。

★そう考えていると、私が見学した学校の司書・司書教諭の力量を思い出しました。20年くらい前にJGに訪れたとき、司書教諭の方はOGであり、女子学院の歴史を編纂するJGの教育の象徴である編集力を発揮されていました。教科横断とか探究という言葉がない時期に、司書教諭だから、すべての教科を横断できるという発想と実行をしていたのを思い出します。

★かえつ有明も同じくらいに見学しに行って、司書・司書教諭がサイエンス科という、今でいう探究の先駆けの学びのプログラムの拠点づくりをしていました。今では、図書館「ドルフィン」は完全にプロジェクト型の学びやマインドフルネスという学校中に心理的安全の精神を普及する拠点になっていますね。

★麻布の図書館は、司書教諭のみならず、全教職員と生徒の共通した知のコモンズとしての機能を果たしています。「論集」をはじめとする様々な論文や作品を生み出す拠点ですが、教師も麻布文庫を執筆するまさに学習者中心主義の拠点というわけです。

★今の工学院の図書館は、電子書籍化していて、リアルな図書は新刊が中心になっていて、そこはファボラボにもなっています。前任者の司書教諭が、デザイン思考の拠点空間にしたために、そのようなハイブリッドな空間になっているのでしょう。その司書教諭の方は、当時から兼任していましたが、今は大学の先生として教鞭をとっています。多くの私学の司書教諭とのネットワークも広く、影響力があります。

★聖学院の司書教諭も、図書委員と知の冒険プログラムを企画運営しているし、GICの学びの拠点にもなっていて、文献リサーチ(研究という意味)の場になっています。

★鴎友学園女子も、どの教科も授業プロセスの中で、必ず立ち寄るワクワクする知の洞窟のような空間です。谷川俊太郎だったらきっとそう語ったでしょう。

★明大明治の図書館も、また司書教諭が、随分以前から探究的なプログラムを図書館で実践しています。必然的に生徒は本をエビデンスや発想のの動機にしますから、本を読むことになりますね。

★八雲学園の図書館は、姉妹校ケイトスクールの図書館のような、教育の総合力を身につける場であると同時に、自分の内面の中にある自分が知っている自分以上の自分を見出す没入空間になっています。

★学校を訪れたときに、どうしても授業を中心に見て回るので、各教科の授業とダイレクトに接続している図書館司書・司書教諭の方と話をすると以上のようなことが見えてきます。時間があれば、図書館司書・司書教諭の方のお話も聞きたいところですが、首都圏模試センターのこのシリーズがあるので、こちらを見れば、もっと詳しくわかると感じ入りました。

★それにしても、司書・司書教諭の教育の総合力を生み出す人的資本力は極めて重要だということですね。

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2024年12月14日 (土)

八雲学園をカリフォルニアから考える(了)英語祭の意味 グローバルSTEAM探究教育

本日、八雲学園は英語祭を行っています。この行事は、文化祭と同じように八雲学園の総合的な教育の集大成ともいえます。もちろん、英語の八雲の象徴であり、広く中学入試市場に知れ渡っています。中1と中2の英語劇がメインですが、そこには音楽があり、ミュージカルがあり、9カ月プログラムの報告があり、ラウンドスクエアの国際会議参加の報告もあります。クリスマスシーズンを味わえるイルミネーションもあります。

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(八雲レジデンスからの夜景、八雲生が訪れるサンタバーバラの街のイルミネーション、そして八雲学園のクリスマスイルミネーション)

★もともとケイトスクールとの姉妹校になったところから、革新的英語教育が展開したところから始まっています。その集大成のパフォーマンスとして、文化祭や英語祭を通して英語劇を行ってきました。米国のエスタブリッシュスクールでは、ドラマエデュケーションは重要な教育です。

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★ケイトスクールも例外ではなく、劇場施設もあるぐらいです。米国の名門大学によっては、書類の中に自分の通った学校の施設を説明する箇所があるところが多いのです。そのためというわけではないでしょうが、米国のスタブリッシュスクールは、テニスコートやサッカー場、馬術場などを記載したり、劇場があることを記載するところがあったりします。

★リベラルアーツをきちんと学んできたことが明快に伝わるわけです。ケイトスクールはスポーツクラブに入るのは必須です。体育はリベラルアーツの重要なポイントです。劇場もリベラルアーツのレトリックという大事な項目を象徴しています。

★日本の学習指導要領では、こういう体育や演劇に対する明確な意味を表現できていないので、八雲学園がこのようなリベラルアーツを十分すぎるぐらい取り入れていることに大学で教育を研究する学識者は気づけないのかもしれません。もったいないですね。ここにあなたがたが求める教育のエッセンスがあるのに。

★そして、イエール大学との毎年の国際音楽交流で、ミュージカル部であるグリーが結成されました。最初はサークルから始まりましたが、すぐに大人気になり部活に昇格して今も人気の部活です。

★さらに、もはや説明するまでもないですが、UCサンタバーバラと八雲レジデンスとサンタバーバラの都市を拠点に9カ月プログラムが結実しています。

★このプログラムは、もちろん英語教育の象徴ですが、サンタバーバラが同時にITのスタートアップで成功している方々居住しています。ちょっと北に行けばシリコンバレーですからね。実際UC系大学の中でも理系の研究で有名なのがサンタバーバラです。

★共学になって、当然サイエンスやテクノロジー、エンジニアリングに興味をもつ生徒がどんどん増えていくことでしょう。

★この英語祭における英語劇は、演劇の探究であると同時に、音楽の探究でもあります。文学的言語能力の探究でもあり、舞台芸術の探究でもありましょう。グローバルでSTEAM教育、特にA(アーツとリベラルアーツの両方)の教育、探究教育を通して生徒が身につけた全人的な総合力のパフォーマンス祭です。

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2024年12月12日 (木)

八雲学園をカリフォルニアから考える(6)中学選びの考え方・価値観を変える

★医学博士成田奈緒子さんが、中学受験準備や学校選びの考え方を変えることを提案しています。最終章で、教育ジャーナリストの中曽根陽子さんと対談もしていますし、ご自身大学で教鞭をとるだけではなく、小児科医として子育ての相談にのる団体も立ち上げていますから、塾業界とも距離を置ける立場から、中学受験現場を鳥の目と虫の目の複眼視点で論考しています。特に身体の健康、メンタルの健康、人間関係の健康、生きる意味の豊かさを幼児期から大人になるまでにウェルビーイングな生き方にしていく自分の総合的な力をいかにつくるかということについて、脳科学的なグローバルな視野で考えているのが参考になります。

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★編集部による上記の新書のタイトルの付け方が、私にとってはちょっと共感的でなくて購入するのを躊躇しましたが、ネット記事で一部抜粋が紹介されていて、極めて本質的で受験生や保護者に寄り添ったアイデアが書かれていると直感し読んでみました。

★1つのことを除いて、ほぼ納得のいく話でした。この1つのことも、受験生・保護者の方に対しては十分に思いやりのある文脈ですから、同書の目的としては全く問題ありません。ただ、私立学校側としては、そうとらえては、教育の質もあげられないし、新たな経営もできないし、何よりウェルビーイングな社会を形成する気概や<考動>にブレーキをかけるなと思った次第です。

★その一つのこととは、完全なユートピアの学校はないから、自分の期待とギャップはあったとしても、それはどこの学校でもそうで、自分がどのように捉えるかが大事だというような趣旨です。

★たしかに、期待のし過ぎはよろしくないのですが、私立学校側としては、建学の精神やパーパスを共に創っていこうという意欲をもって入学する生徒の期待を裏切らないように全力を尽くしたいという気概があるものです。もちろん、神様ではないので、何でもできるわけではありません。しかし、お互いを理解して共鳴共感共振して人生をつくっていこうとする点で一致しているならば、その都度アップデートしていけるのが私立学校のユートピア的なマインドなのです。

★その決定的な例が、完全なユートピアは存在しないという境界線を懸命に乗り越えて進化してきた八雲学園の近藤理事長校長と共に教育を積み重ねてきた先生方です。

★八雲学園の中3の担任の先生方は、中3全員がカリフォルニア州のサンタバーバラの八雲レジデンスでの研修に当然同行します。その他多様なサンタバーバラを拠点にしたプログラムにも同行します。生徒ばかりか先生方も、全員が6年間に少なくとも一度はカリフォルニア経験をするのです。

★「八雲レジデンスーケイトスクールーUCサンタバーバラーサンタバーバラの中心地」のスクウェアをぐるぐるラウンド経験するのです。日本のすばらしさと限界、米国のすばらしさと限界の両方が見えると同時に、ケイトスクールの生徒やUCサンタバーバラの教授陣や学生が、そのすばらしさと限界を分析・認識し、問いを生み出し、限界を超えようとしている姿に驚愕するのです。それは生徒ばかりではありません。先生方もそうです。何気ないキャニオンと海岸の間におしゃれでフラットな雰囲気の街並みがありますが、そこで生徒とショッピングしたり食事をして驚くのです。日本では特別なところに行かなければ経験できない生活の豊かさを。もっともサンタバーバラに来ている時点ですでに特別なところに来ているわけですが。

★サンタバーバラのキャニオンから街並みとその向こうの海を眺めながら、同時に星々を眺めながら、Only One Earthの息吹を素直にストレートに受容します。

★完全なユートピアはないと思った瞬間、そこはデストピアです。ユートピアとデストピアは表裏一体だと私立学校は思っています。ユートピアを不完全なままでよいのだと思うことは、デストピアのままでよいと思うのと同じなのです。

★シアトル時代からカリフォルニアの友人ネットワークを豊かにしてきた八雲学園のグローバル教育の歴史は、近藤理事長校長にこう語らしめます。「これでいいと思うことはないのですよ。常に進化し続けようと思っています」と。不易流行の心意気のオーラを近藤先生は常にまとっています。私学人のスーパーモデルであるゆえんです。

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八雲学園をカリフォルニアから考える(5)UCサンタバーバラで学ぶ八雲生

★八雲学園の3カ月留学には、毎年16人くらい八雲生は参加します。3か月の中に夏休みの期間をいれます。すると、その期間、UCサンタバーバラの学生寮を使い、同大学のキャンパスで、同大学の教授に英語という言語能力や言語文化を対話型で学びます。その他の期間は、サンタバーバラにある八雲レジデンスを使ったり、ホームステイなどを組み合わせます。

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★最近、高大連携がトレンドですが、八雲学園は、夏休み1カ月みっちりUCサンタバーバラで学ぶわけですから、随分前から海外大学と高大連携を行っているといえます。イエール大学とも国際音楽交流を毎年行っていて、これも高大連携のバリエーションの1つでしょう。

★このような日本の大学では考えられない、多様性が維持され、学部レべルでも研究への道をしっかり進めていく学生との交流が、刺激的でないはずがありません。海外大学に進む八雲生が爆増しているのは、そのような海外大学との高大連携が影響しているのは間違いないでしょう。

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★UC系の大学は、どこでも学生が真剣にそして大量の論文を読み漁り、理系も本格的な実験をしながら大学生活を過ごします。ラウンジでランチをとりながら、ラップトップをたたきながら、学んでいます。対話もしていますが、知的好奇心が溢れた感じです。

★実に羨ましいですね。自分の子どももUC系レベルの大学に留学させたいと思いますよね。

★でも、学費と寮費など生活費を合わせると年間1000万円はかかります。一般にはとても無理だと思われがちです。スカラーシップもありますから、挑戦すると必死に立ち臨みます。

★そして、実はご家族の皆さんも俄然頑張るケースが増えているのです。中学入試の準備をするときから、八雲に入学して6年後、海外大学を想定して、自分たちはどんな仕事をするのか、あるいは起業するのか、あるいは投資するのか、やはり必死に考え行動します。

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★偏差値競争などすっとばして、UC系大学レベルの海外大学を想定する中期のライフプランを立てると楽しいのです。それに、そこを目指して頑張っていると、進路変更しても、上智やICUなどもちろん早稲田や慶応なども自ずと開けてきます。そもそもそのような生徒を受け入れられるようにこれらの大学は入試改革をどんどん行っているのです。

★海外大学は、知性や感性、そして包括的脳神経身体系が豊かに育っていなければ合格は難しいのですが、こんな全人教育を経験できる八雲の6年間なら、中学受験競争で燃え尽きてしまうという心配もないわけです。他と比べて自分を考えるのではなく、自分の中の自分を鍛えていくのですから。

★八雲学園のような海外大学との高大連携を行う私立学校が増えてくれば、そこで学ぶ生徒の能力だけではなく、家庭の経済状況も向上します。日本の経済を支えることになります。

★中学受験のデメリットばかり、メディアは取り挙げがちですが、そんな雰囲気をポジティブに転換する方法を考案してもらいたいものです。ゴーレム効果をピグマリオン効果にシフトしたいですね!八雲学園に大いに学びましょう。

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工学院(2) 田中教頭インタビュー第2弾 オープンマインドの世界に通じる意味

田中教頭のインタビュー第2弾は、受験生を対象しているため、わかりやすく読みやすいけれど、示唆される部分もさりげなく盛り込まれています。

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(工学院×文大杉並×和洋九段のIBL型対話WSで)

★たとえば、こんな箇所です。

 どんなに静かな生徒でも、内に秘めた思考は必ずあるので、”伝えるべき時に伝えられるように”していく。逆に発語の多い生徒は他者の理解を得るためにまずは思考をまとめる力が必要かもしれません。それぞれに応じた力をつけていき、思考を拡げる機会を増やすこと、グッと一歩を踏み出す勇気を持たせることが私たちの役目です。

★工学院は、IBLやPBL型の授業をしています。したがって、心理的安全な対話の環境をデザインし、生徒1人ひとりがオープンマインドを生み出せるようにしています。

★しかし、このオープンマインドは、心理的状態だけではなく、オープンマインデッドネスというその心理的な受容と偏見を持たない公平な態度をとる様子をしっかり見守っている様子がこの箇所には書かれています。

★開放的というのは、笑顔で、言いたいことを何でも言えることではあるのですが、そのような態度はオープンマインドを生み出す多様な態度の一つに過ぎないのだと田中教頭は語っているのです。というか実践しているのです。

★ケンブリッジインターナショナルスクール認定校ですから、イギリスの教育もしっかりと受容しているのが工学院です。日本の小仲学校だと手を挙げてよく発言する生徒は積極的で、内向的で熟慮している生徒は消極的だと評価しがちなのですが、イギリスの教育では、そこは議論され、内向的だけれどオープンマインデッドネスとしての態度をとることができないわけではないことを理解しているわけです。

★オープンとは、快活であるなしにかかわらず、公平な眼差しを持っている自分軸の視座のことを、田中教頭は示唆しているのです。そして、そのうえで、GROWTH MINDSETを生成しているのです。グッと一歩生み出す勇気というGRITもですね。

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2024年12月11日 (水)

2025年中学入試動向(33)聖学院 STEAM教育 成果着々

★永井健太さん、おめでとうございます!聖学院のサイトに私にとっても嬉しい記事が掲載されています。<「日本図学会第一回高校生デジタルモデリングコンテスト」審査委員長賞を受賞!~デジタルモデリングで描く未来~>がぞれです。ぜひご覧いただきたいのです。

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(写真は、聖学院サイトから)

★12月8日(日)、日本図学会主催の第一回高校生デジタルモデリングコンテストにおいて、聖学院の永井健太さん(高1)が栄誉ある審査委員長賞を受賞したということです。このコンテストは、高校生たちがデジタルモデリング技術を駆使し、創造的なアイデアを形にする挑戦の場として注目を集めているようです。

★デジタルモデリングとかプロトタイプとか、いったい永井さんがどんなすてきなクリエイティビティを発揮したのかについては、同記事に詳細にまとめられていますので、そちらを是非ごらんください。

★私が嬉しいと感じたのは、なんといっても、聖学院を訪れたとき、ファブラボで生き生きとプログラミングなどをしている永井さんに会ったことがあるからです。それ以外でもすさまじいチャレンジングなスピーチに驚かされたこともあるのです。また、英語のイマージョン授業におけるミニ模擬国連のワークショップでも溌溂と取り組んでいる姿に出会っているからです。時間があれば、ファボラボでいろいろ制作しているんでいよと笑顔で接してもらったこともありました。

★その永井さんが受賞したというのですから、感動しないわけがありません。

★それと、もう一つ嬉しいことは、聖学院のSTEAM教育や環境(また新しい空間もできたようです。今度見学にいきたい!)の成果が着々と生まれているということなのです。

★聖学院のSTEAM教育は、部活でだけではなく、授業の中できちんと行われていて、一部の生徒だけが取り組んでいるわけではないのです。永井さんの多くの仲間がいるということが、今後ますます期待が高まります!

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八雲学園をカリフォルニアから考える(4)ケイトスクールとの類似点いくつも

★サッチャースクール、チャドウィックスクールなどカリフォルニア州のいくつかのエスタブリッシュなプレップスクールを見学したことがありますが、念願かなってケイトスクールを見学することができました。そして、驚きました。そのあまりの破格さに。何より姉妹校とは知っていましたが、八雲学園とあまりに類似点が多いことに感動しました。

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★その類似点は八雲学園の東京の八雲の地とサンタバーバラの八雲レジデンスの両方の学び舎を合わせて、ケイトスクールを見ていくと、それが見えてきます。ケイトスクールの図書室を見て、八雲学園のおしゃれなそして没入できるようになっている光の空間デザインは、ケイトスクールの図書館を見て、なるほど共振していると感動しました。

★それから、何気なくケイトスクールを歩いていると、目の前に広がる山また山。ケイトスクールの敷地だというので驚きです。がしかし、八雲学園のレジデンスも同じ山々(キャニオンが南北に走っていて、お互いに延長線上にあるので当たり前なのです)にあるのは全く同じです。

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(向こうに見える山もケイトスクールの敷地です)

★八雲学園の中3生は全員八雲レジデンスを中心に2週間訪れますが、そのスケジュールの中で、姉妹校ケイトスクールとの交流があります。両校ともラウンドスクエアの加盟校でもあります。その理念IDEALSの中の1つアドベンチャーも重要なプログラムです。あの山の中のハイキングを八雲生はケイトスクールの生徒と行います。

★ハイキングといっても、ピクニックではありません。この山は険しいし、キャニオン地形ですから、スカンクは当たり前のようにでてくるし、たくさん動物とも出会います。ただ、ケイトスクールの敷地ですから関係者以外は厳重なセキュリティが機能していて入ってこれないので、安心です(動物の中で人間が一番怪しい?)。アメリカのこのようなアドベンチャーは、日本でも有名なプロジェクト・アドベンチャー(PA)に代表されるように、自然の中での生活にチャレンジするものです。

★ワクワクもしますがドキドキもします。自然の表情の違いを見抜く5つの眼を研ぎ澄ます必要があります。鳥の目、虫の目、魚の目、コウモリの目、心の目などですね。その目は1人では実現できません。協働作業です。勇気もいります。しかし、1人では不安です。互いに勇気を持つようにエールを贈ります。

★生徒が将来困難な局面に出会う度に、勇気と協力という非認知能力とメタ認知能力を駆使して<考動>できる体力が必要です。それを鍛えるエスタブリッシュスクールならではのプログラムです。

★そして、授業の教室が、ケイトスクールは15人がラウンドテーブルを囲んで学ぶ大きさというスモールサイズです。1クラスが15人までの小規模校なのです。ダイナミックな広い空間で寮生活しながら、授業の時には、小さなスペースで学ぶ。ケイトスクールが日本文化を好む発想です。そうですね。茶室発想なのです。あるいは坐禅堂かもしれません。

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(ほとんどのクラスに、このラウンドテーブルが設置。大きなスクエアテーブルも時にありますが)

★アメリカと日本の教育の違いは、クラスサイズですが、八雲学園はバラザミーティングなど、スモールサイズで対話型の学びを多く展開しています。バラザミーティングはケイトスクールもラウンドスクエア同士校として共有しています。

★このように、見た感じ似ているところもあるし、外見上は違うけれど、内面的発想は似ているというというところが随所にあります。

★ケイトスクールは、スペイン語クラス、中国語クラスなどの他に日本語クラスもあります。日本語クラスは人気で、15名満席です。そのクラスのメンバーが八雲学園を訪れて交流もしています。全寮制の学校なので、夜生徒たちだけで学ぶクラスがありますが、それは先輩たちがチュータリングします。チューターは誰もができるわけではありません。教師が認定した生徒のみです。このチュータ経験は、大学のアプリケーションで必要な経験を記載する上で有効です。リーダーシップのポイントになるのでしょう。その選抜にみな意欲を燃やすそうです。

★八雲学園にも、いろいろなシーンで、リーダーになる機会がありますが、同じようにオーディション機能があります。最近では総合型選抜などありますから、たしかに有効です。もっとも八雲学園は、大学のためという理由でリーダーシップを鍛えているわけではありません。大学入試や進路指導の違いは、教育行政の在り方の違いが反映するので、それはしかたがないですね。

★日本の場合、大学に行くために教育があるということはあからさまにはないのですが、欧米では大学に行くための教育と言って何ら問題ないのです。というのは、日本の入試のあり方は、教科の力をみるものですが、欧米の大学は、全人教育そのものを評価するシステムですから。

★もし、八雲学園が東大に入れることを目的にしたら、このような全人教育のような総合力を養う教育はしなかったでしょう。しかし、八雲学園の設立当初からカリフォルニア州と縁がずっと続いているのですから、その建学の精神が基礎学力だけを大事にする教育ではなかったのですね。

★それにしても、八雲学園の学費は、ケイトスクールの10分の1なのです。ラウンドスクエアの加盟校ですから、ケイトスクールのような学校の生徒と国を超え、グローバルな交流ができているのです。海外のエスタブリッシュスクールの学費は、みなケイトスクール並みです。

★それに、ケイトスクールに入学する確率は15%です。

★損得の問題をいうと品がないかもしれませんが、八雲学園は本質的な意味でお得なのではないでしょうか。本質というのは、教育行政の枠組のなかで、国を超えるエスタブリッシュな教育にチャレンジしている学校という意味で人間存在の本来的在り方が生徒の未来に映し出されるのですから。

★この気概と勇気こそ、私立学校のスーパーモデルたるゆえんです。

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八雲学園をカリフォルニアから考える(3)グローカルな諸問題を解決する方法を使う

★八雲学園がグローバルリーダーを育てる拠点は、もちろん八雲学園自身なのですが、カリフォルニアも含んでいるというのが実感なのです。八雲は施設をサンタバーバラの山を開拓してまで作っています。一年中つかわれているわけです。毎日学校のキャンパスを使っているかのような感覚で、年間通じて八雲生は訪れます。全員が一度は訪れますが、生徒によっては何度も来ることになります。ケイトスクールという姉妹校とは、行ったり来たりしますし、交換留学の交流も行っています。

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★八雲学園もケイトスクールも、世界の私立学校のグローバルコミュニティに加盟していて、互いの建学の精神をリスペクトしながら、普遍的なラウンドスクエアのIDEALSを共有しています。そして、そのIDEALSを教育実践するために、12のアプローチをしています。そのアプローチの総称がDiscovereisです。この理念と12のアプローチを表現したイメージ図が上記のイラストです。

★この理念と方法を共有しながら、年に一回グローバル会議を行って、その国や地域社会の問題が世界の問題につながっていることを加盟校の生徒がチームを作りながらバラザ会議を行っていきます。ローカルから入りながらグローバルに進み、グローバルからローカルに戻ることを何度も行き来する往還型の学びと活動を行っているわけです。

★八雲学園は、C!英語×PBL×STEAMを行っていますが、そのPBLや探究は、このIDEALs×Discoveriesの学びの基礎があるのです。

★最近、デザイン思考とかシステム思考とか哲学対話とか、探究の学習のプロセスの中で使うことが脚光を浴びていますが、IDEALS×Discovereisには、それらはすべて包摂されています。

★世界のエスタブリッシュスクールが活用している方法を共有し、フュージョンされています。

★彼らは、国際主義を尊重します。なぜなら、それぞれの学校は国に属しているからです。グローバル会議のために、あるときはオックスフォードに集まったり、ナイロビに集まったり、コロンビアに集まったりするわけですが、そのときにパスポートの価値を身に染みてわかります。

★まずは国がしっかりしていないと自分たちのグローバルな活動は難しいということは経験しています。

★同時に国では解決できないグローカルな問題があることも身に染みて理解するのです。

★国家間で解決が難しい問題を、グローバルな活動で解決できるのか?

★カリフォルニアに少し滞在しただけで、日本のスーパーマーケットが、この地で学んでいるということが手に取るようにわかります。実際北海道だけでしか展開していない大手スーパーマーケットというかコンビニは学びに来ているということを、カリフォルニアの友人から聞きました。別の友人からは、私の居住地にもある大手スーパーも学びに来ているということです。

★食品や料理は、実にローカルな話ですが、環境問題や農業、酪農、マーケティングなどグローバルな話に結びつくということが、すぐに話題になります。そして、ここが学校間の交流ですが、その環境問題や農業、酪農、マーケティングには多様な問題もあり、経済格差の問題も当然あるわけです。

★そんなグローカルな問題解決の話など、日本にいてもできるし、一般的な海外研修でできると思われるかもしれません。

★しかし、継続的にその地域の市民と考え続けることはなかなかできません。

★グローカルな問題解決には、国を超えて市民同士の継続的な目に見えないグローバルコミュニティを創っていくことが本来的には欠かせないののです。グローバル教育と言っても、多様にあるし、それは実はグローバル教育の進化のプロセスでもあります。

★グローバル教育の進化について、今首都圏模試の山下さんや北さんと語り合っています。受験市場とグローバル教育の本質を学ぶ機会を増やしていくことは、私立学校の教育の本質を受験生と共有できる絶好のチャンスだと思います。

★そのとき、進化の最前線に立っている幾つかの学校をモデルとして議論することは生産的でしょう。そのスーパーモデルが八雲学園です。

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2024年12月10日 (火)

2025年中学入試動向(32)湘南白百合 帰国生の特徴が変わる その意味は?

2025年度の湘南白百合の帰国生入試の出願の最終人数が公開されました。A方式が21名、B方式が10名の合計31名です。トータルの人数は、昨年に比較してほぼ変わりません。横ばいということでしょう。しかし、A方式の出願数がB方式の倍以上というのは、昨年と真逆です。これは英語圏あるいは海外のインターナショナルスクールで学んできた生徒が多く受験するということを意味します。

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★帰国生は、❶海外経験を生かせる学校であることがまずは何より大事な志望理由です。そして、➋その次に将来海外大学や東大などの難関大学に進みたいというモチベーションがあります。

★この2つを満たせるグローバル教育を行っている学校として、湘南白百合が選択されたということを示唆する出願の結果になりました。

★帰国生だからといって、すべてが英語が達者な分けではありません。フランス語だったり、中国語だったりします。彼らは、➋の欲求をどちらかというと中心に満たせる学校環境を選んだとしたら、英語ができると思ったとか英語を生かせないのかという周りの生徒のアンコンシャスバイアスのプレッシャーを感じます。

★ですから❶の望みをかなえられる学校を探します。湘南白百合は、B方式がありますから、彼らのような希望をかなえられる学校であります。そして同時に、❶も➋も満たしたいという希望もかなえられる学校です。

★B方式で入学した生徒も、実は心理的安全な雰囲気の中で、英語を学んでいくことができますから、最終的には➋の欲求も満たせます。

★こうして、湘南白百合は、世界のエスタブリッシュな教育と接続できる学校として認知されています。少子化の時代、2025年は、湘南白百合のように志望者数の競争ではなく、教育のクオリティの競争ということになるでしょう。

★定員を確保し、生徒1人ひとりの才能を生かせる多様な教育と高い大学合格実績の両方を満足する教育の質を選択する生徒が集まってくるのか、前者を満たす教育が主軸なのか、後者を満たす教育が主軸なのか。私事の自己決定ですが、世界のエスタブリッシュな教育と連続できるのは、両者を満たせる学校です。

★少子化の時代、各学校はどうするのか?2025年の中学入試の動向でそれを見ることができるでしょう。

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2024年12月 9日 (月)

八雲学園をカリフォルニアから考える(2)インターナショナル≦グローバル

★カリフォルニア州は、日本がすっぽり入る面積で、平地が多く、人口も4000万人弱。それでいて、経済規模はドイツや日本に迫る勢いです。米国に属しながら州というグローバル市民社会として相対的に独立しています。連邦制度に属しながらも州としての自治権がかなり強いわけです。これは、日本と東京の関係も同様なのですが、日本国民は市民社会的発想はあまりないかもしれません。あくまで日本≧東京というイメージが濃厚です。この点における法制度的あるいは権利関係的な事実はきちんと比較研究しなければなんともいえないのですが、イメージとしては、下のような図の集合関係になると思っています。

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★ですから、八雲学園の<破格な>グローバル教育の<破格な>の意味するところは、インターナショナルとしての国家に従属する海外の自治体というイメージでグローバル教育ではないのです。これは日本の各自治体の国際理解教育に相当するイメージなのです。

★しかし、八雲の場合は、インターナショナルとしての国家に属すると同時に、自治体として独自の自治権を有している市民社会においてグローバル教育を行ているという点において<破格>なのです。

★この違いが何を意味するのか、国際教育では、国において「主体的」な人間力は確立できますが、グローバル市民社会の1市民として、国を相対化し、自由に独立して国を超えてリーダーシップを発揮するマインドとスキルは育たないでしょう。

★国際理解教育においてのグローバルリーダーは、政府高官あるいは国の代理人として活躍する企業人などのように特別な権威と権限を有しなければならないのですが、グローバル市民社会におけるグローバルリーダーとは、そのような権威や権限を持つリーダーになることもできますが、その前に1人のグローバル市民社会のメンバーとして、判断して、意思決定して<考動>(思考と行動はDNAのようにらせん状に連結しています)できる独立した自由な人間力のことをいうのです。

★八雲の近藤理事長校長自身は、このような確固たるグローバルリーダーたる私学人です。ですから、東京都や政府とも正しい法と権利は共有しつつも、私学というグローバル市民社会に貢献する人間力が生まれる拠点として、私学の自治権や経営権は保守するのです。

★このような私学人の精神が、グローバル教育にも浸透しているのが、<破格>ということでしょう。

★受験生は中学入試直前を迎えています。受験生の未来がどのスタンドポイントに立って人生を送るのか、未来社会を描くとき、どこから描いていくのか、実は大事なことです。偏差値競争社会は、日本の国内社会でしか通用しない指標です。グローバル社会だって競争はありますが、自分はこの地球上において何ができるのか、そもそも何者なのか、独立した自由人としてのクオリティの競争社会です。偏差値という世界では認定されていない団体の創り出した指標に依存して生きているとどうなるかは、火を見るよりも明らかです。

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2024年12月 7日 (土)

八雲学園をカリフォルニアから考える(1)

★来年1月20日に第2次トランプ政権が誕生する前に、カリフォルニア州の雰囲気を視察したいと思い、昨日到着しました。久々です。20年前だったでしょうか、LAXで、八雲学園の近藤理事長校長とばったりお会いしたのは。相変わらずLAXでの入国審査のときのあふれるほどの人数に、やはり活気あるなあと感じ入りました。

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(カリフォルニアの海から夕刻日本を眺めた。。。)

★ハイウェイも相変わらず混んでいるし、スピードが日本とは違うのは前から変わりませんが、テスラのEVがたくさん走っていました。いきなり、テスラvsカリフォルニア州のせめぎ合いの話を想起しました。

★もちろん、街々は平和です。環境への配慮や大谷選手が好んでいるというハンバーグ店に立ち寄った時も、平和な対話があふれる店内でした。

★しかし、この日常は、東京にはちょっとないですよね。日本とほぼ同じ面積のカリフォルニア州の人口は4000万弱です。それでいて、経済規模は、GDPで、やがて日本やドイツを上回る勢いです。

★海岸から見る海の中には、何やら油田を掘っている施設が並んでいて、電力と自然環境を巡るカリフォルニア州のトランプ政権と対峙する準備が静かに進んでいるなあという雰囲気を感じないわけにはいきませんでした。

★いずれにしても、東京シティは国に、そして世界に大きな影響を与えます。カリフォルニア州もまた、合衆国に、そして世界にさらにもっと大きな影響を与えます。

★東京では、東京大学が先頭に立って、スタートアップを拡大しようとしています。カリフォルニア州では、それは当たり前だし、すでにGAFAMのような成功例もあります。そこにテスラが対抗して、カリフォルニアを離脱してテキサスにシフトし、いよいよトランプ政権でイーロン・マスクは何をするのか。

★美しいカリフォルニアの海、その向こうに日本があります。特に東京は、カリフォルニア州とどう共創共在していくのか。

★東京の私立学校の協会の会長でもある八雲の近藤理事長校長が、考えていることは計り知れないなあと思いつつ、カリフォルニアの教育視察というより、経済や生活の視察を今回は重視しようと思います。

★いずれにしても、八雲学園がこのようなカリフォルニア州を拠点にして(レジデンスという高級リゾートハウスまでつくって)研修を一年中行っています。一般の学校の研修旅行とは全く違うというのを実感しています。八雲の生徒は、たんに英語の勉強しにきているのではないという実感を抱いているカリフォルニア1日目です。

★なぜカリフォルニア州なのか。カリフォルニア州から、破格のグローバル教育とは何か、そのスーパーロールモデル八雲学園の重要な価値について思いを巡らしながらハイウェイを走ります。

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工学院(1) 田中教頭インタビュー第2弾 学習する希望の組織着々

工学院大学附属中学校高等学校のサイトに、教頭田中歩先生のインタビュー記事第2弾が掲載されています。同校の広報部がインタビューしたものです。外から見ていたらわからないような教育の上質のそしてそれがゆえに重要な部分が描かれいます。必見です。

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★中学に入学した生徒について、田中教頭はこう語っています。

「この8か月間は多くを学び、生徒との日々の関わりや新しい取り組みは、私にとっても深い成長の機会でした。
1年生の入学時に「10年後の自分」という課題で、10年後の自分と社会についてレポートと絵を提出してもらったんです。そこには、医師や科学者として社会に貢献したいという夢や、自分が成長して家族を支える姿などが描かれていて、濁りのない純粋な希望にあふれていました。」

★田中教頭の生徒中心主義の眼差しが明快にありますね。そして、常に教師も生徒と同様学習者であり、成長し続けるのだという学習者中心主義がその土台にあることも。そして、続けてこう語っています。

「生徒たちの描く将来のビジョンを尊重し、そのまままっすぐに夢が実現できるようにサポートしていきたい。生徒たちがデジタルネイティブであることは知識だけの経験不足を生む要因でもありますが、そこは我々がサポートすることで強みとして捉えていく、そんなモチベーションからのスタートでした。」

★ここで極めて重要なことは、田中歩先生が中学の教頭だということです。工学院は、校長室と高校職員室と中学職員室は別々にあります。したがって、中野校長と高校の奥津校長と中学の田中教頭はビジョンを日々共有し、刻刻とオンライン上のグループワークで軌道修正しながら、教育の実践計画を共有し、それぞれ高校、中学に浸透させているわけです。

★実際、中学の職員室の机の配置から言って、田中教頭は、フラット・フリー・フレンドシップという3F精神の雰囲気を作り出す役割を果たしています。だからこそ、生徒中心主義や学習者中心主義が完遂できるのです。

★多くの学校で、田中歩先生のような優秀な教員はいます。しかし、その優秀な教員と同じビジョンを学校が共有しているかどうかはわからないのです。むしろ、先生によってはそういう先生もいるし、そうでない先生もいるというのが、従来型の学校組織です。

★しかし、今の工学院は、ビジョンは学内で実践の隅々にまで浸透していく学習する希望の組織になっています。

★ですから、田中教頭のことばは、そのまま工学院の中学校のあり方そのものなのです。

★グローバル教育や探究、STEAM教育などどこの学校でも進み始めていますが、そもそもこのような学びを創り出したはじめのころ、今でもそうですが、MITのピーター・センゲの「学習する組織」や「学習する学校」という理論書に多くの先生方が学びました。MITメディアラボのシーモア・パパート教授たちにも学びました。 

★SDGsを標榜している学校は、無意識のうちに彼らの理論を学んでいます。もちろん、デザイン思考などもイギリスとスタンフォードの流れもありますが、今では、これらは現場ではフューージョンしています。それがゆえ、理論として言語化されることはだんだんなくなってきました。より実践研究になっています。しかし、実践研究は実践と理論を往還するので、工学院のように、学習者中心主義的であることは大事なのです。

★田中歩教頭は、10年前には、すでに心理学的なアプローチ(これは今でも中核です)で生徒中心主義的授業(PBL)を組み立てていたし、学習する組織とIBの学習者中心主義の考えをとりれていました。そして、ラウンドスクエアに加盟し、ケンブリッジイナターナショナルスクール認定校でもあるので、実践と理論の往還は当たり前になっています。

★しかし、当時は、それはまだ学内では、プロジェクトチームの先生方がまずは実験をやってみようという感じでした。多くの学校は、いまようやくこの段階です。ところが、田中先生が教務主任(他の学校の教務部長)になってから、プロジェクトレベルのものを学内全体に浸透させるアクションを起こしていました。

★とはいえ、あくまで教育の論理の話でした。しかし、教頭になった今、教育の論理と経営の倫理の両輪を回すリーダーシップを発揮する役割を果たすようになりました。

★教頭就任8カ月で、その浸透の速度が加速しています。学校全体が学習する希望の組織になる学校は、そうないのです。生徒中心主義は、生徒迎合主義だという派も学内にはいるのが普通の学校です(これを聞いて、あっ、ハラスメントの可能性があるというセンサーを保護者は持った方がよいのです)。教員というのは、ある意味、企業とは違い、専門家集団ですから、学習する組織になるのは難しいのです。この事実に受験生の保護者はそろそれ気づいた方がいいです。

★希望の学校、ウェルビーイングな学校は、組織で全体がフラット・フリー・フレンドシップの3F主義なんです。最近のキーワードでいえば、ハラスメントレスな学校なんです。教頭就任8カ月ですが、英語科主任、教務主任、教頭就任という10年かけて、小さく始めて大きく育てる忍耐強い田中歩先生なのです。

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2024年12月 6日 (金)

2025年中学入試動向(31)八雲学園 目に見えぬ凄まじい質的変化

★八雲学園の合判模試(11月3日首都圏模試実施)の志望校登録者数の3年間推移をみると、ピタッと横ばい。増えている学校は少ないけれど、これほどファン層が一定しているというのも珍しいと思います。

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★八雲学園の破格のグローバル教育は有名で、多様な公開イベントもしているので、八雲の教育の高さは広く知れ渡っています。しかし、サイエンスーマスのすさまじいクオリティの向上は、まだまだ目に見えていない可能性があります。

★グローバル探究は目に見えていても、その探究に数理的な科学思考が加わっていて、そこのパワフルさが伝わるのに少し時間がかかっています。経営学部やコミュニケーション学を大学で研究しているOB・OGが、実は八雲学園の英語教育は非常に役立っているというスピーチはします。

★しかし、そのスピーチのデータエビデンスでデータサイエンスのスキルをさりげなく使っているのです。

★これは大学に進んでから、かなり有効です。英語とサイエンスマスの思考様式を身につけられる八雲学園。

★そのことに中学入試市場が気づいたら、再び志望校登録者数は右肩上がりになります。今後が楽しみです。

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2025年中学入試動向(30)三輪田の魅力 不易の読書と論文とボランティア

★建学の精神に基づいて、先見性・先進性・多様性のある独自の不易流行の教育を実践しているのが、私立学校の特色です。三輪田学園もその例外ではありませんが、不易の精神を育てるプグラムが、読書と論文とボランティアです。グローバル教育やICT教育は、AI時代にあって当然取り入れています。しかし、どんな時代にあっても、生徒自身が文献リサーチができ、フィールドワークができ、論文をアウトプットしながら貢献活動をできる心のコアができているということが決定的に重要なのは、AIコンサルタントやリスキリングコンサルタントも重視している昨今です。

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★今年の11月3日、首都圏模試センターが実施した合判模試で三輪田学園を志望登録した数は、2科目で853人です。同日の3年間推移は、隔年現象として多様減っていますが、人気は変わらないでしょう。そもそも853人という数は、その数の多さはおそらく女子校でベスト3に入るのではなでしょうか。

★Z世代にとって、日本のアニメ文化などは無視できませんが、これを単なる娯楽としてみなすのではなく、サブカルチャーの1つとして日本文化を考察する姿勢が、実は30年前からあったのです。このことを塩見校長は学びの次元にもっていけるトークをする方です。

★当然サブカルチャーとして、コンピューターサイエンスも捉え直すことができます。

★このような柔軟で目からウロコという学びの視座は、多様な経験を通して養われますが、やはり読書と論文編集とボランティア活動が基礎であることは、いつの世の中も変わりありません。

★そして、このような学びは、どの学校でも持続可能になっているわけではないのです。

★ところが三輪田はそこがしっかりした教育システムとして確立されています。しかも国語と社会の横断的な学びができていますから、今どこの学校でも試行錯誤している探究の土台も出きあがっているのです。

★このことは、実はビル・ゲイツやイーロン・マスクに代表されるように、イノベーティブな企業人が大切にしていることです。三輪田に通わせたいと思っている保護者もそれは同じ想いでしょう。

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2024年12月 5日 (木)

2025年中学入試動向(29)足立学園 大学進学実績とグローバル教育

★首都圏模試センターが11月に実施した合判模試の志望者数の結果を見ると、足立学園の人気がまたまた沸騰しています。2科入試、4科入試の3年間の志望者登録数の推移をグラフにするとゥt魏のようになります。

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★この人気の理由として、高い大学合格実績を出す教育力とグローバルサウスの国々と交流する先見性あるグローバル教育力の両輪があるからです。

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★このことについては、首都圏模試センターの学校特集<足立学園中学校・高等学校2024~数々の国で学び、より広い視野で世界を捉える「志共育」>に丁寧に詳細に記事になっています。ぜひご覧ください。

 

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2025年中学入試動向(28)富士見丘 11月合判模試の志望者数増

★富士見丘のサイトに「“お得な中高一貫校” レバレッジ度ランキング 今年も第1位!」という記事が掲載されています。「第1位に輝くのは、2021年、2023年に続く3回目で、本誌の記事内においても「高レバレッジ常連校」として、高い進学実績と高度なグローバル教育が高く評価されています」と明快に表現されています。

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★そして、実際に2025年入試で予想される志望者数も増えています。11月に実施された合判模試で登録された志望者数は、3年間の推移をみると、上記グラフのようになっています。

★前年対比も、2科目入試では161.3%、4科目入試で158.8%です。

★同校の入試の種類は多様で、帰国生入試も人気ですから、実際にはもっと多くなるはずです。

★多くの海外大学の合格実績を輩出できるグローバル教育は帰国生だけではなく、国内の一般生にとっても魅力です。なぜなら、国内の大学を受験するときにグローバル教育は大いに役に立つことが受験業界では常識化しているからです。

★実際に生徒が魅力を感じている大学に多数合格する証が、レバレッジ度ランキング第1位で示されているわけですから、人気がどんどんでてくるのは当然でしょう。

★従来は良質の教育と大学合格実績は必ずしも結びつかなかったのですが、最近では良質の教育は大学合格実績にも直結します。大学入試改革がどんどん進んでいるからです。

 

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2024年12月 4日 (水)

2025年中学入試動向(27)国学院久我山 本来的なSTEAMを「くがラボ」で

首都圏模試センターの学校特集記事「国学院大学久我山中学高等学校2024 体験を通して探究心を磨く。理科教室「くがラボ」が目指すもの」は日本の質の高い教育の原点の象徴が「くがラボ」であることを表現しています。

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★この記事ではSTEAMという言葉は活用されていませんが、STEAMの真髄のサイエンスのものの見方・考え方と数理的発想をベースにした科学的探究がしっかり土台となっていることが了解できます。

★STEAMでDXは大事ですが、肝心のSとMの部分がなかなか関連付けられないまだ発展途上であるのが中高現場での課題でしょう。自然科学に限らず、人文科学や社会科学においても、好奇心、オープンマインド、問いを立てるということは重要ですが、この視点をシンプルに身に付けられやすいのは、自然科学です。

★人文科学や社会科学は、膨大な文献リサーチから始めざるを得ないのですが、自然科学は、森を散策しながら、料理をしながら、スポーツをしながら好奇心・オープンマインド・問いを生成する行動は生まれやすいのです。

★それがいつの間にかそこから遠のいてしまったわけです。同校の「くがラボ」はその原点に回帰し、科学研究のプロセスをワクワクしながら没入していく仕掛けを作っています。

★このプロセスは、実はグローバル教育やSTEAM、探究、そしてなんといっても教科の学びにおいても共通する最強の土台です。

★科学的思考や科学的プロセスの学びと建学の精神を問い続けるリベラルアーツが揃っている私立中高一貫校、そしてジェンダーの問題も独自の別学教育によって解決のヒントを世の中に提案している私立中高一貫校、それが国学院久我山だと思います。

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2024年12月 3日 (火)

2025年中学入試動向(26)日駒 コンパクトでパワフルなカリキュラム

首都圏模試センターの記事『24年「新入試体験! 私立中コラボフェスタ」レポートVol.2』に、日本工業駒場中学が実施したプレゼン入試のワークショップの様子が紹介されています。

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★理科の教科書を超えたたくさんのサイエンス実験や美術や工芸の授業のアートの質の高さ、図書館をはじめとするコンパクトだけれど、生徒一人一人の居場所があり、才能をアフォーダンスする仕掛けの校舎デザインなどが人気を支えていると感じています。

★探究が多角的で柔軟なキャリア教育に結びつき、グローバル×STEAM教育が各教科の授業の中に融合しています。コンパクトですが、核融合さながらパワフルです。

★もともとものづくりをベースにした教育があったのですから、それが教育工学的な発想にシフトしてコンパクトでパワフルな教育を作り上げているのだと思います。

★人格と進路の合力が工学的教養を生み出し、大学合格実績も成功に導いています。

 

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2024年12月 2日 (月)

リスクマネジメントしての中学選択(05)共愛モデルに学ぶ

★今年の7月、共愛学園前橋国際大学の児浦准教授のゼミを見学する機会を頂きました。同大学の学生は、様々なプロジェクトを生み出し、活動しています。高校で探究活動の一環としてフィールドワークやインターンシップを活用した学生が集まっているのは、このようなプロジェクトの広がりが大学で展開しているからだということがその時了解できました。

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★そして、前橋まで児浦准教授と仲間のゼミ生におくっていただき、自分たちのプロジェクトの拠点である商店街も案内していただきました。高校の探究と違って、大学のプロジェクト活動は、学問的理論やフィールドワークの質的リサーチ、インタビューによる文化人類学的なアプローチで地域の根本的社会課題を見出し、解決策を提案し、実践していく理論と実践が循環するそして経済につながる試みだと感動して帰路についたのを鮮明に憶えています。

★あれから4カ月たった今、児浦准教授のfacebookで、ゼミ生の幾人かが子ども食堂を企画し運営し成功し続けているという情報を得ました。

★高校段階では、ここまで行うのはなかなか困難ですが、児浦准教授の前職の高校では、実際に起業する中高生もいて、児浦准教授にとっては探究とプロジェクトとアントレプレナーシップの高大連携のイメージはすでにあったのだなあと。さすがです。

★高校と大学の探究やプロジェックトの大きな違いは、学際的な理論と実践が起業において結びついているかいないかですね。子ども食堂を大学生が運営すると、それはグローカルな視点を当然持ち込みます。どうして子ども食堂を行う必要があるのか、根本的な問いを見出し、解決するために文献、フィールドワーク、インタビュー、インターンシップなど多角的なリサーチをします。

★今回も、子ども食堂を行うこととゼミで行っている限界集落の創生を行う手続きは似ていたでしょう。

★根本的には、格差を生み出してしまった金融や経済を支える新自由主義的資本主義社会の価値の転換やパラダイム転換が重要なのですが、それを言っているだけでは何も変わりません。自治体や企業、NPO、市民などとコミュニケーションをしながら支援を仰ぐのですが、この過程がコミュニティの意識を変える活動になっているのです。

★おそらく、小さく始めて大きく育てる段階で、世界の共通の痛みとつながって共感の輪が広がる可能性がある活動をしているのです。

★高大連携の重要性は、ここにあります。高校ではまだまだシミュレーションです。でもその準備段階は重要です。それがあるから、大学で、理論と実践を結びつける行動力を発揮できるのです。

★高校ではまだまだinter-actionですが、その対話の質と量は大学ではtrans-actionに変容します。もちろん、どこの高大連携でもそうなるわけではありません。この先鋭的で本質的な高大連携を展開している共愛モデルは、昨今トレンドの高大連携をしている中高一貫校の選択を考える際の参考になるはずです。ぜひ共愛モデルを同大学のサイトで、思い切り発信して欲しいですね。共愛モデルをみんなで共有したいものです。世界が変わります。共愛から。

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2024年12月 1日 (日)

2025年中学入試動向(25)大妻中野の教育の質バージョンアップへ

★大妻中野の11月22日の帰国生入試の総応募者数は102名。昨年よりもまた増えました。人数の内訳については、諸橋校長によると、随分CEFR基準のB1以上が増えたということです。これが意味するところは、文法、リーディング、エッセイライティング、リスニング、スピーチの総合的な言語能力がついているということを意味します。言語能力=思考能力という言語一元論的な価値観が英語圏では強いですから、実は、このような深い思考力やプレゼン能力の高い生徒が毎年入ってきているということです。そこでこれを受け、生徒ファーストな大妻中野では、教育の質のバージョンアップを企図しているということです。

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(写真は、同校Facebookから)

★帰国生の人数が多くなるということは、多様性も豊かになるということですから、従来の日本型のドメスティックな評価システムは変えていかなくてはならないと学内では熟議されているようです。

★グローバルな学びの評価は、エンパワーメントエバリュエーション評価で、君の能力はこれだと決めつけるゴーレム効果を生み出すものではなく、君の価値はこの才能があるから無限の価値を生めるよというエンパワーメント評価のシステムを作るということに挑戦しているのだと推察します。

★また諸橋校長は、「リベラルアーツ」をどのように教育に浸透させ、実装するかについても議論しているということです。

★特にWWLコンソーシアム拠点校になって、多くの大学や多様な団体とのコミュニケーションがますます広がり、共通言語が英語は当たり前で、もっと幅広いリベラルアーツ的な質感が共通認識だということのようです。

★AI時代は、大学だけではなく、GAFAMやユニコーン企業などで哲学や文化人類学の見識をもつアドバイザーが活躍する時代でもあります。リベラルアーツは必要ですね。

★ICU高校やICUが評価が高いのは、このグローバルリベラルアーツが充実しているからです。

★大妻中野も独自の教育でICUのような教育も包摂していくことになるのでしょう。大いに期待したいですね!

 

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リスクマネジメントしての中学選択(04)グローバルSTEAM探究教育はハラスメントリスクを常にマネジメントしている

★一方通行型の講義だけの授業をしている学校はもはや少ないと思いますが、これはハラスメントリスクが高いのです。情熱や愛情が教師の思い込みで、生徒にとって不快だとなった場合、それはハラスメントのトラブルが起きてしまう可能性が高いのです。

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(作成はbing)

★教師が講義をしながら問いを出して問答型だとしても、まだまだハラスメントのリスクは高いのです。問いをいったん生徒同士でピアインストラクションして講義をするとか、ディスカッションを入れるPBL型にることによって、生徒1人ひとりの主観を大切にすることができます。

★授業は客観的知識を植え付けることだなどというと、それはもう生徒の主観を無視することにつながり、生徒の側から不快だと思われることが積み重なると教師としては思ってもみなかった悲劇に陥る時があるし、それはそもそも生徒にとっては事件です。

★合理的配慮は今や法律上の努力義務ではなく義務になっています。これは一定の対象者を絞っているようですが、すべての人にあてはまる概念でもあります。将来はもっと広く使われるようになる可能性があります。

★中学を選ぶとき、ハラスメントのリスクマネジメントを道徳だけではなく、リーガルマインドまで対応している学校を選ぶということはリスクマネジメントの一環です。

★世のなか、多様な人間関係のトラブルがメディアで取り上げられ、それは学校も例外ではないのです。人間関係のトラブルの原因の多くはハラスメントリスクマネジメントができていない場合が多いのです。

★研修でお世話になるスクールローヤーとしての弁護士の方々と話していても、ハラスメントのない学校づくりをどうするか、常に話題になっています。

★学校説明会で、校長や学園長が権威主義的であるかどうかは、すぐにわかります。要チェックです。改革を唱えていても、それが権威主義的改革だと本当は問題ですが、改革の話は魅力的ですから、ハラスメントチェックができなくなるときがあるのです。生徒ファーストかどうかが重要です。

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リスクマネジメントしての中学選択(03)2030年には総合型選抜は、グローバルSTEAM探究入試になっている

★大学入試や中学入試は、すでに少子化の波を大いに受けているから、生徒獲得を偏差値競争から離脱しています。大学入試の受験生は日本全体の60%弱ですから、高校卒業生が全員が受けるわけではありません。定員割れの大学が増えています。偏差値競争が成立するのは10%です。中学入試も日本全体の10%しか受験しません。そのうちの10%は偏差値競争がありますが、全体にしてみれば1%の話です。そうでない生徒が、自分の道を見出す方法は、もはや多様で多次元なのです。

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(桜美林のチャペル)

★ところが、高校入試はほぼ全入です。高校入試は、実質偏差値輪切りになっています。したがって、受験というのが偏差値競争だというアンコンシャスバイアスは、高校入試改革がなされない限り、世間は幻想に陥ったままです。しかも高校入試のボリュームゾーンである偏差値50前後の生徒は、自分が創造的才能ゾーンにあることに気づいていないことが多いのです。だから、そのゾーンの生徒が入学する高校で、大学入試のときに総合型選抜で、偏差値で考えればそんな大学に自分が合格できるなんていう奇跡がいっぱい起こるようになっています。

★しかし、それにもかかわらず、高校卒業生は世の中受験は偏差値だと幻想に支配されています。偏差値ゴーレム効果によって自己肯定感が低い生徒が生まれるのは、高校入試の実質偏差値というパニック状態を引き起こすハラスメント状況が改善されないからですね。大学受験を重点とする公立高校が本来公平性を生み出すはすの自治体によって推進されたりしているのは、その証拠なのです。

★とはいえ、今後は大学入試は総合型選抜がトレンドになっているし、中身も進化していきます。

★桜美林などは、高校時代の「探究」活動がそのまま総合型選抜に直結する入試を早いうちから実施しています。英語の資格活用入試のように、外部探究コンクールで優秀賞を受賞したり、桜美林の高校生向けのセミナーで単位のような認定証をとった場合、高校時代の探究活動を証明する書類審査は免除されてしまいます。もちろん、その両方がなくても高校時代の学内外の探究活動のポートフォリオの書類を出せばよいわけです。

★最終的には、小論文と口頭試問やプレゼンで合否が決まっていきます。

★この桜美林モデルは、実は多くの大学で導入され始めています。APUはもっと多元的になっています。

★昨年までは、探究は大学入試のために行うものではないのだと語ってきた識者もたくさんいましたし、今でもそんなのは青田買いではないかと批判する識者もたくさんいるでしょう。

★しかし、大学は経営しなくてはならないし、現状の社会人も仕事と教養は一石二鳥を狙う時代です。オンラインで時空を超えられるし、電子書籍も浸透してきています。「時空」を超えて、一石多鳥の時代です。

★高校時代の勉強が、大学受験に直結し、しかも将来の見通しにも役立つというのは、何ら問題ないのです。大学は学問するところだからそんな受験と直結するなんてというのはと言っているうちは、中世以来の大学システムの名残を改善しようとしない思考停止状態ですね。

★大学は就職のためのものであっても何ら構わないのです。学問は大学院で博士論文までいかないとその道でプロフェッショナルにはなれないのです。それに、企業はこれからはリベラルアーツや人文科学的・社会科学的教養実装は必要な時代です。理系企業だから学問はいらないという時代でもないのです。

★専門的な文献リサーチやデータリサーチ、実験や研究室での学問は、そりゃ学者しかできないのですが、そうでなくても学者の功績を活用して企業経営するのが今後です。学際的だけではなく、多様な団体がコラボする時代はとっくにきています。

★だから、「探究」は有効なのです。プロジェックトとはそもそも協働研究なのですから、イノベーションの共同研究を行うベースを高校時代から作っておくこと、つまりシミュレーションしておくことはむしろ望ましいのです。

★アントレプレナーシップのベースはプロジェクトを推進できるコミュニケーション能力や交渉力こそ大前提です。

★中高時代に「友情」を育むことは大切ですが、フラット・フリー・フレンドシップという3F精神は、多様な友情を広く深く育んでいけます。限られた友情だけが親友を作ることになるのではないのです。

★愛されるより愛する友情。みながこういう友情を育むには、協働プロジェクトを運営する経験値を高めていくことによって育まれます。

★「探究」はそのような経験値を高めてくれます。大学側が、知的な能力だけではなく、そのような経験値が高い生徒を迎え入れるのは当然です。

★もはや限られた能力の競争に勝ち抜いた偏向的優秀生はプロジェクト運営の経験値を高められない場合、どんなことになるかは、すでにそういう悲惨なシーンが今増えているのは、みなさんご承知でしょう。

★そうそう、総合型選抜ですが、多言語主義になります。協働する時多様な言語圏の生徒が集結してくるのが少子化の影響です。英語と日本語だけではコラボできないのです。しかも生成AIなど活用するSTEAMスキルも当然必要になります。したがって、グローバルSTEAM探究教育が直結するのが総合型選抜になります。2027年ごろにそれが急に注目され、2030年にはそれが当たり前になります。

★2025年中学受験生が高校卒業するときにそういうグローバルSTEAM探究入試=総合型選抜になっているでしょう。

★だから中学選択は、リスクマネジメントという側面から観ることは重要なのですよ。

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リスクマネジメントしての中学選択(02)ベルカーブのパラドクス

★偏差値というのは、ある集団の反応率の分布を表現しているだけです。一枚のテストに正解の反応率の高い生徒の数、中くらいの生徒の数、できなかった方が多かった生徒の数を並べると、確率論的にベルカーブを描くだけのことです。いつも同じ形式、内容のテストに反応する生徒の分布。そのテストにたけている生徒の才能だけでを測っているわけです。それ以外の才能ではかってみれば、反応率の高い生徒が入れ替わるのは明らかです。したがって、あのベルカーブのポジションに占める生徒は、検査条件を固定して使うか多様にするかによって全部違ってくるのです。

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★学びの条件を固定して序列化してきた教育が今までの教育です。その条件が多様性・多次元性のこれからの社会で役に立たなくなったということです。10%はまだ役立つのですがね。

★このベルカーブは、生徒1人ひとりのその時々の主観的な心理的反応率をチェックするには最適なのです。今Aはピアノを弾いている。最高に良い気分で、創造的才能がふくらんでいることの実感を得ている。そのAにとっては、創造的才能ゾーンにいるわけです。

★しかし、BにとってAと同じように弾こうとするとパニックになる。

★さらにCにとっては、Aのように弾くのは退屈過ぎて心理的安全ゾーンにいる。

★Bはパニックゾーンから退避したほうがよいし、Cはもっとユニークな弾き方を研究する創造的才能ゾーンに移行すればよい。

★これがサイエンスだったり、言語だったり、昆虫だったり、魚だったり、子どもたち一人一人にとって、好奇心や興味は違う。それぞれの好きなものに応じて、自分の心理的反応率をモニタリングしながら、パニックゾーン行かないようにリスクマネジメントするのが実は学びで、パニックゾーンに突入するぞがんばれっ!ていうのは学びとは言わないのです。

★偏差値を学校選びの指標にすると、90%の生徒にとってはパニックゾーンに突入することになる。10%はクリエイティブな状態。10%の子どものための計測条件を90%に当てはめるのは、プロクルーステースのベッドで悲劇的ですが、計測条件を多次元いして、子ども1人ひとりに個別最適化することによって、自分のメンタルモデルを豊かにできるデータになります。すばらしきかな偏差値モニタリングとなるかもしれません。パラキシカルですね。

 

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リスクマネジメントしての中学選択(01)グローバルSTEAM探究教育を行うことが重要なわけ

★2025年の中学受験生が高校3年生になるとき2030年になっています。すでに次期学習指導要領に移行している時代です。どうなっているか?当然、この変化に合わせて大学入試は改革を進めています。いや今すでに大学が入試改革を行っているので、その変化に次期学習指導要領は対応していくかもしれません。

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(STEAMの拠点MAKE ROOMで対話する工学院の先生方。左から田中歩教頭、中野由章校長。歩先生はグローバルの象徴。中野校長はDXの象徴。二つの知のフュージョン)

★ここで考えなくてはならないのは、今の子どもたち一人ひとりの才能を開花する発達成長を促す教育になるということです。一部の特定の才能を優遇する大学入試(わかりやすくいえば知識大容量処理能力という才能を測る偏差値で選抜する入試)は、10%くらい残るかもしれませんが、90%は、子どもたち一人ひとり違う創造的才能の開花の個別最適化を行う大学に変容します。

★したがって、今90%占めている教科別知識の体系的学びは、縮小します。74単位のうち40単位に収まり、残りは、グローバルSTEAM探究教育になります。40単位は現行の教科書の中にある基礎・応用・発展のうち基礎だけに絞られるようになるでしょう。知識の基礎体系を理解できれば、あとはグローバルSTEAM探究の学びで、応用・発展はなんとかなるからです。というか、その応用・発展は難度の話ではなく、新しいものを発見し創るということです。ディスカバリーとメイキングが主流になるからです。

★つまり、無限の価値を生み出す教育がメインストリームです。

★この道は今のところ未知ですが、予想されていることです。これだけ、日本の国力が衰退しているようにみえるのは、1人ひとりの無限の価値を無視しているからだけです。グローバルSTEAM探究教育は置き換えると知財教育です。発想は今のところ只で、それをうまく活用する企業が利益をあげます。しかし、利益をあげればよいのですから、視野狭窄的で、無限の価値を正当に評価できません。ですから、無限の才能の発想を利益につながらないと無視するバイアスにかかってしまうので、国力は衰退しているようにみえるのです。

★少子高齢化でも、これだけの子どもたち一人一人の無限の価値を掘り起こすと日本はどうなるか火を見るよりも明らかです。

★2030年は、そういう社会になっています。しかし、さて、そこに追いつくのか乗り遅れるのか、それだけではなく、道を自ら創っていけるのか。そんな夢物語と思う人と、そこまで緊迫しているのだと思う人の差はでてきます。

★それでも、10%は今のままですから、その領域で競争し、ハラスメントで苦しみ、へとへとになるのか、それとも残りの海原にでて挑戦してウェルビーイングなフラット・フリー・フレンドシップの3F社会を創っていくのか。

★そんな3Fコミュニティの象徴的な学校が工学院です。他にもあります。本ブログで紹介している学校の多くはそうです。これからも紹介していきます。

★中学受験における学校選択は、子どもたちの未来のリスクマネジメントの側面もあると捉える時代がやってきました。これが2025年中学入試の本当の意味です。

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