自由学園の更科学園長と対話して思ったこと ユートピアを保守しディストピアに立ち臨む
★東京私学教育研究所のブログで、自由学園の更科幸一学園長が、初任者研修への想いについて語っています。首都圏模試センターの情報誌「my TYPE11号」でも自由学園の教育が取りあげられています。私もしばしば更科先生とは対話する瞬間がありますが、果敢にユートピア志向です。希望の松明を生徒共に掲げて進んでいるのです。
★生徒と一緒に現実の社会をしっかりみつめ、なかなか見えにくい課題に気づいて、解決を考えていくわけですが、教師に言われた課題を考えるのではなく、自分の目で社会を見て、その矛盾を感じる自分のものの見方・感じ方を仲間と話し合い、独りよがりではないことを確認し、なんとか世界を巻き込んで、自由で平和で安心な社会を創れないか、ユートピア志向の教育を実践していることがしみじみ伝わってきます。
★理想郷は、現実にはありませんが、それに向かっていく情熱的な志向性があれば、現実の矛盾や葛藤の渦の中で、自由に動ける方法を見出せるものです。そして対話によって仲間を作り世界を巻き込んでいくリーダーシップが自然に生成されます。実際更科先生の周りにはそういう教師が集結しているし、日本全国から講演依頼がきています。
★自由学園の創設者はジャーナリストだし、その縁者には羽仁五郎がいます。社会を本来的なジャーナリストの眼差しで観ることの大切さが建学の精神の根っこにあります。更科先生はその眼差しを共有し、現実の矛盾のるつぼの中で、活路を見出し共生しようと踏ん張っています。そこに実はユートピアが生まれています。つまり、自由学園のキャンパスに行くとそれが広がっているわけです。しかし、油断するとユートピアはすぐにディストピアに引きずられます。更科先生が学園長なのは、そうならないようにする守護神だということです。
★人間は、なぜか恨み、嫉み、呪い、羨みといったルサンチマンの囚われの身になりがちで、それに気づかずに負の方向に向かって、善をなしていると大勘違いに陥る時が実に多いですね。ディストピア志向性によって、ユートピアに向かっている人々を引きずり落とそうとするヤカラもいるのです。
★しかし、それはオープンで公平で寛容な雰囲気を生み出し続けることによって、退散させることができます。
★更科先生は、OST(オープンステージテクノロジー)という手法を活用しながら、同僚や生徒、他の学校の先生方と対話をし続けます。このクソ忙しい時代にそのような余白を創り続けることによって、実は遠くにではなくユートピアはそこに現れます。
★しかし、更科先生はもう一度確認します。「閉じられた中でオープンになっても、方向性を見失い、社会の矛盾がいつの間にか見えなくなってしまいます。学び続けなければ、対話し続けなければ。」と語るのです。
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