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2024年10月13日 (日)

なんてったって工学院(了)生徒と教師のフュージョンエネルギー最高

広報室の発信しているサイトとその写真をみて、校長中野先生の語るうちの自慢は「生徒と先生方」ですという人的資本論はなるほどそうだと改めて思いました。

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(写真は同校サイトから)

★説明会のセッションで、5人の生徒がオーストラリア研修とマルタ研修と3カ月留学の経験をプレゼンしてくれました。まずはやってみようという行動からいろいろ考えて、経験値を高めていく、そしてその経験値をもとに、さらなるチャレンジングな行動に立ち臨み、いろいろ思考錯誤し、感じ、自問自答や対話を通して、何らかの達成感を獲得しながら経験値をアップデートしていくという思考のロールプレイ循環が広がっていることが伝わってきました。工学院の中学受験生が思考力セミナーで体験しているのはまさにそのシミュレーションでした。

★それにしてもプレゼンの雰囲気が、自然体でよいですね。TEDのプレゼンを見ると、実に物語るそのパフォーマンスは効果的です。気負うことなく、演説のように声を張り上げるのでもなく自然な雰囲気。自分が感じてききたことや考えてきたことがはっきりあるし、おもしろいのは自分がどう変わったのかどう変わっていくのか見通しを立てているところですね。

★教育というのは、人生のための準備ではなく、人生そのものだとはジョン・デューイの信念ですが、工学院という学校での生活もまた生徒にとっても教師にとっても人生の場そのものです。もしかしたら理想過ぎて、卒業後の過酷で矛盾や葛藤やルサンチマン(妬み・嫉み・自己鬱屈などのトータルな総称)溢れる社会で苦労するかもしれません。でも、心配はいりません。だから生徒はグローバルな世界で挑戦してくるのです。グローバルプロジェクトやラウンドスクエアの国際会議では、自分たちと同年代の過酷な生活を強いられている子どもたちと対話し、自分たちで何ができるのか必死になる経験を積み上げているのです。世界の痛みを感じて考えるのです。リーダーの資質ですね。

★国内でも、地域や都市のそれぞれの社会課題に直面し、プロジェクトを発動していくのです。社会課題に取り組むことの本質的な意味を思い知らされました。

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★思考力セミナーの会場は図書館でしたが、紙の書籍は限定的でした。電子図書館化しているということです。なるほど3Dプリンターが並んでいるはずです。

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★その図書館には、高1と高2でゼミ形式で行っている探究論文が収められていました。2016年度と2017年度分がズラリと。なるほど全員が取り組んでいるということの凄さがわかりました。それ以降は、デジタルになってグループワークで生徒は互いに閲覧できるようになっているのかもしれません。今度聞いてみたいと思います。

★そんなことを思いながら、図書館を見回していたら、学校案内のグループが図書館に訪れてきました。その案内人が、明朗快活で、場所の事実だけを伝えるのではなく、この場所で自分たちはどんな思いで過ごしているかを見事にプレゼンしています。ある意味、道を導くリーダーシップが溢れています。保護者の方々もその案内人の世界に引き込まれています。笑いもあります。凄い教師がいたものだと思っていたら、広報室の中村さんが生徒会のメンバーですよと。驚きました。なるほど生徒の人的資本力ここにありですね。

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★入れ替わり立ち代わり、それぞれの学校案内グループがやってきていましたが、その中で案内をしている教務主任の三浦先生に会いました。たまたま新着図書の前でお会いしたので、「哲学者の視点」の本を指して、このような本があるのですねと語りかけると、「哲学カフェやっていますからね」と即答されながら、案内を続けていました。オッーと思い、すぐに同校のブログを検索しました。

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(同校サイトの哲学カフェの記事から)

★するとありました。三浦先生は数学の先生です。そしてブログを書かれた平林先生は社会科(本も執筆しています)の先生です。哲学カフェは文理融合の原点というイメージでしょうか。対話がベースの授業が工学院の1つの特徴ですが、さらにメタローグまで深まっていくということなおでしょう。進化/深化ですね。

★「全員」というのがキーワードなのが工学院です。インターナショナルコースでは哲学授業があります。もちろん英語で。ケンブリッジインターナショナルスクールと提携しAレベルを射程においていますから、欧米では哲学の授業は大事です。

★この重要な学びを、インターナショナルコースに限らず行う行動の1つとして哲学カフェを実施していく柔軟さ。そこに集う生徒もすてきです。生徒と先生方が自慢だよと語るジョニー校長の笑顔が目に浮かびました。

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