私立学校の社会的基盤 理想と現実の葛藤を引き受ける社会観
★明治の時代が訪れるとともに、私立学校も誕生しますが、その存立は常に攻防戦を余儀なくされてきました。そしてそれは今も同じです。ただ、第二次関大戦以降、近代日本の国の仕組みが変わったので、それに伴い私立学校の社会的基盤も権利として保護されるようになってきました。しかし、現代社会の民主主義の枠内で、時の政権は教育の在り方を変えていくことができますから、私立学校の経営権や教育を行う権利もまた影響を受けます。なにゆえに影響をうけるのか?それ簡単に図に示すとこうなります。
★明治憲法以来、私立学校は公立学校と社会観を明快に異にしています。公立学校は、その時代その時代の現状の民主主義と現状の資本主義の枠内を社会的基盤としています。学校組織と教師は違いますから、1個人としての教師はこの枠の中に納まっていない思想や価値観を持っていて当然よいのですが、職場組織となると社会基盤に対する思想が違う教師は、個人的な葛藤状況になることでしょう。
★私立学校は、その悩みは、簡単に言うとジョン・デューイと響き合っています。デューイもその当時の民主主義と資本主義の社会の中で、その改善点や改革を教育と共に実践していました。私立学校がデューイに直接影響をうけたのは、大正自由教育を推進した私立学校で、その他は、デューイが研究して検討した多様な社会観に立ち教育観のどれを選ぶか融合するかという悩みです。悩んで、意思決定して実践していきました。この点は、同時代の響き合いがあったと思っています。
★したがって、私立学校は現状の民主主義とトランスアクションしながら、現状の資本主義とトランスアクションしながら理想と現実の葛藤の着地点をお見出しながら教育を行っています。
★そして、その現状というのが、時代と共に変わりますから、現実問題その着地点も変わります。これが建学の精神に基づきながら先見性・先進性を発揮しながら独自の教育を追求し続けているわけです。不易流行とはこういうことでしょう。
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