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2024年10月

2024年10月 3日 (木)

2025年中学受験動向 北一成氏が語る 最も良識ある中学受験情報 保存版

★リセマムは10月2日に、次の記事をアップしました。「【中学受験2025】受験者数は高止まり、背景に大学入試改革の影響か…首都圏模試センター」がそれです。首都圏模試センター取締役・教育研究所長北一成氏にインタビューした内容をまとめた記事です。中学受験業界には、大学進学実績や偏差値などに偏重して論じるジャーナリストやメディアもあります。また、中学受験の弊害を中学受験が過熱のせいだというこれまた偏重した視点で逆説的に中学受験を煽っているジャーナリストやメディアもあります。中学受験マーケットのこのような動きに、名誉棄損などの違法性がない限り、表現の自由ですから、私立中学側は、誠の道にほかなしと丁寧に生徒1人ひとりの命と才能開花に尽力する教育力を説明することで、良識あるジャーナリストやメディア、受験生、保護者に理解を求めることしかしていないのです。そこにツケコムのはいささかどうかなと思うのですが、そんなときいつも北氏が最も良識ある中学受験動向を語ってくれるのです。本当に安心します。

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(北氏が記事の中で取り上げている学校の1つである人気の高い三輪田学園。8月の2日間に渡る国際フォーラムでの学校相談会。塩見牧雄校長は、2日間ずっとブースで受験生・保護者と対話していました。人気の秘密の大きな理由の一つですね。)

★北氏の広い視野深い視座による中学受験動向については、私ではとても説明できませんから、記事をぜひお読みいただきたいと思います。ここでは自分が気づいた主観的なことを少しコメントしたと思います。

「2025年度の入試についても、受験者数としては減るだろうと私どもは予想していますが、4月と7月に実施した合判模試では受験生数に増加がみられます。子供の数が減っている以上に、小学生の保護者のあいだでの中学受験熱は非常に高いまま続いていると言えるでしょう。」

★と北氏は述べています。「中学受験熱」という言葉を使っていますが、もちろん、これは「過熱」という意味ではありません。このインフレ景気で日本の経済が低迷している時、あえて公立ではなく私立を選択する心の熱、つまりパッションを言っているわけです。それは、次のような学校選びの理由を北氏が明快に述べていることで了解できます。

「保護者もまた、偏差値や進学実績だけではなく、我が子にとってどのような学校がもっとも適しているかをより深く考える傾向が強まっています。グローバル教育やSTEAM教育に力を入れている学校に注目が集まる背景には、保護者自身が社会で経験してきた変化や、新しい時代に必要なスキルへの気づきが大きく影響していると考えられます」

★もはや説明するまでもないでしょう。私立中高一貫校の代弁を明快に語ってくれています。ありがたいです。私立学校の校長は、自ら偏差値や大学進学実績ではなくとは実は言えないのです。それが大事だとももちろん言えません。ただひたすら教育の質を語るのみなのです。本質主義ですから。ですが、その本質主義を夢ではないかと揶揄する方もいますね。でも、いちいちそれはそうではないとは言いません。ひたすら誠の道を共に進みましょうと説くだけです。

★また、北氏の次のような視点は、実に的を射ているし、他のジャーナリストはあまり論じない新鮮な視点だと私は思います。

「特に女子校では、情報発信が積極的な学校と人気が上昇した学校がほぼ一致しているという現象が見られます。たとえば、湘南白百合学園のWebサイトでは、生徒の後ろ姿や海沿いの美しいロケーションを生かした写真を効果的に使用し、学校の魅力を伝えています。従来の「広報活動があまり熱心ではない」というミッションスクールのイメージを、こうしたカトリック系の学校が覆し、積極的に情報発信を行うようになったこともあってか、神奈川の女子校ではミッションスクールの志願者が増加しています。従来から教育の質には定評があったものの具体的な学校生活があまり知られていなかった学校に対して、保護者や生徒の興味が高まったことを示していると言えるでしょう。」

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2024年10月 1日 (火)

2027年に向けて動く世界と私立中高一貫校(了)2050年以降の社会は、だれもが創造的才能者になる

★AI社会の進化は、前回図で示したような多次元な創造性を創出する教育環境をどんどん進化/深化させていきます。するとだれもが創造的才能者になるのです。また夢みたいなことをと言ってゴーレム効果を生み出すか、ウェルビーイングな世界に向かおうと言ってピグマリオン効果を生み出すかは、私事の自己決定です。私はウェルビーイングを望みます。

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★そして、2050年以降の社会は受験学力は実際には、リベラルアーツという技術力になっているはずです。社会はよりシンプルにコンパクトになっていきますね。ですが、フュージョンエネルギーのように小さいけれど偉大な力を創出します。創造性という力です。

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2027年に向けて動く世界と私立中高一貫校(7)2050年以降の社会を創出する創造的才能者を生み出す教育

★本シリーズでいろいろな角度から見てきた(とはいえご紹介した具体例は少ないのですが)2027年にむけて動く世界を見据えた教育を簡単にまとめると次のような図になります。

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★それぞれの要素の多少具体的な内容は、今までのブログを見て頂きたいのですが、ここでようやく明らかにしたいのは、私見ではありますが、PBLのPは、プロジェクトという意味もあるし、プロトタイプという意味もあるし、パテント(特許)という意味も含んでいます。さらにプロジェクトは研究という意味を含んでいます。

★というのも、2027年に向けて動く世界とは、2050年以降の社会にむけて動くということだからです。

★中高生、特に高校生は、18歳成人を迎えます。金融教育だとかデータサイエンスだとか必要だと言われています。それらは、まさにプルラリティ社会を想定しているからでしょう。

★であるなるならば、プロジェクト×プロトタイプ×パテントである必要があります。学び即アントレであることが、ユニバーサル・ベーシック・インカムなプルラリティ社会の基礎になるからです。

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2027年に向けて動く世界と私立中高一貫校(6)いわゆる高偏差値学校の教育と筑駒湘白型教科教育

★前回ご紹介したように筑駒は入学段階で創造的才能を開花することに抵抗を感じない生徒がはいってくる入試問題の仕掛けがあるわけです。入学後も当然そうなるわけですが、高大連携や多次元の経験は、湘南白百合に比べれば限定的です。しかし、創造的才能の素養があることが前提になっています。一方湘南白百合は、丁寧で高頻度で行う説明会で、そのような生徒に期待をかけると同時にそうでない場合も入学後自分で創造的才能を開花できるのだという証明をしていきます。

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★ですから、湘南白百合の場合は、国語と算数の一教科入試や英語入試、4科目入試など多様な入試のラインナップを用意しています。筑駒湘白型の教科教育は、上記のような図で示せると思います。筑駒の場合は、湘南白百合と比べると媒介項として「高大連携」と「多次元の経験」については限定的で、もっとやりたければ、生徒が自分で探してやればよいという感じですね。ここは国立と私立の差異かもしれません。

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★一方いわゆる高偏差値校の教育は、教科教育がメインですね。筑駒湘白型の教科教育と比べると微妙なそして大きな違いがあります。フレームのうち媒介項が違います。高大連携も経験もやはり手厚く実施しますが、湘南白百合に比べるとやはり限定的です。筑駒よりは多様だと思います。ここが国立と私立の差異だし、私学同士の差異でもあるわけです。

★また、思考方法も、ロジカルシンキングが中心です。理数系が中心で、まだ文理融合というところまでは越境しようとはしないので、そうなります。文理融合を実践するには、思考方法を三角ロジックに切り替える必要があります。しかし、ロジカルシンキングで東大は十二分に合格できます。

★湘南白百合は、教科教育以外は、超先進4校と同じようなプログラムを多次元に設定しています。ここがフェリスや横浜共立、横浜雙葉と違うところです。いわゆる高偏差値校で、そこまでやる必要はないのではと思われがちですが、いわゆる高偏差値校は筑駒のように在校生全員が創造的才能を発揮するようにはなっていないのです。それは入試問題が筑駒のようになっていないからです。

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★したがって、上記のような図になります。つまり、筑駒湘白型もいわゆる高偏差値型も、在校生の偏差値は高いのですが、在校生全員が創造的才能を開花させているかさせようとしているかは違いがでてきます。

★もちろん、生徒1人ひとり創造的才能者です。しかし、植物と同じように条件がそらわなければ、創造的才能は開花しません。ですから大学に行ってから花開く場合もありますから、それは初等中等教育の役割ではないのだと考えることもできますが、幼児期からに非認知能力を育てることが必要だという言われる時代です。

★そして、リチャード・フロリダ教授や落合陽一さんが語っているように産業構造が第4の産業としてクリエイティブクラスが誕生している時代です。それをうけてSOCIETY5.0の時代が着々と進んでいる時代です。東大をはじめ経団連など高度人材の素養を持った学生を大学入学時から求めている時代です。

★超先進校や筑駒湘白型学校のように、私立中高一貫校が進化していくのは止められないでしょう。

 

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