藤田真央さんのショパン 低音の響きが心身をゆさぶる
★藤田真央さんの新レコード「72 Preludes - ショパン/スクリャービン/矢代秋雄: 24の前奏曲(ソニーミュージック)」。3人の作曲家の24のプレリュード全72曲。おしゃれな選択だし、日本人の作曲家「矢代秋雄さんの作品などは日本初のレコーディングということもあり、購入してみた。ところが、ある曲のところで先に進まなくなった。
★それは、ショパンのプレリュードOp.28の24番目の最終曲を聞いたら、もう何度も聞きたくなりオートリバース状態になっているからだ。この曲、ショパンにしては珍しいニ短調の曲で、なんかシンプルでいかにも最終曲という劇的な曲で、なんか無理矢理だなあとかつては思っていた。
★エチュード「革命」のように激しいけれど、そんな光り輝く感じではないのだ。
★ところが、藤田真央さんのこの曲の演奏は、あまりに丁寧に低音をハートとボディーの両方をゆさぶるように響かせてくる。音が軽やかに転がるような藤田真央さんのいつもの弾き方とは違う。
★地を這う低音がハートとボディーを揺さぶるのである。
★いつもは、発想は頭上から降りてくる感じなのだが、この演奏は、胃袋から湧いてくるのだ。
★ちょっとイメージしにくいかもしれないけれど、腹の底から響いてくる。理想と現実を融合させるような響き。胃袋でものごとを考えているそんな感じ。そんなわけで、いつもとは違う角度からもののを見る力をもらえる。
★ただ3分弱の瞬間的な作品だから何度も繰り返し聞かなくてはならない。発想が生まれるまでには、3分ではなかなか難しい。
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